説明

プレス加工方法

【課題】第1貫通孔が形成されたワークに対して打ち抜きによって第1貫通孔の周辺に第2貫通孔を形成しても、第1貫通孔の寸法精度を良好に維持することができるプレス加工方法を提供する。
【解決手段】第1貫通孔11が設けられたワーク200の第1貫通孔11の周辺に第2貫通孔12を打ち抜きにより形成するプレス加工方法において、第1貫通孔11の周辺に、第2貫通孔12を打ち抜いた時に生じる第1貫通孔11の歪とは逆方向の歪を第1貫通孔11に生じさせる凹部20、をプレス成形する。また、凹部20をプレス成形した後に、第2貫通孔12を打ち抜きにより形成する。また、第2貫通孔12の打ち抜き方向と同一方向のプレス成形によって凹部20を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工方法に関するものであり、詳しくは、第1貫通孔が設けられたワークの前記第1貫通孔の周辺に第2貫通孔を打ち抜きにより形成するプレス加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軸等の部材が挿通される貫通孔(以下「第1貫通孔」という)が形成されたワークの第1貫通孔の周辺に、プレス加工の一種である打ち抜きによって、位置決めピン等の部材が挿通される貫通孔(以下「第2貫通孔」という)を形成する場合がある。例えば図4に示すホイールセンサ6は、可変バルブタイミング機構1を構成する歯付プーリ2の部品であり、歯付プーリ2の軸4が挿通される軸孔である第1貫通孔7と、歯付プーリ2の位置決めピン5が挿通されるピン孔である第2貫通孔8とを有するものであるが、このホイールセンサ6では、プレス加工等の適宜加工によって第1貫通孔7が形成された後に、第2貫通孔8が打ち抜きによって形成されている。
【0003】
上記背景技術は、種々の部品をプレス加工にて製造する際に製造工程の一部としてなされている技術であり、本願出願人は、出願時において、この背景技術が記載された文献を特に知見していない。
【0004】
なお、可変バルブタイミング機構は、給排気バルブ(以下、単に「バルブ」という)を有する自動車のエンジン等において、エンジンの回転数に応じてバルブが開閉するタイミングを変化させるための機構であり、以下、この可変バルブタイミング機構を詳述する。クランクシャフト(エンジンのピストンによって回転駆動されるシャフト)の回転と同調させてカムシャフト(バルブを開閉駆動させるシャフト)を回転させるためにタイミングベルトが用いられており、このタイミングベルトは、クランクシャフト側の軸に装着された歯付きプーリ、及び、カムシャフト側の軸に装着された歯付きプーリの夫々に巻回されているのであるが、図4に示すように、可変バルブタイミング機構1では、クランクシャフト側またはカムシャフト側の一方の歯付プーリ2の軸4と歯3(タイミングベルトに噛合する歯)とに位相ズレを生じさせることで、エンジンの回転に対してバルブの開閉タイミングを常時一定とせずに変化させている。そして、軸4と歯3とに位相ズレを生じさせる歯付プーリ2は、位相ズレを検出するために、近接センサ等の検出器によって存在の有無が検出されるセンサ検出部9を外周部分に有し、歯付プーリ2の軸4に装着され、位置決めピン5により装着角度が固定された上述のホイールセンサ6を具備している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1貫通孔を形成した後に第2貫通孔を打ち抜きによって形成した場合、第1貫通孔に歪が生じる。これは、第2貫通孔を形成すべく第1貫通孔の周辺にて打ち抜きが行われるため、第1貫通孔周りの材料が第2貫通孔側に流動するため、換言すれば、第1貫通孔周りの肉が第1貫通孔側に引っ張られるためである。具体的には、第1貫通孔の直径寸法において、第2貫通孔を通る径方向の寸法が長くなり、第2貫通孔を通る径方向に対して直角の径方向の寸法が短くなるといった歪が生じる。よって、第2貫通孔を形成する前の段階において、第1貫通孔が高度な寸法精度(直径寸法、真円度、真直度等)に形成されていたとしても、第2貫通孔を形成した後においてはこの高度な寸法精度が維持されておらず、場合によっては許容範囲を越えた寸法となり、第2貫通孔を形成した後のワークが不良品となってしまうこともある。
