説明

プロセスモジュールおよびエキスパートシステムのプロセスプラントにおける統合

【課題】プロセスプラントで使用するプロセスプラント制御システムを提供する。
【解決手段】制御システムは、論理装置と関連する異常な状況を検知するエキスパートモジュールと統合された、論理装置を表すプロセスモジュール46を含む。プロセスモジュールは複数のプロセスオブジェクトを含み、各プロセスオブジェクトはプロセスプラント内の対応する物理的なエンティティを表す。プロセスオブジェクトは対応する物理的なエンティティをシミュレーションするシミュレーション機能を含む。エキスパートモジュールは論理装置と関連する異常な状況を検知するように適応され、プロセスモジュールの動作中データを受信するためにプロセスモジュールに通信可能に結合される。エキスパートモジュールはプロセスモジュールと統合されているため、ユーザは論理装置と関連する異常な状況を検知するためにエキスパートモジュールをさらに容易に構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2004年5月4日に出願され、本願がこれにより全体を本明細書に参照することにより明示的に組み込んでいる「プロセス制御システムを表現し、監視し、対話するためのグラフィックユーザインタフェース(Graphic User Interface for Representing,Monitoring and Integrating with Process Control Systems)」と題される米国仮特許出願、出願番号第60/567,980号の利益、優先権のために正規に出願された出願および請求項である。本願は、全体の開示がこれによりその全体を本明細書に参照することにより明示的に組み込まれている、2002年10月22日に出願され、2004年4月22日に米国公報番号第2004/0075689号として公開された、同様に「プロセスプラントにおけるスマートプロセスモジュールおよびオブジェクト(Smart Process Modules and Objects in Process Plants)」と題される米国特許出願、出願番号第10/278,469号の一部継続出願である、2003年7月21日に出願され、2004年8月5日に米国
公報番号第2004/0153804号として公開された「グラフィックディスプレイ要素、プロセスモジュールおよび制御モジュールのプロセスプラントにおける統合(Integration of Graphic Display Elements,Process Modules and Control Modules in Process Plants)」と題される米国特許出願、出願番号第10/625,481号にも関連する。本願は、全体の開示がこれによりその全体を本明細書に参照することにより明示的に組み込まれている、2003年2月18日に出願され、2004年10月7日に米国公報番号第2004/0199925号として公開された「プロセスプラント構成システムにおけるモジュールクラスオブジェクト(Module Class Objects in a Process Plant Configuration Sys
tem)」と題される米国特許出願、出願番号第10/368,151号にも関連する。本願は、本願と同日に国際(PCT)出願として出願され、本願がこれにより全体を本明細書に参照することにより組み込んでいる以下の特許出願にも関連する。つまり、「プロセス環境における関連グラフィックディスプレイ(Associated Graphic Displays in a Process Environment)」(代理
人整理番号第06005/41111号)、「プロセス制御システムのためのユーザにより構成可能なアラームおよびアラームトレンド分析(User Configurable Alarms and Alarm Trending for Process Control Systems)」(代理人整理番号第06005/41112号)、「統合された環境におけるカスタマイズされたプロセスグラフィックディスプレイ層を有するプロセスプラントユーザインタフェースシステム(A Process Plant
User Interface System Having Cusstomized Process Graphic Display Layers in an Integrated Environment)」(代理人整理番号第06005/41114号)、「プロセス環境におけるスクリプト化されたグラフィック(Scripted Graphics in a Process Environment)」(代理人整理番号第06005/41115号)、「プロセス構成および制御環境へのグラフィック統合(Graphics Integration into a Process
Configuration and Control Environment)」(代理人整理番号第06005/41116号)、「プロセス環境における複数の視覚化のあるグラフィック要素(Graphic Element with Multiple Visualization in a Process Environment)」(代理人整理番号第06005/41117号)、「プロセスプラントにおいてグラフィックディスプレイ要素およびプロセスモジュールを構成するためのシステム(System for Configuring Graphic Display Elements and Process Modules in Process Plants)」(代理人整理番号第06005/41118号)、「統合プロセス制御システムインタフェースのためのグラフィックディスプレイ構成フレームワーク(Graphic
Display Configuration Framework for Uni
fied Process Control System Interface)」(代理人整理番号第06005/41124号)、「プロセスプラントユーザインタフェースにおけるマークアップ言語をベースにした動的プロセスグラフィックス(Markup
Language−Based,Dynamic Process Graphics
in a Process Plant User Interface)」(代理人整理番号第06005/41127号)、「プロセス制御データを修正するための方法および装置(Methods and Apparatus for Modifying
Process Control Data)」(代理人整理番号第06005/591622号と第20040/59−11622号)、「プロセス制御データにアクセスするための方法および装置(Methods and Apparatus for Accessing Process Control Data)」(代理人整理番号第06005/591623号および第20040/59−11623号)、「プロセス制御システムのための統合グラフィック実行時インタフェース(Integrated Graphical Runtime Interface for Process Control Systems)」(代理人整理番号第06005/591628号および第20040/59−11628号)、「プロセス制御システムのためのサービス指向アーキテクチャ(Service−Oriented Architecture for
Process Control Systems)」(代理人整理番号第06005/591629号および第20040/59−11629号)である。
【0002】
本発明は、概してプロセスプラントに関し、より詳細にはプロセスプラント制御アーキテクチャのシステムレベルでユーザ表示、シミュレーションおよび制御を統合できるようにするインテリジェント制御シミュレーション環境に関する。
【背景技術】
【0003】
化学関連プロセス、石油関連プロセス、または他のプロセスで使用されるシステム等の分散型プロセス制御システムは、通常、アナログバス、デジタルバスまたはアナログ/デジタル結合バスを介して1台以上のフィールドデバイスに通信可能に結合されている1台以上のプロセスコントローラを含む。例えば、バルブ、バルブポジショナ、スイッチおよび送信機(トランスミッタ)(例えば、温度センサ、圧力センサ、水位センサ、および流量センサ)であってよいフィールドデバイスはプロセス環境内に配置され、バルブの開閉、プロセスパラメータの測定等のプロセス機能を実行する。周知のFieldbusプロトコルに準拠しているスマートフィールドデバイスも制御計算、アラーム機能、およびコントローラ内で一般的に実現されている他の制御機能を実行してよい。また通常はプラント環境の中に配置されるプロセスコントローラは、フィールドデバイスによって行われるプロセス測定および/またはフィールドデバイスに関する他の情報を示す信号を受信し、プロセス制御決定を下し、受信された情報に基づいて制御信号を発生させ、HARTデバイスおよびFieldbusフィールドデバイス等のフィールドデバイスで実行されている制御モジュールまたはブロックと協働する、例えば異なる制御モジュールを起動するコントローラアプリケーションを実行する。コントローラ内の制御モジュールはフィールドデバイスに通信回線上で制御信号を送信し、それによってプロセスの動作を制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、フィールドデバイスおよびコントローラからの情報は、一般的にコントロールルームまたはより厳しいプラント環境から離れた他の場所に設置されているオペレータワークステーション、パーソナルコンピュータ、データヒストリアン(履歴)、レポートジェネレータ、集中データベース等の1台以上の他のハードウェアデバイスがデータハイウェイ上で利用できる。これらのハードウェアデバイスは、オペレータが、プロセス制御ルーチンの設定値を変更する、コントローラまたはフィールドデバイス内の制御モジュールの動作を修正する、プロセスの現状を表示する、フィールドデバイスおよびコントローラによって生成されるアラームを表示する、人員をトレーニングするまたはプロセス制御ソフトウェアをテストする目的でプロセスの動作をシミュレーションする、構成データベースを保持し、更新する等のプロセスに関する機能を実行できるようにしてよいアプリケーションを実行する。
【0005】
一例として、エマーソンプロセスマネジメント(Emerson Process M
anagement)より販売されているDeltaV(商標)制御システムは、プロセスプラント内の様々な場所に配置される異なるデバイスに記憶され、それらにより実行される複数のアプリケーションを含む。1つ以上のオペレータワークステーションに常駐する構成アプリケーションにより、ユーザはプロセス制御モジュールを作成または変更し、データハイウェイを介して専用の分散型コントローラにこれらのプロセス制御モジュールをダウンロードできる。通常、これらの制御モジュールは、それに対する入力に基づいて制御スキームの中で機能を実行し、制御スキームの中で他の機能ブロックに対して出力を提供するオブジェクト指向プログラミングプロトコルのオブジェクトである通信可能に相互接続されている機能ブロックから構成されている。構成アプリケーションは、設計者が、オペレータにデータを表示するために、およびオペレータが設定点等の設定値をプロセス制御ルーチン内で変更可能とするために表示アプリケーションによって使用されるオペレータインタフェースを作成または変更できるようにしてもよい。各々の専用コントローラ、およびいくつかの場合ではフィールドデバイスは実際のプロセス制御機能を実現するためにそこに割り当てられ、ダウンロードされる制御モジュールを起動するコントローラアプリケーションを記憶し、実行する。1つ以上のオペレータワークステーションで実行されてよい表示アプリケーションはデータハイウェイを介してコントローラアプリケーションからデータを受信し、このデータをプロセス制御システムの設計者、オペレータ、またはユーザインタフェースを使用するユーザに表示し、オペレータビュー、エンジニアビュー、技術者ビュー等の多くの異なるビューのいずれかを提供してよい。構成データベースアプリケーションは、現在のプロセス制御ルーチン構成およびそれに関連付けられているデータを記憶するために、データハイウェイに接続されているさらに追加のコンピュータで実行してよいが、データヒストリアンアプリケーションは、通常、データハイウェイ全体で提供されるデータの一部またはすべてを収集し、記憶するデータヒストリアンデバイスの中に記憶され、それによって実行される。代わりに、構成データベースは構成アプリケーションと同じワークステーションに配置されてよい。
【0006】
前記に注記されたように、オペレータディスプレイアプリケーションは、通常、ワークステーションの内の1つ以上でシステム全体において実現され、プラント内の制御システムまたはデバイスの動作状態に関して、事前設定されたディスプレイをオペレータまたは保守人員に提供する。通常、これらのディスプレイはプロセスプラント内でコントローラまたはデバイスによって生成されるアラームを受信するアラームディスプレイ、プロセスプラント内のコントローラおよび他のデバイスの動作状態を示す制御ディスプレイ、プロセスプラント内のデバイスの動作状態を示す保守ディスプレイ等の形式を取る。これらのディスプレイは、一般的に、プロセスプラント内のプロセス制御モジュールまたはデバイスから受信される情報またはデータを、公知の方法で表示するように事前設定されている。いくつかの公知のシステムでは、ディスプレイは物理要素または論理要素と関連付けられているグラフィックを有し、物理要素または論理要素についてのデータを受信するために物理要素または論理要素に通信可能に結び付けられているオブジェクトを使用することにより作成される。オブジェクトは、例えば、タンク半分が一杯になっていることを描くために、流量センサによって測定される流量を描くために等、受信されたデータに基づいて表示画面上のグラフィックを変更してよい。ディスプレイのために必要とされる情報はプロセスプラント内のデバイスまたは構成データベースから送信されるが、この情報はその情報を含むディスプレイをユーザに提供するためだけに使用される。その結果、アラームを生成するため、プラント内の問題を検知するため等に使用されるすべての情報とプログラミングは、プロセスプラント制御システムを構成する間にコントローラおよびフィールドデバイス等のプラントと関連付けられている異なるデバイスによって生成され、異なるデバイスの内部で構成されなければならない。その時点で初めてこの情報がプロセス動作中の表示のためにオペレータディスプレイに送信される。
【0007】
エラー検知および他のプログラミングは、異なるコントローラで実行中の制御ループに関連する条件、エラー、アラーム等、および個々のデバイス内部の問題を検知するために有用であるが、プロセスプラント内の複数の、多様に配置されている可能性のあるデバイスからのデータを分析することにより検知されなければならないシステムレベルの状態またはエラーを認識するためにプロセス制御システムをプログラミングすることは困難である。またさらに、オペレータディスプレイは、通常、オペレータまたは保守人員にこのようなシステムレベルの状態情報を表示するまたは提示するために使用されてはおらず、いずれの場合においても、ディスプレイ内の異なる要素についての情報またはデータのこれらの代わりのソースを用いてオペレータディスプレイ内でオブジェクトを動画化することは困難である。この事実は特に、通常、ディスプレイ上の2つのデバイスの間で繋げられている単純な線で示されているパイプの中の流体の流量、コンベヤベルト上の原材料の移動等の材料の流れの動画およびモデル化に関して当てはまる。さらに、現在、材料がプラントを通過するにつれて、流量状態と質量平衡等のプラント内での特定の状態を検知する組織化された方法ではなく、つまりシステムレベルでこれらの機能を実行するのはそれほど容易に実現可能ではない。
