説明

プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法

【課題】投写画像の幾何学的補正を、単体で操作性良く行うことができるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、画像情報に基づく画像を複数の四辺形領域QDに分割し、分割された四辺形領域QDの頂点を画像に表示する。そして、ユーザーに頂点のうちの1つを選択制御点として選択させる。さらに、ユーザーに選択制御点を移動させる。プロジェクター1は、移動前の選択制御点を頂点の1つとして含んでいた四辺形領域QDを、移動された選択制御点を頂点に含む形状に変形する。そして、変形前の四辺形領域QDに対応する画像情報を変形された四辺形領域QDに収まるように補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピューターのユーザーインターフェース画面上で、プロジェクターから投写する投写画像を幾何学的に補正する方法が知られている。例えば、補助線を利用した幾何学補正インターフェースにおいて、コンピューター側のアプリケーションにより、ユーザーインターフェース画面のエリアを、擬似的に縮小表示することによって、仮想補正エリアを設け、画面外に出てしまった補助線の補正や、プロジェクターのパネルサイズよりも解像度の低いディスプレイであっても、補助線を利用した補正を行うことを可能にするものが知られている(特許文献1)。このような補正方法によれば、例えば、スクリーン等の投写面に凹凸があり、投写画像に歪が生じる場合や、複数のプロジェクターから投写された画像をスタック投写やエッジブレンディングした際に画像のずれが生じる場合などに、投写画像を補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3845386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の補正方法では、プロジェクターの投写画像の幾何学的補正をするために、補正用アプリケーションを内蔵したコンピューターを利用しなければならなかった。このため、プロジェクター単体では、補正を行うことができなかった。また、画像の補正を行う際には、ユーザーは、コンピューターのディスプレイ画面(画像)と、プロジェクターから投写される投写画像とを見比べながら補正しなければならなかった。このため、投写画像の幾何学的補正(形状補正)を、単体で操作性良く行うことができるプロジェクターが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、光源と、前記光源から射出された光を、画像情報に応じて画像光に変調する光変調装置と、前記光変調装置で変調された前記画像光を投写する投写光学系と、前記画像情報に基づく前記画像を複数の四辺形領域に分割する四辺形分割部と、前記四辺形分割部により分割された各四辺形領域の頂点を前記画像に表示する第1の表示部と、入力操作を受け付ける操作受付部と、前記頂点のうちの1つを選択制御点として選択させる選択部と、前記選択制御点を、前記入力操作に基づいて移動させる移動部と、移動前の選択制御点を頂点の1つとして含んでいた四辺形領域を、前記移動部によって移動された選択制御点を頂点に含む形状に変形し、変形前の四辺形領域に対応する画像情報を変形された四辺形領域に収まるように補正する画像補正部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このようなプロジェクターによれば、四辺形分割部は、画像情報に基づく画像を複数の四辺形領域に分割する。第1の表示部は、複数の四辺形領域の頂点を画像に表示する。選択部は、頂点のうちの1つを選択制御点として選択させる。移動部は、操作受付部が受け付ける入力操作に基づいて選択制御点を移動する。画像補整部は、移動前の選択制御点を頂点の1つとして含んでいた四辺形領域を、移動された選択制御点を頂点に含む形状に変形する。そして、変形前の四辺形領域に対応する画像情報を変形された四辺形領域に収まるように補正する。これにより、ユーザーは、選択制御点(頂点)を移動させることで、画像情報を幾何学的に補正することができる。そして、プロジェクターは、補正された画像情報に基づいた画像光を投写する。よって、画像情報に基づく画像の幾何学的な形状補正を、プロジェクター単体で行うことが可能になる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第1の表示部は、前記四辺形領域の辺を表示することを特徴とする。
【0009】
このようなプロジェクターによれば、第1の表示部は、四辺形領域の辺を表示する。これにより、画像上に格子状の線が表示されるため、四辺形領域の視認性が向上し、ユーザーは、画像情報の幾何学的な補正を容易に行うことができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記四辺形分割部は、前記四辺形領域の大きさを変更可能とすることを特徴とする。
【0011】
このようなプロジェクターによれば、四辺形分割部は、四辺形領域の大きさを変更可能とする。これにより、ユーザーは、四辺形領域の大きさを所望の大きさに変更して、画像情報を幾何学的に補正することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第1の表示部は、前記四辺形領域の辺の表示色を変更可能とすることを特徴とする。
【0013】
このようなプロジェクターによれば、四辺形領域の辺の表示色を変更することができる。これにより、画像情報に基づく画像に応じて、四辺形領域の辺の色を視認性のよい表示色に変更することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第1の表示部は、前記選択部によって選択された前記選択制御点を、選択前の状態と異なるように表示することを特徴とする。
【0015】
このようなプロジェクターによれば、選択制御点は選択前と異なるように表示される。これにより、ユーザーは選択制御点を選択したことを認識可能になる。
【0016】
[適用例6]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記選択部が前記選択制御点を選択させる場合に、前記選択制御点の選択を促す第1のOSD画像を前記画像に表示する第2の表示部をさらに有することを特徴とする。
【0017】
