説明

プログラマブル表示器

【課題】少ない情報表示量でも効率良く、多くの情報を表示することができるプログラマブル表示器を提供する。
【解決手段】システム用ウィンドウを全て表示するのに十分でない解像度の表示手段(17)と、前記システム用ウィンドウそれぞれの表示優先度を記憶する記憶手段(15)と、前記システム用ウィンドウのうち表示すべきもの全てを前記表示画面の画面上に同時表示することができない場合に、前記表示優先度に従って、前記システム用ウィンドウのうち表示すべきもの全ての中から表示しないものを決定する非表示決定手段(11)とを備えるプログラマブル表示器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器に関し、特に低解像度の表示装置を具備しているプログラマブル表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル表示器は、制御システムのHMI(Human Machine Interface)として用いられるものであり、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、温調器、インバータなどのコントローラとの通信インターフェースを備えており、当該コントローラと通信して、当該コントローラに接続されたデバイスの状態を表示するとともに、画面から受け付ける操作入力に応じてデバイスの状態を制御する。
【0003】
プログラマブル表示器は、システム用ウィンドウの表示要求があると、システム用ウィンドウを表示する。ここで、システム用ウィンドウとは、ユーザが作画ソフトウェアを用いて自由に作成することができる画面以外のもので元々プログラマブル表示器本体に格納されるプログラムが固定的に提供するウィンドウ画面のことを意味している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−94294号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のプログラマブル表示器は、具備している表示装置の解像度(表示ドット数)がシステム用ウィンドウを全て表示するのに十分な解像度であったため、システム用ウィンドウを全て表示するのに描画エリアが不足してしまうことはなかった。したがって、従来のプログラマブル表示器は、具備している表示装置の画面上に、同時に表示要求があったシステム用ウィンドウを全て同時表示していた。
【0006】
ところが、低コスト化や小型化を図る観点などから、プログラマブル表示器が具備する表示装置を、システム用ウィンドウを全て表示するのに十分でない解像度すなわち低解像度のものにすると、システム用ウィンドウを全て表示するのに描画エリアが不足してしまう。したがって、低解像度の表示装置を具備しているプログラマブル表示器では、表示要求があったシステム用ウィンドウが多ければ描画エリアが不足してしまい、具備している表示装置の画面上に、表示要求があったシステム用ウィンドウの全てを同時表示することができない場合がある。
【0007】
尚、特許文献1には、ベース画面上に複数のウィンドウを重なりの少ない状態で表示するプログラマブル表示器が提案されている。特許文献1で提案されている技術は高解像度の表示装置を具備しているプログラマブル表示器には好適であるが、低解像度の表示装置を具備しているプログラマブル表示器に特許文献1で提案されている技術を適用しても、具備している表示装置の画面上に、表示要求があったシステム用ウィンドウの全てを同時表示することができない場合があるという課題を解決することはできない。
【0008】
本発明は、上記の状況に鑑み、少ない情報表示量でも効率良く、多くの情報を表示することができるプログラマブル表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係るプログラマブル表示器は、システム用ウィンドウを全て表示するのに十分でない解像度の表示手段と、前記システム用ウィンドウそれぞれの表示優先度を記憶する記憶手段と、前記システム用ウィンドウのうち表示すべきもの全てを前記表示画面の画面上に同時表示することができない場合に、前記表示優先度に従って、前記システム用ウィンドウのうち表示すべきもの全ての中から表示しないものを決定する非表示決定手段とを備える構成とする。尚、上記の「表示すべきもの」とは、例えば、表示要求イベントが発生してから表示消去要求イベントが発生するまでの状態のシステム用ウィンドウが該当する。また、例えば、システム用ウィンドウそれぞれについて表示要求があっても絶対に表示しない非表示設定が存在する場合、非表示設定がONであるものは上記の「表示すべきもの」から除外されることになる。
