説明

プリント装置およびプリント方法

【課題】レンチキュラーシートの途中で印画を中断した場合でも、残りの印画可能領域を有効に利用することができるとともに、残りの印画可能領域への印画開始までの時間を短縮すること。
【解決手段】帯状のレンズが連続して形成されたレンズ面および該レンズ面の反対側の略平坦に形成された印画面を有するレンチキュラーシートを搬送するシート搬送部60と、レンチキュラーシートの印画面に立体視可能な画像を印画するサーマルヘッド14と、サーマルヘッド14による画像の印画を中止させるシステム制御部50と、画像の印画が中止された場合、レンチキュラーシートの残り印画可能領域を示す付加情報をレンチキュラーシートに付加する付加情報処理部63とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視可能な写真プリントを作成可能なプリント装置およびプリント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクリボンが終端に到達した時点で印字動作を停止させて、インクリボンカセットが交換された後、次のラベルから印字を開始する構成が開示されている。
【0003】
特許文献2には、モータの惰性回転によりテープがそのまま僅かに搬送された場合でも、印字抜けが生じることなく印字動作を再開できるようにするため、テープへの印字途中で印字動作を中断した際に、モータへの駆動電圧の供給が停止された後も、印字ヘッドへの駆動電圧の供給を継続する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4119177号公報
【特許文献2】特開平10−181110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の構成では、印字途中のラベルを利用せずに次のラベルから印字を開始するため、印字が中断すると1枚ラベルを無駄にしてしまう。
【0006】
特許文献2記載の構成では、印画中断後に印画再開する場合、テープがどれだけ搬送されたかの計算値に基づいて印画を再開するため、その印画中断したテープと異なるテープが挿入され得る環境では、適応できない。
【0007】
例えば、レンチキュラーシートの途中で画像の印画を中止し、そのレンチキュラーシートの残り印画可能領域に別の画像を印画しようとした場合、印画中断シートと未印画シートとが混在して給紙トレイにセットされたり、残り印画可能領域のサイズが異なる印画中止シートが混在して給紙トレイにセットされたりすると、残り印画可能領域への印画開始までの前処理として測定などに時間がかかってしまう。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、レンチキュラーシートの途中で印画を中断した場合でも、残り印画可能領域を有効に利用することができるとともに、残り印画可能領域への印画開始までの時間を短縮することができるプリント装置およびプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、帯状のレンズが連続して形成されたレンズ面および該レンズ面の反対側の略平坦に形成された印画面を有するレンチキュラーシートを搬送するシート搬送手段と、前記レンチキュラーシートの前記印画面に立体視可能な画像を印画する印画手段と、前記印画手段による前記画像の印画を中止させる印画中止制御手段と、前記画像の印画が中止された場合、前記レンチキュラーシートの残り印画可能領域を示す付加情報を前記レンチキュラーシートに付加する付加情報処理手段と、を備えたことを特徴とするプリント装置を提供する。即ち、レンチキュラーシートの途中で印画を中断した場合、その印画中止したレンチキュラーシート(印画中止シート)に残り印画可能領域を示す付加情報を付加するので、その付加情報を読み取るようにすれば、残り印画可能領域を検知することができ、印画中止シートを無駄にすることなく残り印画可能領域を有効に利用することができる。また、残り印画可能領域に他の画像を印画する際に、付加情報を読み取るようにすれば、残り印画可能領域に関する測定を行う必要がなくなり、残り印画可能領域への印画開始までの前処理時間を短縮することができる。
【0010】
本発明の一態様では、前記付加情報処理手段は、前記レンズの長手方向と平行な形状のパターンを、前記レンチキュラーシートに付加することを特徴とする。即ち、印画中止シートの残り印画可能領域に印画する際、パターンを読み取ることで、残り印画可能領域の印画開始位置を検知することができるとともに、レンズの長手方向の傾きを測定することなく確実に且つ精度良くレンチキュラーシートの傾き調整を行うことができる。
【0011】
本発明の一態様では、前記付加情報処理手段は、前記レンチキュラーシートの残り印画可能サイズを示すサイズ情報を、前記レンチキュラーシートに付加することを特徴とする。即ち、印画中止シートの残り領域に印画する際、レンチキュラーシートに付加されたサイズ情報を読み取ることで、残り印画可能サイズを測定したり算出したりする必要がなくなり、前処理時間を短縮することができる。
【0012】
本発明の一態様では、前記付加情報処理手段は、前記パターンが前記レンズのうち何番目の視点位置に印画されているかを示す視点位置情報を、前記レンチキュラーシートに付加することを特徴とする。即ち、印画中止シートの残り領域に印画する際、視点位置情報を読み取ることで、パターンがレンズのどの位置に存在するのか判るので、パターンを確実に検出して精度よくレンチキュラーシートの傾き調整を行うことができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記付加情報処理手段は、前記レンチキュラーシートの前記レンズ面におけるレンズピッチ情報を、前記レンチキュラーシートに付加することを特徴とする。即ち、印画中止シートの残り領域に印画する際、レンズピッチ情報を読み取ることで、レンズピッチを測定する必要がなくなり、前処理時間を短縮することができる。
【0014】
本発明の一態様では、前記レンチキュラーシートの一部分を切除する切除手段を備え、前記付加情報処理手段は、前記切除手段により前記レンチキュラーシートの一部分を切除することで、前記レンチキュラーシートに前記付加情報を付加することを特徴とする。即ち、レンチキュラーシートの切除形状により付加情報を表現することで、印画中止シートの残り印画可能領域を最大限に利用することができる。
【0015】
本発明の一態様では、前記レンチキュラーシートの前記印画面にインクを与えるためのインクリボンであって前記付加情報用の色の領域が周期的に配置されたインクリボンを制御するインクリボン制御手段を備え、前記印画手段は、前記付加情報を印画する際、前記インクリボンの前記付加情報用の色の領域のインクを前記レンチキュラーシートに転写することを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様では、前記インクリボンのうち付加情報用領域以外の各色ごとの領域の搬送方向における幅は、本プリント装置で印画可能な画像の最大幅に対応していることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様では、前記付加情報処理手段は、前記レンチキュラーシートのうち画像未印画領域のシート搬送方向における両端部に、前記付加情報を印画することを特徴とする。即ち、印画中止したレンチキュラーシートをプリント装置にセットしたときに、どちら側からでも直ぐに付加情報をセンサで読み取ることができる。レンチキュラーシート全域をセンサで走査する必要がないので、画像印画開始までの時間を短縮することができる。
【0018】
本発明の一態様では、前記付加情報処理手段は、前記レンチキュラーシートのうち印画中止までに既に印画した領域であって白色で印画する予定であった領域に、前記印画手段により前記付加情報を印画させることを特徴とする。即ち、印画済領域に付加情報を印画することで、残り印画可能領域を最大にすることができる。
【0019】
本発明の一態様では、前記レンチキュラーシートにおける前記付加情報の印画位置を、前記レンチキュラーシートの端部に印画することを特徴とする。即ち、レンチキュラーシートの端部を読み取ることで、付加情報がレンチキュラーシートのどこにあるのか探さなくてもよいため、探索時間を削減できる。
【0020】
本発明の一態様では、前記レンチキュラーシートがセットされるシートトレイと、前記シートトレイに印画中止のレンチキュラーシートが存在するか否かを判定する印画中止シート判定手段と、を備え、前記シート搬送制御部は、前記シートトレイにセットされた前記レンチキュラーシートの中に前記印画中止のレンチキュラーシートが存在すると判定された場合、未印画のレンチキュラーシートを未印画のまま排出して前記印画中止のレンチキュラーシートを前記シートトレイに残すことを特徴とする。即ち、優先的に印画中止シートを使用することができる。
【0021】
本発明の一態様では、前記レンチキュラーシートがセットされるシートトレイと、前記シートトレイに印画中止のレンチキュラーシートが存在するか否かを判定する印画中止シート判定手段と、を備え、前記シート搬送制御部は、前記シートトレイにセットされた前記レンチキュラーシートの中に前記印画中止のレンチキュラーシートが存在すると判定された場合、前記印画中止のレンチキュラーシートを排出して未印画のレンチキュラーシートを前記シートトレイに残すことを特徴とする。
【0022】