このようなプロジェクターによれば、選択制御点の選択を促す第1のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像が表示される。これにより、ユーザーは選択制御点を選択する必要性を認識することができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第2の表示部は、前記選択制御点に重ならないように、前記画像内における前記第1のOSD画像の表示位置を変更することを特徴とする。
【0019】
このようなプロジェクターによれば、選択制御点に重ならないように、画像内における第1のOSD画像の表示位置を変更する。これにより、選択制御点と第1のOSD画像との重複を回避することができる。
【0020】
[適用例8]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記選択部によって前記選択制御点が選択された場合に、前記選択制御点の移動操作を促す第2のOSD画像を前記画像に表示する第3の表示部をさらに有することを特徴とする。
【0021】
このようなプロジェクターによれば、選択制御点の移動操作を促す第2のOSD画像が表示される。これにより、ユーザーは選択制御点を移動(位置調整)可能なことを認識することができる。
【0022】
[適用例9]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第2のOSD画像には、前記選択制御点の初期位置からの移動量が表示されることを特徴とする。
【0023】
このようなプロジェクターによれば、第2のOSD画像には、選択制御点のデフォルト位置(初期位置)からの移動量が表示される。これにより、ユーザーは選択制御点をどの程度移動させたのかを認識することができる。
【0024】
[適用例10]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第1の表示部は、前記四辺形領域の頂点または辺の少なくともいずれか一方の表示を非表示に変更可能とすることを特徴とする。
【0025】
このようなプロジェクターによれば、少なくとも四辺形領域の頂点または辺を非表示にすることができる。これにより、格子状の線や点が無い状態で画像情報の幾何学的補正を行うことができる。
【0026】
[適用例11]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第1の表示部は、前記画像情報に基づく前記画像を単色の画像に変更可能とすることを特徴とする。
【0027】
このようなプロジェクターによれば、画像情報に基づく画像から単色の画像に変更することができる。これにより、画像の幾何学的補正時の四辺形領域の辺の視認性を向上することができる。
【0028】
[適用例12]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、光源と、前記光源から射出された光を、画像情報に応じて画像光に変調する光変調装置と、前記光変調装置で変調された前記画像光を投写する投写光学系と、操作を受け付ける操作受付部とを備えたプロジェクターの制御方法であって、前記画像情報に基づく前記画像を複数の四辺形領域に分割する四辺形分割ステップと、前記四辺形分割ステップによって分割された各四辺形領域の頂点を前記画像に表示する第1の表示ステップと、前記頂点のうちの1つを選択制御点として選択させる選択ステップと、前記選択制御点を、前記入力操作に基づいて移動させる移動ステップと、移動前の選択制御点を頂点の1つとして含んでいた四辺形領域を、前記移動部によって移動された選択制御点を頂点に含む形状に変形し、変形前の四辺形領域に対応する画像情報を変形された四辺形領域に収まるように補正する画像補正ステップと、を備えることを特徴とする。
【0029】
このようなプロジェクターの制御方法によれば、ユーザーは、選択制御点(頂点)を移動させることで、画像情報を幾何学的に補正することができる。そして、プロジェクターは、補正された画像情報に基づいた画像光を投写する。よって、画像情報に基づく画像の幾何学的な形状補正を、プロジェクター単体で行うことが可能になる。
【0030】
また、上述したプロジェクター、およびプロジェクターの制御方法が、プロジェクターに備えられたコンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態および上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、あるいは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやHDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray Disc(登録商標)、光磁気ディスク、不揮発性メモリーカード、プロジェクターの内部記憶装置(RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリー)、および外部記憶装置(USBメモリー等)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図2】プロジェクターのポイント補正メニュー画像の説明図。
【図3】ポイント数設定メニュー画像の説明図。
【図4】ポイント数設定メニュー画像によって選択される四辺形上のポイントと格子線の説明図であり、(a)は、「3×3」のポイントの説明図、(b)は、「5×5」のポイントの説明図、(c)は、「9×9」のポイントの説明図。
【図5】色パターン設定メニュー画像の説明図。
【図6】ポイント選択画像の説明図であり、(a)は、制御点ガイドが画像の上部にある場合の説明図、(b)は、制御点ガイドが画像の右下部にある場合の説明図。
【図7】ポイント調整画像の説明図。
【図8】ポイント調整画像の説明図であり、(a)は、背景画像が表示されている状態の説明図、(b)は、背景画像が単色に切り替えられた状態の説明図、(c)は、格子線および選択制御点ガイドを消去した状態の説明図。
【図9】ポイント調整画像の説明図。
【図10】プロジェクターによってポイント補正を行う際の処理のフローチャート。
【図11】ポイント補正が行われた画像を示す平面図。
【図12】ポイント補正が行われた液晶ライトバルブ上の画素領域を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、実施形態について説明する。
【0033】
(実施形態)
本実施形態では、ユーザーの操作によって、投写画像の形状を補正可能なプロジェクターについて説明する。
【0034】
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示すブロック図である。図1を使用して、プロジェクターの内部構成について説明する。
