説明

プル作動式発泡ポンプ

【課題】分与される製品の容器と、この容器と組み合わせて製品を分与するためのポンプとを有する詰め替えユニットは、容器内に延びている往復ピストンポンプを有しているため、製品の容積はポンプが占める容積により低減される。
【解決手段】詰め替えユニット80は、液体を入れる容器20であって、肩部より延びている首部18を有し、首部が肩部より下に位置するようにディスペンサハウジングに収容される容器20と、容器に首部18で固定され、首部内に延びて容器内の液体とその入り口端部で連通する通路を確定するピストンハウジング12であって、肩部を超えて延びないように首部内に位置するピストンハウジング12と、ピストンハウジング12に関して非作動位置と作動位置との間で往復して液体を分与するピストン組立体14であって、肩部を超えて延びないようにしたピストン組立体14とからなる。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は2008年5月29日に出願された米国仮特許出願第61/130,191号の利益を享受するものであり、同出願は参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、発泡可能な液体と空気とを混合して泡製品を分与する発泡ディスペンサーの分野に属する。特に、本発明は、液体ポンプが液体を収容する使い捨て詰め替えユニットの一部分として設けられていると共に、空気ポンプがディスペンサーハウジングの一部分として設けられている発泡ディスペンサーに関する。本発明は、更に、一回のプルストロークで作動する液体ポンプを有する詰め替えユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの壁取付け型石鹸ディスペンサーはハウジングを包含し、このハウジングは、石鹸容器と、この容器と組み合わせて作動時に分与口から石鹸を分与するポンプ機構とを包含する詰め替えユニットを保持するように構成されている。ハウジングは壁に取り付けられ、ポンプは、壁方向に押されるプッシュバーの動きを介して作動される。分与口は、ポンプ機構の作動時にプッシュバーが横方向で分与口により近づくように、プッシュバーと壁との間に配置される。更に、分与注口は、典型的には作動時に上方に動くので、分与口をプッシュバーに対して垂直に引き上げる。プッシュバーと分与口との間のこの相対的動きにより、プッシュバーが分与時に石鹸を集めてしまうことがある。これは、泡状石鹸が分与された場合には特に問題である。それは、分与口から出る泡の流れが、泡及び泡自身の特性を生成するのに作用する物理的力により、幅広くあちらこちらに広がる傾向があるためである。プッシュバーに残った石鹸は細菌を増やす可能性があり、これはエンドユーザやディスペンサーの修理者と接触する可能性がある。
【0004】
プッシュバーが泡状石鹸の不規則な経路に近づき過ぎるのを避けるために、プッシュバーの形状を変更したものもいくらか見られるが、そのような変更はディスペンサーの製造コストを増大させ、プッシュバーの形状の意匠選択肢を制限する可能性がある。したがって、石鹸がディスペンサーのプッシュバーに集まるのを低減、好ましくはなくすように作動するポンプ機構を備える必要性がある。
【0005】
分与される製品の容器と、この容器と組み合わせて製品を分与するために作動するポンプとを包含する詰め替えユニットは、典型的には往復ピストンポンプを有し、このポンプのピストン部材はポンプの固定部分に関して往復動して、一定量の製品を捕捉し、その後で捕捉容積を分与管の内外に移動させる。詰め替えユニットの全体の設置面積を低減するために、これらの往復ピストンポンプの固定部分は、詰め替えユニットの容器内に延びていることが多い。その結果、容器内に保持できる製品の容積はポンプの要素が占める容積により低減される。更に、これらのポンプは、製品をポンプに引き込むために容器内の製品と連通する入口が必要なので、製品の液面がポンプへの入口より下である時に製品は廃棄されるか、あるいは容器の内容物の大部分がポンプへ引き込まれ得る位置にポンプへの入口を配置するように特別な構成にしなければならない。例えば、いくつかの詰め替えユニットでは、往復ピストンポンプの浸漬管は、詰め替え容器の底部近くに浸漬管の入口を配置するために180°曲がっている。他の詰め替えユニットでは、同様の効果のために、容器の下方領域と連通する導管を有するシュラウドが使用される。このことにより、廃棄される製品はほとんどなくなるが、ポンプ機構を容器の容積にまで延ばすことにより、容器に入れられる製品の量が減ることになる。したがって、当技術分野では、容器の容積内の無駄な空き容量を減らすことにより、容器の有用な容積を最大にし、ひいては容器に入れられる製品の量を最大にする必要性がある。
【0006】