【0006】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、第1貫通孔が形成されたワークに対して打ち抜きによって第1貫通孔の周辺に第2貫通孔を形成しても、第1貫通孔の寸法精度を良好に維持することができるプレス加工方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の採った主要な手段は、
「第1貫通孔が設けられたワークの前記第1貫通孔の周辺に第2貫通孔を打ち抜きにより形成するプレス加工方法において、
前記第1貫通孔の周辺に、前記第2貫通孔を打ち抜いた時に生じる前記第1貫通孔の歪とは逆方向の歪を前記第1貫通孔に生じさせる凹部、をプレス成形することを特徴とするプレス加工方法」
である。
【0008】
ここで、凹部の形状は特に限定するものではなく、ワークの表裏に貫通しない非貫通状のものであってもよく、また、ワークの表裏に貫通する貫通状のものであてもよい。また、その具体的な形状としては、円形、長円形、角形、線形(幅が細い直線状や曲線状の形状)等を例示することができる。また、底を有する非貫通状のものでは、底の深さが一律のものであってもよく、或いは、第1貫通孔に所望の歪を生じさせるために、大きく歪ませる部分は底の深さが深く、小さく歪ませる部分は底の深さが浅くなったものであってもよい。
【0009】
また、第2貫通孔及び凹部が設けられる第1貫通孔の「周辺」とは、具体的な数値によって配設位置を特定する必要はなく、第1貫通孔の周りの部分において、第2貫通孔及び凹部の形成によって、第1貫通孔に無視できない程度に大きな歪を生じさせ得る部位を示すものである。
【0010】
上記構成のプレス加工方法では、第2貫通孔を打ち抜きによって形成すると、当然、第1貫通孔に歪を生じるのであるが、この第1貫通孔による歪とは逆方向の歪を生じさせる凹部をプレス成形するため、第1貫通孔により生じた歪と凹部により生じた歪とが部分的に相殺される。よって、凹部を形成しない場合に比して、第2貫通孔を形成した後の第1貫通孔の寸法精度が大きく変化することがない。
【0011】
従って、上記構成のプレス加工品の製造方法によれば、第2貫通孔を打ち抜きによって形成しても、第1貫通孔の寸法精度を良好に維持することができる。
【0012】
なお、ワークにプレス加工を施す一連のプレス加工工程において、凹部を形成する工程は、第2貫通孔を形成する工程の前であってもよく、或いは、後であってもよい。凹部の形成工程は、第2貫通孔の形成工程の前工程である場合には、第2貫通孔の形成工程にて生じる歪を見込んで第1貫通孔を前もって歪ませる工程となり、第2貫通孔の形成工程の後工程である場合には、第2貫通孔の形成工程にて生じた歪を修正する工程となる。
【0013】
上記手段において、
「前記凹部をプレス成形した後に、前記第2貫通孔を打ち抜きにより形成することを特徴とするプレス加工方法」
としてもよい。
【0014】
凹部の形成工程を第2貫通孔の形成工程の後工程とすると、プレス成形による凹部の形成によって、既に形成された第2貫通孔に影響が与えられ、第2貫通孔に歪が生じて、第2貫通孔の寸法精度が悪化する可能性がある。
【0015】
これに対して、凹部の形成工程を第2貫通孔の形成工程の前工程とすると、第2貫通孔が未だ形成されていないことから、凹部を形成することで、当然のことながら、第2貫通孔に何らの影響を及ぼさない。よって、上記構成のプレス加工方法によれば、第2貫通孔の高度な寸法精度を良好に確保することができる。
【0016】
上記手段において、
「前記第2貫通孔の打ち抜き方向と同一方向のプレス成形によって前記凹部を形成することを特徴とするプレス加工方法」
としてもよい。
【0017】
ここで、打ち抜き方向とは、プレス加工の一種である打ち抜きにおいて、パンチとダイとでワークをせん断して不要部分を除去する場合に、残存する部分に対して移動する除去部分の移動方向である。また、プレス成形の方向とは、パンチとダイとでワークを押圧してパンチ及びダイに倣ってワークを変形させる場合に、変形した部分について、変形前に対して変形後に材料が移動する方向である。よって、プレス成形によって例えば有底の凹部を形成する場合には、プレス成形の方向は、凹部の入口から底に向かう方向となる。
【0018】