【0008】
同様に、シミュレーション活動は通常、プロセスプラントのオンライン環境で実行される表示活動と制御活動とは個別に実行されなければならないため、プロセスプラントまたはプロセスプラントの一部のシミュレーションをセットアップするまたは作成することは困難である場合がある。またさらに、プラントのシミュレーションが作成されると、このシミュレーションをオペレータディスプレイと、またはプラント内で実現されている制御モジュールと統合することは不可能でないとしても、困難である。
【0009】
エキスパートシステムは、プロセスプラント内で問題を検知する、および/または問題を補正する場合に役立てるためにプロセスプラントで使用されてよい。例えば、米国特許番号第6,633,782号は、プロセス制御システムの動作に関するデータを収集し、データベース内に記憶し、プロセス制御システム内の問題に対する解決策を決定するためにデータベース内の情報の分析のための規則を適用するためにエキスパートエンジンを使用するプロセス制御システムで使用するための診断システムを説明している。データベースは、プロセス制御システム内で検知される問題の原因を突き止めることに関連する多様なタイプの情報、および/または検知された問題をさらに分析するか、補正するかのいずれかを行うためのステップを記憶してよい。例えば、データベース内の情報は、検知された問題およびフィールドデバイスに特に関連するデータ、検知された問題が存在する機能ブロックまたは制御ループを含んでよい。データベースは、問題の原因を特定すること、および/または適切な分析手段および救済手段を特定することに関連してよい、予定される保守および動作パラメータに対する変更の通知等のイベントおよびアラームデータも記憶してよい。問題が検知されると、エキスパートエンジンはデータベース内の関連するデータ、診断ツールから受信される情報、イベントジャーナルまたはヒストリアンに、分析のための規則を適用してよい。
【0010】
エキスパートシステムは、通常、プロセスプラントのオンライン環境で実行される表示活動と制御活動から個別にセットアップされ、構成されなければならないため、プロセスプラントまたはプロセスプラントの一部を分析するためにエキスパートシステムをセットアップまたは作成することは困難である場合がある。またさらに、エキスパートシステムがプロセスプラントの一部を監視するためにセットアップされ、構成される場合、このエキスパートシステムを、プラント内で実現されるオペレータディスプレイと統合することは、不可能ではなくとも困難である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願は、論理ユニットと関連する異常な状況を検知するおよび/または軽減することができるエキスパートモジュールと統合される、プロセスプラント内の論理ユニットを表すプロセスモジュールを含むプロセスプラント内で使用するためのプロセス制御システム要素を開示している。プロセスモジュールは、各々のプロセスオブジェクトがプロセスプラント内で対応する物理エンティティを表現する複数のプロセスオブジェクトを含んでよい。プロセスオブジェクトの内の少なくともいくつかは、例えば作業効率、熱伝達等、直接測定できない対応する物理エンティティおよび/または特性(プロパティ)をシミュレーションするシミュレーション機能を含んでよい。エキスパートモジュールは、論理ユニットと関連する少なくとも1つの異常な状況を検知するように適応されてよく、プロセスモジュールの動作中、プロセスモジュールからプロセスデータおよび/またはシミュレーションデータを受信するためにプロセスモジュールに通信可能に結合されてよい。エキスパートモジュールはプロセスモジュールと統合されるため、ユーザは論理ユニットと関連する異常な状況を検知するおよび/または緩和するためにエキスパートモジュールをさらに容易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】プロセスプラントの動作をシミュレーションするために、プロセスモジュールおよびグラフィックディスプレイを作成するためにスマートプロセスオブジェクトを使用するディスプレイルーチンを実現するオペレータワークステーションを含むプロセスプラント内に位置する分散プロセス制御ネットワークのブロック図である。
【図2】プロセスプラント内で強化された機能を実現するために使用されてよい、図1のオペレータワークステーションに記憶されるスマートプロセスオブジェクトとプロセスモジュールを含む、アプリケーションおよび他のエンティティのセットの論理ブロック図である。
【図3】オブジェクトライブラリに記憶されるスマートプロセスオブジェクトを使用してプロセスグラフィックディスプレイまたはプロセスモジュールを作成するために構成エンジニアによって使用される構成画面の簡略化された描写である。
【図4】多くのスマートプロセスオブジェクトのグラフィックディスプレイ要素を相互接続することにより作成される、プロセスプラント内のストリームおよび接続要素の描写を含む、プロセスグラフィックディスプレイ例の詳細な描写である。
【図5】プラント用のさらに大型のグラフィックディスプレイに相互接続される、図4のプロセスグラフィックディスプレイを含む最小化されたプロセスグラフィックディスプレイのセットの描写である。
【図6】ハイファイシミュレーションルーチンのそれとの相互接続も描く、図4のプロセスグラフィックディスプレイと関連するプロセスモジュールの描写である。
【図7A】プロセスプラント内で統合されるようなグラフィックディスプレイ、プロセスモジュール、および制御モジュール間の通信相互接続を描く論理ブロック図である。
【図7B】プロセスプラント内で統合されるようなグラフィックディスプレイ、プロセスモジュール、および制御モジュール間の通信相互接続を描く論理ブロック図である。
【図8】高度制御シミュレーション機能を提供するために制御モジュール内の機能ブロックと相互接続される、そのブロックを有するプロセスモジュール例の簡略化された描写である。
【図9】スマートプロセスオブジェクトを使用するプロセスモジュールが既存のプロセス制御ネットワーク内でどのように作成され、実現されてよいのかの論理ブロック図である。
【図10】プロセスモジュールがエキスパートシステムと統合されるシステム例のブロック図である。
【図11】エキスパートモジュールの構成を容易にするためにエキスパートモジュール構成アプリケーションによって活用されうるディスプレイ例である。
【図12】事実テンプレートを定義するために活用されうるディスプレイ例である。
【図13】規則テンプレートを定義するために活用されうるディスプレイ例である。
【図14】プロセスプラント内の特定のノードによって実行されるエキスパートモジュールを割り当てるために使用できるディスプレイ例の一部である。
【図15】プロセスモジュールが分析モジュールと統合されるシステム例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、スマートプロセスオブジェクトが、プラント環境の中で強化された制御とシミュレーションを提供するために、ともに制御モジュールと統合されてよいプロセスグラフィックディスプレイとプロセスモジュールを形成するために使用されるプロセスプラント例10が詳細に描かれている。特に、プロセスプラント10は、各々が、例えばFieldbusインタフェース、Profibusインタフェース、HARTインタフェース、標準4−20maインタフェース等であってよい1台以上のフィールドデバイス14及び16に入力/出力(I/O)装置またはカード18を介して接続されている、1台以上のコントローラ12を有する分散プロセス制御システムを使用している。コントローラ12は、例えばイーサネット(登録商標)リンクであってよいデータハイウェイ24を介して、1つ以上のホストワークステーションまたはオペレータワークステーション20と22にも結合されている。データベース28はデータハイウェイ24に接続されてよく、パラメータ、ステータス、およびプラント10内のコントローラおよびフィールドデバイスと関連付けられている他のデータを収集し、記憶するデータヒストリアンとして、およびコントローラ12およびフィールドデバイス14と16にダウンロードされ、それらの中に記憶されるようなプラント10の中のプロセス制御システムの現在の構成を記憶する構成データベースとして動作する。コントローラ12、I/Oカード18およびフィールドデバイス14と16は、通常は、場合によってはより厳しいプラント環境の中に位置しおよびプラント環境全体に分散しているが、オペレータワークステーション20と22およびデータベース28は通常コントロールルーム内、あるいはコントローラまたは保守人員が容易に評価できる他のあまり厳しくない環境に配置される。
【0014】
公知のように、一例としてエマーソンプロセスマネジメント(Emerson Process Management)によって販売されているDeltaV(商標)コントローラであってよいコントローラ12の各々は、任意の数の異なった、個別に実行される制御モジュールまたはブロック29を使用して制御戦略を実現するコントローラアプリケーションを記憶し、実行する。制御モジュール29の各々は、一般的に機能ブロックと呼ばれているものから構成することができ、各機能ブロックは全体的な制御ルーチンの一部つまりサブルーチンであり、プロセスプラント10の中でプロセス制御ループを実現するために(リンクと呼ばれる通信を介して)他の機能ブロックと連動して動作する。周知のように、オブジェクト指向プログラミングプロトコル内でオブジェクトであってよい機能ブロックは、通常、送信機、センサ、または他のプロセスパラメータ測定装置と関連付けられているもの等の入力機能、PID、ファジー論理等の制御を実行する制御ルーチンと関連付けられているもの等の制御機能、またはプロセスプラント10内でいくらかの物理的な機能を実行するためにバルブ等の何らかのデバイスの動作を制御する出力機能の内の1つを実行する。言うまでもなく、モデル予測コントローラ(MPC)、オプティマイザ等のハイブリッドタイプおよび他のタイプの複雑な機能ブロックが存在する。FieldbusプロトコルおよびDeltaVシステムプロトコルは、オブジェクト指向プログラミングプロトコルで設計され、実現される制御モジュールと機能ブロックを使用する一方で、制御モジュールは例えば順次機能ブロック、ラダー論理回路等を含む任意の所望の制御プログラミングスキームを使用して設計することができ、機能ブロックまたは任意の他の特定のプログラミング技法を使用して設計され、実現されることに制限されるものではない。
【0015】
図1に描かれているプラント10では、コントローラ12に接続されているフィールドデバイス14と16は標準4−20maデバイスであってよく、プロセッサとメモリを含む、あるいは他の任意の所望のタイプのデバイスであってよい、HART、Profibus、またはFOUNDATION(商標)Fieldbusフィールドデバイス等のスマートフィールドデバイスであってよい。(図1で参照番号16を付与されている)Fieldbusフィールドデバイス等のこれらデバイスのいくつかは、コントローラ12内で実現される制御戦略と関連付けられる、機能ブロック等のモジュールまたはサブモジュールを記憶し、実行してよい。図1にFieldbusデバイス16の2台の異なるデバイスの中に配置されるものとして図1に描かれている機能ブロック30は、周知のようにプロセス制御を実現するためにコントローラ12の中で制御モジュール29の実行と関連して実行されてよい。言うまでもなく、フィールドデバイス14と16はセンサ、バルブ、送信機、ポジショナ等の任意のタイプのデバイスであってよく、I/Oデバイス18はHART、Fieldbus、Profibus等の任意の所望の通信プロトコルまたはコントローラプロトコルに準拠する任意のタイプのI/Oデバイスであってよい。
【0016】
図1のプロセスプラント10では、ワークステーション20は、プロセスプラント10の中で接続されているデバイス、装置等に関して機能を表示して、提供するために(他のタイプのユーザも存在してよいが、本明細書では構成エンジニアおよびオペレータと呼ばれることもある)任意の許可されたユーザがアクセスできるオペレータインタフェースアプリケーションおよび他のデータ構造32一式を含む。該オペレータインタフェースアプリケーション32一式は、ワークステーション20のメモリ34に記憶され、アプリケーション一式32の中のアプリケーションまたはエンティティの各々はワークステーション20と関連するプロセッサ36で実行されるように適応される。アプリケーション32一式全体がワークステーション20に記憶されているものとして描かれているが、これらのアプリケーションまたは他のエンティティのいくつかはプラント10の中の、またはプラント10に関連付けられた他のワークステーションまたはコンピュータデバイスに記憶され、実行されるであろう。さらに、アプリケーション一式はワークステーション20と関連付けられているディスプレイ画面37に、または携帯端末、ラップトップコンピュータ、他のワークステーション、プリンタ等を含む他の所望のディスプレイ画面またはディスプレイ装置にディスプレイ出力を提供できる。同様に、アプリケーション32一式の中のアプリケーションは分割され、2台以上のコンピュータまたは機械上で実行されてよく、相互に連動して動作するように構成されてよい。
【0017】
一般的に、アプリケーション32一式によって、3つの異なるタイプのエンティティの作成と使用が可能になり、その動作は、強化された制御機能、シミュレーション機能および表示機能をプロセスプラント10の中で提供するためにともに統合されてよい。より詳細には、アプリケーション32一式は(一般的にはプロセスプラントの一部に関するオペレータディスプレイを提供する)プロセスグラフィックディスプレイ35、(一般的にはプロセスプラントの一部のシミュレーションを提供する)プロセスモジュール39、および一般的にはプロセスのオンライン制御を提供または実行する、制御モジュール29等のプロセス制御モジュールを作成し、実現するために使用されてよい。プロセス制御モジュール29は概して当該技術分野で周知であり、機能ブロック制御モジュール等の任意のタイプの制御モジュールを含んでよい。より詳細に後述されるプロセスグラフィックディスプレイ要素35は、オペレータ等のユーザに、プロセスプラントおよびその中の要素の動作、構成またはセットアップについての情報を提供するために、一般的にはオペレータ、エンジニアまたは他のディスプレイによって使用される要素である。プロセスモジュール39は、通常プロセスグラフィックディスプレイ要素35に密接に結び付けられ、プロセスプラントの、あるいはプロセスグラフィックディスプレイ35に描かれている方法で接続されているその中の異なる要素の動作のシミュレーションを実行するために使用されてよい。プロセスグラフィックディスプレイ35およびプロセスモジュール39は、ラップトップ型コンピュータ、携帯端末等を含む、プロセス制御プラント10に関連付けられている任意の他のコンピュータにダウンロードされ、その中で実行できるであろうが、プロセスグラフィックディスプレイ35およびプロセスモジュール39は、ワークステーション20と22に記憶され、それらによって実行されるものとして描かれている。
【0018】
図2は、ワークステーション20のアプリケーション32一式の中のアプリケーションとデータ構造または他のエンティティのいくつかを描いている。特に、アプリケーション32一式は制御モジュール、プロセスモジュール、および制御モジュール、(プロセスフローモジュールとも呼ばれる)プロセスモジュール、および関連グラフィックディスプレイを作成するために構成エンジニアによって使用されるグラフィックディスプレイ構成アプリケーション38を含む。制御モジュール構成アプリケーション38は任意の標準的な、または公知の制御モジュール構成アプリケーションであってよいが、プロセスモジュールおよびグラフィックディスプレイ構成アプリケーションは1つ以上のスマートプロセスオブジェクトを使用してプロセスモジュールおよびグラフィックディスプレイを作成してよく、その性質がより詳細に後述されるであろう。またさらに、プロセスモジュールおよびプロセスグラフィック構成アプリケーション38は個別に示される一方、1つの構成アプリケーションはこれらのタイプの要素の両方ともを作成可能となる。