詰め替えユニットが占める容積は、輸送に関しても考慮すべき点である。製品の輸送のために、所定の輸送で製品を輸送できる製品の量を最大にする必要がある。したがって、当技術分野では、詰め替えユニットの有用な容積を増やしても詰め替えユニットの許容できる輸送容積を維持する必要性がある。
【0007】
典型的には、石鹸ディスペンサーの詰め替えユニットの一部分として設けられた発泡ポンプには、空気ポンプ部分と液体ポンプ部分とが一体型で含まれる。詰め替えユニットは、空気ポンプ部分と液体ポンプ部分とから構成されているる発泡ポンプを有し、ディスペンサーハウジングは、詰め替えユニットと発泡ポンプを作動する要素とを保持する要素を有することになる。詰め替えユニットにある発泡ポンプの一部分として空気ポンプ部分を設けることは、必ずしもコスト効率が高いとは言えないことがわかった。空気ポンプ部分は、特に分与量の多いディスペンサーでは、詰め替えユニットのサイズ、重量、コストを増大させる。したがって、当技術分野では、詰め替えユニットの一部分として使い捨て液体ポンプ部を採用し、ディスペンサーハウジングの一部分としてより永続的な空気ポンプを採用する泡分与システムを備える必要性が生じる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、詰め替えユニットがディスペンサーために提供される。この詰め替えユニットは、液体を入れる容器と、この容器に固定されたポンプとを包含する。前記ポンプは、前記容器に固定されたピストンハウジングと、ピストン組立体とを包含し、前記ピストン組立体は、前記ピストンハウジング内に収容されて、前記ピストンハウジングに関して非作動位置と作動位置との間で往復動し、前記非作動位置から前記作動位置への移動が前記ポンプの出口で液体を分与させるようにする。この場合、前記ピストン組立体は、前記容器から離れる方向へ引くことで、前記非作動位置から前記作動位置へ移動される。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、選択的に詰め替えユニットを収容するディスペンサーハウジングを有するディスペンサーが提供される。この詰め替えユニットは、液体を入れる容器を包含し、この容器は肩部から延びている首部を包含する。前記容器は、前記首部を前記肩部より下にして前記ディスペンサーハウジング内に収容される。前記詰め替えユニットは、更に、前記容器に前記首部で固定され、前記首部まで延びて前記容器内の液体とその入口端部で連通する通路を画定する内壁を形成するピストンハウジングを包含する。前記入口端部は前記ピストンハウジングが前記肩部を越えて延びないように前記首部内に位置決めされ、液体が前記首部の少なくとも一部分を占めるようにする。前記詰め替えユニットは、更に、前記ピストンハウジング内に収容され、前記ピストンハウジングに関して非作動位置と作動位置との間で往復動して液体を分与するようにするピストン組立体を包含し、このピストン組立体は前記肩部を越えて延びず、液体が前記首部の少なくとも一部分を占めるようにする。
【0010】
本発明の更に他の実施形態によれば、選択的に詰め替えユニットを収容するディスペンサーハウジングを有する発泡ディスペンサーが提供される。この発泡ディスペンサーは、ディスペンサーハウジングに取り付けられて、空気出口を包含する膨縮可能な空気チャンバーを包含し、この膨縮可能な空気チャンバーは膨張容積と圧縮容積とを有する。前記詰め替えユニットは、容器と、ピストンハウジングと、ピストン組立体と、液体チャンバーシールと、予混合チャンバーと、メッシュスクリーンとを包含する。前記ピストンハウジングは、前記容器に固定され、前記容器内に入っている液体と連通する入口端部を有する軸方向通路を画定する内壁を形成する。前記ピストン組立体は、前記ピストンハウジング内に収容され、前記ピストンハウジングに関して非作動位置と作動位置との間で往復動する。前記ピストン組立体は、前記ピストンハウジングの軸方向通路に往復動可能に嵌挿されている液体ピストンを包含し、この液体ピストンのヘッドは液体ピストンから延びてピストンハウジングの内壁と密封係合する。前記液体チャンバーシールは前記液体ピストンと前記ピストンハウジングの内壁との間で延び、前記液体ピストン、前記ピストンヘッド、前記内壁及び前記液体チャンバーシールが、膨張容積及び圧縮容積を有する環状の膨縮可能な液体チャンバーを画定する。前記ディスペンサーハウジング内に前記詰め替えユニットを位置決めすることで押出しチャンバーを形成し、前記膨縮可能な空気チャンバーの空気出口が前記押出しチャンバーと連通する。また、前記予混合チャンバーが押出し通路を通して前記押出しチャンバーと連通する。前記ピストン組立体が前記非作動位置から前記作動位置に移動されると、前記膨縮可能な液体チャンバーが前記膨張容積から前記圧縮容積へと収縮されて、前記液体チャンバー内の液体が前記押出しチャンバーに前進すると共に、前記膨縮可能な空気チャンバーが前記膨張容積から前記圧縮容積へと収縮されて、空気が前記押出しチャンバー内へ前進して、この押出しチャンバー内にある液体と混合し、前記押出しチャンバー内で混合された空気と発泡可能な液体とが前記押出し通路を通して前記予混合チャンバー内へ前進し、それから前記予混合チャンバーを通して前進して、空気と発泡可能な液体とを混合して粗い泡を生成し、この粗い泡が前記メッシュスクリーンを通して前進し、より均質な泡を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるプル作動式発泡ポンプの液体ポンプ部分の断面図である。
