説明

プロジェクタ

【課題】送風ファンの回転数の制御の回数を減少させることにより回転数制御を簡素化しながら、急激な温度上昇の場合にも送風ファンの回転数の急激な変化による騒音の増大を抑制することが可能なプロジェクタを提供する。
【解決手段】このプロジェクタ1は、装置本体50と、装置本体50の内部に配置されるバルブ10aを含む光源ランプ10と、光源ランプ10の近傍の温度を測定する温度センサ20と、装置本体50の光源ランプ10に風を送る温度調整ファン21と、温度センサ20によって測定された温度に基づいて、温度センサ20による光源ランプ10の近傍の温度測定の時間間隔を制御するとともに、温度センサ20による光源ランプ10の近傍の温度測定毎に、温度センサ20によって測定された温度に基づいて、温度調整ファン21の回転数をPID制御する制御部31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロジェクタに関し、特に、送風ファンと温度測定手段とを備えるプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送風ファンと温度測定手段とを備えるプロジェクタが知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
上記特許文献1には、装置本体の内部を冷却するための冷却用ファン(送風ファン)と、装置本体内の温度を計測するための温度検出器(温度測定手段)と、温度検出器によって温度を測定する時間間隔を計測するためのタイマー部と、温度検出器によって検出された温度に基づいて冷却用ファンを制御する制御部とを備えるLCDプロジェクタ(プロジェクタ)が開示されている。このLCDプロジェクタでは、温度検出器による温度測定は、タイマー部により計測された一定の時間間隔で実行される。また、冷却用ファンの回転数は、温度検出器による温度検出毎に、検出された温度に基づいて制御されるとともに、温度検出器によって前回検出された温度との比較により、温度差がそれほど大きくない場合に冷却用ファンの回転数を急激に変化させないために、温度差に応じて回転数を多段階的に制御するように構成されている。これにより、装置本体内部の温度が急に上がった際にも、冷却用ファンの回転数が急激に上がることはないので、冷却用ファンの騒音が急激に増大するのを抑制することが可能となる。
【0004】
また、上記特許文献2には、ランプ(光源ランプ)や液晶パネル等からなる発熱部と、発熱部を冷却するための冷却ファン(送風ファン)と、発熱部近傍の温度を測定するための温度センサー(温度測定手段)と、冷却ファン近傍の周囲音を計測するためのマイクと、騒音検出回路と、温度センサーにより測定された温度と騒音検出回路によって検出された騒音とに基づいて冷却ファンの回転数を制御する制御部とを備える投射型表示装置(プロジェクタ)が開示されている。この投射型表示装置では、冷却ファンの騒音を周囲の騒音レベルと合わせたレベルに抑えるために、制御部により、温度センサーによって検出された温度と、マイクと騒音検出回路とによって検出された騒音レベルとに基づいて、冷却ファンの回転数が制御されるように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、装置本体の内部を冷却するためのファン(送風ファン)、ファンの駆動を制御するファン駆動コントロール回路(制御部)、および装置本体の内部の温度を測定するための温度センサ(温度測定手段)を含むプロジェクタと、プロジェクタとは別途設けられ、プロジェクタの周囲音の情報をプロジェクタに伝達するマイクとを備えるファン騒音低減装置が開示されている。このファン騒音低減装置が備えるプロジェクタでは、温度センサによって測定された温度と、マイクによって集音されたプロジェクタの周囲音とに基づいて、ファン駆動コントロール回路により、ファンの騒音を周囲の騒音と合わせるようにファンの回転数が制御されるように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、装置本体の内部を冷却するための冷却用ファン(送風ファン)と、装置本体の内部の温度を検出するための温度検出手段(温度測定手段)と、装置本体の設定を切り替えるための複数の操作パネルと、冷却用ファンの回転数を電圧により制御するためのマイクロコンピュータ(制御部)とを備える投射型表示装置(プロジェクタ)が開示されている。この投射型表示装置では、急激な温度上昇や、操作パネルによる装置本体の設定の切り替わりにより、冷却用ファンの回転数を急に上げる必要がある場合に、冷却用ファンの回転数が緩やかに上がるように制御されるように構成されている。
【0007】
