説明

プレス装置

【課題】 プレス加工の高速化及び安定化を実現することができるプレス装置を提供すること。
【解決手段】 加工域4にてシート状部材6に加工を施すためのプレス加工装置8と、加工すべきシート状部材6を巻き出すための巻出し装置10と、加工したシート状部材6を巻き取るための巻取り装置12と、シート状部材6を加工域4を通して間欠的に送るための送り装置14と、巻出し装置10及び巻取り装置12の回転数を制御するための制御手段16と、を備える。第1上限検知センサ32又は第1下限検知センサ34により上流側ループ28のループ状下端部36が検知されると、制御手段16は、巻出し装置10の回転数を増加又は減少させ、また第2上限検知センサ46又は第2下限検知センサ48により下流側ループ42のループ状下端部50が検知されると、制御手段16は、巻取り装置12の回転数を減少又は増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状部材にプレス加工を施すためのプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シート状部材にプレス加工を施すためのプレス装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このプレス装置は、加工域にてシート状部材にプレス加工を施すためのプレス加工装置と、プレス加工すべきシート状部材を巻き出すための巻出し装置と、プレス加工したシート状部材を巻き取るための巻取り装置と、巻出し装置から巻き出されたシート状部材を加工域を通して巻取り装置に向けて間欠的に送るための送り装置と、を備えている。巻出し装置から巻き出されたシート状部材には、巻出し装置とプレス加工装置との間で上流側ループが形成され、また巻取り装置に巻き取られるシート状部材には、プレス加工装置と巻取り装置との間で下流側ループが形成されている。
【0003】
巻出し装置から巻き出されたシート状部材は、送り装置によって加工域に向けて間欠的に送られ、加工域にてプレス加工装置によってプレス加工が施される。プレス加工されたシート状部材は、送り装置によって巻取り装置に向けて送られ、巻取り装置に巻き取られる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−340531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のプレス装置では、例えば上流側ループのループ状下端部が巻出し装置とプレス加工装置との間の第1ループ領域よりも下方に移動されると、上流側ループに作用するテンションが変化し、プレス加工すべきシート状部材が巻出し装置より巻き出される際に巻出しムラが生じてしまう。また、例えば下流側ループのループ状下端部がプレス加工装置と巻取り装置との間の第2ループ領域よりも上方に移動されると、下流側ループに作用するテンションが変化し、プレス加工したシート状部材が巻取り装置に巻き取られる際に巻取りムラが生じてしまう。このような巻出しムラ及び巻取りムラを防止するため、上述のように上流側ループ及び下流側ループのループ状下端部が移動された際には、巻出し装置及び巻取り装置の回転を一旦停止させ、かかる状態にてシート状部材が送り装置によって送られることにより、上流側ループ及び下流側ループの各ループ状下端部をそれぞれ第1ループ領域及び第2ループ領域に再び位置させている。しかしながら、このように巻出し装置及び巻取り装置の回転を停止させると、シート状部材の巻出し速度及び巻取り速度をプレス加工装置のライン速度に追従させることができず、プレス装置によるプレス加工の高速化及び安定化を実現することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、プレス加工の高速化及び安定化を実現することができるプレス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載のプレス装置では、加工域にてシート状部材にプレス加工を施すためのプレス加工装置と、プレス加工すべきシート状部材を巻き出すための巻出し装置と、プレス加工したシート状部材を巻き取るための巻取り装置と、前記巻出し装置から巻き出されたシート状部材を前記加工域を通して前記巻取り装置に向けて間欠的に送るための送り装置と、前記巻出し装置及び前記巻取り装置の回転数を制御するための制御手段と、を備え、前記巻出し装置から巻き出されたシート状部材には、前記巻出し装置と前記プレス加工装置との間で上流側ループが形成され、また前記巻取り装置に巻き取られるシート状部材には、前記プレス加工装置と前記巻取り装置との間で下流側ループが形成され、
前記プレス加工装置の上流側には第1上限検知センサ及び第1下限検知センサが設けられ、また前記プレス加工装置の下流側には第2上限検知センサ及び第2下限検知センサが設けられており、前記第1上限検知センサは、前記上流側ループのループ状下端部が第1ループ領域よりも上方に移動したことを検知し、前記第1下限検知センサは、前記上流側ループのループ状下端部が前記第1ループ領域よりも下方に移動したことを検知し、前記第2上限検知センサは、前記下流側ループのループ状下端部が第2ループ領域よりも上方に移動したことを検知し、また前記第2下限検知センサは、前記下流側ループのループ状下端部が前記第2ループ領域よりも下方に移動したことを検知し、