【0019】
スマートプロセスオブジェクト42のライブラリ40は、プロセスモジュール39およびグラフィックディスプレイ35を作成するために構成アプリケーション38によってアクセスされ、コピーされ、使用されてよい実施例またはテンプレートのスマートプロセスオブジェクト42を含む。理解されるように、構成アプリケーション38は、1つ以上のプロセスモジュール39を作成するために使用されてよく、その各々は1つ以上のスマートプロセスオブジェクト42から構成されるあるいは作成され、プロセスモジュールメモリ46に記憶されている1つ以上のプロセスフローまたはシミュレーションアルゴリズム45を含んでよい。さらに、構成アプリケーション38は、1つ以上のグラフィックディスプレイ35を作成するために使用されてよく、その各々は1つ以上のスマートプロセスオブジェクト42から構成される、あるいは作成され、ともに接続されている任意の数のディスプレイ要素を含んでよい。グラフィックディスプレイ35bの内の1つは拡大された形式で図2に描かれており、配管、導管、電力ケーブル、コンベヤ等であってよい接続要素によって相互接続されている、バルブ、タンク、センサおよびフロートランスミッタ等のプロセス要素の集合の描写を含む。
【0020】
実行エンジン48は、グラフィックディスプレイ35によって定義されるようにオペレータ向けの1つ以上のプロセスディスプレイを作成するために、およびプロセスモジュール39と関連付けられるシミュレーション機能を実現するために実行時中にグラフィックディスプレイ35とプロセスモジュール39の各々を操作するまたは実現する。実行エンジン48は、全体をプロセスモジュール39で実現される論理、および特にそれらのモジュールの中のスマートプロセスオブジェクトを定義する規則データベース50を使用してよい。実行エンジン48は、プロセスモジュール39の機能を実現するためにプロセスモジュール39の中のみではなく、プラント10の中でもプロセス要素間の接続を定義する接続マトリクス52も使用してよい。
【0021】
図2は、より詳細にスマートプロセスオブジェクト42eの内の1つを描いている。スマートプロセスオブジェクト42eはテンプレートスマートプロセスオブジェクトの内の1つであるとして描かれているが、他のスマートプロセスオブジェクトが概して、スマートプロセスオブジェクト42eに関して説明されているように、同じ、または類似する要素、特徴、パラメータ等を含むこと、およびこれらの要素、特徴およびパラメータの詳細または値がそのスマートプロセスオブジェクトの性質と用途に応じて、スマートプロセスオブジェクトごとに変更、または変えられてよいことが理解されるであろう。さらに、スマートプロセスオブジェクト42eはオブジェクト指向プログラミング環境の中のオブジェクトであってよく、したがってデータ記憶領域、入力と出力、およびそれと関連付けられるメソッドを含んでよい一方、このスマートプロセスオブジェクトは任意の他の所望のプログラミングパラダイムまたはプロトコルによって作成され、その中で実現されてよい。
【0022】
理解されるように、インスタンスを作成される前のスマートプロセスオブジェクト42eは、図1のプロセスプラント10の中の物理エンティティまたは論理エンティティ等のある特定のタイプのエンティティと関連付けられているオブジェクトである。しかしながら、コピーされ、インスタンスを作成された後、スマートプロセスオブジェクト42eはプロセスプラントの中のある特定のエンティティに結び付けられてよい。いずれの場合においても、スマートプロセスオブジェクト42eは、スマートプロセスオブジェクト42eが関連づけられている論理エンティティから受信され、あるいは論理エンティティに関するデータを記憶するために使用されるスマートプロセスデータ記憶領域53を含む。データ記憶領域53は、製造メーカ、改訂、名称、種別等の、スマートプロセスオブジェクト42eが関連するエンティティについての一般的な情報または恒久的な情報を記憶するデータ記憶領域53aを含む。データ記憶領域53bは、パラメータデータ、ステータスデータ、入力データと出力データ、コスト、またはそれがプロセスプラント10の中に過去に存在したとき、または現在存在しているときの、エンティティと関連付けられるデータを含む、スマートプロセスオブジェクト42eが関連するエンティティについての他のデータ等の可変データまたは変化するデータを記憶してよい。言うまでもなく、スマートプロセスオブジェクト42eは、任意の所望の通信リンクを介してエンティティ自体から、イーサネット(登録商標)バス24を介してヒストリアン28から、または任意の他の所望の方法で、周期的に、または非周期的にこのデータ(例えばコストデータ)を受信するように構成、あるいはプログラミングされてよい。データ記憶領域53cは、スマートプロセスオブジェクト42eが関連し、図1のワークステーション20と関連付けられている画面37等の、オペレータインタフェースを介してオペレータへの実際のディスプレイのために使用されるエンティティのグラフィック表現を記憶してよい。言うまでもなく、グラフィック表現は、パラメータによって定義される情報、またはデータ記憶領域53bに記憶されるようなエンティティについての他の可変データ等のエンティティについての情報のプレースホルダ(データ記憶領域53c内で下線により記される)を含んでよい。このパラメータデータは、ディスプレイ装置37上でグラフィックディスプレイ35の内の1つの一部としてオペレータに提示されるとき、グラフィックプレースホルダに表示されてよい。グラフィック表現(およびスマートプロセスオブジェクト42e)は、オペレータまたは構成エンジニアが、グラフィック表現によって描かれているように、プロセス要素に上流または下流の構成要素を取り付けることが可能となる(データ記憶領域53cの中で「X」で記される)所定の接続点も含んでよい。言うまでもなく、これらの接続点により、スマートプロセスオブジェクト42eは、プロセスモジュール内で構成されるものとしてそのスマートオブジェクトに接続される要素を認識することも可能となり、配管、ダクト等、その要素等に関連付けられるストリーム等、使用されなければならないひとつのタイプの接続要素を指定してよい。
【0023】
スマートプロセスオブジェクト42eは、スマートプロセスオブジェクト42が使用されるプロセスモジュールの内部または外部で他のスマートプロセスオブジェクトとの通信を可能にするために1つ以上の入力54および出力56も含んでよい。他のスマートプロセスオブジェクトへの入力54と出力56の接続は、他のスマートプロセスオブジェクトをこれらの入力と出力に単に接続することにより、あるいはスマートプロセスオブジェクト間で発生しなければならない特定の通信を指定することにより、プロセスモジュールの構成中に構成エンジニアによって構成されてよい。これらの入力と出力のいくつかは、前述されたようにスマートプロセスオブジェクトのための所定の接続ポイントでスマートプロセスオブジェクトに接続されるものとして定義されてよい。これらの入力54と出力56は、規則データベース50内の一式の規則およびプラント10の中の異なるデバイスまたはエンティティの間で接続を定義する接続マトリクス52によって決定または定義されてもよい。それらと関連付けられているデータ記憶領域またはバッファを含む入力54と出力56は、一般的に、他のスマートプロセスオブジェクトからスマートプロセスオブジェクト42eにデータの通信を提供するために、あるいはスマートプロセスオブジェクト42eの中に記憶され、あるいはスマートプロセスオブジェクト42eによって生成されるデータの通信を他のスマートプロセスオブジェクトに提供するために使用される。これらの入力および出力は、スマートプロセスオブジェクト42eと、コントローラ12、フィールドデバイス14、16等の中の制御モジュール等のプロセス制御システム内の他のオブジェクトとの間で通信を提供するために使用されてもよい。
【0024】
図2に描かれているように、スマートプロセスオブジェクト42eは、スマートプロセスオブジェクト42eが使用されるプロセスモジュールの実行中にスマートプロセスオブジェクト42eによって実現されるアルゴリズムであってよい(図2でメソッド60a、60b、および60cとして描かれている)0個、又は1個以上のメソッド60を記憶するために使用されるメソッド記憶領域58も含む。一般的に、メソッド記憶領域58に記憶されているメソッド60は、プロセスプラント10またはプラント10内のエンティティについての情報を突き止めるために、データ記憶部分53aと53bの中に記憶されているデータ、および他のスマートプロセスオブジェクトから取得されるデータ、または入力54と出力56を介して構成データベースまたはヒストリアン28等の他のソースからのデータも使用する。例えば、メソッド60はスマートプロセスオブジェクト42eによって定義されるエンティティと関連付けられる質の低いまたは不良の動作状態、プロセスプラント10の中のそのエンティティまたは他のエンティティと関連付けられるエラー等を決定してよい。メソッド60は、スマートプロセスオブジェクトのタイプまたはクラスに基づいて事前に設定または提供されてよく、毎回スマートプロセスオブジェクト42eが実行時中に実行エンジン48の中で実行されるたびに実行されるであろう。スマートプロセスオブジェクト42e等のスマートプロセスオブジェクトの中で提供されてよいいくつかのメソッド例60は漏れ、デッドバンド、不動作時間、移動、可変、状態監視、コスト計算、またはエンティティと関連付けられる他の状態を検知することを含む。
【0025】
メソッド60は、そのプロセスエンティティを通って流れる材料に関してスマートプロセスオブジェクトと関連付けられるプロセスエンティティの動作をシミュレーションする場合に役立つように提供されてよい。このようにして、メソッド60は、要素の動作をシミュレーションし、提供されている入力に基づいて予想出力を計算するために、質量平衡、エネルギーバランス、流量、温度、組成、蒸気状態、およびプラント10の中で材料と関連付けられる他のシステムレベルまたはストリームレベルのパラメータを計算するために提供されてよい。言うまでもなく、これらはスマートプロセスオブジェクト42eに記憶し、それによって実行できるメソッドの内の数個に過ぎず、使用されてよい他の多くのメソッドがあり、このようなメソッドは、通常表現されているエンティティのタイプ、他の要因のみではなく、そのエンティティがプロセスプラント内でどのように接続され、使用されるのかによっても決定されている。スマートプロセスオブジェクト42eがシステムレベルの状態、エラー等を検知するメソッドを記憶し、実行してよい一方、これらのメソッドはプロセス制御モジュールとループ等のデバイス、論理要素、および他の非システムレベルエンティティについての他の情報を決定するために使用されてもよいことに留意することが重要である。所望の場合、メソッド60は、C、C++、C#等の任意の所望のプログラミング言語でプログラミング、または提供されてよいか、あるいは実行中にスマートプロセスオブジェクト42eのために実行されなければならない規則データベース50の中で適用可能な規則を参照し、あるいは適用可能な規則を定義してよい。
【0026】
所望の場合、各スマートプロセスオブジェクトは、プロセスモジュール内で接続される場合にスマートプロセスオブジェクトのシミュレーション動作を定義するために使用されてよい適用可能なアルゴリズムまたはメソッドのライブラリを含んでよい。このようなライブラリは図2のスマートプロセスオブジェクト42eのためのプルダウンメニュー61に描かれており、類似するメニューは各々の他のスマートプロセスオブジェクトと関連付けられてよい。構成エンジニアは、このスマートプロセスオブジェクトが、例えばプルダウンメニュー61を介して(メソッド1、メソッド2等と呼ばれている)シミュレーションアルゴリズムのライブラリの内の1つを選択することによりプロセスモジュール39に格納される場合にスマートプロセスオブジェクトのシミュレーション動作を定義してよい。このようにして、構成エンジニアは、スマートプロセスオブジェクトをモデル化するために使用されているプロセスのタイプまたは性質に依存しているスマートプロセスオブジェクトのために異なるシミュレーション動作を定義してよい。
【0027】
所望の場合、構成エンジニアは、代わりに、スマートプロセスブロックによって定義されるプロセス要素のシミュレーション動作を定義するために、独自仕様の、または他のユーザによって供給されるアルゴリズムを提供してよい。(プルダウンメニュー61で「ユーザ定義」エントリとして描かれている)このようなユーザによって定義されたアルゴリズムは、そのスマートプロセスオブジェクトがプロセスモジュール39の中に格納される、あるいはその中で使用される場合にスマートプロセスオブジェクトに提供され、その中に記憶されてよい。この機能により、ユーザはシミュレーション動作をカスタマイズし、それによりさらに優れた、またはさらに正確なシミュレーションを提供できる。所望の場合、およびさらに詳しく後述されるように、スマートプロセスオブジェクト42eまたは各プロセスモジュール39は、スマートプロセスオブジェクト内のシミュレーションアルゴリズムの使用を無効にし、代わりにプロセスモジュールの動作を、HYSYSによって提供されるもの等のハイファイシミュレーションパッケージまたはプログラムによって決定させるオペレータが作動可能な(電子スイッチまたはフラグ等の)スイッチを含んでよい。この場合、スマートプロセスオブジェクトまたはプロセスモジュールは、スマートプロセスオブジェクト自体の中でシミュレーションアルゴリズムを使用することと対照的にハイファイシミュレーションからシミュレーションによるパラメータデータを取得する。
【0028】
グラフィックディスプレイ35またはプロセスモジュール39の実行エンジン48による実行中、エンジン48は、グラフィックディスプレイ35またはプロセスモジュール39内のスマートプロセスオブジェクトの各々に入力54と出力56によって定義される通信を実現し、メソッド60によって提供される機能を実行するために、それらのオブジェクトの各々についてメソッド60を実現してよい。前記に注記されたように、メソッド60の機能はスマートプロセスオブジェクトの中のプログラミングに位置してよいか、あるいはそれらの規則によって定義される機能を実現するために、スマートプロセスオブジェクトのタイプ、クラス、識別、タグ名等に基づいて、エンジン48が実行する規則データベース50内の一式の規則によって定義されてよい。
【0029】
スマートプロセスオブジェクト42eのインスタンスが、スマートプロセスオブジェクト42eが関連付けられるプロセスモジュールに関してタグまたは一意の名前を有しており、このタグまたは一意の名前がスマートプロセスオブジェクト42eへ、およびスマートプロセスオブジェクト42eから通信を提供するために使用されてよく、実行時中に実行エンジン48によって参照されてよいことが注記される。プロセスモジュールタグは制御システム構成の中で一意でなければならない。このタグ付け規約により、プロセスモジュール39の中の要素は、プロセスグラフィックディスプレイ35、プロセスモジュール39、および制御モジュール29の他の中の要素によっても参照できる。またさらに、スマートプロセスオブジェクト42eのパラメータは単純な値のような単純なパラメータ、構造化されたパラメータ、または予想される装置とそれと関連付けられている属性を認識しているスマートパラメータである場合がある。スマートパラメータは、すべての信号が同じ装置内で送信されている、あるいは適切に変換されていることを保証するために、プロセス規則エンジンまたは実行エンジン48によって解釈、使用できる。スマート規則は、オペレータ向けのスマートアラーム戦略および/またはインタフェースを作成するためにスマートプロセスオブジェクト(またはプロセスモジュール)のためのアラームのグループをオンにしたり、オフにするために使用することもできる。またさらに、スマートプロセスオブジェクトクラスは、スマートプロセスオブジェクトと、それが解釈またはアクセスする必要のあるプロセス変数との間の公知のリンクを提供するために、プラント10のプロセス制御戦略の中で装置とモジュールクラスと関連付けることができる。