【0012】
【図2】本発明によるプル作動式発泡ポンプの空気ポンプ部分の断面図である。
【0013】
【図3】図1の液体ポンプ部分と図2の空気ポンプ部分とを結合した状態である、本発明によるプル作動式発泡ポンプの断面図であって、かつ、本発明によるプル作動式発泡ポンプが非作動位置であって、泡製品を分与する次の作動のために液体が充填されている状態を示す図である。
【0014】
【図4】図3の同様な断面図であるが、発泡ポンプが作動位置に移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図3を参照するに、本発明による発泡ポンプ10(図3)が液体ポンプ部分11(図1)及び空気ポンプ部分13(図2)を包含するものとして示されている。まず、液体ポンプ部分11について述べると、液体ポンプ部分11はピストンハウジング12を包含し、ピストンハウジング12はピストン組立体14と組み合わせされ、ピストン組立体14がピストンハウジング12に関して非作動(休止)位置(図3)と作動位置(図4)との間で選択的に往復動できるようにしている。図4は完全作動位置の発泡ポンプ10を示し、発泡ポンプ10はピストン組立体14の図3の非作動位置から図4の作動位置への移動により作動されることを理解されよう。ピストンハウジング12は発泡可能な液体の供給源と連通し、発泡ポンプ10は発泡可能な液体を空気と混合させ、泡として分与する。この実施形態では、ピストンハウジング12は、発泡可能な液体Sが入っている容器20のねじ切りした首部18と結合するねじ切りした側壁16を包含する。ピストンハウジング12は、首部18に螺着し、首部18の開放口部で画定されているリムに同一平面で当接するリム19を形成するのが好ましい。ピストンハウジング12はリム19から首部18の内部へ延びる環状チャネル24を形成し、この環状チャネル24は基壁23により内壁22から離間された外壁21により画定される。環状チャネル24は、全体の組立体のスペースを効率的にし、内壁22はピストン組立体14の一部を受け入れる通路P(図4)を画定する。これについては、以下でより詳細に説明する。内壁22は、容器20から発泡可能な液体Sを入れる液体チャンバーの境界を画定する。これについては、以下でより詳細に説明する。
【0016】
ピストン組立体14は、本体部分25、混合チャンバー27、及び伸縮可能な分与管29を包含する。本体部分25は、内壁22から延びるワイパーシール30に近接する出口端部28で通路Pに嵌入する液体ピストン26を包含する。液体ピストン26における用語「液体」は「ピストン」を修飾して、ピストン26が液体を前進させる働きをすることを示す。液体ピストン26は、ピストンヘッド36が通路Pの入口端部109に近接して位置決めされる図3の非作動位置と、ピストンヘッド36が出口端部28に近接して位置決めされる図4の作動位置との間で往復動しながら通路Pの内部を移動することができる。液体ピストン26の外面は、ワイパーシール30で密封され、内壁22から内側に挿入される。液体ピストン26は、中空であり、ピストンヘッドと液体通路組立体32とを受け入れる通路31を画定する。液体通路組立体32は、符号33で示されたリブ及びチャネルで通路31内に固定される。組立体32は、ピストン組立体14の非作動位置から作動位置への移動方向に向かって下方に傾斜したワイパーシール38を有するピストンヘッド36を包含し、内壁22と係合する。この構造は、内壁22と、液体ピストン26の外面と、ワイパーシール30と、ワイパーシール38との間に膨縮可能な液体チャンバー40を画定する。
【0017】
より詳細には、液体チャンバー40は、容器20の首部18の内部に完全に配置され、肩部15を越えて容器20の本体まで延びない。非作動位置にある時、ワイパーシール38と内壁22との接触により画定される膨張液体チャンバー40の上方部は、肩部15より下に埋め込まれた状態が好ましく、このため発泡可能な液体Sが首部18で規定される容器の容積の一部分を占めることになる。これは、一般的な往復式ピストンポンプを使用した場合に大きな利点である。それは、このようなポンプは肩部15を十分に越えて延びる基本的構造を有するので、この構造にしなければ発泡可能な液体Sが占めるスペースを確保することができ、ユーザにより多くの製品を提供できるからである。更に、この構造により、液体の容積が肩部15を越えて延びるポンプ構造物より下にある場合に必要とされるような、液体に届かせて液体をくみ上げるための特別な浸漬管や他の費用のかかる構造物を必要とせずに、容器内の液体Sの実質的に全てがポンプを通して前進することができる。したがって、この液体ポンプ部分11は、該液体ポンプ部分と組み合わされる容器20の有効な容積を増加させる。
