説明

プリンタ

【課題】 駆動モータが逆転するバックフィード時に搬送ローラの周速がプラテンローラの周速よりもやや速くなるようにし、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまう事態を防止し、印字を確実に行うことができるようにする。
【解決手段】 プラテンローラ1上の帯状用紙Sに印字を行う印字ヘッド2と、プラテンローラ1の上流側に設けられる搬送ローラ4と、プラテンローラ1及び搬送ローラ4を駆動モータ6により同期して回転させるベルト伝動機構Bと、ベルト伝動機構Bを、プラテンローラ1を回転させるプラテンローラ側伝動機構10と、搬送ローラ4を回転させるとともに、駆動モータ6の逆転時に搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなるように搬送ローラ4の回転速度を変える搬送ローラ側伝動機構20との2系統に分けて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状用紙を搬送し、この搬送途中で帯状用紙に印字を行うプリンタに係り、特に、帯状用紙の所謂バックフィードを行ってから印字を行うプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図3に示すように、プリンタPとしては、例えば、帯状台紙DにラベルLを所定間隔で仮着した帯状用紙Sの当該ラベルLに印刷を行い、印刷されたラベルLを剥離して物品に貼付を行うラベル貼付装置として用いられるものがある。このプリンタPは、ロール状の帯状用紙Sが装着され搬送経路に帯状用紙Sを供給する供給リール100と、帯状用紙Sの搬送途中に設けられ帯状用紙Sを支持するプラテンローラ101と、プラテンローラ101上の帯状用紙Sに印字を行うサーマル型の印字ヘッド102と、印字ヘッド102の下流側に設けられ帯状台紙Dを折り返してこの帯状台紙Dに仮着されたラベルLを剥離する剥離部材103と、剥離部材103で剥離されたラベルLを図示外の物品に貼付する図示外の貼付部と、ラベルLが剥離された帯状台紙Dを巻き取る図示外の巻取リールとを備えて構成されている。
【0003】
また、このプリンタPにおいては、プラテンローラ101の上流側に設けられ帯状用紙Sを搬送する搬送ローラ104と、搬送ローラ104に帯状用紙Sを押圧する押圧ローラ105と、プラテンローラ101及び搬送ローラ104を同期して回転させるベルト伝動機構110と、このベルト伝動機構110を駆動する正転(Ra方向)及び逆転(Rb方向)可能な駆動モータ111とを備え、駆動モータ111の正転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sを正方向Haに搬送し印字ヘッド102による印字を行わせるとともに、駆動モータ111の逆転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sを逆方向Hbに戻すことを可能にしている。ベルト伝動機構110は、駆動モータ111の原動回転軸112に設けられるタイミングベルト用の原動歯付プーリ113と、プラテンローラ101のプラテン回転軸114に設けられるタイミングベルト用の従動歯付プーリ115と、搬送ローラ104の従動回転軸116に設けられるタイミングベルト用の従動歯付プーリ117と、原動歯付プーリ113、従動歯付プーリ115及び従動歯付プーリ117間に架け渡されるタイミングベルト118とを備えて構成されている。
【0004】
このプリンタPにおいては、駆動モータ111の正転及び逆転を交互に行いながら印字ヘッド102による印字を行わせている。この駆動モータ111の正転及び逆転は、プラテンローラ101と搬送ローラ104との間に設けられ、ラベルLの端縁を検知する所謂ラベルピッチ検出センサ119の検出に基づいて行われる。詳しくは、駆動モータ111を正転(Ra方向)させて帯状用紙Sを正方向Haに搬送し印字ヘッド102により順次送られるラベルLに印刷を行うが、先のラベルLが剥離され貼付部によって持ち去られた後に、駆動モータ111を逆転(Rb方向)させて帯状用紙Sを逆方向Hbに戻す所謂バックフィードを行い、ラベルLを印字ヘッド102より上流側に位置させ、それから、再び駆動モータ111を正転(Ra方向)させて帯状用紙Sを正方向Haに搬送し印字ヘッド102により次のラベルLに印字を行うようにしている(例えば、特開2002−104354号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−104354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この従来のプリンタPにおいては、駆動モータ111によってベルト伝動機構110を駆動しプラテンローラ101及び搬送ローラ104を同期して回転させているが、一般に、プラテンローラ101の周速は、搬送ローラ104の周速よりもやや速く設定されており、そのため、駆動モータ111の正転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sが正方向Haに搬送されるときには、帯状用紙Sがプラテンローラ101に引っ張られるようになるが、駆動モータ111の逆転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sが逆方向Hbに戻されるときは、搬送ローラ104による帯状用紙Sの搬送に僅かな遅れが生じ、そのため、多少なりともプラテンローラ101と搬送ローラ104との間の帯状用紙Sにたるみが生じてしまうことがある。このため、ラベルピッチ検出センサ119による検出が不正確になり、次に、駆動モータ111の正転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sが正方向Haに搬送されるときに、印字位置ずれが生じたり、また、たるみによる印字ずれなどが生じることがあるという問題があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、駆動モータが逆転するバックフィード時に搬送ローラの周速がプラテンローラの周速よりもやや速くできるようにし、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまう事態を防止し、駆動モータの正転時の印字を確実に行うことができるようにしたプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のプリンタは、帯状用紙の搬送途中に設けられ該帯状用紙を支持するプラテンローラと、該プラテンローラ上の帯状用紙に印字を行う印字ヘッドと、上記プラテンローラの上流側に設けられ帯状用紙を支持する搬送ローラと、該搬送ローラに帯状用紙を押圧する押圧ローラと、上記プラテンローラ及び搬送ローラを同期して回転させるベルト伝動機構と、該ベルト伝動機構を駆動する正逆転可能な駆動モータとを備え、該駆動モータの正転及び逆転を交互に行うとともに該駆動モータの正転時に上記印字ヘッドによる印字を行わせるプリンタにおいて、
上記ベルト伝動機構を、上記駆動モータによって駆動され上記プラテンローラを回転させるプラテンローラ側伝動機構と、上記駆動モータによって駆動され上記搬送ローラを回転させるとともに、上記駆動モータの逆転時に該搬送ローラの周速が上記プラテンローラの周速よりもやや速くなるように該搬送ローラの回転速度を変える搬送ローラ側伝動機構との2系統に分けて構成している。
【0009】
これにより、帯状用紙に印字を行うときには、駆動モータを正転させプラテンローラ側伝動機構と搬送ローラ側伝動機構とを同期して駆動する。これにより、帯状用紙が正方向に搬送され印字ヘッドによる印字が行われる。この場合、一般に、プラテンローラの周速は、搬送ローラの周速よりもやや速く設定されており、そのため、帯状用紙がプラテンローラに引っ張られるようになるので、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまうことがなく、印字ヘッドによる印字が行われる。
【0010】
次に、駆動モータを逆転させて帯状用紙を逆方向に戻す所謂バックフィードを行う場合には、駆動モータを逆転させプラテンローラ側伝動機構と搬送ローラ側伝動機構とを同期して駆動する。これにより、帯状用紙が逆方向に戻される。この場合、搬送ローラ側伝動機構は、搬送ローラの周速がプラテンローラの周速よりもやや速くなるように搬送ローラの回転速度を変えるので、帯状用紙が搬送ローラに引っ張られるようになり、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまう事態が防止される。
この結果、例えば、プラテンローラと搬送ローラとの間で、センサにより帯状用紙の位置を検知し、このセンサの検知に基づいて次にまた駆動モータを正転させる制御を行うような場合に、帯状用紙のたるみがないので、それだけ、センサの検知が正確になり、次に、駆動モータが正転させられて帯状用紙が正方向に搬送され印字ヘッドによる印字が行われる際、印字位置のずれが防止される。また、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じないので、印字ずれも抑止され、印字が良好に行われる。
【0011】
そして、必要に応じ、上記搬送ローラ側伝動機構を、上記駆動モータの原動回転軸に設けられるVベルト用の原動プーリと、上記搬送ローラの従動回転軸に設けられるVベルト用の従動プーリと、上記原動プーリ及び従動プーリ間に架け渡されるVベルトとを備えて構成し、