【0010】
また、前記表示優先度が同一であるシステム用ウィンドウ間においては、先に表示されているシステム用ウィンドウの表示が優先されることが望ましい。
【0011】
また、前記非表示決定手段の決定により表示されないシステム用ウィンドウが表示待機状態であることを一時的に記憶する一時記憶手段を備え、前記非表示決定手段の決定により表示されないシステム用ウィンドウが表示できる状態になれば、前記表示待機状態を解除し、前記非表示決定手段の決定により表示されないシステム用ウィンドウの表示を行うことが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るプログラマブル表示器によると、具備している表示装置が低解像度であるため表示するシステム用ウィンドウの描画エリアが不足している場合でも、表示優先度の高いシステム用ウィンドウを自動的に判断し、できる限り同時表示するので、少ない情報表示量でも効率良く、多くの情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器を用いた制御システムの一構成例を示す図である。
【図2】システム用ウィンドウの表示時に参照される制御データに含まれる内容を概念的に示す表である。
【図3A】システムメニューウィンドウと流れアラームウィンドウとの同時表示の例を模式的に示す図である。
【図3B】システムメニューウィンドウと1行エラー表示ウィンドウとの同時表示の例を模式的に示す図である。
【図3C】流れアラームウィンドウと1行エラー表示ウィンドウとの同時表示の例を模式的に示す図である。
【図4A】システムメニューウィンドウと流れアラームウィンドウとの同時表示の他の例を模式的に示す図である。
【図4B】システムメニューウィンドウと1行エラー表示ウィンドウとの同時表示の他の例を模式的に示す図である。
【図4C】流れアラームウィンドウと1行エラー表示ウィンドウとの同時表示の他の例を模式的に示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器のシステム用ウィンドウの表示に関連する動作を示すフローチャートである。
【図6A】表示画面の推移例の第1段階を示す図である。
【図6B】表示画面の推移例の第2段階を示す図である。
【図6C】表示画面の推移例の第3段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器1(以下、「プログラマブル表示器1」と略す)を用いた制御システムの一構成例を示す図である。図1に示す制御システムは、プログラマブル表示器1と、制御用ホストコンピュータ2と、通信ネットワーク3と、PLC4と、デバイス5とを備えている。
【0015】
プログラマブル表示器1は、通信ネットワーク3を介して制御用ホストコンピュータ2と接続されている。
【0016】
PLC4は、ユーザが作成した制御プログラム(ラダープログラム)を実行することにより、例えば、数十msなどの予め定められたスキャンタイム毎に、入力用のデバイス5の状態を取り込むとともに、出力用のデバイス5に制御指示を与える。
【0017】
入力用のデバイス5としては、例えば、スイッチ、センサなどがあり、出力用のデバイス5としては、例えば、ランプ、バルブなどがある。これら各種のデバイス5は、製造ラインなどの各種のターゲットシステムの所要各部に配置される。
【0018】
次に、プログラマブル表示器1の構成について説明する。プログラマブル表示器1は、CPU(Central Processing Unit)11と、インターフェース部12及び13と、SRAM(Static RAM)14と、FEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM)15と、DRAM(Dynamic RAM)16と、表示装置17と、タッチパネル18とを備えている。
【0019】
後述の説明により明らかになるが、表示装置17が請求項中の「表示手段」の一例に該当し、FEPROM15が請求項中の「記憶手段」の一例として機能し、CPU11が請求項中の「非表示決定手段」の一例として機能し、DRAM16が請求項中の「一時記憶手段」の一例として機能する。
【0020】
表示装置17は、液晶表示装置やEL表示装置やプラズマ表示装置などの薄型表示装置が好適である。尚、表示装置17は、システム用ウィンドウを全て表示するのに十分でない解像度すなわち低解像度の表示装置である。
