説明

プリンタ

【課題】プリント用紙のローディング(用紙ロール装着後の紙通し)の際に、必要以上の長さの用紙を切断しないプリンタを提供する。
【解決手段】ローディングの際には、フィードローラ103とピンチローラ104の圧接を開放し、プリント用紙102の搬送に影響を及ばさないようにする。また、送りローラ105の周速度は最大巻径時の用紙ロール101の周速度より速くなるように設定する。上記状態において、搬送モータ(パルスモータ等)108を用紙ロール101が1周回転するパルス数だけ回転させる。これにより、用紙ロールから繰り出される用紙の長さは用紙径に関係なく、用紙ロール101の1周分となる。そして、用紙ロール101から1周分のプリント用紙を繰り出した後に、プリント用紙102を所定の位置でカットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント用紙がロール状に巻かれた用紙ロールを使用するプリンタに関し、特に、昇華型プリンタにおいて、プリント用紙のローディング(用紙ロール装着後の紙通し)の際に、必要以上の長さのプリント用紙を切断しないようにできる、プリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昇華プリンタは、染料または顔料が塗布されたインクリボンにサーマルヘッドを押し当て、サーマルヘッドの加熱により、インクリボンの染料または顔料を紙などの記録媒体に転写させ画像を形成するものであり、写真印刷の用途などで使用されている(特許文献1参照)。
【0003】
図7は、昇華型プリンタについて説明するための図である。昇華型プリンタにおいては、図7(a)に示すように、用紙ロール101から巻き出されたプリント用紙102とインクリボン30とを重ね合わせ、サーマルヘッド15とプラテンロール31との間を通すことによりプリントを行う。この場合、プラテンロール31によりプリント用紙102をサーマルヘッド15に適度に押圧することにより、インクリボン30のインクをプリント用紙102に転写するように構成されている。このインクリボン30には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3色のインク層(オーバーコート層を含む場合もある)が周期的に配置されている。また、プリント用紙102には、インクリボンのインクを定着させるために表面に受像層がコーティングされている。また、サーマルヘッド15は、図7(b)に示すように、形成する画像の1ライン分の発熱抵抗体R1〜Rnが主走査方向に配列されており、これらの発熱抵抗体R1〜Rnにパルス通電することにより、インクリボン30の染料または顔料がプリント用紙102に転写される。
【0004】
また、図8は、昇華型プリンタにおけるロール紙の送り機構の一例を示す図である。なお、図面の見易さのために、本発明に直接関係しないサーマルヘッドおよびインクリボンの送り機構部等は省略して示している。
【0005】
図8に示した機構例において、搬送モータ(パルスモータ等)108の回転は、プーリ109、ベルト110、およびプーリ111により、表面に突起部(プリント用紙を堅固に挟持するための突起)を有するフィードローラ103に伝達され、フィードローラ103を回転させる。フィードローラ103とピンチローラ104とはプリント用紙102を圧接して挟持するように構成されており、フィードローラ103を回転させることにより、プリント用紙102を用紙ロール101から引っ張り出すように構成されている。
【0006】
また、フィードローラ103の先には、送りローラ105と該送りローラに対向する送りピンチローラ106とが設けられ、フィードローラ103を通過したプリント用紙102は、送りローラ(ゴムローラ)105と送りピンチローラ106により挟持され用紙カッタ107の方に搬送される。なお、この送りローラ(ゴムローラ)105と送りピンチローラ106では、プリント用紙102をフィードローラ103から引っ張る(張力を与える)ためのものであり、フィードローラ103よりも周速度が速くなるように設定されており、プリント用紙102に対してスベリにより張力を与えるように構成されている。用紙カッタ107はプリント用紙102を所望のサイズにカットする。
【0007】
また、フィードローラ103の反対側(プーリ111とは反対側)には、ギヤ機構112が設けられ、該ギヤ機構112により用紙ロール101および送りローラ105をプリント用紙102の送り方向(矢印Aの方向)へ回転させるように構成されている。この場合に、用紙ロール101の回転速度(ロール紙の送り速度)は、プリント用紙102が弛むことのないように、フィードローラ103の周速よりも遅くなるように設定されている。すなわち、用紙ロール101から繰り出されるプリント用紙102は、フィードローラ103により常に引っ張られるようになっている。
