説明

プロジェクター

【課題】フリッカーの発生を抑制するとともに、輝度応答性を高めたプロジェクターを提供すること。
【解決手段】所与の切替タイミングで、第1映像と第2映像とを切り替えて交互に出力するプロジェクター500であって、放電灯90と、放電灯90を駆動する電力を放電灯90に供給する放電灯駆動部230と、放電灯駆動部230を制御する制御部40と、を含み、時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間は、第1期間で始まり、第2期間で終わり、制御部40は、第1電力W1と第2電力W2との相関を表すパターンである相関パターンに基づいて、第1期間では、第1電力W1を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御し、第2期間では、第2電力W2を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御し、相関パターンは、第2電力W2が小さくなるほど、第2電力W2に対する第1電力W1の比が大きくなるパターンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの放電灯を用いたプロジェクターが実用化されている。このようなプロジェクターにおいては、例えば、特許文献1に開示されているような調光技術が使われている。調光技術の1つとして、放電灯に供給される電力を制御することによって調光を行う技術(以下では、「ランプ調光」と記載する。)がある。
【0003】
また近年、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの放電灯を用い、立体映像を出力するプロジェクターが実用化されている。
【0004】
立体映像を出力する方式の1つに、右目用映像と左目用映像とを切り替えて交互に出力する方式(例えば、「XPAND beyond cinema(X6D Limited社の商標)」方式などのアクティブシャッターメガネ方式)がある。この方式では、映像信号に同期したアクティブシャッターメガネなどを用いて、右目用映像を右目に、左目用映像を左目に見せることによって、左右の目の視差を用いて映像を立体的に見せている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−41535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ランプ調光によって放電灯に供給される電力が小さい状態が長時間続くと、放電灯の温度が低くなるため、放電灯の発光管内の金属(水銀など)の凝縮が進行してしまう可能性がある。金属(水銀など)の凝縮が進行してしまうと、再び輝度を上げるためには、金属(水銀など)を再び蒸発させる時間が必要になる。その結果、輝度が上がるのに時間がかかる(プロジェクターの輝度応答性が悪くなる)という問題があった。
【0007】
また、放電灯の温度が低くなると、放電灯の電極を十分に溶融できず、電極が変形する可能性がある。電極が変形すると、アーク起点が本来の位置からずれる可能性があるため、フリッカーが発生しやすくなる。フリッカーが発生すると、プロジェクターの使用中に投射される映像の明るさが変動することになる。
【0008】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、フリッカーの発生を抑制するとともに、輝度応答性を高めたプロジェクターを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプロジェクターは、所与の切替タイミングで、第1映像と第2映像とを切り替えて交互に出力するプロジェクターであって、放電灯と、前記放電灯を駆動する電力を前記放電灯に供給する放電灯駆動部と、前記放電灯駆動部を制御する制御部と、を含み、時間的に隣り合う前記切替タイミングに挟まれる期間は、第1期間で始まり、第2期間で終わり、前記制御部は、第1電力と第2電力との相関を表すパターンである相関パターンに基づいて、前記第1期間では、前記第1電力を前記放電灯に供給させるように前記放電灯駆動部を制御し、前記第2期間では、前記第2電力を前記放電灯に供給させるように前記放電灯駆動部を制御し、前記相関パターンは、前記第2電力が小さくなるほど、前記第2電力に対する前記第1電力の比が大きくなるパターンである。
【0010】
第1映像と第2映像とを切り替えて交互に出力するプロジェクターでは、第1映像から第2映像へと切り替えた直後の映像をアクティブシャッターメガネなどで遮ってユーザーに見せない使用形態が存在する。本発明によれば、第1電力と第2電力との相関を表すパターンである相関パターンが、第2電力が小さくなるほど、第2電力に対する第1電力の比が大きくなるパターンであるので、ユーザーに映像を見せない第1期間を利用して、放電灯の温度が低くなることを抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制するとともに、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。
【0011】
また、相関パターンを、第2電力が小さくなるほど、第2電力に対する第1電力の比が大きくなるパターンとすることによって、第2電力がとり得る範囲を広げることができる。したがって、最大輝度と最小輝度との差を大きくできるプロジェクターを実現できる。
【0012】
上述のプロジェクターにおいて、前記相関パターンは、前記第2電力が第1基準値以下である場合に、前記第2電力に関わらず、前記第1電力が一定値となるパターンであってもよい。
【0013】
これによって、第1電力が一定値よりも下がらないので、放電灯の温度が低くなることをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制するとともに、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。
【0014】
上述のプロジェクターにおいて、前記相関パターンは、前記第2電力が第2基準値以下である場合に、前記第2電力が小さくなるほど、前記第1電力が大きくなるパターンであってもよい。
【0015】
第2電力が小さくなるほど、第1電力が大きくなるので、放電灯の温度が低くなることをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制するとともに、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。
【0016】
上述のプロジェクターにおいて、前記放電灯の劣化状態を検出する状態検出部をさらに含み、前記制御部は、前記劣化状態の進行に伴って、前記第2電力が第3基準値以下である場合の前記相関パターンを、前記第2電力に対する前記第1電力の傾きが小さくなるように変更してもよい。
【0017】
状態検出部は、劣化状態の程度を表す値として、例えば、放電灯の駆動電圧、放電灯の駆動電圧の時間変化、放電灯の光量、放電灯の光量の時間変化、放電灯の累積点灯時間等を検出してもよい。
【0018】
放電灯の劣化状態が進行すると、フリッカーが発生しやすくなる。放電灯の劣化状態の進行に伴って、相関パターンを、第2電力に対する第1電力の傾きが小さくなるように変更することで、放電灯の劣化状態が進行した場合に放電灯の温度が低くなることをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制できる。また、放電灯の劣化状態が進行していない場合には、第1電力を小さくできるので、消費電力を抑制したプロジェクターを実現できる。
【0019】
上述のプロジェクターにおいて、前記放電灯の劣化状態を検出する状態検出部をさらに含み、前記制御部は、前記劣化状態の進行に伴って、前記第1基準値又は前記第2基準値を大きくしてもよい。
【0020】
放電灯の劣化状態が進行すると、フリッカーが発生しやすくなる。放電灯の劣化状態の進行に伴って、第1基準値又は第2基準値を大きくすることで、放電灯の劣化状態が進行した場合に放電灯の温度が低くなることをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制できる。また、放電灯の劣化状態が進行していない場合には、第1電力を小さくできるので、消費電力を抑制したプロジェクターを実現できる。
【0021】
上述のプロジェクターにおいて、前記制御部は、前記第2電力が第4基準値以下で継続する時間が長くなるほど、前記第2電力が第3基準値よりも小さい場合の前記相関パターンを、前記第2電力に対する前記第1電力の傾きが小さくなるように変更してもよい。
【0022】
放電灯の温度が低い状態が長く続くほど、放電灯の輝度応答性が悪くなる。第2電力が第4基準値以下で継続する時間が長くなるほど、相関パターンを、第2電力に対する第1電力の傾きが小さくなるように変更することで、放電灯の温度が低い状態が長く続くことを抑制できる。したがって、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。また、第2電力が第4基準値以下で継続する時間が短い場合には第1電力を小さくできるので、消費電力を抑制したプロジェクターを実現できる。
【0023】
上述のプロジェクターにおいて、前記相関パターンは、前記第2電力が第5基準値以下である場合には、前記第2電力が前記第1電力よりも小さくなるパターンであってもよい。
【0024】
これによって、放電灯の点灯期間を通じた平均電力よりも第2電力を小さくできるので、より暗い映像を投射することができる。したがって、最大輝度と最小輝度との差を大きくできるプロジェクターを実現できる。
【0025】
本発明に係るプロジェクターは、第1映像を出力する第1期間と、第2映像を出力する第2期間と、を繰り返すプロジェクターであって、放電灯と、前記放電灯を駆動する電力を前記放電灯に供給する放電灯駆動部と、前記放電灯駆動部を制御する制御部と、を含み、前記第1映像は、黒に対応する映像であり、前記制御部は、第1電力と第2電力との相関を表すパターンである相関パターンに基づいて、前記第1期間では、前記第1電力を前記放電灯に供給させるように前記放電灯駆動部を制御し、前記第2期間では、前記第2電力を前記放電灯に供給させるように前記放電灯駆動部を制御し、前記相関パターンは、前記第2電力が小さくなるほど、前記第2電力に対する前記第1電力の比が大きくなるパターンである。
【0026】