【0030】
スマートプロセスオブジェクトは、プロセスグラフィックディスプレイまたはプロセスモジュールの中で使用されるとき、これらのスマートオブジェクトがオフモード、起動モード、および通常モード等の実行時中の異なるモードにされてよいように動作モード、ステータス、アラーム動作も含んでよく、その現在の動作状態に基づいてオブジェクトと関連付けられるステータスを提供してよく、範囲外、限定、高可変性等のパラメータが検知された状態に基づいてアラームを提供してよい。スマートプロセスオブジェクトは、それらをクラスライブラリで分類する、複合構造でともに収集する等を行うことが可能となるクラス/サブクラス階層も有してよい。さらに、スマートプロセスオブジェクトは、スマートプロセスオブジェクトが、その関連エンティティがいつビジーなのか、あるいは例えばプラント10内でバッチ制御プロセスによっていつ取得されるのかを認識可能とするために、制御モジュールおよび他のオブジェクト等の他の要素からの情報を活用してよい。
【0031】
スマートプロセスオブジェクトは、ポンプ、タンク、バルブ等の物理デバイス、あるいはプロセス領域、測定、またはアクチュエータ、制御戦略等の論理エンティティ等の任意の所望のプロセスエンティティと関連付けられてよい。いくつかの場合では、スマートプロセスオブジェクトは、コネクタ、このような配管、導管、配線、コンベヤ、あるいは材料、電気、ガス等をプロセスの中のある点から別の点へ移動する任意の他のデバイスまたはエンティティと関連付けられてよい。本明細書ではスマートリンクまたはコネクタ要素と呼ばれることもあるコネクタと関連付けられているスマートプロセスオブジェクトには(実際のデバイスまたはコネクタ自体にタグが付与されていない、あるいはプロセスプラント10内で通信できない場合でも)タグも付与され、一般的にはプロセスの中の他の要素間の材料の流れを表すために使用される。
【0032】
スマートリンクは、異なる材料または(電気等の)現象がいかにして接続(例えば、蒸気、電気、水、汚水等)を通って流れるのかを定義する特性またはパラメータを含む。これらのパラメータは、コネクタを通る流れ(一般的な速度、摩擦係数、乱流または非乱流、電磁のような流れのタイプ等)のタイプと性質、およびコネクタを通る流れの考えられる1つ以上の方向を示してよい。スマートリンクは、スマートリンクが接続するソースおよび宛先オブジェクトの単位が一致することを保証するプログラミングまたはメソッドを含んでよく、一致しない場合には変換を実行してよい。スマートリンクのメソッドは、実際のコネクタを通る流れの速度または性質、物理的な接続の長さとサイズ、トランスポート遅延等を推定するためにモデルまたはアルゴリズムを使用してコネクタを通る流れをモデル化してもよい。(摩擦パラメータ等の)スマートプロセスオブジェクトのために記憶されているパラメータはこれらのメソッドで使用されてよい。したがって、本質的には、スマートリンクまたはコネクタ要素は、スマートプロセスオブジェクトが他の上流オブジェクトと下流オブジェクトまたはエンティティを認識できるようにする。スマートリンクが、例えば他のオブジェクトとの間の接続、システム内の液体、ガス、電気等の流体のタイプ、他のエンティティがこのスマートプロセスオブジェクトのエンティティの上流および下流にあるエンティティの上流側と下流側、任意の所望の、または便宜的な材料、流体、電流等の方向を定義してよいことは言うまでもない。一実施形態では、実質的にはプロセスフローモジュールの実行の前にマトリックス52が作成されてよく、プラント内の異なるデバイス間の相互接続をスマートリンクのために、したがって異なるスマートプロセスオブジェクト間の相互接続を定義してよい。つまり、実行エンジン48は上流エンティティと下流エンティティを確定し、それによりスマートプロセスオブジェクトとスマートプロセスオブジェクトとに関連付けられるメソッドの間の通信を定義するためにマトリックス52を使用してよい。またさらに、一式以上の式の規則が、スマートプロセスオブジェクト内のメソッドについて必要に応じて相互に反応し合うため、および必要に応じて相互にデータを取得するためにスマートプロセスオブジェクトによって使用されるために、ならびに出力接続と関連付けられるスマートオブジェクトの影響を解消するために提供されてよい。
【0033】
所望の場合、スマートプロセスオブジェクト42eは、オブジェクトのタイプに適用可能であってよく、あるいはスマートプロセスオブジェクト42eが関連するデバイスの(臨界および用途に応じて)インスタンスに特化していてよい重要な文書(ドキュメント)に対するURL等のホットリンクも含んでよい。該文書はユーザに特定であってよいだけではなくベンダによって供給されてもよい。文書のいくつかの例は、構成、起動、および停止の手順、操作と保守の文書を含む。所望の場合、オペレータはオブジェクトまたは関連デバイスのためにインスタンスに特化した(存在する場合)総称的な文書を立ち上げるためにオペレータディスプレイに表示されるようにオブジェクトをクリックしてよい。また、オペレータは、システムソフトウェアに関係なく、保守要求、操作上の問題の記録等の文書を追加/削除/変更できることがある。さらに、これらのホットリンクは、オペレータインタフェースの中のオブジェクトに知識リンクを追加する能力を提供するため、オブジェクトに関連する適切な情報への迅速なナビゲーションに備えるため、および顧客に特化したオブジェクトタイプに、またはオブジェクトに特化したインスタンスに特定の作業指示書を追加する能力を提供するために、ユーザによって設定可能または変更可能であってよい。
【0034】
プロセスモジュールおよびプロセスグラフィックスは異なるスマートプロセスオブジェクトの相互接続によりともに作成されるものとして前述されているが、それらは個別に作成されてよい。例えば、プロセスグラフィックはスマートプロセスオブジェクトを使用して作成されてよく、完了時、そのグラフィックのためのプロセスモジュールはグラフィックディスプレイの中のグラフィック要素およびそれらの相互接続に基づいて生成されてよい。代わりに、プロセスモジュールはスマートプロセスオブジェクトを使用して最初に作成されてよく、いったん作成されると、そのプロセスモジュールのためのグラフィックディスプレイはプロセスモジュールを作成するために使用されるスマートプロセスオブジェクト内のグラフィックディスプレイ要素を使用して構成アプリケーション38によって自動的に生成されてよい。またさらに、プロセスモジュールとグラフィックディスプレイは個別に作成されてよく、これら2つのエンティティの中の個々の要素は相互に参照する(例えば、グラフィックディスプレイとプロセスモジュールの中の要素のタグ特性を使用する)ことにより手動でともに結び付けられてよい。この機構を通じて、スマートプロセスオブジェクトは複数のディスプレイによって参照されてよい。いずれの場合においても、いったん作成されると、プロセスグラフィックディスプレイおよび関連付けられるプロセスモジュールは、それらは所望のようにまたは必要に応じてパラメータと情報を前後に通信するが、無関係にまたは個別に実行されてよい。
【0035】
より包括的には、プロセスグラフィックディスプレイとプロセスモジュール内で、あるいはプロセスグラフィックディスプレイとプロセスモジュールを作成するために使用されてよいスマートプロセスオブジェクトの特定の考えられる機能および例は、より詳細に後述されるであろう。その後、説明される要素と特徴を使用して作成されるプロセスグラフィックディスプレイとプロセスモジュールが高度な制御機能とシミュレーション機能を提供するために制御モジュールとどのように統合されてよいのかが説明される。言うまでもなく、スマートプロセスオブジェクト要素と特徴が本明細書に説明されている要素および特徴に制限されず、他の特徴および要素が、そのように望まれる場合には、プロセスグラフィックディスプレイとプロセスモジュールの内の1つまたは両方の中で使用できる、あるいはプロセスグラフィックディスプレイとプロセスモジュールの内の1つまたは両方を作成するために使用できることが理解されるであろう。
【0036】
一般的に、所定のグラフィック要素のセットは、ユーザがプロセスプラントを反映するオペレータディスプレイまたはグラフィックディスプレイを構築可能とするために構成アプリケーションで設けられてよい。これらのグラフィック要素はオンライン測定および制御システムと接続するアクチュエータを動的に示すことを目的とする。さらに、プロセス動作を反映する未測定のパラメータは、プロセスモジュールで提供されるオンラインプロセスシミュレーションを使用して計算されてよく、関連付けられたグラフィックディスプレイの一体化した部分として示されてよい。
【0037】
さらに、エンジニアリングまたはトレーニングシミュレーションのために使用されるオフライン環境では、プロセスモジュールによって提供されるプロセスシミュレーションは、グラフィック要素の中のプロセス測定値の代わりに、および関連付けられた制御モジュールの中で使用されてよい。関連付けられたプロセスモジュールによって計算されるこれらの値は、プロセスグラフィックスに描かれている手動外乱値のみではなくアクチュエータ位置または状態にも基づいてよい。このようにして、グラフィックディスプレイと制御モジュールは、オンライン、つまり制御状況と、オフライン、つまりシミュレーション状況の両方で使用されてよい。また、グラフィック要素の静的な部分は多くの場合では公知のグラフィックライブラリに含まれている三次元成分と同様に表示されるが、これらのグラフィック要素の追加の一意の特徴または特性、これらの要素とともに表示される情報、および制御システムI/Oおよびプロセスシミュレーションモジュールへのリンクは、多くのグラフィック要素の考えられるタイプと例に関して前述されている。
【0038】
一般的に、スマートプロセスオブジェクトと関連付けられるプロセスモジュールの中のグラフィック要素とシミュレーションアルゴリズムは、ストリーム要素、プロセス接続要素、アクチュエータ要素、処理要素、測定要素および推定特性要素を含む多くの異なるタイプのプロセス要素の内の1つに該当する。一般的に、ストリーム要素はプロセスプラント内での材料のストリームを定義し、組成、密度、流量、温度、圧力、重量、および/または該材料の流れを定義する任意の他のパラメータを示すためにグラフィックディスプレイに露呈されてよい。ストリーム要素はプロセスモジュールの入力時に定義され、プロセスモジュールの中の要素に提供され、それによりプロセスモジュールを通過する材料のストリームをモデル化し、グラフィックディスプレイに描くことをできるようにしてよい。同様に、ストリーム要素は、グラフィックディスプレイの中で、グラフィックディスプレイにより描かれるプロセスプラントの部分の材料出力を描くためにプロセスモジュールの出力時または最後に描かれてよい。ストリーム要素は、異なるグラフィックディスプレイ(および関連プロセスモジュール)が相互にいかにして接続しているのかを定義するためにも使用されてよい。例えば、あるプロセスモジュールの出力ストリームは別のプロセスモジュールの入力ストリームであってよく、他のプロセスモジュールの入力ストリームで使用される値を指定してよい。ストリームは以下の4つの部分、つまり(pHストリーム等の)名前、(流れ入力等の)方向、(流量、圧力、温度等の)測定値、および(窒素、アンモニア等の)組成を含んでよい。ただし、ストリームはそのように所望の場合他のパーツまたはパラメータを有することができるであろう。
【0039】
プロセス接続要素は、固形物、液体または蒸気、および気体等のプラントの内の物質があるデバイスから別のデバイスへいかにして送達または搬送されるのかを定義する。プロセスを通過する材料の流れを明確に描くために、パイプ、ダクト、およびコンベヤを含む三種類の異なったタイプのプロセス接続が使用されてよい。電気化学プロセス等における電力潮流をアドレス指定するための電気ケーブル等の他の接続要素も使用されてよいことは言うまでもない。配管は、通常、液体および高圧蒸気またはプラント内での気体の流れを描くために使用される。一般的にダクトはプラント内の低圧ガスの流れを描く(そしてシミュレーションする)ために使用される。一般的にコンベヤは処理装置間での固形物の移動を描く(そしてシミュレーションする)ために使用される。その結果として、各プロセス接続要素は、デバイスの入力または出力時に材料を提供するために使用されるパイプ接続、ダクト接続、またはコンベヤ接続等の接続のタイプを定義する。
【0040】
所望の場合、接続により移送されている材料の特性は上流入力により決定される。接続が完了したか否かを定義する接続ステータス変数が加えられるこの情報は、グラフィックディスプレイ上で接続要素の特性として利用できるようにされてよい。接続要素は処理要素出力、アクチュエータ要素出力またはストリーム要素出力で開始してよい。同様に、接続要素は処理要素入力、アクチュエータ要素入力またはストリーム入力時に終了してよい。
【0041】
接続要素の特性は、カーソルがグラフィックディスプレイの接続要素上に置かれると自動的に表示されてよい。また、接続要素と関連付けられている特性は接続要素の上に(下記に定義される)測定要素または推定特性要素を置くことにより恒久的なディスプレイに表示されてよい。所望の場合、接続要素は(ストリーム出力、処理要素出力またはアクチュエータ要素出力等の)要素出力上で左マウスボタンを押し続け、マウスのボタンを押し続ける間にカーソルを要素入力上に配置することにより作成されてよい。接続が無事に確立されるために、上流要素と下流要素の入力タイプと出力タイプ(パイプ、ダクト、またはコンベヤ)は一致しなければならない。接続は上流要素のタイプを自動的に取る。
【0042】
所望の場合、配管要素はパイプ接続のようなプロセスグラフィックディスプレイに示され、または描くことができ、ダクト要素(例えば空気またはガス)はダクトとして示すことができ、コンベヤ要素はコンベヤベルトとして示されてよい。配管要素、ダクト要素およびコンベヤ要素の接続は、処理要素の間で自動的に経路を定義することができ、矢印は流れの方向を示すためにこれらの要素の描写の外部に表示されてよい。上流出力が2つの接続に共通である場合には、「T」個の要素はパイプ、ダクト、またはコンベヤの中に含まれてよい。「T」個の要素は複数の出力を結合するために使用されてよい。コンベヤ要素の色または他のグラフィック特性は、運転中/停止中、流れている/流れていない、詰まっている等のそのステータスを示すために変化してよい。一般的に、コンベヤに沿った材料の流れはコンベヤに接続されているモータ駆動により決定される。したがって(より詳細に後述されるアクチュエータ要素である)モータ駆動アクチュエータはコンベヤに接続されてよい。さらに、(後述される)測定要素は、コンベヤあるいはパイプまたはダクト内の材料の速度、水分または重量等のコンベヤ、パイプまたはダクト上またはコンベヤ、パイプ、またはダクト内の材料の特性のパイプ要素、ダクト要素またはコンベヤ要素に関連する測定値を表示可能とするためにパイプ要素、ダクト要素およびコンベヤ要素に接続できる。また、表示された特性要素は、例えば材料の組成等の測定されていないパイプ、ダクト、またはコンベヤ上、またはパイプ、ダクトまたはコンベヤ内の材料の特性を表示するために追加されてもよい。
