説明

プロジェクタ及びプロジェクタの制御方法

【課題】ユーザが投射領域に進入している状態で画像が投射された場合、高輝度で危険な投射光をユーザが直接目に受けてしまう可能性があり、安全上の問題が生じる。
【解決手段】プロジェクタ本体が外部電力に接続された後、タッチパネルの画面からPowerスイッチONの操作を受け付ける。PowerスイッチONの操作が行われた場合、ユーザが直接目に受けても安全な光強度レベルの光が投射部から投射されるように制御し、光源部を点灯させる。そして、投射領域に人が入ることへの警告、及び操作メッセージを、タッチパネルの画面に表示させると共に、投射部からスクリーンに投射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ及びプロジェクタの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源装置から射出される光をスクリーンに投射する投射型のプロジェクタの普及が進んでいる。ここで、プロジェクタから高輝度の光が投射された場合に、ユーザがその光を直接目に受けてしまう安全上の問題が指摘されている。この安全上の問題に対処するために、プロジェクタから投射される光をユーザが直接目に受けないようにするための技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1に記載されているプロジェクタでは、プロジェクタから投射される光が人間に照射される可能性がある場合、センサによって瞬間的にこれを検出し、光源装置のパワーを低減させるか、又は光源装置のスイッチをオフにしている。また、下記の特許文献2に記載されているプロジェクタでは、画像の投射中に、スクリーン上に投射された画像を撮像し、入力画像信号と撮像した画像とを比較する。この比較の結果、ユーザが侵入したと判定された場合は、投射光を減少させることで眩しさを低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平11−501419号公報
【特許文献2】特開2004−254145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1及び2に提案される従来の技術では、ユーザが画像の投射中に投射領域に進入した場合については対処できるものの、ユーザが画像の投射前から投射領域に進入している場合については対処できていない。例えば、画像の投射前において、ユーザが投射光を目に受ける位置にいる状況を想定する。このとき、第三者の安易な操作によって電源操作が行われ、光が投射された場合、高輝度で危険な投射光をユーザが直接目に受けてしまう可能性があり、安全上の問題が生じる。また、従来の技術では、投射領域に侵入するユーザを、例えばセンサを用いて検出したり画像を撮像することで検出したりすることから、プロジェクタの装置構成が複雑になり、且つ装置に係るコストも高くなってしまう問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
ユーザからの操作を受け付ける操作部と、画像信号に応じた光を投射する投射部と、前記投射部から投射される光の光強度を制御する光強度制御部とを有し、前記操作部が前記ユーザからの操作を複数回受け付けたときに、前記光強度制御部は、前記ユーザからの操作の受付順に応じて前記光強度を制御することを特徴とするプロジェクタ。
【0007】
上記したプロジェクタによれば、操作部がユーザから複数回の操作を受け付けたときに、投射部から投射される光の光強度を各操作の受付順に応じて制御する。即ち、各操作によって投射部から投射される光の光強度を、操作毎に可変にすることができる。このため、投射部から高輝度の投射光をいきなり投射するのではなく、各操作の受付順に応じて段階的に光強度を大きくさせて、低輝度から高輝度の光へと制御して投射することができる。これにより、ユーザが投射領域に進入している状態で、操作によって光を投射する場合、いきなり高輝度の光を投射するのではなく、低輝度で安全な光を投射するように制御してユーザに注意を促すことができ、安全上の問題に対処することができる。また、従来技術のように、センサ等を用いてユーザが投射領域にいるか否かを検出する必要がないことから、簡易な構成で、且つ装置に係るコストを抑えて、安全上の問題に対処することができる。
【0008】
前記光強度制御部は、前記ユーザから第1の操作を受け付けたときに第1の光強度の光が前記投射部から投射されるように制御し、前記第1の操作に続けて第2の操作を受け付けたときに前記第1の光強度よりも大きい第2の光強度の光が前記投射部から投射されるように制御することを特徴とするプロジェクタ。