本発明の一態様では、前記レンチキュラーシートが印画中止されたシートであるか否かを判定する印画中止シート判定手段と、前記印画中止のレンチキュラーシートが検出されるまで、前記未印画のレンチキュラーシートで印画可能なフルサイズ未満の画像を印画しないように印画順番を制御する印画順番制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様では、前記印画手段で印画予定の複数の画像を記憶する記憶手段と、前記レンチキュラーシートから前記付加情報を読み取る読取手段と、前記記憶手段に記憶されている前記複数の画像のうちから前記残り印画可能領域のサイズ以下の印画サイズが設定されている画像を検索する画像検索手段と、を備え、前記印画手段は、検索された前記画像を、印画中止された前記レンチキュラーシートに印画することを特徴とする。即ち、印画中止シートを有効利用することができる。なお、記憶手段および画像検索手段をパーソナルコンピュータによって構成し、パーソナルコンピュータに付加情報を送信するようにしてもよい。
【0024】
本発明の一態様では、前記印画手段で印画予定の複数の画像を記憶する記憶手段と、前記レンチキュラーシートから前記付加情報を読み取る読取手段と、前記記憶手段に記憶された前記複数の画像のうちから、前記レンチキュラーシートに印画された前記付加情報の位置および前記付加情報の色に対応した部分を有する画像を検索する画像検索手段と、を備え、前記印画手段は、検索された前記画像を、前記付加情報の上に印画することを特徴とする。例えば、付加情報の色が黒である場合、付加情報の位置に対応する位置が黒領域である画像を検索して、その画像を付加情報の上から印画すると、レンチキュラーシート上の付加情報を見えなくすることができるので、レンチキュラーシートの利用効率を向上させることができる。なお、記憶手段および画像検索手段をパーソナルコンピュータによって構成し、パーソナルコンピュータに付加情報を送信するようにしてもよい。
【0025】
本発明の一態様では、前記印画手段で印画予定の複数の画像を記憶する記憶手段と、前記シートトレイにセットされた前記レンチキュラーシートの中に前記印画中止のレンチキュラーシートが存在すると判定された場合、前記記憶手段に記憶された画像の中から印画サイズが前記未印画のレンチキュラーシートで印画可能な最大サイズよりも小さい画像を検索する画像検索手段と、前記画像の印画順番を管理する印画順番管理手段であって前記画像検索手段により検索された前記画像を印画順番の先頭に移動する印画順番管理手段と、を備えたことを特徴とする。なお、記憶手段および画像検索手段および印画順番管理手段をパーソナルコンピュータによって構成し、パーソナルコンピュータに付加情報を送信するようにしてもよい。
【0026】
本発明の一態様では、前記記憶手段に記憶されている前記複数の画像を印画予定の順番に表示する表示手段と、前記順番と異なる順番で印画された場合、印画結果に応じて前記表示手段に表示する前記画像の順番またはファイル番号を変更する順番変更手段と、を備えたことを特徴とする。即ち、ユーザの混乱を避けることができる。なお、表示手段をパーソナルコンピュータのモニタによって構成し、パーソナルコンピュータで画像の順番またはファイル番号を変更するようにしてもよい。
【0027】
また、本発明は、帯状のレンズが連続して形成されたレンズ面および該レンズ面の反対側の略平坦に形成された印画面を有するレンチキュラーシートを用意し、前記レンチキュラーシートの前記印画面に印画手段により立体視可能な画像を印画するプリント方法であって、前記印画手段による前記立体画像の印画を中止させるステップと、前記立体画像の印画が中止された場合、前記レンチキュラーシートの残り印画可能領域を示す付加情報を前記レンチキュラーシートに付加するステップと、を備えたことを特徴とするプリント方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、レンチキュラーシートの途中で印画を中断した場合でも、残りの印画可能領域を有効に利用することができるとともに、残りの印画可能領域への印画開始までの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】熱昇華型のプリント装置における印画の様子を示す模式図
【図2】(A)は多視点画像を印画されたレンチキュラーシートの断面図、(B)はそのレンチキュラーシートの斜視透視図
【図3】熱昇華型のプリント装置の一例の機構を示す内部透視図
【図4】第1実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図5】第1実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図6】第1実施形態における付加情報の一例を示す説明図
【図7】第2実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図8】第2実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図9】第2実施形態における画像検索の説明に用いる説明図
【図10】第3実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図11】第3実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図12】(A)印画中止直後のレンチキュラーシートの一例を示す図、(B)は切り抜き穴を形成したレンチキュラーシートの一例を示す図、(C)は切り欠きを形成したレンチキュラーシートの一例を示す図
【図13】第4実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図14】第4実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図15】第4実施形態の説明に用いる説明図であって、(A)は印画予約時の表示順番を示す図、(B)は印画中止時のレンチキュラーシートの例を示す図、(C)は画像順番変更後の表示順番を示す図
【図16】第5実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図17】第5実施形態におけるインクリボンの一例を示す図であって、(A)は1色1ロールのインクリボンにて一定長ごとに付加情報用領域を配置した場合を示す図、(B)はYMC1ロールのインクリボンにて各色間に付加情報用領域を配置した場合を示す図、(C)はYMC1ロールのインクリボンにてYMC一組ごとに付加情報用領域を配置した場合を示す図
【図18】第5実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図19】第6実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図20】第6実施形態の説明に用いる説明図であって、(A)は印画済部分を残した場合の印画中止シートを示す図、(B)は印画済部分を切り取った場合の印画中止シートを示す図、(C)はレンチキュラーシートがシートトレイにセットされたプリント装置の外観を示す図
【図21】第6実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図22】第7実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図23】第7実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図24】第7実施形態の説明に用いる説明図であって、(A)は画像の一例を示す図、(B)は白印画領域を示す図、(C)は白印画領域に印画した付加情報の一例を示す図、(D)はシート端部に印画した付加位置情報の一例を示す図
【図25】第8実施形態におけるプリント装置の一例の外観図であって、(A)は輝度検視センサをシートトレイに配設した場合の外観図、(B)輝度検知センサを本体に配設した場合のプリント装置の外観図
【図26】第8実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図27】第8実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図28】第9実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図29】第9実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図30】第9実施形態の説明に用いる説明図であって、(A)は輝度検視センサをシートトレイに配設した場合のプリント装置の外観図、(B)は印画予約順番の一例を示す図、(C)は印画順番の一例を示す図、(D)は輝度検知センサを本体に配設した場合のプリント装置の外観図
【図31】第10実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図32】第10実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図33】第10実施形態におけるプリント処理の説明に用いる説明図
【図34】第11実施形態におけるプリント装置の一例の要部ブロック図
【図35】第11実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャート
【図36】第11実施形態におけるプリント処理の説明に用いる説明図であって、(A)はシートトレイに印画中止シートがある場合のプリント装置を示す図、(B)はシートトレイに印画中止シートが無い場合のプリント装置を示す図、(C)は印画予約順番の一例を示す図、(D)はシートトレイに印画中止シートがある場合の印画順番の一例を示す図、(E)はシートトレイに印画中止シートが無い場合の印画順番の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0031】
図1は、熱昇華型のプリント装置10におけるレンチキュラーシート100への印画の様子を模式的に示す。
