プリンタ
【課題】プリンタの姿勢が変化したとしても操作部を押し下げ操作し易く、プリンタカバーのロック解除をスムーズに行うこと。
【解決手段】プリンタカバー3の閉状態時に筐体2の内部に配設される係合部20と、ロック位置とリリース位置P2との間を往復移動するように回動自在に設けられ、係合部に係合可能なラッチ35を有する回動部材30と、回動部材がロック位置に移動するように付勢してラッチを係合部に係合させる付勢部材45と、第1の押下部50a及び第2の押下部50bを有する操作部50と、2つの押下部を介して操作部を異なる2方向にそれぞれ押し下げ可能に筐体に連結させる連結機構51と、操作部に連設され、2つの押下部を介して操作部が押し下げられたときに、回動部材をリリース位置に移動させてラッチを係合部から離脱させる解除部材55と、を備えているプリンタ1を提供する。
【解決手段】プリンタカバー3の閉状態時に筐体2の内部に配設される係合部20と、ロック位置とリリース位置P2との間を往復移動するように回動自在に設けられ、係合部に係合可能なラッチ35を有する回動部材30と、回動部材がロック位置に移動するように付勢してラッチを係合部に係合させる付勢部材45と、第1の押下部50a及び第2の押下部50bを有する操作部50と、2つの押下部を介して操作部を異なる2方向にそれぞれ押し下げ可能に筐体に連結させる連結機構51と、操作部に連設され、2つの押下部を介して操作部が押し下げられたときに、回動部材をリリース位置に移動させてラッチを係合部から離脱させる解除部材55と、を備えているプリンタ1を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なプリンタカバーを備えたプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタに代表されるように、ロール紙から引き出された記録紙に印刷を行うプリンタには、ロール紙のセットを容易に行うことができるように、ロール紙を収納する筐体にプリンタカバーが開閉可能に連結されているものが数多く知られている。通常、プリンタカバーは、筐体から大きく開くように設計されており、ロール紙を収納している収納部が大きく露出するようになっている。これにより、上述したようにロール紙のセットを容易に行うことが可能とされている。
【0003】
ところで、通常プリンタカバーは、閉めたときにロックされると共に、解除部の操作によってそのロックが解除されるように構成されている。例えば、筐体側に設けられた操作ボタンを押し下げることで、プリンタカバーのロックを解除して該プリンタカバーを開動作させることができるプリンタが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−276251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、操作ボタンを押し下げることでプリンタカバーのロックを解除することができるが、その押下方向は一方向とされている。即ち、プリンタの上面側から底面側に向かう方向に操作ボタンを押し下げることで、ロックを解除することができるようになっている。従って、一般的な設置スタイルである平置き状態(机上等に載置した状態)において、操作性に優れている。
【0006】
しかしながら、この種のプリンタは、用途や設置環境によっては平置き状態で設置するのではなく、壁掛け固定等の縦置き状態で設置する場合がある。更には、携帯しながら使用し、使用者が手に持ったままロール紙の交換等を行う場合も考えられる。
ところが、押下方向が一方向に限られているので、上記のようにプリンタの姿勢が変わったときに、その方向に操作ボタンを押し下げることが難いことがある。従って、プリンタカバーのロック解除をスムーズに行うことができない場合があり、操作性にまだ問題が残されていた。
【0007】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、プリンタの姿勢が変化したとしても操作部を押し下げ操作し易く、プリンタカバーのロック解除をスムーズに行うことができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るプリンタは、記録紙が収納される収納部を有する筐体と、該筐体に開閉可能に連結されたプリンタカバーと、を備えたプリンタであって、前記プリンタカバーの内面側に設けられ、該プリンタカバーの閉状態時に前記筐体の内部に配設される係合部と、前記筐体の内部にてロック位置とリリース位置との間を往復移動するように回動自在に設けられ、前記係合部に係合可能なラッチを有する回動部材と、前記筐体と前記回動部材との間に接続され、該回動部材が前記ロック位置に移動するように付勢すると共に、該ロック位置で前記ラッチを前記係合部に係合させる付勢部材と、第1の押下部及び第2の押下部を有し、第1の押下部が前記筐体の第1の外面に露出すると共に、第2の押下部が第1の外面に交差する第2の外面に露出するように配設された操作部と、前記第1の押下部及び前記第2の押下部を介して前記操作部を異なる2方向にそれぞれ押し下げ可能に、前記筐体に連結させる連結機構と、前記操作部に連設され、前記第1の押下部又は前記第2の押下部を介して前記操作部が押し下げられたときに、前記回動部材を前記リリース位置に移動させて前記ラッチを前記係合部から離脱させる解除部材と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るプリンタにおいては、プリンタカバーが閉まっている際、付勢部材による付勢力によって回動部材がロック位置に移動している。そのため、回動部材のラッチが、プリンタカバーの内面側に設けられた係合部に係合している。これにより、プリンタカバーを閉状態でロックすることができ、不意に開いてしまうことを防止することができる。
【0010】
次に、プリンタカバーを開ける場合について説明する。
まず、筐体の第1の外面に露出している第1の押下部、又は、筐体の第2の外面に露出している第2の押下部のいずれかを介して操作部を押し下げる。すると、操作部に連設されている解除部材が、操作部の押し下げに伴って回動部材を付勢力に抗する力で回動させ、ロック位置からリリース位置に移動させる。これにより、回動部材のラッチが係合部から離脱し、係合状態が解除される。つまり、プリンタカバーのロックを解除することができる。従って、プリンタカバーを開けることができ、筐体の収納部を開放させることができる。これにより、記録紙のセット等を行うことができる。
【0011】
特に、操作部は、互いに交差する筐体の第1の外面及び第2の外面にそれぞれ露出する第1の押下部及び第2の押下部を有している。従って、使用者は、第1の外面側から操作部を押し下げたり、第2の外面側から操作部を押し下げたりすることができ、該操作部を異なる2方向に押し下げることが可能である。
従って、プリンタを平置きや縦置きに設置した際、その姿勢に応じた最適な押し下げ方向で操作部を押し下げ操作することができる。よって、従来に比べて操作部を押し下げ操作し易く、プリンタカバーのロック解除をスムーズに行うことができる。
【0012】
(2)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記筐体には、前記記録紙に印字を行う印字ヘッドが設けられ、前記プリンタカバーには、前記印字ヘッドとの間で前記記録紙を紙送りするプラテンローラが一対の軸受け部で軸支された状態で設けられ、前記係合部が、前記一対の軸受け部のうち一方の軸受け部であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプリンタにおいては、プラテンローラを軸支する一方の軸受け部を係合部として利用できるので、構成の簡略化を図ることができる。また、回動部材のラッチによって一方の軸受け部をロックできるので、印字ヘッドに対してプラテンローラをがたつき等なく確実に組み合わせることができる。よって、良好な印刷を行うことができる。
【0014】
(3)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記回動部材に連結され、該回動部材の回動に伴って回動する回動板と、該回動板に連設され、前記回動部材が前記ロック位置の時に、前記一対の軸受け部のうち他方の軸受け部に係合されると共に、回動部材が前記リリース位置に移動した時に、他方の軸受け部から離脱されるロックアームと、を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプリンタにおいては、回動部材がロック位置に位置している際、ラッチによって一方の軸受け部をロックすると同時に、ロックアームを他方の軸受け部に係合させて該軸受け部をロックすることができる。つまり、プラテンローラの両側を軸支している一対の軸受け部を同時にロックすることができる。従って、印字ヘッドに対してプラテンローラをより確実に組み合わせることができ、精度の高い印刷を行うことができる。