【0008】
ところで、上記構成の昇華型プリンタにおいて、プリント用紙(ロール紙)102は表面に受像層がコーティングされており、人間が素手で触るとその油分によりプリント結果に汚れが発生してしまう。このため、用紙セット時(ローディング時)にはどうしてもプリント用紙の表面に手が触れてしまうため、用紙ロールの外径1周分のプリント用紙を印刷しないまま切断している。
【0009】
このプリント用紙を切断する際には、搬送モータ108を一定パルス数だけ回転させ、フィードローラ103により用紙ロール101からプリント用紙102を一定長さ引き出した後に、カッタ107によりプリント用紙102の汚れた部分を切断して、排除している。
【0010】
しかしながら、この方法では、用紙ロール101の用紙径の大小に関係なく、搬送モータ108を同じパルス数で駆動し搬送を行うため、用紙径大の時は1周分でも、用紙径小の時(例えば、用紙詰まりや、メンテナンス時にロール紙を再セットする時)は1周分以上の長さを切断する事になり、プリント用紙102を無駄に捨ててしまうことになる。これにより、用紙1巻でプリントできる枚数が減ってしまう。
【0011】
例えば、用紙径が大(例えばφ180)の時はφ180×π=565mmの用紙を切断する。用紙径が小(例えばφ90)の時、同じ565mmの用紙を切断すると、565÷(φ90×π)=2となり、2周分の用紙を切断してしまうことになる。
【特許文献1】特開2004−066654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、従来の用紙ロールを使用するプリンタでは、ローディングの際に、搬送モータを一定パルス数回転させた後に、カッタによりプリント用紙を切断している。このように、用紙径の大小に関係なく、同じパルス数で搬送を行うと、用紙径大の時は1周分でも、用紙径小の時は1周分以上の長さを切断する事になり、プリント用紙を無駄に捨ててしまうことになる。これにより、用紙1巻でプリントできる枚数が減ってしまうという問題があった。
【0013】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、プリント用紙のローディング時に用紙を最低限必要な長さだけ切断することにより、用紙ロールのロスを少なくし、印刷可能枚数への影響を少なくすることができ、また、このための専用部材を必要としない、プリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のプリンタは、プリント用紙がロール状に巻かれた用紙ロールを使用し、該用紙ロールからプリント用紙を引き出して画像をプリントすると共に、該画像がプリントされたプリント用紙の部分をカッタにより切断する機構を備えたプリンタであって、前記用紙ロールをプリンタ内にセットする際に、用紙ロールを1周だけ回転させるようにして、該用紙ロールから1周分のプリント用紙を繰り出すための搬送モータ制御手段と、前記用紙ロールの1周分のプリント用紙の繰り出し後に、該プリント用紙を所定の位置で切断するためのカッタ制御手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成により、プリント用紙のローディング(用紙ロール装着後の紙通し)の際に、用紙ロールを1周だけ回転させる。これにより、用紙ロールから繰り出される用紙の長さは、用紙径に関係なく、用紙ロールの1周分となる。そして、用紙ロールから1周分のプリント用紙を繰り出した後に、プリント用紙を所定の位置でカットする。
これにより、用紙ローディング時に最低限必要な長さだけの用紙を切断するようにでき、用紙ロールのロスを少なくし、印刷可能枚数への影響を少なくできる。
【0015】
また、本発明のプリンタは、プリント用紙がロール状に巻かれた用紙ロールを使用し、搬送モータにより回転駆動されるフィードローラと該フィードローラに対向するピンチローラとにより前記プリント用紙を圧接して挟持し、該フィードローラの回転により用紙ロールからプリント用紙を引き出して搬送するとともに、前記フィードローラを通過したプリント用紙を送りローラによりカッタに向けて搬送するように構成されたプリンタにおいて、前記用紙ロールをプリンタ内にセットし、プリント用紙を搬送路にローディングする際に、前記フィードローラとピンチローラとの圧接状態を解除し、該フィードローラがプリント用紙に対して張力を与えないようにする圧接解除手段と、前記搬送モータにより前記用紙ロールと前記送りローラとを同時に回転させるための用紙ロール・送りローラ同時駆動手段と