図1に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、光源制御部21、操作受付部22、操作信号受信部23、リモコン24、画像情報入力部30、画像処理部31、OSD処理部32、画像補正部33等を備えている。
【0035】
画像投写部10は、光源としての光源装置11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14等で構成されている。画像投写部10は光源装置11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで画像光に変調し、この画像光を投写レンズ13から投写して投写面Sに画像を表示する。本実施形態では、投写面Sは「への字」の形状をなしている。
【0036】
光源装置11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源装置11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0037】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、複数の画素(図示せず)がマトリックス状に配列された矩形状の画素領域を備えており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。液晶駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域を透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によって拡大投写される。
【0038】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)、不揮発性のROM(Read Only Memory)等を備えており、ROMに記憶されている制御プログラムに従ってCPUが動作することにより、プロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、コンピューターとして機能する。
【0039】
光源制御部21は、制御部20の指示に基づいて光源装置11(光源ランプ11a)の点灯を制御する。具体的には、光源制御部21は、光源ランプ11aに所定の電力を供給することにより光源ランプ11aを点灯させるとともに、電力の供給を停止して光源ランプ11aを消灯させることができる。また、光源制御部21は、制御部20の指示に基づいて光源ランプ11aに供給する電力を制御することにより、光源ランプ11aの輝度(明るさ)を調整することが可能である。
【0040】
操作受付部22は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作受付部22が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための電源キー、入力された画像信号を切り替えるための入力切替キー、各種設定を行うためのメニュー画像の表示・非表示を切り替えるメニューキー、上下左右に対応する4つの方向キー(上方向キー、下方向キー、左方向キー、右方向キー)、各種設定を決定するための決定キー、操作の取り消し等に用いられるESC(Escape)キー、各種設定を初期値に戻すためのDefaultキー等がある。ユーザーが操作受付部22の各種操作キーを操作(押下)すると、操作受付部22は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。
【0041】
リモコン24は、操作受付部22と同様に複数の操作キーを備えている。ユーザーがリモコン24の各種操作キーを操作すると、リモコン24は、ユーザーの操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発し、操作信号受信部23がこれを受信して制御部20に伝達する。ここで、操作受付部22またはリモコン24の操作信号を受信する操作信号受信部23が、特許請求の範囲における操作受付部に相当する。
【0042】
画像情報入力部30は、複数の入力端子を備えており、これらの入力端子には、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、図示しない外部の画像供給装置から各種形式の画像情報が入力される。画像情報入力部30は、入力された画像情報を画像処理部31に出力する。
【0043】
画像処理部31は、画像情報入力部30から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報、即ち各画素に印加する駆動電圧を規定するための画像情報に変換する。さらに、画像処理部31は、制御部20の指示に基づいて、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等の画質を調整するための画質調整処理等を行い、処理後の画像情報をOSD処理部32に出力する。
【0044】
OSD処理部32は、制御部20の指示に基づいて、入力された画像情報に基づく画像(以降、「入力画像」とも呼ぶ。)上に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理部32は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。制御部20が、OSD画像の重畳を指示すると、OSD処理部32は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、入力画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像処理部31から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、画像補正部33に出力される。なお、制御部20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部32は、画像処理部31から入力される画像情報を、そのまま画像補正部33に出力する。
【0045】
本実施形態では、OSD処理部32は、後述するポイント補正を行うための格子線、制御点ガイド、選択制御点ガイド、制御点選択OSD画像、制御点調整OSD画像等を表示する。
【0046】