【0021】
本実施形態では、システム用ウィンドウが、システムメニューウィンドウ、輝度・コントラスト調整ウィンドウ、流れアラームウィンドウ、1行エラー表示ウィンドウの4つである。システムメニューウィンドウは、プログラマブル表示器1のメンテナンスを行うためのウィンドウ画面であって、例えば、オフライン(プログラマブル表示器1が論理的に制御用ホストコンピュータ2に接続されていない状態)へ移行するためのスイッチ、プログラマブル表示器1のリセットを実行するためのスイッチ、発生中のエラーが有る場合にエラー詳細ウィンドウを表示するためのスイッチ、デバイス5の状態を表示するためのスイッチ、プログラマブル表示器1が具備するUSB端子(不図示)に接続されたUSBメモリに記憶されているデータを読み出し、その読み出したデータに基づいてプログラマブル表示器1の再起動を実行するためのスイッチなどがメニュー表示されるウィンドウ画面である。輝度・コントラスト調整ウィンドウは、表示画面の輝度やコントラストを調整するための設定画面が表示されるウィンドウ画面である。流れアラームウィンドウは、アラームメッセージが画面右側から左側に流れるように表示されるウィンドウ画面である。1行エラー表示ウィンドウは、エラーコードとエラー内容の先頭部分とが表示されるウィンドウ画面である。また、本実施形態では、表示装置17の解像度が横200ドット、縦80ドットであって、システムメニューウィンドウ、流れアラームウィンドウ、1行エラー表示ウィンドウのうち2つを同時に表示する描画エリアはあるが3つ全てを同時に表示する描画エリアはない。また、本実施形態では、輝度・コントラスト調整ウィンドウは全画面表示であるため他のシステム用ウィンドウとの同時表示が不可能である。
【0022】
インターフェース部12は、プログラマブル表示器1が制御用ホストコンピュータ2との間の通信を行うための通信制御部であり、通信ネットワーク3に接続されている。インターフェース部12は、制御用ホストコンピュータ2のIPアドレスに基づくネットワーク通信を行うことができるように構成されている。
【0023】
インターフェース部13は、プログラマブル表示器1がPLC4との間の通信を行うための通信制御部である。インターフェース部13は、PLC4がシリアル通信を行う機種である場合にはPLC4のメーカや機種に応じた通信プロトコルを用いてシリアル通信を行い、PLC4がネットワーク通信を行う機種である場合にはネットワーク通信を行うように構成されている。
【0024】
SRAM14は、PLC4から得たデータやプログラマブル表示器1で発生したデータを格納するデータメモリである。
【0025】
PLC4から得たデータとしては、サンプリングデータが挙げられる。サンプリングデータは、PLC4がデバイス5から得たデータであり、発生順にSRAM14に格納される。
【0026】
プログラマブル表示器1で発生したデータとしては、アラームデータ、折れ線グラフデータ、操作ログデータなどが挙げられる。
【0027】
アラームデータは、アラームに関する情報である。CPU11は、PLC4における所定のアラームビットがONしたことを受信すると、当該アラームビットに対して予め設定されているアラームについての内容(メッセージ)などを発報時刻(受信時刻)と併せて作成し、アラームデータとする。折れ線グラフデータは、折れ線グラフを表示するためのデータである。CPU11は、上記のサンプリングデータに基づいて折れ線グラフデータ作成する。操作ログデータは、プログラマブル表示器1に対するユーザの操作履歴に関するデータであり、ユーザがプログラマブル表示器1に対して行った操作内容(ログイン、ログアウト、画面における各タッチ操作など)や、操作者情報(氏名、所属など)や、その発生時刻などからなる。
【0028】
FEPROM15は、画面データ、表示/制御プログラム、通信プロトコルデータ、通信プログラム、プロトコル変換プログラム、ラダープログラム、ラダー処理プログラムなどを格納している。これらの各種データ、プログラムは、FEPROM15に予め格納されていてもよいし、プログラム表示器1に記憶媒体再生部を設けるようにして当該記憶媒体再生部によってCD−ROMなどの記憶媒体から読み取られてFEPROM15に予め格納されてもよい。また、これらの各種データ、プログラムは、通信ネットワーク3、あるいは他の通信伝送路を介して、例えば制御用ホストコンピュータ2からプログラマブル表示器1に転送され、FEPROM15に格納されてもよい。表示/制御プログラムは、システム用ウィンドウの表示時に参照される制御データとシステム用ウィンドウの表示時に参照される画面データとを含んでいる。