前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサにより前記上流側ループのループ状下端部が検知されると、前記制御手段は、前記巻出し装置の回転数を増加又は減少させ、また、前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサにより前記下流側ループのループ状下端部が検知されると、前記制御手段は、前記巻取り装置の回転数を減少又は増加させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載のプレス装置では、前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサにより前記上流側ループのループ状下端部が検知されると、前記制御手段は、前記巻出し装置の回転数を増加又は減少し、前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサが前記上流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻出し装置の回転数及び前記上流側ループのループ状下端部が前記第1ループ領域に位置するまでの変速回数に基づいて前記巻出し装置の回転数を補正することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の請求項3に記載のプレス装置では、前記制御手段は、前記巻出し装置の回転数を増加又は減少させるための回転数設定変更手段と、前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサが前記上流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻出し装置の回転数及び前記上流側ループのループ状下端部が前記第1ループ領域に位置するまでの変速回数を記憶するための記憶手段と、前記巻出し装置の回転数を補正するための回転数補正手段と、を備えており、
前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサにより前記上流側ループのループ状下端部が検知されると、前記回転数設定変更手段は、前記巻出し装置の回転数を増加又は減少し、前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサが前記上流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻出し装置の回転数及び前記上流側ループのループ状下端部が前記第1ループ領域に位置するまでの変速回数が前記記憶手段に記憶され、前記回転数補正手段は、前記記憶手段に記憶された回転数及び変速回数に基づいて前記巻出し装置の回転数を補正することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載のプレス装置では、前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサにより前記下流側ループのループ状下端部が検知されると、前記制御手段は、前記巻取り装置の回転数を減少又は増加し、前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサが前記下流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻取り装置の回転数及び前記下流側ループのループ状下端部が前記第2ループ領域に位置するまでの変速回数に基づいて前記巻取り装置の回転数を補正することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の請求項5に記載のプレス装置では、前記制御手段は、前記巻取り装置の回転数を減少又は増加させるための回転数設定変更手段と、前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサが前記下流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻取り装置の回転数及び前記下流側ループのループ状下端部が前記第2ループ領域に位置するまでの変速回数を記憶するための記憶手段と、前記巻取り装置の回転数を補正するための回転数補正手段と、を備えており、
前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサにより前記下流側ループのループ状下端部が検知されると、前記回転数設定変更手段は、前記巻出し装置の回転数を減少又は増加し、前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサが前記下流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻取り装置の回転数及び前記下流側ループのループ状下端部が前記第2ループ領域に位置するまでの変速回数が前記記憶手段に記憶され、前記回転数補正手段は、前記記憶手段に記憶された回転数及び変速回数に基づいて前記巻取り装置の回転数を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載のプレス装置によれば、第1上限検知センサ又は第1下限検知センサにより上流側ループのループ状下端部が検知されると、制御手段は、巻出し装置の回転数を増加又は減少させるので、上流側ループのループ状下端部を下方又は上方に移動させて第1ループ領域に位置させることができる。これにより上流側ループに作用するテンションの変化を抑制することができ、プレス加工すべきシート状部材を巻き出す際に巻出しムラが生じるのを防止することができる。また、第2上限検知センサ又は第2下限検知センサにより下流側ループのループ状下端部が検知されると、制御手段は、巻取り装置の回転数を減少又は増加させるので、下流側ループのループ状下端部を下方又は上方に移動させて第2ループ領域に位置させることができる。これにより下流側ループに作用するテンションの変化を抑制することができ、プレス加工されたシート状部材を巻き取る際の巻取りムラを防止することができる。従って、シート状部材の連続的な巻出し及び巻取りが可能となり、プレス装置によるプレス加工の高速化及び安定化を実現することができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載のプレス装置によれば、第1上限検知センサ又は第1下限検知センサにより上流側ループのループ状下端部が検知されると、制御手段は、巻出し装置の回転数を増加又は減少し、検知時の巻出し装置の回転数及び変速回数(変速周期による変数に基づいた時間の周期回数)に基づいて巻出し装置の回転数を補正するので、上流側ループのループ状下端部が第1ループ領域に位置した後に、ループ状下端部の上下方向の変動を収束させることができ、それ故に、シート状部材の巻出し速度をプレス加工装置のライン速度に追従させることができ、プレス装置によるプレス加工の高速化及び安定化を実現することができる。
