説明

プロジェクターおよび認証方法

【課題】 ユーザーの手間を軽減しつつ適切な認証を行うことが可能なプロジェクター等を提供すること。
【解決手段】 プロジェクター100が、携帯型端末装置が接続される接続部110と、許可対象または拒否対象の携帯型端末装置の識別データ122を記憶する記憶部120と、接続部110に接続された携帯型端末装置からの当該携帯型端末装置の識別情報と、識別データ122に基づき、プロジェクターの使用許否を判定する判定部140を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターおよび認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2009−21743号公報に記載されているように、リモコン(リモートコントローラー)を用いたキー操作に応じて認証を行うプロジェクターが提供されている。このようなプロジェクターは、起動時にパスワード等がリモコン等を用いて入力されることにより、利用可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−21743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、パスワード等を入力する認証方式の場合、パスワード等の忘却によって正当なユーザーが利用できなくなるという問題、パスワード等の漏洩の問題、セキュリティーレベルを向上させるためにパスワード等を定期的に変更する手間の問題がある。また、ユーザーの手間を軽減しつつ、セキュリティーレベルを向上させる認証方式として、生体認証方式が提供されている。しかし、生体認証方式の場合、ユーザーごとの認証に限定されてしまう。特に、プロジェクターの場合、プロジェクターを使用するグループ単位での認証が必要になることや、不特定多数のユーザーによって使用されることもある。このような場合に生体認証方式を適用すると、却って手間がかかってしまう。さらに、プロジェクターに同梱されたUSBメモリーやPCカード等の記録媒体を用いた認証方式も提供されている。しかし、1つのプロジェクターに1つの記録媒体しか対応しないため、複数のユーザーやグループごとにセキュリティー設定を行うといった場合には不適切な認証方式である。
【0005】
本発明にかかるいくつかの態様は、上記課題を解決することにより、ユーザーの手間を軽減しつつ適切な認証を行うことが可能なプロジェクターおよび認証方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の1つであるプロジェクターは、携帯型端末装置が接続される接続部と、許可対象または拒否対象の携帯型端末装置の識別データを記憶する記憶部と、前記接続部に接続された前記携帯型端末装置からの当該携帯型端末装置の識別情報と、前記識別データとに基づき、プロジェクターの使用許否を判定する判定部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の態様の1つである認証方法は、携帯型端末装置が接続される接続部と、許可対象または拒否対象の携帯型端末装置の識別データを記憶する記憶部とを含むプロジェクターによる認証方法であって、前記プロジェクターは、前記接続部に接続された前記携帯型端末装置から当該携帯型端末装置の識別情報が入力され、前記識別情報と、前記識別データとに基づき、前記プロジェクターの使用許否を判定することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、プロジェクターは、プロジェクターに接続された携帯型端末装置の識別情報を用いてプロジェクターの使用許否を判定することにより、ユーザーの手間を軽減しつつ適切な認証を行うことができる。
【0009】
また、上記プロジェクターは、前記判定部による前記使用許否の判定結果を示す判定結果画像を生成する画像生成部と、前記判定結果画像を投写する投写部と、を含んでもよい。これによれば、プロジェクターは、使用許否の判定結果をユーザーに提示することができる。
【0010】
また、上記プロジェクターは、前記プロジェクターに接続された画像供給装置または携帯型情報記憶媒体、あるいは、前記携帯型端末装置から画像信号が入力される画像信号入力部を含み、前記画像生成部は、前記判定部による前記使用許否の判定結果が許可である場合に、前記画像信号に基づく画像を生成し、前記投写部は、前記画像を投写してもよい。これによれば、プロジェクターは、画像の投写の使用許否を適切に決定することができる。