また、上記特許文献5には、装置本体の内部を冷却するための冷却ファン(送風ファン)と、装置本体の内部の温度を検出するための温度センサ(温度測定手段)と、温度センサによって検出された温度に基づいて、冷却ファンの回転数を制御するための制御装置(制御部)とを備えるプロジェクタが開示されている。このプロジェクタでは、温度センサによって検出された温度に基づいて冷却ファンの回転数が制御されるように構成されている。また、冷却ファンの回転数を上げるときには、冷却ファンの回転数が変化することによって発生するノイズの変化量が所定の値を超えないように緩やかに回転数を変化させるとともに、前回冷却ファンの回転数を制御してから所定の時間が経過した後に、急激に冷却ファンの回転数が上昇することに起因する騒音の増大を抑制するために、冷却ファンの回転数を上げるように構成されている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−069054号公報
【特許文献2】特開2004−029485号公報
【特許文献3】特開2004−233463号公報
【特許文献4】特開2005−099379号公報
【特許文献5】特開2006−058804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載のLCDプロジェクタでは、温度検出の時間間隔は、常に一定であるので、温度検出器によって長い時間間隔で温度検出を実行するように構成すると、温度検出の時間間隔の間に急激に温度が上昇したときに、冷却ファンの回転数が急激に上昇するので、騒音が急激に増大するのを抑制することが困難であるという問題点がある。また、短い時間間隔で温度検出を実行して温度検出毎に冷却ファンの回転数を制御する処理を実行するように構成すると、急激な温度上昇による冷却ファンの回転数の急激な上昇に起因する騒音を軽減することが可能になる一方、短い時間間隔で冷却ファンの回転数制御を行う必要があるので、回転数制御の回数が増加し、その結果、回転数制御が複雑化するという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献2〜5に記載の投射型表示装置およびプロジェクタでは、温度測定間隔について、全く開示されていない。したがって、温度測定および温度に基づいて行われる送風ファンの回転数の制御の時間間隔は、リアルタイム(即時)に行っているか、常に一定であると考えられる。このように、測定時間間隔および送風ファンの回転数の制御をリアルタイムまたは短い時間間隔で実行する場合には、上記特許文献1の場合と同様、リアルタイムまたは短い時間間隔で冷却ファンの回転数制御を行う必要があるので、回転数制御の回数が増加し、その結果、回転数制御が複雑化するという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、送風ファンの回転数の制御の回数を減少させることにより回転数制御を簡素化しながら、急激な温度上昇の場合にも送風ファンの回転数の急激な変化による騒音の増大を抑制することが可能なプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
この発明の一の局面によるプロジェクタは、装置本体と、装置本体の内部に配置される光源ランプと、光源ランプの近傍の温度を測定する温度測定手段と、装置本体の光源ランプに風を送る送風ファンと、温度測定手段によって測定された温度に基づいて、温度測定手段による光源ランプの近傍の温度測定の時間間隔を制御するとともに、温度測定手段による光源ランプの近傍の温度測定毎に、温度測定手段によって測定された温度に基づいて、送風ファンの回転数をフィードバック制御する制御部とを備える。
【0013】
この一の局面によるプロジェクタでは、上記のように、光源ランプの近傍の温度を測定する温度測定手段と、光源ランプに風を送る送風ファンと、温度測定手段によって測定された温度に基づいて、温度測定手段による温度測定の時間間隔を制御するとともに、温度測定手段による温度測定毎に、測定された温度に基づいて、送風ファンの回転数をフィードバック制御する制御部とを設けることによって、たとえば、温度測定手段による光源ランプの近傍の温度測定および温度測定手段による温度測定毎に実行される送風ファンの制御の時間間隔を、温度測定手段によって測定された温度に基づいて変化させることができるので、温度測定手段によって測定された温度が急激に上昇しているときには、温度測定の時間間隔を短くすることにより、送風ファンの回転数が急激に上がらないように構成することができる。これにより、送風ファンの回転数の変化による騒音の急激な増大を抑制することができる。また、温度測定手段によって測定された温度が変化せずに安定しているときには、温度測定の時間間隔を、温度が急激に上昇しているときよりも長くすることにより、制御部が測定された温度に基づいて送風ファンの回転数を制御する処理の回数を削減することができる。その結果、送風ファンの回転数制御を簡素化することができるとともに、制御部の負荷の増大を抑制することができる。
【0014】
