説明

プリンタ及びプリント方法

【課題】 印画濃度ムラの発生を防止する。
【解決手段】 カラー感熱プリンタの搬送ローラ対17を、キャプスタンローラ18と、キャプスタンローラ18に圧接して記録紙11を挟み込むニップローラ19とから構成する。モータ43の回転をキャプスタンローラ18に減速して伝達するトラクションドライブ減速機構42を設ける。キャプスタンローラ18の回転軸41の同軸上にトラクションドライブ減速機構42の出力軸53を連結して一体化し、キャプスタンローラ18を2点で保持する。回転軸41と出力軸53との軸ずれを無くすことができるので、軸ずれに起因するキャプスタンローラ18の回転ムラの発生が防止される。印画濃度ムラのないカラープリントが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ローラ及び従動ローラからなる搬送ローラ対により挟持搬送される記録材料に画像を記録するプリンタ及びプリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感熱発色層を備えた感熱記録紙(記録材料)をサーマルヘッドで加熱して画像を印画する感熱プリンタが良く知られている。このサーマルヘッドは、多数の発熱素子が主走査方向にライン状に配列された発熱素子アレイを備えている。そして、発熱素子アレイは、感熱記録紙が搬送ローラ対により副走査方向に搬送(副走査送り)される際に、1ライン分の画像データに基づき所定の温度に発熱される。こうして、感熱記録紙が搬送ローラ対により1ライン分ずつ送られる間に、主走査方向のライン画像が1ラインずつ順次印画されて1画面分の画像プリントが得られる。
【0003】
この感熱記録紙の副走査送りに用いられる搬送ローラ対は、駆動ローラであるキャプスタンローラと、従動ローラであるニップローラとから構成される。そして、このキャプスタンローラは、ギヤトレインやタイミングベルト及びタイミングプーリ等からなる減速機構を介して搬送モータに連結されており、低速度かつ高精度で回転される。
【0004】
しかしながら、ギヤトレインの各ギヤには歯切りのばらつきや偏芯等の加工誤差があり、タイミングプーリにも同様に偏芯等の加工誤差がある。そのため、このような減速機構を介してキャプスタンローラが回転されると、キャプスタンローラの周期的な振動や、その回転速度の変動が発生して所謂回転ムラが発生する。回転ムラが発生すると、感熱記録紙の搬送速度が周期的に変動するため、感光記録紙の送り量が周期的に変動してしまう。その結果、画像プリントに周期的な濃淡のムラ、所謂印画濃度ムラが発生するおそれがある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1に記載されているように、減速機構としてギヤやタイミングベルトを用いないトラクションドライブ減速機構を用いたプリンタが良く知られている。
また、このトラクションドライブ減速機構を介して搬送モータの回転をキャプスタンローラに伝達する際に、トラクションドライブ減速機構の出力軸(駆動軸)とキャプスタンローラの回転軸とが軸ずれした状態で連結されていると、同様にキャプスタンローラの回転ムラが発生してしまう。そのため、この特許文献1記載のプリンタでは、キャプスタンローラの回転軸とトラクションドライブ減速機構の出力軸とをフレキシブルカップリングや自動調芯機構を用いて連結することで、両軸の軸ずれを緩和してキャプスタンローラの回転ムラの発生を抑えている。
【特許文献1】特開平9−230662号公報(第5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、キャプスタンローラ及びトラクションドライブ減速機構は、それぞれ別個にプリンタ内の側板等に取り付けられている。この際に、キャプスタンローラ及びトラクションドライブ減速機構の取付位置には、それぞれ取付誤差(組立誤差)が生じている場合が多い。そのため、前記特許文献1記載のように、キャプスタンローラの回転軸とトラクションドライブ減速機構の出力軸とをフレキシブルカップリングや自動調芯機構を用いて連結したとしても、両軸の軸ずれを無くすことはできない。その結果、この軸ずれに起因するキャプスタンローラの回転ムラが発生して、画像プリントに印画濃度ムラが発生するおそれがある。