【0032】
レンチキュラーシート100は、かまぼこ状(断面略円弧状且つ帯状)のレンズ101a(レンチキュラーレンズ)が一定のピッチAで連続して形成されたレンズ面100aと、レンズ面の反対側の略平坦に形成された印画面100bとを有する受像材である。本例のレンチキュラーシート100は、レンズが形成された透光性のレンチキュラー層101、およびインクを受容する受容層102によって構成されている。レンチキュラー層101は、サーマルヘッド14の印画動作に対応した熱耐性を有する可撓性の樹脂、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル(PMMA)で形成される。受容層102は、インクを吸収し、その色材を定着させるシート状の基材である。
【0033】
インクリボン110は、レンチキュラーシート100の受容層102にインクを転写するフイルム(転写フイルム)である。このインクリボン110は、サーマルヘッド14に当接するベース層111、および染料インクを塗布したインク層112によって構成されている。
【0034】
本例の熱昇華型のプリント装置10では、プラテンローラ20に対向して配置したサーマルヘッド14により、インクリボン110に熱を与えてインクを昇華させ、レンチキュラーシート100の受容層102にインクを付着させる。
【0035】
なお、本発明は昇華型のプリント装置には特に限定されない。例えば、インクジェット型のプリント装置の場合、インクリボンは不要であって、サーマルヘッドの代わりに、インクを吐出するノズルを備えたインクジェットヘッドを用いる。
【0036】
図2(A)は多視点画像が印画されたレンチキュラーシートの断面図であり、図2(B)はそのレンチキュラーシートの斜視透視図である。
【0037】
図2(A)および(B)に示したように、レンチキュラー層101のレンズ101aひとつに対応する受容層102の各帯状領域ごとに、多視点(本例では3視点)の絵柄102a,102b,102cが印画される。
【0038】
図3は、熱昇華型のプリント装置10の一例の機構を示す内部透視図であり、印画用のレンチキュラーシート100を供給する状態を示している。
【0039】
本例のプリント装置10は、合計5色の各色別のインクリボンを使用しており、各色毎に、レンチキュラーシート100の順送(図中矢印F方向への搬送)と逆送(図中矢印Fと反対の方向への搬送)とを繰り返し行う。
【0040】
図示しない挿入口より挿入されたレンチキュラーシート100は、図3に示すようにその先端部が搬送ローラ22の位置に到達する。ここで、搬送ローラ22に対してレンチキュラーシート100を介してキャプスタン24を圧着させるとともに、搬送ローラ22を駆動することにより、レンチキュラーシート100を搬送する。
【0041】
レンチキュラーシート100の先端がクランパ30に到達すると、レンチキュラーシート100の先端はクランパ30により挟持され、キャプスタン24は搬送ローラ22から退避させられる。
【0042】
クランパ30は、駆動ベルト32、駆動プーリ34および従動プーリ36を含んで構成されたクランパ搬送部により、搬送される。駆動プーリ34および従動プーリ36には駆動ベルト32が巻き掛けられている。駆動プーリ34は、駆動モータ44から減速機構46を介して駆動される。
【0043】
また、プラテンローラ20とクランパ30の間には、光学センサ40が配設されている。この光学センサ40の検出信号に基づいて、レンチキュラーシート100の傾き(アジマス角)を検知することができる。また、レンチキュラーシート100に付加された後述の付加情報を読み取ることができる。
【0044】
レンチキュラーシートの傾きを図示省略の機構により調整した後、クランパ30を矢印F方向において移動させることにより、レンチキュラーシート100を印画開始位置に搬送し、その後、サーマルヘッド14による印画を開始させる。1色分の印画が終了すると、駆動プーリ34を逆転させてクランパ30を逆方向(矢印Fの反対側)へ平行移動させ、レンチキュラーシート100を再び印画開始位置に戻す。
【0045】
リボンケージ12には、5対の巻取りリール16、供給リール18が等間隔に配設されており、5対のリールには、それぞれR、Y、M、C、Wのインクリボンがセットされる。リボンケージ12は、図示しないガトリング機構により所望のリボンがサーマルヘッド14の位置にくるように回転させられる。なお、Rのインクリボンの代わりに他のインクリボンをセットしてもよいし、省略してもよい。
【0046】
本例のサーマルヘッド14は、リボンケージ12内に収められており、印画時には、インクリボン(図1の110)及びレンチキュラーシート100を介してプラテンローラ20に当接する印画位置に配置され、インクリボンの切替えやレンチキュラーシート100の逆送時にはプラテンローラ20から退避する退避位置に配置される。
【0047】
次に、第1実施形態について説明する。
【0048】
図4は、第1実施形態におけるプリント装置10aの要部ブロック図である。
【0049】
プリント装置10aは、主として、システム制御部50、ヘッドドライバ51、モータドライバ52、画像処理部53、センサ54、インクリボン制御部55、操作部56、モニタ部57、メモリ部58、入出力部59、シート搬送制御部60、シートサイズ判定部61、画像サイズ判定部62、付加情報処理部63、および、サーマルヘッド14を含んで構成されている。
【0050】
システム制御部50は、立体視画像(3D画像)をレンチキュラーシートにプリントするためのプログラムにより各部を統括制御する。
【0051】
ヘッドドライバ51は、サーマルヘッド14を駆動する。
【0052】
モータドライバ52は、図1に示した搬送ローラ22、駆動モータ44等のモータを駆動する。
【0053】
画像処理部53は、3Dカメラ等により撮影したカラーの2視点画像(左右画像)を取得し、これらの左右画像から特徴が一致する特徴点のずれ量(視差量)を画素毎に算出する。算出した視差量を3Dプリント用に調整した後、調整した視差量を補間して多視点画像(3視点以上の画像、例えば6視点画像)を生成する。画像処理部53は、R、G、Bの多視点画像を、更にY、M、Cに色変換し、色変換された多視点画像から各視点ごとのY信号、M信号、及びC信号を生成する。
【0054】
また、画像処理部53は、Y信号、M信号、及びC信号のピッチとレンチキュラーシート100のピッチAとが異なる場合には、レンチキュラーシート100のピッチAに応じてY信号、M信号、及びC信号を補正する。
【0055】
尚、画像処理部53で行う処理を、入出力部59を介して接続されたPC90で行い、その結果を後述の入出力部59を介して受信するようにしてもよい。
【0056】
センサ54は、図4に示した光学センサ40を含み、それぞれ検出した検出信号をシステム制御部50に出力する。
【0057】
また、センサ54は、レンチキュラーシート100に記録された検知用パターン103(後に詳述)を検出し、検出した検出信号をシステム制御部50に出力する。システム制御部50は、検出信号に基づいてレンチキュラーシート100の搬送路に対するレンチキュラーシート100の回転量(斜行量)、レンズピッチ、印画開始位置等を検出する。
【0058】
インクリボン制御部55は、図1に示したリボンケージ12を回転させるガトリング機構(図示せず)と、リボンケージ12に配設された巻取りリール16、供給リール18を駆動するリール駆動機構とを含むインクリボン機構を制御する。インクリボン制御部55は、リボンケージ12を回転させると共に、インクリボンの給送を行う。
【0059】
操作部56は電源スイッチ、プリント開始スイッチ、プリント枚数等を設定するスイッチ等から構成され、操作部56での操作による信号は、システム制御部50に入力される。
【0060】
モニタ部57は、液晶表示デバイス等の表示デバイスによって構成されている。
【0061】
メモリ部58は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)を含んで構成されている。
【0062】
入出力部59は、PC(パーソナルコンピュータ)90等の外部デバイスとの間で通信を行う。
【0063】
シート搬送制御部60は、図1に示した搬送ローラ22、キャプスタン24、クランパ30、駆動モータ44を含むシート搬送機構を制御する。シート搬送制御部60は、レンチキュラーシート100の挿入時に挿入されたレンチキュラーシート100をプラテンローラ20へ搬送するとともに、サーマルヘッド14による印画時にレンチキュラーシート100を平行移動させる搬送を行う。
【0064】
シートサイズ判定部61は、レンチキュラーシート100の印画可能サイズを判定する。
【0065】
画像サイズ判定部62は、レンチキュラーシート100に印画される画像の印画サイズを判定する。
【0066】
付加情報処理部63は、付加情報を生成して、その付加情報をレンチキュラーシート100に付加する。
【0067】
付加情報としては、残り印画可能サイズ、検知用パターン(レンズ位置情報)、視点位置情報(レンズ内位置情報)、レンズピッチ情報を含む。
【0068】
残り印画可能サイズは、多視点画像の印画が中止された場合における、レンチキュラーシート100の残り印画可能領域の最大サイズを示す。
【0069】
検知用パターンは、レンチキュラーシート100にてレンズの長手方向と平行な形状のパターンであって、受容層102にて、印画中止したレンズ位置の次行(または次行以降)のレンズ位置に、印画される。即ち、検知用パターンを読み取ることによって、残り印画可能領域の先頭のレンズ位置を検知することができる。検知用パターンは、例えば、受容層102に記録された1本の直線からなる。検知用パターンは、レンズ101aの長手方向と平行に記録される。なお、検知用パターンの長さは特に限定されず、短くてもよい。また、検知用パターンの本数は特に限定されず、複数本であってもよい。