【0043】
所望の場合、配管接続要素、ダクト接続要素およびコンベヤ接続要素は、(例えば色の変化により)接続が失われたこと、および(例えば色の変化により)選択された特性(圧力、温度、長さ等)が構成された制限外にある旨をグラフィックに且つ動的に反映してよい。さらに、関連プロセスモジュールによって計算されるパラメータはグラフィックに表示されてよい。例えば、上流接続により提供される特性は、接続のステータスが不良であるのか、あるいは良好であるのかに関係なく、接続要素等の1つ以上の選択されたパラメータを制限し、接続要素により移送されている接続要素またはストリームについてオペレータに情報を与えるためにグラフィックディスプレイに表示されてよい。
【0044】
一般的に、アクチュエータ要素とは、ストリームに関して何らかの作動機能を実行し、異なる接続要素間、または処理要素と接続要素の間に置かれてよい要素である。アクチュエータ要素の例は、(アクチュエータ付き)調整弁、(アクチュエータ付き)開閉弁、(モータ付き)ポンプ、(モータ付き)強制通風ファン、(モータ付き)誘引通風ファン、(開閉弁付き)エダクタ、(ドライブ付き)ダンパ、(可変速度モータ付き)フィーダ、(コンベヤ要素に取り付けられてよい)コンベヤモータドライブ等を含む。
【0045】
バルブ要素のグラフィック描写は、(例えば、動画による)目に見えないバルブ位置、(例えば、色の変化による)バルブの故障、(例えば、色の変化による)バルブ完全開放/閉鎖位置、およびそのバルブを制御している関連制御ブロックの(数字列または他の表示による)AO、DO、DC、設定点、PV、OUT、モード等を動的に反映してよい。(プロセスモジュールで使用される)バルブ要素と関連付けられているシミュレーション要素は、吐き出し圧力、質量流、液体温度、液組成、入口圧力および出口圧力等のバルブアクチュエータと関連するパラメータを計算するシミュレーションアルゴリズムを有してよい。これらのシミュレーションによる、または計算されたパラメータは、そのように所望の場合、プロセスグラフィックに表示されてよい。ただし、ユーザまたは構成エンジニアは、通常、バルブタイプ(線形、早開き、等しい割合、バルブサイズ等)と開から閉へのストローク時間のみではなく、バルブと関連する制御モジュール内のAOブロック、DOブロックまたはDCブロックに対する参照も設定しなければならない。言うまでもなくバルブを通る材料でのバルブの動作をシミュレーションするために使用可能なシミュレーションアルゴリズムは、バルブの種別とサイズ情報に依存してよい。
【0046】
ポンプ要素のグラフィック描写は(例えば色の変化を使用して)モータステータス、(例えば、文字列を使用して)関連DOまたはDC機能ブロックモードと設定点、(可変速度ドライブが使用されている場合には)モータ速度、AO設定点、PV、(可変速度ドライブが使用されている場合には)OUTモード、および他の所望のパラメータを動的に反映してよい。同様に、この要素のための(プロセスモジュールで使用される)プロセスシミュレーションは、吐き出し圧力、液組成、液体温度、および質量流等のパラメータを決定する、または計算してよく、そのパラメータはグラフィックディスプレイに表示されてよい。ユーザはポンプタイプに基づいてポンプ曲線を定義する必要がある場合がある。しかしながら、ユーザはモータ起動/停止に関連するDOブロックまたはDCブロックに対する参照、(使用されている場合)可変速度ドライブのための関連AO機能ブロックに対する参照、およびポンプの動作の定義のためのポンプ曲線(例えば圧力対流量)を設定してよい。
【0047】
強制通風ファンまたは誘引通風ファンのアクチュエータ要素のグラフィック描写は、モータステータス、DO機能ブロックモードまたはDC機能ブロックモードと設定点、(可変速度ドライブが使用されている場合には)モータ速度、(可変速度ドライブが使用される場合)AO設定点、PV、OUT、DOまたはDC機能ブロックモード、および他の所望のパラメータを動的に反映してよい描写を有してよく、その内のいずれかがグラフィック描写に表示されてよい。この要素のための(プロセスモジュールで使用される)プロセスシミュレーション要素は、吐き出し圧力、ガス組成、ガス温度、およびガス質量流等のパラメータを決定または計算してよく、そのパラメータはグラフィックディスプレイに表示されてよい。ユーザはモータ起動/停止のための関連DCブロックに対する参照、(使用されている場合)可変速度ドライブのためのAOブロックに対する参照、およびファンのシミュレーションされる動作を定義するためのファン曲線(圧力対流量)を設定してよい。
【0048】
いくつかの場合、特定のタイプのアクチュエータは、パイプ、ダクト、またはコンベヤ等の特定のタイプの接続にのみ使用されてよい。以下の表は典型的なアクチュエータ要素の接続制限例を定義する。
【0049】
【表1】

【0050】
処理要素はいくつかの方法でプラント内で材料またはストリームを処理するプラント装置を含む。一般的に、処理要素に対する、および処理要素からのすべての入力と出力は接続要素を介して行われる。標準処理要素はタンク(縦型と横型)、ヒータ、スタティックミキサー、リアクタ、ミキサー、エアヒータ、および単純な処理活動または標準的な処理活動を実行する他の要素を含む。ユーザは、サイズ、体積等、物理的な装置特性とともに要素に対する入力と出力の数を指定してよい。これらの標準的な処理要素のシミュレーションアルゴリズムおよび静的表現は、それらがユーザによって修正できないように設定されてよいが、前述されたように設定時に選択可能であってよい。所望の場合に、他の、(蒸留塔、エバポレータ、セパレータ、ボイラ等の)通常はさらに複雑なプラント装置がカスタム処理要素として実現されてよいことは言うまでもない。静的表現、このようなカスタム処理要素の入出力数とシミュレーションアルゴリズムは、ユーザインタフェース要件を満たすために修正されてよい。カスタム処理要素はいったん定義されると、他の処理要素の作成において開始点として再利用または使用されてよい合成物またはテンプレートとして保存されてよい。
【0051】
タンク標準処理要素は、タンクに対するパイプ接続に基づいて設定されてよく、タンク要素は(例えば、動的なアニメーションを使用して)タンク内の水位、および(例えば、色の変化を使用して)100%また空の水位を動的に反映してよい。タンクのためのプロセスモジュールシミュレーションは、グラフィックディスプレイを介して、出口温度、出口組成、液体温度およびシミュレーションによるタンクの水位等のパラメータを計算し、表示してよい。しかしながら、システムにタンクを結び付けるために、ユーザまたは構成エンジニアは、入出力接続数、タンクに対する完全な接続、(例えば、直径と高さ等の)サイズなどのタンク特性等を設定する必要がある場合がある。
【0052】
ヒータ処理要素は、グラフィックディスプレイを介して、(例えば、色の変化を使用して)熱伝達率、出口製品温度、入口製品温度、(安定した低下を想定する)出口圧力等を動的に計算し、反映してよい。ユーザまたは構成エンジニアは、ヒータに対する完全な接続、ヒータ表面積、およびクリーンな状態での熱伝達率を設定する必要がある場合がある。
【0053】
言うまでもなく、スタティックミキサー、リアクタ、ミキサー、エアヒータ、熱交換器等の他の処理要素は、これらのタイプのデバイスに調整される表示機能およびシミュレーション機能を有してよい。蒸留塔、エバポレータ、セパレータ、ボイラ等の非標準的な処理要素は、容器に関連付けられたシミュレーションが、標準的な選択に含まれていない場合にはユーザ定義であってよいカスタム処理要素を使用してグラフィックに表現されてよい。これらの要素における処理は、容器の各入力を各出力に関連付けるステップ応答モデルとして記述または定義されてよい。入力は、ガスおよび/または液体のストリームであってよい。任意選択的に、ユーザは処理要素の入力と出力の関係性を記述する方程式を定義してよく、これらの方程式はシミュレーションを実行するために要素を使用してプロセスモジュールに記憶されてよい。所望の場合、いくつかの単純な静的グラフ表現は、ユーザがカスタム処理要素と関連する静的グラフィックを迅速に作成する場合に役立つように提供されてよい。これらの単純なグラフィックが使用される場合には、ユーザは入出力接続の所望の数、およびカスタム処理要素によってサポートされている(パイプ、ダクト、コンベヤ等の)サポート接続のタイプだけを指定する必要がある場合がある。それに応じて、グラフィックアイテムが表示され、オペレータグラフィックの作成で即座に使用できる。所望の場合、プロセス要素の各入力と各出力と関連付けられる利得およびあらゆるダイナミクス(動的状態)は、ユーザがシミュレーションアルゴリズムをステップ応答として指定することを選ぶ場合に指定されてよい。ユーザはカスタムアルゴリズムを選択する場合、シミュレーションアルゴリズムを定義するためにユーザに表現エディタが与えられてよい。選択された方法に基づき、カスタム処理要素出力の特性は異なって計算されてよい。さらに、ユーザは個別のソフトウェアアセンブリで定義したアルゴリズムの1つ以上を参照してよい。
【0054】
さらに、複数の所定の合成物またはテンプレートがカスタム処理要素を作成するために提供されてよい。これらのテンプレートは、例えば、出口ガスO2、出口ガスCO、生成
ストリーム、ボイラドラム水位、およびボイラ通風を計算するカスタムアルゴリズムを有するボイラテンプレートを含んでよい。このようなテンプレートは、単一の燃料入力に基づいてよい。しかしながら、テンプレートを修正することにより、複数の燃料でボイラをシミュレーションできる。他の所定のテンプレートは、噴霧乾燥機カスタム処理要素と連動して使用されてよく、セパレータの動作をモデル化するためにステップ応答モデルを含んでよい専用の容器−サイクロンセパレータテンプレートを含んでよい。同様に、コラムテンプレート、噴霧乾燥機、およびエバポレータ本体は、予想プロセス応答を定義するためにステップ応答モデルを活用してよい。エバポレータでは、エネルギー入力および入力流量の濃度に基づいて、出口流量と蒸気放出の濃度が計算できる。複数のエバポレータ要素は、多重効用蒸発器を作成するために熱交換器とエダクタの要素とともに接続されてよい。同様に、専用の容器スタックカスタムテンプレート処理要素はボイラ処理要素とともに使用されてよい。この場合、入口の特性は、そのように所望の場合、修正を行わずに、あるいはスタック内で実行されるエミッション削減を反映するためにスタックを通して持続されてよい。
【0055】
グラフィックディスプレイとプロセスモジュールを作成するために使用できる他のタイプの要素は、測定要素と特性(プロパティ)要素とを含む。測定要素は、物理的な送信機と関連付けられる測定値にアクセスするためにグラフィックディスプレイで使用されてよい送信機要素、およびスイッチ要素を含む。一般的に、送信機要素は、不良ステータスまたは不確実なステータス、制御モジュールの中で関連付けられたAI機能ブロックのモード、実際の送信機(センサ)と関連付けられた測定値と測定装置等、あるいは実際の送信機と関連付けられた他のデータを動的に反映してよい。オフラインモード(またはシミュレーションモード)では、送信機要素は、AIブロックまたはPCIブロックと関連付けられた値より、むしろプロセスモジュールによって提供されるシミュレーション値にアクセスし、表示するために使用されてよいか、あるいはシミュレーションによる制御ルーチンで使用される測定値として制御ブロック内の関連AIブロックに測定値を提供するために使用されてよい。送信機要素は、接続要素に、または処理要素に追加することができ、このような送信機要素がディスプレイに追加されるとき、ユーザは概して、測定値を提供しているコントローラスキームで関連付けられたAIブロック、PCIブロック、またはDIブロックを特定する必要があるであろう。オンラインモードでは、測定の値はこの測定要素の隣に示されてよい。オフラインモード(つまりシミュレーションモード)では、(対応するプロセスモジュールにより作成されるような)測定のシミュレーションされる値が自動的に表示されてよい。オンライン動作では、ユーザは測定が失敗した場合にシミュレーションによる値に制御とディスプレイを切り替えることを選ぶことができる。
【0056】
スイッチ要素は、不良ステータスまたは不確実なステータス、関連DI(例えば手動またはOS)のモード、およびスイッチの離散値(オン、オフ等)を動的に反映してよい。オフラインシミュレーションモードにある間、ユーザは、シミュレーション値または手動値およびステータスを選択することにより、およびスイッチの値とステータスを手動で入力することによりグラフィックディスプレイおよび制御モジュールのスイッチパラメータにアクセスし、変更するためにスイッチディスプレイを使用してよい。しかしながら、一般的に、ユーザは、制御スキームで関連DIブロックに対する参照、スイッチをトリガする要素特性に対する参照、およびスイッチの状態の変化に関連付けられた制限とデッドバンドを提供することによりスイッチ要素を設定しなければならない。
【0057】
推定される特性要素は、一般的にはプロセスモジュールにより決定されるようなシステムの推定特性を表示し、その要素の任意の特性を表示するために接続または処理要素に追加されてよい。この要素が接続要素に、または1台の装置に置かれると、ユーザは表示される特性をブラウズし、選択できる。したがって、物理的な測定によって入手できないシミュレーション特性は、推定特性要素を使用することにより表示されてよい。このような推定特性要素は、良好/不良な接続、推定特性値(複数の場合がある)および関連範囲または変化の範囲外にある特性を動的に反映してよい。一般的に、ユーザは表示される特性(複数の場合がある)に対する参照、および該特性が範囲外にある場合に要素の範囲と色変化を設定しなければならない。
【0058】
理解されるように、送信機要素および推定特性要素を処理要素、アクチュエータ要素、および接続要素に取り付けることにより、これらのプロセス要素の入出力に関連付けられていた特性はオンライン動作またはオフラインシミュレーションの間に参照されてよい。これらの特性はグラフィックディスプレイで可視になってもよい。
【0059】
一般的に、オペレータは、プロセス10の動作中のインプリメンテーションのために、あるいはシミュレーション環境でのインプリメンテーションのために、1つ以上のプロセスモジュール39またはグラフィックディスプレイを作成するために構成アプリケーション38を起動または実行してよい。一実施形態では、構成アプリケーション38は、構成エンジニアに、図3に描かれているもののような構成ディスプレイを提示する。図3で分かるように、構成ディスプレイ64はライブラリまたはテンプレートセクション65、および構成セクション66を含む。テンプレートセクション65は、図2のスマートプロセスオブジェクト42を含んでよく、前述された接続要素、測定要素、ストリーム要素、処理要素、および推定特性要素のいずれかであってよい、テンプレートスマートプロセスオブジェクト67のセットの描写を含む。所望の場合、グラフィック定義だけを有する非スマート要素68も提供されてよい。本来、テンプレート67と68は、プロセスモジュールまたはグラフィックディスプレイ(または両方)の中でスマートプロセスオブジェクトのインスタンスを作成するために、構成セクション66の上にドラッグアンドドロップされてよい総称的なオブジェクトである。部分的に完了したプロセスグラフィックディスプレイ35cは、1個のバルブ、2つのタンク、2台のポンプ、1台のフロートランスミッタ、および流路コネクタにより相互接続されている2台のセンサを含むとして描かれており、前述されたようにスマートリンクまたはコネクタ要素であってよく、ストリーム出力を提供してよい。グラフィックディスプレイ35cが、スマートプロセスオブジェクトと非スマート要素の両方から構成されてよいことが注記されるであろう。