【0011】
また、上記プロジェクターは、更新部を含み、前記記憶部は、前記携帯型端末装置ごとの前記プロジェクターの使用合計時間を示す使用時間データを記憶し、前記更新部は、前記携帯型端末装置の前記接続部への接続時間に応じて前記使用時間データを更新してもよい。これによれば、プロジェクターは、携帯型端末装置ごとのプロジェクターの使用合計時間を把握することができる上、すべての携帯型端末装置の使用合計時間を合計して総使用合計時間を把握することが可能になる。
【0012】
また、前記記憶部は、前記携帯型端末装置ごとの前記プロジェクターの使用可能時間を示す使用可能時間データを記憶し、前記判定部は、前記使用時間データと、前記使用可能時間データとに基づき、前記使用合計時間が前記使用可能時間を超えている場合に、前記接続部に接続中の前記携帯型端末装置に対する前記使用許否を拒否と判定し、前記使用合計時間が前記使用可能時間を超えていない場合に、前記接続部に接続中の前記携帯型端末装置に対する前記使用許否を許可と判定してもよい。これによれば、プロジェクターは、携帯型端末装置ごとに使用合計時間に応じた使用許否を決定することができる。
【0013】
また、上記プロジェクターは、更新部を含み、前記記憶部は、前記携帯型端末装置ごとの前記プロジェクターの使用日時を示す使用日時データを記憶し、前記更新部は、前記携帯型端末装置の前記接続部への接続日時に応じて前記使用日時データを更新してもよい。これによれば、プロジェクターは、携帯型端末装置ごとのプロジェクターの使用日時を把握することができる上、すべての携帯型端末装置の使用日時を合計した情報を把握することが可能になる。
【0014】
また、前記記憶部は、前記携帯型端末装置ごとの前記プロジェクターの使用可能日時を示す使用可能日時データを記憶し、前記判定部は、前記使用日時データと、前記使用可能日時データとに基づき、前記使用日時が前記使用可能日時と適合していない場合に、前記接続部に接続中の前記携帯型端末装置に対する前記使用許否を拒否と判定し、前記使用日時が前記使用可能日時と適合している場合に、前記接続部に接続中の前記携帯型端末装置に対する前記使用許否を許可と判定してもよい。これによれば、プロジェクターは、携帯型端末装置ごとに、使用日時に応じた使用許否を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施例における投写状況を示す図である。
【図2】第1の実施例におけるプロジェクターの機能ブロック図である。
【図3】第1の実施例におけるプロジェクターのハードウェアブロック図である。
【図4】第1の実施例における認証から投写までの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施例における画像信号に基づく画像の一例を示す図である。
【図6】第1の実施例における拒否を示す判定結果画像の一例を示す図である。
【図7】第1の実施例におけるパスワードプロテクト画像の一例を示す図である。
【図8】第1の実施例における管理画像の一例を示す図である。
【図9】第2の実施例における認証から投写までの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施例における認証から投写までの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第4の実施例における投写状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をプロジェクターに適用した実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0017】
(第1の実施例)
図1は、第1の実施例における投写状況を示す図である。プロジェクター100は、本体に対してスライドさせることによって、本体に収納したり、本体から突出させたりすることが可能な接続部110、音声出力部180等を含んで構成されている。ユーザーは、携帯型端末装置の一種である携帯情報端末200の端子部を接続部110に設けられたコネクターに差し込んだ状態で、リモコン400を操作することにより、携帯情報端末200からの画像信号に基づく画像20をプロジェクター100によって投写させたり、携帯情報端末200からの音声信号に基づく音声をプロジェクター100に出力させたりする。
【0018】