【0016】
また、操作部の押し下げ操作によって回動部材が回動し、ロック位置からリリース位置に移動すると、これに伴って回動板も回動する。これにより、回動板に連設されているロックアームが他方の軸受け部から離脱し、係合状態が解除される。従って、一方の軸受け部のロック解除と同時に、他方の軸受け部のロックを解除することができる。よって、引っ掛かり等なくプリンタカバーをスムーズに開けることができる。
【0017】
(4)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記操作部が、前記第1の外面と、前記第2の外面と、両外面に対してそれぞれ交差する第3の外面と、の3面に露出するように配設されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るプリンタにおいては、操作部が筐体の3面(互いに交差し合う第1の外面と第2の外面と第3の外面)に露出するように配設されているので、操作部を多方向から視認し易い。従って、プリンタの設置位置の許容範囲を広げることができるうえ、操作部をより押し下げ操作し易くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るプリンタによれば、設置状況によってプリンタの姿勢が変化したとしても、操作部を押し下げ操作し易く、プリンタカバーのロック解除をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るプリンタの実施形態を示す外観斜視図であって、プリンタカバーが閉じている状態を示す図である。
【図2】図1に示すプリンタを矢印A方向から見た側面図である。
【図3】図1に示す状態からプリンタカバーを開けた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示すプリンタを矢印B方向から見た斜視図である。
【図5】図2に示す状態から、ケーシングを構成する外装カバーの一部を取り外した状態を示す側面図である。
【図6】図5に示すプリンタを斜めから見た斜視図であり、部品の一部を分解した状態の図である。
【図7】図5に示す状態から操作部を押し下げてプリンタカバーを開けた状態を示す図である。
【図8】図5に示す状態から操作部を図7とは異なる方向に押し下げてプリンタカバーを開けた状態を示す図である。
【図9】図5に示す回動板の取り付け状態を示す斜視図である。
【図10】図1に示す状態からプリンタカバーを開けた状態を示す斜視図である。
【図11】図10に示すプリンタの側面図である。
【図12】図1に示すプリンタを壁掛け固定して縦置きにした状態を示す側面図である。
【図13】図12に示す状態からプリンタカバーを開けた状態を示す側面図である。
【図14】図13に示す状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るプリンタの実施形態を、図1から図14を参照して説明する。
なお、本実施形態では、プリンタの一例として、サーマルプリンタを例に挙げて説明する。
本実施形態のサーマルプリンタ1は、図1から図4に示すように、ロール紙Rから引き出された記録紙(感熱紙)Pに印刷を行って、該記録紙Pをチケットやレシート等として利用することができるプリンタであって、ケーシング(筐体)2と、プリンタカバー3と、サーマルヘッド(印字ヘッド)4と、プラテンローラ5と、を備えている。
【0022】
なお、図1は、プリンタカバー3が閉まった状態におけるサーマルプリンタ1の外観斜視図である。図2は、図1に示すサーマルプリンタ1を矢印A方向から見た側面図である。図3は、図1に示す状態からプリンタカバー3が開いた状態を示す斜視図である。図4は、図3に示すサーマルプリンタ1を矢印B方向から見た斜視図である。
【0023】
ケーシング2は、プラスチックや金属材料或いはこれらを組み合わせて略箱型に形成されており、本体フレームと外装カバーとで構成されている。ケーシング2の内部には、ロール紙Rが収納される収納部6が設けられており、プリンタカバー3を開けることで収納部6が開放されるようになっている。
なお、本実施形態では、プリンタカバー3が設けられている面を上面(第1の外面)2aとし、この上面2aに交差し、各種の作動ボタン7や表示ランプ8等が設けられている面を前面(第2の外面)2bとし、これら上面2a及び前面2bに対してそれぞれ交差する面を側面(第3の外面)2cとする。
【0024】
ケーシング2の上面2aには、プリンタカバー3が開閉可能に連結されている。このプリンタカバー3は、回転軸M1回りに略90度程度の範囲で開閉するようになっている。そして、上述したように、プリンタカバー3を開けたときに収納部6が開放され、ロール紙Rを内部に投入したり、内部から取り出したりすることができるようになっている。
また、プリンタカバー3を閉めたときに、自身の先端とケーシング2との間に若干の隙間が空くように設計されている。そして、この隙間を利用して、ケーシング2の内部から記録紙Pが引き出されるようになっている。つまり、この隙間は、記録紙Pの排出口9として機能する。
【0025】
また、本実施形態のケーシング2には、上面2aと前面2bと側面2cとが交差する角部の1つに凹み形成された窪み部15が設けられている。この窪み部15は、上面2aに略平行な第1壁部15aと、前面2bに略平行な第2壁部15bと、側面2cに略平行な第3壁部15cとで主に囲まれた空間であり、プリンタカバー3を開動作させる際の操作部50を収納させるための空間として利用されている。この操作部50に関しては、後に説明する。
【0026】
ところで、ケーシング2の内部には、サーマルヘッド4が組み込まれている。このサーマルヘッド4は、記録紙Pに印字を行う部材であって、ライン状に並んだ複数の発熱素子4aを有している。そして、このサーマルヘッド4は、ヘッド支持体16上に固定されている。ヘッド支持体16は、図示しない付勢部材によって背面側から付勢されており、プリンタカバー3が閉じられたときにサーマルヘッド4がプラテンローラ5に圧接するように押し付けを行っている。
【0027】
また、サーマルヘッド4の両側には、該サーマルヘッド4を間に挟んで向かい合うように一対の収容プレート17が設けられている。これら収容プレート17には、プリンタカバー3が閉じられたときに、プラテンローラ5を軸支する軸受け部20、21が収容される凹部17aがそれぞれ形成されている。また、一方の収容プレート17の外側には、図示しないプラテン用モータによって回転する歯車列18が設けられている。この歯車列18は、後述する従動歯車23に回転力を伝達してプラテンローラ5を回転させる役割を担っている。
【0028】
一方、プリンタカバー3の先端側の内面には、プラテンローラ5が設けられている。
取り付けについて詳細に説明すると、まずプラテンローラ5の両端からは、同軸方向にシャフト5aが延在しており、該シャフト5aに円筒状に形成された一対の軸受け部20、21がそれぞれ被せられている。これにより、一対の軸受け部20、21を固定したとしても、プラテンローラ5を回転させることが可能とされている。そして、これら一対の軸受け部20、21は、プリンタカバー3の内面に垂下された支持板22によってそれぞれ固定されている。また、プラテンローラ5のシャフト5aには、軸受け部21を間に挟んで従動歯車23が連結されている。
【0029】
そして、プリンタカバー3が閉じられると、一対の軸受け部20、21が収納プレートの凹部17aにそれぞれ収容されると共にプラテンローラ5が記録紙Pを挟んでサーマルヘッド4に対向配置される。この際、上述したように、付勢部材による付勢力によってサーマルヘッド4がプラテンローラ5に圧接される。また、このとき従動歯車23がケーシング2側の歯車列18に噛合して、回転力が伝達されるようになっている。これによりプラテンローラ5は、ロール紙Rから引き出された記録紙Pをサーマルヘッド4との間で圧接しながら紙送りして、排出口9から外部に送り出すことができるようになっている。
【0030】
ところで、収容プレート17の凹部17aにそれぞれ収容された一対の軸受け部20、21のうち、軸受け部20は後述するラッチ35によってロックされる係合部として機能するようになっている。一方、軸受け部21は、後述するロックアーム56によってロックされるようになっている。
従って、これら一対の軸受け部20、21のロックを解除しない限り、プリンタカバー3を開けることができない設計とされている。
【0031】
次に、プリンタカバー3のロック機構及びその解除機構について、図5から図9を参照して説明する。
