説明

プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法

【課題】投写画像の幾何学的補正を、単体で操作性良く行うことができるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、画像情報に基づく画像の輪郭の各頂点、および輪郭の各辺に配置される所定の点をそれぞれ制御点(CP1〜CP8)とし、複数の制御点のうちの1つをユーザーに選択制御点として選択させる。そして、選択された選択制御点を、ユーザーのキー操作に基づいて画像内において移動させる。そして、プロジェクター1は、移動された選択制御点を通るように画像の輪郭を形成し、さらに、形成された輪郭に収まるように画像情報を補正する。そして、補正された画像情報に基づいた画像光を投写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピューターのユーザーインターフェース画面上で、プロジェクターから投写する投写画像を幾何学的に補正する方法が知られている。例えば、補助線を利用した幾何学補正インターフェースにおいて、コンピューター側のアプリケーションにより、ユーザーインターフェース画面のエリアを、擬似的に縮小表示することによって、仮想補正エリアを設け、画面外に出てしまった補助線の補正や、プロジェクターのパネルサイズよりも解像度の低いディスプレイであっても、補助線を利用した補正を行うことを可能にするものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3845386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の補正方法では、プロジェクターの投写画面の幾何学的補正をするために、補正用アプリケーションを内蔵したコンピューターを利用しなければならなかった。このため、プロジェクター単体では、補正を行うことができなかった。また、画面の補正を行う際には、ユーザーは、コンピューターのディスプレイ画面と、プロジェクターから投写された投写画面とを見比べながら補正しなければならなかった。このため、投写画像の幾何学的補正(形状補正)を、単体で操作性良く行うことができるプロジェクターが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、画像情報に基づいて画像を投写するプロジェクターであって、入力操作を受け付ける操作受付部と、前記画像情報に基づく前記画像の輪郭の各頂点、および前記輪郭の各辺に配置される所定の点をそれぞれ制御点とし、複数の前記制御点うちの1つを選択制御点として選択させる制御点選択部と、前記制御点選択部によって選択された選択制御点を、前記入力操作に基づいて前記画像内で移動させる制御点移動部と、前記制御点移動部によって移動された選択制御点を通るように前記画像の輪郭を形成し、形成された輪郭に収まるように前記画像情報を補正する画像補正部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このようなプロジェクターによれば、操作受付部は、入力操作を受け付ける。制御点選択部は、画像の輪郭の各頂点、および輪郭の各辺に配置される所定の点をそれぞれ制御点とし、そのうちの1点を選択制御点として選択させる。制御点移動部は、選択制御点を、入力操作に基づいて、画像内において移動させる。画像補正部は、制御点移動部によって移動された選択制御点を通るように画像の輪郭を形成し、形成された輪郭に収まるように画像情報を補正する。これにより、ユーザーは、選択制御点を移動させることで、画像の輪郭の形状補正を行うことができる。そして、プロジェクターは、画像情報を形状補正された輪郭に収まるように補正する。よって、画像情報に基づく画像の幾何学的な形状補正を、プロジェクター単体で行うことが可能になる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記画像補正部は、前記選択制御点と隣り合う前記制御点とを曲線で接続するように前記画像の輪郭を形成することを特徴とする。
【0009】
このようなプロジェクターによれば、画像補正部は、選択制御点と隣り合う制御点とを曲線で接続した画像を形成する。これにより、画像は、曲線を含む輪郭となり、画像補正部によって補正される画像情報は、湾曲した画像を表すことになる。このように、湾曲した画像を投写することによって、投写面が曲面である場合の画像の湾曲歪を相殺することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記所定の点は、前記輪郭の各辺上に少なくとも1点ずつ配置されることを特徴とする。
【0011】
このようなプロジェクターによれば、所定の点は輪郭の各辺上に少なくとも1点ずつ配置される。これにより、4つの頂点と合わせた計8点以上の制御点で、画像の輪郭の形成を行うことが可能になり、簡易で効果的な操作性を実現できる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記所定の点のデフォルト位置は、前記輪郭の各辺の中央に配置されることを特徴とする。