本発明によれば、第1電力と第2電力との相関を表すパターンである相関パターンが、第2電力が小さくなるほど、第2電力に対する前記第1電力の比が大きくなるパターンであるので、黒に対応する映像となる第1期間を利用して、放電灯の温度が低くなることを抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制するとともに、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係るプロジェクター500を示す斜視図。
【図2】本実施形態に係るプロジェクター500の光学系を説明するための図。
【図3】光源装置200の構成を示す説明図。
【図4】本実施形態に係るプロジェクター500の回路構成を示す回路図。
【図5】放電灯点灯装置1の回路構成を示す回路図。
【図6】図6(A)ないし図6(D)は、放電灯90に供給する電流Iの極性と電極の温度との関係を示す説明図。
【図7】第1期間、第2期間及び切替タイミングについて説明するための図。
【図8】図8(A)及び図8(B)は、放電灯90に供給される電流Iの波形例を示すタイミングチャート。
【図9】本実施形態に係るプロジェクター500の制御例を示すフローチャート。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、相関パターンに基づく制御の第1具体例における相関パターンを示すグラフ。
【図11】図11(A)及び図11(B)は、相関パターンに基づく制御の第2具体例における相関パターンを示すグラフ。
【図12】本実施形態に係るプロジェクター500の他の制御例を示すフローチャート。
【図13】図13(A)は、放電灯90の駆動電圧Vlaと相関パターンとの関係を示す表、図13(B)は、図13(A)に対応する相関パターンを示すグラフ。
【図14】図14(A)は、放電灯90の駆動電圧Vlaと相関パターンとの関係を示す表、図14(B)は、図14(A)に対応する相関パターンを示すグラフ。
【図15】図15(A)は、放電灯90の駆動電圧Vlaと相関パターンとの関係を示す表、図15(B)は、図15(A)に対応する相関パターンを示すグラフ。
【図16】本実施形態に係るプロジェクター500の他の制御例を示すフローチャート。
【図17】図17(A)〜図17(C)は、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間と相関パターンとの対応を示す表。
【図18】図18(A)は、その他の制御例における相関パターンを示すグラフ、図18(B)は、図18(A)に示される相関パターンにおける平均電力と第2電力W2の関係を示すグラフ。
【図19】第1期間、第2期間及び切替タイミングについて説明するための図。
【図20】図20(A)及び図20(B)は、第1期間及び第2期間について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0029】
1.本実施形態に係るプロジェクター
図1は、本実施形態に係るプロジェクター500を示す斜視図である。図1に示される例では、プロジェクター500は、スクリーン700に映像710を投射している。
【0030】
1−1.本実施形態に係るプロジェクターの光学系
図2は、本実施形態に係るプロジェクター500の光学系を説明するための図である。プロジェクター500は、光源装置200と、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ330R,330G,330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とを有している。
【0031】
光源装置200は、放電灯点灯装置1と、光源ユニット210と、を有している。光源ユニット210は、主反射鏡112と副反射鏡50(詳細は後述される)と放電灯90とを有している。放電灯点灯装置1は、放電灯90に電力を供給して、放電灯90を点灯させる。主反射鏡112は、放電灯90から放出された光を、照射方向Dに向けて反射する。照射方向Dは、光軸AXと平行である。光源ユニット210からの光は、平行化レンズ305を通過して照明光学系310に入射する。この平行化レンズ305は、光源ユニット210からの光を、平行化する。
【0032】
照明光学系310は、光源装置200からの光の照度を液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにおいて均一化する。また、照明光学系310は、光源装置200からの光の偏光方向を一方向に揃える。この理由は、光源装置200からの光を液晶ライトバルブ330R,330G,330Bで有効に利用するためである。照度分布と偏光方向とが調整された光は、色分離光学系320に入射する。色分離光学系320は、入射光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離する。3つの色光は、各色に対応付けられた液晶ライトバルブ330R,330G,330Bによって、それぞれ変調される。液晶ライトバルブ330R,330G,330Bは、液晶パネル560R,560G,560Bと、液晶パネル560R,560G,560Bのそれぞれの光入射側及び出射側に配置される偏光板を備える。変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム340によって合成される。合成光は、投写光学系350に入射する。投写光学系350は、入射光を、スクリーン700に投写する。これによって、スクリーン700上には映像710が表示される。
【0033】
なお、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とのそれぞれの構成としては、周知の種々の構成を採用可能である。
【0034】
図3は、光源装置200の構成を示す説明図である。光源装置200は、光源ユニット210と放電灯点灯装置1とを有している。図中には、光源ユニット210の断面図が示されている。光源ユニット210は、主反射鏡112と副反射鏡50と放電灯90とを有している。
【0035】
放電灯90の形状は、第1端部90e1から第2端部90e2まで、照射方向Dに沿って延びる棒形状である。放電灯90の材料は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。放電灯90の中央部は球状に膨らんでおり、その内には、放電空間93が形成されている。放電空間93内には、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。
【0036】
また、放電空間93内には、第1電極91及び第2電極92が、放電灯90から突き出している。第1電極91は、放電空間93の第1端部90e1側に配置され、第2電極92は、放電空間93の第2端部90e2側に配置されている。第1電極91及び第2電極92の形状は、光軸AXに沿って延びる棒形状である。放電空間93内では、第1電極91の電極先端部(「放電端」とも呼ぶ)と第2電極92の電極先端部とが、所定距離だけ離れて互いに向かい合っている。なお、第1電極91及び第2電極92の材料は、例えば、タングステン等の金属である。
【0037】
放電灯90の第1端部90e1には、第1端子951が設けられている。第1端子951と第1電極91とは、放電灯90の内部を通る導電性部材941によって電気的に接続されている。同様に、放電灯90の第2端部90e2には、第2端子952が設けられている。第2端子952と第2電極92とは、放電灯90の内部を通る導電性部材942によって電気的に接続されている。第1端子951及び第2端子952の材料は、例えば、タングステン等の金属である。また、導電性部材941,942としては、例えば、モリブデン箔が利用される。
【0038】
第1端子951及び第2端子952は、放電灯点灯装置1に接続されている。放電灯点灯装置1は、第1端子951及び第2端子952に、交流電流を供給する。その結果、第1電極91と第2電極92との間でアーク放電が起きる。アーク放電によって発生した光(放電光)は、破線の矢印で示すように、放電位置から全方向に向かって放射される。
【0039】
放電灯90の第1端部90e1には、固定部材961によって、主反射鏡112が固定されている。主反射鏡112の反射面(放電灯90側の面)の形状は、回転楕円形状である。主反射鏡112は、放電光を照射方向Dに向かって反射する。なお、主反射鏡112の反射面の形状としては、回転楕円形状に限らず、放電光を照射方向Dに向かって反射するような種々の形状を採用可能である。例えば、回転放物線形状を採用してもよい。この場合は、主反射鏡112は、放電光を、光軸AXにほぼ平行な光に変換することができる。したがって、平行化レンズ305を省略することができる。
【0040】
放電灯90の第2端部90e2側には、固定部材962によって、副反射鏡50が固定されている。副反射鏡50の反射面(放電灯90側の面)の形状は、放電空間93の第2端部90e2側を囲む球面形状である。副反射鏡50は、放電光を、主反射鏡112に向かって反射する。これによって、放電空間93から放射される光の利用効率を高めることができる。
【0041】
なお、固定部材961,962の材料としては、放電灯90の発熱に耐える任意の耐熱材料(例えば、無機接着剤)を採用可能である。また、主反射鏡112及び副反射鏡50と放電灯90との配置を固定する方法としては、主反射鏡112及び副反射鏡50を放電灯90に固定する方法に限らず、任意の方法を採用可能である。例えば、放電灯90と主反射鏡112とを、独立に、プロジェクター500の筐体(図示せず)に固定してもよい。副反射鏡50についても同様である。
【0042】
1−2.本実施形態に係るプロジェクターの回路構成
図4は、本実施形態に係るプロジェクター500の回路構成を示す回路図である。プロジェクター500は、先に説明した光学系の他に、映像信号変換部510、直流電源80、映像処理装置570、CPU(Central Processing Unit)580を含んでいてもよい。また、プロジェクター500とアクティブシャッターメガネ410とを含むプロジェクターシステム400として構成することも可能である。
【0043】
映像信号変換部510は、外部から入力された映像信号502(輝度−色差信号やアナログRGB信号など)を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換して映像信号512R,512G,512Bを生成し、映像処理装置570に供給する。また、映像信号変換部510は、映像信号502に基づいて、同期信号514をCPU580に出力してもよい。同期信号514には、第1映像と第2映像との切替タイミングに関する情報や、映像信号502に対応する輝度に関する情報を含んでいてもよい。
【0044】