【0018】
液体チャンバー40は、液体ピストン26が非作動休止位置から完全作動位置まで移動し、ワイパーシール38がワイパーシール30の近くに移動すると、収縮した状態になる。図示された実施形態では、液体チャンバー40は環状チャンバーであり、同様に、チャネル24は環状チャネルである。これは、首部18、ピストンハウジング12、及び液体ピストン26はその断面が円形であるためである。しかし、ポンプ10の種々の要素は他の形状にしてもよい。典型的には円形断面にする。
【0019】
液体通路42は、液体ピストン26まで延び、1つ又は複数の入口44で液体チャンバー40と連通し、出口47を覆う液体出口弁50を通った後、液体出口47で通路31と連通する。通路31は、以下で説明するように、ブラケットサポート99内の開口部101を通して押出しチャンバー46と連通する。この実施形態では、液体通路42は、2つの入口44が出口47に延びる液体通路42の軸方向部分から半径方向に延びたT字型の通路で示されている。液体通路42は、膨縮可能な液体チャンバー40、最終的には押出しチャンバー46と連通するのであれば、他の形状にすることもできる。
【0020】
図面から分かるように、押出しチャンバー46は、一般的に、本体部分25の表面と混合チャンバーユニット27の表面との間に画定される。押出しチャンバー46は、本体部分25の一部分として形成された取付けブラケット56でピストン組立体14に固定される。取付けブラケット56は、液体ピストン26より下で液体ピストン26と同軸に位置決めされ、開口部101を包含するブラケットサポート99により本体部分25の一部分として形成される。押出しチャンバー46は混合チャンバーユニット27の表面と本体部分25の表面との間に画定された容積と見なすことができ、通路31に向かって出口47を出る液体が開口部101で押出しチャンバー46に入ると考えられる。
【0021】
混合チャンバーユニット27は、符号57で示されたリブとチャネルとの相互作用を介して取付けブラケット56とスナップ嵌合する壁53を包含する。符号57で示されたリブとチャネルとは、非連続的で、相互作用して略環状の押出し通路58を形成する。この実施形態では、この押出し通路58は垂直方向に配向され、水平通路59から入る。水平通路59は一般にブラケット56の開口端部を混合チャンバーユニット27の表面から間隔を取ることで形成される。押出し通路58は、押出しチャンバー46から予混合チャンバー54への流路を形成する。予混合チャンバー54は、壁53と、取付けブラケット56と、混合カートリッジ64の入口メッシュスクリーン68との間に画定される。以下でより詳細に説明するように、空気及び発泡可能な液体Sが押出し通路58を通して予混合チャンバー54内に押し出される。この押し出しが空気と発泡可能な液体Sとの予混合を助ける。
【0022】
押出しチャンバー壁60は、壁53から外方向かつ上方向に延び、本体部分25のアクチュエータフランジ105の下面と接触するように上方向に延びる入口シール62で止まる。混合チャンバーユニット27は、押出しチャンバー壁60から延び、入口メッシスクリーン68により予混合チャンバー54から分離された中空管66により画定される混合カートリッジ64を包含する。この中空管66は、更に、その反対側端部で出口メッシュスクリーン70により固定されるのが好ましい。更に、分与管ブラケット72は混合カートリッジ64の周囲で押出しチャンバー壁60から延びて、スナップ嵌合(リブとチャネル)により伸縮可能な分与管29のコネクタ部分73を受承する。ここで示された液体ポンプ部分11の実施形態では、分与管29は、複数の山部74と谷部76とを有するコルゲート構造のベローズとして形成される。混合チャンバーユニット27は、空気と液体との混合物を生成し、押出しチャンバー46とポンプ10の空気ポンプ部分13との間で流体連通させて、それにより発泡ポンプ10の作動時に、押出しチャンバー46が空気を受け取って、液体通路42から受け取った液体と混合せしめる。
【0023】