【0013】
このようなプロジェクターによれば、所定の点のデフォルト位置は、輪郭の各辺の中央である。これにより、画像形成領域の形成をバランス良く行うことが可能になる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記所定の点は、前記入力操作に基づいて、前記デフォルト位置と前記画像の中心位置とを結ぶ線分上で移動可能であることを特徴とする。
【0015】
このようなプロジェクターによれば、所定の点は、デフォルト位置と画素領域の中心位置とを結ぶ線分上で移動可能である。これにより、画像形成領域の形成処理や画像情報の補正処理といったソフトウェアの処理を簡易化することができる。
【0016】
[適用例6]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、入力操作を受け付ける操作受付部を備え、画像情報に基づいて画像を投写するプロジェクターの制御方法であって、前記画像情報に基づく前記画像の輪郭の各頂点、および前記輪郭の各辺に配置される所定の点をそれぞれ制御点とし、複数の前記制御点のうちの1つを選択制御点として選択させる制御点選択ステップと、前記制御点選択ステップによって選択された前記選択制御点を、入力操作に基づいて、前記画像内で移動させる制御点移動ステップと、前記制御点移動ステップによって移動された前記選択制御点を通るように前記画像の輪郭を形成し、形成された輪郭に収まるように前記画像情報を補正する画像補正ステップと、を備えることを特徴とする。
【0017】
このようなプロジェクターの制御方法によれば、ユーザーは、選択制御点を移動させることで、画像の輪郭の形状補正を行うことができる。そして、プロジェクターは、画像情報を形状補正された輪郭に収まるように補正する。よって、画像情報に基づく画像の幾何学的な形状補正を、プロジェクター単体で行うことが可能になる。
【0018】
また、上述したプロジェクター、およびプロジェクターの制御方法が、プロジェクターに備えられたコンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態および上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、あるいは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやHDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray Disc(登録商標)、光磁気ディスク、不揮発性メモリーカード、プロジェクターの内部記憶装置(RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリー)、および外部記憶装置(USBメモリー等)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図2】プロジェクターのメニュー画像の説明図。
【図3】弓形補正の制御点エリア選択画像が表示された投写画像を示す図。
【図4】弓形補正調整画像が表示された投写画像を示す図であり、(a)は、角部の調整画像を含む投写画像を示す図、(b)は、辺部の調整画像を含む投写画像を示す図。
【図5】プロジェクターが弓形補正を行っている際の処理のフローチャート。
【図6】弓形補正が行われた画素領域を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について説明する。
【0021】
(実施形態)
本実施形態では、ユーザーの操作によって、投写画像の形状を補正可能なプロジェクターについて説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示すブロック図である。図1を使用して、プロジェクターの内部構成について説明する。
図1に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、光源制御部21、操作受付部22、操作信号受信部23、リモコン24、画像情報入力部30、画像処理部31、OSD処理部32、画像補正部33等を備えている。
【0023】
画像投写部10は、光源としての光源装置11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14等で構成されている。画像投写部10は光源装置11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで画像光に変調し、この画像光を投写レンズ13から投写して投写面Sに画像を表示する。
【0024】