【0009】
上記したプロジェクタによれば、ユーザから第1の操作を受け付けたときに第1の光強度、続けて第2の操作を受け付けたときに第2の光強度の光が投射部から投射されるように光強度制御部によって制御する。このとき、第2の光強度は第1の光強度よりも大きいことから、最初に第1の操作によって低輝度で安全な投射光が投射され、次に第2の操作によって通常の高輝度の投射光が投射されるように制御することができる。これにより、ユーザが投射光を目に受ける位置にいる状態において、第1の操作によって光が投射された場合に、ユーザにとって安全な低輝度の光が投射されることになり、ユーザが危険性のある投射光を目に受けてしまう安全上の問題に対処することができる。
【0010】
前記第1の操作及び前記第2の操作は、前記投射部から光を投射させることを指示する操作であることを特徴とするプロジェクタ。
【0011】
上記したプロジェクタによれば、投射を指示する操作を、第1の操作と第2の操作とに2回に分けて行うことができる。このことから、従来の技術のように、1回の投射を指示する操作でいきなり高輝度の光が投射されるのではなく、1回目の投射を指示する操作では低輝度で安全な光が投射されるようにし、2回目の投射を指示する操作では通常の高輝度の投射光を画像として投射されるようにすることができる。これにより、ユーザが危険性のある投射光を目に受けてしまう安全上の問題に対処することができる。
【0012】
前記操作部は、前記第1の操作を受け付けてから所定の時間が経過した後に、前記第2の操作を受け付けることを特徴とするプロジェクタ。
【0013】
上記したプロジェクタによれば、第2の操作は第1の操作を受け付けてから所定の時間が経過した後に受け付けられる。これにより、ユーザが、第1の操作の後に十分安全を確認しないで続けて第2の操作を行ってしまい、危険性のある投射光を目に受けてしまうのを防ぐことができる。
【0014】
前記所定の時間は、略5秒以上であることを特徴とするプロジェクタ。
【0015】
上記したプロジェクタによれば、第2の操作は第1の操作を受け付けてから略5秒以上経過した後に受け付けられる。これにより、ユーザが第1の操作の後に十分安全を確認する時間を確保することができる。
【0016】
ユーザに報知すべき報知情報を出力する報知部を更に備え、前記第1の光強度の光が前記投射部から投射されるときに、前記報知部は、前記投射部から投射される光に対して注意を促す情報を含む報知情報を出力することを特徴とするプロジェクタ。
【0017】
上記したプロジェクタによれば、第1の光強度の光が投射部から投射されるときに、報知部は、投射される光に対して注意を促す情報を含む報知情報を出力する。このことから、低輝度で安全な投射光が投射されるときに、ユーザに、投射光に対して注意を促す情報を示すことができる。これにより、ユーザが危険性のある投射光を目に受けてしまう安全上の問題に対処することができる。
【0018】
前記報知部は、前記報知情報を含む前記第1の光強度の光を前記投射部から投射させることを特徴とするプロジェクタ。
【0019】
上記したプロジェクタによれば、投射光に対して注意を促す情報を投射して示すことができ、ユーザは投射された内容を読み取って確認することができる。
【0020】
ユーザに情報を表示する表示部を更に備え、前記報知部は、前記報知情報を前記表示部によって表示させることを特徴とするプロジェクタ。
【0021】
上記したプロジェクタによれば、投射光に対して注意を促す情報をプロジェクタに備えた表示部に示すことができ、ユーザは表示された内容を読み取って確認することができる。
【0022】
前記第2の操作における前記操作部の操作は、当該第2の操作を受け付ける毎に異なることを特徴とするプロジェクタ。
【0023】
上記したプロジェクタによれば、ユーザは、第2の操作を行う毎に異なった操作を行うことになる。これにより、ユーザが、第1の操作の後に十分安全を確認しないで、安易に、記憶している操作によって第2の操作を行ってしまい、危険性のある投射光を目に受けてしまうのを防ぐことができる。
【0024】
前記第1の光強度と前記第2の光強度とのうち少なくとも前記第1の光強度は、ユーザによって設定可能であることを特徴とするプロジェクタ。
【0025】
上記したプロジェクタによれば、少なくとも第1の光強度がユーザによって設定可能であることから、ユーザにとって低輝度で安全な投射光とすべき第1の光強度をプロジェクタの使用環境等に応じて自由に設定することができる。
【0026】
前記投射部は、光を射出する光源部を有し、前記光強度制御部は、前記光源部から射出される光の光量を調整することによって前記投射部から投射される光の光強度を制御することを特徴とするプロジェクタ。