映像処理装置570は、3つの映像信号512R,512G,512Bに対してそれぞれ映像処理を行い、液晶パネル560R,560G,560Bをそれぞれ駆動するための駆動信号572R,572G,572Bを液晶パネル560R,560G,560Bに供給する。液晶パネル560R,560G,560Bに入力される駆動信号572R,572G,572Bに基づいて、図2を用いて説明した光学系によって、スクリーン700に映像710が投射される。
【0045】
直流電源80は、外部の交流電源600から供給される交流電圧を一定の直流電圧に変換し、トランス(図示しないが、直流電源80に含まれる)の2次側にある映像信号変換部510、映像処理装置570及びトランスの1次側にある放電灯点灯装置1に直流電圧を供給する。
【0046】
放電灯点灯装置1は、起動時に放電灯90の電極間に高電圧を発生して絶縁破壊させて放電路を形成し、以後、放電灯90が放電を維持するための電流I(放電灯90の駆動電流)を供給する。
【0047】
液晶パネル560R,560G,560Bは、それぞれ駆動信号572R,572G,572Bに基づいて、先に説明した光学系を介して各液晶パネルに入射される色光の輝度を変調する。
【0048】
CPU580は、プロジェクター500の点灯開始から消灯に至るまでの動作を制御する。例えば、点灯命令、消灯命令、放電灯90を駆動するための電力に関する情報を、通信信号582を介して放電灯点灯装置1に出力してもよい。また、CPU580は、放電灯点灯装置1から放電灯90の点灯状態を表す点灯情報を、通信信号584を介して受け取ってもよい。
【0049】
また、CPU580は、ユーザーによる操作に基づく操作信号504を受け付けてもよい。操作信号504は、プロジェクター500によってスクリーン700に投射される映像710の明るさに関する情報を含んでいてもよい。
【0050】
さらに、CPU580は、映像信号変換部510から出力される同期信号514に基づいて、映像信号502に同期してアクティブシャッターメガネ410を制御するための制御信号586を、有線又は無線の通信手段を介してアクティブシャッターメガネ410に出力してもよい。
【0051】
アクティブシャッターメガネ410は、右シャッター412と左シャッター414を含んでいてもよい。右シャッター412及び左シャッター414は、制御信号586に基づいて開閉制御される。ユーザーがアクティブシャッターメガネ410を装着した場合に、右シャッター412が閉じられることによって、右目側の視野を遮ることができる。また、ユーザーがアクティブシャッターメガネ410を装着した場合に、左シャッター414が閉じられることによって、左目側の視野を遮ることができる。右シャッター412及び左シャッター414は、例えば、液晶シャッターで構成されていてもよい。
【0052】
1−3.放電灯点灯装置の構成
図5は、放電灯点灯装置1の回路構成を示す回路図である。
【0053】
放電灯点灯装置1は、電力制御回路20を含む。電力制御回路20は、放電灯90に供給する電力を生成する。本実施形態においては、電力制御回路20は、直流電源80を入力とし、当該入力電圧を降圧して直流電流Idを出力するダウンチョッパー回路で構成されている。
【0054】
電力制御回路20は、スイッチ素子21、ダイオード22、コイル23及びコンデンサー24を含んで構成されることができる。スイッチ素子21は、例えばトランジスターで構成することができる。本実施形態においては、スイッチ素子21の一端は直流電源80の正電圧側に接続され、他端はダイオード22のカソード端子及びコイル23の一端に接続されている。また、コイル23の他端にはコンデンサー24の一端が接続され、コンデンサー24の他端はダイオード22のアノード端子及び直流電源80の負電圧側に接続されている。スイッチ素子21の制御端子には制御部40(後述)から電力制御信号が入力されてスイッチ素子21のON/OFFが制御される。電力制御信号には、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御信号が用いられてもよい。
【0055】
ここで、スイッチ素子21がONすると、コイル23に電流が流れ、コイル23にエネルギーが蓄えられる。その後、スイッチ素子21がOFFすると、コイル23に蓄えられたエネルギーがコンデンサー24とダイオード22とを通る経路で放出される。その結果、スイッチ素子21がONする時間の割合に応じた直流電流Idが発生する。
【0056】
放電灯点灯装置1は、極性反転回路30を含む。極性反転回路30は、電力制御回路20から出力される直流電流Idを入力し、所与のタイミングで極性反転することによって、制御された時間だけ継続する直流であったり、任意の周波数をもつ交流であったりする電流Iを生成出力する。本実施形態においては、極性反転回路30はインバーターブリッジ回路(フルブリッジ回路)で構成されている。
【0057】
極性反転回路30は、例えば、トランジスターなどで構成される第1スイッチ素子31、第2スイッチ素子32、第3スイッチ素子33及び第4スイッチ素子34を含み、直列接続された第1スイッチ素子31及び第2スイッチ素子32と、直列接続された第3スイッチ素子33及び第4スイッチ素子34を、互いに並列接続して構成される。第1スイッチ素子31、第2スイッチ素子32、第3スイッチ素子33及び第4スイッチ素子34の制御端子には、それぞれ制御部40から極性反転制御信号が入力され、極性反転制御信号に基づいて第1スイッチ素子31、第2スイッチ素子32、第3スイッチ素子33及び第4スイッチ素子34のON/OFFが制御される。
【0058】
極性反転回路30は、第1スイッチ素子31及び第4スイッチ素子34と、第2スイッチ素子32及び第3スイッチ素子33とを交互にON/OFFを繰り返すことによって、電力制御回路20から出力される直流電流Idの極性を交互に反転し、第1スイッチ素子31と第2スイッチ素子32との共通接続点及び第3スイッチ素子33と第4スイッチ素子34との共通接続点から、制御された時間だけ継続する直流であったり、制御された周波数をもつ交流であったりする電流Iを生成し出力する。
【0059】
すなわち、第1スイッチ素子31及び第4スイッチ素子34がONの時には第2スイッチ素子32及び第3スイッチ素子33をOFFにし、第1スイッチ素子31及び第4スイッチ素子34がOFFの時には第2スイッチ素子32及び第3スイッチ素子33をONにするように制御する。したがって、第1スイッチ素子31及び第4スイッチ素子34がONの時には、コンデンサー24の一端から第1スイッチ素子31、放電灯90、第4スイッチ素子34の順に流れる電流Iが発生する。また、第2スイッチ素子32及び第3スイッチ素子33がONの時には、コンデンサー24の一端から第3スイッチ素子33、放電灯90、第2スイッチ素子32の順に流れる電流Iが発生する。
【0060】
本実施形態において、電力制御回路20と極性反転回路30とを合わせて放電灯駆動部230に対応する。すなわち、放電灯駆動部230は、放電灯90を駆動する電流Iを放電灯90に供給することによって、放電灯90に電力を供給する。
【0061】
放電灯点灯装置1は、制御部40を含む。制御部40は、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御することによって、放電灯90へ供給される電力、電流Iが同一極性で継続する保持時間、電流Iの電流値、周波数等を制御する。制御部40は、制御部40は、電力制御回路20に対して、出力される直流電流Idの電流値を制御することによって、放電灯90へ供給される電流Iを制御する電流制御を行う。また、極性反転回路30に対して電流Iの極性反転タイミングによって、電流Iが同一極性で継続する保持時間、電流Iの周波数等を制御する極性反転制御を行う。
【0062】
制御部40の構成は、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、制御部40は、システムコントローラー41、電力制御部42及び極性反転制御部43含んで構成されている。なお、制御部40は、その一部又は全てを半導体集積回路で構成されていてもよい。
【0063】
システムコントローラー41は、電力制御部42及び極性反転制御部43を制御することによって、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御する。システムコントローラー41は、電圧検出部61(後述)によって検出された放電灯90の駆動電圧Vla及び電流検出部62(後述)によって検出された放電灯90に供給される電流Iに基づいて、電力制御部42及び極性反転制御部43を制御してもよい。
【0064】
本実施形態においては、システムコントローラー41は記憶部44を含んで構成されている。なお、記憶部44は、システムコントローラー41とは独立に設けてもよい。
【0065】
システムコントローラー41は、記憶部44に格納された情報に基づき、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御してもよい。記憶部44には、例えば電流Iが同一極性で継続する保持時間、電流Iの電流値、周波数、波形、変調パターン、第1電力と第2電力との相関パターン(詳細は後述される。)等の駆動条件に関する情報が格納されていてもよい。
【0066】
電力制御部42は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、電力制御回路20へ電力制御信号を出力することによって、電力制御回路20を制御する。
【0067】
極性反転制御部43は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、極性反転回路30へ極性反転制御信号を出力することによって、極性反転回路30を制御する。
【0068】
なお、制御部40は、専用回路によって実現して上述した制御や後述される各種制御を行うようにすることもできるが、例えばCPUが記憶部44等に記憶された制御プログラムを実行することによってコンピューターとして機能し、これらの制御を行うようにすることもできる。
【0069】
また、図5に示される例では、制御部40は、放電灯点灯装置1の一部として構成されているが、制御部40の機能の一部又は全部をCPU580が担うように構成されていてもよい。
【0070】
放電灯点灯装置1は、電圧検出部61を含んでいてもよい。電圧検出部61は、放電灯90の駆動電圧Vlaを検出し、駆動電圧情報を制御部40に出力する。電圧検出部61は、本発明における状態検出部に対応する。すなわち、状態検出部(電圧検出部61)は、放電灯90の劣化状態の程度を表す値として、駆動電圧Vlaを検出する。
【0071】