【0060】
グラフィックディスプレイ35c(つまりプロセスモジュール)等のグラフィックディスプレイを作成すると、構成エンジニアは、スマートプロセスオブジェクト67とテンプレートセクション65に描かれている要素68を選択し、構成セクション66上にドラッグし、それらを任意の所望の場所にドロップしてよい。一般的に、構成エンジニアは、1個以上のスマートデバイスプロセスオブジェクト67a、またはデバイスを描いている非スマート要素68を選択し、構成セクション66の上にドラッグする。構成エンジニアは、次に構成セクション66の中のスマートデバイスプロセスオブジェクトをスマートコネクタプロセスオブジェクト67bと相互接続し、入出力ストリーム67cをディスプレイに入れてよい。さらに、非スマート要素がディスプレイに追加されてよい。構成エンジニアは、ポップアップ特性メニュー等を使用してこのプロセスの間にスマートプロセスオブジェクトの各々の特性を変更してよく、特に、これらのスマートプロセスオブジェクトと関連するメソッド、パラメータ、タグ、名前、ホットリンク、モード、クラス、入出力等を変更してよい。プロセスエンジニアまたは構成エンジニアが、通常、プロセス構成、領域等を表す所望の要素の各々を用いてプロセスモジュールを作成すると、構成エンジニアはモジュールと関連する規則または他の機能を定義してよい。このような規則は、質量平衡と流量の計算のような、システムレベルのメソッドの性能と関連付けられるもの等の実行規則であってよい。プロセスエンジニアまたはオペレータは、プロセスディスプレイがオンラインである場合に有用と考えられるトレンドとフェースプレートを追加することを決定してもよい。グラフィックディスプレイ35cの作成後、構成エンジニアはメモリにそのディスプレイを保存してよく、その時点で、または後で、そのディスプレイのインスタンスを作成し、実行エンジン48がグラフィックディスプレイを提供できるように実行エンジン48にそのディスプレイをダウンロードしてよい。プロセスグラフィックディスプレイ要素とは対照的にプロセスモジュール要素のために異なるグラフィックが描写されてよいが、構成エンジニアが同じようにまたは類似した方法でプロセスモジュールが作成可能となることは言うまでもない。さらに、オペレータは、プラントを運転中に詳細のレベルをオンにすることを選んでよい。例えば、詳細のレベルの内の1つは各接続での組成を示すであろう。
【0061】
前記に注記されたように、プロセスグラフィックまたはプロセスモジュールには特殊タグが与えられてよい。例えば、グラフィックディスプレイまたはプロセスモジュールの中のスマートプロセスオブジェクト要素にはプロセス制御システムの中で選択される1台の装置またはルート等の他の要因に基づいて、例えば実行エンジン48が実行時に記入または選択できるエイリアスを含むタグを与えられてよい。プロセス制御システムでエイリアス名および間接的な参照を使用することは、本発明の譲受人に譲渡され、これにより本明細書に参照することにより明示的に組み込まれている米国特許番号第6,385,496号に詳しく説明されている。これらの技法のいずれかは、本明細書に説明されているスマートプロセスオブジェクトのためのタグを提供し、解消するために使用されてよい。エイリアス等を使用すると、同じプロセスモジュールが装置等のセットのための異なるビューを含んでよく、あるいは装置等のセットのための異なるビューをサポートするために使用されてよい。
【0062】
図3のディスプレイ64は、プロセスモジュールまたはグラフィックディスプレイの異なるビューのためのタブ(ビュー1、ビュー2、およびビュー3)を描いている。これらのタブは、プロセスに関連する異なるユーザのための異なるビューに、その中の同じスマートプロセスオブジェクトのいくつかを使用してアクセスし、作成するために使用されてよい。
【0063】
一般的に、構成エンジニアがプロセスモジュールまたはグラフィックディスプレイを作成すると、構成アプリケーション38はスマートプロセスオブジェクトを、その間の接続とともにデータベースに自動的に記憶する。このデータベースは、次に、例えば、同じスマートプロセスオブジェクトの内の1つ以上を使用して異なったビューを提供してよい、他のプロセスモジュールとグラフィックディスプレイを作成するために使用できる。このようにして、構成エンジニアは第2のビューを作成すると、データベース内ですでに作成され、記憶されているようなスマートプロセスオブジェクトと、第2のビューにそのスマートプロセスオブジェクトを入れるためにそれを用いて記憶されるあらゆるメソッドを単に参照できる。したがって、データベースは、プロセス制御モジュールおよびグラフィックディスプレイが作成されるにつれて入力することができ、データベースはプロセスフローデータベース内にすでに存在しているスマートプロセスオブジェクトを使用して他のビュー、モジュールおよびグラフィックディスプレイを作成し、実行するために任意の時点で使用できる。このようなデータベースを使用して、該データベース内の各スマートプロセスオブジェクトは、プロセスモジュールをサポートしてよいか、プロセスモジュールで使用され、複数のグラフィックディスプレイで参照されてよい。やはり理解されるように、プロセスモジュールは、これらのモジュールのためにディスプレイを構築してから、プロセスモジュール内で使用される、あるいはプロセスモジュールと関連付けられるフローアルゴリズムを指定することにより構築されてよい。言うまでもなく、個々のプロセスモジュールは異なるコンピュータ全体に拡散され、異なるコンピュータによって実行されてよく、プロセスモジュールは同じコンピュータ上または異なるコンピュータ上のいずれかで、相互に連動して動作するために相互に通信可能に接続されてよい。これらが行われると、入出力ストリームは、プロセスモジュールに結び付けられてともに外部から参照される。
【0064】
前記に注記されたように、構成エンジニアは、プロセスモジュールまたはグラフィックディスプレイの作成の一部として、プロセスモジュールのシミュレーションアルゴリズムを取り付ける、または提供してよい。これらのシミュレーションアルゴリズムは、プロセスモジュールによって描かれている、またはモデル化されているプロセスに関して質量平衡計算、流量計算、効率計算、経済計算等の、特定のプロセス特性またはシステムレベルの特性を計算する、または決定するために事前設定されてよい。その結果、プロセスモジュール自体が、モード、ステータス、およびアラーム動作を有してよく、ワークステーションに割り当てることができ、ディスプレイダウンロードの一部としてダウンロードされてよい。所望の場合、シミュレーションアルゴリズムは、質量平衡、または加熱平衡、流量経路選択、流量効率、流量最適化、プロセスシミュレーションに関連する経済計算、またはプロセスモジュールのスマートプロセスオブジェクトに提供されるデータを使用する他の所望の計算を実行するために実行エンジン48によって実行されてよい。またさらに、これらのシミュレーションアルゴリズムは、制御戦略、つまりコントローラ、フィールドデバイス等に関連付けられ、それらにダウンロードされる制御モジュールからのパラメータにアクセスしてよく、逆にこれらの制御モジュールにデータまたは情報を提供してもよい。
【0065】
実行エンジン48が、すべてのディスプレイ上で構成されるすべてのプロセスオブジェクトとリンクを合併したもの全体でプロセスアルゴリズムを実行可能とするために必要とされることが理解されるであろう。したがって、(プロセスモジュール内の)シミュレーションアルゴリズムは、任意の関連付けられたグラフィックディスプレイがロードされている、つまり呼び出され、ユーザに情報を表示しているか否かに関係なく実行するであろう。言うまでもなく、シミュレーションアルゴリズムはプロセス全体10で、またはプロセス10の定義されている部分集合全体で照合されてよい。任意の特定のプロセスモジュールの実行中、実行エンジン48は、そのプロセスモジュールに関連するグラフィックディスプレイに基づいて、プロセスモジュール内の相互接続されているオブジェクトまたはエンティティを描写するディスプレイをオペレータまたはオペレータインタフェースに与えてよい。ディスプレイのパラメータ、グラフィック等は、プロセスモジュールの内部のスマート要素の構成と相互接続によって決定される。さらに、このディスプレイまたは他のディスプレイで提供されるアラームと他の情報は、スマートプロセスオブジェクト内のメソッド、および特定のプロセスモジュールと関連付けられたシミュレーションアルゴリズムによって定義され、生成されてよい。所望の場合、たとえ実行エンジン48がプロセスフローモジュールを実行し続け、それによってそれと関連するメソッド、アラーム動作、フローアルゴリズム等を実行しても、実行エンジン48は複数のオペレータインタフェースにプロセスモジュールのためのディスプレイを提供してよく、あるいはディスプレイを提供しないように構成または設定されてよい。
【0066】
所望の場合、プロセスモジュールは、グラフィックディスプレイから自動的に生成されてよく(あるいは逆もまた同様)、プロセスモジュールが利用可能な機能がプロセスグラフィック要素によって決定されてよい。明らかでなければならないのは、プロセスモジュールが好ましくはプロセスグラフィックディスプレイを表すために構築されてよいという点である。その結果、ユーザがプロセスグラフィックディスプレイを構成すると、ユーザは質量ストリームまたはエネルギーストリーム等のプロセスモジュールについての追加の情報を含むことができる。これらのストリームは、シミュレーション機能ブロックによって必要とされる開始状態を確立するためにプロセスモジュールで使用される。
【0067】
加えて、プロセスモジュールは、コンピュータで実行される実際のソフトウェアモジュールであるため、それらが制御モジュールと関連するパラメータ、制御戦略、ディスプレイ等を使用するために参照する、およびコントローラモジュールによって参照されることも可能である。また、この機能を使用すると、プロセスモジュールがプロセスグラフィックディスプレイとは無関係に作成されることも可能である。
【0068】
一般的に、プロセスモジュールは処理要素、ストリームおよびそれらの関連接続から構成される。プロセスグラフィック要素と(プロセスモジュールの中の)シミュレーション要素の間には1対1の対応があるため、ユーザは、グラフィックディスプレイを構築し、そのディスプレイから対応するプロセスモジュールを自動的に生成することが可能であろう。所望の場合に、ユーザがプロセスモジュールを作成してから、スマートプロセスオブジェクト内のグラフィックスを使用してそのモジュールからグラフィックディスプレイを自動的に作成してよいのは言うまでもない。しかしながら、プロセスモジュールの自動生成を可能にするためには、ユーザが、測定要素と推定特性要素に関連するアクチュエータ要素特性、接続要素特性または処理要素特性を識別する必要がある可能性がある。ユーザがプロセスグラフィックを作成する前に、あるいはいくつかの場合、制御モジュールが構築される前に、プロセスシミュレーションを作成する必要がある場合もある。シミュレーションが構築された後、制御モジュールのI/Oブロックに対する参照を記入することができるであろう。また、関連グラフィックディスプレイが作成されると、既存のプロセスモジュールにブラウズし、特性基準を設定することが可能になるであろう。
【0069】
いくつかの場合、プロセスグラフィックスはプロセスシミュレーションを構築するために必要とされるすべての詳細を含む必要はない可能性がある。したがって、ユーザが、プロセスグラフィックスから自動的に作成されたシミュレーションモジュールまたはプロセスモジュールを編集可能とするためにエディタを提供することが望ましい。また、複数のプロセスグラフィックスが装置の同じ部分を表示する必要がある場合があるため、プロセスグラフィックの構築では、要素が既存のプロセスモジュールを参照できることが必要である場合がある。
【0070】
一般的に、処理要素に対応するシミュレーションには共通の構造がある。所望の場合、ブロック入力接続およびこのシミュレーションのパラメータは、制御モジュールに対する参照が必要とされないようにプロセスモジュールに記憶される。さらに、シミュレーションによりサポートされる入出力接続の数は拡張可能として定義されてよく、シミュレーション実行の結果はシミュレーション出力接続において、あるいはシミュレーションのパラメータとして反映されてよく、シミュレーションアルゴリズムはステップ応答として定義されてよいか、あるいはユーザによって入力されてよい。シミュレーションアルゴリズムがユーザによって入力されると、ユーザは出力ごとに無関係にダイナミクスを指定してよい。
【0071】
またさらに、パラメータの共通集合は入力接続と出力接続のためにサポートされてよい。入力接続と出力接続と関連するパラメータは、アレイパラメータまたは構造としてブロック間で通信されてよく、(例えば、良好、不良、制限されている等の)接続ステータス、質量流パラメータ、圧力パラメータ、温度パラメータ、特殊熱パラメータ、密度パラメータ、または任意の他の所望のパラメータ等のパラメータを含んでよい。いくつかの場合、ストリームの組成等の他のパラメータがシミュレーションアルゴリズムで提供され、使用されてよい。この要件をサポートするためには、標準的な、拡張されたストリーム要素が提供されてよい。拡張されたストリーム要素構成の一部として、ユーザはストリーム要素を定義するためのデータの所定のグループの集合を選択してよい。このような拡張された接続のみが、この情報を活用するブロックに接続できるようにされるだけである。一般的に、拡張パラメータはグループ名と多くの特殊要素を含んでよい。例えば、ボイラ処理要素に対する燃料入力ストリームが、燃料セットを含む燃料の成分、つまり燃料の中の炭素、水素、硫黄、酸素、水分、および窒素の量(所望の場合すべて重量%)を含んでよい。別の例としては、タービン発電機処理要素は、蒸気ストリームを使用してよく、関連付けられたシミュレーションへの接続は蒸気セット、段階に入る(実際の)蒸気エンタルピー、段階を出る(実際の)蒸気エンタルピー、(等エントロピー膨張の場合)蒸気エンタルピー等を含む拡張されたパラメータセットを使用してよい。
【0072】
拡張されたグループセットは、プロセスモジュールの中のシミュレーション要素がハイファイシミュレーションパッケージに対するインタフェースとして使用される際に使用されてもよい。この場合、いくつかのストリームの組成はプロセスグラフィックで可視にできる。また、所望の場合、対話型エディタは、グラフィックディスプレイで提示されるための制御モジュールのための関連フェースプレートと詳細ディスプレイのみではなく、グラフィックディスプレイにも表示される値を作成または修正することを容易にするために提供されてよい。
【0073】
図4は、前述された要素と構成アプリケーションを使用して作成されてよいグラフィックディスプレイ例100を描いている。特に、グラフィックディスプレイ100は、水、酸、および塩基からホワイトビネガーを生産するプロセスプラントの一部を描いている。図4に描かれているように、プロセスグラフィックディスプレイ100は、塩基供給、酸供給、水供給および冷却水のストリームを定義する4つのストリーム要素102をそれに対する入力時に含む。塩基供給ストリーム102はバルブ106の形を取るアクチュエータ要素に配管接続要素104を通して送達される。バルブ106の出力は配管接続要素104を介してミキサー108の第1の入力に接続される。同様に、酸供給102は送信機要素110に接続されてから、ミキサー108に接続されている追加のバルブ112に接続される。酸供給102と送信機110、送信機とバルブ112、およびバルブ112とミキサー108が、配管接続要素114を介して接続される。
【0074】