上記一の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、温度測定手段によって測定された直前の温度に対して、所定の温度差以上で温度が上昇している場合には、温度測定手段による温度測定の時間間隔を、第1の時間に設定するように制御するとともに、所定の温度差以上で温度が上昇していない場合には、温度測定の時間間隔を第1の時間より長い第2の時間に設定するように制御するように構成されている。このように構成すれば、容易に、温度測定手段によって測定された温度が急激に上昇しているときには、温度測定の時間間隔を短い第1の時間間隔に設定することができるとともに、温度測定手段によって測定された温度が安定しているときには、温度測定の時間間隔を第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔に設定することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、温度測定手段によって測定された温度を記憶するための記憶部をさらに備え、制御部は、温度測定手段によって測定された温度を、記憶部に記憶された、温度測定手段が直前に測定した温度と比較して、所定の温度差以上で温度が上昇しているかを判断するように構成されている。このように構成すれば、容易に、直前に測定された温度と、温度測定手段によって測定される温度とを制御部により比較することができる。
【0016】
上記一の局面によるプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、温度測定手段によって測定された温度に基づいて、光源ランプの光量を制御するように構成されている。このように構成すれば、送風ファンの回転数の制御のみならず、光源ランプの光量の制御によっても、光源ランプの近傍の温度の急激な上昇を抑制することができる。
【0017】
この場合、好ましくは、制御部は、温度測定手段によって測定された温度が、第1の温度以上で、かつ、第2の温度以下である場合には、光源ランプの光量を小さくするように制御するように構成されている。このように構成すれば、制御部により、温度測定手段によって測定された温度が第1の温度以上である場合には、光源ランプの光量が下げられることにより、光源ランプの近傍の温度を速やかに下げることができる。これにより、光源ランプの近傍の温度が上昇しすぎないように構成することができるので、光源ランプの寿命を向上させることができる。
【0018】
上記制御部が温度測定手段によって測定された温度が第1の温度以上で第2の温度以下である場合に光源ランプの光量を小さくするように制御するプロジェクタにおいて、好ましくは、制御部は、温度測定手段によって測定された温度が、第2の温度より大きい場合には、光源ランプを消灯し、送風ファンの回転数を最大にするように制御するように構成されている。このように構成すれば、光源ランプが温度上昇により破損することを有効に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるプロジェクタの全体構造を示した斜視図である。また、図2は、図1のプロジェクタの内部構造を示した平面図である。また、図3は、図1に示した本発明の一実施形態によるプロジェクタの構成を示したブロック図である。まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態によるプロジェクタ1の構成について説明する。
【0021】
本発明の一実施形態によるプロジェクタ1の筐体2は、図1に示すように、前部筐体3、後部筐体4、上部筐体5、および下部筐体6を含んでいる。前部筐体3の矢印X1方向の端部側には、レンズ挿入部3aが形成されている。
【0022】
また、このレンズ挿入穴3aには、映像を投影するためのレンズ7が挿入されている。また、上部筐体5の上面の後方(矢印Y2方向)には、複数の操作ボタン8が設けられている。また、操作ボタン8の近傍には、点灯および点滅によりプロジェクタ1の状態を表示する表示部9が設けられている。
【0023】
また、図1および図2に示すように、前部筐体3の中央から矢印X2方向側の部分には、排気口3bが設けられている。また、図2に示すように、下部筐体6の矢印X1方向側の側壁部の中央から矢印Y2方向側の部分には、プロジェクタ1の内部に空気を取り込むための吸気口6aが設けられている。また、図1および図2に示すように、下部筐体6の矢印X2方向側の側壁部の中央から矢印Y2方向側の部分には、プロジェクタ1の内部から空気を排出するための排気口6bが設けられている。
【0024】
また、図2に示すように、プロジェクタ1の装置本体50の内部には、光源であるとともに、光量をLowと通常光量とに調整可能なバルブ10aと、バルブ10aから照射される光を反射して集光するためのリフレクタ10bとから構成される光源ランプ10が配置されている。この光源ランプ10の矢印X1方向側には、光源ランプ10から照射された光100を赤色、青色、緑色および白色光に順次変化させるためのカラーホイール11が配置されている。このカラーホイール11の光源ランプ10からの光100の進行方向(矢印X1方向)側には、カラーホイール11を透過した光を集光した状態でミラー12に到達させるためのライトトンネル13とリレーレンズ14とが配置されている。このミラー12は、リレーレンズ14によって集光された光をDMD(Digital Micromirror Device)15の方向に反射されるために設けられている。