【0027】
上記したプロジェクタによれば、投射部から投射される光の光強度は、光源部から射出される光の光量を調整することによって制御される。これにより、光源装置に供給する電気エネルギーを制御することで、光源部から射出される光が所望の光量となるように容易に制御することができる。
【0028】
前記光源部から射出される光はレーザ光であることを特徴とするプロジェクタ。
【0029】
上記したプロジェクタによれば、光源部からレーザ光を射出することから、プロジェクタから高輝度且つ色再現性に優れた高品質な光を投射することができる。また、光源部から射出されるレーザ光は、短時間で光量が安定するため、プロジェクタは第1の操作を受け付けてから直ぐに低輝度で安全な投射光を投射することができる。
【0030】
前記第1の光強度の光が前記投射部から投射された後に、前記光源部から射出された光の光量の安定度を検証する処理を行うことを特徴とするプロジェクタ。
【0031】
上記したプロジェクタによれば、第1の光強度の光が投射された後に、光源部から射出された光の光量の安定度を検証する処理を行う。これにより、プロジェクタは、第1の操作を受け付けてから第2の操作を受け付けるまでの所定の時間において、光の光量の安定度を検証する処理を行うことができ、ユーザが、光量が安定するまで待つ時間を減らすことができる。
【0032】
ユーザからの操作を受け付ける操作工程と、画像信号に応じた光を投射する投射工程と、前記投射工程において投射される光の光強度を制御する光強度制御工程とを有し、前記操作工程において前記ユーザからの操作を複数回受け付けたときに、前記光強度制御工程では、前記ユーザからの操作の受付順に応じて前記光強度を制御することを特徴とするプロジェクタの制御方法。
【0033】
上記したプロジェクタの制御方法によれば、操作工程においてユーザから複数回の操作を受け付けたときに、投射工程において投射される光の光強度を各操作の受付順に応じて制御する。即ち、各操作によって投射工程において投射される光の光強度を、操作毎に可変にすることができる。このため、投射工程において高輝度の投射光をいきなり投射するのではなく、各操作の受付順に応じて段階的に光強度を大きくさせて、低輝度から高輝度の光へと制御して投射することができる。これにより、ユーザが投射領域に進入している状態で、操作によって光を投射する場合、いきなり高輝度の光を投射するのではなく、低輝度で安全な光を投射するように制御してユーザに注意を促すことができ、安全上の問題に対処することができる。また、従来技術のように、センサ等を用いてユーザが投射領域にいるか否かを検出する必要がないことから、簡易な構成で、且つ装置に係るコストを抑えて、安全上の問題に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態に係るプロジェクタの動作を示すフローチャート。
【図3】タッチパネルの画面の表示例を示す図。
【図4】タッチパネルの画面及びスクリーンの表示例を示す図。
【図5】第2実施形態に係るタッチパネルの画面及びスクリーンの表示例を示す図。
【図6】第2実施形態に係るタッチパネルの画面及びスクリーンの表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るプロジェクタについて図面を参照して説明する。
【0036】
<プロジェクタの概略構成>
最初に、第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、プロジェクタ1は、プロジェクタ本体10とリモコン装置11とを含んで構成される。また、プロジェクタ本体10内には、電源回路20、表示部31、リモコン用回路32、IF(interfaceの略称)制御回路33、映像入力回路34及びメイン回路40、並びに投射部50として、投写用液晶駆動回路51、光源装置駆動回路52、光源部53、各色光用の液晶パネル54及び投写レンズ55を備えている。
【0037】
電源回路20は、検出回路22及びスイッチ回路23を備えている。また、電源回路20は電源端子を有し、この電源端子に電源ケーブル21が接続されている。電源ケーブル21の一方の端部にある電源プラグを例えばコンセントに差し込むことにより、プロジェクタ本体10は、電源ケーブル21を介して外部電力に接続される。プロジェクタ本体10が外部電力に接続されると、検出回路22は、電源接続を検出して検出信号をスイッチ回路23に出力する。そして、スイッチ回路23において閉路することによりプロジェクタ本体10に電力を供給する。
【0038】
