説明

プリンタ

【課題】パーツの在庫の種類を低減することができる、タイミングプーリの在庫管理が容易にすることができる、仕様変更によりパーツを交換することがないプリンタを提供する。
【解決手段】印字部と、印字用紙を搬送するプラテンローラと、を備え、このプラテンローラは、軸芯と、この軸芯に固着されたゴムローラ部と、軸芯に遊嵌自在に設けられた遊嵌部14を形成したタイミングプーリ9と、このタイミングプーリ9を回転駆動させて軸芯を回転駆動させるモータと、を有し、遊嵌部14に嵌合する間隙プレートを着脱可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字用紙を搬送しながら印字するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタは、用紙供給部、印字部と、駆動部とを有し、用紙供給部には、長尺状の用紙をロール状にしたロール状用紙を後述する印字部に向けて繰り出し可能に設けている。
印字部には、プラテンローラとサーマルヘッドとを配置されている。
プラテンローラは、プラテン軸と、ゴムローラと、タイミングプーリとから構成されている。ゴムローラは円柱状に形成され、プラテン軸に沿って固着されている。
また、タイミングプーリは、プラテン軸の端部に固着されプラテン軸と同期して回転可能に設けている。
また、サーマルヘッドはプラテンローラのゴムローラに接離自在に設けられ、用紙に印字する時に、プラテンローラとサーマルヘッドとが用紙を挟んで用紙に印字することができ、用紙交換時などの時には、ゴムローラからサーマルヘッドを退避することができる。
【0003】
駆動部は、ステッピングモータが配置されている。
ステッピングモータには、モータ軸、モータプーリが設けられ、モータプーリとタイミングプーリとの間にはタイミングベルトが張架されている。
【0004】
このように構成したプリンタは、ステッピングモータの駆動により、同期してプラテンローラを回転駆動することができ、サーマルヘッドとプラテンローラとが用紙を挟んだ状態で用紙を搬送しながら印字することができる。
【0005】
しかし、モータの起動するタイミングにおいて、モータの起動と同時にローラを同期回転することにより、用紙の搬送に不都合が生じる場合があり、このような時には、モータの起動からやや遅れてローラを駆動するようにしたタイミングプーリがある。
このタイミングプーリは、プラテン軸にDカットを形成した部分に設けられ、プラテン軸のDカット部分に対して僅かにガタを形成したタイミングプーリにカット部を設け、モータの初期起動時に僅かにローラを駆動させないようにした構造あがる。
【0006】
しかしながらタイミングプーリには、軸孔の形状により種類が多くあり、仕様の変更などでタイミングプーリを交換する際に、作業者は、全ての種類のタイミングプーリを持参しなければならない問題がある。
また全ての種類のタイミングプーリを在庫しなければならないので、タイミングプーリの種類が多く在庫管理の管理業務が増大する問題がある。
また、タイミングプーリを交換する際に、適合するタイミングプーリがない場合には、交換できない問題がある。
【0007】
特許文献1には、ピックアップローラと、軸との嵌合部にガタ(クリアランス)を設定したシート送給装置が開示されてある。
【0008】
【特許文献1】特開平06−329283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、タイミングプーリの在庫の種類を低減することができるプリンタを提供することを課題とする。
また、タイミングプーリの在庫管理が容易にすることができるプリンタを提供することを課題とする。
また仕様変更により、タイミングプーリを交換することがないプリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、タイミングプーリの貫通孔に着目したもので、請求項1記載の発明の要旨は、印字部と、印字用紙を搬送する搬送手段と、を備え、この搬送手段は、軸芯と、この軸芯に固着されたゴムローラ部と、遊嵌部を形成し、前記軸芯に遊嵌自在に設けられた連動手段と、この連動手段を回転駆動させて前記軸芯を回転駆動させる駆動手段と、を有し、前記遊嵌部に嵌合する固定手段を着脱可能に設けたことを特徴とするプリンタにある。
また請求項2記載の発明の要旨は、タイミングプーリからなる前記連動部と、ステッピングモータからなる前記駆動手段と、を備えてあることを特徴とする請求項1記載のプリンタにある。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記固定手段は、前記遊嵌部に嵌合する嵌合部と、操作部とから構成されることを特徴とする請求項1記載のプリンタにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプリンタは、仕様変更によりパーツを交換することがないので、メンテナンス時間を短縮することができる。また固定部材を着脱可能にすることができるので、作業性が向上する。
さらに、複数種類のタイミングプーリをメンテナンスする作業者が持参することがないのでパーツの管理が容易になる。また、複数の種類のタイミングプールの管在庫管をすることがないので在庫管理を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図1および図4に基づいて説明する。