本実施例のプロジェクター100は、携帯情報端末200がプロジェクター100に接続された状態で、携帯情報端末200の識別情報に基づいて認証を行い、プロジェクター100の使用を許可するか拒否するか決定し、プロジェクター100の使用を許可する場合のみ画像の投写や音声の出力を行う機能を有している。次に、このような機能を有するプロジェクター100の機能ブロックについて説明する。
【0019】
図2は、第1の実施例におけるプロジェクター100の機能ブロック図である。プロジェクター100は、携帯型端末装置200が接続される接続部110と、接続部110を介して画像信号や音声信号が入力される信号入力部130と、記憶部120と、記憶部120内のデータを更新する更新部150と、プロジェクター100の使用許否等を判定する判定部140と、画像20を生成する画像生成部160と、画像20をスクリーン10等に投写する投写部190と、音声生成部170と、音声出力部180を含んで構成されている。
【0020】
また、記憶部120は、判定結果画像等を生成するためのデータや入力画像信号を示すデータである画像データ121、入力音声信号を示すデータである音声データ127、使用を許可する携帯情報端末200等を示す識別データ122、携帯情報端末200ごとのプロジェクター100の使用可能時間を示す使用可能時間データ123、携帯情報端末200ごとのプロジェクター100の使用可能日時を示す使用可能日時データ124、携帯情報端末200ごとのプロジェクター100の実際の使用時間を示す使用時間データ125、実際の携帯情報端末200ごとのプロジェクター100の実際の使用日時を示す使用日時データ126等を記憶している。
【0021】
図3は、第1の実施例におけるプロジェクター100のハードウェアブロック図であり、各部の接続状態を模式的に表している。例えば、接続部110はシリアルインターフェイス910等、記憶部120はRAM920、フラッシュROM922等、信号入力部130は信号変換回路930等、判定部140、更新部150はCPU940等、画像生成部160は画像処理回路960等、音声生成部170は音声処理回路970等、音声出力部180は、アンプ980、スピーカー982等、投写部190は、ランプ駆動回路990、ランプ991、照明光学系992、液晶駆動回路993、液晶ライトバルブ994、投写レンズ995等を用いて実装されてもよい。また、信号入力部130は、リモコン400からの赤外信号を受信する場合、赤外通信ユニット等を用いて実装されてもよい。
【0022】
次に、これらの各部を用いた認証から投写までの処理手順について説明する。図4は、第1の実施例における認証から投写までの処理手順を示すフローチャートである。ユーザーは、携帯情報端末200の端子部を接続部110に設けられたコネクターに差し込む。これにより、接続部110に携帯情報端末200からの携帯情報端末200の識別情報が入力される(ステップS1)。なお、本実施例では、識別情報は、携帯情報端末200固有のシリアルナンバーである。
【0023】
判定部140は、接続部110からの携帯情報端末200の識別情報と、記憶部120に記憶された識別データ122に基づき、プロジェクター100の使用許否を判定する(ステップS2、S3)。具体的には、例えば、判定部140は、携帯情報端末200のシリアルナンバーが、識別データ122に含まれる使用の許可を示すシリアルナンバーと一致する場合は許可と決定し、一致しない場合は拒否と決定する。
【0024】
画像生成部160は、判定部140によって拒否と判定された場合は拒否を示す判定結果画像を生成し、投写部190は、当該判定結果画像を投写する(ステップS5)。
【0025】
図6は、第1の実施例における拒否を示す判定結果画像502の一例を示す図である。例えば、拒否を示す判定結果画像502は、「このXXXXは登録されていません。」といった文字列を示す画像である。判定結果画像502が投写されることにより、ユーザーは、接続した携帯情報端末200が適切でないことを把握することができる。なお、「XXXX」は携帯情報端末200の製品名を示す。
【0026】