表示部31には操作部としてのタッチパネル31pが設置されている。タッチパネル31pをユーザが操作(特定の箇所を押下)すると、タッチパネル31pは、操作された位置に応じた操作信号をIF制御回路33に出力する。
リモコン装置11は、プロジェクタ本体10を遠隔操作する場合に使用される。リモコン装置11をユーザが操作すると、リモコン装置11は、操作信号をプロジェクタ本体10に送信する。プロジェクタ本体10のリモコン用回路32は、リモコン装置11からの操作信号を受信してIF制御回路33に出力する。
【0039】
IF制御回路33は、タッチパネル31p及びリモコン用回路32からの操作信号をメイン回路40に出力する。また、IF制御回路33は、メイン回路40からの信号により、対応した表示画像を表示部31に出力する等の制御、及びリモコン用回路32の制御等を行う。
映像入力回路34には、パソコン(Personal Computer)やDVD(Digital Versatile Disc)再生装置等が接続されて画像信号が入力される。映像入力回路34は、入力された画像信号をメイン回路40に出力する。
【0040】
メイン回路40は、画像の処理や信号処理等を行うCPU41、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)を含むメモリ42、報知部43及び光強度制御部44等を備えている。メイン回路40は、入力した信号に基づいて、IF制御回路33、映像入力回路34、投写用液晶駆動回路51及び光源装置駆動回路52等の動作を制御する。また、メイン回路40は、映像入力回路34から入力した画像信号を投写用液晶駆動回路51に出力する。報知部43は、ユーザに報知すべき報知情報となるメッセージを、IF制御回路33を介して表示部31に表示させたり、投射部50からスクリーン60に投射させたりする。光強度制御部44は、投射部50から投射される光の光強度を制御する。
【0041】
投写用液晶駆動回路51は、メイン回路40から入力した画像信号に基づき、各色光ごとの駆動用信号を各色光用の液晶パネル54に出力し、各液晶パネル54を駆動する。各液晶パネル54において制御された各色光は、ダイクロイックプリズム(図示せず)によって合成された後、投写レンズ55によって拡大されてスクリーン60に投射される。
【0042】
光源装置駆動回路52は、光源部53に駆動電力を供給するための電源回路であり、電源回路20から供給された電力を変圧して光源部53に供給する。光源部53は、例えば、半導体レーザや固体レーザ等を光源として用いてレーザ光を射出するレーザ光源装置である。
ここで、光強度制御部44は、光源装置駆動回路52から光源部53に供給される電力を制御することで、光源部53から射出されるレーザ光の光量を調整する。これにより、投射部50から投射される光の光強度が制御される。
【0043】
<プロジェクタの動作>
次に、第1実施形態に係るプロジェクタ1の動作について説明する。
図2は、第1実施形態に係るプロジェクタの動作を示すフローチャートである。同図に示すフローチャートは、プロジェクタ本体10を電源ケーブル21を介して外部電力に接続してから、スクリーン60に画像が投射されるまでの動作を示している。
【0044】
最初に、ステップS110では、プロジェクタ本体10が外部電力に接続されたとき、電源回路20は、検出回路22において電源接続を検出し、スイッチ回路23において閉路することでプロジェクタ本体10に電力を供給する。
【0045】
ステップS120では、メイン回路40は、報知部43により、表示部31のタッチパネル31pの画面に、例えば図3に示すような、PowerスイッチONの操作を受け付ける旨の操作メッセージを表示させる。このために、メイン回路40の報知部43は、操作メッセージを表示させるための信号をIF制御回路33に出力する。そして、IF制御回路33では、その信号に基づいて操作メッセージをタッチパネル31pの画面に表示させる。
ここで、図3に示すように、タッチパネル31pの画面は、システム表示部31aとメッセージ表示部31bとで構成される。システム表示部31aには、ユーザが操作可能なスイッチ類を表示する。メッセージ表示部31bには、ユーザに報知すべきメッセージ等を表示する。
【0046】
ステップS130では、メイン回路40は、タッチパネル31pの画面から第1の操作としてPowerスイッチONの操作が行われたか否かを判定する。ここで、PowerスイッチONの操作は、図3に示すタッチパネル31pの画面に表示されている「Power」の箇所が、ユーザによって押されることで行われる。PowerスイッチONの操作が行われた場合は、次のステップS140へ進む。他方、PowerスイッチONの操作が行われない場合は、PowerスイッチONの操作が行われるまで待機する。