光源装置11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源装置11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0025】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、複数の画素(図示せず)がマトリックス状に配列された矩形状の画素領域を備えており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。液晶駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域を透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によって拡大投写される。
【0026】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)、不揮発性のROM(Read Only Memory)等を備えており、ROMに記憶されている制御プログラムに従ってCPUが動作することにより、プロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、コンピューターとして機能する。
【0027】
光源制御部21は、制御部20の指示に基づいて光源装置11(光源ランプ11a)の点灯を制御する。具体的には、光源制御部21は、光源ランプ11aに所定の電力を供給することにより光源ランプ11aを点灯させるとともに、電力の供給を停止して光源ランプ11aを消灯させることができる。また、光源制御部21は、制御部20の指示に基づいて光源ランプ11aに供給する電力を制御することにより、光源ランプ11aの輝度(明るさ)を調整することが可能である。
【0028】
操作受付部22は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作受付部22が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための電源キー、入力された画像信号を切り替えるための入力切替キー、各種設定を行うためのメニュー画像の表示・非表示を切り替えるメニューキー、上下左右に対応する4つの方向キー(上方向キー、下方向キー、左方向キー、右方向キー)、各種設定を決定するための決定キー、操作の取り消し等に用いられるESC(Escape)キー等がある。ユーザーが操作受付部22の各種操作キーを操作(押下)すると、操作受付部22は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。
【0029】
リモコン24は、操作受付部22と同様に複数の操作キーを備えている。ユーザーがリモコン24の各種操作キーを操作すると、リモコン24は、ユーザーの操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発し、操作信号受信部23がこれを受信して制御部20に伝達する。ここで、操作受付部22またはリモコン24の操作信号を受信する操作信号受信部23が、特許請求の範囲における操作受付部に相当する。
【0030】
画像情報入力部30は、複数の入力端子を備えており、これらの入力端子には、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、図示しない外部の画像供給装置から各種形式の画像情報が入力される。画像情報入力部30は、入力された画像情報を画像処理部31に出力する。
【0031】
画像処理部31は、画像情報入力部30から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報、即ち各画素に印加する駆動電圧を規定するための画像情報に変換する。さらに、画像処理部31は、制御部20の指示に基づいて、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等の画質を調整するための画質調整処理等を行い、処理後の画像情報をOSD処理部32に出力する。
【0032】
OSD処理部32は、制御部20の指示に基づいて、入力された画像情報に基づく画像(以降、「入力画像」とも呼ぶ。)上に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理部32は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。制御部20が、OSD画像の重畳を指示すると、OSD処理部32は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、入力画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像処理部31から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、画像補正部33に出力される。なお、制御部20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部32は、画像処理部31から入力される画像情報を、そのまま画像補正部33に出力する。
【0033】