上記従動プーリを、上記従動回転軸に固定され内周縁部が上記Vベルトの傾斜した一側面が当接する傾斜面に形成された固定プレートと、上記従動回転軸に上記固定プレートに対して近接離間可能に移動可能に設けられ内周縁部が上記Vベルトの傾斜した他側面が当接する傾斜面に形成された可動プレートとを備えて構成し、
上記従動回転軸に上記可動プレートを固定プレート側に付勢するスプリングを設け、
上記駆動モータの正転時に上記Vベルトの張力を減じて上記可動プレートを上記スプリングの付勢力によって上記固定プレートに近づけ、上記駆動モータの逆転時に上記Vベルトの張力を増して上記スプリングの付勢力に抗して上記可動プレートを上記固定プレートから遠ざける張力可変機構を備えた構成としている。
【0012】
これにより、駆動モータを正転させるときは、張力可変機構によりVベルトの張力を減じる。これにより、上記可動プレートがスプリングの付勢力によって固定プレートに近づくので、従動プーリのVベルトの巻掛け半径が大きくなり、そのため、原動プーリの半径との比が小さくなるので、相対的に回転数が下がり、プラテンローラの周速よりも搬送ローラの周速を遅くできるようになる。このため、プラテンローラの周速は、搬送ローラの周速よりもやや速くなることから、帯状用紙がプラテンローラに引っ張られるようになるので、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまうことがなく、印字ヘッドによる印字が行われる。
【0013】
一方、駆動モータを逆転させるときは、張力可変機構によりVベルトの張力を増す。これにより、可動プレートがスプリングの付勢力に抗して固定プレートから遠ざかるので、従動プーリのVベルトの巻掛け半径が小さくなり、そのため、原動プーリの半径との比が大きくなるので、相対的に回転数が上がり、プラテンローラの周速よりも搬送ローラの周速をやや速くすることができるようになる。そのため、搬送ローラの周速がプラテンローラの周速よりもやや速くなることから、帯状用紙が搬送ローラに引っ張られるようになるので、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまうことがなくなる。
【0014】
また、この場合、上記張力可変機構を、上記Vベルトの外側面に当接して転動可能なテンションローラと、上記テンションローラを回転可能に支持し揺動により該テンションローラを上記Vベルトの外側面に対して押圧、離間する方向に移動させる支持アームと、該支持アームを揺動駆動するアクチュエータと備えて構成したことが有効である。アクチュエータの作動によりテンションローラを揺動させるだけで、Vベルトの張力調整ができるので、作動を容易にすることができる。
【0015】
更に、必要に応じ、上記プラテンローラ側伝動機構を、上記駆動モータの原動回転軸に設けられるタイミングベルト用の原動歯付プーリと、上記プラテンローラのプラテン回転軸に設けられるタイミングベルト用の従動歯付プーリと、上記原動歯付プーリ及び従動歯付プーリ間に架け渡されるタイミングベルトとを備えて構成している。タイミングベルトによる伝動なので、プラテンローラの回転を駆動モータの正転、逆転の何れの場合でも一定化することができ、それだけ、搬送ローラの回転速度を調整する速度調整手段の調整を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、駆動モータを逆転させて帯状用紙を逆方向に戻す所謂バックフィードを行う場合には、搬送ローラ側伝動機構は、搬送ローラの周速がプラテンローラの周速よりもやや速くなるように搬送ローラの回転速度を変えるので、帯状用紙が搬送ローラに引っ張られるようになり、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまう事態を防止することができるようになる。この結果、例えば、プラテンローラと搬送ローラとの間で、センサにより帯状用紙の位置を検知し、このセンサの検知に基づいて次にまた駆動モータを正転させる制御を行うような場合に、帯状用紙のたるみがないので、それだけ、センサの検知が正確になり、次に、駆動モータが正転させられて帯状用紙が正方向に搬送され印字ヘッドによる印字が行われる際、印字位置のずれを防止することができる。また、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じないので、印字ずれも抑止することができ、印字を良好に行なわせることができる。特に、帯状台紙状のラベルに印字する場合には、極めて有用になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタを駆動モータの正転時の状態で示す要部図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るプリンタを駆動モータの逆転時の状態で示す要部図である。