図1に見られるように、液体ポンプ部分11の要素の全ては、発泡可能な液体Sを入れる容器20と結合される組立ユニットとして設けられる。液体ポンプ部分11を容器20と(ねじ切りした側壁16とねじ切りした首部18とで)結合させることにより、使い捨て詰め替えユニット80は、発泡可能な液体Sを泡として分与するための要素を有するディスペンサーハウジング内に挿入するように作成される。ディスペンサーハウジングは、空気をポンプで注入して発泡可能な液体と混合するのに必要な空気ポンプ部分13を備える。液体ポンプ部分11は、空気ポンプ部分13と結合して、完全な発泡ポンプ10を形成する。
【0024】
次に図2を参照するに、発泡ポンプ10の空気ポンプ部分13が示されている。この空気ポンプ部分13は、基壁88により外壁86から離間された内壁84により画定される環状ピストンハウジング82を包含する。内壁84は、ピストン組立体がそこへ移動するための中央通路85を画定する。環状ピストンハウジング82は、上壁98により外壁96から離間された内壁94により画定される環状空気ピストン部材92を受承する開口端部90を備える。環状ピストン部材92を環状ピストンハウジング82内に収容することで、膨縮可能な空気チャンバー100が形成される。膨縮可能な空気チャンバー100は、スプリング107により膨張容積に対して付勢される。1つ又は複数の空気ポート102が上壁98に設けられる。図示したように、空気ポンプ部分13は、ディスペンサーハウジング120に固定されるか、又はディスペンサーハウジング120の一部分を形成し、ディスペンサーハウジング120は詰め替えユニット80を収容して、図3及び図4に見られるように、発泡ポンプ10を完成させるために液体ポンプ部分11と空気ポンプ部分13とを結合させる。結合されると、空気ポート102は、混合チャンバーユニット27により設けられた入口シール62の半径方向外側に位置決めされる。弾性ガスケット103は、環状ピストン部材92の外壁96に固定され、上壁98の空気ポート102まで延びて、アクチュエータフランジ105の台座となる。この弾性ガスケット103は、液体ポンプ部分11と空気ポンプ部分13とを結合する時に十分に圧迫されて、空気ポンプ部分13により前進させる空気が液体ポンプ部分11と空気ポンプ部分13とが接触する場所から出てしまうのを防ぐ。
【0025】
空気ポンプ部分13は、図面ではピストンタイプのポンプで示されているが、他のタイプの膨縮可能なポンプ、例えば、伸縮可能なベローズ又は押し潰し可能なドームを用いてピストン組立体14と適当に組み合わせ、本明細書で開示したようにポンプを通して空気を押し出して前進させるようにすることがができることを理解されよう。
【0026】
ディスペンサーハウジング120は、アクチュエータフランジ105と係合し、発泡ポンプ10を作動させるために下方に前進し、出口106(図4)で一回分の泡製品を分与するアクチュエータ組立体104(図3、図4)を備える。環状ピストンハウジング82には、図3と図4との間で分かるように、ピストン組立体14が環状ピストンハウジング82に関して移動するように、ディスペンサーハウジングに取り付けられる。特定の実施形態では、壁取付け型石鹸ディスペンサーの典型的なプッシュバー又はハンドフリー分与電子機構は、プッシュバーを押すか、又はハンドフリー機構のセンサを作動させる時に、これらの要素を下方に前進させるように容易に構成される。これらの要素は、例えば、空気チャンバー100のスプリング107などの付勢機構に抗して下方に押される。発泡ポンプ10が付勢機構に抗して図4の作動位置まで前進した後、付勢機構は発泡ポンプ10を図3の休止位置まで戻すことになる。代替形態としては、付勢機構が作動してアクチュエータ組立体104を休止位置まで戻す時に、アクチュエータフランジ104を作動時の下方だけでなく、解除時の上方にも押すことができるように、アクチュエータ組立体104を付勢してアクチュエータフランジ105を引き付けるように構成することができる。
【0027】
発泡ポンプ10が作動されると、膨縮可能な液体チャンバー40は膨張容積(図3)から圧縮容積(図4)にされ、また膨縮可能な空気チャンバー100は膨張容積(図3)から圧縮容積(図4)にされる。すなわち、膨縮可能な空気チャンバー100は、ピストン組立体14が下方に移動すると、収縮した状態になる。これは、膨縮可能な液体チャンバー40及び膨縮可能な空気チャンバー100の両方の容積を低減せしめ、その結果、空気は膨縮可能な空気チャンバー100から吐出され、空気ポート102を通り、入口シール62を抜け、押出しチャンバー46に入った後、膨縮可能な液体チャンバー40から吐出され、液体通路42を通り、液体出口弁50を抜け、サポート99の開口部101を通って、押出しチャンバー46内に入る発泡可能な液体Sと混合される。液体出口弁50は、液体通路42の出口47を覆うカップ状の弾性片であり、膨縮可能な液体チャンバー40から押し出された液体の圧力の下で変形して、液体が通路31内に入り、そこから押出しチャンバー46内に入れるようにする。