画像補正部33は、曲面をなしている投写面Sに画像を投写する場合などに生じる湾曲歪を補正するための処理(「弓形補正」処理ともいう)を行う。具体的には、画像補正部33は、制御部20の指示に基づいて、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域内に、湾曲歪を相殺するような形状の画像形成領域を設定し、この画像形成領域内に入力画像が形成されるように、OSD処理部32から入力される画像情報を補正するとともに、画像形成領域の外側の画素については、黒色の画素値、つまり、光透過率が最小となる画素値に設定する。
【0034】
画像補正部33は、上記のように補正した画像情報を液晶駆動部14に出力する。ここで、本実施形態の投写面Sは凹面をなしているため、投写面S上に投写された画像は、樽型に湾曲して表示される。このため、画素領域内に、糸巻き型の画像形成領域を形成することで、湾曲歪を相殺することが可能になる。なお、制御部20から湾曲歪を補正する旨の指示がない場合には、画像補正部33は、OSD処理部32から入力される画像情報を、そのまま液晶駆動部14に出力する。この場合には、画素領域の全域が画像形成領域となり、画素領域の全域に画像(入力画像)が形成される。
【0035】
液晶駆動部14が、画像補正部33から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bによって画像情報に応じた画像光に変調され、この画像光が投写レンズ13から投写される。
【0036】
次に、プロジェクター1の弓形補正(湾曲歪補正)について説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、上述したように画像補正部33によって、湾曲歪の補正処理を行うことができる。具体的には、操作受付部22またはリモコン24に備わるメニューキーが押下されると、メニュー画像が表示される。そして、当該メニュー画像において弓形補正(湾曲歪補正)の項目が選択されると、湾曲歪を補正するエリアを選択させるための制御点エリア選択画像が表示される。制御点エリア選択画像において、所望の制御点エリアが選択されると、その制御点エリアに対応した湾曲歪補正画像が表示される。この湾曲歪補正画像において、ユーザーは、方向キーを操作することによって、制御点を移動させて湾曲歪を補正することができる。なお、本実施形態では、入力画像の輪郭の4隅の頂点、および輪郭の4辺上の中央に配置される4つの点を制御点としている。
【0037】
図2は、本実施形態に係るプロジェクター1のメニュー画像の説明図である。
図2に示すように、メニュー画像M1には、複数の項目(調整項目)が縦に並んで配列されている。図2に示した例では、湾曲歪を補正するための「弓形補正」、画質の調整モード(カラーモード)を設定するための「カラーモード」、画像の明るさを調整するための「明るさ」、光源ランプ11aの輝度を調整するための「ランプ輝度」の4つの項目が表示されている。また、4つの調整項目の中の1項目(図2では、「弓形補正」)は、背景色が他の項目と異なっており、この項目が選択された状態であることを示している。なお、メニュー画像M1は、OSD処理部32によって表示される。
【0038】
メニュー画像M1が表示された状態では、ユーザーは、上下の方向キーを操作することによって所望の調整項目を選択することができる。そして、所望の調整項目を選択した状態で決定キーを操作することにより、調整項目の選択が確定し、当該調整項目に関する設定画像を表示させることができる。また、ユーザーは、ESCキーを操作することにより、メニュー画像M1の表示を終了させることができる。
【0039】
図3は、弓形補正の制御点エリア選択画像が表示された投写画像を示す図である。
図3に示すように、投写画像A1には、制御点エリア選択画像N1がOSD画像として重畳表示されている。制御点エリア選択画像N1の上部には、「[弓形補正]」の文字列が表示されている。その下には、入力画像の8つの制御点エリア画像CAが表示されている。8つの制御点エリア画像CAは、入力画像の4隅(角部)の制御点CP(CP1,CP3,CP6,CP8)に対応する4つの制御点エリア画像CA(CA1,CA3,CA6,CA8)と、入力画像の4辺の中央の制御点CP(CP2,CP4,CP5,CP7)に対応する4つの制御点エリア画像CA(CA2,CA4,CA5,CA7)とで構成されている。
【0040】
制御点エリア画像CA1〜CA8のうちの1つ(図3の例では制御点エリア画像CA1)は、他の7つとは異なる配色になっており、その制御点エリア画像CAが選択された状態であることを示している。なお、図3では、8つの制御点CPを「点」として表示しているが、実際の投写画像では表示されない。
【0041】
制御点エリア選択画像N1の下部には、制御点エリア画像CAの選択を促すための「エリアを選択してください。」の文字列が表示されている。さらに、上下の方向キーおよび左右の方向キーを操作することによって選択する制御点エリア画像(CA1〜CA8)を変更できること、決定キーを操作することによって制御点エリア画像CAを決定できること、ESCキーを操作することによって制御点エリア選択画像N1の表示を終了できることが表示されている。ユーザーは、方向キーを操作することによって所望の制御点エリア画像CAを選択することが可能であり、制御点エリア画像CAを選択した後で決定キーを操作すると、制御点エリア画像CAの選択が確定する。制御点エリア画像CAの選択が確定すると、その制御点エリア画像CAに対応した弓形補正調整画像が表示される。このときの選択された制御点エリア画像CAに対応する制御点CPが、選択制御点に相当する。弓形補正調整画像では、選択された制御点エリア画像CAに対応する制御点CPの位置を調整することができる。