放電灯90の第1電極91及び第2電極92の劣化状態が進行すると、第1電極91と第2電極92との距離(電極間距離)が大きくなる。電極間距離が大きくなると駆動電圧Vlaは上昇する。すなわち、放電灯90の劣化状態の進行に伴って駆動電圧Vlaは上昇する。
【0072】
状態検出部は、劣化状態の程度を表す値として、放電灯90の駆動電圧Vlaに代えて又は放電灯90の駆動電圧Vlaに加えて、例えば、放電灯90の駆動電圧Vlaの時間変化、放電灯90の光量、放電灯90の光量の時間変化、放電灯90の累積点灯時間等を検出してもよい。
【0073】
放電灯点灯装置1は、電流検出部62を含んで構成されていてもよい。電流検出部62は、放電灯90に供給される電流Iを検出し、駆動電流情報を制御部40に出力する。本実施形態において、電流検出部62は、放電灯90に直列に接続された抵抗63に発生する電圧を検出することによって、放電灯90に供給される電流Iを検出する。
【0074】
なお、電圧検出部61及び電流検出部62は、それぞれ専用回路によって実現して上述した検出を行うようにすることもできるが、例えばCPUが図示しない記憶部等に記憶された制御プログラムを実行することによってコンピューターとして機能し、上述した検出を行うようにすることもできる。
【0075】
また、制御部40と電圧検出部61及び電流検出部62とは、独立に構成されていてもよいし、1つのCPUによって一体として構成されていてもよい。
【0076】
放電灯点灯装置1は、イグナイター回路70を含んでもよい。イグナイター回路70は、放電灯90の点灯開始時にのみ動作し、放電灯90の点灯開始時に放電灯90の電極間(第1電極91と第2電極92との間)を絶縁破壊して放電路を形成するために必要な高電圧(放電灯90の通常点灯時よりも高い電圧)を放電灯90の電極間(第1電極91と第2電極92との間)に供給する。本実施形態においては、イグナイター回路70は、放電灯90と並列に接続されている。
【0077】
1−4.駆動電流の極性と電極の温度との関係
図6(A)ないし図6(D)は、放電灯90に供給する電流Iの極性と電極の温度との関係を示す説明図である。図6(A)及び図6(B)は、第1電極91及び第2電極92の動作状態を示している。図中には、第1電極91及び第2電極92の先端部分が示されている。第1電極91及び第2電極92の先端にはそれぞれ突起911,921が設けられている。第1電極91と第2電極92の間で生じる放電は、主として突起911と突起921との間で生じる。図6(A)及び図6(B)に示される例では、突起が無い場合と比べて、第1電極91及び第2電極92における放電位置(アーク位置)の移動を抑えることができる。ただし、このような突起を省略してもよい。
【0078】
図6(A)は、第1電極91が陽極として動作し、第2電極92が陰極として動作する第1極性状態P1を示している。第1極性状態P1では、放電によって、第2電極92(陰極)から第1電極91(陽極)へ電子が移動する。陰極(第2電極92)からは、電子が放出される。陰極(第2電極92)から放出された電子は、陽極(第1電極91)の先端に衝突する。この衝突によって熱が生じ、そして、陽極(第1電極91)の先端(突起911)の温度が上昇する。
【0079】
図6(B)は、第1電極91が陰極として動作し、第2電極92が陽極として動作する第2極性状態P2を示している。第2極性状態P2では、第1極性状態P1とは逆に、第1電極91から第2電極92へ電子が移動する。その結果、第2電極92の先端(突起921)の温度が上昇する。
【0080】
このように、陽極の温度は、陰極と比べて高くなりやすい。ここで、一方の電極の温度が他方の電極と比べて高い状態(他方の電極の温度が一方の電極と比べて低い状態)が続くことは、種々の不具合を引き起こし得る。例えば、高温電極の先端が過剰に溶けた場合には、意図しない電極変形が生じ得る。その結果、アーク長が適正値からずれる場合がある。また例えば、低温電極の先端の溶融が不十分な場合には、先端に生じた微少な凹凸が溶けずに残り得る。その結果、いわゆるアークジャンプが生じる(アーク位置が安定せずに移動する)場合がある。
【0081】
このような不具合を抑制する技術として、電流Iとして、各電極の極性を繰り返し交替させる交流電流を放電灯90に供給する交流駆動を利用可能である。図6(C)は、放電灯90に供給される電流Iの一例を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は電流Iの電流値を示している。電流Iは、放電灯90を流れる電流を示す。正値は、第1極性状態P1を示し、負値は、第2極性状態P2を示す。図6(C)に示される例では、電流Iとして矩形波交流電流が利用されている。そして、図6(C)に示される例では、第1極性状態P1と第2極性状態P2とが交互に繰り返されている。ここで、第1極性区間Tpは、第1極性状態P1が続く時間を示し、第2極性区間Tnは、第2極性状態P2が続く時間を示す。また、図6(C)に示される例では、第1極性区間Tpの平均電流値はIm1であり、第2極性区間Tnの平均電流値は−Im2である。なお、放電灯90の駆動に適した電流Iの周波数は、放電灯90の特性に合わせて、実験的に決定可能である(例えば、30Hz〜1kHzの範囲の値が採用される)。他の値Im1、−Im2、Tp、Tnも、同様に実験的に決定可能である。
【0082】
図6(D)は、第1電極91の温度変化を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は温度Hを示している。第1極性状態P1では、第1電極91の温度Hが上昇し、第2極性状態P2では、第1電極91の温度Hが降下する。また、第1極性状態P1と第2極性状態P2状態が繰り返されるので、温度Hは、最小値Hminと最大値Hmaxとの間で周期的に変化する。なお、図示は省略するが、第2電極92の温度は、第1電極91の温度Hとは逆位相で変化する。すなわち、第1極性状態P1では、第2電極92の温度が降下し、第2極性状態P2では、第2電極92の温度が上昇する。
【0083】
第1極性状態P1では、第1電極91(突起911)の先端が溶融するので、第1電極91(突起911)の先端が滑らかになる。これによって、第1電極91での放電位置の移動を抑制できる。また、第2電極92(突起921)の先端の温度が降下するので、第2電極92(突起921)の過剰な溶融が抑制される。これによって、意図しない電極変形を抑制できる。第2極性状態P2では、第1電極91と第2電極92の立場が逆である。したがって、第1極性状態P1と第2極性状態P2を繰り返すことによって、第1電極91及び第2電極92のそれぞれにおける不具合を抑制できる。
【0084】
ここで、電流Iの波形が対称である場合、すなわち、電流Iの波形が「|Im1|=|−Im2|、Tp=Tn」という条件を満たす場合には、第1電極91と第2電極92との間で、供給される電力の条件が同じである。したがって、第1電極91及び第2電極92の熱的条件(温度の上がりやすさや下がりやすさ)が同一であれば、第1電極91と第2電極92との間の温度差が小さくなるものと推定される。
【0085】
また、電極が広い範囲にわたり加熱されすぎる(アークスポット(アーク放電に伴う電極表面上のホットスポット)が大きくなる)と過剰な溶融によって電極の形状が崩れる。逆に、電極が冷えすぎると電極の先端が十分に溶融できず、先端を滑らかに戻せない、すなわち電極の先端が変形しやすくなる。
【0086】
また、放電灯90に供給される電力が小さい状態が長時間続くと、放電灯90の温度が低くなるため、放電灯90の発光管内の金属(水銀など)の凝縮が進行してしまう可能性がある。金属(水銀など)の凝縮が進行してしまうと、再び輝度を上げるためには、金属(水銀など)を再び蒸発させる時間が必要になる。したがって、放電灯90に供給される電力が小さい状態が長時間続くと、輝度が上がるのに時間がかかる(プロジェクターの輝度応答性が悪くなる)。
【0087】
1−5.本実施形態における電力の制御例
次に、本実施形態に係るプロジェクター500における電力の制御の具体例について説明する。
【0088】
1−5−1.第1期間、第2期間及び切替タイミング
図7は、第1期間、第2期間及び切替タイミングについて説明するための図である。図7には、上から順に駆動信号572R,572G,572Bの内容、右シャッター412の開閉状態、左シャッター414の開閉状態、第1期間と第2期間、切替タイミングの時間的関係が示されている。図7の横軸は時間である。以下では、第1映像及び第2映像をそれぞれ左目用映像及び右目用映像として表示映像を観察者に立体視させる例について説明する。
【0089】
図7に示される例では、駆動信号572R,572G,572Bは、時刻t1から時刻t3までの間は第1映像としての右目用映像、時刻t3から時刻t5までの間は第2映像としての左目用映像、時刻t5から時刻t7までの間は第1映像としての右目用映像、時刻t7から時刻t9までの間は第2映像としての左目用映像に対応する駆動信号となっている。したがって、図7に示される例では、プロジェクター500は、時刻t1、時刻t3、時刻t5、時刻t7、時刻t9を切替タイミングとして、第1映像としての右目用映像と第2映像としての左目用映像とを切り替えて交互に出力する。
【0090】
時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間は、第1期間で始まり、第2期間で終わる。図7に示される例では、例えば、切替タイミングとなる時刻t1と時刻t3とに挟まれる期間は、時刻t1から時刻t2までの間の第1期間で始まり、時刻t2から時刻t3までの間の第2期間で終わる。切替タイミングとなる時刻t3と時刻t5とに挟まれる期間、切替タイミングとなる時刻t5と時刻t7とに挟まれる期間、切替タイミングとなる時刻t7と時刻t9とに挟まれる期間についても同様である。なお、図7に示される例では、第1期間の長さと第2期間の長さが同じ場合を例示している。なお、第1期間の長さと第2期間の長さは、必要に応じてそれぞれ適宜設定できる。また、第1期間と第2期間の他に、第3期間が存在していてもよい。第3期間においては、後述される第1期間及び第2期間における電力の制御とは異なる制御を行ってもよい。
【0091】
右シャッター412は、第1映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間の少なくとも一部の期間で開いた状態となる。図7に示される例では、右シャッター412は、時刻t1から時刻t2までの間では閉じた状態であり、時刻t2から時刻t3までの間は開いた状態である。また、図7に示される例では、第2映像としての左目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間において、右シャッター412は、時刻t3から閉じ始め、時刻t3と時刻t4との間で閉じ終わり、時刻t4から時刻t5までの間は閉じた状態である。時刻t5から時刻t9までの間における右シャッター412の開閉状態の変化は、時刻t1から時刻t5までの間の開閉状態の変化と同様である。
