説明

プロジェクタ用スクリーン

【課題】携帯性に優れた小型のプロジェクタ用スクリーンを提供することを目的とする。また、部材点数を減らすことにより、経済性に優れた小型のプロジェクタ用スクリーンを提供することも目的とする。
【解決手段】支持体とスクリーン部材とが連結手段を介して接続されてなり、前記支持体と前記スクリーン部材とが一体化されてなることを特徴とするプロジェクタ用スクリーン。
前記支持体の端部が折り曲げられてなり、該端部にスクリーン部材の端部が接続されてなることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ用スクリーン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ用スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ装置は、ビデオデッキ、レーザーディスク、パソコン等の映像ソースからの情報をスクリーンや壁等に投射して、大きなスクリーンサイズの映像を得ることができる。しかしながら、従来のプロジェクタ装置およびプロジェクタスクリーンは大画面、高画質を追求することを目的としていたため、収納性はあまり考慮されていなかった。
そこで、収納性に優れたプロジェクタ用スクリーン装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたプロジェクタ用スクリーン装置は、スクリーンの少なくとも片側が巻き取りユニットに接続されてなる。該巻き取りユニットはスクリーンを巻き取るものである。
【0004】
【特許文献1】特開平10−228065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、プロジェクタ装置の小型化が進んでいることから、プロジェクタ用スクリーン装置の小型化が望まれている。しかしながら、特許文献1に記載された発明では、スクリーンを巻き取りユニットによって収納する必要があった。そのため、従来の技術においてはプロジェクタ用スクリーン装置自体が大型になりやすく、携帯性に優れた小型プロジェクタ用スクリーンは得られていなかった。
また、特許文献1に記載された発明では、巻き取りユニット以外にもケース、スピーカ、キャリングハンドル、スクリーン転倒防止アーム等の複数の部材が必要となることから、コスト高を招く問題を有していた。
【0006】
本発明は上記問題を解決するものである。すなわち、本発明の目的は携帯性に優れた小型のプロジェクタ用スクリーンを提供することを目的とする。また、部材点数を減らすことにより、経済性に優れた小型のプロジェクタ用スクリーンを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の技術的構成により上記課題を解決したものである。
【0008】
(1)支持体とスクリーン部材とが連結手段を介して接続されてなり、前記支持体と前記スクリーン部材とが一体化されてなることを特徴とするプロジェクタ用スクリーン。
(2)前記支持体の端部が折り曲げられてなり、該端部にスクリーン部材の端部が接続されてなることを特徴とする前記(1)に記載のプロジェクタ用スクリーン。
(3)前記支持体に挿入孔が形成されてなり、該挿入孔にスクリーン部材の端部が挿入されてなり、前記スクリーン部材の端部が折り曲げ部を有することを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載のプロジェクタ用スクリーン。
(4)前記支持体に背表紙部が設けられてなることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のプロジェクタ用スクリーン。
(5)前記スクリーンの短手方向の一方の端部が、挟持部材によって挟み込まれてなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のプロジェクタ用スクリーン。
(6)前記スクリーンの短手方向における両端部が、挟持部材によって挟み込まれてなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のプロジェクタ用スクリーン。
(7)前記スクリーンに弾性体が設けられてなることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のプロジェクタ用スクリーン。
(8)前記スクリーンのスクリーン部材に、異方性拡散要素が積層されてなることを特徴とする前記(1)〜(7)に記載のプロジェクタ用スクリーン。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯性に優れた小型のプロジェクタ用スクリーンを提供することができる。また、本発明によれば部材点数を減らすことができるため、経済性に優れた小型のプロジェクタ用スクリーンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図を用いて説明する。なお、本発明においては、図1、図8、図14等に示すようにスクリーンが直線状となる状態(プロジェクタ装置から映像を投射してプロジェクタ用スクリーンとして使用できる状態)を「開いた状態」という。また、本発明においては、図7および図17に示すように、スクリーンが折り畳まれてなる状態を「閉じた状態」という。
【0011】
本発明は、支持体とスクリーン部材とが連結手段を介して接続されてなり、前記支持体と前記スクリーン部材とが一体化されてなることを特徴とするプロジェクタ用スクリーンである。
上記連結手段としては、例えば、後述する実施形態1〜3のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、スクリーン部材が支持体内部に折り畳むことができるように支持体とスクリーン部材とが接続されていればよい。
本発明において、支持体とスクリーン部材とが一体化されてなるとは、スクリーン部材の開閉の動きに連動して支持体が動作するように、支持体とスクリーン部材とが接続された状態をいう。
【0012】
(実施形態1)