画像補正部33は、投写面Sに凹凸がある場合などに生じる投写画像の歪や、スタック投写やエッジブレンディングによって生じる投写画像のずれ等を補正するための処理(「ポイント補正」処理)を行う。具体的には、画像補正部33は、制御部20の指示に基づいて、入力画像を複数の四辺形領域に分割して、それぞれの四辺形領域毎に補正処理を行う。
【0047】
画像補正部33は、制御部20から調整(変形)された四辺形領域の各頂点の位置情報を入力する。そして、画像補正部33は、各頂点に基づいて四辺形領域を形成する。画像補正部33が四辺形分割部に相当する。さらに、変形する前の四辺形領域に対応する画像情報(入力画像)を、変形された四辺形領域に収まるように補正する。そして、補正した画像情報を液晶駆動部14に出力することで、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域内に、歪を相殺するような形状の入力画像を形成することが可能になる。また、画素領域の画像形成される領域の外側の画素については、黒色の画素値、つまり、光透過率が最小となる画素値に設定する。このように、OSD処理部32から入力される画像情報を補正する。
【0048】
なお、制御部20から歪を補正する旨の指示がない場合には、画像補正部33は、OSD処理部32から入力される画像情報を、そのまま液晶駆動部14に出力する。この場合には、画素領域の全域が画像形成の領域となり、画素領域の全域に画像(入力画像)が形成される。
【0049】
液晶駆動部14が、画像補正部33から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bによって画像情報に応じた画像光に変調され、この画像光が投写レンズ13から投写される。
【0050】
次に、プロジェクター1のポイント補正について説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、上述したように画像補正部33によって、画像に対する幾何学的な補正処理を行うことができる。具体的には、操作受付部22またはリモコン24に備わるメニューキーによって、ポイント補正メニューが選択されると、プロジェクター1は、ポイント補正メニュー画像を表示する。そして、ポイント補正メニュー画像において調整開始の項目が選択されると、プロジェクター1は、歪を補正する制御点(ポイント)を選択させるためのポイント選択画像を表示する。ポイント選択画像において、ユーザーによって所望の制御点が選択されると、プロジェクター1は、その制御点を移動(位置調整)可能なポイント調整画像を表示する。このポイント調整画像において、ユーザーによって方向キーを操作されると、プロジェクター1は、制御点を移動させて歪を補正する。なお、本実施形態では、入力画像上に25個の制御点を配置している。
【0051】
図2は、本実施形態に係るプロジェクター1のポイント補正メニュー画像の説明図である。
図2に示すように、ポイント補正メニュー画像M1には、ポイント数を設定するための「ポイント数」および現在の設定値、格子線の表示色を設定するための「色パターン」および現在の設定値、調整を開始するための「調整開始」の項目が表示されている。また、図2では「ポイント数」は、背景色が他の項目と異なっており、この項目が選択された状態であることを示している。なお、ポイント補正メニュー画像M1は、OSD処理部32によって表示される。
【0052】
ポイント補正メニュー画像M1が表示された状態では、ユーザーは、上下の方向キーを操作することによって所望の項目を選択することができる。そして、所望の項目を選択した状態で決定キーを操作することにより、調整項目の選択が確定し、当該項目に関する設定画像を表示させることができる。また、ユーザーは、ESCキーを操作することにより、ポイント補正メニュー画像M1の表示を終了させることができる。
【0053】
ポイント補正メニュー画像M1において、「ポイント数」が選択されると、ポイント数設定メニュー画像が表示される。
図3は、ポイント数設定メニュー画像の説明図である。
図3に示すように、ポイント数設定メニュー画像M2には、ポイント数の選択候補として「3×3」、「5×5」、および「9×9」の項目が表示されている。図3では「5×5」は、背景色が他の項目と異なっており、この項目が選択された状態であることを示している。なお、ポイント数設定メニュー画像M2は、OSD処理部32によって表示される。
【0054】
図4は、ポイント数設定メニュー画像M2によって選択される四辺形上のポイントと格子線の説明図であり、(a)は、「3×3」のポイントの説明図、(b)は、「5×5」のポイントの説明図、(c)は、「9×9」のポイントの説明図である。ここで、ポイント(「制御点CP」ともいう)とは、入力画像を複数の四辺形領域に分割した際の頂点を表している。図4(a)に示すように、入力画像が4つの四辺形領域QD1(QD)に分割されている場合は、制御点CPの数は「3×3」となる。また、図4(b)に示すように、入力画像が16の四辺形領域QD2(QD)に分割されている場合は、制御点CPの数は「5×5」となる。図4(c)に示すように、入力画像が64の四辺形領域QD3(QD)に分割されている場合は、制御点CPの数は「9×9」となる。
【0055】
図3に戻り、ポイント数設定メニュー画像M2が表示された状態では、ユーザーは、上下の方向キーを操作することによって所望の項目を選択することができる。そして、所望の項目を選択した状態で決定キーを操作することにより、ポイント数の選択を確定し、ポイント数設定メニュー画像M2の表示を終了し、ポイント補正メニューM1に戻ることができる。また、ユーザーは、ESCキーを操作することにより、ポイント数設定メニュー画像M2の表示を終了し、ポイント補正メニューM1に戻ることができる。
【0056】
図2に戻り、ポイント補正メニュー画像M1において、「色パターン」が選択されると、色パターン設定メニュー画像が表示される。
図5は、色パターン設定メニュー画像の説明図である。
図5に示すように、色パターン設定メニュー画像M3には、ポイント補正を行う画像における格子線の表示色の選択候補として「白」、「赤」、「緑」、および「黄」の項目が表示されている。図5では「白」は、背景色が他の項目と異なっており、この項目が選択された状態であることを示している。なお、色パターン設定メニュー画像M3は、OSD処理部32によって表示される。
【0057】
色パターン設定メニュー画像M3が表示された状態では、ユーザーは、上下の方向キーを操作することによって所望の項目を選択することができる。そして、所望の項目を選択した状態で決定キーを操作することにより、調整項目の選択を確定し、色パターン設定メニュー画像M3の表示を終了し、ポイント補正メニューM1に戻ることができる。また、ユーザーは、ESCキーを操作することにより、色パターン設定メニュー画像M3の表示を終了し、ポイント補正メニューM1に戻ることができる。