【0092】
左シャッター414は、第2映像としての左目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間の少なくとも一部の期間で開いた状態となる。図7に示される例では、左シャッター414は、時刻t3から時刻t4までの間では閉じた状態であり、時刻t4から時刻t5までの間は開いた状態である。また、図7に示される例では、第1映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間において、左シャッター414は、時刻t1から閉じ始め、時刻t1と時刻t2との間で閉じ終わり、時刻t2から時刻t3までの間は閉じた状態である。時刻t5から時刻t9までの間における左シャッター414の開閉状態の変化は、時刻t1から時刻t5までの間の開閉状態の変化と同様である。
【0093】
図7に示される例では、第1映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間においては、右シャッター412が閉じている期間が第1期間、右シャッター412が開いている期間が第2期間に対応している。また、図7に示される例では、第2映像としての左目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間においては、左シャッター414が閉じている期間が第1期間、左シャッター414が開いている期間が第2期間に対応している。また、図7に示される例では、第1期間においては、右シャッター412及び左シャッター414のいずれのシャッターも閉じている期間が存在している。
【0094】
1−5−2.放電灯90に供給される電流Iの波形例
図8(A)及び図8(B)は、放電灯90に供給される電流Iの波形例を示すタイミングチャートである。図8(A)及び図8(B)の横軸は時間、縦軸は電流Iの電流値を表す。また、第1電極91が陽極となる第1極性である場合の電流Iを正、第2電極92が陽極となる第2極性である場合の電流Iを負と表す。
【0095】
図8(A)に示される例では、電流Iは、第1期間においては電流値が−I1から+I1までの矩形波交流電流、第2期間においては電流値が−I2から+I2までの矩形波交流電流である。図8(B)に示される例では、電流Iは、第1期間においては電流値が−I2から+I2までの矩形波交流電流、第2期間においては電流値が−I1から+I1までの矩形波交流電流である。図8(A)及び図8(B)に示される例では、I1<I2の大小関係が成立している。また、図8(A)及び図8(B)に示される例では、第1期間における電流Iの周波数は、第2期間における電流Iの周波数よりも高い。なお、電流Iの周波数は、放電灯90の仕様に応じて実験的に決定することができる。
【0096】
図8(A)に示される例では、第1期間における電流Iの電流値の絶対値(I1)が、第2期間における電流Iの電流値の絶対値(I2)よりも小さい。すなわち、第1期間において放電灯90に供給される電力である第1電力W1は、第2期間において放電灯90に供給される電力である第2電力W2よりも小さい。この場合には、第1期間及び第2期間を通じた平均電力よりも第2電力W2が大きくなる。したがって、第2期間にプロジェクター500から投射される映像は、第1期間及び第2期間を通じた平均電力で投射される映像に比べて明るくなる。
【0097】
図8(B)に示される例では、第1期間における電流Iの電流値の絶対値(I2)が、第2期間における電流Iの電流値の絶対値(I1)よりも大きい。すなわち、第1期間において放電灯90に供給される電力である第1電力W1は、第2期間において放電灯90に供給される電力である第2電力W2よりも大きい。この場合には、第1期間及び第2期間を通じた平均電力よりも第2電力W2が小さくなる。したがって、第2期間にプロジェクター500から投射される映像は、第1期間及び第2期間を通じた平均電力で投射される映像に比べて暗くなる。
【0098】
1−5−3.相関パターンに基づく制御の第1具体例
プロジェクター500の制御部40は、第1電力W1と第2電力W2との相関を表すパターンである相関パターンに基づいて、第1期間では、第1電力W1を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御し、第2期間では、第2電力W2を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御する。
【0099】
図9は、本実施形態に係るプロジェクター500の制御例を示すフローチャートである。図9に示されるフローチャートでは、放電灯90が安定に点灯した後から消灯までの制御について示している。
【0100】
まず、制御部40が指定電力を取得する(ステップS100)。指定電力は、主としてユーザーに映像を見せる期間となる第2期間に放電灯90に供給される第2電力W2の大きさである。指定電力は、例えば、同期信号514に含まれる映像信号502に対応する輝度に関する情報、及び、操作信号504に含まれるプロジェクター500によってスクリーン700に投射される映像710の明るさに関する情報の少なくとも1つに基づいて、CPU580によって指定されてもよい。
【0101】
ステップS100の後に、制御部40が、ステップS100で取得した指定電力に対応する第1電力W1を、記憶部44に記憶された相関パターンに基づいて取得する(ステップS102)。
【0102】
図10(A)及び図10(B)は、相関パターンに基づく制御の第1具体例における相関パターンを示すグラフである。図10(A)の横軸は第2電力W2、縦軸は第1電力W1を表す。図10(B)の横軸は第2電力W2、縦軸は第2電力W2に対する第1電力W1の比を表す。
【0103】
図10(A)及び図10(B)に示される例では、第1電力W1と第2電力W2との相関パターンは、第2電力W2が小さくなるほど、第2電力W2に対する第1電力W1の比が大きくなるパターンである。
【0104】
図9のステップS102で第1電力W1を取得した後に、制御部40は、駆動条件を変更する必要があるか否かを判定する(ステップS104)。ここでの駆動条件は、第1電力W1及び第2電力W2である。制御部40が、駆動条件を変更する必要があるものと判定した場合(ステップS104でYESの場合)には、ステップS102で選択した駆動条件に変更して放電灯90を駆動する(ステップS106)。制御部40が、駆動条件を変更する必要がないものと判定した場合(ステップS104でNOの場合)には、従前の駆動条件で放電灯90を駆動し続ける。
【0105】
ステップS104でNOの場合及びステップS106の後に、制御部40は、放電灯90の消灯命令があるか否かを判定する(ステップS108)。制御部40が、消灯命令があるものと判定した場合(ステップS108でYESの場合)には、放電灯90の点灯を終了(消灯)する。制御部40が、消灯命令がないものと判定した場合(ステップS108でNOの場合)には、消灯命令があるまでステップS100〜ステップS108までの
制御を繰り返す。
【0106】
第1映像と第2映像とを切り替えて交互に出力するプロジェクター500では、第1映像から第2映像へと切り替えた直後の映像をアクティブシャッターメガネ410などで遮ってユーザーに見せない使用形態が存在する。相関パターンに基づく制御の第1具体例によれば、第1電力W1と第2電力W2との相関を表すパターンである相関パターンが、第2電力W2が小さくなるほど、第2電力W2に対する第1電力W1の比が大きくなるパターンであるので、ユーザーに映像を見せない第1期間を利用して、放電灯90の温度が低くなることを抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制するとともに、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。
【0107】
第1電力W1と第2電力W2との相関パターンは、第2電力W2が第1基準値R1以下である場合に、第2電力W2に関わらず、第1電力W1が一定値となるパターンであってもよい。図10(A)に示される例では、第1電力W1と第2電力W2との相関パターンは、第2電力W2が第1基準値R1以下である場合に、第2電力W2に関わらず、第1電力W1が112[W]で一定値となるパターンである。また、図10(A)に示される例では、第1基準値R1は208[W]である。
【0108】
これによって、第1電力W1が一定値よりも下がらないので、放電灯90の温度が低くなることをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制するとともに、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。
【0109】
1−5−4.相関パターンに基づく制御の第2具体例
相関パターンに基づく制御の第1具体例と第2具体例とは、図9を用いて説明した放電灯90が安定に点灯した後から消灯までの制御のフローチャートについては共通し、ステップS102で用いる第1電力W1と第2電力W2との相関パターンが異なる。したがって、以下では、主としてステップS102で用いる第1電力W1と第2電力W2との相関パターンについて説明する。
【0110】
図11(A)及び図11(B)は、相関パターンに基づく制御の第2具体例における相関パターンを示すグラフである。図11(A)の横軸は第2電力W2、縦軸は第1電力W1を表す。図11(B)の横軸は第2電力W2、縦軸は第2電力W2に対する第1電力W1の比を表す。
【0111】
また、図11(A)及び図11(B)に示される例では、第1電力W1と第2電力W2との相関パターンは、第2電力W2が小さくなるほど、第2電力W2に対する第1電力W1の比が大きくなるパターンである。したがって、第1具体例と同様の効果を奏する。
【0112】
第1電力W1と第2電力W2との相関パターンは、第2電力W2が第2基準値R2以下である場合に、第2電力W2が小さくなるほど、第1電力W1が大きくなるパターンであってもよい。図11(A)に示される例では、第1電力W1と第2電力W2との相関パターンは、第2電力W2が第2基準値R2以下である場合に、第2電力W2が小さくなるほど、第1電力W1が大きくなるパターンである。また、図11(A)に示される例では、第2基準値R2は156[W]である。
【0113】