なお、図5は、ケーシング2を構成する外装カバーの一部を取り外した状態を示す側面図である。図6は、図5に示すサーマルプリンタ1を斜めから見た斜視図であり、部品の一部を分解した状態の図である。図7は、図5に示す状態から操作部50を押し下げてプリンタカバー3を開けた状態を示す図である。図8は、図5に示す状態から操作部50を図7とは異なる方向に押し下げてプリンタカバー3を開けた状態を示す図である。図9は、図5に示す回動板32の取り付け状態を示す斜視図である。
【0032】
図5及び図6に示すように、ケーシング2の内部には、ロック位置(図5参照)P1とリリース位置(図7及び図8参照)P2との間を往復移動するように回動自在とされた回動部材30が設けられている。具体的には、ケーシング2を構成する本体フレームの側面フレーム31と、ケーシング2を構成する外装カバーとの間において、側面フレーム31から突き出た回動板32に固定されている。この回動板32については、後に説明する。
【0033】
上記回動部材30は、軸受け部20に係合可能なラッチ35と、後述するコイルバネ(付勢部材)45が係止される係止部36と、回動板32が差し込まれて嵌合される嵌合枠部37と、を有する回動本体38と、ケーシング2の上面2aから前面2bに亘って面が向くように湾曲形成された湾曲プレート39と、で一体的に形成されている。
【0034】
このように構成された回動部材30は、上述したように回動によってロック位置P1とリリース位置P2との間を往復移動可能とされている。なお、このときの回動軸M2は、側面フレーム31に形成された平面視略扇形の貫通孔40の頂点をケーシング2の側面2cに直交する方向に沿って貫く軸とされている。
【0035】
湾曲プレート39は、ケーシング2に形成された窪み部15を構成する第1壁部15a及び第2壁部15bの端部に常時接するようになっており、窪み部15を通じて一部が外部に露出している。また、この湾曲プレート39は、回動部材30の回動時、第1壁部15a及び第2壁部15bの端部に摺動しながら滑らかに移動するようになっている。また、湾曲プレート39の略中央部には、後述する操作部50の突起片55が入り込む挿入孔41が形成されている。そして、この挿入孔41の開口縁に沿うように凸壁42が突設されている。この際、凸壁42は、挿入孔41と第1壁部15aとの間に位置するように形成されている。
【0036】
上記係止部36には、コイルバネ45の一端側が係止されている。このコイルバネ45は、他端側が側面フレーム31に形成された係止突起46に係止されており、係止部36を係止突起46側に引っ張っている。つまり、このコイルバネ45は、ケーシング2と回動部材30との間に接続され、回動部材30がロック位置P1に移動するように付勢している。
ラッチ35は、コイルバネ45による付勢力によって回動部材30がロック位置P1に移動した際に、上から押さえるように軸受け部20に係合して該軸受け部20をロックするようになっている。また、回動部材30がロック位置P1からリリース位置P2に移動した場合には、軸受け部20から離脱してロックを解除するようになっている。
【0037】
操作部50は、プリンタカバー3を開動作させるための押し下げボタンであり、ケーシング2に形成された窪み部15内に収納されるように配設されている。
詳細に説明すると、操作部50は、押し下げる際に指先を当てる2つの押下部、即ち、押下部(第1の押下部)50a及び押下部(第2の押下部)50bを外周面に有している。そして、操作部50は、押下部50aがケーシング2の上面2aに露出し、押下部50bが前面2bに露出するように窪み部15内に配設されている。
【0038】
そして、操作部50は、この窪み部15内にて連結機構51を介してケーシング2に連結されており、2つの押下部50a、50bを介して異なる2方向にそれぞれ押し下げ可能とされている。
具体的には、窪み部15を構成する第3壁部15cに、円柱状の連結ピン52が突設されている。そして、この第3壁部15cに対向する操作部50の対向面には、連結ピン52が挿入される挿入孔53が形成されている。特にこの挿入孔53は、押下部50aを介して操作部50を押し下げ操作した際に、操作部50全体を第1壁部15a側に移動させるように長穴に形成されている。これにより、図7に示すように、押下部50aを介して操作部50を上面2aに略直交する第1方向L1に押し下げることが可能とされている。
【0039】
また、図5に示すように、連結ピン52によって支持された操作部50は、第2壁部15b及び湾曲プレート39との間に隙間が開いた状態で支持されている。そのため、操作部50は、連結ピン52を中心に第2壁部15b側に回転可能とされている。従って、図8に示すように、押下部50bを介して操作部50を前面2bに略直交する第2方向L2に押し下げることが可能とされている。
【0040】
つまり、上述した挿入孔53及び連結ピン52は、2つの押下部50a、50bを介して操作部50を異なる2方向(第1方向L1及び第2方向L2)にそれぞれ押し下げ可能にケーシング2に連結させる連結機構51として機能する。
【0041】
また、操作部50には、図5に示すように、湾曲プレート39に形成された挿入孔41に入り込む突起片55が突出するように連設されている。この際、突起片55は、凸壁42に接した状態で挿入孔41内に入り込んでいる。そして、この突起片55は、2つの押下部50a、50bを介して操作部50が異なる2方向にそれぞれ押し下げられたときに、回動部材30をリリース位置P2に移動させてラッチ35を軸受け部20から離脱させる解除部材として機能する。
【0042】
具体的には、図7に示すように、押下部50aを介して操作部50を第1方向L1に押し下げると突起片55も同様に第1方向L1に移動する。突起片55は、この移動時に湾曲プレート39を介して回動部材30を回動させ、ロック位置P1からリリース位置P2に移動させるようになっている。なお、この際、凸壁42の先端は、操作部50の外周面上を滑るように摺動するようになっている。
一方、図8に示すように、押下部50bを介して操作部50を第2方向L2に押し下げると、該操作部50は連結ピン52を中心に第2壁部15b側に回転する。すると、突起片55はこれに伴って凸壁42を介して湾曲プレート39を回動させ、やはり回動部材30をロック位置P1からリリース位置P2に移動させるようになっている。
【0043】
上述したように、操作部50を異なる2方向にそれぞれ押し下げることで、回動部材30をロック位置P1からリリース位置P2に移動させることができ、ラッチ35を軸受け部20から離脱させてロックを解除できるようになっている。
【0044】
ところで、上述したように回動部材30は側面フレーム31から突き出た回動板32に固定されているので、図6に示すように、該回動板32は回動部材30の回動に伴って回動するようになっている。この際、回動板32は、回動軸M2を中心として回動すると共に、貫通孔40によってその回動範囲が規制されている。
この回動板32は、図9に示すように、サーマルヘッド4に略平行に延在しており、端部にロックアーム56が連設されている。これにより、ロックアーム56は、回動板32を介して回動部材30と連動して動くようになっている。つまり、回動部材30がロック位置P1のときに、軸受け部21に係合してロックすると共に、回動部材30がリリース位置P2に移動したときに、軸受け部21から離脱して上記ロックを解除するようになっている。
【0045】
次に、上述したように構成されたサーマルプリンタ1の作動について説明する。
まず、図1及び図2に示すように、プリンタカバー3が閉まっている際、図5に示すように、コイルバネ45の付勢力によって回動部材30がロック位置P1に移動している。そのため、回動部材30のラッチ35が軸受け部20に係合して、該軸受け部20をロックしている。また、同様に、回動板32に連設されたロックアーム56が軸受け部21に係合して、該軸受け部21をロックしている。これにより、プリンタカバー3を閉状態でロックすることができ、不意に開いてしまうことを防止することができる。
【0046】
また、プリンタカバー3のロックと同時に、プラテンローラ5の両側を軸支している一対の軸受け部20、21を同時にロックできるので、サーマルヘッド4に対してプラテンローラ5を確実に組み合わせることができる。従って、以降に行う印刷を高い印字精度で確実に行うことができる。
【0047】
ここで、印刷を行う場合には、図示しないプラテン用モータを駆動して歯車列18を回転させる。すると、この回転力は、従動歯車23に伝わるのでプラテンローラ5が回転する。これにより、プラテンローラ5の外周面とサーマルヘッド4との間に挟まれた記録紙Pが紙送りされる。また、これと同時にサーマルヘッド4を作動させる。これにより、多数の発熱素子4aが適宜熱を発する。その結果、紙送りされた記録紙Pに対して各種の文字や図形等を明瞭に印刷することができる。