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためのものであり、キャプスタンローラの回転軸とトラクションドライブ減速機構の出力軸との軸ずれを抑えることで、印画濃度ムラのない画像プリントを得られるようにしたプリンタ及びプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、駆動ローラ及び従動ローラからなる搬送ローラ対により挟持搬送される記録材料に画像を記録するプリンタにおいて、前記駆動ローラを回転するためのモータと、前記モータの回転を減速して前記駆動ローラに伝達するためのトラクションドライブ減速機構と、前記トラクションドライブ減速機構の出力軸と前記駆動ローラの回転軸の一端部とを同一軸心上で連結し、この連結状態を保持する連結部と、前記駆動ローラの他端部と前記トラクションドライブ減速機構との2点保持により前記駆動ローラを搬送路に保持する駆動ローラ保持機構とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、駆動ローラ及び従動ローラからなる搬送ローラ対の前記駆動ローラにトラクションドライブ減速機構を介してモータの回転を伝達して、記録材料を挟持搬送し、この搬送に同期させて前記記録材料に記録ヘッドにより画像を記録するプリント方法において、前記駆動ローラの回転軸の一端部と前記トラクションドライブ減速機構の出力軸とを各軸が同一軸心上に位置し且つこの状態を保持するように連結部材により連結し、前記連結部材で連結された前記回転軸の他端部と、前記トラクションドライブ減速機構との2点保持により前記駆動ローラを搬送路に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプリンタは、駆動ローラ及び従動ローラからなる搬送ローラ対と、前記駆動ローラを回転するためのモータと、前記モータの回転を減速して前記駆動ローラに伝達するためのトラクションドライブ減速機構と、前記トラクションドライブ減速機構の出力軸と前記駆動ローラの回転軸の一端部とを同一軸心上で連結し、この連結状態を保持する連結部と、前記駆動ローラの他端部と前記トラクションドライブ減速機構との2点保持により前記駆動ローラを搬送路に保持する駆動ローラ保持機構とを有するので、周期的な前記出力軸の振動や回転速度の変動に起因する前記駆動ローラの回転ムラの発生が防止される。また、前記駆動ローラの回転軸と前記トラクションドライブ減速機構の出力軸との軸ずれを無くすことができる。その結果、軸ずれに起因する前記駆動ローラの回転ムラの発生が防止される。これにより、画像プリントに印画濃度ムラが発生するのを防止することができる。
【0011】
また、本発明のプリント方法は、搬送ローラ対の駆動ローラにトラクションドライブ減速機構を介してモータの回転を伝達する際に、前記駆動ローラの回転軸の一端部と前記トラクションドライブ減速機構の出力軸とを各軸が同一軸心上に位置し且つこの状態を保持するように連結部材により連結し、前記回転軸の他端部と、前記トラクションドライブ減速機構との2点保持により前記駆動ローラを搬送路に保持するようにしたので、同様に画像プリントに印画濃度ムラが発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明を実施した3パス方式のカラー感熱プリンタ(以下、単にプリンタという)10の概略図である。このプリンタ10では、長尺のカラー感熱記録紙(以下、単に記録紙という)11をロール状に巻いた記録紙ロール12が記録媒体として使用される。記録紙ロール12はプリンタ10の給紙部にセットされ、その外周には給紙ローラ13が圧接している。
【0013】
給紙ローラ13は図示しないモータにより回転駆動され、記録紙ロール12を回転させて記録紙11を引き出して、記録紙11を給紙部から排紙口へと至る搬送経路内に送り込む。そして、プリント終了後には、記録紙11の未記録エリアを記録紙ロール12に巻き戻し、光や湿度の影響を防止する。
【0014】
記録紙11は、周知のように、支持体上にシアン(C)感熱発色層、マゼンタ(M)感熱発色層、イエロー(Y)感熱発色層が順次層設されている。最上層となるY感熱発色層は熱感度が最も高く、小さな熱エネルギーでイエローに発色する。最下層となるC感熱発色層は熱感度が最も低く、大きな熱エネルギーでシアンに発色する。また、Y感熱発色層は、420nmの近紫外線が照射されたときに、発色能力が消失する。M感熱発色層は、Y感熱発色層とC感熱発色層との中間程度の熱エネルギーでマゼンタに発色し、365nmの紫外線が照射されたときに発色能力が消失する。記録紙11に、例えばブラック感熱発色層を設けて4層構造にしてもよい。
【0015】
搬送経路内には、記録紙11を挟み込んで搬送する搬送ローラ対17が配置されている。この搬送ローラ対17は、詳しくは後述するが本発明を実施した駆動ローラであるキャプスタンローラ18と、このキャプスタンローラ18に圧接して記録紙11を挟み込むニップローラ19とからなり、記録紙11を主走査方向と直交する副走査方向、つまり、図中A方向とB方向とに搬送する。
【0016】
搬送ローラ対17のA方向の下流側には、搬送経路に沿って上流側からサーマルヘッド26及びプラテンローラ27、光定着器28、カッタ29、排紙口30が順に配置されている。サーマルヘッド26及びプラテンローラ27は、記録紙11の搬送経路を挟み込むように配置されている。サーマルヘッド26は、記録紙11の搬送経路の上方に配置されており、多数の発熱素子を主走査方向に沿ってライン状に配列した発熱素子アレイ26aを備えている。また、このサーマルヘッド26は、図示しないヘッド移動機構により、記録紙11に発熱素子アレイ26aを圧接させて印画を行う圧接位置と、記録紙11から離れてプラテンローラ27との間に隙間を形成する退避位置との間で移動自在とされている。プラテンローラ27は、記録紙11の搬送に応じて従動回転し、記録紙11と発熱素子アレイ26aとの当接状態を安定させる。
【0017】
発熱素子アレイ26aは、搬送ローラ対17により記録紙11がB方向に搬送される際に、印画する画像の1ライン分の画像データに基づいて発熱される。こうして、記録紙11が搬送ローラ対により1ライン分ずつ送られる間に、記録紙11の記録エリア内の特定の感熱発色層が1ラインずつ発色されて、主走査方向のライン画像が1ラインずつ順次印画される。
【0018】
光定着器28は、記録紙11の記録面と対面するように配置されている。この光定着器28は、イエロー(Y)定着ランプ34、マゼンタ(M)定着ランプ35、リフレクタ36等から構成される。Y定着ランプ34は、発光ピークが420nmの近紫外線を放射して、記録紙11のY感熱発色層を定着する。M定着ランプ35は、365nmの紫外線を放出してM感熱発色層を定着する。
【0019】
カッタ29は、C画像の印画が完了した記録紙11を所定のプリントサイズにカットして、カラープリント(図示せず)を形成する。そして、このカラープリントは排紙口30から排出される。
【0020】
図2に示すように、キャプスタンローラ18は、その回転軸41の一端部がトラクションドライブ減速機構42を介して搬送モータ43に連結されており、他端部が軸受け45を介してローラ保持部材である側板46に回動自在に保持されている。また、ニップローラ19は、その回転軸47の両端が軸受け48を介して側板46,49に回動自在に保持される。
【0021】
トラクションドライブ減速機構42は、側板49に取り付けられた減速機構保持部材50に図示しないネジ等で取付・固定されており、搬送モータ43の回転をキャプスタンローラ18の回転軸41に減速して伝達する。また、搬送モータ43としては、ステッピングモータが用いられ、図示しないネジ等でトラクションドライブ減速機構42に取付・固定されている。そして、この搬送モータ43に入力される駆動用パルス信号の数により記録紙11の搬送量(送り量)が決定され、入力される駆動用パルス信号の周波数により記録紙11の搬送速度が決定される。
【0022】
トラクションドライブ減速機構42は図3及び図4に示すように、大別して略筒状の筐体51と、筐体51内部に設けられた略筒状のリングローラ52と、リングローラ52と一体に形成され、キャプスタンローラ18の回転軸41に連結された出力軸(駆動軸)53と、リングローラ52内に取り付けられた4本の遊星ローラ55と、軸受け56を介して筐体51に回動自在に保持され、搬送モータ43の回転軸(図示せず)に連結された入力軸57と、筐体51内に封入されたトラクショングリス59とから構成される。なお、図3及び図4はトラクションドライブ減速機構の一例を示したものであり、本発明はここで挙げられたトラクションドライブ減速機構42に限定されるものではない。
【0023】
