説明

プレス機械のダイクッション装置及びダイクッションの動作制御方法

【課題】サイクルタイムを短縮するとともにダイクッションの駆動源を小型化できるダイクッション装置及びダイクッションの動作制御方法を提供する。
【解決手段】ダイクッション11の上下位置を位置検出器23(第1検出手段)により検出し、出側ワーク搬送装置21の把持部22の上下位置を高さ検出器25(第2検出手段)により検出し、これらの検出データに基づいて、把持部22がワークWを把持して上昇する間、ダイクッション11を、ブランクホルダ12の上面と把持部22との高さ方向の距離が所定値以上を保つように上昇させることにより、ダイクッション11と出側ワーク搬送装置21との機械的干渉を防止することができ、ダイクッション11を従来よりも早いタイミングでロッキングを終了させ上昇させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス機械においてスライドの下面に固定された上金型との間でワークを挟みワークのしわ押さえ圧力を発生するためのダイクッション装置及びダイクッションの動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイクッション装置は、プレス機械において上金型との間でワークを挟みワークのしわ押さえ圧力を発生するための機構である。ダイクッション装置は、一般に、上下動するピストンを有する1本ないし複数本のシリンダで駆動されるようになっており、シリンダに出入りする空気や油の流量をバルブで制御することにより、所望のクッションモーションを得る。油圧シリンダのみを使用する構成の一例が下記特許文献1に、空気圧シリンダと油圧シリンダを併用する構成の一例が下記特許文献2に開示されている。
【0003】
図5に、特許文献1に記載されたダイクッション装置のクッションモーションを示す。図5に示すように、スライドが下死点通過後、ダイクッションをロッキング(停止)した状態で、出側ワーク搬送装置によりワークの取出しが行なわれる。ダイクッションは、出側ワーク搬送装置がダイクッションの最上部に位置するブランクホルダから十分に離れてから、ロッキングを終了して上昇を開始するように制御されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−24600号公報
【特許文献2】特許第2568069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術では、生産能力を上げるためにプレス加工のサイクルタイムを短くしようとすると、ダイクッションの上昇に許される時間が短くなるので、ダイクッションの最大上昇速度を大きくする必要がある。ダイクッションを駆動するシリンダには、最大上昇速度に応じた流量の空気・油を出し入れする必要があるため、ダイクッションの最大上昇速度を大きくすると、流量を制御するバルブを大型化する必要があり、ポンプも大容量のものが必要となり、装置が大型化し、エネルギー消費量も大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、サイクルタイムを短縮するとともにダイクッションの駆動源を小型化できるダイクッション装置及びダイクッションの動作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明のプレス機械のダイクッション装置及びダイクッションの動作制御方法は、以下の手段を採用する。
(1)すなわち、本発明のプレス機械のダイクッション装置は、プレス機械に搭載されるダイクッション装置であって、昇降可能に構成されワークを上面で支持するとともにワークの加工時に上金型との間でワークを挟んで降下するダイクッションと、該ダイクッションを昇降駆動する昇降駆動機構と、該昇降駆動機構の駆動を制御する制御装置と、前記ダイクッションの上下位置を検出する第1検出手段と、加工されたワークをプレス機械から搬出するための出側ワーク搬送装置におけるワークを把持する把持部の上下位置を検出する第2検出手段と、を備え、前記制御装置は、前記第1検出手段と前記第2検出手段からの検出データに基づいて、前記把持部がワークを把持して上昇する間、前記ダイクッションが前記上面と前記把持部との上下方向の距離を所定値以上に保って上昇するよう前記昇降駆動機構の駆動を制御する、ことを特徴とする。
【0008】
このように、ダイクッションの上下位置と出側ワーク搬送装置の把持部の上下位置の検出データに基づいて、把持部がワークを把持して上昇する間、ダイクッションを、上面と把持部との高さ方向の距離が所定値以上を保つように上昇させることにより、ダイクッションと出側ワーク搬送装置との機械的干渉を防止することができる。このため、ダイクッションを従来よりも早いタイミングでロッキングを終了させ上昇させることができる。したがって、ロッキング終了から上昇完了までの時間を従来技術よりも長く掛けることができるので、同じサイクルタイムでダイクッションが動作する場合には、最大上昇速度を従来技術よりも遅くすることができる。このため、従来技術と同等以上にサイクルタイムを短くしても、ダイクッションの駆動源(バルブやポンプなどの油空圧機器)を小型化できるとともに、それらを駆動する動力も小さくなりエネルギー消費量を低減できる。
