説明

プリンタ

【課題】携帯端末に保存されたデータを、当該携帯端末のサイズを大きくすることなく容易に印刷する。
【解決手段】携帯端末に具備されたディスプレイと前面が密着可能な構造であり、ディスプレイと密着した際、ディスプレイを覆う構造を持つ受光部101が、ディスプレイから放射された光を受光し、制御部103が、プリンタ100の外部から所定の操作が行われてから、あらかじめ設定された時間が経過するまでの間、受光部103を、光を透過させる透過モードとし、それ以外の間は、受光部103を、光を遮断させる遮断モードとし、感光紙ユニット102に保持された感光紙に、受光部101を透過した光が画像として印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関し、特に感光紙に印刷を行うプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、携帯端末に保存されているデータ(画像、メモ帳データ、手書きデータ等)を印刷する場合、当該携帯端末をプリンタと接続して印刷するか、当該データをプリンタと接続されているパソコン(パーソナルコンピュータ)等の他の装置へ移した後に、そのプリンタを用いて印刷するかといった方法が用いられている。
【0003】
しかしながら、この場合、当該携帯端末をプリンタと接続しなければならない。または、当該データをパソコン等へ移す場合は、当該データの紛失等のおそれもある。
【0004】
そこで、感光紙への印刷機能を具備した携帯電話機(携帯機器)が考えられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−052979号公報
【特許文献2】特開2001−330893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術においては、携帯端末本体のサイズが大きくなってしまうという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決するプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプリンタは、
感光紙に印刷を行うプリンタであって、
フラット型の携帯端末に具備されたディスプレイと前面が密着可能な構造であり、該ディスプレイと密着した際、該ディスプレイを覆い、該ディスプレイから放射された光を受光する受光部と、
前記受光部の背面に配置され、前記感光紙を保持する感光紙ユニットと、
当該プリンタの外部から所定の操作が行われてから、あらかじめ設定された時間が経過するまでの間、前記受光部を、光を透過させる透過モードとし、それ以外の間は、前記受光部を、光を遮断させる遮断モードとする制御部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明においては、携帯端末に保存されたデータを、当該携帯端末のサイズを大きくすることなく容易に印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のプリンタの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示したプリンタの外観の一例を示す図である。
【図3】図2の破線矢印に示したようにプリンタと携帯端末とを重ね合わせたときの外観の一例を示す図である。
【図4】図2に示した破線A−A'におけるプリンタの断面図である。
【図5】本形態における印刷処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明のプリンタの実施の一形態を示す図である。
【0013】
本形態におけるプリンタ100には図1に示すように、受光部101と、感光紙ユニット102と、制御部103と、入力ボタン104と、タイマ105と、表示部106とが設けられている。
【0014】
受光部101は、外部からの光を受光する。また、受光部101は、制御部103による制御により、光を透過させる透過モードと、光を遮断する遮断モードとの2つのモードで動作する。この透過モードと遮断モードとの2つのモードを実現するには、例えば、受光部101に所定の電気信号が送られることにより、受光部101を構成する部材の性質を変化させ、光を透過させたり遮断させたりするものであっても良いし、物理的に光を透過させない部材でマスクさせたりさせなかったりするもの(例えば、カメラのシャッター等)であっても良い。
【0015】
感光紙ユニット102は、受光部101の背面に配置され、印刷紙である感光紙を保持する。また、感光紙ユニット102は、感光紙を外部から出し入れ可能な構造である。
【0016】
制御部103は、プリンタ100の外部から所定の操作が行われてから、あらかじめ設定された時間が経過するまでの間、受光部101を透過モードとし、それ以外の間は受光部101を遮断モードとするように、受光部101を制御する。
【0017】
入力ボタン104は、外部から操作可能なボタンである。この入力ボタン104が押下されたことが制御部103にて検出されると、制御部103が所定の操作が行われたと判定する。
【0018】
タイマ105は、プリンタ100の外部から所定の操作が行われた際、つまり本形態においては、入力ボタン104が押下されたことが検出された際、起動する時計である。また、タイマ105は、起動してからあらかじめ設定された時間が経過すると満了する。この「あらかじめ設定された時間」は、感光紙に光の入射が開始されてから、感光紙への印刷が完了するまでの時間であり、携帯端末のディスプレイからの光出力や感光紙の感度等に応じて、あらかじめ設定されているものである。
【0019】
表示部106は、受光部101が透過モードであるか遮断モードであるかに従って、所定の表示を行う。表示部106は、受光部101が透過モードである場合、印刷中である旨を示す表示を行う。このとき例えば、「印刷中」と表示する。また、表示部106は、受光部101が遮断モードである場合、印刷が完了した旨を示す表示を行う。このとき例えば、「印刷完了」と表示する。
【0020】
図2は、図1に示したプリンタ100の外観の一例を示す図である。
【0021】
図1に示したプリンタ100は図2の破線矢印に示すように、フラット型携帯端末(例えば、スマートフォン)である携帯端末200と重ねた場合、受光部101が携帯端末200に具備されたディスプレイ201を覆うような構造となっている。具体的には、受光部101が、ディスプレイ201全体と密着可能な構造となっている。この構造により、ディスプレイ201から放射された光が受光部101に入射する。つまり、受光部101は、ディスプレイ201から放射された光を受光する。
【0022】