【図3】従来のプリンタの一例を示す要部図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るプリンタについて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係るプリンタPは、帯状台紙DにラベルLを所定間隔で仮着した帯状用紙Sの当該ラベルLに印刷を行い、印刷されたラベルLを剥離して図示外の物品に貼付を行うラベル貼付装置として用いられるものである。
このプリンタPは、ロール状の帯状用紙Sが装着され搬送経路に帯状用紙Sを供給する図示外の供給リールと、帯状用紙Sの搬送途中に設けられ帯状用紙Sを支持するプラテンローラ1と、プラテンローラ1上の帯状用紙Sに印字を行うサーマル型の印字ヘッド2と、印字ヘッド2の下流側に下流側に設けられ帯状台紙Dを折り返してこの帯状台紙Dに仮着されたラベルLを剥離する剥離部材3と、剥離部材3で剥離されたラベルLを物品に貼付する図示外の貼付部と、ラベルLが剥離された帯状台紙Dを巻き取る図示外の巻取リールとを備えて構成されている。
【0019】
また、このプリンタPにおいては、プラテンローラ1の上流側に設けられ帯状用紙Sを支持する搬送ローラ4と、搬送ローラ4に帯状用紙Sを押圧する押圧ローラ5と、プラテンローラ1及び搬送ローラ4を同期して回転させるベルト伝動機構Bと、このベルト伝動機構Bを駆動する正転(Ra方向)及び逆転(Rb方向)可能な駆動モータ6とを備え、駆動モータ6の正転(Ra方向)時にベルト伝動機構Bにより帯状用紙を正方向Haに搬送し印字ヘッド2による印字を行わせるとともに、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時にベルト伝動機構Bにより帯状用紙Sを逆方向Hbに戻すことを可能にしている。プラテンローラ1の半径は、搬送ローラ4の半径よりも僅かに大きく、あるいは、同等程度に設定されている。駆動モータ6の正転(Ra方向)及び逆転(Rb方向)は、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間に設けられ、ラベルLの端縁を検知する所謂ラベルピッチを検出するセンサ7の検出に基づいて、交互に行なわれる。
【0020】
ベルト伝動機構Bは、駆動モータ6によって駆動されプラテンローラ1を回転させるプラテンローラ側伝動機構10と、駆動モータ6によって駆動され搬送ローラ4を回転させるとともに、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時に搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなるように搬送ローラ4の回転速度を変える搬送ローラ側伝動機構20との2系統に分けて構成されている。
プラテンローラ側伝動機構10は、駆動モータ6の原動回転軸11に設けられるタイミングベルト用の原動歯付プーリ12と、プラテンローラ1のプラテン回転軸13に設けられるタイミングベルト用の従動歯付プーリ14と、原動歯付プーリ12及び従動歯付プーリ14間に架け渡されるタイミングベルト15とを備えて構成されている。
【0021】
搬送ローラ側伝動機構20は、駆動モータ6の原動回転軸11に設けられるVベルト用の原動プーリ21と、搬送ローラ4の従動回転軸22に設けられるVベルト用の従動プーリ23と、上記原動プーリ21及び従動プーリ23間に架け渡されるVベルト24とを備えて構成されている。
従動プーリ23は、従動回転軸22に固定され内周縁部がVベルト24の傾斜した一側面が当接する傾斜面に形成された固定プレート25と、従動回転軸22に固定プレート25に対して近接離間可能に移動可能に設けられ内周縁部がVベルト24の傾斜した他側面が当接する傾斜面に形成された可動プレート26とを備えて構成されている。従動回転軸22には、可動プレート26を固定プレート25側に付勢するコイルスプリング27が設けられている。コイルスプリング27は、従動回転軸22に挿通され、一端が可動プレート26に当接し、他端が従動回転軸22に設けられたストッパ28に当接している。
【0022】
また、本プリンタPには、駆動モータ6の正転(Ra方向)時にVベルト24の張力を減じて可動プレート26をスプリング27の付勢力によって固定プレート25に近づけ、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時にVベルト24の張力を増してスプリング27の付勢力に抗して可動プレート26を固定プレート25から遠ざける張力可変機構30を備えている。