【0058】
図2に戻り、ポイント補正メニュー画像M1において、「調整開始」が選択されると、入力画像にポイント選択画像が重畳して投写される。
図6は、ポイント選択画像の説明図であり、(a)は、制御点ガイドが画像の上部にある場合の説明図、(b)は、制御点ガイドが画像の右下部にある場合の説明図である。
【0059】
図6(a)に示すように、ポイント選択画像G2では、制御点CPの数はポイント数設定メニュー画像M2で選択された「5×5」となっており、16の四辺形領域QD4(QD)に分割されている。そして、四辺形領域QD4(QD)の各辺は、色パターン設定メニュー画像M3で設定された表示色で、格子線FRとして表示されている。格子線FRを表示するOSD処理部32が第1の表示部に相当する。
【0060】
ポイント選択画像G2では、制御点CPを指し示すための制御点ガイドPGAが表示されている。さらに、制御点選択OSD画像OS1(OS)が表示されている。制御点選択OSD画像OS1(OS)が第1のOSD画像に相当し、制御点選択OSD画像OS1(OS)を表示するOSD処理部32が第2の表示部に相当する。
【0061】
本実施形態では、制御点ガイドPGAは、制御点CPを囲む正方形として表されている。制御点ガイドPGAは、ユーザーの操作によって、「5×5」の25点の制御点CPのいずれの位置にでも移動可能となっている。
【0062】
制御点選択OSD画像OS1は、制御点ガイドPGAの位置情報OS11および操作方法を表したOSD表示である。位置情報OS11には、「H位置」即ち水平方向の位置情報、および「V位置」即ち垂直方向の位置情報が表されている。「H位置」、「V位置」は、それぞれ1から5の数値で表され、制御点ガイドPGAが25点の制御点のいずれを指し示しているかを表す。
【0063】
また、制御点選択OSD画像OS1には、ユーザーは、上下、左右の方向キーを操作することによって、制御点ガイドPGAを移動できることが表示されている。さらに、制御点ガイドPGAの位置を選択した状態で決定キーを操作することにより、調整する制御点CPの選択が確定され、当該制御点CPの位置調整が可能になることが表示されている。また、ユーザーは、ESCキーを操作することにより、ポイント選択画像G2を表示している状態を終了させる、即ちポイント補正状態を終了させることが表示されている。
【0064】
図6(b)では、ポイント選択画像G3は、ポイント選択画像G2と同様に16の四辺形領域QDに分割されており、制御点CPの数は「5×5」となっている。ここで、制御点ガイドPGAの位置情報は、「H位置」が4、「V位置」が4となっている。このとき、OSD処理部32は、制御点ガイドPGAが制御点選択OSD画像OS2(OS)に重ならないように、制御点選択OSD画像OS2を画像の左上位置に表示する。このように、OSD処理部32は、制御点ガイドPGAが制御点選択OSD画像OSに重ならないように、制御点選択OSD画像OSの表示位置を変更する。
【0065】
次に、ポイント選択画像G2が表示されている状態において、調整対象の制御点CPの選択が確定され、当該制御点CP(即ち選択制御点)の位置調整を行う際のポイント調整画像について説明する。
図7は、ポイント調整画像の説明図である。
図7に示すように、ポイント調整画像G4は、ポイント選択画像G2と同様に16の四辺形領域QDに分割されており、制御点CPの数は「5×5」となっている。ポイント調整画像G4には、さらに、選択制御点ガイドPGB、および制御点調整OSD画像OA1(OA)が表示されている。制御点調整OSD画像OA1(OA)が第2のOSD画像に相当し、制御点調整OSD画像OA1(OA)を表示するOSD処理部32が第3の表示部に相当する。
【0066】
選択制御点ガイドPGBは、制御点ガイドPGAの選択が確定された状態を表わしており、本実施形態では、制御点CP(選択制御点)を二重に囲む正方形として表示されている。選択制御点ガイドPGBを表示するOSD処理部32は、第1の表示部に相当する。ここで、選択制御点ガイドPGBが指し示す選択制御点を頂点とする四辺形領域QDは、QD5、QD6、QD7およびQD8となっている。
【0067】
制御点調整OSD画像OA1は、選択制御点ガイドPGBで選択されている選択制御点の移動方法と移動量を表したOSD表示である。制御点調整OSD画像OA1には、選択制御点ガイドPGBが指し示している選択制御点が移動可能な方向を示す移動方向ガイドOA11が表示されている。
【0068】
また、制御点調整OSD画像OA1には、選択制御点ガイドPGBが指し示している選択制御点の初期位置からの移動量を表す移動量情報OA12が表示されている。移動量情報OA12には、「H移動量」即ち水平方向の初期位置からの移動量、および「V移動量」即ち垂直方向の初期位置からの移動量が表示される。「H移動量」および「V移動量」は、それぞれ画素のピクセル数が表される。なお、「H移動量」および「V移動量」の表示内容は、画素のピクセル数に限定するものではない。
【0069】
制御点調整OSD画像OA1には、ユーザーは、上下、左右の方向キーを操作することによって、選択制御点を移動調整できることが表示されている。さらに、ESCキーを操作することにより、ポイント調整画像G4が表示されている状態を終了して、ポイント選択画像G2が表示される状態に戻ることが表示されている。さらに、ユーザーは、Defaultキーを操作することで、調整した制御点の位置を初期位置に戻すことが表示されている。さらに、決定キーを操作することにより、ポイント調整画像G4の表示状態を切り替え可能であることが表示されている。
【0070】
ここで、ポイント調整画像G4の表示状態の切り替えについて説明する。ユーザーは、決定キーを押下することで、ポイント調整画像G4の背景画像を単色に切り替えたり、格子線FRおよび選択制御点ガイドPGBを消去したりすることができる。
図8は、ポイント調整画像の説明図であり、(a)は、背景画像が表示されている状態の説明図、(b)は、背景画像が単色に切り替えられた状態の説明図、(c)は、格子線FRおよび選択制御点ガイドPGBを消去した状態の説明図である。
【0071】
図8(a)におけるポイント調整画像G5では、入力画像である「丸」と「三角形」が背景画像として表示されている。図8(b)におけるポイント調整画像G6では、入力画像が表示されておらず、単色の背景画像が表示されている。背景画像の色としては、例えば青や黒とするが、これには限定しない。また、図8(c)におけるポイント調整画像G7では、入力画像である「丸」と「三角形」が背景画像として表示されているが、格子線FRおよび選択制御点ガイドPGBが表示されていない。このように、ユーザーは、決定キーを操作することにより、ポイント調整画像の表示態様を変更することができる。