一方、判定部140によって許可と判定された場合は、信号入力部130は携帯情報端末200から画像信号の入力を開始する(ステップS6)。そして、画像生成部160は、信号入力部130からの画像信号に基づき、図5に示す画像500を生成し、投写部190は、画像500を投写する(ステップS7)。図5は、第1の実施例における画像信号に基づく画像500の一例を示す図であり、携帯情報端末200に表示されている画像が、投写部190によって投写されていることを示す図である。判定部140は、リモコン400等の操作情報に基づき、終了指示があるかどうかを判定し(ステップS8)、プロジェクター100は、終了指示がない場合は画像生成処理等(ステップS6、S7)を続行し、終了指示があった場合は当該画像生成処理等を終了する。このように、判定結果画像502が投写されることなく携帯情報端末200から入力された画像信号に基づく画像500が投写されることにより、ユーザーは、接続した携帯情報端末200が適切なものであり、プロジェクター100の使用が許可されたことを把握することができる。
【0027】
ここで、識別データ122へのシリアルナンバーの登録方法について説明する。図7は、第1の実施例におけるパスワードプロテクト画像600の一例を示す図である。また、図8は、第1の実施例における管理画像602の一例を示す図である。判定部140は、リモコン400等の操作情報に基づき、パスワードプロテクト画像600の投写指示があるかどうかを判定する。パスワードプロテクト画像600の投写指示があった場合、プロジェクター100は、パスワードプロテクト画像600を投写する。
【0028】
パスワードプロテクト画像600は、プロジェクター100の電源投入時のパスワード認証を、有効にするかどうかを選択させる画像(例えば、「電源投入時 オン」)、パスワード認証に代えて携帯情報端末200による機器認証を有効にするかどうかを選択させる画像(例えば、「XXXXプロテクト オン」)、使用を許可する携帯情報端末200の変更等を行わせるための画像(例えば、「XXXX管理」)、リモコン400の移動操作による選択対象を示すカーソル610等を含む。
【0029】
例えば、「XXXX管理」が選択されると、プロジェクター100は、管理画像602を投写する。管理画像602は、使用を許可する携帯情報端末200のシリアルナンバーを示す画像、当該シリアルナンバーと対応付けられるユーザー名を示す画像、選択用のカーソル612、すべての設定を削除する「全削除」等を含む。なお、これらのユーザー名およびシリアルナンバーは、識別データ122として記憶部120に記憶されている。
【0030】
ここでは、10台までの携帯情報端末200が登録可能な構成になっているが、登録可能台数は任意である。また、カーソル612によってユーザー名が選択された状態でリモコン400の「決定」ボタンが押された場合、プロジェクター100は、いわゆるソフトウェアキーボードを示す画像を投写し、リモコン400による当該画像内の文字の選択操作に応じてユーザー名を更新する。例えば、更新部150は、当該選択操作に応じて選択中のユーザー名を示す識別データ122内のデータを更新する。
【0031】
また、カーソル612によってシリアルナンバーが選択された状態でリモコン400の「決定」ボタンが押された場合、プロジェクター100は、当該シリアルナンバーおよび当該シリアルナンバーに対応付けられたユーザー名を削除してよいかの選択を受け付ける画像を投写する。なお、この画像で表示される選択肢は、例えば、「はい」、「XXXXのみ」、「いいえ」であってもよい。例えば、「はい」が選択されると、更新部150は、識別データ122における選択されたシリアルナンバーと当該シリアルナンバーに対応付けられたユーザー名を削除する。また、例えば、「XXXXのみ」が選択されると、更新部150は、識別データ122における選択されたシリアルナンバーのみを削除し、当該シリアルナンバーに対応付けられたユーザー名は削除しない。また、例えば、「いいえ」が選択された場合、削除は行われない。
【0032】
また、管理画像602が表示された状態で「全削除」が選択されると、プロジェクター100は、すべて削除してよいかの選択を受け付ける全削除確認画像を投写し、当該全削除確認画像で「はい」が選択されると、識別データ122におけるシリアルナンバーおよびユーザー名をすべて削除する。
【0033】
また、カーソル612が、シリアルナンバーが空欄の箇所に位置した状態でリモコン400の「決定」ボタンが押された場合、プロジェクター100は、接続部110に接続されている携帯情報端末200のシリアルナンバーの登録有無を選択させる登録確認画像を投写し、当該登録確認画像で「はい」が選択されると、当該シリアルナンバーを識別データ122に追加する。なお、この場合、例えば、パスワードプロテクト画像600における「XXXXプロテクト」が「オフ」であれば、パスワードの入力による認証によってプロジェクター100の使用が許可されるため、未登録の携帯情報端末200が接続部110に接続された状態であっても、管理画像602を投写することができる。