図1〜図5は実施形態1のプロジェクタ用スクリーンの開いた状態を示す図である。図1が正面図、図2が平面図、図3が背面図、図4が左側面図、図5が右側面図である。なお、実施形態1のプロジェクタ用スクリーンの底面図は、図2に示す平面図の対称となるため省略する。
【0013】
図1および図2に示すように、実施形態1のプロジェクタ用スクリーン1は、支持体10上にスクリーン部材40が設けられてなる。支持体10と連結部材20、21とは接着剤、粘着剤、溶着等の接続手段によって接続されてなる。連結部材20、21と挟持部材30、31とは接着剤、粘着剤、溶着等の接続手段によって接続されてなる。スクリーン部材40の両端は挟持部材30、31に挟み込まれてなる。挟持部材30は、長手方向Aにおけるスクリーン部材40の両端部40a、40a’を挟み込むものである。すなわち、本発明を構成するスクリーン部材40は、挟持部材30、31および連結部材20、21からなる連結手段を介して支持体10と一体化して接続されてなる。
【0014】
図1において短手方向Bは長手方向Aに直交する方向を示す。また、10b、10b’は、それぞれ支持体10の端部を示す。
【0015】
図2に示すように実施形態1のプロジェクタ用スクリーン1は、開いた状態において、スクリーン部材40と支持体10との間に空間50が存在する。
【0016】
連結部材20、21は、開いた状態および閉じた状態を調節する部材である。
図2に示すように、連結部材20、21は、支持体連結部20a、21aと中間連結部20b、21bと挟持部材連結部20c、21cからなり、これら3つの部材が一体化されてなるものである。
支持体連結部20a、21aと支持体10間および挟持部材連結部20c、21cと挟持部材30、31間は、接着剤、粘着剤、溶着、封止樹脂等の接続手段を介して接続されてなる。すなわち、支持体10と挟持部材30、31とは、連結部材20、21を介して接続・一体化されてなる。
【0017】
中間連結部20b、21bは、支持体連結部20a、21aと挟持部材連結部20c、21cとの中間部位をいう。中間連結部20b、21bは、支持体10または挟持部材30、31と接続手段を介して直接接続されていないため、中間連結部20b、21bを支点部位として、挟持部材連結部20c、21cを支持体連結部20a、21a側に折り畳むことができる。
これによって、図7に示すように、挟持部材連結部20c、21cおよび挟持部材30、31を介して接続されてなるスクリーン部材40を空間50に折り畳むことができるため、プロジェクタ用スクリーン1の携帯性が向上する。また、支持体10を折り畳む際に、連結部材20、21および挟持部材30、31を介してスクリーン部材40を折り畳むことにより、スクリーン部材にシワを形成させず空間50にスクリーン部材40を収納することができる。
【0018】
連結部材20、21の形状は、図2等に示すようにコの字型のものを使用することができるが、これに限定されない。すなわち、連結部材20、21は、支持体連結部20a、21aと中間連結部20b、21bと挟持部材連結部20c、21cとを有するものであればよい。連結部材20、21の形状としては、例えば、U字型、V字型、ユの字型等を挙げることができる。
【0019】
支持体10上に形成されてなる連結部材20、21の位置は限定されない。したがって、例えば、連結部材20、21は支持体10の端部10bから端部10b’まで連続的に形成されていてもよいし、支持体10の端部10bから端部10b’までを破線状に断片的に形成されてなるものであってもよい。また、連結部材20と21は独立して形成させることができるため、連結部材20を支持体10の一方の端部10bに形成し、連結部材21を支持体10の一方の端部10b’に形成することもできる。加えて、連結部材20、21を支持体10の短手方向Bにおける中央付近(端部10b、10b’から離れたところ)に形成してもよい。
本実施形態においては、連結部材20が支持体10の端部から端部まで連続的に形成されていると、プロジェクタ用スクリーン1を折り畳みやすくなるとともに、プロジェクタ用スクリーン1の強度が向上するため好ましい。
【0020】
連結部材20には挟持部材30が接続される。挟持部材30の形成位置は連結部材20の形成位置によって適宜決定すればよい。
【0021】
プロジェクタ用スクリーン1を開いた状態にすると、図2に示すように支持体10はV字状に広がる。V字状に広がった支持体10の端部10bまたは10b’を机やテーブル等の台上に載置することにより、プロジェクタ用スクリーン1を直立させることができる。
支持体10はプロジェクタ用スクリーン1を直立させることができ、且つ、折り畳むことができればよいのであって、その平面図における形状は制限されないが、例えば、半円状、W(M)字状、V字状等を挙げることができる。
【0022】
本発明における挟持部材を説明する。図6はスクリーン部材40と挟持部材の拡大分解平面図である。図6(a)は挟持部材の一実施形態を示す図、図6(b)は挟持部材の別の実施形態を示す図である。図6にはスクリーン部材40の一方の端部41を示しているが、スクリーン部材40のもう一方の端部も同様に挟持部材を有する。
【0023】
図6(a)に示すように、スクリーン部材の端部41は、挟持部材32と挟持部材33の間に挟み込まれてなる。スクリーン部材の端部41は挟持部材32、33に挟み込まれてなるものであればよく、端部41が挟持部材32、33から突出するものであってもよいし、突出しなくてもよい。挟持部材32、33とスクリーン部材40とは接着剤、粘着剤、溶着、封止樹脂等の接続手段によって接続・一体化されてなる。これらの接続手段は単独でも、組み合わせて行ってもよい。
【0024】
本明細書において挟持部材とは、スクリーン部材40を挟み込むことができ、且つ、接続手段によってスクリーン部材40と接続・一体化されてなるものであればよく、その形状は制限されない。挟持部材の形状としては、図6(b)に示すようなコの字状の挟持部材34を使用することもできる。
挟持部材34とスクリーン部材40との接続は、挟持部材34の凹部35にスクリーン部材40を挿入した後、上記接続手段を介して行うことができる。
【0025】
上記の構成を有する実施形態1のプロジェクタ用スクリーン1は、図7に示すように、支持体10を折り畳むことによって、空間50にスクリーン40を収納することができる。これによって、携帯性に優れたプロジェクタ用スクリーンを提供することができる。