容易に分かるように、ミキサー108の出力は配管および2台の送信機124と126を介して熱交換器122に接続される。冷却水ストリーム102はバルブ128を介して熱交換器122に送達され、リターン水ストリーム要素131を生成するためにバルブ130を介して熱交換器を出る。同様に、熱交換器122の出力は出力酢酸ストリーム要素136を提供するために送信機要素132とバルブ134を通って送達される。特に常に呼び出されていないが、グラフィックディスプレイの要素はすべての場合で配管接続要素を介して相互に接続される。
【0075】
ディスプレイ要素自体の特性として生成されてよく、送信機、および推定された特性要素、あるいは制御モジュールの中のブロックを参照する要素の形を取った個別の要素であってよいディスプレイボックス140は、異なる要素と関連するプロセス変数(PV)値、設定点(SP)値、OUT値等のパラメータを示すまたは表示するためにグラフィックディスプレイ100に描かれている。さらに、ユーザが要素の内のいくつかの上にカーソルを置かなければならない場合、ディスプレイ100は参照された要素と関連付けられた他の値を描いてよい。例えば、(酢酸ストリーム出力136等の)ストリーム要素の内の1つの上にカーソルを置くと、グラフィックはプロセスの中のこの点での酸のストリームの組成、圧力、温度、密度、流量等を示す。言うまでもなく、グラフィックディスプレイ100上に表示されている値およびパラメータは(制御システム内のAIブロックから等)プロセス制御システム内の実際の参照される送信機から、あるいは要素の機能をシミュレーションするプロセスモジュールシミュレーション要素から送達されてよい。図4のグラフィックディスプレイ100は、ホワイトビネガーを作るプロセスの動作中に、あるいは例えば設計活動またはオペレータトレーニング活動を実行するために使用されるそのプロセスのシミュレーションを実現するためにユーザに提供されてよい。
【0076】
図5は、異なるグラフィックディスプレイ(および同様に異なるプロセスモジュール)がプロセスプラントのさらの多くを描く(またはシミュレーションする)さらに高いレベルのディスプレイ(またはプロセスモジュール)を形成するためにともにどのように接続されてよいのかを描く。図5のディスプレイ150では、プロセスグラフィック100は名前またはラベルおよび接続点としてストリーム入力と出力のセットを有するボックスの中に折り込まれる。所望の場合、ユーザは、そのグラフィックを選択し、そのグラフィックの上を例えばダブルクリックすることにより、図5のプロセスグラフィック100を図4に示されるグラフィックに拡大してよい。さらに、他の折り込まれたグラフィックディスプレイ152と154は、入力ストリーム要素156と158を介して冷却水供給にのみではなく、塩基供給、酸供給および水供給にも接続しているものとして描かれている。プロセスグラフィックディスプレイ100のストリーム出力136は、ホワイトビネガー用の保持タンク162のストリーム入力160に接続される。同様に、プロセスグラフィックディスプレイ152と154のストリーム出力は、各々モルトビネガーとpickelingビネガーのための保持タンク163と164のストリーム入力に接続されている。理解されるように、プロセスグラフィックス152と154は、各々モルトビネガーとpickelingビネガーを作るプロセスプラントの一部分のグラフィックを提供するように構成され、該プロセスプラントのこれらのセクションに関するデータとグラフィックビューは、これらのディスプレイを拡大して表示されてよい。
【0077】
しかしながら、図5は、プロセスプラントの異なるグラフィックセクションが、ストリーム要素の間の接続を介してともに接続されてよいことを描く。特に、ストリーム要素は、接続要素と関連する開始特性を定義するためにディスプレイに含まれてよい。また、ストリーム要素は、ディスプレイ間の接続点として使用されてよい。このようなディスプレイの間のシート外の接続のために、ユーザは参照される接続を含む関連ディスプレイを即座に呼び出すためにストリームをクリックしてよい。したがって、一般的に、ストリーム要素の質量/組成は、通常、プロセス入力の開始特性、つまり開始原料組成等を定義するために、あるいは別のディスプレイ上でストリーム接続へのリンクを定義するために使用される。接続は質量/組成ストリーム要素の入力または出力で行われてよい。ストリーム要素の場合、一般的にユーザは(システムの中で一意でなければならない)ストリームの名前、(基準入力または入力接続がない場合には)ストリームの特性、(ストリームが複数の成分から構成される場合)ストリームの異なる成分の質量分立、圧力または質量流、温度、比熱、密度、必要とされる接続タイプ(パイプ、ダクト、コンベヤ)および(別のディスプレイ上でストリームにアクセスするために使用される場合)参照される入力ストリームを設定してよい。同様にエネルギーストリーム要素は、BTU/HR転送等のプロセス入力と関連付けられる開始エネルギーを定義するため、あるいは別のディスプレイでのストリーム接続のエネルギー特性へのリンクを定義するために使用されてよい。
【0078】
図5は、異なる折り込まれたグラフィックディスプレイを相互接続するためのストリームの使用を描いているが、同じ手順は異なるプロセスモジュールを相互接続(し、異なるプロセスモジュールの相互接続を描写)するために使用できるであろう。特に、プロセスモジュールは、名前およびストリーム要素入出力を描くために折り畳むことができ、これらの折り込まれたプロセスモジュールは、異なるプロセスモジュールのストリーム出力とストリーム入力の間の通信接続またはリンクの描写を使用して他のプロセスモジュールに通信可能に結び付けられる、または接続できるであろう。
【0079】
図6は、図4のグラフィックディスプレイ100に相当するプロセスモジュール100aを描いている。分かるように、プロセスモジュール100aは、図4のグラフィックディスプレイに描かれている物理的な要素の各々についてスマートオブジェクトシミュレーションを表すブロックを含む。理解を容易にするために、図4の要素に対応する図6の各々のシミュレーションブロックは「a」が付け加えられた同じ参照番号で示されている。したがって、図6のミキサーシミュレーションボックス108aは、図4に描かれているミキサー108に対応するシミュレーションである。同様に、バルブシミュレーションブロック106a、112aおよび118aは、各々図4に描かれているバルブ106、112、および118に対応し、通信可能に結び付けられている。
【0080】
図6のプロセスモジュール100aは、このようにしてグラフィックディスプレイ100に描かれている要素ごとに(スマートプロセスオブジェクトと関連付けられる、あるいはスマートプロセスオブジェクトにより指定される関数ブロックとして表現されてよい)プロセスシミュレーション要素を含み、これらのシミュレーションブロックはグラフィックディスプレイ100に指定される方法で、および指定される接続要素を使用して相互接続される。所望の場合、プロセスモジュール100aは、グラフィックディスプレイ100の作成後、あるいはグラフィックディスプレイ100の作成中にも自動的に作成されてよい。
【0081】
前記に示されたように、プロセスモジュール100の中のプロセスシミュレーション要素の各々が、これらのシミュレーション要素への入力時に提供される材料のストリーム(複数の場合がある)のプロセスおよび性質で使用される機械装置の動作に基づいたシミュレーション機能(例えば、アルゴリズム、規則、伝達関数等)を含む。これらのシミュレーションは、処理要素、アクチュエータ要素、および送信機要素の各々の中のSIMブロックにより図6に描かれている。デバイスのダイナミクスとストリームに対する影響は、それによってプロセスモジュール100aの中でモデル化またはシミュレーションされてよい。アクチュエータ要素および処理要素と関連付けられたシミュレーションブロックのために利用できるいくつかの考えられる特性は、(入口温度、流量および熱容量に基づいた)出口温度、(入口質量流と要素の中の蓄積に基づいた)出口流量、(装置全体での仮定される圧力低下または下流圧力に基づいた)出口圧力および(完全混合および入口組成に基づいた)出口組成であってよい。カスタム計算が実現されるとき、出口特性に関連付けられる内蔵ダイナミクスは、例えばプロセス入力の変換に対する不動作時間が加えられた一次応答(first-order−plus−deadtime)に基づいて追加さ
れてよい。ユーザは、所望の各々の計算された特性と関連付けられた不動作時間および遅延を指定してよい。送信機とスイッチ等のプロセス測定要素、および接続要素の場合、参照される特性にダイナミクスが導入されないことが想定されてよい。しかしながら、そのように所望の場合、遷移と他の特性はモデル化されてよい。しかしながら、多くの場合、上流接続からの特性は下流接続に即座に反映されてよい。
【0082】
プロセスモジュール100aを使用すると、プロセスグラフィック100に描かれているプラントの部分の動作をシミュレーションできる。このシミュレーションは、プロセスモジュール100a内のシミュレーション要素からの値がグラフィックディスプレイ100のグラフィックスに自動的に通信され、そこに表示され、制御モジュールで使用されてよいのでディスプレイ100と統合される。同様に、トレーニングインストラクタはプロセスモジュール100aによって実行されるシミュレーションで特性を達成するまたは変更するためにディスプレイを使用してよい。
【0083】
所望の場合、HYSYS、CAPE等のハイファイシミュレーションは、測定要素およびアクチュエータ要素のためのI/O基準を定義してから、これらの基準を使用して、シミュレーションでI/Oを実行するために、例えばHYSYS内で現在使用されているDCSインタフェーステーブルを作成することによりシミュレーション特徴に加えられてよい。標準処理要素テンプレートは、ハイファイプロセスシミュレーションを構築するために使用されてよい、HYSYS(または他のハイファイシミュレーション)成分ごとに定義されてよい。このようなハイファイシミュレーション165はプロセスモジュール100aに通信可能に接続されているものとして図6に描かれている。この場合、ユーザはプロセスモジュール100aの中のシミュレーション要素の各々で提供されるシミュレーションを無効にし、代わりにハイファイシミュレーション165によって提供されるシミュレーションパラメータを使用することを選択してよい。ユーザは、(プロセスモジュール100aの中に設定される電子スイッチ、フラグ等であってよい)スイッチ166を起動することによりハイファイシミュレーション165の使用を指定してよい。
【0084】
一般的に、スイッチ166がハイファイシミュレーション165を使用するために設定されるとき、プロセスモジュール100a内の関連シミュレーション機能ブロックはシャドーブロックとして働く。つまりそれらのシミュレーションアルゴリズム(SIMブロック)は実行されず、代わりにブロックパラメータがハイファイシミュレーション165によって読み書きされる。しかしながら、プロセスモジュール100aは、依然として同じパラメータと他の情報をプロセスグラフィックと制御モジュールに通信し、(最終的にはハイファイシミュレーション165で使用するために)プロセスグラファイック100、および制御モジュール29から情報を受信する。
【0085】
理解されるように、このようにしてプロセスモジュールを使用することは、オペレータ、エンジニア等が表示し、使用できるようにプロセスプラント内でハイファイシミュレーションパッケージ(ソフトウェア製品)を接続する(つまり、プロセスモジュール100aと関連付けられたプロセスグラフィックディスプレイ100を使用する)容易且つ便利な方法となる。特に、プロセスモジュールのストリームパラメータは、ハイファイシミュレーションまで接続、あるいはハイファイシミュレーション内でモデル化される流れと関連付けられてよく、プロセスモジュールの中のパスは自動的に構造化する、あるいはハイファイシミュレーションの中のパスと関連付けることができる。実際には、プロセスモジュールは、この場合、プロセスプラント制御およびシミュレーション環境で使用される制御モジュールおよびグラフィックディスプレイにハイファイシミュレーション内のデータをマッピングする便利な方法となる変数つまりデータプレースホルダとして使用される。
【0086】
またさらに、プロセスモジュールおよび関連グラフィックディスプレイは、通例ハイファイシミュレーションプロバイダによってユーザにとって高い価格で現在生産されている、ハイファイシミュレーション用の個別のディスプレイを提供するニーズを削減するまたは排除する。代わりに、プロセスモジュールはすでにグラフィックディスプレイに結び付けられているため、プロセスモジュールがハイファイシミュレーションパッケージに接続されると、グラフィックディスプレイはユーザにハイファイシミュレーションパッケージにより計算されるように情報を提供するために、およびユーザまたはオペレータがハイファイシミュレーションパッケージに対する入力を操作可能とするために使用されてよい。またさらに、プロセスモジュールは制御モジュールに通信可能に接続されるため、ハイファイシミュレーションパッケージによって生成されるパラメータまたはデータは、オンライン制御活動を実行するために制御モジュールで使用されてよい。このようにしてプロセスモジュールを使用すると、ハイファイシミュレーションパッケージは、制御モジュールと統合されることに加え、制御モジュールと並列に実行できる。
【0087】
前述の説明から理解されるように、プロセスモジュールおよびグラフィックディスプレイは、グラフィックディスプレイによって描かれているプロセスプラントの動作をシミュレーションするプロセスモジュールとともに、プロセスプラント10のセクションのオペレータビューを提供するために、統合的に作成、実行されてよい。有利なことに、プロセスモジュールおよびグラフィックディスプレイは、プロセスプラントのそのセクションまたは部分に関して制御活動を実行する、さらに1つ以上の制御モジュールと(例えば、通信可能に接続される等)統合されてよい。したがって、図1に描かれている制御モジュール29は、図1に描かれているプロセスモジュール39とグラフィックディスプレイ35の内の1つ以上と通信可能に統合されてよい。言うまでもなく、通信モジュール29、プロセスモジュール39、およびグラフィックディスプレイ35は、特定の場合で所望の、または必要とされるように、図1に描かれているもの以外のプラント10の中の他のコンピュータまたはデバイスで実現されてよい。
【0088】
図7Aおよび図7Bは制御モジュール29、プロセスモジュール39およびグラフィックディスプレイ35の統合をより詳細に描いている。特に、グラフィックディスプレイ35は、リサイクルタンク182とポンプ184の入力に接続されているバルブ180を、リサイクルタンク182の出力と直列で接続されているバルブ186とともに含む。要素180から186は、(名前が付けられていない)配管接続要素を介してともに接続され、ストリーム要素はそれらの点での材料のストリームを定義するためにグラフィックディスプレイ35の入力と出力で提供される。
【0089】