このようにして、(空気も通路31内に入る場合があることは理解すべきであるが、)発泡可能な液体と空気とが押出しチャンバー46で接触することが分かる。ここから、液体と空気は同時に、予混合チャンバー54内へ押出し通路58を通して送られる(又は押し出される)。小さな貫通通路58、59を通してかなりの量の空気と発泡可能な液体とが予混合チャンバー54内へ同時に移動することで、空気と発泡可能な液体との乱流混合を起こさせて、粗い泡混合物を生成する。この粗い泡混合物は、それから、混合カートリッジ64を通して前進し、ポンプ出口106で分与される均一な良質の泡製品を生成する。混合カートリッジ64は、良質の泡製品を生成する働きをする、2つの対向したメッシュスクリーンを備えるが、メッシュスクリーンを1つだけ使用することも可能であり、いくつかの実施形態では混合カートリッジを使用しないことも理解されよう。2つのメッシュスクリーンは、泡質を改善するものが好まれる場合が多い。
【0028】
図4では、分与時に分与管29が収縮した又は折り畳んだ状態であることが分かる。より詳細には、中央通路85は、その遠位端で内側に延びる停止フランジ110を有し、分与管29の末端山部112は、分与管29の端部がここで停止するように、この停止フランジ110と係合する。ピストン組立体14の残りの部分は停止フランジ110の方へ移動し続けて、分与管29は収縮した状態になる。
【0029】
作動力が解除された後、付勢機構(例えば、スプリング107)による戻り付勢が、ピストン組立体14を図3の休止位置まで戻し、膨縮可能な液体チャンバー40は膨張して、ワイパーシール38を抜けて液体を引き込む。同様に、膨縮可能な空気チャンバー100は膨張して、入口弁114を通して大気から空気を引き込む。分与管29も膨張(伸張)して、出口106を通して空気を引き込み、これにより残留泡がある分与管29を浄化する。残留泡は、通路に残っていれば、壊れて、より液状になり、漏れ出る可能性がある。そうでなければ、残留泡は分与管29に吸い戻されてしまう。出口106は、分与管29の内部に延びる出口壁116と共に形成されるのが好ましい。これは、出口106へ流れ出る障壁を形成し、分与管29内の残留泡が出口106から漏れ出ないで、出口壁116と分与管29との間の分与管29内で壊れてたまるようにする。代替形態として、分与管29はディスペンサーハウジング120(例えば、ディスペンサーハウジングのプッシュバー部分)に取り付けられて、コネクタ部分73から出口106までより蛇行した経路をとってもよい。また、分与管29の一部分をより水平に延ばして、分与管29内に引き込まれる泡が出口106から漏れ出ないで、水平部分で壊れて残るようにすることもできる。
【0030】
混合カートリッジ64へ送られる液体に対する空気の割合は、膨縮可能な空気チャンバー100及び膨縮可能な空気チャンバー40のサイズを変更することで、変えることができる。特定の実施形態では、膨縮可能な空気チャンバー100及び膨縮可能な空気チャンバー40は、混合カートリッジ64へ送られる液体の容積に対する空気の容積の割合が約10:1になるように設計される。他の実施形態では、その割合は15:1であり、また他の実施形態では7:1である。さまざまな割合も許容範囲であり、また所定の発泡液剤も許容範囲であることが分かるであろう。本明細書で説明した特定の割合は、本発明を限定するものと解釈すべきでない。
【0031】
本発明によれば、ピストン組立体が液体容器から下方に引き下げされた時にポンプが作動されるが、先行技術では、(異なる構造の)ピストン組立体を上方に前進させることによりポンプを作動させるのが一般的であった。本発明は、石鹸の分与に特に適用できる一般的な壁取付け型ディスペンサーで使用される場合に、特に有利である。本発明のポンプは、壁取付け型ディスペンサーのハウジングに嵌挿される詰め替えユニットの一部分として設けることができる。ハウジングは、詰め替えユニットを収容するように構成され、ポンプ組立体の本体部分を移動するための適当なアクチュエータ組立体を備える。一般的なプッシュバーがディスペンサーハウジングに対して内側にポンプの出口の水平位置に向かって押されると、ポンプの出口はプッシュバーの下端の垂直位置に向かって下方に移動する。この移動は、泡状石鹸がプッシュバーの下端を抜けてユーザの手に届くために、出口から出た後移動しなければならない垂直距離を近づける。その結果、泡は幅広く広がり、あちらこちらに動き回る時間があまりなく、泡状石鹸がプッシュバーに沈着する傾向を低減し、好ましくはなくすことができる。
【0032】