また、実施形態1によれば、部材点数を減らすことができるため、経済性に優れた小型のプロジェクタ用スクリーンを提供することができる。
【0026】
(実施形態2)
図8〜図9は、実施形態2のプロジェクタ用スクリーン5の開いた状態を示す図である。図8が正面図、図9が平面図である。
【0027】
実施形態2のプロジェクタ用スクリーン5は、支持体10の両端部に折り曲げ部60、61と折り返し部70、71を有する。折り返し部70、71とスクリーン部材40の端部が連結されてなる部分が連結部80、81となる。
【0028】
折り曲げ部60、61は折り曲げ点60a、60b、61a、61bを有している。折り曲げ点60aまたは60b、61aまたは61bを支点として、折り曲げ部60、61または折り返し部70、71を可動方向Cに可動させることができる。これによって、連結部80、81を介して接続されてなるスクリーン部材40を空間50に収納することができる。なお、折り曲げ点が形成される個数は適宜決定すればよい。
実施形態2のプロジェクタ用スクリーン5は、連結手段として折り曲げ部60、61と接続部80、81を用いることによって、スクリーン部材40を空間50に収納するものである。すなわち、実施形態2のプロジェクタ用スクリーン5は、連結手段である折り曲げ部60、61と接続部80、81を介して、閉じた状態および開いた状態を調節することができる。
【0029】
図9には、スクリーン部材40が最前面に設けられている図が示されているが、スクリーン部材40を設ける位置はこれに限定されない。例えば、折り返し部70、71を最前面に設け、スクリーン部材40が支持体10の両端部に挟まれるような形にしてもよい。また、図9に示す折り返し部70、71の反対面(空間50側)にスクリーン部材40を形成することもできる。
折り返し部70、71とスクリーン部材40との接続は、接着剤、粘着剤、溶着、封止樹脂等の接続手段を使用することができる。
【0030】
折り曲げ部60、61および折り返し部70、71は、支持体10の両端部を折り曲げることによって形成させることができる。
なお、支持体とスクリーンとが一体化されてなるものであれば、折り曲げ部60、61または折り返し部70、71は、支持体10から独立した材料を使用することもできる。独立した材料を使用した場合、接着剤等の接続手段を介して接続すればよい。
また、折り曲げ部60、61と折り返し部70、71の形状も限定されない。
【0031】
(実施形態3)
図10〜図11は、実施形態3のプロジェクタ用スクリーン6の開いた状態を示す図である。図10が正面図、図11が平面図である。
【0032】
実施形態3のプロジェクタ用スクリーン6は、支持体10に挿入孔90、91が形成されてなり、挿入孔90、91にスクリーン部材40の端部40a、40a’が挿入されてなり、スクリーン部材40の端部40a、40a’が折り曲げ部62、63を有するものである。
折り返し部72、73は接着剤、粘着剤、溶着、封止樹脂等の接続手段を介して、支持体10に、接続させることもできる。また、挿入孔90、91にスクリーン部材40を挿入した後、挿入孔90、91内に上記の接続手段を使用してもよい。
【0033】
折り曲げ部62、63は、スクリーン部材40の中心に向かうように折り曲げられてなるものであってもよいし、支持体10の端部に向かうように折り曲げられてなるものであってもよい。折り曲げ部62、63は図10および図11に示すように、スクリーン部材40の中心に向かうように折り曲げられてなることが収納性の点から好ましい。
【0034】
挿入孔90、91は、スクリーン部材40の端部40a、40a’を挿入することができればよく、その大きさ、形状、個数は制限されない。
【0035】
図11において、スクリーン部材40の端部40a、40a’はプロジェクタ用スクリーン6の最背面に存在している。挿入孔90、91に加え、別の挿入孔92、93を支持体10に形成させたものが図12である。挿入孔92、93にはスクリーン部材40の端部40a、40a’を挿入することができる。図12に示すプロジェクタ用スクリーン6aにより、スクリーン部材40の開閉を繰り返した場合においても、スクリーン部材40と支持体10との接続状態を好適に維持することができる。
【0036】
図11において、スクリーン部材40の端部40a、40a’を支持体10の内部に存在させることもできる。その作製方法としては、例えば、図11に示すプロジェクタ用スクリーン6を作製した後、図13に示すように、支持体10および折り曲げ部62、63上に、新たな支持体11を重ね、プロジェクタ用スクリーン6bとしてもよい。当該接触部位には接着剤、粘着剤、溶着、封止樹脂等の接続手段を使用する方法が挙げられる。
【0037】
実施形態3のプロジェクタ用スクリーン6は、連結手段として挿入孔90、91を介してスクリーン部材の端部40a、40a’を挿入し、折り曲げ部62、63を有するため、スクリーン部材40を空間50に収納することができる。すなわち、実施形態3のプロジェクタ用スクリーン6は、挿入孔90、91にスクリーン部材40の端部40a、40a’を挿入することを連結手段とするものである。これによって、実施形態3のプロジェクタ用スクリーン6は、閉じた状態および開いた状態を調節することができる。
【0038】
(実施形態4)
図14〜図16は実施形態4のプロジェクタ用スクリーンの開いた状態を示す図である。図14が正面図、図15が平面図、図16が背面図である。実施形態4のプロジェクタ用スクリーンの底面図は、図15に示す平面図の対称となるため省略する。
図17は、実施形態4のプロジェクタ用スクリーンの閉じた状態を示す図である。
実施形態4のプロジェクタ用スクリーンは、支持体に背表紙部を設けたこと以外は、実施形態1のプロジェクタ用スクリーンと同一である。
なお、背表紙部は実施形態2および実施形態3のプロジェクタ用スクリーンにも形成させることができる。
【0039】