リングローラ52は、円板部52aと、この円板部52aの外周部から搬送モータ43側に延びた円筒部52bとから構成されている。この円板部52aの略中央部からは、上述の出力軸53がキャプスタンローラ18側に延びており、軸受け61を介して筐体51に回動自在に保持されている。
【0024】
各遊星ローラ55は、それぞれ筐体51に固定されたローラ軸62に回動自在に保持され、太陽ローラである入力軸57を囲むように等間隔で配置されている。また、各遊星ローラ55は、それぞれがリングローラ52の内周面と入力軸57の外周面とに接するように、その径の大きさ等が調整されている。そして、各遊星ローラ55をローラ軸62に取り付ける際には、例えば高温環境下でリングローラ52を膨張させ、遊星ローラ55を取り付けた後でリングローラ52を常温まで冷却して収縮させる所謂焼嵌めを行う。これにより、リングローラ52からの予圧で各遊星ローラ55と入力軸57とが互いに押圧されるため、両者の接触部にあるトラクショングリス59が瞬時にガラス状に固化される。この状態で、搬送モータ43により入力軸57が図3中反時計方向に回転されると、トラクショングリス59の固化によりせん断抵抗力が生じて、各遊星ローラ55はそれぞれ時計方向に回転される。
【0025】
また、各遊星ローラ55及びリングローラ52も互いに押圧されるため、両者間の接触部にあるトラクショングリス59も同様に固化される。従って、各遊星ローラ55が図3中時計方向に回転されるとリングローラ52も時計方向に回転される。これにより、出力軸53も同方向に回転されるため、搬送モータ43の回転がキャプスタンローラ18に減速して伝達される。このように、トラクションドライブ減速機構42には、ギヤやタイミングベルトが用いられていない。そのため、搬送モータ43の回転をキャプスタンローラ18の回転軸41に伝達する際に、周期的に出力軸53が振動したり、その回転速度が変動したりするおそれはない。その結果、減速機構に起因するキャプスタンローラ18の回転ムラの発生が防止される。
【0026】
図2に示すように、本実施形態ではキャプスタンローラ18の回転軸41と、トラクションドライブ減速機構42の出力軸53との軸ずれに起因するキャプスタンローラ18の回転ムラの発生を防止するため、回転軸41と出力軸53とを同一軸心上で連結して一体化する。具体的には、回転軸41の搬送モータ43側の端部に出力軸53が嵌合する軸挿入穴61を形成し、この軸挿入穴61に出力軸53を挿入する。これにより、キャプスタンローラ18は、その回転軸方向以外の移動が規制されるため、回転軸41を出力軸53に対してネジ62で固定(廻り止め)することで、回転軸41と出力軸53とが同一軸心上で連結され一体化される。
【0027】
この際に、従来では回転軸41の搬送モータ43側の端部も軸受けを介して側板49により保持されていたので、回転軸41及び出力軸53は3点で保持されていた。そのため、回転軸41と出力軸53とを同一軸心上で連結して一体化しても、キャプスタンローラ18やトラクションドライブ減速機構42の取付位置に取付誤差(組立誤差)が生じている場合には、両軸41,53の軸ずれをなくすことはできない。
【0028】
これに対して、本実施形態では回転軸41の搬送モータ43側の端部がトラクションドライブ減速機構42のみで保持されるように、側板49に回転軸41を通すための切り欠き63が形成されている。これにより、キャプスタンローラ18の回転軸41は、その一端部がトラクションドライブ減速機構42で保持され、その他端部が軸受け45を介して側板46で保持されている。つまり、キャプスタンローラ18がトラクションドライブ減速機構42と側板46とにより2点で記録紙11の搬送路上に保持される。その結果、回転軸41及び出力軸53は2点で保持されるため、キャプスタンローラ18やトラクションドライブ減速機構42の取付位置に取付誤差が生じていても、回転軸41(キャプスタンローラ18)及び出力軸53が記録紙11の搬送路に対して傾きは持つが、両軸41,53の軸ずれは発生しない。
【0029】
キャプスタンローラ18が記録紙11の搬送路に対して傾いていると、記録紙11が斜行するおそれがあるが、この記録紙11の斜行が100μmのオーダに収まっていれば、カラープリント(図示せず)の品質に影響は及ぼさない。これに対して、キャプスタンローラ18の回転ムラにより記録紙11の送り量が10μmのオーダでばらつくと、カラープリントに印画濃度ムラが発生してしまう。従って、回転軸41及び出力軸53を2点で保持することでキャプスタンローラ18が傾いたとしても、記録紙11の斜行が100μmのオーダに収まっていれば、カラープリントの品質に影響を及ぼすことなく印画濃度ムラの発生を防止することができる。