【0034】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、プロジェクター100に接続された携帯情報端末200の識別情報を用いてプロジェクター100の使用許否を判定することにより、ユーザーによるパスワードの入力が不要になるため、ユーザーの手間を軽減しつつ適切な認証を行うことができる。
【0035】
また、本実施例によれば、プロジェクター100は、画像信号に基づく画像500や判定結果画像502を投写することにより、使用許否の判定結果をユーザーに提示することができる。これにより、ユーザーは、自分がプロジェクター100に接続した携帯情報端末200が適切なものか判断することができる。また、本実施例によれば、プロジェクター100は、使用を許可した場合のみ携帯情報端末200のコンテンツを再生することにより、セキュリティーを向上させることができる。
【0036】
さらに、本実施例によれば、プロジェクター100は、パスワードプロテクト画像600、管理画像602等を用いることにより、使用を許可する携帯情報端末200の登録、変更、削除を行うことができる上、携帯情報端末200に対応付けられたユーザー名の登録、変更、削除を行うことができる。
【0037】
(第2の実施例)
プロジェクター100は、使用可能時間データ123に使用可能時間を登録し、携帯情報端末200の接続状況に応じて携帯情報端末200ごとに使用時間を把握し、当該使用時間が使用可能時間を超えた場合に携帯情報端末200によるプロジェクター100の使用を拒否することにより、プロジェクター100のセキュリティーを向上させることができる。
【0038】
図9は、第2の実施例における認証から投写までの処理手順を示すフローチャートである。第1の実施例と同様の処理は説明を省略する。携帯情報端末200によるプロジェクター100の使用が許可された場合、更新部150は、携帯情報端末200の接続部110への接続継続時間に応じて使用時間データ125を更新する(ステップS21)。
【0039】
判定部140は、使用時間データ125と、使用可能時間データ123に基づき、接続中の携帯情報端末200の使用合計時間が使用可能時間内かどうかを判定する(ステップS22)。なお、判定部140は、接続中の携帯情報端末200の使用合計時間が使用可能時間を超えている場合に、当該携帯情報端末200に対する使用許否を拒否と判定し、使用合計時間が使用可能時間を超えていない場合に、当該携帯型端末装置200に対する使用許否を許可と判定する。
【0040】
接続中の携帯情報端末200の使用合計時間が使用可能時間を超えている場合、画像生成部160は、使用可能時間超過を示す警告画像を生成し、投写部190は、当該警告画像を投写する(ステップS23)。一方、使用合計時間が使用可能時間を超えていない場合、プロジェクター100は、上述したステップS6〜S8の処理を実行し、画像20を投写する。
【0041】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、携帯情報端末200ごとのプロジェクター100の使用合計時間を把握することができる上、すべての携帯情報端末200の使用合計時間を合計して総使用合計時間を把握することが可能になる。これにより、例えば、プロジェクター100の使用状況に応じた省電力設定等を行うことが可能になる。また、本実施例によれば、プロジェクター100は、携帯情報端末200ごとに使用合計時間に応じた使用許否を決定することができる。なお、使用可能時間データ123は、すべての携帯情報端末200で同一の設定(例えば、100時間等)であってもよいし、携帯情報端末200ごとに異なる設定(例えば、user1の携帯情報端末200は50時間、Jacksonの携帯情報端末200は300時間等)であってもよい。
【0042】
(第3の実施例)
プロジェクター100は、使用可能日時データ124として、使用可能日時(例えば、特定の年月日、使用可能な期間、使用可能な時間帯、使用可能な曜日等)を、すべての携帯情報端末200で共通に設定し、あるいは、携帯情報端末200ごとに異なるように設定し、携帯情報端末200の接続状況に応じて携帯情報端末200の使用日時を把握し、当該使用日時が使用可能日時と適合していない場合に携帯情報端末200によるプロジェクター100の使用を拒否することにより、プロジェクター100のセキュリティーを向上させることができる。
【0043】