背表紙部11とは、支持体10上に形成されてなる折り曲げ部12、13に挟まれてなる部分をいう。折り曲げ部12および13は支持体上に形成されてなるものであればよいのであって、折り曲げ部12、13の形成位置や個数は限定されない。したがって、例えば、折り曲げ部12、13は図14に示すように支持体10の端部10bから端部10b’まで連続的に形成されていてもよいし、図18に示すように折り曲げ部12、13が支持体10の端部10bから端部10b’まで破線状に断片的に形成されてなるものであってもよい。また、図19に示すように折り曲げ部12を支持体10の一方の端部10bに形成し、折り曲げ部13を支持体10の一方の端部10b’に形成してもよい。加えて、図20に示すように折り曲げ部12、13を支持体10の短手方向Bにおける中央付近(端部10b、10b’から離れたところ)に形成してもよい。
【0040】
また、折り曲げ部12、13の形成位置や個数はそれぞれ独立して決定することができる。
本実施形態においては、折り曲げ部12と13が短手方向Bと平行になるように設けられていることが好ましい。これによってプロジェクタ用スクリーン2を折り畳みやすくなる。
本実施形態においては、折り曲げ部12、13は支持体10の端部から端部まで連続的に形成されていることがさらに好ましい。これによって、プロジェクタ用スクリーン2がさらに折り畳みやすくなるとともに、折り畳んだ状態を保ちやすくなる。
【0041】
実施形態4のプロジェクタ用スクリーン2を折り畳んだ図を図17に示した。
実施形態4のプロジェクタ用スクリーン2は背表紙部11があることにより、スクリーン部材40を折り畳んだ状態において、実施形態1に比べ、スクリーン部材40を折り畳んだ状態が緩やかな角度で保持されることになる。これによって、スクリーン部材40を折り畳んだ状態においても形状が記憶されにくくなるため、開いた状態において、スクリーン部材40を良好に保つことができる。
また、図17には示していないが、支持体10上にマジックファスナー(登録商標)を設けてもよい。マジックファスナー(登録商標)を設けることにより、プロジェクタ用スクリーン2を折り畳んだ状態にて好適に維持することができる。
【0042】
(実施形態5)
図21および図22は実施形態5のプロジェクタ用スクリーン3の開いた状態を示す図である。図21が正面図、図22が平面図である。
実施形態4のプロジェクタ用スクリーンは、挟持部材36、37を設けた以外は、実施形態1のプロジェクタ用スクリーンと同一である。
なお、挟持部材36、37は実施形態2〜実施形態4のプロジェクタ用スクリーンにも形成させることができる。
【0043】
実施形態5のプロジェクタ用スクリーン3は、スクリーン部材40の短手方向Bにおける一方の端部10bまたは10b’が挟持部材36、37によって挟み込まれてなる。
これによって、開いた状態におけるプロジェクタ用スクリーン3を直立させやすくなる。また、直立させる際に、挟持部材36、37を介して机やテーブル等の台上に載置させることができるため、挟持部材36、37によって覆われてなるスクリーン部材の端部40bまたは40b’の損傷を防ぐことができる。また、支持体10を折り畳む際にスクリーン部材40にシワを形成させずに、空間50にスクリーン部材40を収納することができる。
【0044】
挟持部材36、37はスクリーン部材40の端部40bまたは40b’の全てを覆う必要はなく、その端部を部分的に覆うものであればよい。挟持部材36、37の形状としては、例えば、図6(a)、(b)に示した構造等を有することができる。
【0045】
挟持部材36、37と挟持部材30、31とは一体化された構成であってもよいし、それぞれ独立した構成であってもよい。プロジェクタ用スクリーンの強度を向上させる点からは、挟持部材36、37と挟持部材30、31とが一体化されてL字状の形状を有することが好ましい。
【0046】
実施形態5のプロジェクタ用スクリーンの支持体上には、実施形態4で示した背表紙部を設けることもできる。
背表紙部を設ける場合、プロジェクタ用スクリーンを開いた状態の正面図において、背表紙部を構成する折り曲げ部と図21でいう挟持部材36、37とが重ならないようにすること(折り曲げ部と挟持部材とを独立して視認し得ること)が折り畳み性の点から好ましい。
【0047】
(実施形態6)
図23は実施形態6のプロジェクタ用スクリーンの開いた状態を示す正面図である。
挟持部材38、39を設けた以外は実施形態5のプロジェクタ用スクリーンと同一である。
なお、挟持部材36、37、38、39は実施形態1〜実施形態4のプロジェクタ用スクリーンにも形成させることができる。
挟持部材38、39と挟持部材36、37と挟持部材30、31とは一体化された構成であってもよいし、それぞれ独立した構成であってもよい。プロジェクタ用スクリーンの強度を向上させる点からは、挟持部材38、39と挟持部材36、37と挟持部材30、31とが一体化されてコの字状の形状を有することが好ましい。
【0048】
実施形態6のプロジェクタ用スクリーン4は、スクリーン部材40の短手方向における両端部40b、40b’が挟持部材36、37、38、39によって挟み込まれてなる。
これによって、スクリーン部材40の両端部40b、40b’における損傷を防ぐことができる。また、実施形態5よりもさらに支持体10を折り畳む際にスクリーン部材40にシワを形成させずに、空間50にスクリーン部材40を収納することができる。
【0049】
(実施形態7)
図24は実施形態7のプロジェクタ用スクリーン7の開いた状態を示す正面図、図25はその平面図である。
弾性体100、101および固定部110、111、112、113を設けた以外は実施形態1のプロジェクタ用スクリーンと同一である。
なお、弾性体100、101および固定部110、111、112、113は実施形態2〜実施形態6のプロジェクタ用スクリーンにも設けることができる。
【0050】
弾性体100、101は固定部110、111、112、113によってスクリーン部材40に固定されている。弾性体100、101は開いた状態において、正面から見えないようにスクリーン部材40の背面に設けることが好ましい。固定部110、111、112、113は正面から見えるように設けることが好ましい。すなわち、スクリーン部材40の背面に設けられた弾性体100、101は、スクリーン部材40の表面に設けられた固定部110、111、112、113によって固定されてなることが好ましい。
実施形態5および実施形態6の挟持部材を使用したプロジェクタ用スクリーンであれば、挟持部材上に固定部110、111、112、113を設け、挟持部材を挿通するようにして弾性体100、101と固定部とを固定すればよい。