【0048】
次に、プリンタカバー3を開ける場合について説明する。
はじめに、押下部50aを利用してプリンタカバー3を開ける場合について説明する。
この場合には、まずケーシング2の上面2aに露出している押下部50aを指先で押して、図7に示すように操作部50を押し下げる。すると、連結ピン52が貫通孔40に沿って相対的に上面2a側に上昇移動するように、操作部50が第1方向L1に移動する。すると、この操作部50の移動に伴って突起片55が移動すると共に、湾曲プレート39を介して回動部材30をコイルバネ45に抗する力で回動させて、ロック位置P1からリリース位置P2に移動させる。これにより、回動部材30のラッチ35が軸受け部20から離脱して、係合状態が解除される。つまり、軸受け部20のロックを解除する。
【0049】
また、回動部材30が回動すると、これに伴って回動板32も回動する。これにより、回動板32に連設されているロックアーム56が、軸受け部21から離脱し、係合状態が解除される。従って、軸受け部20のロック解除と同時に、軸受け部21のロックを解除することができる。
これら一対の軸受け部20、21のロック解除によって、プリンタカバー3のロックを解除することができる。従って、図10及び図11に示すように、プリンタカバー3を開けることができ、その後、ケーシング2の収納部6を開放させることができる。これにより、記録紙Pのセット等を行うことができる。特に、一対の軸受け部20、21を同じタイミングでロック解除できるので、引っ掛かり等なくプリンタカバー3をスムーズに開けることができる。
【0050】
次に、押下部50bを利用してプリンタカバー3を開ける場合について説明する。
この場合には、まずケーシング2の前面2bに露出している押下部50bを指先で押して、図8に示すように操作部50を押し下げる。すると、連結ピン52を中心として第2壁部15b側に倒れこむように操作部50が回転しながら、第2方向L2に移動する。すると、この操作部50の移動に伴って突起片55が連結ピン52を中心に回転すると共に、凸壁42及び湾曲プレート39を介して回動部材30をコイルバネ45に抗する力で回動させて、ロック位置P1からリリース位置P2に移動させる。
その結果、上述した場合と同様に、一対の軸受け部20、21のロックを同じタイミングで解除することができると共に、プリンタカバー3のロックを解除することができる。
【0051】
上述したように、本実施形態のプリンタは、操作部50が互いに交差するケーシング2の上面2a及び前面2bにそれぞれ露出している2つの押下部50a、50bを有している。従って、使用者は、上面2a側から操作部50を押し下げたり、前面2b側から操作部50を押し下げたりすることができ、操作部50を異なる2方向(第1方向L1又は第2方向L2)に押し下げることが可能である。
従って、サーマルプリンタ1を平置きや縦置きに設置した際、その姿勢に応じた最適な押し下げ方向で操作部50を押し下げ操作することができる。
【0052】
例えば、上述したようにサーマルプリンタ1を平置きに設置している場合には、図7に示すように、押下部50aを利用して操作部50を上面2a側から第1方向L1に押し下げ操作する方が操作し易い。これに対して、図12に示すように、サーマルプリンタ1の底面に壁掛け用架台60を取り付け、該架台60を介してサーマルプリンタ1を壁面に壁掛け設置した場合には、図13及び図14に示すように、押下部50bを利用して操作部50を前面2b側から第2方向L2に押し下げ操作する方が操作し易い。
【0053】
このように、サーマルプリンタ1の設置状況や姿勢に応じて、最適な押し下げ方向で操作部50を押し下げ操作することができる。よって、従来に比べて操作部50を押し下げ操作し易く、プリンタカバー3のロック解除をスムーズに行うことができる。
【0054】
更に、本実施形態では、操作部50がケーシング2の上面2a及び前面2b側に露出しているだけでなく、側面2c側にも露出している。つまり、操作部50は、ケーシング2の3面に露出した状態で配設されている。従って、平置きにした場合であっても、壁掛け等の縦置きにした場合であっても、操作部50を多方向から視認し易い。よって、サーマルプリンタ1の設置位置の許容範囲を広げることができるうえ、操作部50を押し下げ操作し易くすることができる。
【0055】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタ1を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。また、ケーシング2側にサーマルヘッド4を配置し、プリンタカバー3側にプラテンローラ5を配置した構成としたが、これとは逆にケーシング2側にプラテンローラ5を配置し、プリンタカバー3側にサーマルヘッド4を配置した構成としても構わない。
【0057】
また、上記実施形態では、回動部材30のラッチ35がプラテンローラ5の軸受け部20に係合することで、プリンタカバー3をロックする構成としたが、軸受け部20を利用するのではなく、ラッチ35が係合する係合部をプリンタカバー3の内面側に別個に設けても構わない。但し、軸受け部20を係合部として利用することで、構成の簡略化を図ることができ好ましい。
【0058】
また、上記実施形態では、操作部50がケーシング2の側面2c側にも露出するように構成したが、3面に露出させる必要はなく、少なくとも上面2a及び前面2bの2面に露出していれば構わない。この場合であっても、2つの押下部50a、50bを利用して操作部50を異なる2方向にそれぞれ押し下げ操作させて、プリンタカバー3を開けることができる。但し、3面に露出させるように構成することで、操作部50がより視認し易くなるので好ましい。
【0059】
また、2つの押下部50a、50bがケーシング2の上面2aと前面2bとに露出するように操作部50を配設したが、この場合に限られず、例えば、上面2aと側面2cとに露出するようにしても構わないし、前面2bと側面2cとに露出するように構成しても構わない。
いずれにしても、操作部50を異なる2方向に押し下げ操作できるように構成すれば構わない。
【符号の説明】
【0060】
P…記録紙
P1…ロック位置
P2…リリース位置
1…サーマルプリンタ(プリンタ)
2…ケーシング(筐体)
2a…上面(筐体の第1の外面)
2b…前面(筐体の第2の外面)
2c…側面(筐体の第3の外面)
3…プリンタカバー
5…プラテンローラ
6…収納部
20…軸受け部(係合部、一方の軸受け部)
21…軸受け部(他方の軸受け部)
30…回動部材
32…回動板
35…ラッチ
45…コイルバネ(付勢部材)
50a…押下部(第1の押下部)
50b…押下部(第2の押下部)
50…操作部
51…連結機構
55…突起片(解除部材)
56…ロックアーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なプリンタカバーを備えたプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタに代表されるように、ロール紙から引き出された記録紙に印刷を行うプリンタには、ロール紙のセットを容易に行うことができるように、ロール紙を収納する筐体にプリンタカバーが開閉可能に連結されているものが数多く知られている。通常、プリンタカバーは、筐体から大きく開くように設計されており、ロール紙を収納している収納部が大きく露出するようになっている。これにより、上述したようにロール紙のセットを容易に行うことが可能とされている。
【0003】
ところで、通常プリンタカバーは、閉めたときにロックされると共に、解除部の操作によってそのロックが解除されるように構成されている。例えば、筐体側に設けられた操作ボタンを押し下げることで、プリンタカバーのロックを解除して該プリンタカバーを開動作させることができるプリンタが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−276251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、操作ボタンを押し下げることでプリンタカバーのロックを解除することができるが、その押下方向は一方向とされている。即ち、プリンタの上面側から底面側に向かう方向に操作ボタンを押し下げることで、ロックを解除することができるようになっている。従って、一般的な設置スタイルである平置き状態(机上等に載置した状態)において、操作性に優れている。
【0006】
しかしながら、この種のプリンタは、用途や設置環境によっては平置き状態で設置するのではなく、壁掛け固定等の縦置き状態で設置する場合がある。更には、携帯しながら使用し、使用者が手に持ったままロール紙の交換等を行う場合も考えられる。