すでに述べたように、液体ポンプ部分11が容器20の肩部15を越えて延びず、容器20の内部容積、特に、その本体(すなわち、図示した位置で肩部より上方の部分)の多くを占めないことで利点がある。この利点は、ポンプ10の空気ポンプ部分13を考慮しないで得られる。したがって、本発明は、更に、例えば、空気ポンプ部分13、混合チャンバーユニット27、及びブラケット56を取り外し、液体ポンプ部分11の出口47で液体を分与できるようにすることで、液体ポンプ部分(非発泡ポンプ)のみを備える場合も含む。分与管は、図示した分与管29と同じものであっても、異なったものであっても、このような非発砲ポンプの出口47と組み合わせることができる。したがって、最良の態様と最も有利なポンプを開示するために、特に発泡ポンプを説明してきたが、本発明は、更に、空気ポンプ部分も包含することは考えずに、容器と組み合わせる液体ポンプの利点を教示する。
【0033】
上述の説明から、本発明が発泡ポンプの分野の改善策を提供することは明らかである。開示要件に従って、本明細書では特に望ましい実施形態のみを説明してきたが、本発明の構造的特徴は本発明の範囲内で変更及び考察できることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンサーにおいて、
(a)ディスペンサーハウジングと、
(b)前記ディスペンサーハウジング内に選択的に収容される詰め替えユニットと、
を包含し、
前記詰め替えユニットが、
(i)液体を入れる容器であって、肩部から延びている首部を包含し、前記首部が前記肩部より下に位置するようにして前記ハウジング内に収容される容器と、
(ii)前記容器に前記首部で固定され、前記首部内に延びて前記容器内の液体とその入口端部で連通する通路を画定する内壁を形成するピストンハウジングであって、前記肩部を越えて延びないように前記入口端部が前記首部内に位置するようにして、液体が前記首部の少なくとも一部分を占めるようにしたピストンハウジングと、
(iii)前記ピストンハウジング内に収容され、前記ピストンハウジングに関して非作動位置と作動位置との間で往復動して前記液体を分与するピストン組立体であって、前記肩部を越えて延びないで、液体が前記首部の少なくとも一部分を占めるようにしたピストン組立体と、
を包含しているディスペンサー。
【請求項2】
前記ピストン組立体が、
前記ピストンハウジングの前記通路内に往復動可能に嵌挿している液体ピストンと、
前記液体ピストンから延びて、前記ピストンハウジングの前記内壁に密封係合しているピストンヘッドと、
を包含している、請求項1記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記詰め替えユニットが、更に、
(iv)前記液体ピストンと前記ピストンハウジングの前記内壁との間の液体チャンバーシール、
を包含し、
前記液体ピストン、前記ピストンヘッド、前記内壁及び前記液体チャンバーシールが、前記非作動位置で膨張容積を有する膨縮可能な液体チャンバーを画定して、前記ピストンヘッドが前記内壁の前記入口端部に近接して位置し、また、前記作動位置で圧縮容積を有する前記膨縮可能な液体チャンバーを画定して、前記ピストンヘッドが前記液体チャンバーシールに近接して位置し、前記液体チャンバーシールが前記入口端部より下に位置している、請求項2記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記液体チャンバーシールが前記ピストンハウジングの前記内壁の出口端部から延びている、請求項3記載のディスペンサー。
【請求項5】
前記ピストンヘッドが、前記ピストンヘッドから延びているワイパーシールにより、前記ピストンハウジングの前記内壁に密封係合している、請求項4記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記膨縮可能な液体チャンバーが、前記液体ピストンの外面と前記ピストンハウジングの前記内壁の内面とにより半径方向の境界が定められていると共に、前記液体チャンバーシールと前記ワイパーシールとにより軸方向の境界が定められている環状チャンバーである、請求項5記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記ピストン組立体が、前記膨縮可能な液体チャンバーと連通する液体通路を包含し、前記内壁の前記入口端部に近接した位置から前記液体チャンバーシールに近接した位置まで前記ピストンヘッドが移動する時に、液体が前記液体通路を通して前進できるようにした、請求項3記載のディスペンサー。
【請求項8】
前記ディスペンサーが発泡ディスペンサーであると共に、前記液体が発泡可能な液体であり、前記ディスペンサーが、更に、
(c)前記ディスペンサーハウジングに取り付けられ、空気出口を包含する膨縮可能な空気チャンバーであって、膨張容積を有する非作動位置と圧縮容積を有する作動位置との間で移動可能であり、前記非作動位置から前記作動位置への移動により前記膨縮可能な空気チャンバー内の空気を前記空気出口から出すようにする膨縮可能な空気チャンバー、
を包含している、請求項3記載のディスペンサー。
【請求項9】