【0047】
ステップS140では、メイン回路40は、光強度制御部44の制御により、光源部53から射出されるレーザ光の光量を通常より小さくなるように調整し、光源部53を点灯させる。ここで、光強度制御部44は、投射部50から投射される光をユーザが直接目に受けても安全な光強度レベル(第1の光強度)になるようにレーザ光の光量を制御する。
【0048】
ステップS150では、メイン回路40は、報知部43により、タッチパネル31pの画面に、例えば図4(a)に示すような、投射領域に人が入ることへの警告及びEnterスイッチONの操作を受け付ける旨の操作メッセージを表示させる。また、これらの警告及び操作メッセージをタッチパネル31pの画面に表示させると共に、例えば図4(b)に示すような、警告及び操作メッセージを投射部50からスクリーン60に投射させる。このために、メイン回路40の報知部43は、警告及び操作メッセージをタッチパネル31pの画面に表示させるための信号をIF制御回路33に出力する。そしてIF制御回路33では、その信号に基づいて警告及び操作メッセージをタッチパネル31pの画面に表示させる。また、警告及び操作メッセージをスクリーン60に投射させるための信号を投写用液晶駆動回路51に出力する。そして、投写用液晶駆動回路51では、その信号に基づいて警告及び操作メッセージをスクリーン60に投射させる。ここで、タッチパネル31pの画面及びスクリーン60に表示・投射される警告は、投射部50から投射される光に対して注意を促す情報となる。
【0049】
ステップS160では、メイン回路40は、投写用液晶駆動回路51の制御により、光源部53から射出される光の光量の安定度を検証する処理を行う。ここでの検証は、光源部53においてレーザ光が正常に射出され且つ光路中に光漏れ等がないか否かを判定することにより行う。
【0050】
ステップS170では、メイン回路40は、ステップS140において光源部53を点灯させてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合は、次のステップS180へ進む。他方、所定時間が経過していない場合は、所定時間が経過するまで待機する。なお、本実施形態では、所定時間として略5秒以上の時間を設定する。
【0051】
ステップS180では、メイン回路40は、タッチパネル31pの画面から第2の操作としてEnterスイッチONの操作が行われたか否かを判定する。ここで、EnterスイッチONの操作は、図4(a)に示す画面に表示されている「Enter」の箇所が、ユーザによって押されることで行われる。EnterスイッチONの操作が行われた場合は、次のステップS190へ進む。他方、EnterスイッチONの操作が行われない場合は、EnterスイッチONの操作が行われるまで待機する。なお、ここで、図4(a)に示す画面からPowerスイッチONの操作が行われた場合、光源部53を消灯させる。
【0052】
ステップS190では、メイン回路40は、光強度制御部44の制御により、光源部53から射出されるレーザ光がこれまでの小さい光量から通常光量になるように調整し、光源部53を点灯させる。そして、投射部50から投射される光の光強度は、これまでの目に受けても安全な光強度レベル(第1の光強度)から通常の光強度レベル(第2の光強度)に変わることになる。
【0053】
ステップS200では、メイン回路40は、映像入力回路34に入力された画像信号に応じた画像を投射部50からスクリーン60に投射する。
【0054】
なお、本発明の操作工程は、上記ステップS130及びステップS180に相当する。また、本発明の投射工程は、上記ステップS200に相当する。また、本発明の光強度制御工程は、上記ステップS140及びステップS190において光源部53から射出されるレーザ光の光量を調整する処理に相当する。
【0055】
<効果>
上述したように、本実施形態に係るプロジェクタでは、プロジェクタ本体10が外部電力に接続された後、タッチパネル31pの画面からPowerスイッチONの操作を受け付ける。PowerスイッチONの操作が行われた場合、ユーザが直接目に受けても安全な光強度レベルの光が投射部50から投射されるように制御し、光源部53を点灯させる。そして、投射領域に人が入ることへの警告、及び操作メッセージを、タッチパネル31pの画面に表示させると共に、投射部50からスクリーン60に投射させる。即ち、外部電力に接続後、最初の操作となるPowerスイッチONの操作により、通常の光強度となる高輝度の光を投射するのではなく、ユーザにとって安全な光強度レベルである低輝度の光を投射する。