ところが、押下方向が一方向に限られているので、上記のようにプリンタの姿勢が変わったときに、その方向に操作ボタンを押し下げることが難いことがある。従って、プリンタカバーのロック解除をスムーズに行うことができない場合があり、操作性にまだ問題が残されていた。
【0007】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、プリンタの姿勢が変化したとしても操作部を押し下げ操作し易く、プリンタカバーのロック解除をスムーズに行うことができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るプリンタは、記録紙が収納される収納部を有する筐体と、該筐体に開閉可能に連結されたプリンタカバーと、を備えたプリンタであって、前記プリンタカバーの内面側に設けられ、該プリンタカバーの閉状態時に前記筐体の内部に配設される係合部と、前記筐体の内部にてロック位置とリリース位置との間を往復移動するように回動自在に設けられ、前記係合部に係合可能なラッチを有する回動部材と、前記筐体と前記回動部材との間に接続され、該回動部材が前記ロック位置に移動するように付勢すると共に、該ロック位置で前記ラッチを前記係合部に係合させる付勢部材と、第1の押下部及び第2の押下部を有し、第1の押下部が前記筐体の第1の外面に露出すると共に、第2の押下部が第1の外面に交差する第2の外面に露出するように配設された操作部と、前記第1の押下部及び前記第2の押下部を介して前記操作部を異なる2方向にそれぞれ押し下げ可能に、前記筐体に連結させる連結機構と、前記操作部に連設され、前記第1の押下部又は前記第2の押下部を介して前記操作部が押し下げられたときに、前記回動部材を前記リリース位置に移動させて前記ラッチを前記係合部から離脱させる解除部材と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るプリンタにおいては、プリンタカバーが閉まっている際、付勢部材による付勢力によって回動部材がロック位置に移動している。そのため、回動部材のラッチが、プリンタカバーの内面側に設けられた係合部に係合している。これにより、プリンタカバーを閉状態でロックすることができ、不意に開いてしまうことを防止することができる。
【0010】
次に、プリンタカバーを開ける場合について説明する。
まず、筐体の第1の外面に露出している第1の押下部、又は、筐体の第2の外面に露出している第2の押下部のいずれかを介して操作部を押し下げる。すると、操作部に連設されている解除部材が、操作部の押し下げに伴って回動部材を付勢力に抗する力で回動させ、ロック位置からリリース位置に移動させる。これにより、回動部材のラッチが係合部から離脱し、係合状態が解除される。つまり、プリンタカバーのロックを解除することができる。従って、プリンタカバーを開けることができ、筐体の収納部を開放させることができる。これにより、記録紙のセット等を行うことができる。
【0011】
特に、操作部は、互いに交差する筐体の第1の外面及び第2の外面にそれぞれ露出する第1の押下部及び第2の押下部を有している。従って、使用者は、第1の外面側から操作部を押し下げたり、第2の外面側から操作部を押し下げたりすることができ、該操作部を異なる2方向に押し下げることが可能である。
従って、プリンタを平置きや縦置きに設置した際、その姿勢に応じた最適な押し下げ方向で操作部を押し下げ操作することができる。よって、従来に比べて操作部を押し下げ操作し易く、プリンタカバーのロック解除をスムーズに行うことができる。
【0012】
(2)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記筐体には、前記記録紙に印字を行う印字ヘッドが設けられ、前記プリンタカバーには、前記印字ヘッドとの間で前記記録紙を紙送りするプラテンローラが一対の軸受け部で軸支された状態で設けられ、前記係合部が、前記一対の軸受け部のうち一方の軸受け部であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプリンタにおいては、プラテンローラを軸支する一方の軸受け部を係合部として利用できるので、構成の簡略化を図ることができる。また、回動部材のラッチによって一方の軸受け部をロックできるので、印字ヘッドに対してプラテンローラをがたつき等なく確実に組み合わせることができる。よって、良好な印刷を行うことができる。
【0014】
(3)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記回動部材に連結され、該回動部材の回動に伴って回動する回動板と、該回動板に連設され、前記回動部材が前記ロック位置の時に、前記一対の軸受け部のうち他方の軸受け部に係合されると共に、回動部材が前記リリース位置に移動した時に、他方の軸受け部から離脱されるロックアームと、を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプリンタにおいては、回動部材がロック位置に位置している際、ラッチによって一方の軸受け部をロックすると同時に、ロックアームを他方の軸受け部に係合させて該軸受け部をロックすることができる。つまり、プラテンローラの両側を軸支している一対の軸受け部を同時にロックすることができる。従って、印字ヘッドに対してプラテンローラをより確実に組み合わせることができ、精度の高い印刷を行うことができる。
【0016】
また、操作部の押し下げ操作によって回動部材が回動し、ロック位置からリリース位置に移動すると、これに伴って回動板も回動する。これにより、回動板に連設されているロックアームが他方の軸受け部から離脱し、係合状態が解除される。従って、一方の軸受け部のロック解除と同時に、他方の軸受け部のロックを解除することができる。よって、引っ掛かり等なくプリンタカバーをスムーズに開けることができる。
【0017】
(4)本発明に係るプリンタは、上記本発明のプリンタにおいて、前記操作部が、前記第1の外面と、前記第2の外面と、両外面に対してそれぞれ交差する第3の外面と、の3面に露出するように配設されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るプリンタにおいては、操作部が筐体の3面(互いに交差し合う第1の外面と第2の外面と第3の外面)に露出するように配設されているので、操作部を多方向から視認し易い。従って、プリンタの設置位置の許容範囲を広げることができるうえ、操作部をより押し下げ操作し易くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るプリンタによれば、設置状況によってプリンタの姿勢が変化したとしても、操作部を押し下げ操作し易く、プリンタカバーのロック解除をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るプリンタの実施形態を示す外観斜視図であって、プリンタカバーが閉じている状態を示す図である。
【図2】図1に示すプリンタを矢印A方向から見た側面図である。
【図3】図1に示す状態からプリンタカバーを開けた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示すプリンタを矢印B方向から見た斜視図である。
【図5】図2に示す状態から、ケーシングを構成する外装カバーの一部を取り外した状態を示す側面図である。
【図6】図5に示すプリンタを斜めから見た斜視図であり、部品の一部を分解した状態の図である。
【図7】図5に示す状態から操作部を押し下げてプリンタカバーを開けた状態を示す図である。
【図8】図5に示す状態から操作部を図7とは異なる方向に押し下げてプリンタカバーを開けた状態を示す図である。
【図9】図5に示す回動板の取り付け状態を示す斜視図である。
【図10】図1に示す状態からプリンタカバーを開けた状態を示す斜視図である。
【図11】図10に示すプリンタの側面図である。
【図12】図1に示すプリンタを壁掛け固定して縦置きにした状態を示す側面図である。
【図13】図12に示す状態からプリンタカバーを開けた状態を示す側面図である。
【図14】図13に示す状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るプリンタの実施形態を、図1から図14を参照して説明する。
なお、本実施形態では、プリンタの一例として、サーマルプリンタを例に挙げて説明する。
本実施形態のサーマルプリンタ1は、図1から図4に示すように、ロール紙Rから引き出された記録紙(感熱紙)Pに印刷を行って、該記録紙Pをチケットやレシート等として利用することができるプリンタであって、ケーシング(筐体)2と、プリンタカバー3と、サーマルヘッド(印字ヘッド)4と、プラテンローラ5と、を備えている。