【0072】
次に、ポイント調整画像G4において、選択制御点ガイドPGBのある制御点CP(即ち選択制御点)を移動した場合の表示について説明する。
図9は、ポイント調整画像の説明図である。
ポイント調整画像G4が表示されている状態において、ユーザーによって下方向キーが押下され、選択制御点ガイドPGBが指し示している選択制御点が画像下方に移動されると、プロジェクター1は、図9に示すようなポイント調整画像G8を表示する。
【0073】
ポイント調整画像G8では、当該制御点CPを頂点とする四辺形領域QD5、QD6、QD7およびQD8は、画像補正部33によって変形され、格子線FRもOSD処理部32によって変形されている。そして、変形前の四辺形領域QD5、QD6、QD7およびQD8に対応する画像情報が、画像補正部33によって、変形後の四辺形領域QD5、QD6、QD7およびQD8に収まるように補正される。
【0074】
制御点調整OSD画像OA2(OA)の移動量情報には、「H移動量」の移動量は「0」、「V移動量」の移動量は「−5」と表示されており、選択制御点が画像の下方に5ピクセル移動した状態を示している。このように、ユーザーは、ポイント調整画像が表示されている状態で、方向キーを操作することにより、画像情報を補正することができる。
【0075】
次に、プロジェクター1によってポイント補正を行う際の処理について説明する。
図10は、本実施形態に係るプロジェクター1によってポイント補正を行う際の処理のフローチャートである。
【0076】
ポイント補正メニュー画像M1において、「調整開始」が選択されると、制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、ポイント数および色パターンに基づいた格子線FRおよび制御点ガイドPGAを表示する(ステップS101)。制御点ガイドPGAの初期位置は「H位置」が1、「V位置」が1とする。そして、制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、制御点選択OSD画像OSを表示させる(ステップS102)。
【0077】
制御部20は、決定キーが押下されたか否かによって、調整する制御点CP(選択制御点)が決定されたか否かを判断する(ステップS103)。このようにユーザーに選択制御点を選択させるときの制御部20、操作受付部22およびリモコン24が選択部に相当する。
【0078】
調整する制御点CPが決定されていれば(ステップS103:YES)、制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、制御点ガイドPGAを選択制御点ガイドPGB(即ち二重の正方形の制御点ガイド)に変更して表示させる(ステップS104)。そして、制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、制御点選択OSD画像OSを消去して制御点調整OSD画像OAを表示させる(ステップS105)。
【0079】
制御部20は、方向キーによる選択制御点の調整操作が行われたか否かを判断する(ステップS106)。選択制御点の調整操作が行われていれば(ステップS106:YES)、制御部20は、画像補正部33に指示を出して、調整された選択制御点の位置に基づいて、選択制御点を頂点の1つとして含む四辺形領域QDを変形させる(ステップS107)。選択制御点を移動する制御部20および画像補正部33が、移動部に相当する。そして、選択制御点を頂点に含む形状に四辺形領域QDを変形する画像補正部33が、画像補正部に相当する。
【0080】
画像補正部33は、変形する前の四辺形領域QDに対応する画像情報を、変形した四辺形領域QDに収まるように補正する(ステップS108)。制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、変形した四辺形領域QDに対応するように、格子線FRを表示させる(ステップS109)。そして、ステップS104に移行する。
【0081】
方向キーによる選択制御点の調整操作が行われていなければ(ステップS106:NO)、制御部20は、ESCキーが押下されたか否かを判断する(ステップS110)。ESCキーが押下されていなければ(ステップS110:NO)、ステップS104に移行する。ESCキーが押下されていれば(ステップS110:YES)、ステップS101に移行する。
【0082】
調整する制御点CPが決定されなければ(ステップS103:NO)、制御部20は、方向キーの押下によって、制御点CPの変更がなされたか否かを判断する(ステップS111)。制御点CPの変更がなされていれば(ステップS111:YES)、制御点ガイドPGAの位置を変更する(ステップS112)。そして、ステップS101に移行する。
【0083】
制御点CPの変更がなされていなければ(ステップS111:NO)、制御部20は、ESCキーが押下されたか否かを判断する(ステップS113)。ESCキーが押下されていれば(ステップS113:YES)、制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、制御点選択OSD画像OSの表示を消去させる(ステップS114)。さらに、制御部20は、OSD処理部32に指示を出して、格子点FRおよび制御点ガイドPGAの表示を消去させる(ステップS115)。そして、ポイント補正処理を終了する(ステップS116)。
【0084】
ESCキーが押下されていなければ(ステップS113:NO)、ステップS101に移行する。
【0085】
次に、上述したようなポイント補正が行われた画像について説明する。
図11は、ポイント補正が行われた画像を示す平面図である。
図11では、25個の制御点CPのうちのCP2,CP3,CP4,CP7,CP8,CP9,CP17,CP18,CP19,CP22,CP23,CP24がポイント補正された投写画像G9が表されている。制御点CP2,CP3,CP4,CP7,CP8,CP9は、「V移動量」がマイナスとなるように移動されている。また、制御点CP17,CP18,CP19,CP22,CP23,CP24は、「V移動量」がプラスとなるように移動されている。そして、16個の四辺形領域QDは、矩形から変形された形状となっている。なお、投写画像G9には、画像の変形状態を明確にするために、格子線および制御点CPを明示している。