【0051】
弾性体100、101は、スクリーン部材40の開いた状態を好適に保つことができる。すなわち、スクリーン部材40は、閉じた状態および開いた状態を繰り返すことにより、開いた状態において閉じた状態の形状が記憶され、開いた状態を良好に保ちにくくなりやすいが、弾性体100、101によって閉じた状態の形状が記憶されにくくなるため開いた状態を良好に保つことができる。
【0052】
弾性体としては、スクリーン部材に固定した際に、閉じた状態の形状が記憶されにくく、且つ開いた状態を良好に保つことができるものであれば良く、制限されない。具体的には、例えば、板バネ、高分子材料からなるゴム状体等を挙げることができる。本発明においては、板バネを使用することが好ましい。板バネは、強度に優れるとともに、閉じた状態および開いた状態を繰り返した場合における形状安定性に優れる。
【0053】
弾性体100、101は、開いた状態を良好に保つことができるものであればよく、その形成位置はスクリーン部材を開閉する際に中心となる点あるいは線を跨って形成されるものであればよく、制限されない。例えば、図24に示すように長手方向Aにおけるスクリーン部材の端部40a、40a’を折り畳む場合の中心線はLとなるが、弾性体100、101は中心線Lを跨って、長手方向Aと平行になるように設けることができる。また、弾性体は中心線Lを跨って形成されるものであればよいのであるから、弾性体100、101がたすき掛けされてなるように形成されてもよい。
加えて、弾性体100、101は短手方向Bにおけるスクリーン部材の端部40b、40b’付近に形成させることが好ましい。
【0054】
以下、本発明を構成する材料を中心に説明する。
本発明を構成するスクリーン部材としては、例えば、アルミニウム等の金属板、シート、フォイル、メッキや蒸着により設けられるアルミニウムや銀等の金属薄膜、酸化チタン等の白色顔料を練り込んだり、塗工したフィルム、アルミニウムやパール顔料等の反射性板状粒子を練り込んだり、塗工したフィルム等を使用することができる。
スクリーン部材は折り曲げて収納されることから、その材料としてはフィルム上にアルミニウム等の金属箔膜を形成させたものが好ましく使用できる。
【0055】
支持体、連結部材、挟持部材、背表紙部を構成する材料としては、例えば、板紙や樹脂製材料等を使用することができる。樹脂製材料として具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン等を挙げることができる。
【0056】
支持体と背表紙部は異なる材料を使用することもできるが、同じ材料を使用することが好ましい。同じ材料として板紙を使用する場合は、例えば、支持体を曲げることによって折り曲げ部を形成することにより、背表紙部が作製される。同じ材料として樹脂製材料を使用する場合は、例えば、折り曲げ部となる部分を支持体の厚さよりも薄くすることによって、背表紙部を作製することができる。
【0057】
支持体と連結部材間、連結部材と挟持部材間、挟持部材とスクリーン部材間は、粘着剤、接着剤、溶着、封止樹脂等により接続することができる。粘着剤、接着剤および封止樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を使用することができる。
【0058】
上述のスクリーン部材上には異方性拡散要素を設けることができる。
本明細書において、異方性拡散要素とはその厚さ方向に一定角度傾斜して延在する多数の柱状物を含み、その柱状物とその周囲、或は柱状物の芯側と外側とで屈折率が異なっていると考えられているものをいう。
【0059】
この異方性拡散要素は、その透過特性が入射角依存性を有するものであるため、プロジェクタからの投影光を効率良く観察者に届けると共に、外光の影響を低減する効果がある。すなわち、スクリーン部材に異方性拡散要素を設けることにより、小型プロジェクタを使用しても明るい画像を得ることができる。小型プロジェクタの容量は大型のプロジェクタに比べ光量の限界が低く、明るい画像が得られにくくなるが、スクリーン部材上に異方性拡散要素を設けることにより、これを解決することができるものである。
例えば、小型プロジェクタの容量が300LUXである場合、スクリーン部材のみを用いた実用性のあるスクリーンの大きさは5インチ程度であるが、スクリーン部材上に異方性拡散要素を設けることによって15インチ程度にまで拡大させることができる。
【0060】
(異方性拡散要素の原料(光重合性化合物))
異方性拡散要素を形成するのに必須な材料である光重合性化合物は、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するポリマー、オリゴマー、モノマーから選択される光重合性化合物と光開始剤とから構成され、紫外線及び/又は可視光線を照射することにより重合・固化する材料である。
【0061】
ラジカル重合性化合物は、主に分子中に1個以上の不飽和二重結合を含有するもので、具体的にはエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート等の名称で呼ばれるアクリルオリゴマーと、2―エチルヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソノルボルニルアクリレート、2―ヒドロキシエチルアクリレート、2―ヒドロキシプロピルアクリレート、2―アクリロイロキシフタル酸、ジシクロペンテニルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6―ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変成トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のアクリレートモノマーが挙げられる。また、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。尚、上記したアクリレートに代えてメタクリレートも使用可能である。
【0062】