図10は、第3の実施例における認証から投写までの処理手順を示すフローチャートである。第1の実施例と同様の処理は説明を省略する。携帯情報端末200によるプロジェクター100の使用が許可された場合、更新部150は、携帯情報端末200が接続部110に接続中の場合に使用日時データ126を更新する(ステップS31)。
【0044】
判定部140は、使用日時データ126と、使用可能日時データ124に基づき、接続中の携帯情報端末200の実際の使用日時が使用可能日時と適合している(例えば、使用年月日が使用可能年月日と一致している、使用日時が使用可能期間内である、使用時刻が使用可能時間帯内である、使用曜日が使用可能な曜日のいずれかと一致している等)かどうかを判定する(ステップS32)。なお、判定部140は、接続中の携帯情報端末200の使用日時が使用可能日時と適合していない場合に、当該携帯情報端末200に対する使用許否を拒否と判定し、使用日時が使用可能日時と適合している場合に、当該携帯型端末装置200に対する使用許否を許可と判定する。
【0045】
接続中の携帯情報端末200の使用日時が使用可能日時と適合していない場合、画像生成部160は、使用日時不適合を示す警告画像を生成し、投写部190は、当該警告画像を投写する(ステップS33)。一方、使用日時が使用可能日時と適合している場合、プロジェクター100は、上述したステップS6〜S8の処理を実行し、画像20を投写する。
【0046】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、携帯情報端末200ごとのプロジェクター100の使用日時を把握することができる上、すべての携帯情報端末200の使用日時を合計した情報を把握することが可能になる。これにより、例えば、プロジェクター100の使用状況に応じた省電力設定等を行うことが可能になる。また、本実施例によれば、プロジェクター100は、携帯情報端末200ごとに使用日時に応じた使用許否を決定することができるため、セキュリティーを向上させることができる。
【0047】
(第4の実施例)
上述した実施例では、携帯情報端末200は、プロジェクター100のコネクターに直接接続されたが、USBケーブル等を介してプロジェクター100に接続されてもよく、無線でプロジェクター100に接続されてもよい。また、携帯型端末装置は、携帯情報端末200に限定されず、例えば、ノート型PC(Personal Computer)、携帯電話、携帯型ゲーム装置等であってもよい。さらに、プロジェクター100は、携帯型端末装置以外の画像供給装置(例えば、PC、DVDプレーヤー、ゲーム装置等)や携帯型情報記憶媒体(例えば、USBメモリー、PCカード等)から画像信号や音声信号が入力されてもよく、音声供給装置(例えば、携帯音楽プレーヤー、CDプレーヤー、アンプ等)から音声信号が入力されてもよい。
【0048】
図11は、第4の実施例における投写状況を示す図である。本実施例では、プロジェクター101は、携帯型端末装置の一種である携帯電話210と無線で接続され、画像供給装置の一種であるノート型のPC300とディスプレイケーブル40を介して接続されている。
【0049】
プロジェクター101は、携帯電話210からの要求に応じて携帯電話210に対して上述した使用許否の判定を行う。プロジェクター101は、当該判定結果が許可の場合、PC300からの画像信号に基づく画像21を投写し、当該判定結果が拒否の場合、拒否を示す判定結果画像502を投写し、PC300からの画像信号の入力を行わない。
【0050】
以上のように、本実施例によっても、プロジェクター101は、第1の実施例と同様の作用効果を奏する。
【0051】
(その他の実施例)
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、変形が可能であり、上述した実施例の構成を組み合わせてもよい。例えば、第2の実施例と第3の実施例を組合せてもよい。この場合、判定部140は、使用可能時間と使用可能日時を組み合わせて判定してもよい。また、プロジェクター100、101の構成は、図2、図3に示す構成に限定されない。使用可能時間や使用可能日時が使用されない場合、使用可能時間データ123、使用可能日時データ124、使用時間データ125、使用日時データ126は不要である。また、プロジェクターが音声出力機能を有しない場合、音声データ127、音声生成部170、音声出力部180は不要である。
【0052】