【0086】
例えば、図1のように投写面Sが「への字」形状に屈曲している場合には、投写面Sに画像を投写しながら、ユーザーが投写画像G9のようにポイント補正を行うことで、投写面S上の投写画像の歪を矩形状に補正することができる。
【0087】
ここで、図11の投写画像G9のようにポイント補正が行われたときの液晶ライトバルブ12R,12G,12B上の画素領域について説明する。
図12は、ポイント補正が行われた液晶ライトバルブ12R,12G,12B上の画素領域を示す平面図である。
【0088】
図12には、投写画像G9の制御点CP2,CP3,CP4,CP7,CP8,CP9,CP17,CP18,CP19,CP22,CP23,CP24に相当する画素領域上のポイントが補正された画素領域Pが表されている。画素領域Pには、屈曲した形状に歪んだ画像形成領域PGが形成され、この画像形成領域PGに収まるように画像情報が補正されている。ここで、画素領域P内の画像形成領域PGの外側の領域S1およびS2は、黒色(光をほとんど透過しない状態)となっている。このようなポイント補正がなされると、プロジェクター1からは、画像形成領域PGに収まるように補正され、屈曲した形状の画像が射出される。なお、画像形成領域PGには、画像の変形状態を明確にするために、格子線を明示している。
【0089】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)プロジェクター1は、画像情報に基づく画像を複数の四辺形領域QDに分割し、四辺形領域QDの辺を格子線FRとして表示する。そして、格子線の交点、即ち四辺形領域QDの各頂点を制御点CRとする。ユーザーは、制御点CRのうちの1つを選択制御点として選択する。ユーザーは、操作受付部22やリモコン24に備わる方向キーの操作を行うことで、選択制御点の位置を移動(調整)させる。画像補正部33は、移動された選択制御点を頂点に含む形状に四辺形領域QDを変形する。さらに、画像補正部33は、変形前の四辺形領域QDに対応する画像情報を変形後の四辺形領域QDに収まるように補正する。これにより、ユーザーが選択制御点(頂点)を移動させることによって、プロジェクター1は、画像情報を幾何学的に補正して、補正した画像情報に基づいた画像光を投写する。よって、画像情報に基づく画像の幾何学的な形状補正を、プロジェクター単体で行うことが可能になるため、利便性が向上する。また、ユーザーは、投写画像を視認しながら、方向キーによって制御点CPを移動させ、投写画像の形状を補正することができるため、予備知識がなくても、投写画像の形状の補正を容易に行うことが可能になる。
【0090】
(2)プロジェクター1は、ポイント数設定メニュー画像M2によって、制御点CPの数を変更することができる。即ち、四辺形領域QDの大きさを変更することができる。これにより、ユーザーは制御点CPの数を所望の数に変更(即ち、四辺形領域QDの大きさを所望の大きさに変更)して、画像情報を幾何学的に補正することができる。つまり、画像情報を変形させる細かさ/粗さを切り替えることができるため、利便性が向上する。
【0091】
(3)プロジェクター1は、色パターン設定メニュー画像M3によって、四辺形領域QDの辺(即ち格子線FR)の表示色を変更することができる。これにより、入力されている画像情報に基づく画像に応じて、格子線FRの表示色を視認性のよい色に変更することが可能となり、有益である。
【0092】
(4)プロジェクター1において、選択制御点は選択制御点ガイドPGBによって指し示される。選択制御点ガイドPGBは、選択制御点を二重に囲む正方形の形状をしており、制御点ガイドPGAと異なる形状となっている。これにより、ユーザーは制御点CPを選択して、選択制御点が調整可能な状態になったことを認識することが可能になるため、有益である。
【0093】
(5)プロジェクター1は、ポイント選択画像の表示状態において、選択制御点の選択を促す制御点選択OSD画像OSを表示する。これにより、ユーザーは選択制御点を選択する必要性を認識することができる。
【0094】
(6)プロジェクター1は、ポイント選択画像の表示状態において、選択制御点(即ち選択制御点ガイドPGBが指し示している制御点CP)に重ならないように、制御点選択OSD画像OSの表示位置を変更する。これにより、選択制御点および制御点選択OSD画像OSの重複を回避することが可能となり、ユーザーがポイント選択画像において選択制御点を見逃してしまうことを回避できる。
【0095】
(7)プロジェクター1は、ポイント調整画像の表示状態において、選択制御点の移動調整操作を促す制御点調整OSD画像OAを表示する。これにより、ユーザーは選択制御点を移動調整可能なことを認識することができる。
【0096】
(8)プロジェクター1は、制御点調整OSD画像OAが表示されている状態において、四辺形領域QDの頂点および辺(即ち格子線FR)を非表示にすることができる。これにより、格子状FRの線や点が無い状態で画像情報の幾何学的補正を行うことが可能になる。よって、格子線FRの表示を不要とするユーザーに有益である。
【0097】
(9)プロジェクター1は、制御点調整OSD画像OAが表示されている状態において、ポイント調整画像の背景を画像情報に基づく画像から単色の画像に変更することができる。これにより、ポイント調整画像の表示状態において、格子線FRの視認性を向上することができる。
【0098】
(10)プロジェクター1において、制御点調整OSD画像OAには、選択制御点の初期位置からの移動量が表示される。これにより、ユーザーは選択制御点をどの程度移動させたのかを認識することができるため、有益である。
【0099】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0100】
(変形例1)上記実施形態では、ポイント数設定メニュー画像M2で選択可能な制御点CPの数を「3×3」、「5×5」、または「9×9」としたが、これに限定するものではない。例えば、制御点CPの数を多くした場合には、より細かな補正を行うことが可能になる。
【0101】
(変形例2)上記実施形態では、色パターン設定メニュー画像M3で選択可能な格子線FRの色パターンは「白」、「赤」、「緑」、および「黄」のとしたが、これに限定するものではない。
【0102】
(変形例3)上記実施形態では、制御点調整OSD画像OAにおいて、移動量情報OAとして、「H移動量」および「V移動量」を表示するものとしたが、移動量情報OAは表示しなくてもよい。
【0103】
(変形例4)上記実施形態では、ポイント補正時の背景画像は、入力画像または単色としたが、これに限定するものではなく、背景画像として所定のテストパターンを表示してもよい。