【0042】
図4は、弓形補正調整画像が表示された投写画像を示す図であり、(a)は、角部の調整画像を含む投写画像を示す図、(b)は、辺部の調整画像を含む投写画像を示す図である。
図4(a)に示すように、投写画像A2には、弓形補正調整画像D(D1)がOSD表示として重畳表示されている。弓形補正調整画像D1の上部には、「[弓形補正]」の文字列が表示されている。その下には、制御点エリア画像CA1が拡大されて拡大画像Z1として表示されている。
【0043】
拡大画像Z1には、上下左右の方向を指し示す三角状の方向マークTが付加されており、制御点エリア画像CA1に表されている角部(即ち制御点CP1)を上下左右に移動(位置調整)可能であることを示している。さらに、弓形補正調整画像D1の下部には、「調整を実施してください。」というメッセージが表示されており、制御点CP1の位置を調整するようにユーザーに促している。この弓形補正調整画像D1が表示されている状態では、ユーザーは、方向キーを操作することによって制御点CP1(角部)の位置を調整することができる。制御点CP1の位置が変更されると、投写画像A2の形状が制御点CP1の位置に基づいて弓形に補正(湾曲歪補正)される。
【0044】
弓形補正調整画像D1の下部には、上下の方向キーおよび左右の方向キーを操作することによって弓形補正を調整できること、決定キーまたはESCキーを操作することによって、調整を終了して制御点エリア選択画像N1に戻ることが表示されている。なお、方向キーによる制御点CP1の位置調整範囲は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域内に限られる。
【0045】
図4(b)に示すように、投写画像A3には、弓形補正調整画像D(D2)がOSD表示として重畳表示されている。弓形補正調整画像D2の上部には、「[弓形補正]」の文字列が表示されている。その下には、制御点エリア画像CA2が拡大されて拡大画像Z2として表示されている。
【0046】
拡大画像Z2には、上下の方向を指し示す三角状の方向マークTが付加されており、制御点エリア画像CA2に表されている辺の中央部(即ち制御点CP2)を上下に移動(位置調整)可能であることを示している。さらに、弓形補正調整画像D2の下部には、「調整を実施してください。」というメッセージが表示されており、辺の制御点CP2の位置を調整するようにユーザーに促している。この弓形補正調整画像D2が表示されている状態では、ユーザーは、方向キーを操作することによって制御点CP2(辺の中央部)の位置を調整することができる。制御点CP2の位置が変更されると、投写画像A3の形状が制御点CP2の位置に基づいて弓形に補正(湾曲歪補正)される。
【0047】
弓形補正調整画像D2の下部には、上下の方向キーを操作することによって弓形補正を調整できること、決定キーまたはESCキーを操作することによって、調整を終了して制御点エリア選択画像N1に戻ることが表示されている。なお、方向キーによる制御点CP2の位置調整範囲は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域内とし、本実施形態では、入力画像の輪郭の辺の中央と画素領域の中心、即ち画像の中心とを結んだ線分上とする。
【0048】
ここでは、弓形補正調整画像D1およびD2について説明したが、制御点エリア画像CA3からCA8に相当する弓形補正調整画像Dも略同様であり、制御点CP3からCP8の位置を調整することができる。なお、制御点CP2と同様に、制御点CP4,CP5,CP7の位置調整範囲は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域内とし、入力画像の輪郭の辺の中央と画素領域の中心とを結んだ線分上とする。
【0049】
次に、プロジェクター1が弓形補正(湾曲歪補正)を行っている際の処理について説明する。
図5は、本実施形態に係るプロジェクター1が弓形補正を行っている際の処理のフローチャートである。
【0050】
メニュー画像M1において、弓形補正が選択されると、制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、制御点エリア選択画像N1を表示させる(ステップS101)。次に、制御部20は、制御点エリア画像CA(即ち制御点CP)が選択されたか否かを判断する(ステップS102)。このときの制御部20およびOSD処理部32が制御点選択部に相当する。制御点エリア画像CAが選択されていれば(ステップS102:YES)、制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、選択された制御点エリア画像CAに対応する弓形補正調整画像Dを表示する(ステップS103)。