、前記搬送モータにより前記用紙ロールを1周だけ回転させ、前記用紙ロールから1周分のプリント用紙を繰り出させる搬送モータ制御手段と、前記搬送モータにより駆動される送りローラの周速度を前記用紙ロールの周速度より速くなるように設定し、該送りローラと該送りローラに対向する送りピンチローラとにより前記プリント用紙をスベリ可能に挟持し、前記用紙ロールから繰り出されるプリント用紙に対して張力を付与する張力付与手段と、前記用紙ロールから1周分のプリント用紙を繰り出した後に、該プリント用紙を搬送路内の所定の位置で切断するカッタ制御手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成により、プリント用紙のローディング(用紙ロール装着後の紙通し)の際に、フィードローラとピンチローラの圧接を開放し、プリント用紙の搬送に影響を及ばさないようにする。また、送りローラの周速度は最大巻径時の用紙ロールの周速度よりも速くなるように設定すると共に、プリント用紙に対してスベリにより張力を与えるようにする。上記状態において、搬送モータ(パルスモータ等)を用紙ロールが1周回転するパルス数だけ回転させる。これにより、用紙ロールから繰り出される用紙の長さは、用紙径に関係なく、用紙ロールの1周分となる。そして、用紙ロールから1周分のプリント用紙を繰り出した後に、プリント用紙を所定の位置でカットする。
これにより、用紙ローディング時に最低限必要な長さだけの用紙を切断するようにでき、用紙ロールのロスを少なくし、印刷可能枚数への影響を少なくすることができる。また、このための専用部材を必要としないため、コストアップなしで本効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明のプリンタは、前記用紙ロールのロール紙の残量を検出するための用紙残量検出手段と、前記ロール紙の残量と該用紙残量に対応する用紙ロールの1周分の搬送モータの駆動量の情報とを記録した対応テーブルと、前記対応テーブルを参照し、前記搬送モータにより前記用紙ロールを1周だけ回転させるように駆動する搬送モータ制御手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成により、用紙ロールのロール紙の残量の検出手段と、ロール紙の残量と、該用紙残量に対応する用紙ロールの1周分の搬送モータの駆動量の情報とを記録した対応テーブルを設ける。そして、ローディングの際に、用紙残量に応じて搬送モータを駆動し、用紙ロールが1周回転するだけ搬送モータを回転させる。これにより、用紙ロールから繰り出される用紙の長さは、用紙径に関係なく、用紙ロールの1周分となる。そして、用紙ロールから1周分のプリント用紙を繰り出した後に、プリント用紙を所定の位置でカットする。
これにより、用紙ローディング時に最低限必要な長さだけの用紙を切断するようにでき、用紙ロールのロスを少なくし、印刷可能枚数への影響を少なくすることができる。
【0017】
また、本発明のプリンタは、前記プリンタが、インクリボンを用紙に押し当て、該インクリボンに対してサーマルヘッドにより熱を加えることによってインクをプリント用紙に転写し印刷を行う昇華型プリンタであることを特徴とする。
これにより、昇華型プリンタにおいて、用紙ローディング時に最低限必要な長さだけの用紙を切断するようにでき、用紙ロールのロスを少なくし、印刷可能枚数への影響を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のプリンタにおいては、用紙ローディング時に最低限必要な長さだけ用紙を切断するようにできるので、用紙ロールのロスを少なくし、印刷可能枚数への影響を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
最初に、本発明のプリンタの第1の実施の形態について説明する。この第1の実施の形態では、用紙ロール101におけるロール紙の残量(巻径等)を検出することなく、用紙ロールの1周分のプリント用紙を切断することができるプリンタの例を示したものである。
【0021】
図1は、本発明のプリンタの第1の実施の形態におけるプリント用紙のローディング制御について説明するための図である。なお、本明細書におけるローディングとは、プリンタ内でのプリント用紙(ロール紙)のパスライン(搬送路)を形成すると共に、用紙ロールの外表面の汚れた部分を引き出し切断し、排除することを言う。
【0022】