【0014】
さらに、本発明の請求項3に記載のプレス装置によれば、第1上限検知センサ又は第1下限検知センサにより上流側ループのループ状下端部が検知されると、回転数設定変更手段は、巻出し装置の回転数を増加又は減少し、回転数補正手段は、記憶手段に記憶された回転数及び変速回数に基づいて巻出し装置の回転数を補正するので、上流側ループのループ状下端部が第1ループ領域に位置した後に、ループ状下端部の上下方向の変動を収束させることができ、それ故に、シート状部材の巻出し速度をプレス加工装置のライン速度に追従させることができ、高速で且つ安定したプレス加工を行うことができる。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載のプレス装置によれば、第2上限検知センサ又は第2下限検知センサにより下流側ループのループ状下端部が検知されると、制御手段は、巻取り装置の回転数を減少又は増加し、検知時の巻出し装置の回転数及び変速回数に基づいて巻取り装置の回転数を補正するので、下流側ループのループ状下端部が第2ループ領域に位置した後に、ループ状下端部の上下方向の変動を収束させることができ、それ故に、シート状部材の巻取り速度をプレス加工装置のライン速度に追従させることができ、プレス装置によるプレス加工の高速化及び安定化を実現することができる。
【0016】
さらに、本発明の請求項5に記載のプレス装置によれば、第2上限検知センサ又は第2下限検知センサにより下流側ループのループ状下端部が検知されると、回転数設定変更手段は、巻取り装置の回転数を減少又は増加し、回転数補正手段は、記憶手段に記憶された回転数及び変速回数に基づいて巻取り装置の回転数を補正するので、下流側ループのループ状下端部が第2ループ領域に位置した後に、ループ状下端部の上下方向の変動を収束させることができ、それ故に、シート状部材の巻取り速度をプレス加工装置のライン速度に追従させることができ、高速で且つ安定したプレス加工を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うプレス装置の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態によるプレス装置を示す概略図であり、図2は、図1のプレス装置の制御系を簡略的に示すブロック図であり、図3は、図1のプレス装置の巻出し装置側の運転の制御の流れを示すフローチャートであり、図4は、図1のプレス装置の巻取り装置側の運転の制御の流れを示すフローチャートであり、図5は、図3のフローチャートにおける第1上限検知センサにより上流側ループが検知された際の巻出し装置の回転数の制御の流れを示すフローチャートであり、図6は、図3のフローチャートにおける第1下限検知センサにより上流側ループが検知された際の巻出し装置の回転数の制御の流れを示すフローチャートであり、図7は、図4のフローチャートにおける第2上限検知センサにより下流側ループが検知された際の巻取り装置の回転数の制御の流れを示すフローチャートであり、図8は、図4のフローチャートにおける第2下限検知センサにより下流側ループが検知された際の巻取り装置の回転数の制御の流れを示すフローチャートである。
【0018】
図1及び図2を参照して、図示のプレス装置2は、加工域4にてシート状部材6にプレス加工を施すためのプレス加工装置8と、プレス加工すべきシート状部材6を巻き出すための巻出し装置10と、プレス加工したシート状部材6を巻き取るための巻取り装置12と、巻出し装置10から巻き出されたシート状部材6を加工域4を通して巻取り装置12に向けて間欠的に送るための送り装置14と、巻出し装置10及び巻取り装置12の回転数を制御するための制御手段16と、を備えている。以下、これら各構成要素について詳細に説明する。
【0019】
プレス加工装置8はプレス加工装置本体18を備え、このプレス加工装置本体18に静止金型20及び可動金型22が設けられている。これら静止金型20と可動金型22との間には、プレス加工を施すための加工域4が規定されており、プレス加工すべきシート状部材6は静止金型20と可動金型22との間を通り、加工域4を通して後述するようにして間欠的に送られる。静止金型20はプレス加工装置本体18の上部に取り付けられ、また可動金型22は静止金型20の上方に上下方向に往復移動自在に取り付けられており、これら静止金型20及び可動金型22が加工域4に位置するシート状部材6に作用することによって、このシート状部材6にプレス加工が施される。なお、シート状部材6は、例えば薄くて細長い鋼板や合成樹脂フィルム等から構成される。
【0020】
巻出し装置10は、一対の支持フレーム(図示せず)と、これら一対の支持フレームに回転自在に支持された巻出し軸24と、を備えており、プレス加工すべきシート状部材6は、この巻出し軸24にロール状に巻回されている。巻出し軸24は第1駆動モータ25に駆動連結され、この第1駆動モータ25は、第1インバータ装置26によって駆動制御される。また、この巻出し装置10はプレス加工装置8の上流側に配設され、巻出し装置10から巻き出されたシート状部材6には、巻出し装置10とプレス加工装置8との間で垂下された上流側ループ28が形成されている。なお、巻出し装置10によるシート状部材6の巻出し速度V1は、下記の数式(1)を用いて算出される。
【0021】
【数1】

また、巻出し装置10とプレス加工装置8との間には第1ループ領域30が設けられ、この第1ループ領域30の上端部及び下端部にはそれぞれ第1上限検知センサ32及び第1下限検知センサ34が配設されている。第1上限検知センサ32は、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30よりも上方に移動したことを検知し、また第1下限検知センサ34は、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30よりも下方に移動したことを検知する。