図1は本発明のプリンタの操作面側からの概略構成を示した正面図であり、図2は本発明の背面側からの概略構成を示した背面図であり、図3はタイミングプーリの要部拡大図であり、図4(a)は間隙プレートをタイミングプーリに差込む側からの説明図であり、(b)は間隙プレートの側面図である。
【0013】
プリンタ1には主に、用紙供給部2、ピッチ検出部3、印字部4と、制御部(図示せず)が設けられている。
用紙供給部2は、ロール状の印字用紙Pを回転可能に保持する用紙供給軸5が設けられ、後述する印字部4に繰り出しすることができる。
案内ローラ18は、案内軸18aと、円柱状のゴムローラ18bから構成され、印字用紙Pを後述する印字部4に向けて案内することができ、ピッチ検出部3は、移送される印字用紙Pの下方に位置して、印字用紙Pの裏面側(印字面とは反対の面)に所定の間隔で形成された短形状の黒色マークを検出する反射型検出センサーが設けられている。
【0014】
印字部4は、搬送機構(搬送手段)6とサーマルヘッド7が配置されている。
搬送機構6は、プラテンローラ8と、タイミングプーリ(連動部)9と、ステッピングモータ10(駆動手段)と、から構成されている。
プラテンローラ8は、プラテン軸(軸芯)8aと、プラテン軸8aに固着された円柱状のゴムローラ8bと、から構成されている。プラテン軸8aは、プラテン軸8a方向にゴムローラ8bより突出するように形成してあり、プラテン軸8aの一方端部に、図示しない支持プレートに回転可能に支持され、他方端部に、タイミングプーリ9が設けられ、タイミングプーリ9とプラテン軸8aとは、印字中において同期回転することが可能である。
【0015】
また、タイミングプーリ9を設けた側のプラテン軸8aの端部には、Dカット部8cが形成されている。
また、ステッピングモータ10のモータ軸10aには、モータプーリ10bが設けられ、ステッピングモータ10が駆動することにより、モータ軸10aが回転するとともに、モータプーリ10bがモータ軸10aと同期回転するようにしてある。
尚、モータプーリ10bの円周面は、凹凸状に形成され、タイミングベルト11に形成した凹凸面に嵌合するようにしてある。
また、タイミングプーリ9と、ステッピングモータ10のモータプーリ10bとの間にタイミングベルト11張架され、ステッピングモータ10が駆動することにより、タイミングプーリ9が回転駆動することができる。
【0016】
タイミングプーリ9の円周面は、凹凸状に形成され、タイミングベルト11に形成した凹凸面に嵌合するようにしてある。またタイミングベルト11が外れないように図示しないが鍔部が円周面に沿って設けられている。
円形のタイミングプーリ9の中心には、プラテン軸8aのDカット部8cを遊嵌自在に支持する貫通窓12が形成されている。
尚、プラテンローラ8、サーマルヘッド7、案内ローラ18、用紙供給軸5、ステッピングモータ10などは、プリンタ1の側壁1aに設けられている
【0017】
貫通窓12には、プラテン軸8aを原点位置とする原点領域13と、プラテン軸8aをタイミングプーリ9に対して僅かに回動可能にしたクリアランス領域(遊嵌部)14とを形成されている。
Dカット8cしたプラテン軸8aが始動する直前には、プラテン軸8aのDカット部8cは原点領域13に位置し、ステッピングモータ10が始動すると、クリアランス領域14により、僅かにタイミングプーリ9が回転した後に、タイミングプーリ9とプラテン軸8aが同期回転することができる。
【0018】
クリアランス領域14は、半円に形成された原点領域13の何れか一方に僅かに円弧状に延長してカットした略三角形状のカット部分(空間)を形成することができる。
尚、原点領域13と、クリアランス領域14とは、一体的な貫通窓12として形成することができる。
【0019】
クリアランス領域14には、クリアランス領域14と嵌合する間隙プレート15を着脱可能に設けることができる。
間隙プレート15は、金属性などの硬質部材から構成することができる。
また間隙プレート15は、略L字状の形状を有し、クリアランス領域14に嵌合する嵌合部16と、操作部17とを形成することができる。
【0020】
嵌合部16は、一辺が円弧状の形状を有した略三角形の形状から構成され、クリアランス領域14とほぼ同一の形状とすることができる。
また操作部17は、手操作で嵌合部16をクリアランス領域14に嵌挿することができるように操作することができる。
クリアランス領域14に設けた間隙プレート15は、Dカット部8cにEリング(図示せず)を固定して、間隙プレート15の抜けを防止することができる。
間隙プレート15を外す時は、Dカット部8cからEリングを外してから容易に間隙プレート15を外すことができる。
【0021】
サーマルヘッド7は、プラテンローラ8に対し接離自在に設けることができる。
また、サーマルヘッド7とプラテンローラ8により印字用紙Pを挟持してプラテンローラ8が回転駆動することにより、サーマルヘッド7の発熱体(図示せず)が選択的に発熱して印字用紙Pに印字することができる。
尚、本実施の形態の印字用紙Pは、感熱発色層を設けたサーマル紙で説明する。