カチオン重合性化合物としては、分子中にエポキシ基やビニルエーテル基、オキセタン基を1個以上有する化合物が使用出来る。エポキシ基を有する化合物としては、2―エチルヘキシルジグリコールグリシジルエーテル、ビフェニルのグリシジルエーテル、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラック、オルトクレゾールノボラック等のノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、1,4―シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのEO付加物、ビスフェノールAのPO付加物等のアルキレングリコール類のジグリシジルエーテル類、ヘキサヒドロフタル酸のグリシジルエステルやダイマー酸のジグリシジルエステル等のグリシジルエステル類が挙げられる。
【0063】
更に、3,4―エポキシシクロヘキシルメチル―3',4'―エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2―(3,4―エポキシシクロヘキシル―5,5―スピロ―3,4―エポキシ)シクロヘキサン―メタ―ジオキサン、ジ(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ(3,4―エポキシ―6―メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4―エポキシ―6―メチルシクロヘキシル―3',4'―エポキシ―6'―メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4―エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4―エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4―エポキシシクロヘキシルメチル―3',4'―エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、テトラ(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、ジ(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)―4,5―エポキシテトラヒドロフタレート等の脂環式エポキシ化合物も挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えばジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。尚ビニルエーテル化合物は、一般にはカチオン重合性であるが、アクリレートと組み合わせることによりラジカル重合も可能で
ある。
【0065】
またオキセタン基を有する化合物としては、1,4―ビス[(3―エチル―3―オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3―エチル―3―(ヒドロキシメチル)―オキセタン等が使用できる。
【0066】
尚、以上のカチオン重合性化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。上記光重合性化合物は、上述に限定されるものではない。また、十分な屈折率差を生じさせるべく、上記光重合性化合物には、低屈折率化を図るために、フッ素原子(F)を導入しても良く、高屈折率化を図るために、硫黄原子(S)、臭素原子(Br)、各種金属原子を導入しても良い。また、特表2005−514487に開示されるように、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化錫(SnOx)等の高屈折率の金属酸化物からなる超微粒子の表面に、アクリル基やメタクリル基、エポキシ基等の光硬化性性官能基を導入した機能性超微粒子を上述の光重合性化合物に添加することも有効である。
【0067】
(異方性拡散要素の原料(光開始剤))
ラジカル重合性化合物を重合させることの出来る光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2―クロロチオキサントン、2,4―ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2―ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2―ジメトキシ―1,2―ジフェニルエタン―1―オン、2―ヒドロキシ―2―メチル―1―フェニルプロパン―1―オン、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2―メチル―1―[4―(メチルチオ)フェニル]―2―モルフォリノプロパノン―1、1―[4―(2―ヒドロキシエトキシ)―フェニル]―2―ヒドロキシ―2―メチル―1―プロパン―1―オン、ビス(シクロペンタジエニル)―ビス(2,6―ジフルオロ―3―(ピル―1―イル)チタニウム、2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルフォリノフェニル)―ブタノン―1、2,4,6―トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
【0068】