また、プロジェクター100、101は、携帯情報端末200等が接続部110に接続された際に「XXXXを確認しています」といった文字列を含む画像を投写した後に判定結果画像500等を投写してもよい。また、プロジェクター100は、判定結果画像として、「認証に成功しました。」といった文字列を示す画像や「○」「×」等の記号や図を示す画像を投写してもよい。
【0053】
また、上述した実施例では、プロジェクター100、101は、使用許否の判定結果が拒否の場合、拒否を示す判定結果画像502を投写して処理を終了するが、判定結果画像502を投写した後または判定結果画像502の一部としてパスワードの入力を促す画像を投写し、入力されたパスワードを用いて使用許否を再判定してもよい。これによれば、ユーザーは、プロジェクター100に登録されていない携帯情報端末200をプロジェクター100に接続した場合であっても、パスワード認証を行うことでプロジェクター100を使用することができる。
【0054】
また、プロジェクター100、101は、管理画像602で設定されたユーザー名を含む画像を投写してもよい。これによれば、接続中の携帯情報端末200に対応したユーザーやグループの名称を画像20、21等の観察者に提示することができる。
【0055】
また、プロジェクター100、101は、待機画像(例えば、いわゆるユーザーロゴ画像、いわゆるスクリーンセーバー等)の投写中等に携帯情報端末200等から音声信号が入力され、当該音声信号に基づく音声を待機画像のBGMとして出力してもよい。
【0056】
また、識別データ122に登録されるデータは、使用を許可する携帯型端末装置の識別情報に限定されず、使用を拒否する携帯型端末装置の識別情報であってもよい。また、登録方法は、上述した手法に限定されず、例えば、定義ファイル等を用いて一括登録する手法であってもよい。また、識別データ122に携帯型端末装置ごとの権限(例えば、管理者権限、一般ユーザー権限、ゲスト権限等)を付加してもよい。例えば、判定部140は、管理者権限が割り当てられた携帯情報端末200が接続されている場合のみ管理画像602における「全削除」を許可する判定を行ってもよい。
【0057】
また、リモコン400に再生、停止、早送り、巻き戻し等の操作ボタンが設けられ、携帯情報端末200等からの信号に基づく動画像や音声を再生する場合、プロジェクター100は、リモコン400からの再生等の指示に応じて動画像や音声を再生してもよい。また、識別情報や識別データ122は、シリアルナンバーに限定されず、同種の携帯型端末装置から1つの携帯型端末装置を特定できるもの(例えば、ID等)であればよい。また、上述した実施例では、識別データ122にユーザー名も登録されているが、シリアルナンバーのみが識別データ122に登録されてもよい。
【0058】
また、プロジェクター100、101の有するコンピューターは、情報記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取って判定部140等として機能してもよい。このような情報記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、ROM、RAM、HDD等を適用できる。
【0059】
また、プロジェクター100、101は、液晶プロジェクター(透過型、LCOS等の反射型)に限定されず、例えば、デジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクター等であってもよい。また、投写部190は、ランプの代わりに有機EL素子、シリコン発光素子、レーザーダイオード、LED等の固体光源を含む自己発光素子を採用してもよい。また、プロジェクター100、101の機能を複数の装置(例えば、PCとプロジェクター等)に分散してもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 スクリーン、20、21、500 画像、40 ディスプレイケーブル、100、101 プロジェクター、110 接続部、120 記憶部、121 画像データ、122 識別データ、123 使用可能時間データ、124 使用可能日時データ、125 使用時間データ、126 使用日時データ、127 音声データ、130 画像信号入力部、140 判定部、150 更新部、160 画像生成部、170 音声生成部、180 音声出力部、190 投写部、200 携帯情報端末(携帯型端末装置)、210 携帯電話(携帯型端末装置)、300 PC(画像供給装置)、400 リモコン、502 判定結果画像、610、612 カーソル、600 パスワードプロテクト画像、602 管理画像、910 シリアルインターフェイス、920 RAM、922 フラッシュROM、930 信号変換回路、940 CPU、960 画像処理回路、970 音声処理回路、980 アンプ、982 スピーカー、990 ランプ駆動回路、991 ランプ、992 照明光学系、993 液晶駆動回路、994 液晶ライトバルブ、995 投写レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型端末装置が接続される接続部と、
