説明

プレキャストコンクリート自由勾配側溝

【課題】 適宜の底面形状と排水勾配の側溝をプレキャストコンクリートのみで構築可能とする。
【解決手段】 基礎(13)上に適宜の底面形状又は低部縮小通水断面を形成するインバート(1)を排水勾配に設置したのち、インバート両側基礎(13)(13)上面を必要な高さに調整したのちフーチング(2)(2)をインバートの両側に添設し、小段(5)(5)上に門型側溝本体(3)をフーチングのストッパー(14)(14)にほぼ外接させて載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適宜の底面形状と排水勾配をもち、排水量が少ない場合でも適度な掃流力をもつ道路側溝を、プレキャストコンクリートのみを用いて構築可能とし、施工の機械化を図ると同時に現場の排水条件に適合する自由勾配側溝を容易安価に構築する工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自由勾配道路側溝は通常内幅30〜40cm内高30〜120cmで下部を開放し、上面に開口部を設けた門型のプレキャストコンクリート側溝本体を用い、コンクリートベースの上に底部を現場打コンクリートで自由勾配に施工するものであるが、底部の形状は上面開口部からの限定されたコテ仕上げによる平面状に限定され、インバートの曲面形状は不可能であり、また底部をプレキャストで設置する場合には、基礎の上にプレキャストインバートを排水勾配に合わせて布設し、両側のフーチング上に載置する門型側溝の高さに対応した調整コンクリートの現場打設を必要とする難点があった。
【特許文献1】 特開2000−27277号公報
【特許文献2】 特開2001−123519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行して設置する自由勾配の側溝底部を直接基礎上にベースを省略して単一のプレキャストコンクリートで形成し、底面の形状もインバート曲面、平面や低水部の幅を縮小した複合断面とするためのU形水路状等適宜に選択でき、さらに側溝底部の上に載置する門型側溝の高さの調整が独立フーチングによると同時に各部材が係止関係をもつ自由勾配側溝のプレキャストコンクリートのみによる構築を可能とし、施工の機械化を図る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上面を曲面、平面または両側壁を有するU形水路状などに形成したプレキャストインバートを用い、基礎の上にインバートを排水勾配に布設し、両側の必要な高さに添設したフーチング上の小段に門型側溝を載置するものであり、この場合フーチングとインバート側壁面との隙間にあそびが生じ、インバートの位置決めが左右に僅少に5mm前後の自由度をもつこととフーチングに突起しているストッパーの傾斜面が門型側溝の側壁に内接せり持ちすることが競合し、各部材相互のバランスされた係止組合せが形成される。
なお、門型側溝側壁を係止傾斜面付とすることでも同じである。
そしてインバート両側フーチング上の小段に敷モルタルを施し、このようにして先行して設置された側溝底部の上に両側壁で挟む状態に門型側溝本体を載置して自由勾配側溝を構築するものである。
【発明の効果】
【0005】
基礎の上にインバートとフーチングを布設するため、コンクリートベースの現場打設が不要となり施工期間が短縮される。
【0006】
側溝上面の設計荷重は独立フーチングを介して分布され基礎で均等支持する安定構造を得ることができる。
【0007】
底面が曲面、平面状さらに底部縮小複断面など排水条件に最適なものとし、且つ自由勾配にプレキャストコンクリートを用いて構築できる。
この場合、インバートとフーチングは各1種類ですべての勾配に対応でき、全体の機械施工が可能となる。
【0008】
さらに、排水流量が少ない場合でも適度な掃流力が維持されるように低水部の幅を縮小した自由勾配複断面側溝をも容易安価に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
通常1ないし数種類の深さが例えば10cm刻みの門型側溝本体を適宜に用いて、側溝延長全体の落差を構成するのであるが、側溝全体の設置に先行し基礎上面に合わせてプレキャストインバートを布設する。
しかるのち、両外側の基礎を必要な高さに調整し、水路勾配に拘束されないで載置する門型側溝本体に対応する高さにフーチングをインバートの両外側にほぼ密着状態に添設する。そして、両フーチングに突起しているストッパーを挟んで門型側溝本体を載置するが門型側溝本体の底面はフーチング上の敷モルタルによって各部材相互の係合の固定とともに水密が確保された側溝全体が形成される。
【0010】
また、水路状のU形インバートを用いる場合には、低水部が縮小した複断面側溝を得ることができる。
【0011】
なお、門型側溝本体を特開平7−166598号、特開平9−302758号による構造とし、両側壁の下端を可撓自由端とする場合には埋戻し土圧によって両側壁内面と両フーチングのストッパーないしインバート両側面との圧着をさらに高めることができる。
【実施例】
【0012】
図1に実施例の施工状態を示し、A−A線に沿った断面を図2に示す。(1)はU形インバート(2)はフーチング(4)は側溝底部(3)は門型側溝本体である。