これにより、ユーザが投射光を目に受ける位置にいる状態で、PowerスイッチONの操作が行われてユーザが投射光を目に受けた場合に、ユーザは、いきなり危険性のある高輝度の光を目に受けるのではなく、安全な低輝度の光を目に受けることになる。また、そのときに、投射領域に人が入ることへの警告がタッチパネル31pの画面に表示され、スクリーン60に投射されることから、投射光に対してユーザに注意を促すことができる。これらにより、ユーザが危険性のある投射光を目に受けてしまう安全上の問題に対処することができる。
【0056】
また、最初に光源部53を点灯させてから所定時間が経過した後に、タッチパネル31pの画面からEnterスイッチONの操作を受け付ける。EnterスイッチONの操作が行われた場合、通常の光強度レベルの光が投射部50から投射されるように制御し、光源部53を点灯させる。そして、入力された画像信号に応じた画像を投射部50からスクリーン60に投射する。即ち、最初の操作ではユーザにとって安全な低輝度の光を投射し、所定時間が経過してから、2回目の操作によって通常の高輝度の画像をスクリーン60に投射する。
これにより、ユーザが、最初の操作の後に十分安全を確認しないで続けて2回目の操作を行ってしまい、危険性のある投射光を目に受けてしまうのを防ぐことができる。また、最初に光源部53を点灯させてから所定時間が経過するまでの間に、光源部53から射出される光量の安定度を検証する処理を行うことから、ユーザが、光量が安定するまで待つ時間を抑えることができる。本実施形態では、所定時間を略5秒以上とすることで、ユーザが警告文を読み取って安全を十分確認できる時間を確保している。また、この時間内に、光量の安定度を検証する処理が完了するようにしている。
【0057】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るプロジェクタについて図面を参照して説明する。
【0058】
第2実施形態に係るプロジェクタの概略構成は、図1に示す第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成と同様である。また、第2実施形態に係るプロジェクタの動作は、図2に示す第1実施形態におけるフローチャートと同様であるが、ステップS150における警告及び操作メッセージを画面表示・投射する処理と、ステップS180におけるEnterスイッチを受け付ける処理とが異なる。
【0059】
第2実施形態のステップS150では、第1実施形態の場合と異なり、例えば図5(a)に示すような、警告及び操作メッセージをタッチパネル31pの画面に表示させると共に、例えば図5(b)に示すような、警告及び操作メッセージを投射部50からスクリーン60に投射させる。図5(a)に示すように、タッチパネル31pの画面のシステム表示部31aには、「Power」スイッチと、「Enter1」〜「Enter4」の4種類のEnterスイッチとが表示されている。そして、図5(a),(b)に示すように、タッチパネル31pの画面のメッセージ表示部31b及びスクリーン60の操作メッセージSWの箇所には、「Enter1」スイッチを受け付ける旨が表示・投射されている。
【0060】
ここで、ステップS150において、メッセージ表示部31b及びスクリーン60に表示・投射される操作メッセージの内容は、ステップS150を動作させる毎に異なる。つまり、警告及び操作メッセージを、タッチパネル31pの画面及びスクリーン60に表示・投射させる都度異なる。具体的には、操作メッセージに含まれるEnterスイッチの種類が異なっている。例えば図6(a),(b)に示すような操作メッセージSWの箇所では、「Enter3」スイッチを受け付ける旨が表示・投射されている。なお、表示・投射させるEnterスイッチの種類の順番は、特にこだわらない。例えば、「Enter1」「Enter2」「Enter3」「Enter4」の順に表示・投射させても良いし、「Enter1」「Enter4」「Enter2」「Enter3」のように任意に表示・投射させても良い。
【0061】
第2実施形態のステップS180では、メイン回路40は、ステップS150において操作メッセージに表示されたEnterスイッチの種類について、タッチパネル31pの画面からEnterスイッチONの操作が行われたか否かを判定する。つまり、ここで受け付けるEnterスイッチの種類は、ステップS180を動作させる毎に異なることになる。図5(a)に示すタッチパネル31pの画面の例では、「Enter1」スイッチが押されたか否かによって判定し、図6(a)に示すタッチパネル31pの画面の例では、「Enter3」スイッチが押されたか否かによって判定する。