図1(a)に示すプリンタ機構において、搬送モータ(パルスモータ等)108の回転は、プーリ109、ベルト110、およびプーリ111により伝達され、フィードローラ103を回転させる。フィードローラ103とピンチローラ104とはプリント用紙102を圧接して挟持するように構成されており、フィードローラ103を回転させることにより、プリント用紙102を用紙ロール101から引っ張り出すように構成されている。また、フィードローラ103の回転は、ギヤ機構112を介し、用紙ロール101と送りローラ105とを回転させる。なお、ギヤ機構112は、前述の用紙ロール・送りローラ同時駆動手段として機能する。
【0023】
ローディングの際には、フィードローラ103とピンチローラ104の圧接を開放し、プリント用紙102の搬送に影響を及ばせないようにする。例えば、図示しない圧接機構(電気的または機械的な方法を用いた機構)を解除することにより、ピンチローラ104を矢印Aの方向(ピンチローラ104aの位置の方向)に緩める。
【0024】
図1(a)では、フィードローラ103からピンチローラ104を緩めることを明示するため、緩めた後のピンチローラ104の位置をピンチローラ104aとして明確に離れた位置に移動した状態で示しているが、実際には、ピンチローラ104は、フィードローラ103への圧接が解除され、プリント用紙102がフィードローラ103上をスベル状態になればよい。
【0025】
また、送りローラ105の周速度は、最大巻径時の用紙ロール101の周速度より速くなるように設定されている。例えば、送りローラ105の周速度は、送りローラ105の周速度を1とした場合、用紙ローラの周速度を用紙径大で0.9、用紙径小で0.45などとする。また、送りローラ105に対向する送りピンチローラ106に対し、スプリング等により弱い荷重を掛ける。なお、送りローラ105と送りピンチローラ106は、前述の張力付与手段として機能する。
【0026】
上記構成において、搬送モータ(パルスモータ等)108を用紙ロール101が1周回転するパルス数だけ回転させる。これにより、用紙ロールから繰り出される用紙の長さは用紙径に関係なく、用紙ロール101の1周分となる。
【0027】
送りローラ105には、送りピンチローラ106により弱い荷重が掛けられており、また、送りローラ105の周速度は用紙ロール101の周速度よりも速いため、プリント用紙102は常に送りローラ105との間でスリップしながら搬送される。このため、送りローラ105と用紙ロール101との間で用紙に弛みが発生することなく、用紙ロール101から繰り出された1周分のプリント用紙102を搬送する事が可能となる。そして、図1(b)に示すように、用紙ロール101から1周分のプリント用紙を繰り出した後に、プリント用紙102を所定の位置で、1回、又は複数回に分けてカッタ107により切断する。
【0028】
また、図2は、本発明によるプリンタの第1の実施の形態のシステム構成例を示す図である。なお、図2に示すシステム構成図においては、プリンタの画像処理に関係する部分と、本発明に直接関係する部分だけを示している。
【0029】
図2に示すプリンタ1において、10は、CPU等を含み、プリンタの各部を制御するプリンタ制御部である。11は、外部のホスト(ホストコンピュータ)2等からプリント対象となる画像をYMC(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C))等の画像データにより受信し一時保存するイメージバッファである。
【0030】
12は、ホスト2から送信された画像データをプリントするために必要な処理を行うプリント画像処理部である。プリント画像処理部12中のプリント用画像データ生成部13は、ホスト2から受信したYMC入力画像データを、インクリボンのインク色に対応したプリント用画像データに変換するための処理部である。
【0031】
14は、サーマルヘッド15内の発熱抵抗体16に対し、階調(濃度)に応じた通電パルスパターンにより、パルス通電を行う通電パルス発生部である。15は、プリントするドットごとに発熱抵抗体が配列されたサーマルヘッドである。16は、各ドットに対応する発熱抵抗体である。
【0032】
プリンタ制御部10内のローディング制御部21は、プリント用紙をローディングする際に、用紙ロールの外表面の汚れた部分を引き出して切断し、排除する処理を行うための制御部である。このローディング制御は、ローディング制御部21を中心にして、用紙ロール検出部22、搬送モータ制御部23、およびカッタ制御部24の協同動作により行われる。
【0033】
用紙ロール検出部22は、用紙ロール101がプリンタ内にセット(装着)されていることを確認するための処理部であり、この用紙ロール101の検出は、図示しないフォトセンサ等により行われる。
搬送モータ制御部23は、プリント用紙102のローディング制御時に、搬送モータ(パルスモータ等)108を一定パルス数(用紙ロール1回転分)だけ駆動する処理を行う。