【0051】
制御部20は、方向キーによる調整操作がなされたか否かを判断する(ステップS104)。方向キーによる調整操作がなされていれば(ステップS104:YES)、制御部20は、画像補正部33に指示を出して、調整された制御点CPの位置に基づいて、画像形成領域を形成する(ステップS105)。制御点CPを移動調整する制御部20が、制御点移動部に相当する。このとき、画像補正部33は、調整された制御点CPと隣り合う制御点CPとを弓形の曲線で接続するように、画像形成領域、即ち画像の輪郭を形成する。
【0052】
画像補正部33は、画像形成領域に収まるように画像情報を補正する(ステップS106)。画像情報を補正する画像補正部33が、画像補正部に相当する。そして、ステップS103に戻る。
【0053】
方向キーによる調整操作がなされていなければ(ステップS104:NO)、制御部20は、ESCキーが押下されたか否かを判断する(ステップS107)。ESCキーが押下されていなければ、ステップS103に戻る。ESCキーが押下されていれば(ステップS107:YES)、ステップS101に戻る。
【0054】
制御点エリアが選択されていなければ(ステップS102:NO)、制御部20は、ESCキーが押下されたか否かを判断する(ステップS108)。ESCキーが押下されていなければ(ステップS108:NO)、ステップS101に戻る。ESCキーが押下されていれば(ステップS108:YES)、制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、制御点エリア選択画像N1の表示を終了する(ステップS109)。そして、弓形補正の処理を終了する。
【0055】
次に、上述したような弓形補正が行われた画像について説明する。
図6は、弓形補正が行われた画素領域を示す平面図である。
図6では、制御点エリア画像CA2およびCA7(即ち制御点CP2およびCP7)が弓形補正され、画素領域Pに糸巻き型に歪んだ画像形成領域Gが形成され、画像情報が補正された状態が表されている。ここで、画素領域P内の画像形成領域Gの外側の領域S1およびS2は、黒色(光をほとんど透過しない状態)となっている。このような弓形補正がなされると、プロジェクター1からは、画像形成領域Gに収まるように補正された糸巻き型に歪んだ画像が射出される。例えば、投写面Sが凹面状に湾曲している場合には、凹面状の投写面Sに画像を投写しながら、ユーザーが弓形補正(湾曲歪補正)を行うと、糸巻き型に歪んだ投写画像によって、投写面S上の湾曲歪を矩形状に補正することができる。
【0056】
また、図示しないが、画素領域P内に樽型に歪んだ画像形成領域Gを形成することも可能である。具体的には、制御点エリア画像CA1,CA3,CA6,CA8を画素領域Pの内側方向に弓形補正することで、樽型の画像形成領域Gを形成することができる。そして、樽型の画像形成領域Gに収まるように画像情報が補正される。投写面Sが凸面状に湾曲している場合には、プロジェクター1から樽型の画像を投写することによって、投写面S上の湾曲歪を補正することができる。
【0057】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)プロジェクター1は、制御点エリア選択画像N1を表示し、制御点エリア画像CA(即ち制御点CP)をユーザーに選択させる。プロジェクター1は、選択された制御点エリア画像CAに対応する弓形補正調整画像Dを表示する。そして、ユーザーは制御点CPの位置を画素領域P内で調整することができる。そして、プロジェクター1の画像補正部33は、調整された制御点CPの位置を通るように、画像形成領域Gを形成する。さらに、画像補正部33は、画像形成領域Gに収まるように画像情報を補正する。これにより、ユーザーは、投写画像を視認しながら、操作受付部22やリモコン24に備わる方向キーによって制御点CPを移動させ、投写画像の形状を補正することができる。つまり、ユーザーは、予備知識がなくても、投写画像の形状の補正を容易に行うことができる。また、投写画像の幾何学的な形状補正をプロジェクター1単体で行うことが可能になるため、利便性が向上する。
【0058】
(2)プロジェクター1の画像補正部33は、調整された制御点CPと隣り合う制御点CPとを弓形の曲線で接続した画像形成領域Gを形成する。これにより、画像形成領域Gは、曲線を含む形状となり、画像補正部33によって補正される画像情報は、湾曲した画像を表すことになる。このように、湾曲した画像を投写することによって、投写面Sが曲面である場合の投写面S上の湾曲歪を相殺することが可能となる。
【0059】
(3)プロジェクター1において、制御点CPは画像情報に基づく画像の輪郭の4つの頂点(角部)、および4辺上に1つずつ配置される。これにより、8つの制御点(CP1〜CP8)で、画像形成領域Gの形成を行うことが可能になり、簡易で効果的な操作性を実現できる。
【0060】