【0022】
なお、図1は、プリンタカバー3が閉まった状態におけるサーマルプリンタ1の外観斜視図である。図2は、図1に示すサーマルプリンタ1を矢印A方向から見た側面図である。図3は、図1に示す状態からプリンタカバー3が開いた状態を示す斜視図である。図4は、図3に示すサーマルプリンタ1を矢印B方向から見た斜視図である。
【0023】
ケーシング2は、プラスチックや金属材料或いはこれらを組み合わせて略箱型に形成されており、本体フレームと外装カバーとで構成されている。ケーシング2の内部には、ロール紙Rが収納される収納部6が設けられており、プリンタカバー3を開けることで収納部6が開放されるようになっている。
なお、本実施形態では、プリンタカバー3が設けられている面を上面(第1の外面)2aとし、この上面2aに交差し、各種の作動ボタン7や表示ランプ8等が設けられている面を前面(第2の外面)2bとし、これら上面2a及び前面2bに対してそれぞれ交差する面を側面(第3の外面)2cとする。
【0024】
ケーシング2の上面2aには、プリンタカバー3が開閉可能に連結されている。このプリンタカバー3は、回転軸M1回りに略90度程度の範囲で開閉するようになっている。そして、上述したように、プリンタカバー3を開けたときに収納部6が開放され、ロール紙Rを内部に投入したり、内部から取り出したりすることができるようになっている。
また、プリンタカバー3を閉めたときに、自身の先端とケーシング2との間に若干の隙間が空くように設計されている。そして、この隙間を利用して、ケーシング2の内部から記録紙Pが引き出されるようになっている。つまり、この隙間は、記録紙Pの排出口9として機能する。
【0025】
また、本実施形態のケーシング2には、上面2aと前面2bと側面2cとが交差する角部の1つに凹み形成された窪み部15が設けられている。この窪み部15は、上面2aに略平行な第1壁部15aと、前面2bに略平行な第2壁部15bと、側面2cに略平行な第3壁部15cとで主に囲まれた空間であり、プリンタカバー3を開動作させる際の操作部50を収納させるための空間として利用されている。この操作部50に関しては、後に説明する。
【0026】
ところで、ケーシング2の内部には、サーマルヘッド4が組み込まれている。このサーマルヘッド4は、記録紙Pに印字を行う部材であって、ライン状に並んだ複数の発熱素子4aを有している。そして、このサーマルヘッド4は、ヘッド支持体16上に固定されている。ヘッド支持体16は、図示しない付勢部材によって背面側から付勢されており、プリンタカバー3が閉じられたときにサーマルヘッド4がプラテンローラ5に圧接するように押し付けを行っている。
【0027】
また、サーマルヘッド4の両側には、該サーマルヘッド4を間に挟んで向かい合うように一対の収容プレート17が設けられている。これら収容プレート17には、プリンタカバー3が閉じられたときに、プラテンローラ5を軸支する軸受け部20、21が収容される凹部17aがそれぞれ形成されている。また、一方の収容プレート17の外側には、図示しないプラテン用モータによって回転する歯車列18が設けられている。この歯車列18は、後述する従動歯車23に回転力を伝達してプラテンローラ5を回転させる役割を担っている。
【0028】
一方、プリンタカバー3の先端側の内面には、プラテンローラ5が設けられている。
取り付けについて詳細に説明すると、まずプラテンローラ5の両端からは、同軸方向にシャフト5aが延在しており、該シャフト5aに円筒状に形成された一対の軸受け部20、21がそれぞれ被せられている。これにより、一対の軸受け部20、21を固定したとしても、プラテンローラ5を回転させることが可能とされている。そして、これら一対の軸受け部20、21は、プリンタカバー3の内面に垂下された支持板22によってそれぞれ固定されている。また、プラテンローラ5のシャフト5aには、軸受け部21を間に挟んで従動歯車23が連結されている。
【0029】
そして、プリンタカバー3が閉じられると、一対の軸受け部20、21が収納プレートの凹部17aにそれぞれ収容されると共にプラテンローラ5が記録紙Pを挟んでサーマルヘッド4に対向配置される。この際、上述したように、付勢部材による付勢力によってサーマルヘッド4がプラテンローラ5に圧接される。また、このとき従動歯車23がケーシング2側の歯車列18に噛合して、回転力が伝達されるようになっている。これによりプラテンローラ5は、ロール紙Rから引き出された記録紙Pをサーマルヘッド4との間で圧接しながら紙送りして、排出口9から外部に送り出すことができるようになっている。
【0030】
ところで、収容プレート17の凹部17aにそれぞれ収容された一対の軸受け部20、21のうち、軸受け部20は後述するラッチ35によってロックされる係合部として機能するようになっている。一方、軸受け部21は、後述するロックアーム56によってロックされるようになっている。
従って、これら一対の軸受け部20、21のロックを解除しない限り、プリンタカバー3を開けることができない設計とされている。
【0031】
次に、プリンタカバー3のロック機構及びその解除機構について、図5から図9を参照して説明する。
なお、図5は、ケーシング2を構成する外装カバーの一部を取り外した状態を示す側面図である。図6は、図5に示すサーマルプリンタ1を斜めから見た斜視図であり、部品の一部を分解した状態の図である。図7は、図5に示す状態から操作部50を押し下げてプリンタカバー3を開けた状態を示す図である。図8は、図5に示す状態から操作部50を図7とは異なる方向に押し下げてプリンタカバー3を開けた状態を示す図である。図9は、図5に示す回動板32の取り付け状態を示す斜視図である。
【0032】
図5及び図6に示すように、ケーシング2の内部には、ロック位置(図5参照)P1とリリース位置(図7及び図8参照)P2との間を往復移動するように回動自在とされた回動部材30が設けられている。具体的には、ケーシング2を構成する本体フレームの側面フレーム31と、ケーシング2を構成する外装カバーとの間において、側面フレーム31から突き出た回動板32に固定されている。この回動板32については、後に説明する。
【0033】
上記回動部材30は、軸受け部20に係合可能なラッチ35と、後述するコイルバネ(付勢部材)45が係止される係止部36と、回動板32が差し込まれて嵌合される嵌合枠部37と、を有する回動本体38と、ケーシング2の上面2aから前面2bに亘って面が向くように湾曲形成された湾曲プレート39と、で一体的に形成されている。
【0034】
このように構成された回動部材30は、上述したように回動によってロック位置P1とリリース位置P2との間を往復移動可能とされている。なお、このときの回動軸M2は、側面フレーム31に形成された平面視略扇形の貫通孔40の頂点をケーシング2の側面2cに直交する方向に沿って貫く軸とされている。
【0035】
湾曲プレート39は、ケーシング2に形成された窪み部15を構成する第1壁部15a及び第2壁部15bの端部に常時接するようになっており、窪み部15を通じて一部が外部に露出している。また、この湾曲プレート39は、回動部材30の回動時、第1壁部15a及び第2壁部15bの端部に摺動しながら滑らかに移動するようになっている。また、湾曲プレート39の略中央部には、後述する操作部50の突起片55が入り込む挿入孔41が形成されている。そして、この挿入孔41の開口縁に沿うように凸壁42が突設されている。この際、凸壁42は、挿入孔41と第1壁部15aとの間に位置するように形成されている。
【0036】
上記係止部36には、コイルバネ45の一端側が係止されている。このコイルバネ45は、他端側が側面フレーム31に形成された係止突起46に係止されており、係止部36を係止突起46側に引っ張っている。つまり、このコイルバネ45は、ケーシング2と回動部材30との間に接続され、回動部材30がロック位置P1に移動するように付勢している。
ラッチ35は、コイルバネ45による付勢力によって回動部材30がロック位置P1に移動した際に、上から押さえるように軸受け部20に係合して該軸受け部20をロックするようになっている。また、回動部材30がロック位置P1からリリース位置P2に移動した場合には、軸受け部20から離脱してロックを解除するようになっている。
【0037】
操作部50は、プリンタカバー3を開動作させるための押し下げボタンであり、ケーシング2に形成された窪み部15内に収納されるように配設されている。
詳細に説明すると、操作部50は、押し下げる際に指先を当てる2つの押下部、即ち、押下部(第1の押下部)50a及び押下部(第2の押下部)50bを外周面に有している。そして、操作部50は、押下部50aがケーシング2の上面2aに露出し、押下部50bが前面2bに露出するように窪み部15内に配設されている。