【0062】
<効果>
上述したように、本実施形態に係るプロジェクタでは、タッチパネル31pの画面及びスクリーン60に表示・投射させる操作メッセージに含まれるEnterスイッチについて、表示・投射させる毎に異なる種類のEnterスイッチとしている。そして、表示・投射されたEnterスイッチがタッチパネル31pの画面から押された場合、通常の高輝度の画像をスクリーン60に投射している。ユーザは、通常の高輝度の画像をスクリーン60に投射させるために、操作メッセージの内容を毎回確認する必要がある。これにより、警告及び操作メッセージがタッチパネル31pの画面及びスクリーン60に表示・投射された後に、ユーザが、十分安全を確認しないで続けてEnterスイッチを押してしまい、危険性のある投射光を目に受けてしまうのを防ぐことができる。
【0063】
(変形例1)
上記した実施形態では、プロジェクタ本体10が外部電力に接続された後、タッチパネル31pの画面からPowerスイッチONの操作を受け付けている。しかし、これに限られず、画像をスクリーン60に投射した状態から、ユーザによってPowerスイッチONの操作が行われることで光源部53が消灯され、その後、タッチパネル31pの画面から再度PowerスイッチONの操作を受け付ける場合にも適用される。また、タッチパネル31pの画面からPowerスイッチONの操作を受け付ける前に、例えば、パスワード入力の操作を受け付ける等の他の操作が介入しても良い。
【0064】
(変形例2)
上記した実施形態では、タッチパネル31pの画面に警告及び操作メッセージを表示させて、タッチパネル31pの画面からユーザの操作を受け付けている。しかし、タッチパネル31pに限られず、例えば、プロジェクタ本体10に設けた表示用のパネルに警告及び操作メッセージを表示させて、操作用のボタンからユーザの操作を受け付けても良い。また、リモコン装置に警告及び操作メッセージを表示させたり、リモコン装置からユーザの操作を受け付けたりしても良い。また、上記した実施形態では、PowerスイッチON及びEnterスイッチONの操作を受け付けるようにしたが、スイッチの種類はこれに限られず任意のスイッチ等が適用できる。
【0065】
(変形例3)
上記した実施形態では、警告及び操作メッセージをタッチパネル31pの画面及びスクリーン60に表示・投射させている。このとき、注意を促すために、例えばスクリーン60への投射光を点滅させる等しても良い。また、これらの表示・投射と共に、例えば、ブザー音を鳴らしたり、音声を出力したりして注意を促しても良い。
【0066】
(変形例4)
上記した実施形態では、光源部53に供給される電力を制御することで、光源部53から射出されるレーザ光の光量を調整し、投射部50から投射される光の光強度を制御している。しかし、これに限られず、例えば、投射部50から光が投射されるまでの光路上にフィルタや絞り等を設けることにより光強度を調整したり、投射すべき画像データを処理することにより光強度を調整したりしても良い。また、投射される光の光強度をユーザによって自由に設定できるようにしても良い。
【0067】
(変形例5)
上記した実施形態では、光源部53としてレーザ光を射出するレーザ光源装置を用いたが、これに限られず、例えば、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ及び高圧水銀ランプ等の放電式ランプを用いても良い。
【0068】
(変形例6)
上記した実施形態では、図4(a)に示すような警告及び操作メッセージをタッチパネル31pの画面に表示するとともに、図4(b)に示すような警告及び操作メッセージをスクリーン60に投射させている。しかし、ユーザがスクリーン60を見るように促すメッセージをタッチパネル31pの画面に表示するとともに、図4(b)に示すような警告及び操作メッセージをスクリーン60に投射してもよい。この場合、タッチパネル31pの画面を見ているユーザがスクリーン60を確実に確認することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…プロジェクタ、10…プロジェクタ本体、11…リモコン装置、20…電源回路、21…電源ケーブル、22…検出回路、23…スイッチ回路、31…表示部、31a…システム表示部、31b…メッセージ表示部、31p…タッチパネル、32…リモコン用回路、33…IF制御回路、34…映像入力回路、40…メイン回路、41…CPU、42…メモリ、43…報知部、44…光強度制御部、50…投射部、51…投写用液晶駆動回路、52…光源装置駆動回路、53…光源部、54…液晶パネル、55…投写レンズ、60…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの操作を受け付ける操作部と、