【0009】
(2)また、上記のプレス機械のダイクッション装置において、前記制御装置は、記ダイクッションの前記上面と前記出側ワーク搬送装置の把持部との高さ方向の距離が所定値以下となった場合、前記ダイクッションを停止し又は降下させるよう前記昇降駆動機構の駆動を制御することを特徴とする。
【0010】
このように、ダイクッションの上面と出側ワーク搬送装置の把持部との高さ方向の距離が所定値以下となった場合、ダイクッションを停止し又は降下させる制御を行うことにより、出側ワーク搬送装置が異常動作した場合であっても、ダイクッションとの機械的干渉を回避することができる。
【0011】
(3)また、上記のプレス機械のダイクッション装置において、前記制御装置は、加工したワークが取り出された後、前記ダイクッションが上昇する際に上昇速度を途中で低下させ、未加工のワークをプレス機械に搬入するための入側ワーク搬送装置から前記ダイクッションにワークが投下される時点において前記ダイクッションが前記の低下した速度で上昇中であるように、前記昇降駆動機構の駆動を制御することを特徴とする。
【0012】
このように、ダイクッションの上昇中にワークが投下されるようにダイクッションを動作させるので、ワークが載置されるときまでにダイクッションの上昇が完了しているように動作させる場合と比較して、ダイクッションの上昇速度を遅くすることができる。このため、ダイクッションの上昇速度をさらに遅くすることができる。
【0013】
(4)本発明のダイクッションの動作制御方法は、プレス機械において昇降可能に構成されワークを上面で支持するとともにワークの加工時に上金型との間でワークを挟んで降下するダイクッションの動作制御方法であって、前記ダイクッションの上下位置と、加工されたワークをプレス機械から取り出すための出側ワーク搬送装置におけるワークを把持する把持部の上下位置とを検出し、前記ダイクッションの上下位置と前記把持部の上下位置の検出データに基づいて、前記把持部がワークを把持して上昇する間、前記ダイクッションを、前記上面と前記把持部との上下方向の距離が所定値以上を保つように上昇させる、ことを特徴とする。
【0014】
(5)また、上記のダイクッションの動作制御方法において、前記ダイクッションの前記上面と前記出側ワーク搬送装置の把持部との上下方向の距離が所定値以下となった場合、前記ダイクッションを停止し又は降下させることを特徴とする。
【0015】
(6)また、上記のダイクッションの動作制御方法において、加工したワークが取り出された後、前記ダイクッションが上昇する際に上昇速度を途中で低下させ、未加工のワークをプレス機械に搬入するための入側ワーク搬送装置から前記ダイクッションにワークが投下される時点において前記ダイクッションを前記の低下した速度で上昇中とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サイクルタイムを短縮するとともにダイクッションの駆動源を小型化できるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
図1に、本発明の実施形態にかかる機械プレスのダイクッション装置10と、このダイクッション装置10を備えたプレス機械1の概略構成を示す。
図1に示すプレス機械1において、クランク軸2の偏心部にコネクティングロッド3が連結されている。クランク軸2はメーンモータ(図示せず)によって回転駆動され、クランク軸2の回転が、コネクティングロッド3を介して往復直線動に変換され、コネクティングロッド3の下端に連結されたスライド4を上下動させる。スライド4の下部には上金型5が取り付けられている。スライド4の下方にはベッド6が配置され、ベッド6上にはボルスタ7が設置され、ボルスタ7上に下金型8が支持されている。スライド4が上下動されると、上金型5と下金型8の間に挿入されたワークWがプレス加工される。
【0019】
プレス機械1には、上金型5との間でワークWを挟みワークWのしわ押さえ圧力を発生するためのダイクッション装置10が搭載されている。
このダイクッション装置10は、昇降可能に構成されワークWを上面で支持するとともにワークWの加工時に上金型との間でワークWを挟んで降下するダイクッション11と、ダイクッション11を昇降駆動する昇降駆動機構15と、昇降駆動機構15の駆動を制御する制御装置18とを備える。
【0020】
ダイクッション11は、ワークWが載置されるブランクホルダ12と、ブランクホルダ12を上端で支持しボルスタ7を貫通してベッド6の内部まで延びるクッションピン13と、クッションピン13を支持するクッションパッド14とからなる。したがって、ブランクホルダ12、クッションピン13及びクッションパッド14は一体となって上下動する。なお、通常、ブランクホルダ12は、金型の種類に応じて交換される。