相関パターンに基づく制御の第2具体例によれば、第2電力W2が小さくなるほど、第1電力W1が大きくなるので、放電灯90の温度が低くなることをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制するとともに、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。
【0114】
1−5−5.放電灯の劣化状態に応じた制御の第1具体例
放電灯90の劣化状態に応じた制御の第1具体例においては、制御部40は、劣化状態の進行に伴って、第2電力W2が第3基準値R3以下である場合の相関パターンを、第2電力W2に対する第1電力W1の傾きが小さくなるように変更する。
【0115】
図12は、本実施形態に係るプロジェクター500の他の制御例を示すフローチャートである。図12に示されるフローチャートでは、放電灯90が安定に点灯した後から消灯までの制御について示している。
【0116】
図12に示される制御例は、図9に示される制御例と比べて、ステップS100の前にステップS200とステップS202が追加された制御である。したがって、以下では、主としてステップS200とステップS202について説明し、他のステップについての詳細な説明を省略する。
【0117】
また、以下では、プロジェクター500は、状態検出部として電圧検出部61を有し、放電灯90の劣化状態の程度を表す値として放電灯90の駆動電圧Vlaを検出する場合を例にとり説明する。
【0118】
まず、電圧検出部61が駆動電圧Vlaを検出する(ステップS200)。次に、制御部40が、ステップS200で検出した放電灯90の駆動電圧Vlaに対応する相関パターンを、記憶部44に記憶された相関パターンの中から選択する(ステップS202)。ステップS202の後にステップS100〜ステップS108が行われる。ステップS108において、制御部40が、消灯命令があるものと判定した場合(ステップS108でYESの場合)には、放電灯90の点灯を終了(消灯)する。ステップS108において、制御部40が、消灯命令がないものと判定した場合(ステップS108でNOの場合)には、消灯命令があるまでステップS200〜ステップS108までの制御を繰り返す。
【0119】
図13(A)は、放電灯90の駆動電圧Vlaと相関パターンとの関係を示す表、図13(B)は、図13(A)に対応する相関パターンを示すグラフである。図13(B)の横軸は第2電力W2、縦軸は第1電力W1を表す。
【0120】
図13(A)に示される例では、駆動電圧Vlaに応じた3つの相関パターンが記憶部44に記憶されている。図13(B)には、第2電力W2が第3基準値R3以下である場合に、第2電力W2に対する第1電力W1の傾きが正となる相関パターンA1(二点鎖線)、第2電力W2に対する第1電力W1の傾きが0となる相関パターンB1(破線)、第2電力W2に対する第1電力W1の傾きが負となる相関パターンC1(実線)が示されている。
【0121】
ステップS200において検出された駆動電圧Vlaが85[V]未満である場合には、ステップS202において制御部40は相関パターンA1を選択する。ステップS200において検出された駆動電圧Vlaが85[V]以上100[V]未満である場合には、ステップS202において制御部40は相関パターンB1を選択する。ステップS200において検出された駆動電圧Vlaが100[V]以上である場合には、ステップS202において制御部40は相関パターンC1を選択する。
【0122】
したがって、図13(A)に示される例では、駆動電圧Vlaが大きくなるほど(すなわち、放電灯90の劣化状態の進行に伴って)、第2電力W2が第3基準値R3以下である場合に、第2電力W2に対する第1電力W1の傾きが小さくなる相関パターンを選択するように対応付けられている。図13(B)に示される例では、第3基準値R3は、208[V]である。
【0123】
放電灯90の劣化状態が進行すると、フリッカーが発生しやすくなる。放電灯90の劣化状態の進行に伴って、相関パターンを、第2電力W2に対する第1電力W1の傾きが小さくなるように変更することで、放電灯90の劣化状態が進行した場合に放電灯90の温度が低くなることをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制できる。また、放電灯90の劣化状態が進行していない場合には、第1電力W1を小さくできるので、消費電力を抑制したプロジェクターを実現できる。
【0124】
1−5−6.放電灯の劣化状態に応じた制御の第2具体例
放電灯90の劣化状態に応じた制御の第2具体例においては、制御部40は、劣化状態の進行に伴って、第1基準値R1を大きくするように変更する。
【0125】
放電灯90の劣化状態に応じた制御の第1具体例と第2具体例とは、図12を用いて説明した放電灯90が安定に点灯した後から消灯までの制御のフローチャートについては共通し、ステップS202で選択され得る第1電力W1と第2電力W2との相関パターンが異なる。したがって、以下では、主としてステップS202で選択され得る第1電力W1と第2電力W2との相関パターンについて説明する。
【0126】
図14(A)は、放電灯90の駆動電圧Vlaと相関パターンとの関係を示す表、図14(B)は、図14(A)に対応する相関パターンを示すグラフである。図14(B)の横軸は第2電力W2、縦軸は第1電力W1を表す。
【0127】
図14(A)に示される例では、駆動電圧Vlaに応じた3つの相関パターンが記憶部44に記憶されている。図14(B)には、第2電力W2が第1基準値R1a以下である場合に第2電力W2に関わらず第1電力W1が一定値となる相関パターンA2(二点鎖線)、第2電力W2が第1基準値R1b以下である場合に第2電力W2に関わらず第1電力W1が一定値となる相関パターンB2(破線)、第2電力W2が第1基準値R1c以下である場合に第2電力W2に関わらず第1電力W1が一定値となる相関パターンC2(実線)が示されている。ここで、第1基準値R1a<第1基準値R1b<第1基準値R1cの大小関係が成立している。図14(B)に示される例では、第1基準値R1aは156[V]、第1基準値R1bは208[V]、第1基準値R1cは234[V]である。
【0128】
ステップS200において検出された駆動電圧Vlaが85[V]未満である場合には、ステップS202において制御部40は相関パターンA2を選択する。ステップS200において検出された駆動電圧Vlaが85[V]以上100[V]未満である場合には、ステップS202において制御部40は相関パターンB2を選択する。ステップS200において検出された駆動電圧Vlaが100[V]以上である場合には、ステップS202において制御部40は相関パターンC2を選択する。
【0129】
したがって、図14(A)に示される例では、駆動電圧Vlaが大きくなるほど(すなわち、放電灯90の劣化状態の進行に伴って)、第1基準値R1が大きくなる相関パターンを選択するように対応付けられている。
【0130】
放電灯90の劣化状態が進行すると、フリッカーが発生しやすくなる。放電灯90の劣化状態の進行に伴って、第1基準値R1を大きくすることで第1電力W1の下限値が大きくなるので、放電灯90の劣化状態が進行した場合に放電灯90の温度が低くなることをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制できる。また、放電灯90の劣化状態が進行していない場合には、第1電力W1を小さくできるので、消費電力を抑制したプロジェクターを実現できる。
【0131】
1−5−7.放電灯の劣化状態に応じた制御の第3具体例
放電灯90の劣化状態に応じた制御の第3具体例においては、制御部40は、劣化状態の進行に伴って、第2基準値R2を大きくするように変更する。
【0132】
放電灯90の劣化状態に応じた制御の第1具体例と第3具体例とは、図12を用いて説明した放電灯90が安定に点灯した後から消灯までの制御のフローチャートについては共通し、ステップS202で選択され得る第1電力W1と第2電力W2との相関パターンが異なる。したがって、以下では、主としてステップS202で選択され得る第1電力W1と第2電力W2との相関パターンについて説明する。
【0133】
図15(A)は、放電灯90の駆動電圧Vlaと相関パターンとの関係を示す表、図15(B)は、図15(A)に対応する相関パターンを示すグラフである。図15(B)の横軸は第2電力W2、縦軸は第1電力W1を表す。
【0134】
図15(A)に示される例では、駆動電圧Vlaに応じた3つの相関パターンが記憶部44に記憶されている。図15(B)には、第2電力W2が第2基準値R2a以下である場合に第2電力W2が小さくなるほど第1電力W1が大きくなる相関パターンA3(二点鎖線)、第2電力W2が第2基準値R2b以下である場合に第2電力W2が小さくなるほど第1電力W1が大きくなる相関パターンB3(破線)、第2電力W2が第2基準値R2c以下である場合に第2電力W2が小さくなるほど第1電力W1が大きくなる相関パターンC3(実線)が示されている。ここで、第2基準値R2a<第2基準値R2b<第2基準値R2cの大小関係が成立している。図15(B)に示される例では、第2基準値R2aは130[V]、第1基準値R1bは156[V]、第1基準値R1cは208[V]である。
【0135】
ステップS200において検出された駆動電圧Vlaが85[V]未満である場合には、ステップS202において制御部40は相関パターンA3を選択する。ステップS200において検出された駆動電圧Vlaが85[V]以上100[V]未満である場合には、ステップS202において制御部40は相関パターンB3を選択する。ステップS200において検出された駆動電圧Vlaが100[V]以上である場合には、ステップS202において制御部40は相関パターンC3を選択する。
【0136】
したがって、図15(A)に示される例では、駆動電圧Vlaが大きくなるほど(すなわち、放電灯90の劣化状態の進行に伴って)、第2基準値R2が大きくなる相関パターンを選択するように対応付けられている。
【0137】
放電灯90の劣化状態が進行すると、フリッカーが発生しやすくなる。放電灯90の劣化状態の進行に伴って、第2基準値R2を大きくすることで第2電力W2が小さくなった場合の第1電力W1が大きくなるので、放電灯90の劣化状態が進行した場合に放電灯90の温度が低くなることをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制できる。また、放電灯90の劣化状態が進行していない場合には、第1電力W1を小さくできるので、消費電力を抑制したプロジェクターを実現できる。
【0138】
1−5−8.継続時間に応じた制御例
図16は、本実施形態に係るプロジェクター500の他の制御例を示すフローチャートである。図16に示されるフローチャートでは、放電灯90が安定に点灯した後から消灯までの制御について示している。