【0070】
視点位置情報は、検知用パターンの位置が、ひとつレンズに対応する複数視点のうち何番目の視点位置であるかを示す。
【0071】
レンズピッチ情報は、レンズの配置ピッチ(谷と谷との間の距離、図1のA)を示す。
【0072】
サーマルヘッド14は、レンチキュラーシート100の搬送方向と直交する方向に多数の発熱素子が配列されている。システム制御部50は、メモリ部58に格納された印画データに基づいて、1ラインごとに印画データに対応する濃度となるようにヘッドドライバ51を介して各発熱素子の温度を制御し、インクリボンのインクを昇華させてレンチキュラーシート100に転写させ、続いてシート搬送制御部60によりレンチキュラーシート100を1ライン分送り、以下同様にして次々と各ラインの熱転写を行わせる。
【0073】
図5は、第1実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、図4のプリント装置10aのシステム制御部50により行われる。
【0074】
ステップS101にて、入出力部59によりPC90から2視点画像(左右視点画像)を取得し、画像処理部53により2視点画像からプリント用の多視点画像を生成して、メモリ部58に格納する。具体的には、各視点ごとのY,M,C信号を生成してメモリ部58に記憶する。PC90にて多視点画像を生成してもよい。
【0075】
ステップS102にて、シート搬送制御部60により、レンチキュラーシート100をプリント装置10aの内部に搬送するとともに、シートサイズ判定部61により、レンチキュラーシート100の最大印画可能サイズを判定する。
【0076】
ステップS103にて、シート搬送制御部60により、レンチキュラーシート100のレンズ長手方向とサーマルヘッド14の走査方向とを平行にして、レンチキュラーシート100の印画開始位置を決める。レンズピッチが可変である場合には、レンズピッチを検出する。
【0077】
ステップS104にて、メモリ部58から多視点画像を読み込み、サーマルヘッド14により、レンチキュラーシート100の端部から印画を開始する。即ち、画素数、視点数、各画素の色などに応じて、レンチキュラーシート100にインクリボン110のインクを転写する。
【0078】
ステップS105にて、印画を中止するか否かを判定する。例えば、操作部56にて印画中止指示が入力されたときや、PC90から印画中止信号を受信したときには、印画中止と判定して、システム制御部50の制御によりサーマルヘッド14による画像の印画を中止させる。印画を中止しなかった場合にはステップS109に進み、印画を続ける場合にはステップS105に戻る。
【0079】
印画を中止した場合、ステップS106にて、付加情報処理部63により、画像のどこまで印画したかを求めて、残り印画可能サイズを求める。即ち、レンチキュラーシート100の未印画部分での印画可能な最大サイズを求める。例えば、レンズ本数を単位とした残り印画可能サイズは、次式により算出される。
【0080】
[数1]
残り印画可能サイズ=(最初のレンチキュラーシートの最大印画可能サイズにおけるレンズ本数)−(印画済画素領域におけるレンズ本数)
ステップS107にて、付加情報処理部63により、検知用パターンがレンチキュラーシート100のレンズのうち何番目の視点位置であるかを示す視点位置情報を求める。例えば、検知用パターンの印画位置にて、現在のサーマルヘッド14がレンズに対してどの位置に対向しているかを求めることで、視点位置情報を求める。レンズのどの位置に対向しているかは、どの視点まで印画したかに基づいて求まる。
【0081】
ステップS108にて、サーマルヘッド14により、付加情報をレンチキュラーシート100に印画する。本例では、まず、検知用パターンを印画し、次に、レンチキュラーシート100をレンズ1ライン分搬送して、残り印画可能サイズ、検出用パターンの位置情報、および、レンズピッチ情報を印画する。
【0082】
付加情報を印画したレンチキュラーシートの一例を図6に示す。図6にて、符号200の画像を印画中であったとする。この画像の印画を中止したとき、本例では、符合201の領域に、残り印画可能サイズ202と検知用パターン203とを印画する。縦方向の符号209の各線は、レンズ間の谷を示す。本例の残り印画可能サイズ202は、最大「2L」サイズ(127×180m2)の印画が可能であることを示している。また、本例では、検知用パターン203が視点位置情報およびレンズピッチ情報を含んでおり、点線の長さにより、何番目の視点位置であるか、およびレンズピッチを示す。点線の個数により視点位置およびレンズピッチを表すようにしてもよい。
【0083】
以上説明したように付加情報を印画中止シートに付加すれば、印画中止シートを再度プリント装置にセットし直して印画するとき、付加情報があればプリント開始までの前処理時間を短縮することができるとともに、印画精度向上も行なえる。なお、付加情報として、残り印画可能サイズ、検出用パターン、視点位置情報、および、レンズピッチ情報の全てを印画中止シートに付加する場合を例に説明したが、そのような場合に本発明は特に限定されない。残り印画可能サイズおよび検出用パターンのうち少なくとも一方が付加されていれば、残り印画可能領域を検出することが可能である。もっとも、レンズの傾き調整のための前処理を短縮する観点からは、少なくとも検出用パターンが付加されていることが、望ましい。また、残り印画可能サイズの測定や算出を不要にする観点から、少なくとも残り印画可能サイズが付加されていることが、望ましい。残り印画可能サイズおよび検出用パターンの両方が少なくとも付加されていることが、より望ましい。
【0084】
次に、第2実施形態について説明する。
【0085】
図7は、第2実施形態におけるプリント装置10bの要部ブロック図である。なお、図7にて、図4に示した第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0086】
本実施形態のプリント装置10bは、レンチキュラーシート100に印画された付加情報の位置およびその付加情報の色に対応した部分を有する画像をメモリ部58から検索する画像検索部64を備える。システム制御部50は、検索された画像を、サーマルヘッド14により付加情報の上に印画する。
【0087】
また、本実施形態にて、センサ54は、レンチキュラーシート100から付加情報を読み取る。
【0088】
図8は、第2実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、プリント装置10bのシステム制御部50により行われる。
【0089】
ステップS202にて、シート搬送制御部60により、レンチキュラーシート100をプリント装置10bの内部に搬送するとともに、センサ54により、レンチキュラーシート100の端部を読み取る。
【0090】
ステップS203にて、シート搬送制御部60により、さらにレンチキュラーシート100を搬送方向Fにて搬送して、センサ54により、レンチキュラーシート100から付加情報を読み取る。
【0091】
ステップS204にて、付加情報を読み取ることができたか否かを判定し、読み取ることができたときにはステップS205に進み、読み取ることができなかったときにはステップS210に進む。
【0092】
ステップS205にて、検出用パターンの読取結果に基づいて、レンチキュラーシート100のレンズ長手方向とサーマルヘッド14の走査方向とを平行にする。
【0093】
ステップS206にて、画像検索部64により、付加情報の印画位置と同じ位置が同じ色である画像を、メモリ部58から検索する。
【0094】
例えば、図9に示すように、レンチキュラーシート100の端部から印画方向に沿って印画中に印画を中止して、付加情報を印画した場合、その付加情報の位置および色(本例では黒)に対応した部分を有する画像321を検索する。即ち、付加情報201の印画領域幅Waに対応する領域が付加情報の色と同じである画像321を検索する。
【0095】
ステップS207にて、検索できたか否かを判定し、検索できた場合にはステップS208に進み、存在しない場合にはステップS209に進む。
【0096】
ステップS208では、付加情報に基づいて、レンチキュラーシート100の付加情報の上に画像を印画するようにレンチキュラーシート100の印画開始位置を決め、レンチキュラーシート100の付加情報の上に画像を印画する。
【0097】
付加情報の印画位置および色に対応した画像が存在しない場合、ステップS209にて、付加情報に基づいて、レンチキュラーシート100の付加情報を避けて画像を印画するようにレンチキュラーシート100の印画開始位置を決め、レンチキュラーシート100の付加情報を避けて画像を印画する。
【0098】
付加情報を読み取ることができなかった場合、ステップS210にて、レンズ長手方向、レンズ位置およびレンズピッチを測定し、その測定結果に基づいて、レンチキュラーシート100のレンズ長手方向とサーマルヘッド14の走査方向とを平行にする。
【0099】
ステップS211にて、測定結果に基づいて、レンチキュラーシート100の印画開始位置を決め、画像をレンチキュラーシート100に印画する。
【0100】
本実施形態によれば、付加情報の位置および色に対応した部分を有する画像を付加情報の上から印画しても、付加情報は外部に現われないので、印画中止シートの利用効率を向上させることができる。
【0101】
次に、第3実施形態について説明する。
【0102】
図10は、第3実施形態におけるプリント装置10cの要部ブロック図である。なお、図10にて、図4に示した第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0103】