【0021】
本実施形態において、昇降駆動機構15は、ダイクッション11を上下動させるシリンダ16と、シリンダ16を駆動するシリンダ駆動源17とからなる。シリンダ駆動源17から供給される油圧や空気圧などの流体でシリンダ16が駆動され、ダイクッション11がシリンダ16で上下に駆動され、ワークWがプレス加工されるときに、ダイクッション11の最上部(ブランクホルダ12)と上金型5の間にワークWが挟まれることにより、ワークWのしわ押さえが行われる。
【0022】
制御装置18は、スライド4の動きに合わせてダイクッション11が適切な位置となるようシリンダ駆動源17を制御する。ダイクッション11の上下位置が位置検出器23(第1検出手段)により検出され、クランク軸2の回転角が回転角検出器24で検出され、これらの検出データが制御装置18に送信される。位置検出器23としては、磁歪式リニアエンコーダ、磁気式や光学式のリニアスケールを適用することができる。回転角検出器24としては、光学式ロータリエンコーダやレゾルバが使用可能である。
制御装置18は、位置検出器23と回転角検出器24からの検出データに基づいて、クランク軸2と連動しているスライド4の位置と、ダイクッション11の位置が適切な関係となるように、シリンダ駆動源17へ制御指令を与える。
【0023】
シリンダ駆動源17の構成としては、特許第2568069号に示されるような構成がある。制御方法としては、位置偏差を小さくするようにフィードバック制御することが一般的であり、制御特性を改善するためにフィードフォワード制御を併用することもある。
【0024】
プレス機械1の前後には、プレス間のワーク搬送のために、入側ワーク搬送装置19と出側ワーク搬送装置21が設置されている。
入側ワーク搬送装置19は、未加工のワークWを把持部20で把持して移動させブランクホルダ12上に置く動作を行なうことにより、ワークWをプレス機械1に搬入する。出側ワーク搬送装置21は、加工後のワークWを把持部22で把持して移動させブランクホルダ12上から取り除く動作を行なうことにより、ワークWをプレス機械1から搬出する。入側ワーク搬送装置19および出側ワーク搬送装置21としては、産業用ロボットや専用のトランスファー装置が使用される。
【0025】
出側ワーク搬送装置21の把持部22の高さ(上下位置)が高さ検出器25(第2検出手段)により検出され、高さの信号が制御装置18に送信される。高さ検出器25による出側ワーク搬送装置21の高さを検出する方法としては、出側ワーク搬送装置21を駆動する各軸モータの回転角をロータリエンコーダやレゾルバで検出し駆動装置の寸法形状に基づく変換式を用いて計算で求める方法がある。また、他の第2検出手段としては、把持部22に光反射装置を設置し光学式の距離計測器で検出する手段、把持部22に磁石を設置し磁気式の位置計測器で検出する手段、把持部22から水平方向に可動式に延長したアームの高さを鉛直方向に設けた磁気式や光学式のリニアエンコーダ・リニアセンサで検出する手段、などがある。
【0026】
本実施形態のダイクッション装置10におけるダイクッション11の動きは、制御装置18によって1サイクルの間に図2に示すように制御される。
1サイクルの始めでは、ダイクッション11は上昇しており、上昇完了区間で、入側ワーク搬送装置19が未加工のワークWをダイクッション11最上部のブランクホルダ12上に置く。スライド4が下降し、上金型5がワークWに接触する直前に予備加速を行い、上金型5がワークWに接触した以降は、スライド4が下降する動きに押されつつダイクッション11も下降する。このとき、上金型5とブランクホルダ12の間で適切なしわ押さえ力を発生するような制御が行われる。スライド4が下死点を通過して上昇に転じた後、ダイクッション11はロッキング位置へ上昇する。ロッキング中に出側ワーク搬送装置21が加工後のワークWを拾い上げ、その後、空になったブランクホルダ12が上昇して1サイクルが終了する。
【0027】
制御装置18は、位置検出器23(第1検出手段)と高さ検出器25(第2検出手段)からの検出データに基づいて、把持部22がワークWを把持して上昇する間、ダイクッション11がその上面と把持部22との上下方向の距離を所定値以上に保って上昇するよう昇降駆動機構15の駆動を制御する。具体的には、制御装置18は、出側ワーク搬送装置21の高さの信号を参照し、ブランクホルダ12が出側ワーク搬送装置21と機械的に干渉しない高さもしくはそれ以下の高さまで上昇するように、制御信号をシリンダ駆動源17に与える。
【0028】
これにより、ダイクッション11と出側ワーク搬送装置21との機械的干渉を防止することができるので、図2のラインL1で示すように、ダイクッション11を従来技術(ラインL2)よりも早いタイミングでロッキングを終了させ上昇させることができる。
従来技術では、図2のラインL2で示すように、ダイクッション11が上昇を開始するタイミングが遅いため、高速で上昇させる必要があった。これに対し、本発明によれば、ロッキング終了から上昇完了までの時間を従来技術よりも長く掛けることができるので、同じサイクルタイムでダイクッション11が動作する場合には、最大上昇速度を従来技術よりも遅くすることができる。