【0022】
巻取り装置12は、一対の支持フレーム(図示せず)と、これら一対の支持フレームに回転自在に支持された巻取り軸38と、を備えており、プレス加工されたシート状部材6は、この巻取り軸38にロール状に巻回されている。巻取り軸38は第2駆動モータ39に駆動連結され、この第2駆動モータ39は、第2インバータ装置40によって駆動制御される。また、この巻取り装置12はプレス加工装置8の下流側に配設され、巻取り装置12に巻き取られるシート状部材6には、巻取り装置12とプレス加工装置8との間で垂下された下流側ループ42が形成されている。なお、巻取り装置12によるシート状部材6の巻取り速度V2は、下記の数式(2)を用いて算出される。
【0023】
【数2】

また、巻取り装置12とプレス加工装置8との間には第2ループ領域44が設けられ、この第2ループ領域44の上端部及び下端部にはそれぞれ第2上限検知センサ46及び第2下限検知センサ48が配設されている。第2上限検知センサ46は、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44よりも上方に移動したことを検知し、また第2下限検知センサ48は、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44よりも下方に移動したことを検知する。
【0024】
プレス加工装置8の下流側には、シート状部材6を加工域4を通して間欠的に送るための送り装置14が設けられている。この送り装置14は、一対の静止グリップ(図示せず)と、これら一対の静止グリップに対してシート状部材6の搬送方向に往復動自在である一対の可動グリップ(図示せず)と、を備えている。プレス加工装置8の可動金型22が270°の位相角度から90°の位相角度に向けて移動するとき、送り装置14の一対の可動グリップはシート状部材6を挟持して図1中の矢印Pで示す搬送方向に送り、可動金型22及び静止金型20が加工域4にてシート状部材6に作用する(即ち、可動金型22が下死点又はその近傍に位置する)とき、送り装置14の一対の可動グリップ及び一対の静止グリップはシート状部材6の挟持を解除し、また可動金型22が90°の位相角度から270°の位相角度に向けて移動するとき、一対の静止グリップがシート状部材6を挟持した状態にて一対の可動グリップが上記搬送方向と反対方向に移動し、このようにしてシート状部材6が加工域4を通して間欠的に送られる。なお、プレス加工装置8のライン速度V3は、下記の数式(3)を用いて算出される。
【0025】
【数3】

制御手段16は、回転数設定変更手段52、計数手段54、記憶手段56及び回転数補正手段58を含んでいる。回転数設定変更手段52は、入力手段60(後述する)により入力された設定回転数に基づいて第1インバータ装置26(又は第2インバータ装置40)を制御し、これにより巻出し装置10の巻出し軸24(又は巻取り装置12の巻取り軸38)が第1駆動モータ25(又は第2駆動モータ39)により上記設定回転数でもって回転される。また、回転数設定変更手段52は、第1上限検知センサ32(又は第1下限検知センサ34)により上流側ループ28のループ状下端部36が検知されると、第1上限検知センサ32(又は第1下限検知センサ34)からの検知信号に基づいて第1インバータ装置26を制御することにより、巻出し装置10の回転数を所定の変速周期(例えば、約0.5秒)でもって所要の通りに増加(又は減少)させ、また、第2上限検知センサ46(又は第2下限検知センサ48)により下流側ループ42のループ状下端部50が検知されると、第2上限検知センサ46(又は第2下限検知センサ48)からの検知信号に基づいて第2インバータ装置40を制御することにより、巻取り装置12の回転数を所定の変速周期(例えば、約0.5秒)でもって所要の通りに減少(又は増加)させる。
【0026】
計数手段54は、上流側ループ28のループ状下端部36(又は下流側ループ42のループ状下端部50)が第1ループ領域30(又は第2ループ領域44)から上方又は下方に移動してから第1ループ領域30(又は第2ループ領域44)に再び位置するまでの回転数設定変更手段52による変速回数を計数する。なお、この変速回数は、回転数設定変更手段52の変速周期(例えば、約0.5秒)による変数に基づいた時間の周期回数である。
【0027】
記憶手段56は例えばメモリなどから構成され、この記憶手段56には、第1上限検知センサ32又は第1下限検知センサ34が上流側ループ28のループ状下端部36を検知したときの巻出し装置10の回転数と、第2上限検知センサ46又は第2下限検知センサ48が下流側ループ42のループ状下端部50を検知したときの巻取り装置12の回転数と、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に位置するまでの回転数設定変更手段52による変速回数と、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に位置するまでの回転数設定変更手段52による変速回数とがそれぞれ記憶される。
【0028】
回転数補正手段58は、記憶手段56に記憶された回転数及び変速回数に基づいて、回転数設定変更手段52により変速された巻出し装置10又は巻取り装置12の回転数を演算補正し、かかる演算補正は例えば次のようにして行われる。回転数補正手段58は、回転数設定変更手段52が巻出し装置10又は巻取り装置12の回転数を増加させたときには、巻出し装置10又は巻取り装置12の回転数A1’,A2’を下記の数式(4)を用いて演算補正する。なお、数式(4)においてαは変数(例えば、α=3)である。
【0029】
【数4】

また、回転数補正手段58は、回転数設定変更手段52が巻出し装置10又は巻取り装置12の回転数を減少させたときには、巻出し装置10又は巻取り装置12の回転数A1’,A2’を下記の数式(5)を用いて演算補正する。なお、数式(5)においてαは変数(例えば、α=3)である。
【0030】
【数5】