【0025】
また、図2に示すように、DMD15は、ミラー12によって反射されて、集光レンズ16によって集光された光を映像光化して、レンズ7の方向に反射させる。これにより、外部(スクリーン)に向かって、レンズ7を介して映像光を投影することが可能である。また、下部筐体6の後部(矢印Y2方向側)には、配線基板からなる回路部30が設置されている。
【0026】
また、DMD15の矢印Y2方向側の近傍には、DMD15を冷却するためのヒートシンク17が配置されている。また、カラーホイール11およびライトトンネル13の矢印Y2方向側には、冷却ファン18が設けられている。この冷却ファン18は、図2に示すように、下部筐体6の吸気口6aから吸気して、前部筐体3の排気口3bに排気するように構成されている。これにより、光源ランプ10から光とともに照射される熱によって熱せられるライトトンネル13などの光学部品に送風することによって、ライトトンネル13などの光学部品を冷却することが可能である。
【0027】
ここで、本実施形態では、図2に示すように、光源ランプ10は、ランプケース19に収納されおり、ランプケース19の内部には、光源ランプ10の近傍の温度を測定するための温度センサ20が配置されている。また、ランプケース19の矢印Y2側には、ランプケース19および光源ランプ10に送風することにより冷却する温度調整ファン21が設けられている。この温度調整ファン21は、下部筐体6の吸気口6aから吸気して、排気口6bに排気されるように構成されている。これにより、ランプケース19の内部の光源ランプ10に送風することによって、光源ランプ10を冷却することが可能である。また、温度調整ファン21は、温度センサ20によって測定された温度に基づいて、回転数が制御されるように構成されている。この点については、後に詳しく説明する。なお、温度センサ20は、本発明の「温度測定手段」の一例であり、温度調整ファン21は、本発明の「送風ファン」の一例である。
【0028】
また、本実施形態では、回路部30には、図3に示すように、DMD15や温度調整ファン21などの制御を行うCPUからなる制御部31が配置されている。この制御部31は、温度センサ20によって測定された光源ランプ10の近傍の温度に基づいて、光源ランプ10のバルブ10aの光量と、温度調整ファン21の回転数とを制御している。具体的には、制御部31は、温度センサ20によって測定された温度が90℃以上100℃以下のときには、光源ランプ10のバルブ10aの光量を通常状態よりも少ない光量レベルであるLowにするように構成されている。また、温度センサ10によって測定された温度が100℃より大きいときには、光源ランプ10のバルブ10aを消灯するように構成されている。また、制御部31は、温度センサ20によって測定された温度に基づいて、PID(Proportional Integral Derivative)制御によって温度調整ファン21の回転数を制御するように構成されている。このPID制御とは、フィードバック制御の一種であり、入力値の制御を、出力値との偏差、その偏差の積分および微分との3つの要素によって行う制御である。このPID制御を行うことにより、比例制御によるフィードバック制御を行う場合よりも、測定毎に変化する温度センサ20によって測定される温度により細かく対応して回転数を制御することが可能となる。
【0029】
ここで、本実施形態では、制御部31は、温度センサ20によって測定された光源ランプ10の近傍の温度に基づいて、温度センサ20による温度測定の時間間隔を決定している。この温度センサ20による温度測定の時間間隔は、タイマー32によって計測される。このタイマー32は、プロジェクタタ1の電源(図示せず)がオンになったときに、10秒に設定されるように構成されている。また、タイマー32は、温度センサ20によって測定される温度と直前に測定された温度との比較により、測定された温度上昇幅に応じた時間間隔に、制御部31によって設定される。具体的には、温度センサ20によって測定された温度と直前に測定された温度との比較により、3℃以上の温度差で上昇していると制御部31により判断されると、タイマー32は、5秒に設定されるように構成されている。また、3℃以下の温度差で上昇している、または、温度が上昇していないと制御部31により判断されると、タイマー32は、10秒に設定されるように構成されている。これにより、温度センサ20による温度測定の時間間隔は、測定された温度に基づいて決定されることが可能となる。
【0030】