【0029】
本実施形態では、表示/制御プログラムに含まれているシステム用ウィンドウの表示時に参照される制御データは、図2に示す表のような内容を含んでいる。尚、図2に示す表中の表示優先度は数字の小さいほど優先度が高いものとする。本実施形態では、上述したとおり、表示装置17において、システムメニューウィンドウ、流れアラームウィンドウ、1行エラー表示ウィンドウのうち2つを同時に表示する描画エリアはあるが3つ全てを同時に表示する描画エリアはなく、輝度・コントラスト調整ウィンドウは全画面表示であるため他のシステム用ウィンドウとの同時表示が不可能である。したがって、本実施形態において、システム用ウィンドウの同時表示が可能であるのは、システムメニューウィンドウと流れアラームウィンドウとの組み合わせ、システムメニューウィンドウと1行エラー表示ウィンドウとの組み合わせ、流れアラームウィンドウと1行エラー表示ウィンドウとの組み合わせ、の3パターンである。
【0030】
システムメニューウィンドウと流れアラームウィンドウとの同時表示は、後述するシステム用ウィンドウの表示位置設定が下部表示である場合には図3Aに示すようになり、後述するシステム用ウィンドウの表示位置設定が上部表示である場合には図4Aに示すようになる。システムメニューウィンドウと1行エラー表示ウィンドウとの同時表示は、後述するシステム用ウィンドウの表示位置設定が下部表示である場合には図3Bに示すようになり、後述するシステム用ウィンドウの表示位置設定が上部表示である場合には図4Bに示すようになる。流れアラームウィンドウと1行エラー表示ウィンドウとの同時表示は、後述するシステム用ウィンドウの表示位置設定が下部表示である場合には図3Cに示すようになり、後述するシステム用ウィンドウの表示位置設定が上部表示である場合には図4Cに示すようになる。
【0031】
また、FEPROM15は、システム用ウィンドウの一つである流れアラームウィンドウのアラームメッセージと、システム用ウィンドウの表示位置設定(上部表示又は下部表示)と、システム用ウィンドウそれぞれについて表示要求があっても絶対に表示しない非表示設定のON/OFFとを格納している。これらのアラームメッセージや各種設定は、例えば、制御用ホストコンピュータ2にインストールされている作画ソフトウェアを用いてユーザが作成し、その後、通信ネットワーク3を介して制御用ホストコンピュータ2からプログラマブル表示器1に転送され、FEPROM15に格納されてもよい。
【0032】
流れアラームウィンドウの表示では、FEPROM15に格納されているアラームメッセージが画面右側から左側に流れるように表示される。また、システム用ウィンドウの表示或いは非表示は、上記の表示位置設定及び非表示設定に基づいて実行される。
【0033】
画面データは、表示装置17に表示される画面(ユーザ画面)のデータであり、ベース画面のデータと、スイッチ、ランプなどの画像化された部品のデータと、各部品に付与された処理指示語(タグ)とを含んでいる。
【0034】
上記のタグは、ベース画面上で実行されるべき事象ごとに作成されており、基本的には、表示制御動作を実行すべきベース画面のファイル番号と、このベース画面上で実行されるべき動作内容を特定する事象名と、実行事象毎に参照される1または複数のデータからなる参照情報とを一組として備えている。例えば、タグが所定のデバイスアドレスの内容に応じた部品図形を所定の画面領域(表示座標範囲)に表示する表示タグである場合、参照情報には、表示するための座標範囲(X,Y)と、表示対象を特定するファイル番号と、表示対象の所定の状態を示す所定のデバイスアドレスとが含まれる。また、タグが入力タグである場合、参照情報には、有効入力座標範囲(X,Y)と、入力結果が書き込まれるデバイスアドレスとが含まれる。
【0035】
DRAM16は、表示制御などの演算処理時の作業用に用いられる他、PLC4との間でやり取りされるデータの一時的な記憶などに用いられる作業メモリである。
【0036】
タッチパネル18は、表示装置17の表示画面上でタッチ入力を行うために表示装置17の表示画面上に配置されている入力装置である。
【0037】
次に、プログラマブル表示器1のシステム用ウィンドウの表示に関連する動作について図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0038】
プログラマブル表示器1に電源が投入されると、図5に示すフローチャートが開始される。まず、CPU11は、システム用ウィンドウの表示を要求する表示要求イベントが発生したか否かを判定する(ステップS10)。