【0104】
(変形例5)上記実施形態では、制御点調整OSD画像OAに、選択制御点の移動可能方向を示す移動方向ガイドOA11を表示するものとしたが、移動方向ガイドOA11の各方向を示す三角形の表示色は、移動可能な方向と移動不可能な方向とで色を変更してもよい。こうすれば、ユーザーは、三角形の表示色を視認することによって、その指し示している方向に選択制御点を移動可能か否かについて判断することができるため、利便性が向上する。
【0105】
(変形例6)上記実施形態では、ポイント選択画像G2およびポイント調整画像G4では、四辺形領域QDの辺として格子線FRを表示しているが、四辺形領域QDの頂点を表示してもよい。
【0106】
(変形例7)上記実施形態では、制御点調整OSD画像OAに移動量情報OA12として、「H移動量」および「V移動量」として初期位置からの移動量を表示するものとしたが、画素領域P上の絶対位置情報を表示してもよい。
【0107】
(変形例8)上記実施形態では、光源装置11は、放電型の光源ランプ11aを有して構成されているが、LED(Light Emitting Diode)光源やレーザー等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【0108】
(変形例9)上記実施形態では、プロジェクター1は、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0109】
1…プロジェクター、10…画像投写部、11…光源装置、11a…光源ランプ、11b…リフレクター、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…液晶駆動部、20…制御部、21…光源制御部、22…操作受付部、23…操作信号受信部、24…リモコン、30…画像情報入力部、31…画像処理部、32…OSD処理部、33…画像補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から射出された光を、画像情報に応じて画像光に変調する光変調装置と、
前記光変調装置で変調された前記画像光を投写する投写光学系と、
前記画像情報に基づく前記画像を複数の四辺形領域に分割する四辺形分割部と、
前記四辺形分割部により分割された各四辺形領域の頂点を前記画像に表示する第1の表示部と、
入力操作を受け付ける操作受付部と、
前記頂点のうちの1つを選択制御点として選択させる選択部と、
前記選択制御点を、前記入力操作に基づいて移動させる移動部と、
移動前の選択制御点を頂点の1つとして含んでいた四辺形領域を、前記移動部によって移動された選択制御点を頂点に含む形状に変形し、変形前の四辺形領域に対応する画像情報を変形された四辺形領域に収まるように補正する画像補正部と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記第1の表示部は、前記四辺形領域の辺を表示することを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記四辺形分割部は、前記四辺形領域の大きさを変更可能とすることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記第1の表示部は、前記四辺形領域の辺の表示色を変更可能とすることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記第1の表示部は、前記選択部によって選択された前記選択制御点を、選択前の状態と異なるように表示することを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記選択部が前記選択制御点を選択させる場合に、前記選択制御点の選択を促す第1のOSD画像を前記画像に表示する第2の表示部をさらに有することを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項6に記載のプロジェクターであって、
前記第2の表示部は、前記選択制御点に重ならないように、前記画像内における前記第1のOSD画像の表示位置を変更することを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記選択部によって前記選択制御点が選択された場合に、前記選択制御点の移動操作を促す第2のOSD画像を前記画像に表示する第3の表示部をさらに有することを特徴とするプロジェクター。
【請求項9】
請求項8に記載のプロジェクターであって、
前記第2のOSD画像には、前記選択制御点の初期位置からの移動量が表示されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項10】
請求項1または2に記載のプロジェクターであって、
前記第1の表示部は、前記四辺形領域の頂点または辺の少なくともいずれか一方の表示を非表示に変更可能とすることを特徴とするプロジェクター。
【請求項11】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記第1の表示部は、前記画像情報に基づく前記画像を単色の画像に変更可能とすることを特徴とするプロジェクター。
【請求項12】
光源と、前記光源から射出された光を、画像情報に応じて画像光に変調する光変調装置と、前記光変調装置で変調された前記画像光を投写する投写光学系と、操作を受け付ける操作受付部とを備えたプロジェクターの制御方法であって、
前記画像情報に基づく前記画像を複数の四辺形領域に分割する四辺形分割ステップと、
前記四辺形分割ステップによって分割された各四辺形領域の頂点を前記画像に表示する第1の表示ステップと、
前記頂点のうちの1つを選択制御点として選択させる選択ステップと、
前記選択制御点を、前記入力操作に基づいて移動させる移動ステップと、
移動前の選択制御点を頂点の1つとして含んでいた四辺形領域を、前記移動部によって移動された選択制御点を頂点に含む形状に変形し、変形前の四辺形領域に対応する画像情報を変形された四辺形領域に収まるように補正する画像補正ステップと、
を備えることを特徴とするプロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−78001(P2013−78001A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217046(P2011−217046)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】