また、制御部31は、温度センサ20によって測定された光源ランプ10の近傍の温度をRAM(Random Access Memory)33によって記憶させるように構成されている。なお、RAM33は、本発明の「記憶部」の一例である。このRAM33は、制御部31により記憶された直前の温度と、温度センサ20によって測定される温度とを、制御部31により容易に比較されるようにするために設けられている。
【0031】
図4は、本発明の一実施形態によるプロジェクタの装置本体の温度測定および温度調整ファン制御の動作を説明するためのフローチャートである。次に、図2〜図4を参照して、本実施形態によるプロジェクタ1の動作について説明する。
【0032】
まず、図4に示すように、ステップS1において、制御部31により、タイマー32によって計測される時間が予め設定された温度測定までの時間が経過したか否かが判断され、設定された温度測定までの時間が経過したと判断されるまでこの判断が繰り返される。このステップS1では、温度センサ20による温度測定が初回の場合には、電源がオンされたときにタイマー32に設定される10秒が経過したか否かが判断され、2回目以降の温度測定の場合には、前回の温度測定時にタイマー32に設定された時間間隔(5秒または10秒)が経過したか否かが判断される。そして、ステップS1において、制御部31により、温度測定までの時間が経過したと判断された場合、ステップS2に移行して、温度センサ20によって現在の温度を測定する。
【0033】
そして、ステップS3に移行して、ステップS2で温度センサ20により測定された現在の温度が90℃以上100℃以下か否かが制御部31により判断される。そして、温度センサ20により測定された温度が90℃以上100℃以下であると判断された場合には、ステップS4に移行して、光源ランプ10(図2参照)のバルブ10aの光量がLowに切り替えられる。
【0034】
そして、ステップS5に移行して、制御部31により、RAM33(図3参照)に記憶された直前の温度と、ステップS2で温度センサ20によって測定された現在の温度とを比較して、3℃以上上昇したか否かが判断される。そして、3℃以上上昇していると判断された場合、ステップS6に移行して、次回の温度センサ20による温度測定までの現在の時間を5秒にタイマー32を設定して、ステップS7に移行する。
【0035】
そして、ステップS7において、現在の温度をRAMに記憶した後、ステップS8において、ステップS2で温度センサ20によって測定された温度に基づいて、PID制御によって温度調整ファン21の回転数が制御される。
【0036】
また、ステップS3において、温度センサ20によって測定された温度が90℃以上100℃以下ではなく、温度センサ20によって測定された温度が90℃未満、または、100℃より高いと制御部31により判断された場合、ステップS9に移行する。そして、ステップS9では、ステップS2で温度センサ20によって測定された温度が90℃未満か否かが判断される。そして、ステップS9において、ステップS2で温度センサ20によって測定された現在の温度が90℃未満と判断されると、ステップS10に移行する。そして、ステップS10において、光源ランプ10(図2参照)のバルブ10aの光量がLowか否かが判断される。そして、バルブ10aの光量がLowと判断された場合、ステップS11に移行して、バルブ10aの光量は通常光量に制御されて、ステップS5に移行する。また、ステップS10において、光源ランプ10のバルブ10aの光量がLowではなく、バルブ10aの光量が通常光量であると判断された場合は、ステップS5に移行する。
【0037】
また、ステップS9において、ステップS2で温度センサ20により測定された温度が90℃未満でなく、温度が100℃より大きいと制御部31により判断されると、ステップS12に移行して、光源ランプ10(図2参照)のバルブ10aが消灯されるとともに、温度調整ファン21が回転数を最大にして一定時間駆動される。そして、ステップS13に移行して、表示部9には、温度エラーを示す色が点灯または点滅される。そして、一定時間経過後、温度調整ファン21の回転駆動が停止し、処理を終了する。
【0038】
ここで、本実施形態では、図4に示すように、ステップS5において、制御部31により、RAM33(図3参照)に記憶された直前の温度と、ステップS2で温度センサ20によって測定された温度とを比較して、3℃以上上昇していない(温度上昇がない、または、温度上昇が3℃未満である)と判断された場合、ステップS14に移行する。そして、ステップS14において、温度センサ20による温度測定までの時間(温度測定の時間間隔)が5秒に設定されていたか否かが判断され、5秒に設定されていたと判断された場合、ステップS15に移行して、次回の温度センサ20による温度測定までの時間(温度測定の時間間隔)を10秒にタイマー32を設定して、ステップS7に移行する。また、ステップS14において、温度センサ20による温度測定までの時間(温度測定の時間間隔)が5秒に設定されていない、すなわち、温度センサ20による温度測定までの時間(温度測定の時間間隔)が10秒に設定されていると判断されると、ステップS7に移行する。