張力可変機構30は、Vベルト24の外側面に当接して転動可能なテンションローラ31と、テンションローラ31を回転可能に支持し揺動によりテンションローラ31をVベルト24の外側面に対して押圧、離間する方向に移動させる支持アーム32と、支持アーム32を揺動駆動するシリンダ装置等からなるアクチュエータ33と備えて構成されている。アクチュエータ33は、駆動モータ6の正転(Ra方向)及び逆転(Rb方向)に同期して駆動される。この張力可変機構30により、駆動モータ6の正転(Ra方向)時には、プラテンローラ1の周速の方が搬送ローラ4の周速よりもやや速くなり、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時には、搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなる。
【0023】
従って、本実施の形態に係るプリンタPにより、帯状用紙のラベルLに印字を行うときには、先ず、図1に示すように、駆動モータ6を正転(Ra方向)させプラテンローラ側伝動機構10と搬送ローラ側伝動機構20とを同期して駆動する。これにより、帯状用紙が正方向Haに搬送され印字ヘッド2による印字が行われる。この駆動モータ6の正転(Ra方向)時においては、張力可変機構30のアクチュエータ33が後退して支持アーム32を揺動させ、テンションローラ31をVベルト24の外側面から離間させ、Vベルト24の張力を減じる。これにより、可動プレート26がスプリング27の付勢力によって固定プレート25に近づくので、従動プーリ23のVベルト24の巻掛け半径が大きくなり、そのため、原動プーリ21の半径との比が小さくなるので、相対的に回転数が下がり、プラテンローラ1の周速よりも搬送ローラ4の周速は遅くなる。このため、プラテンローラ1の周速は、搬送ローラ4の周速よりもやや速くなることから、帯状用紙Sがプラテンローラ1に引っ張られるようになるので、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間の帯状用紙Sにたるみが生じてしまうことがなく、印字ヘッド2により、先のラベルLに印字が行われる。
【0024】
先のラベルLに印字が行われると、更に、駆動モータ6が正転(Ra方向)させられて帯状用紙Sは剥離部材3側に搬送される。搬送された帯状台紙Dが剥離部材3で折り返されると、帯状台紙Dに仮着したラベルLが剥離して、貼付部により持ち出されて物品に貼付される。この場合には、一時的に駆動モータ6は停止される。また、次のラベルLに対しては、印字ヘッド2による印字は行われない。
【0025】
その後、図2に示すように、駆動モータ6を逆転(Rb方向)し、プラテンローラ側伝動機構10と搬送ローラ側伝動機構20とを同期して駆動し、所謂バックフィードを行う。これにより、帯状用紙Sが逆方向Hbに搬送される。この駆動モータ6の逆転(Rb方向)時においては、張力可変機構30のアクチュエータ33が進出し支持アーム32を揺動させ、テンションローラ31をVベルト24の外側面に押圧し、Vベルト24の張力を増す。これにより、可動プレート26がスプリング27の付勢力に抗して固定プレート25から遠ざかるので、従動プーリ23のVベルト24の巻掛け半径が小さくなり、そのため、原動プーリ21の半径との比が大きくなるので、相対的に回転数が上がり、プラテンローラ1の周速よりも搬送ローラ4の周速をやや速くすることができるようになる。そのため、搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなることから、帯状用紙Sが搬送ローラ4に引っ張られるようになるので、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間の帯状用紙Sにたるみが生じてしまうことがなくなる。
【0026】
そして、次のラベルLを印字ヘッド2より上流側に位置させ、それから、再び駆動モータ6を正転(Ra方向)させて帯状用紙Sを正方向Haに搬送し、上記と同様に、印字ヘッド2により次のラベルLに印字を行うようにする。この場合、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間で、センサ7により帯状用紙Sの位置を検知し、このセンサ7の検知に基づいて駆動モータ6を正転(Ra方向)させる制御を行うが、帯状用紙Sのバックフィード時に、帯状用紙Sのたるみがないので、それだけ、センサ7の検知が正確になり、再び帯状用紙Sが正方向Haに搬送され印字ヘッド2による印字が行われる際、印字位置のずれが防止される。また、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間の帯状用紙Sにたるみが生じないので、印字ずれも抑止され、印字が良好に行われる。