【0038】
そして、操作部50は、この窪み部15内にて連結機構51を介してケーシング2に連結されており、2つの押下部50a、50bを介して異なる2方向にそれぞれ押し下げ可能とされている。
具体的には、窪み部15を構成する第3壁部15cに、円柱状の連結ピン52が突設されている。そして、この第3壁部15cに対向する操作部50の対向面には、連結ピン52が挿入される挿入孔53が形成されている。特にこの挿入孔53は、押下部50aを介して操作部50を押し下げ操作した際に、操作部50全体を第1壁部15a側に移動させるように長穴に形成されている。これにより、図7に示すように、押下部50aを介して操作部50を上面2aに略直交する第1方向L1に押し下げることが可能とされている。
【0039】
また、図5に示すように、連結ピン52によって支持された操作部50は、第2壁部15b及び湾曲プレート39との間に隙間が開いた状態で支持されている。そのため、操作部50は、連結ピン52を中心に第2壁部15b側に回転可能とされている。従って、図8に示すように、押下部50bを介して操作部50を前面2bに略直交する第2方向L2に押し下げることが可能とされている。
【0040】
つまり、上述した挿入孔53及び連結ピン52は、2つの押下部50a、50bを介して操作部50を異なる2方向(第1方向L1及び第2方向L2)にそれぞれ押し下げ可能にケーシング2に連結させる連結機構51として機能する。
【0041】
また、操作部50には、図5に示すように、湾曲プレート39に形成された挿入孔41に入り込む突起片55が突出するように連設されている。この際、突起片55は、凸壁42に接した状態で挿入孔41内に入り込んでいる。そして、この突起片55は、2つの押下部50a、50bを介して操作部50が異なる2方向にそれぞれ押し下げられたときに、回動部材30をリリース位置P2に移動させてラッチ35を軸受け部20から離脱させる解除部材として機能する。
【0042】
具体的には、図7に示すように、押下部50aを介して操作部50を第1方向L1に押し下げると突起片55も同様に第1方向L1に移動する。突起片55は、この移動時に湾曲プレート39を介して回動部材30を回動させ、ロック位置P1からリリース位置P2に移動させるようになっている。なお、この際、凸壁42の先端は、操作部50の外周面上を滑るように摺動するようになっている。
一方、図8に示すように、押下部50bを介して操作部50を第2方向L2に押し下げると、該操作部50は連結ピン52を中心に第2壁部15b側に回転する。すると、突起片55はこれに伴って凸壁42を介して湾曲プレート39を回動させ、やはり回動部材30をロック位置P1からリリース位置P2に移動させるようになっている。
【0043】
上述したように、操作部50を異なる2方向にそれぞれ押し下げることで、回動部材30をロック位置P1からリリース位置P2に移動させることができ、ラッチ35を軸受け部20から離脱させてロックを解除できるようになっている。
【0044】
ところで、上述したように回動部材30は側面フレーム31から突き出た回動板32に固定されているので、図6に示すように、該回動板32は回動部材30の回動に伴って回動するようになっている。この際、回動板32は、回動軸M2を中心として回動すると共に、貫通孔40によってその回動範囲が規制されている。
この回動板32は、図9に示すように、サーマルヘッド4に略平行に延在しており、端部にロックアーム56が連設されている。これにより、ロックアーム56は、回動板32を介して回動部材30と連動して動くようになっている。つまり、回動部材30がロック位置P1のときに、軸受け部21に係合してロックすると共に、回動部材30がリリース位置P2に移動したときに、軸受け部21から離脱して上記ロックを解除するようになっている。
【0045】
次に、上述したように構成されたサーマルプリンタ1の作動について説明する。
まず、図1及び図2に示すように、プリンタカバー3が閉まっている際、図5に示すように、コイルバネ45の付勢力によって回動部材30がロック位置P1に移動している。そのため、回動部材30のラッチ35が軸受け部20に係合して、該軸受け部20をロックしている。また、同様に、回動板32に連設されたロックアーム56が軸受け部21に係合して、該軸受け部21をロックしている。これにより、プリンタカバー3を閉状態でロックすることができ、不意に開いてしまうことを防止することができる。
【0046】
また、プリンタカバー3のロックと同時に、プラテンローラ5の両側を軸支している一対の軸受け部20、21を同時にロックできるので、サーマルヘッド4に対してプラテンローラ5を確実に組み合わせることができる。従って、以降に行う印刷を高い印字精度で確実に行うことができる。
【0047】
ここで、印刷を行う場合には、図示しないプラテン用モータを駆動して歯車列18を回転させる。すると、この回転力は、従動歯車23に伝わるのでプラテンローラ5が回転する。これにより、プラテンローラ5の外周面とサーマルヘッド4との間に挟まれた記録紙Pが紙送りされる。また、これと同時にサーマルヘッド4を作動させる。これにより、多数の発熱素子4aが適宜熱を発する。その結果、紙送りされた記録紙Pに対して各種の文字や図形等を明瞭に印刷することができる。
【0048】
次に、プリンタカバー3を開ける場合について説明する。
はじめに、押下部50aを利用してプリンタカバー3を開ける場合について説明する。
この場合には、まずケーシング2の上面2aに露出している押下部50aを指先で押して、図7に示すように操作部50を押し下げる。すると、連結ピン52が貫通孔40に沿って相対的に上面2a側に上昇移動するように、操作部50が第1方向L1に移動する。すると、この操作部50の移動に伴って突起片55が移動すると共に、湾曲プレート39を介して回動部材30をコイルバネ45に抗する力で回動させて、ロック位置P1からリリース位置P2に移動させる。これにより、回動部材30のラッチ35が軸受け部20から離脱して、係合状態が解除される。つまり、軸受け部20のロックを解除する。
【0049】
また、回動部材30が回動すると、これに伴って回動板32も回動する。これにより、回動板32に連設されているロックアーム56が、軸受け部21から離脱し、係合状態が解除される。従って、軸受け部20のロック解除と同時に、軸受け部21のロックを解除することができる。
これら一対の軸受け部20、21のロック解除によって、プリンタカバー3のロックを解除することができる。従って、図10及び図11に示すように、プリンタカバー3を開けることができ、その後、ケーシング2の収納部6を開放させることができる。これにより、記録紙Pのセット等を行うことができる。特に、一対の軸受け部20、21を同じタイミングでロック解除できるので、引っ掛かり等なくプリンタカバー3をスムーズに開けることができる。
【0050】
次に、押下部50bを利用してプリンタカバー3を開ける場合について説明する。
この場合には、まずケーシング2の前面2bに露出している押下部50bを指先で押して、図8に示すように操作部50を押し下げる。すると、連結ピン52を中心として第2壁部15b側に倒れこむように操作部50が回転しながら、第2方向L2に移動する。すると、この操作部50の移動に伴って突起片55が連結ピン52を中心に回転すると共に、凸壁42及び湾曲プレート39を介して回動部材30をコイルバネ45に抗する力で回動させて、ロック位置P1からリリース位置P2に移動させる。
その結果、上述した場合と同様に、一対の軸受け部20、21のロックを同じタイミングで解除することができると共に、プリンタカバー3のロックを解除することができる。
【0051】
上述したように、本実施形態のプリンタは、操作部50が互いに交差するケーシング2の上面2a及び前面2bにそれぞれ露出している2つの押下部50a、50bを有している。従って、使用者は、上面2a側から操作部50を押し下げたり、前面2b側から操作部50を押し下げたりすることができ、操作部50を異なる2方向(第1方向L1又は第2方向L2)に押し下げることが可能である。
従って、サーマルプリンタ1を平置きや縦置きに設置した際、その姿勢に応じた最適な押し下げ方向で操作部50を押し下げ操作することができる。
【0052】
例えば、上述したようにサーマルプリンタ1を平置きに設置している場合には、図7に示すように、押下部50aを利用して操作部50を上面2a側から第1方向L1に押し下げ操作する方が操作し易い。これに対して、図12に示すように、サーマルプリンタ1の底面に壁掛け用架台60を取り付け、該架台60を介してサーマルプリンタ1を壁面に壁掛け設置した場合には、図13及び図14に示すように、押下部50bを利用して操作部50を前面2b側から第2方向L2に押し下げ操作する方が操作し易い。