【0030】
以上のように本実施形態によれば、ギヤやタイミングベルトを用いないトラクションドライブ減速機構42を介して搬送モータ43の回転をキャプスタンローラ18に伝達するようにしたので、その出力軸53が周期的に振動したり、その回転速度が変動したりするのが防止される。また、キャプスタンローラ18の回転軸41とトラクションドライブ減速機構42の出力軸53とを同一軸心上で連結して一体化するとともに、キャプスタンローラ18をトラクションドライブ減速機構42と側板46との2点で保持するようにしたので、両軸41,53の軸ずれを無くすことができる。
【0031】
次に、本実施形態の作用について説明する。図1に示すようにプリント開始操作がなされると、図示しないモータの駆動により給紙ローラ13が回転される。これにより、記録紙ロール12から記録紙11が引き出される。
【0032】
記録紙ロール12から引き出された記録紙11が、搬送ローラ対17に挟持されると、搬送モータ43(図2参照)の駆動により搬送ローラ対17のキャプスタンローラ18が、図1中時計方向に回転される。これにより、記録紙11が記録紙ロール12から引き出されてA方向に搬送される。そして、記録紙11の記録エリア(図示せず)の後端がサーマルヘッド26を通過したら、退避位置にあるサーマルヘッド26を圧接位置に移動させ、その発熱素子アレイ26aを記録紙11の余白部(図示せず)に圧接させる。
【0033】
次いで、搬送モータ43を逆方向に回転させて記録紙11をB方向に搬送する。この搬送中に、記録紙11の記録エリアが発熱素子アレイ26aに到達したら、発熱素子アレイ26aを印画する画像データに基づき発熱させ、記録紙11のY感熱発色層を発色させる。こうして、記録紙11の記録エリア内にイエロー(Y)画像が1ラインずつ印画される。
【0034】
Y画像の印画が完了したら、圧接位置にあるサーマルヘッド26を退避位置に移動させるとともに、搬送ローラ対17により記録紙11をA方向に搬送すると同時に、光定着器28のY定着ランプ34を点灯させる。このY定着ランプ34は、記録紙11の記録エリア(図示せず)が光定着器28を通過した時に消灯される。これにより、Y画像が定着される。
【0035】
Y画像の定着が完了したら、搬送ローラ対17により記録紙11をB方向に搬送する。この搬送中に、Y画像印画時と同様にマゼンタ(M)画像が印画される。そして、再び搬送ローラ対17により記録紙11をA方向に搬送して、M定着ランプ27でM画像の定着を行う。そして、M画像の定着が完了したら、搬送ローラ対17により記録紙11をB方向に搬送して、この搬送中にY及びM画像印画時と同様にシアン(C)画像を印画する。
【0036】
C画像の印画が完了したら、搬送ローラ対17により記録紙11はA方向に向けて搬送される。そして、カッタ29により所定の位置で切り離されて、カラープリント(図示せず)が排紙口30から排出される。その後、記録紙11の先端が搬送ローラ対17の位置まで搬送されて、次の印画処理待機状態になる。そして、一定時間を経過しても次の印画が指示されない場合には、記録紙11を記録紙ロール12に巻き戻した後、プリンタ10の電源がオフされる。
【0037】
この際に、本実施形態では搬送モータ43の回転をキャプスタンローラ18に伝達する減速機構としてトラクションドライブ減速機構42を用いているので、キャプスタンローラ18の回転軸41に連結された出力軸53が周期的に振動したり、その回転速度が変動したりするおそれはない。その結果、減速機構に起因するキャプスタンローラ18の回転ムラの発生が防止される。また、回転軸41と出力軸53とを同一軸心上で連結して一体化し、さらに、トラクションドライブ減速機構42と側板46との2点でキャプスタンローラ18を保持するようにしたので、両軸41,53の軸ずれを無くすことができる(図2参照)。その結果、軸ずれに起因するキャプスタンローラ18の回転ムラの発生が防止される。