第2貫通孔の打ち抜き方向と同一方向に凹部をプレス成形すると、パンチとダイとの間に挟まれたワークの表裏方向において、第2貫通孔を形成する際と凹部を形成する際とで、ワークの肉(材料)が同一方向に引っ張られる(流動する)ことになる。よって、上記構成のプレス加工方法によれば、第2貫通孔を形成する際に生じる歪、或いは、第2貫通孔を形成した際に生じた歪を部分的に相殺できる歪を、凹部のプレス成形によって的確に生じさせることができ、第1貫通孔の高度な寸法精度を、より良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0019】
上述した通り、本発明によれば、第1貫通孔が形成されたワークに対して打ち抜きによって第1貫通孔の周辺に第2貫通孔を形成しても、第1貫通孔の寸法精度を良好に維持することのできるプレス加工方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係るプレス加工方法の実施形態としての一例を、以下、図面に従って詳細に説明する。
【0021】
まず、図1に、本発明に係るプレス加工方法によって製造されたプレス加工品100の一例示す。なお、本例では、プレス加工品100として、前述にて概略を説明した通りの可変バルブタイミング機構に用いられるホイールセンサを例示するが、本発明に係るプレス加工方法によって製造されるプレス加工品100は、これに限らず、第1貫通孔11と第2貫通孔12とを有するものであればよい。そして、本発明は、第2貫通孔12が打ち抜きによって形成されてなる多種多様なプレス加工品100を製造するためのプレス加工方法として適用することができるものである。
【0022】
プレス加工品100は、円盤状の本体部10と、この本体部10の外方に延出するセンサ検出部14と、本体部10の中央部分に設けられ、本体部10の一面側に突出するボス部13と、このボス部13の内面によって構成された第1貫通孔11と、この第1貫通孔11の周辺に穿設された第2貫通孔12と、第1貫通孔11の周辺に凹設された凹部20とを有している。ここで、第1貫通孔11は、歯付プーリの軸が挿通されるものであり、第2貫通孔12は、歯付プーリの位置決めピンが挿通されるものである。
【0023】
また、凹部20は、可変バルブタイミング機構に対して何らの機能も果たさないものであるが、後述するように、第1貫通孔11の寸法精度を維持させるために設けられたものであり、凹部20の中心と第1貫通孔11の中心とを通る軸線が、第2貫通孔12の中心と第1貫通孔11の中心とを通る軸線に対して90°の角度をなすように配置されている。換言すれば、凹部20は、第1貫通孔11の中心を基準として、第2貫通孔12に対して直角に位置している。
【0024】
第2貫通孔12を打ち抜きにより形成すると、第1貫通孔11の内径が、第2貫通孔12の中心と第1貫通孔11の中心とを通る軸線上の直径が長くなり、第2貫通孔12の中心と第1貫通孔11の中心とを通る軸線に対して直交する軸線上の直径が短くなるように歪むのであるが、上述のように、凹部20を第2貫通孔12に対して直角に配置することで、凹部20の形成によって、第2貫通孔12の形成により生じる第1貫通孔11の歪と逆方向の歪を生じさせることができる。
【0025】
ところで、本例のプレス加工品100は、複数のプレス加工工程を同時に行う1台のプレス加工機によって、コイル状に巻回された長尺状の圧延鋼板を打ち抜いて個々のワークを形成すると共に、このワークに複数段階のプレス加工を行って最終的に所望の形状の部品として製造されるものであり、以下、図2、3に基づいて、一連のプレス加工の工程を詳述する。なお、以下では、説明の便宜上、ワーク200の適宜部分を塑性変形させる加工を「成形加工」、ワーク200の適宜部分を打ち抜いて除去する加工を「打抜加工」と称し、「成形加工」、「打抜加工」等、プレス加工機によってなし得る加工の全てを包含する加工を「プレス加工」と称することとする。
【0026】
まず、図2に示すように、板厚が一定となった長尺状の圧延鋼板に打抜加工を施して、円盤状のワーク200を形成する(a)。次に、成形加工によって、ワーク200の中央部分を膨出させる(b)。ここで、ワーク200の中央部分を大きく膨出させるには、1回の成形加工では困難であるため、複数の成形加工を順次行うことにより、ワーク200中央部分を段階的に大きく膨出させる。具体的には、膨出部分の形状が、大径で高さの低い形状から、順次、小径で高さの高い形状となるように、段階的に多数の成形加工を行う。これらの複数の成形加工により、ワーク200の中央部分に材料が円滑に流動して集められる。