U形インバート(1)は図3に示すとおり側溝底部を縮小複断面とする形状のもので両側にはフーチングに対応する位置に凹部(15)を設けてある。
フーチング(2)は図4に示すとおり、門型側溝本体を載置し基礎に設計荷重を分散伝達するために必要な幅、厚みとし、一側にインバートの凹部に収容されるストッパー(14)が必要数形成され、門型側溝本体との係止傾斜面を設けてある。
まず、基礎(13)の上に、U形インバート(1)を排水勾配に合わせて布設する。
しかるのち両側の基礎(13)(13)を形成してその上にフーチング(2)(2)をU形インバート(1)両側に沿ってほぼ密着状態に添設し、載置する門型側溝本体の高さに合わせて小段(5)(5)を設け側溝底部(4)を形成する。
この場合、U形インバートの凹部(15)にフーチングのストッパー(14)が収納され、同時にストッパー(14)がU形インバートの外側面とほぼ一致するか門型側溝本体の側壁(6)(6)に内接可能状態の位置に設けられる。
そして、門型側溝本体(3)の側壁(6)(6)をストッパー(14)(14)に外接せしめて連続載置し自由勾配側溝を構築するのであるが、この場合小段(5)上にモルタル(8)ないし乾モルタルをやや厚めに敷いて据付する。
レベル調整はプラスチック、鉄板片などのライナー(7)を適宜に使用する。
【0013】
この実施例の門型側溝本体(3)は、図1図2図5に示すように上部が複数の固定梁(9)によって一体化され、雨水等の流入口となるスリット(10)が設けられている。
また必要に応じ蓋受開口部(11)を設け、グレーチング(12)がセットされている。
【0014】
なおU形インバートの外側面に凹部が無いか又は全長に連続し、フーチングのストッパーも全長に連続してU形インバートに外接すると同時に門型側溝に内接しての各部係合による構成も可能である。
【0015】
さらにまた、インバートに開口部を設け、地下浸透とする等用途により適宜な構造とすることも出来る。
【0016】
フーチングに設けるストッパーは接着、ネジ等により別材質を取付けることによっても可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
各部材とも従来技術の範囲内で生産でき安価に供給される。
また門型側溝本体は実施例に示すスリット部を固定梁で連結する構造に限定されず、スリットのない一体構造も含み、さらにU形インバートを深いU字側溝とし、門型側溝本体もフランジ付の頂版とするU形自由勾配暗渠側溝形式でも可能であるなど多用途に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 底部にU形インバートとフーチングとを用いた複合断面自由勾配側溝の実施例を示す切欠斜面図である。
【図2】 図1のA〜A線にそった断面図である。
【図3】 プレキャストU形インバートの実施例を示す斜面図である。
【図4】 フーチングの実施例を示す斜面図である。
【図5】 門型側溝本体の実施例を示す斜面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 U形インバート
2 フーチング
3 門型側溝本体
4 側溝底部
5 小段
6 側壁
7 ライナー
8 モルタル
9 固定梁
10 スリット
11 蓋受開口部
12 グレーチング
13 基礎
14 ストッパー
15 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水勾配に布設したU形インバート両側の必要な高さにフーチングを添設し、小段上にフーチングのストッパーとほぼ外接係止するように門型側溝本体を載置する自由勾配側溝構築工法。
【請求項2】
インバートを基礎上に排水勾配に布設し、両側の基礎を必要な高さに調整したのち、ストッパーが小段に載置する門型側溝本体の側壁にほぼ内接係止するようにインバートの両側に添設し、適宜の底面形状と排水勾配に側溝底部を形成するフーチング。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水勾配に布設したインバート両側の必要な高さに独立フーチングを添設して設置された側溝底部の小段上に両側壁で挟む状態に門型側溝本体を載置し、設計荷重が独立フーチングを介して基礎に分散伝達されるように構成する自由勾配側溝。
【請求項2】
排水勾配に布設したU形インバート両側の必要な高さにフーチングを添設し、小段上にフーチングのストッパーとほぼ外接係止するように門型側溝本体を載置する自由勾配側溝構築工法。
【請求項3】
インバートを基礎上に排水勾配に布設し、両側の基礎を必要な高さに調整したのち、ストッパーが小段に載置する門型側溝本体の側壁にほぼ内接係止するようにインバートの両側に添設し、適宜の底面形状と排水勾配に側溝底部を形成するフーチング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−257845(P2006−257845A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116239(P2005−116239)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(503234115)
【Fターム(参考)】