【0039】
本実施形態では、上記のように、光源ランプ10の近傍の温度を測定する温度センサ20と、光源ランプ10に風を送る温度調整ファン21と、温度センサ20によって測定された温度に基づいて、温度センサ20による温度測定の時間間隔を制御するとともに、温度センサ20による温度測定毎に、測定された温度に基づいて、温度調整ファン21の回転数をフィードバック制御の一種であるPID制御によって制御する制御部31とを設けることによって、温度センサ20による光源ランプ10の近傍の温度測定および温度センサ20による温度測定毎に実行される温度調整ファン21の制御の時間間隔を、温度センサ20によって測定された温度に基づいて変化させることができるので、温度センサ20によって測定された温度が急激に上昇しているときには、温度測定の時間間隔を短くすることにより、温度調整ファン21の回転数が急激に上がらないように構成することができる。これにより、温度調整ファン21の回転数の変化による騒音の急激な増大を抑制することができる。また、温度センサ20によって測定された温度が変化せずに安定しているときには、温度測定の時間間隔を、温度が急激に上昇しているときよりも長くすることにより、制御部31が測定された温度に基づいて温度調整ファン21の回転数を制御する処理の回数を削減することができる。その結果、温度調整ファン21の回転数制御を簡素化することができるとともに、制御部31の負荷の増大を抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態では、制御部31は、温度センサ20によって測定された直前の温度に対して、3℃以上上昇している場合には、温度センサ20による温度測定の時間間隔を、5秒に設定するように制御するとともに、3℃差以上で温度が上昇していない場合、または、温度が上昇していない場合には、温度測定の時間間隔を10秒に設定するように制御するように構成することによって、容易に、温度センサ20によって測定された温度が急激に上昇しているときには、温度測定の時間間隔を短い5秒に設定することができるとともに、温度センサ20によって測定された温度が安定しているときには、温度測定の時間間隔を5秒よりも長い10秒に設定することができる。
【0041】
また、本実施形態では、温度センサ20によって測定された温度を記憶するためのRAM33をさらに備え、制御部31を、温度センサ20によって測定された温度を、RAM33に記憶された、温度センサ20が直前に測定した温度と比較して、3℃差以上で温度が上昇しているかを判断するように構成することによって、容易に、直前に測定された温度と、温度センサ20によって測定される温度とを制御部31により比較することができる。
【0042】
また、本実施形態では、制御部31を、温度センサ20によって測定された温度に基づいて、光源ランプ10のバルブ10aの光量を制御するように構成することによって、温度調整ファン21の回転数の制御のみならず、光源ランプ10のバルブ10aの光量の制御によっても、光源ランプ10の近傍の温度の急激な上昇を抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、制御部31を、温度センサ20によって測定された温度が、90℃以上100℃以下である場合には、光源ランプ10のバルブ10aの光量をLowにするように制御するように構成することによって、制御部31により、温度センサ20によって測定された温度が90℃以上100℃以下である場合には、光源ランプ10のバルブ10aの光量がLowにされることにより、光源ランプ10の近傍の温度を速やかに下げることができる。これにより、光源ランプ10の近傍の温度が上昇しすぎないように構成することができるので、光源ランプ10のバルブ10aの寿命を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、制御部31は、温度センサ20によって測定された温度が、100℃より大きい場合には、光源ランプ10のバルブ10aを消灯し、温度調整ファン21の回転数を最大にするように制御するように構成することによって、光源ランプ10のバルブ10aが温度上昇により破損することを有効に抑制することができる。
【0045】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0046】