【0027】
ワーク200の中央部分を十分に膨出させた後は、ワーク200の中央部分に打抜加工を施して、第1貫通孔11となる一次孔11aを穿設し、この一次孔11aの周りにボス部13となる一次ボス13aを突出させる(c)。次に、一次ボス13aに成形加工を施し、突出長さ方向に押圧変形させて、ワーク200の一面側に所定の高さで突出するボス部13を形成すると共に、所定の寸法の内径となった第1貫通孔11を完成させる(d)。
【0028】
次に、図3に示すように、ワーク200の周縁部分に打抜加工を施し、本体部20から所定の形状で延出するセンサ検出部14を形成する(a)。換言すれば、ワーク200の周縁部分に打抜加工を施して、プレス加工品100としての所望の外形形状を形成する。
【0029】
次に、成形加工によって、第1貫通孔11の周辺、より具体的にはボス部13の外側の部位に、有底状で円形状の凹部20を形成する(b)。そして、最後に、打抜加工によって、第1貫通孔11の周辺、より具体的にはボス部13の外側の部位に、第2貫通孔12を穿設して、圧延鋼板を素材として上述した一連のプレス加工を経て完成されたプレス加工品100とする(c)。
【0030】
ここで、第2貫通孔12の中心に対して凹部20の中心は、第1貫通孔11の中心から同一距離で、且つ、第1貫通孔11の中心を基準にして互いに90°の角度で離間するように配置されている。よって、凹部20を成形加工により形成することで、第1貫通孔11に歪が生じるのであるが、この歪は、その後の第2貫通孔12の打抜加工によって第1貫通孔11に生じる歪と逆方向のものであり、夫々の歪が部分的に相殺されることで、完成されたプレス加工品100の第1貫通孔11においては、途中工程(図2の(d)参照)にて完成された寸法精度が大きく変化することなく良好に維持される。第1貫通孔11において、凹部20の中心と第1貫通孔11の中心とを通る軸線上の直径を「凹部側直径」、第2貫通孔12の中心と第1貫通孔11の中心とを通る軸線上の直径を「第2貫通孔側直径」と称して具体的に説明すると、まず、凹部側直径と第2貫通孔側直径とは、相互に直交する直径となっている。そして、第1貫通孔11においては、凹部20の形成により、凹部側直径が長くなり、第2貫通孔側の直径が短くなるような歪が生じるのであるが、第2貫通孔の形成により、上述した凹部20による歪とは逆に、凹部側直径が短くなり、第2貫通孔側の直径が長くなるような歪が生じる。よって、凹部による歪と第2貫通孔による歪とが、完全ではないものの、部分的に相殺されることになり、凹部20を設けない場合に比して、第1貫通孔11の内径寸法は良好に維持される。
【0031】
また、本例では、凹部20の成形加工方向(具体的にはパンチによる押圧方向、図3の矢印A参照)は、第2貫通孔12の打抜加工方向(具体的にパンチによるせん断方向、図3の矢印B参照)と同一方向となっており、凹部20による歪と第2貫通孔12による歪とが、ワーク200の表裏方向において同一方向に生じる。よって、各歪は、相互に打ち消され易いものとなり、この点からも、第1貫通孔11の内径寸法は良好に維持される。
【0032】
ところで、本例では、第1貫通孔11及びボス部13が形成されたワーク200において、ワーク200当初の板厚よりも厚くなった厚肉(ボス部13の径方向の寸法)のボス部13を形成することとする。これにより、ボス部12における径方向の剛性を十分に確保することができる。
【0033】
また、ワーク200を単に曲げる成形加工では、ワーク200に破断や亀裂が生じ易いため、ボス部12を曲げの成形加工によって形成しようすると、ボス部13の内面の角部を、ワーク200の板厚の1.5倍以上といったような大きなR形状にせざるを得ないのであるが、上述のような成形加工を行うことで、ボス部13の内面の角部を、ワーク200の板厚の0.5〜1.0倍程度といったように小さなR形状とすることができる。これにより、第1貫通孔11に挿通した軸と第1貫通孔11の内面とが接触する部分の有効長さを十分に確保することができ、ホイールセンサとして完成された部品を軸に組み付けた状態において、ガタツキを生じ難くすることができる。