【0139】
図16に示される制御例は、図9に示される制御例と比べて、ステップS100の前にステップS300〜ステップS304が追加された制御である。したがって、以下では、主としてステップS300〜ステップS304について説明し、他のステップについての詳細な説明を省略する。
【0140】
まず、制御部40が、第2電力W2が第4基準値R4以下か否かを判定する(ステップS300)。制御部40が、第2電力W2が第4基準値R4以下であるものと判定した場合(ステップS300でYESの場合)には、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間に対応する相関パターンを選択する(ステップS302)。制御部40が、第2電力W2が第4基準値R4以下ではないものと判定した場合(ステップS300でNOの場合)には、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が0である場合に対応する相関パターンを選択する(ステップS304)。ステップS302及びステップS304の後にステップS100〜ステップS108が行われる。ステップS108において、制御部40が、消灯命令があるものと判定した場合(ステップS108でYESの場合)には、放電灯90の点灯を終了(消灯)する。ステップS108において、制御部40が、消灯命令がないものと判定した場合(ステップS108でNOの場合)には、消灯命令があるまでステップS300〜ステップS108までの制御を繰り返す。
【0141】
制御部40は、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が長くなるほど、第2電力W2が第3基準値R3よりも小さい場合の相関パターンを、第2電力W2に対する第1電力W1の傾きが小さくなるように変更してもよい。
【0142】
また、制御部40は、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が長くなるほど、第1基準値R1又は第2基準値R2を大きくするように変更してもよい。
【0143】
図17(A)〜図17(C)は、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間と相関パターンとの対応を示す表である。図17(A)〜図17(C)に示される例では、それぞれ、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間に応じた3つの相関パターンが記憶部44に記憶されている。なお、相関パターンA1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2,C3は、図13(B)、図14(B)及び図15(B)を用いて説明した相関パターンである。
【0144】
図17(A)〜図17(C)のいずれを用いた場合でも、ステップS302での動作は同様であるので、以下では図17(A)を例にとり説明する。
【0145】
第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が1分未満である場合には、ステップS302において制御部40は相関パターンA1を選択する。第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が1分以上5分未満である場合には、ステップS302において制御部40は相関パターンB1を選択する。第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が5分以上である場合には、ステップS302において制御部40は相関パターンC3を選択する。
【0146】
放電灯90の温度が低い状態が長く続くほど、放電灯90の輝度応答性が悪くなる。第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が長くなるほど、相関パターンを、第2電力W2に対する第1電力W1の傾きが小さくなるように変更することで、放電灯90の温度が低い状態が長く続くことを抑制できる。したがって、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。また、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が短い場合には第1電力W1を小さくできるので、消費電力を抑制したプロジェクターを実現できる。
【0147】
同様に、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が長くなるほど、第1基準値R1又は第2基準値R2を大きくするように変更することで、放電灯90の温度が低い状態が長く続くことを抑制できる。したがって、輝度応答性を高めたプロジェクターを実現できる。また、第2電力W2が第4基準値R4以下で継続する時間が短い場合には第1電力W1を小さくできるので、消費電力を抑制したプロジェクターを実現できる。
【0148】
1−5−9.その他の制御例
図18(A)は、その他の制御例における相関パターンを示すグラフ、図18(B)は、図18(A)に示される相関パターンにおける平均電力と第2電力W2の関係を示すグラフである。図18(A)の横軸は第2電力W2、縦軸は第2電力W2に対する第1電力W1の比を表す。図18(B)の横軸は第1期間及び第2期間を通じた平均電力、縦軸は第2電力W2を表す。
【0149】
図18(A)に示される相関パターンは、第2電力W2が小さくなるほど、第2電力W2に対する第1電力W1の比が大きくなるパターンである。すなわち、図18(A)に示される相関パターンは、第2電力W2が小さくなるほど、第1期間及び第2期間を通じた平均電力に対する第2電力W2の比率が小さくなり、第1電力W1の比率が大きくなるパターンである。
【0150】
放電灯90を使用できる電力の範囲は、第1期間及び第2期間を通じた平均電力で決まる。図18(B)に示される例では、放電灯90を使用できる電力の範囲X1は、60[W]以上230[W]以下の範囲である。これに対して、図18(A)に示される相関パターンにおいて第2電力W2がとり得る範囲X2は、36[W]以上300[W]以下の範囲である。
【0151】
このように、相関パターンを、第2電力W2が小さくなるほど、第2電力W2に対する第1電力W1の比が大きくなるパターンとすることによって、第2電力W2がとり得る範囲を広げることができる。したがって、最大輝度と最小輝度との差を大きくできるプロジェクターを実現できる。
【0152】
さらに、相関パターンは、第2電力W2が第5基準値R5以下である場合には、第2電力W2が第1電力W1よりも小さくなるパターンであってもよい。図18(A)に示される例では、第2電力W2が第5基準値R5以下である場合に、第2電力W2に対する第1電力W1の比が1以上である。すなわち、第2電力W2が第5基準値R5以下である場合には、第2電力W2が第1電力W1よりも小さい。
【0153】
このような相関パターンとすることによって、放電灯90の点灯期間を通じた平均電力よりも第2電力W2を小さくできるので、より暗い映像を投射することができる。したがって、最大輝度と最小輝度との差を大きくできるプロジェクターを実現できる。
【0154】
2.本実施形態に係るプロジェクター500の第1変形例
次に、本実施形態に係るプロジェクター500の変形例について説明する。上述の実施形態においては、透過型のプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、反射型のプロジェクターにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶パネル等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶パネルやマイクロミラー型光変調装置などのように光変調手段としての電気光学変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス;Texas Instruments社の商標)を用いることができる。反射型のプロジェクターにこの発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。以下では、プロジェクター500が、DMDを用いた反射型のプロジェクターである場合を例にとり説明する。
【0155】
2−1.第1期間、第2期間及び切替タイミング
図19は、第1期間、第2期間及び切替タイミングについて説明するための図である。図19には、上から順に映像信号502の内容、カラーホイールの色、右シャッター412の開閉状態、左シャッター414の開閉状態、DMDのON/OFF状態、第1期間と第2期間、切替タイミングの時間的関係が示されている。図19の横軸は時間である。以下では、第1映像及び第2映像をそれぞれ左目用映像及び右目用映像として表示映像を観察者に立体視させる例について説明する。
【0156】
図19に示される例では、映像信号502は、時刻t11から時刻t13までの間は第1映像としての右目用映像、時刻t13から時刻t15までの間は第2映像としての左目用映像、時刻t15から時刻t17までの間は第1映像としての右目用映像、時刻t17から時刻t19までの間は第2映像としての左目用映像に対応する駆動信号となっている。したがって、図19に示される例では、プロジェクター500は、時刻t11、時刻t13、時刻t15、時刻t17、時刻t19を切替タイミングとして、第1映像としての右目用映像と第2映像としての左目用映像とを切り替えて交互に出力する。
【0157】
時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間は、第1期間で始まり、第2期間で終わる。図19に示される例では、例えば、切替タイミングとなる時刻t11と時刻t13とに挟まれる期間は、時刻t11から時刻t12までの間の第1期間で始まり、時刻t12から時刻t13までの間の第2期間で終わる。切替タイミングとなる時刻t13と時刻t15とに挟まれる期間、切替タイミングとなる時刻t15と時刻t17とに挟まれる期間、切替タイミングとなる時刻t17と時刻t19とに挟まれる期間についても同様である。
【0158】
図19に示される例では、カラーホイールが白となる期間が第1期間に対応し、カラーホイールが緑、赤、青となる期間が第2期間に対応する。また、DMDは、第1期間ではOFF状態、第2期間ではON状態である。
【0159】
右シャッター412は、第1映像としての右目用映像が投射される期間の少なくとも一部の期間で開いた状態となる。図19に示される例では、右シャッター412は、時刻t11から時刻t13までの間と、時刻t15から時刻t17までの間では開いた状態である。