これにより、カラープリントに印画濃度ムラが発生するのを防止することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、トラクションドライブ減速機構42の出力軸53の端部をキャプスタンローラ18の回転軸41の軸挿入穴61に挿入し、ネジ62で固定(廻り止め)することで、回転軸41と出力軸53とを同一軸心上で連結して一体化しているが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、図示は省略するが出力軸53の端部にDカット面を形成するとともに、軸挿入穴61をD字形状に形成して、両軸41,53を連結させるようにしてもよい。この場合には、ネジ62で廻り止めする必要がないので、装置の部品数を減らすことができる。また、出力軸53の端部にDカット面を形成し、軸挿入穴61をD字形状に形成する代わりに、出力軸53の端部及び軸挿入穴61を任意の多角柱形状に形成して、両軸41,53を連結させるようにしてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、印画時の記録紙11の送り方向をB方向としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、搬送ローラ対17がサーマルヘッド26のA方向下流側に配置されている場合には、印画時の記録紙11の送り方向をA方向としてもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、カラー感熱プリンタ10を例に説明したが、インクリボンを背後から加熱して溶融または昇華したインクを記録紙に転写して画像を印画する熱溶融型、昇華型の熱転写プリンタや、インクジェットプリンタ、レーザプリンタなどの主走査方向に1ラインずつ画像を印画するカラープリンタやモノクロプリンタなどの各種プリンタにも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を実施したカラー感熱プリンタの概略図である。
【図2】同プリンタの搬送ローラ対を搬送路下流側から見た断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う断面図であり、モータの駆動力を搬送ローラ対のキャプスタンローラに伝達するトラクションドライブ減速機構を示したものである。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 カラー感熱プリンタ
11 カラー感熱記録紙
17 搬送ローラ対
18 キャプスタンローラ
41 回転軸
42 トラクションドライブ減速機構
43 搬送モータ
53 出力軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラ及び従動ローラからなる搬送ローラ対により挟持搬送される記録材料に画像を記録するプリンタにおいて、
前記駆動ローラを回転するためのモータと、
前記モータの回転を減速して前記駆動ローラに伝達するためのトラクションドライブ減速機構と、
前記トラクションドライブ減速機構の出力軸と前記駆動ローラの回転軸の一端部とを同一軸心上で連結し、この連結状態を保持する連結部と、
前記駆動ローラの他端部と前記トラクションドライブ減速機構との2点保持により前記駆動ローラを搬送路に保持する駆動ローラ保持機構と有することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
駆動ローラ及び従動ローラからなる搬送ローラ対の前記駆動ローラにトラクションドライブ減速機構を介してモータの回転を伝達して、記録材料を挟持搬送し、この搬送に同期させて前記記録材料に記録ヘッドにより画像を記録するプリント方法において、
前記駆動ローラの回転軸の一端部と前記トラクションドライブ減速機構の出力軸とを各軸が同一軸心上に位置し且つこの状態を保持するように連結部材により連結し、
前記連結部材で連結された前記回転軸の他端部と、前記トラクションドライブ減速機構との2点保持により前記駆動ローラを搬送路に保持することを特徴とするプリント方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−199471(P2006−199471A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14733(P2005−14733)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】