本実施形態のプリント装置10cは、レンチキュラーシート100の一部を切除するシート切除部65を備える。
【0104】
本実施形態の付加情報処理部63は、シート切除部65によりレンチキュラーシート100の一部を切除することで、レンチキュラーシート100に付加情報を付加する。
【0105】
図11は、第3実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、プリント装置10cのシステム制御部50により行われる。
【0106】
ステップS301〜S306は、第1実施形態におけるステップS101〜S106と、同様である。
【0107】
ステップS307にて、シート切除部65により、残り印画可能サイズ(レンチキュラーシート100の残り部分で印画可能な最大サイズ)を示す形状で、レンチキュラーシート100を切除する。切除の態様は特に限定されず、例えば、切り取って切り欠きを形成してもよいし、切り抜いて切りぬき穴を形成してもよい。
【0108】
図12の符号231は、印画中止直後のレンチキュラーシートの一例を示す。
【0109】
図12の符号232は、印画済部分に、付加情報として切り抜き穴233を形成したレンチキュラーシートの一例を示す。本例にて、シート切除部65は、残り印画可能サイズに対応した個数で、切り抜き穴を形成する。
【0110】
図12の符号234は、印画済部分に、付加情報として略長方形状の切り欠き235を形成したレンチキュラーシートの一例を示す。本例にて、シート切除部65は、残り印画可能サイズに対応した形状で、切り欠きを形成する。
【0111】
本実施形態によれば、シートの切除形状(即ち端部形状)により付加情報を表現することで、付加情報をシートの残り部分に印画する場合と比較して、シートの残りの部分を有効に利用することができる。
【0112】
次に、第4実施形態について説明する。
【0113】
図13は、第4実施形態におけるプリント装置10dの要部ブロック図である。なお、図13にて、図4に示した構成要素には同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0114】
本実施形態のプリント装置10dは、メモリ部58に記憶されている画像の表示順番を変更する画像順番変更部66を備える。
【0115】
本実施形態のモニタ部57は、システム制御部50の制御により、メモリ部58に記憶されている複数の画像を印画予定の順番に表示する。
【0116】
画像順番変更部66は、モニタ部57に表示された画像の表示順番と異なる順番で印画された場合、印画結果に応じてモニタ部57に表示する画像の表示順番(画像表示順番)を変更する。画像のファイル番号を変更してもよい。
【0117】
また、本実施形態の画像検索部64は、残り印画可能領域サイズ(残り印画可能サイズ)以下の印画サイズが設定されている画像を、メモリ部58から検索する。
【0118】
図14は、第4実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、プリント装置10dのシステム制御部50により行われる。
【0119】
ステップS401は、第1実施形態におけるステップS101と同様である。
【0120】
モニタ部57には、メモリ部58に記憶されている複数の画像が、図15(A)に示すように、印画予定順番で表示される。即ち、操作部56によりユーザが最初に印画開始指示を入力したときの印画予定の順番で表示される。
【0121】
ステップS402にて、シート搬送制御部60により、レンチキュラーシート100を搬送し、センサ54により、レンチキュラーシート100から付加情報を読み取る。
【0122】
ステップS403にて、残り印画可能サイズがレンチキュラーシート100に付加されているか否かを判定し、付加されていた場合にはステップS404に進み、付加されていなかった場合にはステップS410に進む。
【0123】
例えば、図15(B)に示すように、印画中止により付加情報が付加されたレンチキュラーシート100がプリント装置10dの内部に搬送された場合には、ステップS404に進む。
【0124】
ステップS404にて、画像検索部64により、残り印画可能サイズ以下の印画サイズが設定されている印画予定画像をメモリ部58から検索する。
【0125】
ステップS405にて、検索条件に一致する画像が存在するか否かを判定し、存在する場合にはステップS406に進み、存在しない場合にはステップS412に進む。
【0126】
例えば、付加情報の残り印画可能サイズが「L」サイズであった場合、図15(A)に示した未印画であって印画中止画像よりも順番が後ろの画像(例えば順番2〜8の画像)のうち、順番6の画像の印画サイズが「L」であれば、その順番6の画像が検索されて、ステップS406に進む。
【0127】
ステップS406にて、検出用パターンがレンチキュラーシート100に付加(印画)されているか否かを判定し、付加されていた場合にはステップS407に進み、付加されていなかった場合にはステップS413に進む。
【0128】
ステップS407にて、検出用パターンに基づいて、レンチキュラーシート100のレンズ長手方向とサーマルヘッド14の走査方向とを平行にするとともに、レンチキュラーシート100の印画開始位置とレンズピッチを決める。
【0129】
ステップS408にて、メモリ部58から、画像を読み込み、サーマルヘッド14により、レンチキュラーシート100に印画する。
【0130】
ステップS409にて、画像順番変更部66により、印画結果に応じてモニタ部57に表示する順番(またはファイル番号)を変更する。例えば、図15(A)の順番6の画像が印画された場合、図15(C)に示すように、表示順番が変更される。
【0131】
ステップS403の判定で残り印画可能サイズがレンチキュラーシート100に付加されていなかった場合、ステップS410にて、レンチキュラーシート100のレンズ長手方向とサーマルヘッド14の走査方向とを平行にし、レンチキュラーシート100を測定を測定することで、印画開始位置とレンズピッチを決める。次に、ステップS411にて、メモリ部58から、画像データを読み込み、サーマルヘッド14により、レンチキュラーシート100に印画する。
【0132】
ステップS405の判定で検索条件に一致する画像が存在しなかった場合、ステップS412にて、レンチキュラーシート100を排出する。
【0133】
ステップS406の判定で検出用パターンがレンチキュラーシート100に付加されていなかった場合、ステップS413にて、レンチキュラーシート100のレンズ長手方向とサーマルヘッド14の走査方向とを平行にし、レンチキュラーシート100を測定することで、印画開始位置とレンズピッチを決め、ステップS408に進む。
【0134】
本実施形態によれば、シート利用効率が向上する。
【0135】
なお、プリント装置10dにて画像を表示する場合を例に説明したが、PC90にて画像を表示する場合にも、本発明を適用できる。例えば、画像を記憶する記憶手段および画像検索部64をPC90によって構成し、PC90に付加情報を送信して、PC90で画像検索を行う。これにより、PC操作者の混乱を避けることができる。
【0136】
次に、第5実施形態について説明する。
【0137】
図16は、第5実施形態におけるプリント装置10eの要部ブロック図である。なお、図16にて、図4に示した第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0138】
本実施形態にて、インクリボンは、図17(A)に示すように、付加情報を印画するための色(付加情報印画色)の領域350(以下「付加情報用領域」という)が周期的に配置されている。Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)のインクリボンのうち少なくとも1色以上のインクリボン110に、例えば黒の付加情報用領域350を周期的に配置する。
【0139】
図17(B)は、Y、M、C各色の純印画用領域を1ロールにしたインクリボンであって、各色の純印画領域351、352、353間に、付加情報用領域350を配置したものを示す。なお、インクリボンのうち付加情報用領域以外の各色(本例ではY、M、C)ごとの領域(各色の純印画用領域)の搬送方向における幅(Wy、Wm、Wc)は、本プリント装置10eで印画可能な画像の最大印画幅に対応している。
【0140】
図17(C)は、Y、M、C各色の純印画用領域を1ロールにしたインクリボンであって、Y、M、Cの一組の純印画用領域354ごとに、付加情報用領域350を配置したものを示す。本例の付加情報用領域350は、C色領域とY色領域との間に配置されている。なお、Wy、Wm、Wcは、本プリント装置10eで印画可能な画像の最大印画幅に対応している。
【0141】
本実施形態のシステム制御部50は、印画中止時に、インクリボン制御部55を制御し、インクリボン110の付加情報用領域350を用いて、レンチキュラーシート100に付加情報を印画させる。
【0142】
図18は、第5実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、プリント装置10eのシステム制御部50により行われる。
【0143】
ステップS501〜S507およびS509は、第1実施形態の図5におけるステップS101〜S107およびS109と、同様である。
【0144】
本実施形態では、ステップS508にて、インクリボン制御部55により、インクリボン110の付加情報用領域350をサーマルヘッド14の印画位置に位置あわせして、サーマルヘッド14により、付加情報をレンチキュラーシート100に印画する。
【0145】
なお、付加情報用の色の領域を、純印画用の複数のリボン(Yリボン、Mリボン、Cリボン)のうち、いずれかひとつのリボンにのみ配置することで、インクリボン交換時期の短縮を図ることができる。