カッタ制御部24は、ローディング制御時に、搬送モータ(パルスモータ等)108が一定パルス数(用紙ロール1回転分)だけ駆動されたことを確認した後に、プリント用紙102のカットを行うようにカッタ107を制御する処理を行う。
【0034】
また、図3は、ローディング制御の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図3を参照して、その処理の流れについて説明する。
最初に、用紙ロール101をプリンタ内にセットした後に、手動より、プリント用紙102を用紙ロール101から引き出し、フィードローラ103とピンチローラ104との間を通し、さらにプリント用紙102の先端部を送りローラ105と送りピンチローラ106との間で挟持させる。それから、ローディング処理の開始をプリンタに指示する。例えば、図示しない押しボタン等により指示する。
【0035】
ローディング処理の開始指示を受けたプリンタでは、プリンタ内の用紙ロール101がセットされているかどうかを確認する(ステップS101)。プリンタ内の用紙ロール101がセットされていることが確認されなかった場合は(ステップS101:NO)、処理を終了する。
【0036】
プリンタ内の用紙ロール101がセットされていることが確認された場合は(ステップS101:YES)、搬送モータ制御部23により、搬送モータを所定パルス数(用紙ロールが1回転するパルス数)だけ回転させる(ステップS102)。
【0037】
その後に、カッタ制御部24によりカッタ107を駆動し、用紙ロール101から引き出されたプリント用紙(ロール紙)102を切断する(ステップS103)。
【0038】
以上の処理により、用紙ロールの残量に関わらず、用紙ロール101の1回転分のプリント用紙を繰り出して切断することができる。
【0039】
これにより、プリント用紙のローディング時に最低限必要な長さの用紙を切断することによりロスを少なくし、印刷可能枚数への影響を少なくすることが可能となる。また、このための専用部材を必要としないため、コストアップなしで本効果を得ることができる。
【0040】
[第2の実施の形態]
上述した第1の実施の形態では、用紙ロール101におけるロール紙の残量(巻径等)を検出することなく、用紙ロールの1回転分のプリント用紙を繰り出して切断することができるプリンタの例を示したものであるが、用紙ロールの残量を検出してローディング処理を行うこともできる。
【0041】
本発明の第2の実施の形態として、用紙ロールの残量を検出してローディング処理を行う例について説明する。
図4は、本発明によるプリンタの第2の実施の形態のシステム構成例を示す図である。なお、図4に示すシステム構成図においては、プリンタの画像処理に関係する部分と、本発明に直接関係する部分だけを示している。
【0042】
図4に示すプリンタ1Aは、図2に示すプリンタ1と比較して、用紙残量検出部(または巻径検出部)25と、用紙残量・駆動パルス数対応テーブル26とが新たに追加され、また、用紙ロール101の回転軸101aにセンサプレート120と、該センサプレート120上のスリット120aを検出するセンサ121とが新たに追加されている。他の部分は、図2において同じ符号で示されるものと同様である。
【0043】
プリンタ制御部10内のローディング制御部21は、プリント用紙(ロール紙)をローディングする際に、用紙ロールの外表面の汚れた部分を引き出し切断し、排除する処理を行うための制御部である。このローディング制御は、ローディング制御部21を中心にして、用紙ロール検出部22、搬送モータ制御部23、カッタ制御部24、用紙残量検出部25、および用紙残量・駆動パルス数対応テーブル26の協同動作によりにより行われる。
【0044】
用紙ロール検出部22は、用紙ロール101がプリンタ内にセット(装着)されていることを確認するための処理部であり、この用紙ロール101の検出は、図示しないフォトセンサ等により行われる。
搬送モータ制御部23は、プリント用紙(ロール紙)102のローディング制御時に、搬送モータ(パルスモータ等)108を一定パルス数(用紙ロール1回転分)だけ駆動する処理を行う。
カッタ制御部24は、ローディング制御時に、搬送モータ(パルスモータ等)108が一定パルス数(用紙ロールの1回転分のパルス数)だけ駆動されたことを確認した後に、プリント用紙102のカットを行うようにカッタ107を制御する処理を行う。
【0045】