また、制御手段16に関連して、各種データ及び各種処理命令などを入力するための入力手段60と、各種データなどを表示するための表示手段62とが設けられている。例えば、入力手段60を用いて巻出し装置10の直径D1を入力することによりシート状部材6の巻出し初期速度V1が設定され、巻取り装置12の直径D2を入力することによりシート状部材6の巻取り初期速度V2が設定され、また送り装置14の送り長さP及びプレス速度Bを入力することによりプレス加工装置8のライン速度V3が設定される。なお、入力手段60は例えばテンキーなどから構成され、また表示手段62は例えばCRTや液晶モニタなどから構成される。あるいは、入力手段60及び表示手段62を一体化して、例えばタッチパネルなどから構成してもよい。
【0031】
図3〜図8をも参照して、上述したプレス装置2の運転の制御の流れについて説明すると、次の通りである。プレス装置2の巻出し装置10側の運転及び巻取り装置12側の運転はそれぞれ独立に制御され、まず、プレス装置2の巻出し装置10側の運転の制御の流れについて説明する。プレス装置2の運転開始前において、入力手段60を用いて巻出し装置10及び巻取り装置12の直径D1,D2や送り装置14の送り長さPなどを予め入力する。プレス装置2の運転が開始されると(ステップS1)、巻出し装置10及び巻取り装置12がそれぞれ図1中の矢印Q,Rで示す方向に回転され、また送り装置14の作動が開始される。上述のように入力手段60を用いて入力することにより、巻出し装置10及び巻取り装置12によるシート状部材6の巻出し速度V1及び巻取り速度V2はそれぞれ、プレス加工装置8のライン速度V3とほぼ等しくなるように設定される。巻出し装置10から巻き出されたシート状部材6は、送り装置14によって加工域4を通して間欠的に送られ、プレス加工装置8によってプレス加工が施される。プレス加工されたシート状部材6は、送り装置14によって巻取り装置12に向けて送られ、この巻取り装置12に巻き取られる。また、上流側ループ28及び下流側ループ42の各ループ状下端部36,50はそれぞれ、第1ループ領域30及び第2ループ領域44に位置されている。
【0032】
上記数式(1)から理解されるように、巻出し装置10に対するシート状部材6の巻回量が変化することにより巻出し装置10の直径D1が変化すると、これに応じて巻出し装置10の巻出し速度V1が変化し、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30内を上方向又は下方向に移動される。図1中の矢印Sで示す方向に、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30よりも上方に移動すると、上流側ループ28のループ状下端部36が第1上限検知センサ32により検知され、ステップS2からステップS3に進み、巻出し装置10の回転数が次のようにして制御される。
【0033】
第1上限検知センサ32により検知されたときの巻出し装置10の回転数が記憶手段56に記憶され(ステップS3−1)、回転数設定変更手段52は、巻出し装置10の回転数を所要の通りに増加させる(ステップS3−2)。また、計数手段54は回転数設定変更手段52による変速回数(例えばN=1回)を計数し(ステップS3−3)、この計数された変速回数が記憶手段56に記憶される(ステップS3−4)。このように巻出し装置10の回転数が増加されることにより、シート状部材6の巻出し速度V1が大きくなり、それ故に、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に向けて下方に移動される。
【0034】
上述のように巻出し装置10の回転数を増加させた場合において、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に位置されていないときには、ステップS3−5からステップS3−6に進んで第1上限検知センサ32により上流側ループ28のループ状下端部36が検知され、更にステップS3−2に戻り、回転数設定変更手段52は、第1上限検知センサ32からの検知信号に基づいて巻出し装置10の回転数を所要の通りに更に増加させる。また、計数手段54は変速回数(例えばN=2回)を更に計数し(ステップS3−3)、この更に計数された変速回数が記憶手段56に記憶される(ステップS3−4)。このように第1上限検知センサ32からの検知信号によって、制御手段16において上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に位置されたか否かが判定される。なお、プレス速度V3と巻出し速度V1との差が大きい場合には、上記数式(4)において変速回数Nが多くなり、これにより巻出し装置10の回転数A1’の増加方向への補正量が大きくなる。
【0035】
上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に位置された場合には、ステップS3−5からステップS3−7に進み、回転数補正手段58は、記憶手段56に記憶された回転数及び変速回数に基づいて、上述のようにして巻出し装置10の回転数を演算補正する。このように巻出し装置10の回転数を演算補正することにより、第1ループ領域30に位置された上流側ループ28のループ状下端部36の上下方向の変動を収束させることができ、シート状部材6の巻出し速度V1をプレス加工装置8のライン速度V3に追従させることができる。このように巻出し装置10の回転数の補正が行われた後に、ステップS3−7から後述するステップS4に進む。
【0036】