【0146】
次に、第6実施形態について説明する。
【0147】
図19は、第実施形態におけるプリント装置10fの要部ブロック図である。なお、図Kにて、図4に示した第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0148】
本実施形態の付加情報処理部63は、レンチキュラーシート100のうち画像未印画領域のシート搬送方向における両端部に、付加情報を印画する。
【0149】
図20(A)は印画済部分を切り取らずに残した場合における印画中止シートを示し、図20(B)は印画済部分を切り取った場合における印画中止シートを示す。いずれの場合も、画像未印画領域360のシート搬送方向Fにおける両端部に付加情報が印画されている。なお、図20(A)および(B)では検出用パターンのみ例示したが、残り印画可能サイズも印画してよい。
【0150】
図18は、第6実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、プリント装置10fのシステム制御部50により行われる。
【0151】
例えば、図20(C)に示すように、シートトレイ68には、両端部に付加情報が付加されたレンチキュラーシート100がセットされる。
【0152】
ステップS601〜S607およびS610は、第1実施形態におけるステップS101〜S107およびS109と、同様である。
【0153】
ステップS608にて、サーマルヘッド14により、レンチキュラーシート100の画像未印画領域のシート搬送方向における一端部に付加情報を印画する。
【0154】
ステップS609にて、シート搬送制御部60により、シート端部が印画位置となるまでレンチキュラーシート100を搬送し、サーマルヘッド14により、付加情報を印画する。即ち、レンチキュラーシート100の画像未印画領域のシート搬送方向における他端部に付加情報が印画される。
【0155】
本実施形態によれば、プリント装置にレンチキュラーシートをセットするときに、どちらの端部からでも直ぐにセンサで付加情報を読み取ることができる。従って、レンチキュラーシートの全域をセンサで走査しなくてもよくなり、印画開始までの前処理時間を短縮することができる。
【0156】
次に、第7実施形態について説明する。
【0157】
図22は、第7実施形態におけるプリント装置10gの要部ブロック図である。なお、図22にて、図4に示した第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0158】
本実施形態のプリント装置10gは、レンチキュラーシート100のうち印画中止までに既に印画した領域であって白色で印画する予定であった領域(以下「白印画領域」という)を検出する白印画領域検出部67を備える。
【0159】
本実施形態の付加情報処理部63は、サーマルヘッド14により、レンチキュラーシート100のうち白印画領域に、付加情報を印画させる。
【0160】
さらに、付加情報処理部63は、サーマルヘッド14により、レンチキュラーシート100の端部に、付加位置情報を印画させる。ここで、付加位置情報は、レンチキュラーシート100における付加情報の印画位置を示す。
【0161】
図23は、第7実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、プリント装置10gのシステム制御部50により行われる。
【0162】
ステップS701〜S706およびS713は、第1実施形態におけるステップS101〜S106およびS109と、同様である。
【0163】
ステップS707にて、白印画領域検出部67により、レンチキュラーシート100のうち印画中止までに既に印画した範囲内に、白色で印画する予定であった領域(白印画領域)を検出する。例えば、図24(A)に示す画像370の印画を中止したとして、図24(B)の例えば符号371で示す領域が白印画領域である。このような白印画領域371が検出された場合にはステップS708に進み、検出されなかった場合にはステップS711に進む。
【0164】
ステップS708にて、シート搬送制御部60により、レンチキュラーシート100の白印画領域にサーマルヘッド14を相対的に移動させるとともに、現在のサーマルヘッド14がレンズのどの位置に対応しているのかを求めることで視点位置情報を算出する。
【0165】
ステップS709にて、サーマルヘッド14により、レンチキュラーシート100の白印画領域371に、付加情報を印画する。図24(C)は、白印画領域371に印画された付加情報の一例を示す。本例では、残り印画可能サイズ(「2L」サイズ)と検出用パターンとを印画し、検出用パターンには視点位置情報とレンズピッチ情報が含まれる。視点位置情報は、検出用パターンがレンズのうち何番目の視点位置に印画されているかを示す。
【0166】
ステップS710にて、シート搬送制御部60により、レンチキュラーシート100の端部にサーマルヘッド14を相対的に移動させるとともに、レンチキュラーシート100の端部に、付加情報の印画位置を示す情報(付加位置情報)印画する。図24(D)は、シート端部領域372に印画された付加位置情報の一例を示す。本例では、レンズの長手方向と平行なパターンにより、付加位置情報を表している。
【0167】
白印画領域が検出されなかった場合、ステップS711にて、付加情報処理部63により、現在のサーマルヘッド14がレンズのどの視点位置に対応しているのか算出し、算出結果を視点位置情報とする。
【0168】
ステップS712は、第1実施形態におけるステップS108と、同様である。即ち、印画中止位置近傍に、付加情報(残り印画可能サイズ、検出用パターン、視点位置情報、レンズピッチ情報)を印画する。視点位置情報は、検出用パターンがレンズのうち何番目の視点位置に印画されているかを示す。
【0169】
なお、熱昇華型のプリント装置を例に説明したので、Y,M,Cのいずれかの色を印画途中で印画中止した場合、印画中止時における白印画領域は無色(透明)である。インクジェット型のプリント装置などで、例えばシングルパスで印画する場合には、印画中止時における白印画領域は一般に白色である。
【0170】
次に、第8実施形態について説明する。
【0171】
図25(A)は、第8実施形態におけるプリント装置10hの外観を示す斜視図である。
【0172】
図25(A)に示すように、本実施形態のプリント装置10hは、印画を中止されたレンチキュラーシート(以下「印画中止シート」という)および未印画のレンチキュラシート(以下「未印画シート」という)がセットされるシートトレイ68を備える。このシートトレイ68には、シートトレイ68にセットされた各レンチキュラーシート100の端部の輝度を検知する輝度検知センサ69が配置されている。本例の輝度検知センサ69は、シートトレイ68に配置されており、レンチキュラーシート100の上端部(搬送方向上流側)を読み取る。
【0173】
図26は、第8実施形態におけるプリント装置10hの要部ブロック図である。なお、図26にて、図4に示した第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0174】
本実施形態のプリント装置10hは、輝度検知センサ69で検出されたレンチキュラーシート100の輝度に基づいて、シートトレイ68に印画中止シートが存在するか否かを判定する印画中止シート判定部70を備える。
【0175】
また、本実施形態のシート搬送制御部60は、印画中止シート判定部70によりシートトレイ68に印画中止のレンチキュラーシートが存在すると判定された場合、未印画のレンチキュラーシート100を未印画のまま排出して印画中止のレンチキュラーシートをシートトレイ68に残す。
【0176】
本実施形態のシステム制御部50は、未印画シート以外(即ち印画中止シート)を優先的に印画する制御を行う。
【0177】
図27は、第8実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、本実施形態のプリント装置10hのシステム制御部50により行われる。
【0178】
ステップS802にて、輝度検知センサ69により、レンチキュラーシート100の一端部(即ち必ず最初に印画される部分)の輝度を検知する。
【0179】
ステップS803にて、印画中止シート判定部70により、輝度検知センサ69で検知されたレンチキュラーシート100の輝度に基づいて、シートトレイ68に印画中止シートが存在するか否かを判定する。印画中止シートが存在する場合にはステップS807に進み、印画中止シートが存在しない場合にはステップS804に進む。
【0180】
ステップS804〜S806は、第1実施形態におけるステップS102〜S104と、同様である。
【0181】
ステップS807にて、シート搬送制御部60により、印画中止シートをプリント装置10hの内部に搬送するとともに、装置内部のセンサ54により、印画中止シートの場合には付加情報を読み取る。
【0182】
ステップS808にて、レンチキュラーシート100が印画中止シートであるか否かを判定し、印画中止シートである場合にはステップS805に進み、未印画シートである場合にはステップS809に進む。
【0183】
ステップS809にて、シート搬送制御部60により、未印画シートを排出する。
【0184】
図25(B)は、輝度検知センサ69をプリント装置10hの本体のうちレンチキュラーシート100の挿入口に配置し、レンチキュラーシート100の下端部(搬送方向下流側)を読み取るた場合を示す。印画中止シートと判定されなかったレンチキュラーシート100(未印画シート)は、排出される。
【0185】
本実施形態によれば、優先的に印画中止シートが使用される。
【0186】
次に、第9実施形態について説明する。