【0029】
したがって、本発明によれば、従来技術と同等以上にサイクルタイムを短くしても、ダイクッション11の駆動源(バルブやポンプなどの油空圧機器:本実施形態ではシリンダ駆動源17)を小型化できるとともに、それらを駆動する動力も小さくなりエネルギー消費量を低減できる。
【0030】
また、出側ワーク搬送装置21の高さを常に監視し、図3のラインL3で示すように、出側ワーク搬送装置21の高さの変化に応じてダイクッション11の上昇速度を時々刻々と変化させるように制御装置18が昇降駆動機構15の駆動を制御することにより、ダイクッション11が出側ワーク搬送装置21の動きにより忠実に追従するようになり、これにより、ダイクッション11の上昇速度をさらに遅くすることができる。
【0031】
また、制御装置18は、ダイクッション11の上面と出側ワーク搬送装置21の把持部22との上下方向の距離が所定値以下となった場合、ダイクッション11を停止し又は降下させるよう昇降駆動機構15の駆動を制御する。
このような制御を行うことにより、出側ワーク搬送装置21が異常動作した場合であっても、ダイクッション11との機械的干渉を回避することができる。
【0032】
また、図4に示すように、制御装置18は、加工したワークWが取り出された後、ダイクッション11が上昇する際に上昇速度を途中で低下させ、入側ワーク搬送装置19からダイクッション11にワークWが投下される時点においてダイクッション11が上記の低下した速度で上昇中であるように、昇降駆動機構15の駆動を制御する。すなわち、入側ワーク搬送装置19が未加工のワークWを投入する前に、ダイクッション11を、ワークWがブランクホルダ12から脱落しない高さまで上昇した後に減速し、ワークWが投下される時点において低速上昇の状態となっているように制御する。この場合には、ダイクッション11は、予備加速を開始するまでに、上昇完了していれば良い。
【0033】
このように、ダイクッション11の上昇中にワークWが投下されるようにダイクッション11を動作させるので、ワークWが載置されるときまでにダイクッション11の上昇が完了しているように動作させる場合(図4のラインL4)と比較して、ダイクッション11の上昇速度を遅くすることができる。このため、ダイクッション11の上昇速度をさらに遅くすることができる。
【0034】
なお、上記の実施形態において、ブランクホルダ12の動きを制御する手段としては、バルブの開度を変えることにより空気や油の流量を変える手段の他に、可変容量ポンプの容量を変化させることにより空気や油の流量を変える手段、ポンプを駆動するモータの回転をインバータを用いて変化させることにより空気や油の流量を変える手段などがある。しかし、空気や油を流量を変える手段は、上記の各手段に限定されない。
【0035】
上記の実施形態では、ダイクッション11を油圧や空圧で作動するシリンダ16で上下させる方式を示したが、本発明は、サーボモータでクッションを上下動させるダイクッション(たとえば、特許第3211904号に示されている装置)にも適用可能である。この場合、サーボモータが小さくできる、サーボモータに電力を供給するインバータ・コンバータ・トランスが小さくできる、電力消費を低減できる、という効果が得られる。
【0036】
上記の実施形態では、1本のシリンダ16でダイクッション11を上下動させる構成を示したが、本発明は、油圧と空気圧の2本のシリンダを有する構成、上昇と下降で独立のシリンダ16を有する構成、複数のシリンダで荷重を分散する構成など、シリンダ構成が異なっていても、同様に適用可能である。
【0037】
上記の実施形態では、スライド駆動機構がクランク式であるクランクプレスの例を示したが、本発明は、クランクレスプレス、リンクプレス、ナックルプレスなど他の駆動形式のプレス機械におけるクッション装置に対しても同様に適用可能である。
【0038】
上記の実施形態では、スライド4の位置検出方法として、クランク軸2の回転角を検出する方法を示したが、光学式や磁気式のリニアエンコーダやリニアスケールを用いて、スライド4の高さを直接検出する方法も適用可能である。
【0039】
出側ワーク搬送装置21の高さを示す信号としては、高さの信号を直接送る方法の他に、出側ワーク搬送装置21が別の信号、例えばクランク軸2の角度に同期して動作するのであれば、同期している信号(この場合ではクランク軸2の角度)を送る方法がある。また、出側ワーク搬送装置21の水平方向の位置に依存して、出側ワーク搬送装置21とブランクホルダ12との干渉の条件が変化するのであれば、出側ワーク搬送装置21の水平位置の信号も一緒に送り、水平方向の位置に応じて、適切に高さ方向のクリアランスを確保することにより、さらにダイクッション11の上昇のタイミングを早めることができる。
【0040】
