説明

プリンタ印刷制御方法

【課題】プリンタの機能が一部使えないときの印刷の停滞や、無駄な印刷の発生を防止することのできるプリンタ印刷制御方法を提供する。
【解決手段】印刷データに使用する付加機能を指定可能なプリンタを用いるプリンタ印刷制御方法において、印刷の用途やプリンタの状態により、前記付加機能毎に印刷続行か印刷中断かの判定基準を保持する判定基準保持手段を有し、前記付加機能を検知した場合、当該付加機能毎に、付加機能処理を抑止するか或いは代替機能を使用して印刷を実行するか、または、印刷を中断してエラーを報告するかを、前記判定基準により判定し、その判定に基づき付加機能毎に実施または非実施の処理を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタの印刷制御、特に実行不可の機能が指定されたときの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷を行うとき、消耗品切れなどにより一部の機能が使用できないため、印刷データの要求する印刷時の機能どおりに印刷できないことがある。このとき、要求される印刷時の機能が使用できなくても、印刷を実行すべきか、印刷を停止すべきかを判定する必要が生じる。この判定が正しく行われないと、無駄な印刷が行われたり、必要な作業が中断したりすることとなる。
【0003】
従来の印刷を行うかどうかの判断方法として、特許文献1には、配布先により印刷形式を変える方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、印刷途中で仕分け機能が使用不可になったときに、その機能を別の機能に置き換えて印刷を続ける機能について記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1および特許文献2に記載された方法や構成では、プリンタの状態に応じた印刷方法の変更や、印刷物や印刷の目的によって必要とされる機能が異なることへの考慮が十分ではなく、処理の切り替えの柔軟性に欠けるという課題がある。
【0006】
印刷データにより、どの範囲で印刷時の機能を変更して印刷しても問題ないかはそれぞれ異なり、また、同じ印刷データであっても、印刷の目的や状況によって、印刷時の機能を変更して印刷しても問題ない場合と、印刷時の機能を変更すると印刷結果が無駄となる場合とがある。
【0007】
本発明の目的は、プリンタの機能が一部使えないときの印刷の停滞や、無駄な印刷の発生を防止することのできるプリンタ印刷制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、印刷データに使用する付加機能を指定可能なプリンタを用いるプリンタ印刷制御方法において、
印刷の用途やプリンタの状態により、前記付加機能毎に印刷続行か印刷中断かの判定基準を保持する判定基準保持手段を有し、
前記付加機能を検知した場合、当該付加機能毎に、付加機能処理を抑止するか或いは代替機能を使用して印刷を実行するか、または、印刷を中断してエラーを報告するかを、前記判定基準により判定し、その判定に基づき付加機能毎に実施または非実施の処理を行うことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記印刷データには判定基準が予め付加され、該判定基準を基に印刷制御を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷目的に応じて必要な機能を分類することにより、プリンタの機能が一部使えないときの印刷の停滞や、無駄な印刷の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る上位装置と印刷装置のシステム概略構成図である。
【図2】本発明の実施例において処理判定表の形式を示す図である。
【図3】本発明の実施例においてプリンタの代替レベルと各機能の基準レベル代替機能の設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、印刷時の機能を変更して印刷しても問題ない範囲を定義して、印刷の停止と続行の判定を行う。本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る上位装置と印刷装置のシステム概略構成図である。図中の1は上位装置、2は印刷装置、3は代替レベル、4は処理判定表、5は印刷データ、7はプリンタエンジンである。
【0014】
上位装置1と印刷装置2が接続され、印刷装置2は、端綴じ機能、中綴じ機能、折り機能、穴あけ機能、シフト機能、両面印刷機能が使用可能である。制御装置は、各種の制御を行う制御プログラムが格納され、以下に述べる処理を実行する。
【0015】
印刷データは、上位装置からプリンタに送られる。印刷データには、印刷機能の指定情報が含まれており、印刷データの指定によって各機能や印刷が実行される。印刷時にプリンタの機能で実行不可の機能があると、代替レベル3と処理判定表4とを基に、機能を代替機能で置き換えて印刷するか、印刷を中断してエラーを報告するかを決定する。