用紙残量検出部(または巻径検出部)25は、用紙ロール101に巻きつけられているロール紙の残量を検出する。この用紙ロールの残量検出方法としては、例えば、用紙ロール101の回転軸101aに、周辺部にスリットが配列されたセンサプレート120を取り付け、また該センサプレート120上のスリット120aを検出するセンサ121を設ける。そして、センサプレート120上のスリット120aをセンサ121により検出することにより、用紙ロール101の回転速度Vnを検出する。そして、搬送モータ108の回転速度Vp(通常プリント時のプリント用紙102の送り速度は、この回転速度Vpに比例する)を検出する。これにより、「用紙ロール径R∝Vp/Vn」の関係から、用紙ロール径Rを求め、この用紙ロール径Rと、用紙ロール101の巻取り軸径を基に、用紙残量を求めることができる。また、この用紙残量を基に搬送モータ(パルスモータ)108の駆動パルス数を決定することができる。
【0046】
用紙残量・駆動パルス数対応テーブル26は、図6に示すようなものである。このテーブル26には、用紙残量(または巻径)と、該残量に対応する搬送モータ108の駆動パルス数とが記録されている。図6に示す例では、用紙残量が100%のときに搬送モータを200パルス分回転させることにより、用紙ロール101が1回転する。また、用紙残量が99%のときに搬送モータを198パルス分回転させることにより、用紙ロール101が1回転する。
【0047】
ローディング制御部21では、ローディング制御の際に、用紙残量検出部25から用紙残量(または巻径)の情報を取得し、用紙残量・駆動パルス数対応テーブル26を参照することにより、搬送モータ108の駆動パルス数を決定する。
【0048】
また、図5は、第2の実施の形態におけるローディング制御の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図5を参照して、その処理の流れについて説明する。
最初に、用紙ロール101をプリンタ内にセットした後に、手動より、プリント用紙102を用紙ロール101から引き出し、フィードローラ103とピンチローラ104との間を通し、さらにプリント用紙102の先端部を送りローラ105と送りピンチローラ106との間で挟持させる。それから、ローディング処理の開始をプリンタに指示する。例えば、図示しない押しボタン等により指示する。
【0049】
ローディング処理の開始指示を受けたプリンタ内のローディング制御部21では、プリンタ内に用紙ロール101がセットされているかどうかを判定する(ステップS201)。プリンタ内に用紙ロール101がセットされていないと判定された場合は(ステップS201:NO)、処理を終了する。
【0050】
プリンタ内の用紙ロール101がセットされていると判定された場合は(ステップS201:YES)、用紙残量検出部25から用紙ロール101の残量の情報を取得する(ステップS202)。また、用紙残量・駆動パルス数対応テーブル26を参照し、用紙ロール101の残量に対応する搬送モータ108の駆動パルス数の情報を読み出す(ステップS203)。そして、搬送モータ制御部23により、搬送モータ108を、用紙残量・駆動パルス数対応テーブル26から読み出したパルス数だけ回転させる(ステップS204)。
【0051】
その後に、カッタ制御部24によりカッタ107を駆動し、用紙ロール101から繰り出されたプリント用紙102を切断する(ステップS205)。
【0052】
以上の処理により、用紙ロールの残量に関わらず、用紙ロール101の1回転分のプリント用紙を繰り出して切断することができる。これにより、プリント用紙のローディング時に最低限必要な長さを切断することによりロスを少なくし、印刷可能枚数への影響を少なくすることが可能となる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のプリンタは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のプリンタの第1の実施の形態におけるプリント用紙のローディング制御について説明するための図である。
【図2】本発明によるプリンタの第1の実施の形態のシステム構成例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態におけるローディング制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明によるプリンタの第2の実施の形態のシステム構成例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態におけるローディング制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】用紙残量・駆動パルス数対応テーブルの例を示す図である。
【図7】昇華型プリンタについて説明するための図である。