(4)プロジェクター1において、4辺上の制御点CP(CP2,CP4,CP5,CP7)のデフォルト位置は、画像の輪郭の各辺の中央である。これにより、ユーザーは、方向キーによる制御点CPの調整、即ち画像形成領域Gの形成をバランス良く行うことが可能になる。
【0061】
(5)プロジェクター1において、4辺上の制御点CP(CP2,CP4,CP5,CP7)は、デフォルト位置と画素領域の中心とを結んだ線分上で調整可能となっている。これにより、画像形成領域Gの形成処理や画像情報の補正処理といったソフトウェアの処理を簡易化することができる。
【0062】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0063】
(変形例1)上記実施形態では、制御点CP(CP1〜CP8)を8点としたが、8点に限定するものではない。例えば、8点より多くした場合には、より細かな補正を行うことが可能になる。
【0064】
(変形例2)上記実施形態では、画像情報に基づく画像の輪郭の辺上の制御点CP(CP2,CP4,CP5,CP7)のデフォルト位置は、各辺の中央としたが、中央に限定するものではない。
【0065】
(変形例3)上記実施形態では、辺上の制御点CP2,CP4,CP5,CP7の調整方向は、辺上の中央と画素領域の中心位置とを結ぶ線分上としたが、これに限定するものではない。斜め方向に調整可能としてもよい。
【0066】
(変形例4)上記実施形態では、光源装置11は、放電型の光源ランプ11aを有して構成されているが、LED(Light Emitting Diode)光源やレーザー等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【0067】
(変形例5)上記実施形態では、プロジェクター1は、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1…プロジェクター、10…画像投写部、11…光源装置、11a…光源ランプ、11b…リフレクター、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…液晶駆動部、20…制御部、21…光源制御部、22…操作受付部、23…操作信号受信部、24…リモコン、30…画像情報入力部、31…画像処理部、32…OSD処理部、33…画像補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に基づいて画像を投写するプロジェクターであって、
入力操作を受け付ける操作受付部と、
前記画像情報に基づく前記画像の輪郭の各頂点、および前記輪郭の各辺に配置される所定の点をそれぞれ制御点とし、複数の前記制御点うちの1つを選択制御点として選択させる制御点選択部と、
前記制御点選択部によって選択された選択制御点を、前記入力操作に基づいて前記画像内で移動させる制御点移動部と、
前記制御点移動部によって移動された選択制御点を通るように前記画像の輪郭を形成し、形成された輪郭に収まるように前記画像情報を補正する画像補正部と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記画像補正部は、前記選択制御点と隣り合う前記制御点とを曲線で接続するように前記画像の輪郭を形成することを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記所定の点は、前記輪郭の各辺上に少なくとも1点ずつ配置されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターであって、
前記所定の点のデフォルト位置は、前記輪郭の各辺の中央に配置されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクターであって、
前記所定の点は、前記入力操作に基づいて、前記デフォルト位置と前記画像の中心位置とを結ぶ線分上で移動可能であることを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
入力操作を受け付ける操作受付部を備え、画像情報に基づいて画像を投写するプロジェクターの制御方法であって、
前記画像情報に基づく前記画像の輪郭の各頂点、および前記輪郭の各辺に配置される所定の点をそれぞれ制御点とし、複数の前記制御点のうちの1つを選択制御点として選択させる制御点選択ステップと、
前記制御点選択ステップによって選択された前記選択制御点を、入力操作に基づいて、前記画像内で移動させる制御点移動ステップと、
前記制御点移動ステップによって移動された前記選択制御点を通るように前記画像の輪郭を形成し、形成された輪郭に収まるように前記画像情報を補正する画像補正ステップと、
を備えることを特徴とするプロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77988(P2013−77988A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216716(P2011−216716)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】