【0039】
システム用ウィンドウの表示要求イベントが発生していなければ(ステップS10のNO)、ステップS10に戻る。一方、システム用ウィンドウの表示要求イベントが発生していれば(ステップS10のYES)、CPU11は、現在既に表示中のシステム用ウィンドウを判別する(ステップS20)。
【0040】
その後、CPU11は、図2に示す表のような内容を含んでいるシステム用ウィンドウの表示時に参照される制御データをFEPROM15から読み出し、現在既に表示中のシステム用ウィンドウの表示優先度と表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウの表示優先度とを参照する(ステップS30)。そして、CPU11は、表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウが表示条件を満たしているか否かを判定する(ステップS40)。
【0041】
表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウについて、非表示設定がONであれば、表示条件を満たさない。これに対して、表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウについて、非表示設定がOFFであれば、以下のようになる。現在既に表示中のシステム用ウィンドウと表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウとの全てを同時表示できない場合(図2に示す表中の表示可否が「否」である場合)、表示優先度(図2参照)の高い方が優先して表示され、また、同一優先度であれば先に表示されているシステム用ウィンドウが優先される。したがって、(1)現在既に表示中のシステム用ウィンドウに流れアラームウィンドウが含まれている場合、(2)現在既に表示中のシステム用ウィンドウがシステムメニューウィンドウのみである場合、(3)現在既に表示中のシステム用ウィンドウが1行エラー表示ウィンドウのみである場合、のいずれかであれば、表示条件を満たす。
【0042】
表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウが表示条件を満たしていれば(ステップS40のYES)、表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウを表示し、表示要求イベント発生が発生したシステム用ウィンドウの表示に伴って、低い表示優先度のシステム用ウィンドウ(流れアラームウィンドウ)が同時表示できない状態になれば、低い表示優先度のシステム用ウィンドウ(流れアラームウィンドウ)の表示を消去し(ステップS50)、流れアラームウィンドウが表示待機状態であることをDRAM16に一時的に記憶させ、その後ステップS10に戻る。一方、表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウが表示条件を満たしていなければ(ステップS40のNO)、表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウを表示しないようにし(ステップS60)、表示要求イベントが発生したシステム用ウィンドウが表示待機状態であることをDRAM16に一時的に記憶させ、その後ステップS10に戻る。
【0043】
そして、プログラマブル表示器1に電源が供給されている限り、上述した一連の動作(システム用ウィンドウの表示に関連する動作)が繰り返される。上述した一連の動作(システム用ウィンドウの表示に関連する動作)の繰り返しにより、プログラマブル表示器1は、具備している表示装置が低解像度であるため表示するシステム用ウィンドウの描画エリアが不足している場合でも、表示優先度の高いシステム用ウィンドウを自動的に判断し、できる限り同時表示するので、少ない情報表示量でも効率良く、多くの情報を表示することができる。
【0044】
また、CPU11は、システム用ウィンドウの表示消去を要求する表示消去要求イベントが発生したか否かを常時監視しており、表示消去要求イベントが発生すると、図5に示すフローチャート動作に対して割り込み処理を行い、表示消去要求イベントが発生したシステム用ウィンドウの表示を消去し、さらに、表示待機状態のシステム用ウィンドウが存在する場合にはその表示待機状態のシステム用ウィンドウに対して表示要求イベントを発生させた後、図5に示すフローチャート動作に戻るようにする。尚、表示待機状態のシステム用ウィンドウに対して表示消去要求イベントが発生した場合には、表示待機状態を解除する。これにより、同時表示できないために表示を消去した或いは表示しなかったシステム用ウィンドウが表示消去要求されないままで表示できる状態になれば、その表示を消去した或いは表示しなかったシステム用ウィンドウを表示することができる。