【0053】
このように、サーマルプリンタ1の設置状況や姿勢に応じて、最適な押し下げ方向で操作部50を押し下げ操作することができる。よって、従来に比べて操作部50を押し下げ操作し易く、プリンタカバー3のロック解除をスムーズに行うことができる。
【0054】
更に、本実施形態では、操作部50がケーシング2の上面2a及び前面2b側に露出しているだけでなく、側面2c側にも露出している。つまり、操作部50は、ケーシング2の3面に露出した状態で配設されている。従って、平置きにした場合であっても、壁掛け等の縦置きにした場合であっても、操作部50を多方向から視認し易い。よって、サーマルプリンタ1の設置位置の許容範囲を広げることができるうえ、操作部50を押し下げ操作し易くすることができる。
【0055】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタ1を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。また、ケーシング2側にサーマルヘッド4を配置し、プリンタカバー3側にプラテンローラ5を配置した構成としたが、これとは逆にケーシング2側にプラテンローラ5を配置し、プリンタカバー3側にサーマルヘッド4を配置した構成としても構わない。
【0057】
また、上記実施形態では、回動部材30のラッチ35がプラテンローラ5の軸受け部20に係合することで、プリンタカバー3をロックする構成としたが、軸受け部20を利用するのではなく、ラッチ35が係合する係合部をプリンタカバー3の内面側に別個に設けても構わない。但し、軸受け部20を係合部として利用することで、構成の簡略化を図ることができ好ましい。
【0058】
また、上記実施形態では、操作部50がケーシング2の側面2c側にも露出するように構成したが、3面に露出させる必要はなく、少なくとも上面2a及び前面2bの2面に露出していれば構わない。この場合であっても、2つの押下部50a、50bを利用して操作部50を異なる2方向にそれぞれ押し下げ操作させて、プリンタカバー3を開けることができる。但し、3面に露出させるように構成することで、操作部50がより視認し易くなるので好ましい。
【0059】
また、2つの押下部50a、50bがケーシング2の上面2aと前面2bとに露出するように操作部50を配設したが、この場合に限られず、例えば、上面2aと側面2cとに露出するようにしても構わないし、前面2bと側面2cとに露出するように構成しても構わない。
いずれにしても、操作部50を異なる2方向に押し下げ操作できるように構成すれば構わない。
【符号の説明】
【0060】
P…記録紙
P1…ロック位置
P2…リリース位置
1…サーマルプリンタ(プリンタ)
2…ケーシング(筐体)
2a…上面(筐体の第1の外面)
2b…前面(筐体の第2の外面)
2c…側面(筐体の第3の外面)
3…プリンタカバー
5…プラテンローラ
6…収納部
20…軸受け部(係合部、一方の軸受け部)
21…軸受け部(他方の軸受け部)
30…回動部材
32…回動板
35…ラッチ
45…コイルバネ(付勢部材)
50a…押下部(第1の押下部)
50b…押下部(第2の押下部)
50…操作部
51…連結機構
55…突起片(解除部材)
56…ロックアーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙が収納される収納部を有する筐体と、該筐体に開閉可能に連結されたプリンタカバーと、を備えたプリンタであって、
前記プリンタカバーの内面側に設けられ、該プリンタカバーの閉状態時に前記筐体の内部に配設される係合部と、
前記筐体の内部にてロック位置とリリース位置との間を往復移動するように回動自在に設けられ、前記係合部に係合可能なラッチを有する回動部材と、
前記筐体と前記回動部材との間に接続され、該回動部材が前記ロック位置に移動するように付勢すると共に、該ロック位置で前記ラッチを前記係合部に係合させる付勢部材と、
第1の押下部及び第2の押下部を有し、第1の押下部が前記筐体の第1の外面に露出すると共に、第2の押下部が第1の外面に交差する第2の外面に露出するように配設された操作部と、
前記第1の押下部及び前記第2の押下部を介して前記操作部を異なる2方向にそれぞれ押し下げ可能に、前記筐体に連結させる連結機構と、
前記操作部に連設され、前記第1の押下部又は前記第2の押下部を介して前記操作部が押し下げられたときに、前記回動部材を前記リリース位置に移動させて前記ラッチを前記係合部から離脱させる解除部材と、を備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記筐体には、前記記録紙に印字を行う印字ヘッドが設けられ、
前記プリンタカバーには、前記印字ヘッドとの間で前記記録紙を紙送りするプラテンローラが一対の軸受け部で軸支された状態で設けられ、
前記係合部は、前記一対の軸受け部のうち一方の軸受け部であることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタにおいて、
前記回動部材に連結され、該回動部材の回動に伴って回動する回動板と、
該回動板に連設され、前記回動部材が前記ロック位置の時に、前記一対の軸受け部のうち他方の軸受け部に係合されると共に、回動部材が前記リリース位置に移動した時に、他方の軸受け部から離脱されるロックアームと、を備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記操作部は、前記第1の外面と、前記第2の外面と、両外面に対してそれぞれ交差する第3の外面と、の3面に露出するように配設されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項1】
記録紙が収納される収納部を有する筐体と、該筐体に開閉可能に連結されたプリンタカバーと、を備えたプリンタであって、
前記プリンタカバーの内面側に設けられ、該プリンタカバーの閉状態時に前記筐体の内部に配設される係合部と、
前記筐体の内部にてロック位置とリリース位置との間を往復移動するように回動自在に設けられ、前記係合部に係合可能なラッチを有する回動部材と、
前記筐体と前記回動部材との間に接続され、該回動部材が前記ロック位置に移動するように付勢すると共に、該ロック位置で前記ラッチを前記係合部に係合させる付勢部材と、
第1の押下部及び第2の押下部を有し、第1の押下部が前記筐体の第1の外面に露出すると共に、第2の押下部が第1の外面に交差する第2の外面に露出するように配設された操作部と、
前記第1の押下部及び前記第2の押下部を介して前記操作部を異なる2方向にそれぞれ押し下げ可能に、前記筐体に連結させる連結機構と、
前記操作部に連設され、前記第1の押下部又は前記第2の押下部を介して前記操作部が押し下げられたときに、前記回動部材を前記リリース位置に移動させて前記ラッチを前記係合部から離脱させる解除部材と、を備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記筐体には、前記記録紙に印字を行う印字ヘッドが設けられ、
前記プリンタカバーには、前記印字ヘッドとの間で前記記録紙を紙送りするプラテンローラが一対の軸受け部で軸支された状態で設けられ、
前記係合部は、前記一対の軸受け部のうち一方の軸受け部であることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタにおいて、
前記回動部材に連結され、該回動部材の回動に伴って回動する回動板と、
該回動板に連設され、前記回動部材が前記ロック位置の時に、前記一対の軸受け部のうち他方の軸受け部に係合されると共に、回動部材が前記リリース位置に移動した時に、他方の軸受け部から離脱されるロックアームと、を備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記操作部は、前記第1の外面と、前記第2の外面と、両外面に対してそれぞれ交差する第3の外面と、の3面に露出するように配設されていることを特徴とするプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−51159(P2011−51159A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200497(P2009−200497)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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