許可対象または拒否対象の携帯型端末装置の識別データを記憶する記憶部と、
前記接続部に接続された前記携帯型端末装置からの当該携帯型端末装置の識別情報と、前記識別データとに基づき、プロジェクターの使用許否を判定する判定部と、
を含むプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記判定部による前記使用許否の判定結果を示す判定結果画像を生成する画像生成部と、
前記判定結果画像を投写する投写部と、
を含むプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記プロジェクターに接続された画像供給装置または携帯型情報記憶媒体、あるいは、前記携帯型端末装置から画像信号が入力される画像信号入力部を含み、
前記画像生成部は、前記判定部による前記使用許否の判定結果が許可である場合に、前記画像信号に基づく画像を生成し、
前記投写部は、前記画像を投写する、
プロジェクター。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロジェクターにおいて、
更新部を含み、
前記記憶部は、前記携帯型端末装置ごとの前記プロジェクターの使用合計時間を示す使用時間データを記憶し、
前記更新部は、前記携帯型端末装置の前記接続部への接続時間に応じて前記使用時間データを更新する、
プロジェクター。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクターにおいて、
前記記憶部は、前記携帯型端末装置ごとの前記プロジェクターの使用可能時間を示す使用可能時間データを記憶し、
前記判定部は、前記使用時間データと、前記使用可能時間データとに基づき、前記使用合計時間が前記使用可能時間を超えている場合に、前記接続部に接続中の前記携帯型端末装置に対する前記使用許否を拒否と判定し、前記使用合計時間が前記使用可能時間を超えていない場合に、前記接続部に接続中の前記携帯型端末装置に対する前記使用許否を許可と判定する、
プロジェクター。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロジェクターにおいて、
更新部を含み、
前記記憶部は、前記携帯型端末装置ごとの前記プロジェクターの使用日時を示す使用日時データを記憶し、
前記更新部は、前記携帯型端末装置の前記接続部への接続日時に応じて前記使用日時データを更新する、
プロジェクター。
【請求項7】
請求項6に記載のプロジェクターにおいて、
前記記憶部は、前記携帯型端末装置ごとの前記プロジェクターの使用可能日時を示す使用可能日時データを記憶し、
前記判定部は、前記使用日時データと、前記使用可能日時データとに基づき、前記使用日時が前記使用可能日時と適合していない場合に、前記接続部に接続中の前記携帯型端末装置に対する前記使用許否を拒否と判定し、前記使用日時が前記使用可能日時と適合している場合に、前記接続部に接続中の前記携帯型端末装置に対する前記使用許否を許可と判定する、
プロジェクター。
【請求項8】
携帯型端末装置が接続される接続部と、許可対象または拒否対象の携帯型端末装置の識別データを記憶する記憶部とを含むプロジェクターによる認証方法であって、
前記プロジェクターは、
前記接続部に接続された前記携帯型端末装置から当該携帯型端末装置の識別情報が入力され、
前記識別情報と、前記識別データとに基づき、前記プロジェクターの使用許否を判定する、
認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−163796(P2012−163796A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24615(P2011−24615)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】