またカチオン重合性化合物の光開始剤は、光照射によって酸を発生し、この発生した酸により上述のカチオン重合性化合物を重合させることが出来る化合物であり、一般的には、オニウム塩、メタロセン錯体が好適に用いられる。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩等が使用され、これらの対イオンには、BF、PF、AsF、SbF等のアニオンが用いられる。具体例としては、4―クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4―フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4―フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4―(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド―ビス―ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4―(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド―ビス―ヘキサフルオロホスフェート、(4―メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4―メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4―t―ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェート、(η5―イソプロピルベンゼン)(η5―シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
【0069】
(異方性拡散要素の原料(配合量、その他任意成分))
本発明において、上記光開始剤は、光重合性化合物100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部、より好ましくは0.1〜5重量部程度配合される。これは、0.01重量部未満では光硬化性が低下し、10重量部を超えて配合した場合には、表面だけが硬化して内部の硬化性が低下してしまう弊害、着色、柱状体の形成の阻害を招くからである。これらの光開始剤は、通常粉体を光重合性化合物中に直接溶解して使用されるが、溶解性が悪い場合は光開始剤を予め極少量の溶剤に高濃度に溶解させたものを使用することも出来る。このような溶剤としては光硬化性であることが更に好ましく、具体的には炭酸プロピレン、γ―ブチロラクトン等が挙げられる。また、光硬化性を向上させるために公知の各種染料や増感剤を添加することも可能である。更に光重合性化合物を加熱により硬化させることの出来る熱硬化開始剤を光開始剤と共に併用することも出来る。この場合、光硬化の後に加熱することにより光重合性化合物の重合硬化を更に促進し完全なものにすることが期待できる。
【0070】
本発明では、上記の光重合性化合物を単独で、又は複数を混合した組成物を硬化させて、異方性拡散媒体を形成することが出来る。また、光重合性化合物と光硬化性を有しない高分子樹脂の混合物を硬化させることによっても本発明の異方性拡散媒体を形成可能である。ここで使用できる高分子樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン―アクリル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩ビ―酢ビ共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。これらの高分子樹脂と光重合性化合物は、光硬化前は十分な相溶性を有していることが必要であるが、この相溶性を確保するために各種有機溶剤や可塑剤等を使用することも可能である。尚、光重合性化合物としてアクリレートを使用する場合は、高分子樹脂としてはアクリル樹脂から選択することが相溶性の点で好ましい。
溶剤としては、例えば、塗料の調製には酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等を使用することができる。
【0071】
(プロセス)
次に本発明の異方性拡散要素の製造方法(プロセス)について説明する。上述の光硬化性組成物を透明PETフィルムのような適当な基材上に塗布し又はシート状に設け、必要に応じて乾燥して溶剤を揮発させた上で、この光硬化性樹脂層上に平行光を照射することが必要である。平行光を得るためには、点光源を配置して、この点光源と光硬化性樹脂層の間に平行光を照射するためのフレネルレンズ等の光学レンズを配置して、光硬化性樹脂層に平行光を照射することで、上記の異方性拡散媒体を作製することが出来る。
【0072】
一方、線状光源を使用する場合は、特開2005−292219号公報に記載されているように、線状光源とシート状の光重合性化合物を含む組成物との間に、筒状物の集合を介在させ、この筒状物を通して光照射を行うことにより、本発明を構成する異方性拡散媒体を作製することができる。線状光源を使用すると連続生産を行うことができるため好ましい。
【0073】
尚、本発明を構成する異方性拡散媒体の特徴である柱状体を効率良く形成させるために、光硬化性組成物層の光照射側に密着して光の照射強度を局所的に変化させるマスクを積層することも可能である。マスクの材質としては、カーボン等の光吸収性のフィラーをポリマーマトリックス中に分散したもので、入射光の一部はカーボンに吸収されるが、開口部は光が十分に透過できるような構成のものが好ましい。また、通常の透明フィルムを光硬化性組成物層上に積層するだけでも、酸素障害を防ぎ柱状体の形成を促す上で有効である。
【0074】
ここで、光重合性化合物を含む組成物を基体上にシート状に設ける手法としては、通常の塗工方式や印刷方式が適用される。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。また、組成物が低粘度の場合は、基体の周囲に一定の高さの堰を設けて、この堰で囲まれた中に組成物をキャストすることも出来る。
【0075】
光重合性化合物を含む組成物に光照射を行うための光源としては、通常はショートアークの紫外線発生光源が使用され、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタハライドランプ、キセノンランプ等が使用可能である。
線状光源としては、ケミカルランプ(紫外線を出す蛍光灯)を使用することができる。ケミカルランプは、直径20〜50mm、発光長100〜1500mm程度のものが市販されており、作製する異方性拡散媒体の大きさに合わせて適宜選択することができる。
【0076】
光重合性化合物を含む組成物に照射する光線は、該光重合性化合物を硬化可能な波長を含んでいることが必要で、通常は水銀灯の365nmを中心とする波長の光が利用される。この波長帯を使って本発明の異方性拡散層を作製する場合、照度としては0.01〜100mW/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20mW/cmの範囲である。照度が0.01mW/cm以下であると硬化に長時間を要するため、生産効率が悪くなり、100mW/cm以上であると光重合性化合物の硬化が速過ぎて構造形成を生じず、目的の異方性拡散特性を発現できなくなるからである。