【0027】
尚、上記実施の形態に係るプリンタPは、ラベル貼付装置として用いられたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ラベル切断機、あるいはスキャナなどでラベルLを検証するラベル検証器など、各種機器に用いて良いことは勿論である、また、帯状用紙Sは、上記の帯状台紙DにラベルLを仮着したものに限定されるものではなく、どのような形態の帯状用紙Sであっても良い。
【符号の説明】
【0028】
P プリンタ
S 帯状用紙
D 帯状台紙
L ラベル
1 プラテンローラ
2 印字ヘッド
3 剥離部材
4 搬送ローラ
5 押圧ローラ
B ベルト伝動機構
6 駆動モータ
Rb 正転
Rb 逆転
Ha 正方向
Hb 逆方向
7 センサ
10 プラテンローラ側伝動機構
12 原動歯付プーリ
14 従動歯付プーリ
15 タイミングベルト
20 搬送ローラ側伝動機構
21 原動プーリ
23 従動プーリ
24 Vベルト
25 固定プレート
26 可動プレート
27 コイルスプリング
28 ストッパ
30 張力可変機構
31 テンションローラ
32 支持アーム
33 アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状用紙の搬送途中に設けられ該帯状用紙を支持するプラテンローラと、該プラテンローラ上の帯状用紙に印字を行う印字ヘッドと、上記プラテンローラの上流側に設けられ帯状用紙を支持する搬送ローラと、該搬送ローラに帯状用紙を押圧する押圧ローラと、上記プラテンローラ及び搬送ローラを同期して回転させるベルト伝動機構と、該ベルト伝動機構を駆動する正逆転可能な駆動モータとを備え、該駆動モータの正転及び逆転を交互に行うとともに該駆動モータの正転時に上記印字ヘッドによる印字を行わせるプリンタにおいて、
上記ベルト伝動機構を、上記駆動モータによって駆動され上記プラテンローラを回転させるプラテンローラ側伝動機構と、上記駆動モータによって駆動され上記搬送ローラを回転させるとともに、上記駆動モータの逆転時に該搬送ローラの周速が上記プラテンローラの周速よりもやや速くなるように該搬送ローラの回転速度を変える搬送ローラ側伝動機構との2系統に分けて構成したことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
上記搬送ローラ側伝動機構を、上記駆動モータの原動回転軸に設けられるVベルト用の原動プーリと、上記搬送ローラの従動回転軸に設けられるVベルト用の従動プーリと、上記原動プーリ及び従動プーリ間に架け渡されるVベルトとを備えて構成し、
上記従動プーリを、上記従動回転軸に固定され内周縁部が上記Vベルトの傾斜した一側面が当接する傾斜面に形成された固定プレートと、上記従動回転軸に上記固定プレートに対して近接離間可能に移動可能に設けられ内周縁部が上記Vベルトの傾斜した他側面が当接する傾斜面に形成された可動プレートとを備えて構成し、
上記従動回転軸に上記可動プレートを固定プレート側に付勢するスプリングを設け、
上記駆動モータの正転時に上記Vベルトの張力を減じて上記可動プレートを上記スプリングの付勢力によって上記固定プレートに近づけ、上記駆動モータの逆転時に上記Vベルトの張力を増して上記スプリングの付勢力に抗して上記可動プレートを上記固定プレートから遠ざける張力可変機構を備えたことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
上記張力可変機構を、上記Vベルトの外側面に当接して転動可能なテンションローラと、上記テンションローラを回転可能に支持し揺動により該テンションローラを上記Vベルトの外側面に対して押圧、離間する方向に移動させる支持アームと、該支持アームを揺動駆動するアクチュエータと備えて構成したことを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
上記プラテンローラ側伝動機構を、上記駆動モータの原動回転軸に設けられるタイミングベルト用の原動歯付プーリと、上記プラテンローラのプラテン回転軸に設けられるタイミングベルト用の従動歯付プーリと、上記原動歯付プーリ及び従動歯付プーリ間に架け渡されるタイミングベルトとを備えて構成しことを特徴とする請求項2または3記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−207008(P2011−207008A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76166(P2010−76166)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】