また、図1中の矢印Tで示す方向に、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30よりも下方に移動すると、上流側ループ28のループ状下端部36が第1下限検知センサ34により検知され、ステップS2からステップS3及びステップS4を経てステップS5に進み(又はステップS2からステップS4を経てステップS5に進み)、巻出し装置10の回転数が次のようにして制御される。第1下限検知センサ34により検知されたときの巻出し装置10の回転数が記憶手段56に記憶され(ステップS5−1)、回転数設定変更手段52は、巻出し装置10の回転数を所要の通りに減少させる(ステップS5−2)。また、計数手段54は回転数設定変更手段52による変速回数(例えばN=1回)を計数し(ステップS5−3)、この計数された変速回数が記憶手段56に記憶される(ステップS5−4)。このように巻出し装置10の回転数が減少されることにより、シート状部材6の巻出し速度V1が小さくなり、それ故に、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に向けて上方に移動される。このように巻出し装置10の回転数を減少させた場合において、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に位置されていないときには、上述したのと同様にして、ステップS5−5からステップS5−6を経てステップS5−2に戻り、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に位置されるまでステップS5−2〜ステップS5−6が繰り返し行われる。なお、巻出し速度V1とプレス速度V3との差が大きい場合には、上記数式(5)において変速回数Nが多くなり、これにより巻出し装置10の回転数A1’の減少方向への補正量が大きくなる。
【0037】
上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に位置された場合には、ステップS5−5からステップS5−7に進み、回転数補正手段58は、記憶手段56に記憶された回転数及び変速回数に基づいて、上述のようにして巻出し装置10の回転数を演算補正する。このように巻出し装置10の回転数の補正が行われた後に、ステップS5−7からステップS6に進み、プレス加工が終了された場合にはプレス装置2の運転が停止され(ステップS7)、またプレス加工を継続して行う場合にはステップS2に戻る。
【0038】
従って、上述のように巻出し装置10の回転数を増加又は減少させることにより、上流側ループ28のループ状下端部36を第1ループ領域30に位置させることができるので、上流側ループ28に作用するテンションの変化を抑制することができ、プレス加工すべきシート状部材6を巻き出す際に巻出しムラが生じるのを防止することができる。また、回転数補正手段58は、巻出し装置10の回転数を上述のように演算補正するので、上流側ループ28のループ状下端部36が第1ループ領域30に位置した後に、ループ状下端部36の上下方向の変動を収束させることができ、それ故に、シート状部材6の巻出し速度V1をプレス加工装置8のライン速度V3に追従させることができ、高速で且つ安定したプレス加工を行うことができる。
【0039】
次に、プレス装置2の巻取り装置12側の運転の制御の流れについて説明する。上述したステップS1と同様にステップS21が行われた後にステップS22に進む。上記数式(2)から理解されるように、巻取り装置12に対するシート状部材6の巻回量が変化することにより巻取り装置12の直径D2が変化すると、これに応じて巻取り装置12によるシート状部材6の巻取り速度V2が変化し、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44内を上方向又は下方向に移動される。図1中の矢印Uで示す方向に、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44よりも上方に移動すると、下流側ループ42のループ状下端部50が第2上限検知センサ46により検知され、ステップS22からステップS23に進み、巻取り装置12の回転数が次のようにして制御される。
【0040】
第2上限検知センサ46により検知されたときの巻取り装置12の回転数が記憶手段56に記憶され(ステップS23−1)、回転数設定変更手段52は、巻取り装置12の回転数を所要の通りに減少させる(ステップS23−2)。また、計数手段54は回転数設定変更手段52による変速回数(例えばN=1回)を計数し(ステップS23−3)、この計数された変速回数が記憶手段56に記憶される(ステップS23−4)。このように巻取り装置12の回転数が減少されることにより、シート状部材6の巻取り速度V2が小さくなり、それ故に、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に向けて上方に移動される。
【0041】
このように巻取り装置12の回転数を減少させた場合において、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に位置されていないときには、上述したのと同様にして、ステップS23−5からステップS23−6を経てステップS23−2に戻り、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に位置されるまでステップS23−2〜ステップS23−6が繰り返し行われる。なお、巻取り速度V2とプレス速度V3との差が大きい場合には、上記数式(5)において変速回数Nが多くなり、これにより巻取り装置12の回転数A2’の減少方向への補正量が大きくなる。
【0042】
下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に位置された場合には、ステップS23−5からステップS23−7に進み、回転数補正手段58は、記憶手段56に記憶された回転数及び変速回数に基づいて、上述のようにして巻取り装置12の回転数を演算補正する。このように巻取り装置12の回転数を演算補正することにより、第2ループ領域44に位置された下流側ループ42のループ状下端部50の上下方向の変動を収束させることができ、シート状部材6の巻取り速度V2をプレス加工装置8のライン速度V3に追従させることができる。このように巻取り装置12の回転数の補正が行われた後に、ステップS23−7から後述するステップS24に進む。
【0043】