前記詰め替えユニットが、更に、
(v)前記空気出口が連通する押出しチャンバー、
を包含し、
前記詰め替えユニットが前記ディスペンサーハウジングに取り付けられ、前記ピストン組立体の前記非作動位置から前記作動位置への移動により、前記膨縮可能な空気チャンバーがその非作動位置から作動位置へ移動でき、更に、前記膨縮可能な空気チャンバーから出る空気を前記押出しチャンバー内の発泡可能な液体と混合できるようにした、請求項8記載のディスペンサー。
【請求項10】
前記詰め替えユニットが、更に、
(vi)押出し通路を通して前記押出しチャンバーと連通する予混合チャンバー、
を包含し、
前記押出しチャンバー内で混合された空気と発泡可能な液体とが、前記押出し通路を通して前記予混合チャンバー内へ進み、それから前記予混合チャンバーを通して前進して、空気と発泡可能な液体とを混合して粗い泡を生成するようにした、請求項9記載のディスペンサー。
【請求項11】
前記詰め替えユニットが、更に、
(vii)メッシュスクリーン、
を包含し、
前記粗い泡が前記メッシュスクリーンを通して前進して、より均質な泡を生成するようにした、請求項10記載のディスペンサー。
【請求項12】
液体を入れる容器と、前記容器に固定されたポンプとを包含するディスペンサー用詰め替えユニットにおいて、
前記ポンプが、
前記容器に固定されたピストンハウジングと、
前記ピストンハウジングに関して非作動位置と作動位置との間で往復動するように前記ピストンハウジング内に収容されているピストン組立体と、
を包含し、
前記ピストン組立体の前記非作動位置から前記作動位置への移動が前記ポンプの出口で前記液体を分与するようにし、また、前記ピストン組立体が前記容器から離れる方向に引かれることにより前記非作動位置から前記作動位置へ移動されるようにした詰め替えユニット。
【請求項13】
発泡ディスペンサーにおいて、
ディスペンサーハウジングであって、前記ディスペンサーハウジングに取り付けられた膨縮可能な空気チャンバーと、空気出口とを包含し、前記膨縮可能な空気チャンバーが膨張容積と圧縮容積とを有しているディスペンサーハウジングと、
前記ディスペンサーハウジング内に選択的に収容される詰め替えユニットと、
を包含し、
前詰め替えユニットが、
分与する液体を入れる容器と、
前記容器に固定され、前記容器内の液体と連通する入口端部を有する軸方向通路を画定する内壁を形成するピストンハウジングと、
前記ピストンハウジングに関して非作動位置と作動位置との間で往復動するように前記ピストンハウジング内で収容されているピストン組立体であって、前記ピストンハウジングの前記軸方向通路内に嵌挿する液体ピストンと、前記液体ピストンから延びて前記ピストンハウジングの内壁と密封係合するピストンヘッドとを包含しているピストン組立体と、
前記液体ピストンと前記ピストンハウジングの前記内壁との間に延びている液体チャンバーシールであって、前記液体ピストン、前記ピストンヘッド、前記内壁及び前記液体チャンバーシールが膨張容積と圧縮容積とを有する環状の膨縮可能な液体チャンバーを画定するようにしている液体チャンバーシールと、
予混合チャンバーと、
メッシュスクリーンと、
を包含し、
前記詰め替えユニットを前記ディスペンサーハウジング内に位置決めすることで押出しチャンバーを形成して、前記膨縮可能な空気チャンバーの前記空気出口が前記押出しチャンバーと連通すると共に、前記予混合チャンバーが押出し通路を通して前記押出しチャンバーと連通し、前記ピストン組立体がその非作動位置からその作動位置へ移動することにより、
(a)前記膨縮可能な空気チャンバーがその膨張容積からその圧縮容積に収縮されて、前記膨縮可能な空気チャンバー内の液体が前記押出しチャンバー内へ前進し、
(b)前記膨縮可能な空気チャンバーがその膨張容積からその圧縮容積に収縮されて、空気が前記押出しチャンバー内へ前進して前記押出チャンバー内の液体と混合し、
(c)前記押出しチャンバー内で混合された空気と発泡可能な液体とが、前記押出し通路を通して前記予混合チャンバー内へ前進し、それから前記予混合チャンバーを通して前進して、空気と発泡可能な液体とを混合して粗い泡を生成し、及び
(d)前記粗い泡が前記メッシュスクリーンを通して前進して、より均質な泡を生成するようにした発泡ディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−292539(P2009−292539A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−130815(P2009−130815)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(506190555)ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】