【0034】
特に、本例では、ボス部13の形状が円錐台状となっている。よって、一次ボス13aの突出する側の端部の材料が、突出側とは反対側へと良好に寄せられて、プレス型の空隙に充填され、ボス部13内面を小さなR形状として、十分な肉厚のボス部を形成することができる。また、ボス部13の形状を円錐台状とすることで、本体部10とボス部13との間に応力集中を生じ難くすることができ、この点からも、ボス部13における径方向の剛性を高めることができる。
【0035】
次に、本発明に係るプレス加工方法により製造したプレス加工品(以下「発明品」という)と、凹部を形成しない従来のプレス加工方法により製造したプレス加工品(以下「従来品」という)との比較結果を例示する。なお、発明品と従来品とは、凹部の有無以外は同一の形状のものであり、具体的には、次のような形状のものである。
・本体部の板厚:2.6mm
・ボス部の長さ(第1貫通孔の長さ):6.5mm
・ボス部の直径:最小部25mm、最大部29mm
・ボス部と本体部との接続部分の形状:R2mm
・第1貫通孔の直径:22mm
・第2貫通孔の直径:7mm
・第1貫通孔の中心と第2貫通孔の中心との距離:19mm
・凹部の直径:5mm
・凹部の深さ:0.5mm
・第1貫通孔の中心と凹部の中心との距離:19mm
【0036】
従来品では、第1貫通孔の全長に渡って、第1貫通孔の中心と第2貫通孔の中心とを通る軸線上の直径(以下「直径A」という)が長く、この直径Aに直交する方向の直径(以下「直径B」という)が短くなり、高精度な真円度で形成したはずの第1貫通孔が変形し、直径Aと直径Bとに0.043mm程度の差を生じた。
【0037】
これに対して、発明品では、高精度な真円度で形成したはずの第1貫通孔に、直径Aが長くなり、直径Bが短くなるような変形が生じたものの、直径Aと直径Bとの差を0.017mm程度に抑えることができ、従来品よりも第1貫通孔の高度な寸法精度を維持することができた。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ボス部を表側としたプレス加工品の一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係るプレス加工方法を示す工程図である。
【図3】本発明に係るプレス加工方法を示す工程図である。
【図4】プレス加工品の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 可変バルブタイミング機構
2 歯付プーリ
3 歯
4 軸
5 位置決めピン
6 プレス加工品(ホイールセンサ)
7 第1貫通孔
8 第2貫通孔
9 センサ検出部
10 本体部
11 第1貫通孔
11a 一次孔
12 第2貫通孔
13 ボス部
13a 一次ボス
14 センサ検出部
20 凹部
100 プレス加工品
200 ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通孔が設けられたワークの前記第1貫通孔の周辺に第2貫通孔を打ち抜きにより形成するプレス加工方法において、
前記第1貫通孔の周辺に、前記第2貫通孔を打ち抜いた時に生じる前記第1貫通孔の歪とは逆方向の歪を前記第1貫通孔に生じさせる凹部、をプレス成形することを特徴とするプレス加工方法。
【請求項2】
前記凹部をプレス成形した後に、前記第2貫通孔を打ち抜きにより形成することを特徴とする請求項1に記載のプレス加工方法。
【請求項3】
前記第2貫通孔の打ち抜き方向と同一方向のプレス成形によって前記凹部を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレス加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−111762(P2007−111762A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307657(P2005−307657)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(391022197)株式会社加藤製作所 (15)