また、図2に示すように、プリンタ100の側面から感光紙を出し入れできる感光紙ユニット102が設けられている。
【0023】
図3は、図2の破線矢印に示したようにプリンタ100と携帯端末200とを重ね合わせたときの外観の一例を示す図である。
【0024】
図3に示すように、プリンタ100が携帯端末200をカバーするように重なっている。このとき、プリンタ100と携帯端末200とがかみ合うような構造を具備していても良い。また、プリンタ100と携帯端末200とにヒンジを設け、折り畳み携帯端末の2つの筺体のように接続されており、図2に示した開いた状態と図3に示した閉じた状態とで変化させることができるものであっても良い。
【0025】
また、プリンタ100の背面には、入力ボタン104と、表示部106とが配置されている。
【0026】
図4は、図2に示した破線A−A'におけるプリンタ100の断面図である。
【0027】
図4に示すように、プリンタ100の携帯端末200側の面を前面、他方の面を背面とする。
【0028】
プリンタ100には、前面に受光部101が配置されており、プリンタ100と携帯端末200とが重なりあったとき、受光部101が携帯端末200のディスプレイ201と密着できるようになっている。
【0029】
また、受光部101の背面に感光紙110を保持する感光紙ユニット102が配置されている。これにより、受光部101が透過モードである場合、ディスプレイ201に表示された画像が光源として受光部101を透過し、感光紙110に感光させて、画像を感光紙110に印刷することができる。
【0030】
以下に、本形態における印刷処理について説明する。
【0031】
図5は、本形態における印刷処理を説明するためのフローチャートである。
【0032】
まず、制御部103によって、入力ボタン104が押下されたかどうかが判定される(ステップS1)。
【0033】
入力ボタン104が押下されたことが制御部103によって検出されると、タイマ105が起動する(ステップS2)。
【0034】
また、制御部103によって、受光部101のモードが透過モードに設定される(ステップS3)。これにより、ディスプレイ201に表示されている画像が光となって、受光部101を透過して、感光紙110に印刷される。
【0035】
また、表示部106に、印刷中である旨を示す「印刷中」と表示される(ステップS4)。
【0036】
続いて、タイマ105が満了したかどうかが制御部103によって判定される(ステップS5)。
【0037】
タイマ105が満了したと制御部103によって判定されると、制御部103によって受光部101のモードが遮断モードに設定される(ステップS6)。これにより、ディスプレイ201の画面表示による光が、受光部101にて遮断され、感光紙110に届くことはなくなる。
【0038】
また、表示部106に、印刷が完了した旨を示す「印刷完了」と表示される(ステップS7)。
【0039】
以上、感光紙に光が入射し始めてからの時間を計ることにより、印刷が完了したかどうかを決定したが、ほかに印刷が完了したかどうかを判定できるものであれば、それを用いるものであっても良い。例えば、感光紙上の印刷の濃さを測定して、所定の濃さに達した場合、印刷が完了したと判定するものであっても良いし、上述したタイマによる時間測定に加えて、ディスプレイ201の画面の明るさを判定材料に用いるものであっても良い。
【0040】
また、入力ボタン104の押下を検出されたときに、受光部101を透過モードに設定するものではなく、例えば、受光部101とディスプレイ201との密着を検知する機構をプリンタ100に設けておき、当該機構が受光部101とディスプレイ201との密着を検知したときに、受光部101を透過モードに設定してタイマ105を起動するものであっても良い。
【0041】
このように、プリンタ100が携帯端末200と密着することにより、ディスプレイ201から出力された光を逸らすことなく、より高画質、高彩度画面を再生することができる。また、表示部106に「印刷中」や、「印刷完了」を表示することより、プリンタ100における現在の印刷ステータスを知ることができる。また、プリンタ100は、携帯端末200と重ねた状態で保持すれば、携帯端末200のディスプレイ201の保護部材としても役立つ。また、携帯端末200本体は大きく改造する必要がなく、プリンタ100を付加することだけで印刷機能を実現することができる。また、プリンタ100は、発展しているスマートフォンにも対応することができる。
【符号の説明】
【0042】
100 プリンタ
101 受光部
102 感光紙ユニット
103 制御部
104 入力ボタン
105 タイマ
106 表示部
110 感光紙
200 携帯端末
201 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光紙に印刷を行うプリンタであって、
フラット型の携帯端末に具備されたディスプレイと前面が密着可能な構造であり、該ディスプレイと密着した際、該ディスプレイを覆い、該ディスプレイから放射された光を受光する受光部と、
前記受光部の背面に配置され、前記感光紙を保持する感光紙ユニットと、
当該プリンタの外部から所定の操作が行われてから、あらかじめ設定された時間が経過するまでの間、前記受光部を、光を透過させる透過モードとし、それ以外の間は、前記受光部を、光を遮断させる遮断モードとする制御部とを有するプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記受光部が前記透過モードであるか前記遮断モードであるかに従って、所定の表示を行う表示部を有することを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
当該プリンタの外部から操作可能な入力ボタンを有し、
前記制御部は、前記入力ボタンの押下を検出してから前記あらかじめ設定された時間が経過するまでの間、前記受光部を前記透過モードとすることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
ヒンジを用いて前記携帯端末と接続されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記感光紙ユニットは、前記感光紙を外部から出し入れ可能な構造であることを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−131160(P2012−131160A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286146(P2010−286146)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】