【0016】
図2は、処理判定表4の形式を示す図である。代替を行う処理とその処理が不可の場合に代替処理を実行する代替レベルと、代替処理の内容が記述されている。ここでは、代替処理を行う機能としては、端綴じ機能、中綴じ機能、折り機能、穴あけ機能、シフト機能、両面印刷機能がある。それぞれの機能に対して、代替を行う閾値である基準レベルと、代替手段が記述してある。代替レベルには、印刷を実行するか、中断するかの基準レベルが格納されている。基準レベルは、値がプリンタの代替レベルより小さいときは、代替処理を使用して処理を実行し、値が等しいか大きいときは、印刷を中断してエラーを報告する。代替手段としては、綴じ機能をシフト機能に置き換え、穴あけ機能、シフト機能はそれぞれ処理を無効として印刷し、両面印刷機能は、片面印刷で出力を行う。
【0017】
図3は、プリンタの代替レベルと各機能の基準レベル代替機能の設定画面の例を示す図である。
【0018】
設定画面8には、端綴じ機能、中綴じ機能、折り機能、穴あけ機能、シフト機能、両面印刷機能それぞれに対し、基準レベルと代替機能を設定することができる。特に、代替機能がないものは、機能削除を指定する。プリンタの代替レベルも同時に設定できる。
【0019】
シフト機能など印刷結果には影響を与えない機能は、レベルを低く設定し、中綴じなど結果に影響が大きい機能はレベルを高く設定する。
【0020】
また、機能ごとのレベルは、各システムの状況に応じて変更することが可能である。たとえば、プリンタで穴あけを行わないと後処理で大きな問題となるときは、穴あけ機能に高いレベルを設定し、それほど問題とならないときには、低いレベルを設定することができる。
【0021】
次に、印刷時に綴じ機能が実行不可の場合の処理について説明する。このとき、プリンタには、図2の処理判定表のデータが設定されているとする。
【0022】
印刷データに綴じ指定があり、印刷時に印刷装置の綴じ処理機構が使用不可とする。プリンタの制御プログラムは、まず、綴じ処理の基準レベルを基に、処理判定表を参照する。
【0023】
このとき、プリンタの代替レベルが「0」に設定してあるときは、印刷を中断して、エラーを報告する。オペレータは、綴じ機能不可の状態を解除可能なら解除して印刷を続行し、解除不可ならこのデータの印刷を止め、次のデータの印刷を行う。
【0024】
プリンタの代替レベルが「2」以上のときは、綴じの代わりにシフト動作を指定して印刷を実行する。このようにして、代替レベルと基準レベルを変更することで、印刷の制御を切り替えることができる。
【0025】
代替レベルの変更は、前記プリンタの操作パネルから変更する方法だけではなく、印刷データにその印刷データの代替レベルを付加して上位装置から送ることでも変更できる。プリンタでは、印刷データごとに用紙使用判定用の表を用意し、印刷データに代替レベルが付加されたときは、印刷データに付加された代替レベルを用いて判定を行うように制御を行う。このようにすれば、ジョブに付加する代替レベルを変えることで、プリンタの設定を変更すること無しに、印刷の制御を変更することが可能となる。
【0026】
上記したように、本発明では、確認用の印刷と、社内用の印刷、社外用の印刷でレベルを変えて印刷を行うことができる。確認用の印刷では、レベルを低く設定し、社内用の印刷では中ぐらいのレベルで設定、社外へ提出するデータは、高いレベルを設定することで、不要な印刷処理の停滞や、無駄な印刷物の印刷を抑止することができる。
【符号の説明】
【0027】
1は上位装置、2は印刷装置、3は代替レベル、4は処理判定表、5は印刷データ、7はプリンタエンジン、8は設定画面。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2001−191605号公報
【特許文献2】特開2005−82279号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに使用する付加機能を指定可能なプリンタを用いるプリンタ印刷制御方法において、
印刷の用途やプリンタの状態により、前記付加機能毎に印刷続行か印刷中断かの判定基準を保持する判定基準保持手段を有し、
前記付加機能を検知した場合、当該付加機能毎に、付加機能処理を抑止するか或いは代替機能を使用して印刷を実行するか、または、印刷を中断してエラーを報告するかを、
前記判定基準により判定し、その判定に基づき付加機能毎に実施または非実施の処理を行うことを特徴とするプリンタ印刷制御方法。
【請求項2】
前記印刷データには判定基準が予め付加され、該判定基準を基に印刷制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−208028(P2010−208028A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53429(P2009−53429)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】