画像信号に応じた光を投射する投射部と、
前記投射部から投射される光の光強度を制御する光強度制御部とを有し、
前記操作部が前記ユーザからの操作を複数回受け付けたときに、前記光強度制御部は、前記ユーザからの操作の受付順に応じて前記光強度を制御することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
前記光強度制御部は、前記ユーザから第1の操作を受け付けたときに第1の光強度の光が前記投射部から投射されるように制御し、前記第1の操作に続けて第2の操作を受け付けたときに前記第1の光強度よりも大きい第2の光強度の光が前記投射部から投射されるように制御することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記第1の操作及び前記第2の操作は、前記投射部から光を投射させることを指示する操作であることを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記操作部は、前記第1の操作を受け付けてから所定の時間が経過した後に、前記第2の操作を受け付けることを特徴とする請求項2又は3に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記所定の時間は、略5秒以上であることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
ユーザに報知すべき報知情報を出力する報知部を更に備え、
前記第1の光強度の光が前記投射部から投射されるときに、
前記報知部は、前記投射部から投射される光に対して注意を促す情報を含む報知情報を出力することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記報知部は、前記報知情報を含む前記第1の光強度の光を前記投射部から投射させることを特徴とする請求項6に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
ユーザに情報を表示する表示部を更に備え、
前記報知部は、前記報知情報を前記表示部によって表示させることを特徴とする請求項6又は7に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
前記第2の操作における前記操作部の操作は、当該第2の操作を受け付ける毎に異なることを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記第1の光強度と前記第2の光強度とのうち少なくとも前記第1の光強度は、ユーザによって設定可能であることを特徴とする請求項2から9のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項11】
前記投射部は、光を射出する光源部を有し、
前記光強度制御部は、前記光源部から射出される光の光量を調整することによって前記投射部から投射される光の光強度を制御することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項12】
前記光源部から射出される光はレーザ光であることを特徴とする請求項11に記載のプロジェクタ。
【請求項13】
前記第1の光強度の光が前記投射部から投射された後に、前記光源部から射出された光の光量の安定度を検証する処理を行うことを特徴とする請求項12に記載のプロジェクタ。
【請求項14】
ユーザからの操作を受け付ける操作工程と、
画像信号に応じた光を投射する投射工程と、
前記投射工程において投射される光の光強度を制御する光強度制御工程とを有し、
前記操作工程において前記ユーザからの操作を複数回受け付けたときに、前記光強度制御工程では、前記ユーザからの操作の受付順に応じて前記光強度を制御することを特徴とするプロジェクタの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−54370(P2013−54370A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235440(P2012−235440)
【出願日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【分割の表示】特願2008−105408(P2008−105408)の分割
【原出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】