たとえば、上記実施形態では、温度調整ファンの回転数の制御は、PID制御によって行われる例を示したが、本発明はこれに限らず、温度調整ファンの回転数を、入力値を出力値と目標値との偏差の一次関数として制御する比例制御などのPID制御以外のフィードバック制御によって制御してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、直前の温度測定に対して、3℃以上温度が上昇した場合に、5秒間隔で温度測定および温度調整ファンの回転数の制御を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、5秒よりも短い時間間隔で温度測定および温度調整ファンの回転数の制御を行うように構成してもよい。このように構成すれば、温度調整ファンの回転数の急激な変化による騒音の増大をより抑制することができる。また、温度測定および温度測定毎に実行される温度調整ファンの制御の時間間隔を5秒と10秒との2段階に設定する例を示したが、本発明はこれに限らず、3段階以上に設定するように構成してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、記憶部の一例として、揮発性メモリであるRAMを示したが、本発明はこれに限らず、RAMに代えて、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態によるプロジェクタの全体構造を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態によるプロジェクタの内部構造を説明するための平面図である。
【図3】図1に示した一実施形態によるプロジェクタの回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図1に示した一実施形態によるプロジェクタの温度測定および温度調整ファンの制御動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 プロジェクタ
10 光源ランプ
20 温度センサ(温度測定手段)
21 温度調整ファン(送風ファン)
31 制御部
33 RAM(記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の内部に配置される光源ランプと、
前記光源ランプの近傍の温度を測定する温度測定手段と、
前記装置本体の光源ランプに風を送る送風ファンと、
前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記温度測定手段による前記光源ランプの近傍の温度測定の時間間隔を制御するとともに、前記温度測定手段による前記光源ランプの近傍の温度測定毎に、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記送風ファンの回転数をフィードバック制御する制御部とを備える、プロジェクタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度測定手段によって測定された直前の温度に対して、所定の温度差以上で温度が上昇している場合には、前記温度測定手段による温度測定の時間間隔を、第1の時間に設定するように制御するとともに、前記所定の温度差以上で温度が上昇していない場合には、前記温度測定の時間間隔を前記第1の時間より長い第2の時間に設定するように制御するように構成されている、請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記温度測定手段によって測定された温度を記憶するための記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記温度測定手段によって測定された温度を、前記記憶部に記憶された、前記温度測定手段が直前に測定した温度と比較して、前記所定の温度差以上で温度が上昇しているかを判断するように構成されている、請求項2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度測定手段によって測定された温度に基づいて、前記光源ランプの光量を制御するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記制御部は、前記温度測定手段によって測定された温度が、第1の温度以上で、かつ、第2の温度以下である場合には、前記光源ランプの光量を小さくするように制御するように構成されている、請求項4に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記制御部は、前記温度測定手段によって測定された温度が、前記第2の温度より大きい場合には、前記光源ランプを消灯し、前記送風ファンの回転数を最大にするように制御するように構成されている、請求項5に記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−69459(P2009−69459A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237569(P2007−237569)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】