【0187】
図28は、第9実施形態におけるプリント装置10iの要部ブロック図である。なお、図28にて、図26に示した第8実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0188】
本実施形態のプリント装置10iは、シートトレイ68にセットされたレンチキュラーシート100の中に印画中止シートが存在すると判定された場合、メモリ部58に記憶された画像の中から印画サイズがフルサイズ(未印画シートで印画可能な最大サイズ)よりも小さい画像を検索する画像検索部64と、画像の印画順番を管理する印画順番管理部71とを備える。印画順番管理部71は、画像検索部64により検索された画像(即ち印画サイズがフルサイズよりも小さい画像)を印画順番の先頭に移動する。
【0189】
図29は、第9実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、本実施形態のプリント装置10iのシステム制御部50により行われる。
【0190】
なお、図30(A)に示すように、第8実施形態と同様、本実施形態のプリント装置10iは、シートトレイ68に輝度検知センサ69が配設されている。シートトレイ68にセットされた複数枚のレンチキュラーシート100の中に少なくとも1枚以上の印画中止シートが入っているものとして、以下説明する。
【0191】
ステップS902〜S907は、第8実施形態のステップS802〜S807と同様であり、説明を省略する。
【0192】
ステップS908にて、レンチキュラーシート100が印画中止シートであるか否かを判定する。
【0193】
本例では、シートトレイ68に配設された輝度検知センサ69により、レンチキュラーシート100に低輝度部分(印画部分)があると判定した場合、印画中止シートがあると判定する。
【0194】
未印画シートである場合にはステップS909に進み、シート搬送制御部60により、未印画シートを排出する。
【0195】
印画中止シートである場合にはステップS910に進み、画像検索部64により、印画予約された画像の中に未印画シートで印画可能なフルサイズよりも小さい画像を検索する。つまり、フルサイズ印画指定以外の画像を検索する。
【0196】
ステップS911にて、印画順番管理部71により、印画サイズがフルサイズよりも小さい全ての画像(即ち検索された全ての画像)を印画順番の先頭に移動する。つまり、フルサイズ印画指定以外の画像を印画順番の先頭に集めるように、印画順番の変更を行う。
【0197】
例えば、図30(B)に示すような印画予約順番であり、順番6の画像のみ印画サイズが「L」サイズ指定であって他の画像は印画サイズが全て「2L」サイズ(本例のフルサイズ)指定であったとすると、図30(C)に示すように、印画中止シートでも印画可能性が有る順番6の画像を印画予約順番の先頭に移動する。
【0198】
ステップS912にて、印画順番の先頭の画像を印画中止シートで印画できるか否かを判定する。本例では、画像の印画サイズが残り印画可能サイズ以下であるか否かを判定する。印画中止シートで印画できると判定した場合にはステップS905に進み、印画中止シートで印画できないと判定した場合にはステップS913に進む。
【0199】
ステップS913にて、印画順番管理部71により、印画中止シートで印画できない予約画像の順番を印画中止シートで印画できる予約画像の後ろに下げる。
【0200】
なお、印画順番管理部による印画順番の変更は、印画中止シート以外のレンチキュラーシート(即ち未印画シート)の排出処理の前後もしくは排出中のいずれに行ってもよい。
【0201】
また、図30(D)に示すように、プリント装置10hの本体に輝度検知センサ69を配設してもよい。印画中止シートと判定されなかったレンチキュラーシート100(未印画シート)は、排出される。
【0202】
以上説明したように、本実施形態では、印画予約された複数の画像の中からフルサイズよりも小さい印画サイズの画像を検索し、検索した画像を印画順番の先頭に集めるように印画順番の変更を行うことで、印画中止シートでも印画可能な印画サイズが設定された画像を優先的に印画する。
【0203】
次に、第10実施形態について説明する。
【0204】
図31は、第10実施形態におけるプリント装置10jの要部ブロック図である。なお、図31にて、図26に示した第8実施形態と同じ構成要素には、同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0205】
本実施形態のシート搬送制御部60は、シートトレイ68にセットされたレンチキュラーシート100の中に印画中止シートが存在すると判定された場合、印画中止シートを排出して未印画シートをシートトレイ68に残す。
【0206】
本実施形態のシステム制御部50は、印画中止シート以外(即ち未印画シート)を優先的に印画する制御を行う。
【0207】
図32は、第10実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、本実施形態のプリント装置10jのシステム制御部50により行われる。
【0208】
ステップS1002〜S1007は、第8実施形態のS802〜S807と同様である。
【0209】
ステップS1008にて、レンチキュラーシートが印画中止シートであるか否かを判定し、未印画シートである場合にはステップS1005に進み、印画中止シートである場合にはステップS1009に進む。
【0210】
ステップS1009にて、図33に示すように、シート搬送制御部60により、印画中止シートを印画せずに排出する。
【0211】
その一方で、未印画シートである場合には、印画された後、排出される。
【0212】
本実施形態によれば、未印画シートの印画を優先することで、印画速度を向上させることができる。印画中止シートは、非定型印画となるため、印画速度が落ちる可能性があるからである。
【0213】
次に、第11実施形態について説明する。
【0214】
図34は、第11実施形態におけるプリント装置10kの要部ブロック図である。なお、図34にて、図26に示した第8実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、説明済みの事項についてはその説明を省略する。
【0215】
本実施形態のプリント装置10kは、印画中止シートが検出されるまでフルサイズ未満の画像を印画しないように印画順番を制御する印画順番制御部72を備える。
【0216】
図35は、第11実施形態におけるプリント処理の一例の流れを示すフローチャートである。当該処理は、本実施形態のプリント装置10kのシステム制御部50により行われる。
【0217】
図36(A)に示すように、シートトレイ68に印画中止シートがある場合には、輝度検知センサ69により印画中止シートが検知される。図36(B)に示すように、シートトレイ68に印画中止シートが無い場合には、輝度検知センサ69により印画中止シートは検出されない。
【0218】
ステップS1102にて、印画順番をカウントするためのカウンタnに初期値をセットする。
【0219】
ステップS1103にて、印画順番が第n番目の画像の印画サイズがフルサイズ未満であるか否かを判定する。フルサイズ未満である場合にはステップS1104に進み、フルサイズである場合にはステップS1108に進む。
【0220】
ステップS1104にて、印画中止シート判定部70により印画中止シートを検出したか否かを判定する。印画中止シートを検出した場合にはステップS1105に進み、印画中止シートを検出しなかった場合にはステップS1107に進む。
ステップS1105〜S1106は、第10実施形態のS1005〜S1006と同様である。
【0221】
ステップS1107にて、カウンタnを+1する。
【0222】
ステップS1108にて、印画中止シート判定部70により印画中止シートを検出したか否かを判定する。印画中止シートを検出しなかった場合にはステップS1105に進み、印画中止シートを検出した場合にはステップS1107に進む。
【0223】
例えば図36(C)に示すように、3枚の印画予約があったとする。ここで、順番1の画像のみ印画サイズが「L」であり、順番2および順番3の画像の印画サイズは「2L」(本例のフルサイズ)である。印画予約画面はプリント装置10kおよびPC90のうちいずれでもよい。
【0224】
図36(D)は、シートトレイ68の1枚目が未印画シート且つ2枚目が印画中止シート且つ3枚目が未印画シートであった場合の印画の様子を示す。1枚目のレンチキュラーシートは、未印画シートなので、印画サイズがフルサイズである第2画像412を印画する。2枚目のレンチキュラーシートは、印画中止シートなので、印画サイズがフルサイズ未満である第1画像411を印画する。3枚目のレンチキュラーシートは、残りの第3画像413を印画する。
【0225】
図36(E)は、シートトレイ68に印画中止シートが無い場合の印画の様子を示す。即ち、1〜3枚目のレンチキュラーシートは、全て未印画シートである。このような場合、印画サイズがフルサイズである第2画像412、第3画像413を、それぞれ1枚目、2枚目に印画し、第1画像は印画しないで待機する。
【0226】
本実施形態では、印画中止シートが検出されるまで、いわゆるシートフルサイズよりも小さい印画サイズが設定された画像は印画しない。従って、印画中止シートをできるだけ利用するようにすることができる。
【0227】
以上、発明の理解を容易にするため、第1実施形態から第11実施形態までに分けて説明したが、これらを組み合わせた態様で本発明を実施してもよいことは、言うまでもない。
【0228】
また、第5実施形態のみインクリボンを用いるプリント装置に関するが、他の実施形態(第1実施形態〜第4実施形態、第6実施形態〜第11実施形態)はインクリボンを用いない他のプリント装置(例えばインクジェットプリンタ)にも適用可能であることは、言