また、図1中の矢印Vで示す方向に、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44よりも下方に移動すると、下流側ループ42のループ状下端部50が第2下限検知センサ48により検知され、ステップS22からステップS23及びステップS24を経てステップS25に進み(又はステップS22からステップS24を経てステップS25に進み)、巻取り装置12の回転数が次のようにして制御される。第2下限検知センサ48により検知されたときの巻取り装置12の回転数が記憶手段56に記憶され(ステップS25−1)、回転数設定変更手段52は、巻取り装置12の回転数を所要の通りに増加させる(ステップS25−2)。また、計数手段54は回転数設定変更手段52による変速回数(例えばN=1回)を計数し(ステップS25−3)、この計数された変速回数が記憶手段56に記憶される(ステップS25−4)。このように巻取り装置12の回転数が増加されることにより、シート状部材6の巻取り速度V2が大きくなり、それ故に、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に向けて上方に移動される。
【0044】
このように巻取り装置12の回転数を増加させた場合において、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に位置されていないときには、上述したのと同様にして、ステップS25−5からステップS25−6を経てステップS25−2に戻り、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に位置されるまでステップS25−2〜ステップS25−6が繰り返し行われる。なお、プレス速度V3と巻取り速度V2との差が大きい場合には、上記数式(4)において変速回数Nが多くなり、これにより巻取り装置12の回転数A2’の増加方向への補正量が大きくなる。
【0045】
下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に位置された場合には、ステップS25−5からステップS25−7に進み、回転数補正手段58は、記憶手段56に記憶された回転数及び変速回数に基づいて、上述のようにして巻取り装置12の回転数を演算補正する。このように巻取り装置12の回転数の補正が行われた後に、ステップS25−7からステップS26に進み、上述したのと同様に、プレス加工が終了された場合にはプレス装置2の運転が停止され(ステップS27)、またプレス加工を継続して行う場合にはステップS22に戻る。
【0046】
従って、上述のように巻取り装置12の回転数を増加又は減少させることにより、下流側ループ42のループ状下端部50を第2ループ領域44に位置させることができるので、下流側ループ42に作用するテンションの変化を抑制することができ、プレス加工すべきシート状部材6を巻き取る際に巻取りムラが生じるのを防止することができる。また、回転数補正手段58は、巻取り装置12の回転数を上述のように演算補正するので、下流側ループ42のループ状下端部50が第2ループ領域44に位置した後に、ループ状下端部50の上下方向の変動を収束させることができ、それ故に、シート状部材6の巻取り速度V2をプレス加工装置8のライン速度V3に追従させることができ、高速で且つ安定したプレス加工を行うことができる。
【0047】
以上、本発明に従うプレス装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態では、送り装置14をプレス加工装置8の下流側に配設するように構成したが、これとは反対に、プレス加工装置8の上流側に配設するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態によるプレス装置を示す概略図である。
【図2】図1のプレス装置の制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図3】図1のプレス装置の巻出し装置側の運転の制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】図1のプレス装置の巻取り装置側の運転の制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】図3のフローチャートにおける第1上限検知センサにより上流側ループが検知された際の巻出し装置の回転数の制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】図3のフローチャートにおける第1下限検知センサにより上流側ループが検知された際の巻出し装置の回転数の制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】図4のフローチャートにおける第2上限検知センサにより下流側ループが検知された際の巻取り装置の回転数の制御の流れを示すフローチャートである。
【図8】図4のフローチャートにおける第2下限検知センサにより下流側ループが検知された際の巻取り装置の回転数の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
2 プレス装置
4 加工域
6 シート状部材
8 プレス加工装置
10 巻出し装置
12 巻取り装置
14 送り装置
16 制御手段
28 上流側ループ
30 第1ループ領域
32 第1上限検知センサ
34 第1下限検知センサ
36 ループ状下端部
42 下流側ループ
44 第2ループ領域
46 第2上限検知センサ
48 第2下限検知センサ
50 ループ状下端部
52 回転数設定変更手段
56 記憶手段
58 回転数補正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工域にてシート状部材にプレス加工を施すためのプレス加工装置と、プレス加工すべきシート状部材を巻き出すための巻出し装置と、プレス加工したシート状部材を巻き取るための巻取り装置と、前記巻出し装置から巻き出されたシート状部材を前記加工域を通して前記巻取り装置に向けて間欠的に送るための送り装置と、前記巻出し装置及び前記巻取り装置の回転数を制御するための制御手段と、を備え、前記巻出し装置から巻き出されたシート状部材には、前記巻出し装置と前記プレス加工装置との間で上流側ループが形成され、また前記巻取り装置に巻き取られるシート状部材には、前記プレス加工装置と前記巻取り装置との間で下流側ループが形成され、