【図8】昇華型プリンタにおけるロール紙の送り機構の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1、1A・・・プリンタ、2・・・ホスト、10・・・プリンタ制御部、11・・・イメージバッファ、12・・・プリント画像処理部、13・・・プリント用画像データ生成部、14・・・通電パルス発生部、15・・・サーマルヘッド、16・・・発熱抵抗体、21・・・ローディング制御部、22・・・用紙ロール検出部、23・・・搬送モータ制御部、24・・・カッタ制御部、25・・・用紙残量検出部、26・・・用紙残量・駆動パルス数対応テーブル、30・・・インクリボン、31・・・プラテンロール、101・・・用紙ロール、101a・・・回転軸、102・・・プリント用紙、103・・・フィードローラ、104・・・ピンチローラ、104a・・・ピンチローラ、105・・・送りローラ、106・・・送りピンチローラ、107・・・カッタ、108・・・搬送モータ、109・・・プーリ、110・・・ベルト、111・・・プーリ、112・・・ギヤ機構、120・・・センサプレート、120a・・・スリット、121・・・センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント用紙がロール状に巻かれた用紙ロールを使用し、該用紙ロールからプリント用紙を引き出して画像をプリントすると共に、該画像がプリントされたプリント用紙の部分をカッタにより切断する機構を備えたプリンタであって、
前記用紙ロールをプリンタ内にセットする際に、用紙ロールを1周だけ回転させるようにして、該用紙ロールから1周分のプリント用紙を繰り出すための搬送モータ制御手段と、
前記用紙ロールの1周分のプリント用紙の繰り出し後に、該プリント用紙を所定の位置で切断するためのカッタ制御手段と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
プリント用紙がロール状に巻かれた用紙ロールを使用し、搬送モータにより回転駆動されるフィードローラと該フィードローラに対向するピンチローラとにより前記プリント用紙を圧接して挟持し、該フィードローラの回転により用紙ロールからプリント用紙を引き出して搬送するとともに、前記フィードローラを通過したプリント用紙を送りローラによりカッタに向けて搬送するように構成されたプリンタにおいて、
前記用紙ロールをプリンタ内にセットし、プリント用紙を搬送路にローディングする際に、
前記フィードローラとピンチローラとの圧接状態を解除し、該フィードローラがプリント用紙に対して張力を与えないようにする圧接解除手段と、
前記搬送モータにより前記用紙ロールと前記送りローラとを同時に回転させるための用紙ロール・送りローラ同時駆動手段と、
前記搬送モータにより前記用紙ロールを1周だけ回転させ、前記用紙ロールから1周分のプリント用紙を繰り出させる搬送モータ制御手段と、
前記搬送モータにより駆動される送りローラの周速度を前記用紙ロールの周速度より速くなるように設定し、該送りローラと該送りローラに対向する送りピンチローラとにより前記プリント用紙をスベリ可能に挟持し、前記用紙ロールから繰り出されるプリント用紙に対して張力を付与する張力付与手段と、
前記用紙ロールから1周分のプリント用紙を繰り出した後に、該プリント用紙を搬送路内の所定の位置で切断するカッタ制御手段と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
前記用紙ロールのロール紙の残量を検出するための用紙残量検出手段と、
前記ロール紙の残量と該用紙残量に対応する用紙ロールの1周分の搬送モータの駆動量の情報とを記録した対応テーブルと、
前記対応テーブルを参照し、前記搬送モータにより前記用紙ロールを1周だけ回転させるように駆動する搬送モータ制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記プリンタが、インクリボンを用紙に押し当て、該インクリボンに対してサーマルヘッドにより熱を加えることによってインクをプリント用紙に転写し印刷を行う昇華型プリンタであること
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−30307(P2008−30307A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206488(P2006−206488)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000002059)神鋼電機株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】