うまでもない。
【0229】
また、本明細書で説明したプリント装置の機能の一部を、パーソナルコンピュータやサーバコンピュータで実現する場合にも、本発明を適用可能である。即ち、本発明のプリント装置は、いわゆるプリンタと他のコンピュータデバイスとの組み合わせにより実現した場合を含む。
【0230】
本発明は、本明細書において説明した例や図面に図示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0231】
10…プリント装置、14…サーマルヘッド、53…画像処理部、54…センサ、55…インクリボン制御部、56…操作部、57…モニタ部、58…メモリ部、59…入出力部、60…シート搬送制御部、61…シートサイズ判定部、62…画像サイズ判定部、63…付加情報処理部、64…画像検索部、65…シート切除部、66…画像順番変更部、67…白印画領域検出部、68…シートトレイ、69…輝度検知センサ、70…印画中止シート判定部、71…印画順番管理部、72…印画順番制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のレンズが連続して形成されたレンズ面および該レンズ面の反対側の略平坦に形成された印画面を有するレンチキュラーシートを搬送するシート搬送手段と、
前記レンチキュラーシートの前記印画面に立体視可能な画像を印画する印画手段と、
前記印画手段による前記画像の印画を中止させる印画中止制御手段と、
前記画像の印画が中止された場合、前記レンチキュラーシートの残り印画可能領域を示す付加情報を前記レンチキュラーシートに付加する付加情報処理手段と、
を備えたことを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
前記付加情報処理手段は、前記レンズの長手方向と平行な形状のパターンを、前記レンチキュラーシートに付加することを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
【請求項3】
前記付加情報処理手段は、前記レンチキュラーシートの残り印画可能サイズを示すサイズ情報を、前記レンチキュラーシートに付加することを特徴とする請求項1または2に記載のプリント装置。
【請求項4】
前記付加情報処理手段は、前記パターンが前記レンズのうち何番目の視点位置に印画されているかを示す視点位置情報を、前記レンチキュラーシートに付加することを特徴とする請求項2に記載のプリント装置。
【請求項5】
前記付加情報処理手段は、前記レンチキュラーシートの前記レンズ面におけるレンズピッチ情報を、前記レンチキュラーシートに付加することを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項6】
前記レンチキュラーシートの一部分を切除する切除手段を備え、
前記付加情報処理手段は、前記切除手段により前記レンチキュラーシートの一部分を切除することで、前記レンチキュラーシートに前記付加情報を付加することを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項7】
前記レンチキュラーシートの前記印画面にインクを与えるためのインクリボンであって前記付加情報用の色の領域が周期的に配置されたインクリボンを制御するインクリボン制御手段を備え、
前記印画手段は、前記付加情報を印画する際、前記インクリボンの前記付加情報用の色の領域のインクを前記レンチキュラーシートに転写することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項8】
前記インクリボンのうち付加情報用領域以外の各色ごとの領域の搬送方向における幅は、本プリント装置で印画可能な画像の最大幅に対応していることを特徴とする請求項7に記載のプリント装置。
【請求項9】
前記付加情報処理手段は、前記レンチキュラーシートのうち画像未印画領域のシート搬送方向における両端部に、前記付加情報を印画することを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項10】
前記付加情報処理手段は、前記レンチキュラーシートのうち印画中止までに既に印画した領域であって白色で印画する予定であった領域に、前記印画手段により前記付加情報を印画させることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項11】
前記付加情報処理手段は、前記レンチキュラーシートにおける前記付加情報の印画位置を、前記レンチキュラーシートの端部に印画することを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項12】
前記レンチキュラーシートがセットされるシートトレイと、
前記シートトレイに印画中止のレンチキュラーシートが存在するか否かを判定する印画中止シート判定手段と、を備え、
前記シート搬送制御部は、前記シートトレイにセットされた前記レンチキュラーシートの中に前記印画中止のレンチキュラーシートが存在すると判定された場合、未印画のレンチキュラーシートを未印画のまま排出して前記印画中止のレンチキュラーシートを前記シートトレイに残すことを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項13】
前記レンチキュラーシートがセットされるシートトレイと、
前記シートトレイに印画中止のレンチキュラーシートが存在するか否かを判定する印画中止シート判定手段と、を備え、
前記シート搬送制御部は、前記シートトレイにセットされた前記レンチキュラーシートの中に前記印画中止のレンチキュラーシートが存在すると判定された場合、前記印画中止のレンチキュラーシートを排出して未印画のレンチキュラーシートを前記シートトレイに残すことを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項14】
前記レンチキュラーシートが印画中止されたシートであるか否かを判定する印画中止シート判定手段と、
前記印画中止のレンチキュラーシートが検出されるまで、前記未印画のレンチキュラーシートで印画可能なフルサイズ未満の画像を印画しないように印画順番を制御する印画順番制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項15】
前記印画手段で印画予定の複数の画像を記憶する記憶手段と、
前記レンチキュラーシートから前記付加情報を読み取る読取手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記複数の画像のうちから、前記残り印画可能領域のサイズ以下の印画サイズが設定されている画像を検索する画像検索手段と、を備え、
前記印画手段は、検索された前記画像を、印画中止された前記レンチキュラーシートに印画することを特徴とする請求項1ないし14のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項16】
前記印画手段で印画予定の複数の画像を記憶する記憶手段と、
前記レンチキュラーシートから前記付加情報を読み取る読取手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記複数の画像のうちから、前記レンチキュラーシートに印画された前記付加情報の位置および前記付加情報の色に対応した部分を有する画像を検索する画像検索手段と、を備え、
前記印画手段は、検索された前記画像を前記付加情報の上に印画することを特徴とする請求項1ないし14のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項17】
前記印画手段で印画予定の複数の画像を記憶する記憶手段と、
前記シートトレイにセットされた前記レンチキュラーシートの中に前記印画中止のレンチキュラーシートが存在すると判定された場合、前記記憶手段に記憶された画像の中から印画サイズが前記未印画のレンチキュラーシートで印画可能な最大サイズよりも小さい画像を検索する画像検索手段と、
前記画像の印画順番を管理する印画順番管理手段であって前記画像検索手段により検索された前記画像を印画順番の先頭に移動する印画順番管理手段と、
を備えたことを特徴とする請求項12に記載のプリント装置。
【請求項18】
前記記憶手段に記憶されている前記複数の画像を印画予定の順番に表示する表示手段と、
前記順番と異なる順番で印画された場合、印画結果に応じて前記表示手段に表示する前記画像の順番またはファイル番号を変更する順番変更手段と、
を備えたことを特徴とする請求項15ないし17のうちいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項19】
帯状のレンズが連続して形成されたレンズ面および該レンズ面の反対側の略平坦に形成された印画面を有するレンチキュラーシートを用意し、前記レンチキュラーシートの前記印画面に印画手段により立体視可能な画像を印画するプリント方法であって、
前記印画手段による前記立体画像の印画を中止させるステップと、
前記立体画像の印画が中止された場合、前記レンチキュラーシートの残り印画可能領域を示す付加情報を前記レンチキュラーシートに付加するステップと、
を備えたことを特徴とするプリント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2011−194729(P2011−194729A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64384(P2010−64384)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】