【0077】
異方性拡散要素とスクリーン部材の積層は、互いを接着または密着させる限りどのような方法でもよく、例えば、接着剤、粘着剤、熱処理の他、スクリーン部材上に異方性拡散要素を構成する材料を塗工することにより積層してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施形態1のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図2】実施形態1のプロジェクタ用スクリーンの平面図
【図3】実施形態1のプロジェクタ用スクリーンの背面図
【図4】実施形態1のプロジェクタ用スクリーンの左側面図
【図5】実施形態1のプロジェクタ用スクリーンの右側面図
【図6】挟持部材とスクリーン部材の拡大分解平面図
【図7】実施形態1のプロジェクタ用スクリーンを折り畳んだ状態の平面図
【図8】実施形態2のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図9】実施形態2のプロジェクタ用スクリーンの平面図
【図10】実施形態3のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図11】実施形態3のプロジェクタ用スクリーンの平面図
【図12】実施形態3における別のプロジェクタ用スクリーンの平面図
【図13】実施形態3における別のプロジェクタ用スクリーンの平面図
【図14】実施形態4のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図15】実施形態4のプロジェクタ用スクリーンの平面図
【図16】実施形態4のプロジェクタ用スクリーンの背面図
【図17】実施形態4のプロジェクタ用スクリーンを折り畳んだ状態の平面図
【図18】実施形態4における別のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図19】実施形態4における別のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図20】実施形態4における別のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図21】実施形態5のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図22】実施形態5のプロジェクタ用スクリーンの平面図
【図23】実施形態6のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図24】実施形態7のプロジェクタ用スクリーンの正面図
【図25】実施形態7のプロジェクタ用スクリーンの平面図
【符号の説明】
【0079】
1、2、3、4、5、6、6a、6b、7 プロジェクタ用スクリーン
10、11 支持体
10b、10b’ 支持体の端部
11 背表紙部
12、13 折り曲げ部
20、21 連結部材
20a、21a 支持体連結部
20b、21b 中間連結部
20c、21c 挟持部材連結部
30、31、32、33、34、36、37、38、39 挟持部材
35 凹部
40 スクリーン部材
40a、40a’ スクリーン部材の端部
40b、40b’ スクリーン部材の端部
41 端面
50 空間
60、61、62、63 折り曲げ部
60a、60b、61a、61b 折り曲げ点
70、71 折り返し部
80、81 連結部
90、91、92、93 挿入孔
100、101 弾性体
110、111、112、113 固定部
A 長手方向
B 短手方向
C 可動方向
L 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体とスクリーン部材とが連結手段を介して接続されてなり、
前記支持体と前記スクリーン部材とが一体化されてなることを特徴とするプロジェクタ用スクリーン。
【請求項2】
前記支持体の端部が折り曲げられてなり、該端部にスクリーン部材の端部が接続されてなることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ用スクリーン。
【請求項3】
前記支持体に挿入孔が形成されてなり、該挿入孔にスクリーン部材の端部が挿入されてなり、前記スクリーン部材の端部が折り曲げ部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクタ用スクリーン。
【請求項4】
前記支持体に背表紙部が設けられてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
に記載のプロジェクタ用スクリーン。
【請求項5】
前記スクリーンの短手方向の一方の端部が、挟持部材によって挟み込まれてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロジェクタ用スクリーン。
【請求項6】
前記スクリーンの短手方向における両端部が、挟持部材によって挟み込まれてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロジェクタ用スクリーン。
【請求項7】
前記スクリーンに弾性体が設けられてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロジェクタ用スクリーン。
【請求項8】
前記スクリーンのスクリーン部材に、異方性拡散要素が積層されてなることを特徴とする請求項1〜7に記載のプロジェクタ用スクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−271316(P2009−271316A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121642(P2008−121642)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】