【0045】
ここで、表示装置17の表示画面の推移例について図6A〜図6Cを参照して説明する。まず、図6Aに示すように、ベース画面上に流れアラームウィンドウW1と1行エラー表示ウィンドウW2とが同時表示されているものとする。本例において、流れアラームウィンドウW1のアラームメッセージは「緊急地震速報」である。図6Aに示す表示状態で、システムメニューウィンドウの表示を要求する表示要求イベントが発生すると、図5に示すフローチャートのステップS50の処理により、流れアラームウィンドウW1の表示が消去され、その代わりにシステムメニューウィンドウW3が表示され、図6Bに示すように、ベース画面上に1行エラー表示ウィンドウW2とシステムメニューウィンドウW3とが同時表示される。図6Bに示す表示状態で、1行エラー表示ウィンドウW2の「×」表示がタッチされると、1行エラー表示ウィンドウの表示消去を要求する表示消去要求イベントが発生し、1行エラー表示ウィンドウW2の表示が消去され、この時、流れアラームウィンドウW1が表示待機状態のままであれば、流れアラームウィンドウW1が再び表示され、図6Cに示すようになる。表示待機状態の場合でも流れアラームウィンドウW1のアラームメッセージの流れ処理が繰り返し実行されているため、流れアラームウィンドウW1が再び表示された時点でアラームメッセージの流れ処理が途中であれば、図6Cに示すようにアラームメッセージの途中から表示が再開される。
【0046】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。例えば、上述した実施形態では、システム用ウィンドウの数は4つであり、表示装置に同時表示できるシステム用ウィンドウの最大数は2つであったが、これはあくまで一例であって、表示装置に同時表示できるシステム用ウィンドウの最大数がシステム用ウィンドウの数よりも小さければよい。
【符号の説明】
【0047】
1 本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器
2 制御用ホストコンピュータ
3 通信ネットワーク
4 PLC
5 デバイス
11 CPU
12、13 インターフェース部
14 SRAM
15 FEPROM
16 DRAM
17 表示装置
18 タッチパネル
W1 流れアラームウィンドウ
W2 1行エラー表示ウィンドウ
W3 システムメニューウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム用ウィンドウを全て表示するのに十分でない解像度の表示手段と、
前記システム用ウィンドウそれぞれの表示優先度を記憶する記憶手段と、
前記システム用ウィンドウのうち表示すべきもの全てを前記表示画面の画面上に同時表示することができない場合に、前記表示優先度に従って、前記システム用ウィンドウのうち表示すべきもの全ての中から表示しないものを決定する非表示決定手段とを備えることを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項2】
前記表示優先度が同一であるシステム用ウィンドウ間においては、先に表示されているシステム用ウィンドウの表示が優先されることを特徴とする請求項1に記載のプログラマブル表示器。
【請求項3】
前記非表示決定手段の決定により表示されないシステム用ウィンドウが表示待機状態であることを一時的に記憶する一時記憶手段を備え、
前記非表示決定手段の決定により表示されないシステム用ウィンドウが表示できる状態になれば、前記表示待機状態を解除し、前記非表示決定手段の決定により表示されないシステム用ウィンドウの表示を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプログラマブル表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2011−48022(P2011−48022A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194539(P2009−194539)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】