前記プレス加工装置の上流側には第1上限検知センサ及び第1下限検知センサが設けられ、また前記プレス加工装置の下流側には第2上限検知センサ及び第2下限検知センサが設けられており、前記第1上限検知センサは、前記上流側ループのループ状下端部が第1ループ領域よりも上方に移動したことを検知し、前記第1下限検知センサは、前記上流側ループのループ状下端部が前記第1ループ領域よりも下方に移動したことを検知し、前記第2上限検知センサは、前記下流側ループのループ状下端部が第2ループ領域よりも上方に移動したことを検知し、また前記第2下限検知センサは、前記下流側ループのループ状下端部が前記第2ループ領域よりも下方に移動したことを検知し、
前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサにより前記上流側ループのループ状下端部が検知されると、前記制御手段は、前記巻出し装置の回転数を増加又は減少させ、また、前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサにより前記下流側ループのループ状下端部が検知されると、前記制御手段は、前記巻取り装置の回転数を減少又は増加させることを特徴とするプレス装置。
【請求項2】
前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサにより前記上流側ループのループ状下端部が検知されると、前記制御手段は、前記巻出し装置の回転数を増加又は減少し、前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサが前記上流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻出し装置の回転数及び前記上流側ループのループ状下端部が前記第1ループ領域に位置するまでの変速回数に基づいて前記巻出し装置の回転数を補正することを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記巻出し装置の回転数を増加又は減少させるための回転数設定変更手段と、前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサが前記上流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻出し装置の回転数及び前記上流側ループのループ状下端部が前記第1ループ領域に位置するまでの変速回数を記憶するための記憶手段と、前記巻出し装置の回転数を補正するための回転数補正手段と、を備えており、
前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサにより前記上流側ループのループ状下端部が検知されると、前記回転数設定変更手段は、前記巻出し装置の回転数を増加又は減少し、前記第1上限検知センサ又は前記第1下限検知センサが前記上流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻出し装置の回転数及び前記上流側ループのループ状下端部が前記第1ループ領域に位置するまでの変速回数が前記記憶手段に記憶され、前記回転数補正手段は、前記記憶手段に記憶された回転数及び変速回数に基づいて前記巻出し装置の回転数を補正することを特徴とする請求項2に記載のプレス装置。
【請求項4】
前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサにより前記下流側ループのループ状下端部が検知されると、前記制御手段は、前記巻取り装置の回転数を減少又は増加し、前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサが前記下流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻取り装置の回転数及び前記下流側ループのループ状下端部が前記第2ループ領域に位置するまでの変速回数に基づいて前記巻取り装置の回転数を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレス装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記巻取り装置の回転数を減少又は増加させるための回転数設定変更手段と、前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサが前記下流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻取り装置の回転数及び前記下流側ループのループ状下端部が前記第2ループ領域に位置するまでの変速回数を記憶するための記憶手段と、前記巻取り装置の回転数を補正するための回転数補正手段と、を備えており、
前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサにより前記下流側ループのループ状下端部が検知されると、前記回転数設定変更手段は、前記巻出し装置の回転数を減少又は増加し、前記第2上限検知センサ又は前記第2下限検知センサが前記下流側ループのループ状下端部を検知したときの前記巻取り装置の回転数及び前記下流側ループのループ状下端部が前記第2ループ領域に位置するまでの変速回数が前記記憶手段に記憶され、前記回転数補正手段は、前記記憶手段に記憶された回転数及び変速回数に基づいて前記巻取り装置の回転数を補正することを特徴とする請求項4に記載のプレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−6360(P2009−6360A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169969(P2007−169969)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(591041749)日本電産キョーリ株式会社 (14)