上記実施形態は、ダイクッションの1サイクルのうち上昇に関するものである。例えば、上記実施形態において、予備加速を行わず上昇完了区間からいきなり下降に転じる運転や、ロッキングを下死点より低い位置で行う運転の場合も、本発明は適用可能である。
【0041】
ボルスタを可動式にするために、クッションピンをボルスタと一緒に動くピンプレートで支持し、クッションパッドはピンプレートで押し上げる構成にすることも可能であるが、その場合にも本発明は適用可能である。
【0042】
上記において、本発明の実施形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態にかかるダイクッション装置と、このダイクッション装置を備えたプレス機械の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態におけるダイクッションの動きを示す図である。
【図3】本発明の実施形態におけるダイクッションの動き(一部分)を示す図である。
【図4】本発明の実施形態におけるダイクッションの動き(一部分)を示す別の図である。
【図5】従来技術におけるダイクッションの動きを示す図である。
【符号の説明】
【0044】
W ワーク
1 プレス機械
2 クランク軸
3 コネクティングロッド
4 スライド
5 上金型
6 ベッド
7 ボルスタ
8 下金型
10 ダイクッション装置
11 ダイクッション
12 ブランクホルダ
13 クッションピン
14 クッションパッド
15 昇降駆動機構
16 シリンダ
17 シリンダ駆動源
18 制御装置
19 入側ワーク搬送装置
20,22 把持部
21 出側ワーク搬送装置
23 位置検出器(第1検出手段)
24 回転角検出器
25 高さ検出器(第2検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス機械に搭載されるダイクッション装置であって、
昇降可能に構成されワークを上面で支持するとともにワークの加工時に上金型との間でワークを挟んで降下するダイクッションと、
該ダイクッションを昇降駆動する昇降駆動機構と、
該昇降駆動機構の駆動を制御する制御装置と、
前記ダイクッションの上下位置を検出する第1検出手段と、
加工されたワークをプレス機械から搬出するための出側ワーク搬送装置におけるワークを把持する把持部の上下位置を検出する第2検出手段と、を備え、
前記制御装置は、前記第1検出手段と前記第2検出手段からの検出データに基づいて、前記把持部がワークを把持して上昇する間、前記ダイクッションが前記上面と前記把持部との上下方向の距離を所定値以上に保って上昇するよう前記昇降駆動機構の駆動を制御する、ことを特徴とするプレス機械のダイクッション装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ダイクッションの前記上面と前記出側ワーク搬送装置の把持部との上下方向の距離が所定値以下となった場合、前記ダイクッションを停止し又は降下させるよう前記昇降駆動機構の駆動を制御することを特徴とする請求項1記載のプレス機械のダイクッション装置。
【請求項3】
前記制御装置は、加工したワークが取り出された後、前記ダイクッションが上昇する際に上昇速度を途中で低下させ、未加工のワークをプレス機械に搬入するための入側ワーク搬送装置から前記ダイクッションにワークが投下される時点において前記ダイクッションが前記の低下した速度で上昇中であるように、前記昇降駆動機構の駆動を制御することを特徴とする請求項1記載のプレス機械のダイクッション装置。
【請求項4】
プレス機械において昇降可能に構成されワークを上面で支持するとともにワークの加工時に上金型との間でワークを挟んで降下するダイクッションの動作制御方法であって、
前記ダイクッションの上下位置と、加工されたワークをプレス機械から取り出すための出側ワーク搬送装置におけるワークを把持する把持部の上下位置とを検出し、
前記ダイクッションの上下位置と前記把持部の上下位置の検出データに基づいて、前記把持部がワークを把持して上昇する間、前記ダイクッションを、前記上面と前記把持部との上下方向の距離が所定値以上を保つように上昇させる、ことを特徴とするダイクッションの動作制御方法。
【請求項5】
前記ダイクッションの前記上面と前記出側ワーク搬送装置の把持部との上下方向の距離が所定値以下となった場合、前記ダイクッションを停止し又は降下させることを特徴とする請求項4記載のダイクッションの動作制御方法。
【請求項6】
加工したワークが取り出された後、前記ダイクッションが上昇する際に上昇速度を途中で低下させ、未加工のワークをプレス機械に搬入するための入側ワーク搬送装置から前記ダイクッションにワークが投下される時点において前記ダイクッションを前記の低下した速度で上昇中とすることを特徴とする請求項4記載のダイクッションの動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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