【0022】
このように構成したプリンタ1の搬送機構6について、最初に間隙プレート15をクリアランス領域14に嵌合した例で説明する。
プリンタ1の制御部(図示せず)からの印字指令に基づいて、ステッピングモータ10が始動し、ステッピングモータ10の駆動に伴ってタイミングベルト11を介してタイミングプーリ9が回転駆動することができる。
【0023】
タイミングプーリ9が回転駆動することにより、プラテン軸8aが同期駆動してプラテンローラ8がステッピングモータ10の駆動と同期回転することができる。
プラテンローラ8が回転することにより、用紙供給軸5から繰り出された印字用紙Pが案内ローラ18を介して印字部4に移送され、サーマルヘッド7の発熱体(図示せず)が選択的に発熱して印字用紙Pに印字することができる。
【0024】
次に、間隙プレート15をクリアランス領域14から外した場合には、プリンタ1の制御部(図示せず)からの印字指令に基づいて、ステッピングモータ10が始動し、ステッピングモータ10の始動に伴ってタイミングベルト11を介してタイミングプーリ9が回転駆動するが、クリアランス領域14により、タイミングプーリ9のみが最初に僅かに回転始動した後、プラテン軸8aが回転することができる。
プラテン軸8aの回転により、プラテンローラ8が回転することにより、印字用紙Pを移送しながらサーマルヘッド7の発熱体(図示せず)が選択的に発熱して印字用紙Pに印字することができる。
【0025】
プリンタに設けられるタイミングプーリ9は、本実施のような貫通窓12を形成したものの他に、貫通窓12がDカットの形状を形成したタイミングプーリ(図示せず)の何れかのタイミングプーリが使用されている。そして、仕様の変更により、クリアランス領域を形成したタイミングプーリ9あるいはDカットの形状を形成したタイミングプーリの何れかを交換しなければならない場合には、本実施のタイミングプーリ9に間隙プレート15をクリアランス領域に着脱可能に設けることにより何れの仕様にも対応することができるので、メンテナンス時間を短縮することができるとともに、作業性が向上する。
【0026】
また、複数種類のタイミングプーリをメンテナンスする作業者が持参することがないので管理が容易になる。さらに、複数の種類のタイミングプーリの管在庫管をすることがないので在庫管理を軽減することができる。
【0027】
この実施の形態では、プラテンローラのプラテン軸に設けたタイミングプーリにクリアランス領域を設けた例で示したが、印字用紙を案内するローラや紙媒体・フィルムなど搬送あるいは案内などのローラの軸に設けたタイミングプーリにクリアランス領域ことができる。
【0028】
この実施の形態では、各構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施するうえで好適な数、位置、形状等にすることができる。本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のプリンタの操作面側からの概略構成を示した正面図である。
【図2】同上、プリンタの背面側からの概略構成を示した背面図である。
【図3】同上、タイミングプーリの要部拡大図である。
【図4】同上、(a)は間隙プレートを差込む側からの説明図であり。(b)は間隙プレートの側面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 プリンタ
2 用紙供給部
3 ピッチ検出部
4 印字部
6 搬送機構
7 サーマルヘッド
8 プラテンローラ
8a プラテン軸(軸芯)
8b ゴムローラ(ゴムローラ部)
8c Dカット部
9 タイミングプーリ(連動手段)
10 ステッピングモータ(駆動手段)
11 タイミングベルト
12 貫通窓
13 原点領域
14 クリアランス領域(遊嵌部)
15 間隙プレート(固定手段)
16 嵌合部
17 操作部
P 印字用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字部と、印字用紙を搬送する搬送手段と、を備え、
この搬送手段は、
軸芯と、
この軸芯に固着されたゴムローラ部と、
遊嵌部を形成し、前記軸芯に遊嵌自在に設けられた連動手段と、
この連動手段を回転駆動させて前記軸芯を回転駆動させる駆動手段と、を有し、
前記遊嵌部に嵌合する固定手段を着脱可能に設けたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
タイミングプーリからなる前記連動部と、ステッピングモータからなる前記駆動手段と、を備えてあることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記固定手段は、前記遊嵌部に嵌合する嵌合部と、操作部とから構成されることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−154356(P2009−154356A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333885(P2007−333885)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】