【0160】
左シャッター414は、第2映像としての左目用映像が投射される期間の少なくとも一部の期間で開いた状態となる。図19に示される例では、左シャッター414は、時刻t13から時刻t15までの間と、時刻t17から時刻t19までの間では開いた状態である。
【0161】
2−2.放電灯90に供給される電流Iの波形例及び電力の制御例
「1−5−2.放電灯90に供給される電流Iの波形例」の項から「1−5−9.その他の制御例」の項までに述べた電流Iの波形例及び電力の制御例が適用でき、同様の効果を奏する。
【0162】
3.本実施形態に係るプロジェクター500の第2変形例
プロジェクター500は、第1映像を出力する第1期間と、第2映像を出力する第2期間と、を繰り返すプロジェクター500であって、第1映像は、黒に対応する映像であり、制御部40は、第1電力W1と第2電力W2との相関を表すパターンである相関パターンに基づいて、第1期間では、第1電力W1を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御し、第2期間では、第2電力W2を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御し、相関パターンは、第2電力W2が小さくなるほど、第2電力W2に対する第1電力W1の比が大きくなるパターンであってもよい。
【0163】
図20(A)及び図20(B)は、第1期間及び第2期間について説明するための図である。図20(A)には、上から順に駆動信号572R,572G,572Bの内容、第1期間と第2期間の時間的関係が示されている。図20(B)には、上から順に映像信号502の内容、カラーホイールの色、DMDのON/OFF状態、第1期間と第2期間の時間的関係が示されている。図20(A)及び図20(B)の横軸は時間である。
【0164】
図20(A)に示される例では、駆動信号572R,572G,572Bが第1映像である期間が第1期間、駆動信号572R,572G,572Bが第2映像である期間が第2期間となっている。プロジェクター500は、第1期間では、液晶ライトバルブ330R,330G,330Bを不透過状態に制御するなどして、黒に対応する第1映像を投射する。
【0165】
図20(B)に示される例では、映像信号502が第1映像である期間が第1期間、映像信号502が第2映像である期間が第2期間となっている。図20(B)に示される例では、第1期間では、カラーホイールの色は白であり、DMDはOFF状態である。また、第2期間では、カラーホイールの色は緑、赤、青のいずれかであり、DMDはON状態である。すなわち、プロジェクター500は、第1期間では、DMDをOFF状態に制御するなどして、黒に対応する第1映像を投射する。
【0166】
このような場合にも、「1−5−2.放電灯90に供給される電流Iの波形例」の項から「1−5−9.その他の制御例」の項までに述べた電流Iの波形例及び電力の制御例が適用でき、同様の効果を奏する。
【0167】
「1.本実施形態に係るプロジェクター」及び「2.本実施形態に係るプロジェクター500の第1変形例」の項で述べられた各実施形態では、プロジェクター500は、第1映像及び第2映像をそれぞれ左目用映像及び右目用映像として表示映像を観察者に立体視させる構成としていたが、これに限らない。例えば、プロジェクター500として、第1映像及び第2映像をコンテンツの異なる映像とし、2つの表示映像(第1映像及び第2映像)を異なる観察者にそれぞれ視認させる構成を採用しても構わない。
【0168】
このように構成した場合には、アクティブシャッターメガネ410としては、前述した右シャッター412と同様に作用するシャッターを左右に設けた眼鏡、及び前述した左シャッター414と同様に作用するシャッターを左右に設けた眼鏡の2種類を設ければよい。
【0169】
上述の各実施形態においては、3つの液晶パネルを用いたプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも適用可能である。
【0170】
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも可能である。
【0171】
上述の各実施形態においては、電流Iの極性反転1/2周期の期間中は、電流Iの絶対値は一定となっている。すなわち、電流Iの波形は、いわゆる矩形状の波形となっている。電流Iの波形はこれに限らず、電流Iの極性反転半周期の期間中において、電流Iの絶対値が、第1の電流値となる期間で始まり、第1の電流値よりも大きい第2の電流値となる期間で終わる波形や、電流Iの極性反転半周期の期間中において、電流Iの絶対値が単調増加する波形など、電流Iの極性反転1周期の期間中において、電流Iの絶対値が異なる値をとる波形であってもよい。
【0172】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0173】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0174】
1 放電灯点灯装置、20 電力制御回路、21 スイッチ素子、22 ダイオード、23 コイル、24 コンデンサー、30 極性反転回路、31 第1スイッチ素子、32 第2スイッチ素子、33 第3スイッチ素子、34 第4スイッチ素子、40 制御部、41 システムコントローラー、42 電力制御部、43 極性反転制御部、44 記憶部、50 副反射鏡、61 電圧検出部、62 電流検出部、63 抵抗、70 イグナイター回路、80 直流電源、90 放電灯、90e1 第1端部、90e2 第2端部、91 第1電極、92 第2電極、93 放電空間、112 主反射鏡、200 光源装置、210 光源ユニット、305 平行化レンズ、310 照明光学系、320 色分離光学系、330R,330G,330B 液晶ライトバルブ、340 クロスダイクロイックプリズム、350 投写光学系、400 プロジェクターシステム、410 アクティブシャッターメガネ、412 右シャッター、414 左シャッター、500 プロジェクター、502 映像信号、504 操作信号、510 映像信号変換部、512R,512G,512B 映像信号、514 同期信号、560R,560G,560B 液晶パネル、570 映像処理装置、572R,572G,572B 駆動信号、580 CPU、582 通信信号、584 通信信号、586 制御信号、600 交流電源、700 スクリーン、710 映像、911 突起、921 突起、941,942 導電性部材、951 第1端子、952 第2端子、961,962 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の切替タイミングで、第1映像と第2映像とを切り替えて交互に出力するプロジェクターであって、
放電灯と、
前記放電灯を駆動する電力を前記放電灯に供給する放電灯駆動部と、
前記放電灯駆動部を制御する制御部と、
を含み、
時間的に隣り合う前記切替タイミングに挟まれる期間は、第1期間で始まり、第2期間で終わり、
前記制御部は、
第1電力と第2電力との相関を表すパターンである相関パターンに基づいて、
前記第1期間では、前記第1電力を前記放電灯に供給させるように前記放電灯駆動部を制御し、
前記第2期間では、前記第2電力を前記放電灯に供給させるように前記放電灯駆動部を制御し、
前記相関パターンは、前記第2電力が小さくなるほど、前記第2電力に対する前記第1電力の比が大きくなるパターンである、プロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記相関パターンは、
前記第2電力が第1基準値以下である場合に、前記第2電力に関わらず、前記第1電力が一定値となるパターンである、プロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記相関パターンは、
前記第2電力が第2基準値以下である場合に、前記第2電力が小さくなるほど、前記第1電力が大きくなるパターンである、プロジェクター。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプロジェクターにおいて、
前記放電灯の劣化状態を検出する状態検出部をさらに含み、
前記制御部は、
前記劣化状態の進行に伴って、前記第2電力が第3基準値以下である場合の前記相関パターンを、前記第2電力に対する前記第1電力の傾きが小さくなるように変更する、プロジェクター。
【請求項5】
請求項2又は3に記載のプロジェクターにおいて、
前記放電灯の劣化状態を検出する状態検出部をさらに含み、
前記制御部は、
前記劣化状態の進行に伴って、前記第1基準値又は前記第2基準値を大きくする、プロジェクター。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプロジェクターにおいて、
前記制御部は、
前記第2電力が第4基準値以下で継続する時間が長くなるほど、前記第2電力が第3基準値よりも小さい場合の前記相関パターンを、前記第2電力に対する前記第1電力の傾きが小さくなるように変更する、プロジェクター。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプロジェクターにおいて、
前記相関パターンは、
前記第2電力が第5基準値以下である場合には、前記第2電力が前記第1電力よりも小さくなるパターンである、プロジェクター。
【請求項8】
第1映像を出力する第1期間と、第2映像を出力する第2期間と、を繰り返すプロジェクターであって、
放電灯と、
前記放電灯を駆動する電力を前記放電灯に供給する放電灯駆動部と、
前記放電灯駆動部を制御する制御部と、
を含み、
前記第1映像は、黒に対応する映像であり、
前記制御部は、
第1電力と第2電力との相関を表すパターンである相関パターンに基づいて、
前記第1期間では、前記第1電力を前記放電灯に供給させるように前記放電灯駆動部を制御し、
前記第2期間では、前記第2電力を前記放電灯に供給させるように前記放電灯駆動部を制御し、
前記相関パターンは、前記第2電力が小さくなるほど、前記第2電力に対する前記第1電力の比が大きくなるパターンである、プロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−83714(P2013−83714A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221967(P2011−221967)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】