グラフィックディスプレイ35の構成の結果、グラフィックディスプレイ35と同時に作成されてよいプロセスモジュール39は、グラフィックディスプレイ35の中に描かれている物理的な要素に対応するバルブ要素180a、タンク要素182a、ポンプ要素184aおよびバルブ要素186aの形を取るプロセスシミュレーション要素を含む。グラフィックディスプレイ35と関連する(グラフィックディスプレイ35に描かれている)物理的な要素の少なくともいくつかを制御する制御モジュール29は、グラフィックディスプレイ35によって、およびプロセスモジュール39によって描かれている要素の中で制御を提供する、あるいはそれらと関連する相互接続された機能ブロックの集合を含む。この例では、制御モジュール29は、2つの制御ループ190と192を含む。第1の制御ループ190は、タンク182の中への流体の流れについての流量入力情報を受け取るアナログ入力(AI)機能ブロックと、PID制御を実行する比例積分微分(PID)制御機能ブロックと、タンク182の中へ材料の所望の流れを達成するためにバルブ180を操作するアナログ出力(AO)機能ブロックとを有する。同様に、制御ループ192は、タンク182内の水位センサによって測定されるようなタンク水位情報を提供するAI機能ブロック、PID制御ブロック、およびタンク182内の流体の水位の制御を達成するためにバルブ186を操作するためにPID制御ブロックから制御信号を受信するAO機能ブロックとを含む。制御モジュール29は、例えばポンプ184のオン/オフ状態または動作を示し、そのように所望の場合、タンク182に関して制御活動を実行するために、制御ループ190と192によって使用されてよい離散入力(DI)も含む。
【0090】
理解されるように、グラフィックディスプレイ35、プロセスモジュール39、および制御モジュール29内のいずれかの中の要素のいずれかは、さらに詳しく説明されるように、それらの要素の他と(関連通信タグを介して)通信し、それによってさらに優れたまたは強化された制御ディスプレイ、シミュレーションディスプレイおよびオペレータディスプレイを提供してよい。例えば、図7Bに描かれているように、ループ190のPID制御ブロックは、PID制御要素により使用されている電流フロー設定点を表示するために、グラフィックディスプレイ35に情報を提供するように構成してもよく、あるいはこれらの要素の間の矢印が付けられた線で示されるように、グラフィックディスプレイ35から制御モジュール29で使用される設定点を読み取ってよい。同様に、プロセスモジュール39のタンク要素182aは、要素182aの中でシミュレーションアルゴリズムによって決定されるように、タンクのシミュレーションされる水位を示すプロセス制御モジュール29の制御ループ192のAI機能ブロックにシミュレーション出力を提供してよい。このシミュレーションによるタンク水位は、オペレータによって見られるために追加情報としてグラフィックディスプレイ29上で描かれてもよい。
【0091】
所望の場合、制御ループ192のAOブロックは、グラフィックディスプレイ35のバルブ186に情報を提供し、バルブ186から情報を受信してよい。さらに、ループ192のAO機能ブロックは、プロセスモジュール39のバルブ要素186aにその制御出力を提供するように構成できる。この場合、バルブ要素186aは、物理的な要素になんらかの誤動作があるか否かを判断するために、制御ループ192で測定されている実際のバルブ位置に、バルブ位置のための予測値を比較してよい。一定量での差異の場合には、プロセスモジュール39は、障害のあるセンサ等のプロセスプラント内の潜在的な問題を示すグラフィックディスプレイ35上でアラームまたは警告を生成するソフトウェアを含んでよい。図7Bにも描かれているように、バルブ要素186aは、オペレータに表示される、あるいはオペレータが利用可能となるように、グラフィックディスプレイ35にシミュレーションによる測定値またはパラメータを提供してよい。このようなシミュレーションによる測定値またはパラメータは、バルブ186からのシミュレーションによる、または予測された流量、あるいはバルブ186と関連する任意の他のシミュレーションによるパラメータを示してよい。言うまでもなく、実際の測定データ、シミュレーションデータ、またはグラフィック表示データを含む他の所望の情報またはデータは、さらに優れたまたは強化された制御、シミュレーションまたはディスプレイを提供するために、グラフィックディスプレイ35、プロセスモジュール39および制御モジュール29内の要素に提供されてよい。
【0092】
一般的に、プロセスモジュールを制御モジュールと、および所望の場合、さらにグラフィックディスプレイと統合させることにより生じる可能性を有する多数の優位点がある。ある場合、前述されたようにプロセスモジュールによって実行されるシミュレーションは、シミュレーションによるまたは予測された測定値、パラメータまたは他のプロセス値を、システム内の潜在的な問題を検知するために制御モジュールによって提供される測定された、または計算されたパラメータと比較してよい。例えば、プロセスモジュール39によって計算されるようなバルブの中からの流量と、プロセス自体の中で測定されるようなバルブの中からの流量の大きな差異は、何らかのデバイス問題が存在することを示すアラームを生成する理由となる可能性がある。逆に、制御モジュール29は、制御モジュール29が認識している障害のあるセンサ、あるいは、既にアクティブではない、または制御モジュールにより使用できない他の要素に関する状況で強化された制御を提供するためにシミュレーションによるパラメータを使用してよい。この場合、制御モジュール29は、オペレータの関与を必要とせず、プロセスを停止する必要もなく、(障害があるものとして認識している、不良ステータスを有する可能性のある等の)測定値またはパラメータを、プロセスモジュールにより作成されるようなシミュレーションによる出力で自動的に置換できる。また、シミュレーション制御データと実際の制御データの両方を同じディスプレイに表示することは、オペレータまたはユーザが、シミュレーションモードで有用、さらに優れた設計活動を実行するために有用等、プラント内の問題を検知する上で役立つ可能性がある。
【0093】
図8は、制御モジュール200がいかにしてプロセスモジュール202(それにより該プロセスモジュール202と関連する任意のグラフィックディスプレイ)と通信可能に統合されてよいのかのより詳細な図である。図8の制御モジュール200は、例えばモデル予測制御(MPC)機能ブロック等の、多重入力/多重出力制御ブロックであってよい制御機能ブロック207にその出力が接続されている3つのAI機能ブロック204、205、および206を含む。制御ブロック207からの3つの制御出力は、例えば混合のためにミキサーに異なる流体を提供するプロセス内の例えばバルブを制御してよい、3つのAO機能ブロック208、209および210の制御入力に送信される。
【0094】
プロセスモジュール202は、制御モジュール200によって制御されるミキサーとバルブを有するプロセスの部分と関連付けられている。特に、プロセスモジュール202は(プロセスモジュール202の左側で矢印によって描かれている)ミキサー要素214の中への3つのストリームの流れをシミュレーションするバルブ(アクチュエータ要素)211、212、および213を有する。バルブ要素215は、プロセスモジュール202の右側の出力ストリームを定義するためにミキサー要素214からの流体の流れをシミュレーションし、送信機要素217は、ミキサー要素214を出る流体の測定された組成を示す(またはシミュレーション)してよい。明確にするために、接続要素はプロセスモジュール202で単純な線として描かれていることに注意する。
【0095】
この場合、AI機能ブロック204から206に対する制御入力は成分センサ、流量センサまたは(プロセスモジュール202の中の)送信機217によって描かれているプロセスプラント内の他のセンサによって提供されてよいが、AO機能ブロック208から210は、(プロセスモジュール202内の)バルブ211から213により描かれているプロセスプラントのバルブの動作を制御してよい。
【0096】
分かるように、プロセスモジュール202と制御モジュール200の中の論理要素は、所望の方法でまたは有用な方法で、プロセスモジュール202から制御モジュール200に通信可能に相互接続されてよく、逆の場合も同じである。1つの例では、(点線218によって描かれている)通信接続は(ミキサー214で材料組成のシミュレーションによる測定値を表示する)プロセスモジュール202の送信機要素217の出力と、プロセス制御モジュール200の中のAIブロック216のシミュレーションによる入力SIM_INの間で構成されてよい。このようにして、ミキサー214の流体の水位のシミュレーションによる測定値はAIブロック206に与えられ、AIブロック206は、例えば、そのブロックの制御入力(IN)での信号が不良ステータスを有する、あるいは何らかの理由から障害があると認識されている場合に、このシミュレーションによる入力を使用してよい。このようにして、AIブロック206は、実際の物理的な測定が有効ではない、または利用できない場合にAIブロック206と関連する測定の近似値を提供し、それにより制御モジュール200は障害のあるセンサが存在する場合に機能し、制御を提供し続けることができる。このような接続により、制御モジュール200も、(シミュレーションプロセスモジュール202によって提供されるような)有効なシミュレーションデータがオフラインのオペレータトレーニングの間に、あるいは制御モジュール200をテストするために使用される、シミュレーションモードで実行できるようになる場合がある。
【0097】
代わりに、または加えて、(点線219で描かれている)通信接続は、プロセス制御モジュール200の中のAOブロック208の出力と、プロセスプラントのAOブロック208によって制御されている実際のバルブをモデル化するバルブ要素211の入力の間で構成されてよい。ここでは、バルブ要素211は、シミュレーションによるデータ(つまりバルブ要素211のSIMブロックにより計算された測定値とパラメータ)が正しいか否か、つまり実際の制御ルーチン200で使用されるデータと一致するか否かを判断するために、実際のバルブから取得される、あるいは実際のバルブに送信されるデータを使用してよい。かなりの差異がある場合には、プロセスモジュール202は、潜在的な問題を示すアラームまたは警告を生成してよく、あるいはプロセスモジュール202内でより優れたまたはより正確なシミュレーションを提供するために実際のデータを使用してよい。例えば、バルブ要素211は、シミュレーションにおいて実際のバルブ位置を反映するためにバルブ要素211の位置についてSIMブロック内の実際の制御データを使用してよい。言うまでもなく、プロセスモジュール202と制御モジュール200の中の要素の間の他の接続が、強化された制御および/またはシミュレーションを実行するためにこれらの2つのモジュールの間のいずれかの方向でデータフローを提供してもよい。またさらに、プロセスモジュール202または制御モジュール200からのデータのいずれかは、プロセスモジュール202と関連付けられるグラフィックディスプレイを介して自動的にオペレータが利用できるようにしてもよい。
【0098】
所望の場合、プロセスモジュールは、プロセス制御ネットワークまたはプロセスプラント内で冗長な機能を提供し、シミュレーションしてよい。特に、プロセスモジュールは、プロセスプラントの中に配置される冗長なデバイス、冗長な制御ブロック等、実際の冗長な機能の動作をシミュレーションし、(例えば、バックアップ冗長要素が引き継がなければならないとき等を含む)実際の冗長な要素の動作を検知する、またはシミュレーションすることができてよい。さらに、所望の場合、そのシミュレーション機能を備えたプロセスモジュールはプロセスプラントの中の冗長な一組の要素の内の1つとして使用されてよい。この場合、プロセスモジュール(またはその任意の部分)は、一次(および実際の物理的な)デバイスの故障時、または一次(および実際の物理的な)デバイスと関連する検知された問題がある場合に、バックアップデータまたは冗長データ(信号、計算等)として動作してよい。この場合、冗長な要素として働くプロセスモジュールは、冗長な機能を提供するために任意の公知の方法で(制御動作または検知動作を実行する)制御モジュールと通信可能に相互接続されてよい。プロセスプラント内でのこのプロセスモジュールの冗長な要素としての使用は、プロセスモジュールが前述されたように1つ以上のハイファイシミュレーションパッケージに接続されている場合に特に有効である。
【0099】
本明細書に説明されているスマートプロセスオブジェクト、グラフィック表示要素およびプロセスモジュールの機能は、オペレータワークステーション20で動作してよく、プラント10の中のコントローラ、フィールドデバイス等にダウンロードされ、それらの中で構成される必要はなく、それがこの機能を実現、表示、変更等しやすくする。さらに、この情報のすべては通常、プロセスプラント10内の各コントローラとフィールドデバイスが使用できないのに対し、通常、システムレベルでのデバイスに関する情報はすべて一般的にオペレータワークステーション20が、および特に実行エンジン48が使用できるため、この機能によりシステムレベルの決定をプロセスデバイス、コントローラ等の中においてよりさらに容易に下すことができるようになる。しかしながら、このようにすることが有利であるとき、プリミティブ等のプロセスモジュールと関連する論理のいくつかが、プロセスプラントの中の下方でデバイス、装置およびコントローラに埋め込まれてよい。統合されたプロセス制御モジュールとグラフィックディスプレイを作成するためにスマートプロセスオブジェクトを使用することにより、実行エンジン48は、例えば、最小量のユーザ構成活動で漏れを自動的に検知し、スマートアラームを生成し、プラント10の中の流量と質量平衡を計算し、追跡し、プラント10内の損失を追跡し、プラント10にさらに高いレベルの診断を提供し、エンジニアリング設計およびオペレータトレーニングの間にプラントの動作をシミュレーションすることができるようになる。
【0100】
図9は、実行エンジン48と、分散制御戦略を有するプロセスプラント内でそれによって使用されるプロセスモジュールとグラフィックディスプレイを統合する1つの考えられる方法を描いている。図9に描かれているように、実行エンジン48による実行中にオペレータにディスプレイを提供するプロセスモジュールによって作成される、あるいはプロセスモジュールと関連付けられるディスプレイクラス定義220は、制御戦略文書の中で所望の方法でこれらのディスプレイクラス定義を使用し、編成してよい制御構成データベースツールとエンジニアリングツール222に提供される。プロセスアルゴリズム224は、実行時の前にこれらのディスプレイクラス定義に接続されてよく、それからディスプレイクラス定義とそれに結び付けられたフローアルゴリズムのインスタンスが作成され、(1つ以上のワークステーションの中の1つ以上の実行エンジン48の形で実現されてよい)グラフィックディスプレイ/プロセスモジュール実行環境226に提供されてよい。グラフィックディスプレイ/プロセスモジュール実行時環境126は、実行中にコードを解析するために(つまり、ジャストインタイムのオブジェクトコード変換を実行するために)ダウンロードスクリプトパーサ228を使用し、ディスプレイクラスのために提供される、あるいはディスプレイクラスに結び付けられるフローアルゴリズムまたは他の規則ベースのプロシージャを実行するために規則ベースの実行エンジン230を使用する。このプロセス中、グラフィックディスプレイ/プロセスモジュール実行時環境226は、制御モジュール実行時環境232にデータまたは情報を提供するために、あるいは制御モジュール実行時環境232からデータまたは他の情報にアクセスするために、プロセスに関連するコントローラおよびフィールドデバイスで実行されてよい制御モジュール実行時環境232と通信してよい。言うまでもなく、グラフィックディスプレイ/プロセスモジュール実行時環境226は、図1のイーサネット(登録商標)バス24等の所望される、あるいは事前設定された通信ネットワークを使用して、制御モジュール実行時環境232と通信してよい。またさらに、本明細書に説明されているグラフィックディスプレイ、プロセスモジュール、および制御モジュールを標準プロセス制御システムまたはプロセスプラントに統合する他の方法も使用されてよい。
【0101】
前述された説明から理解されるように、プロセスモジュールとグラフィックディスプレイは、グラフィックディスプレイによって描かれるプロセスプラントの動作をシミュレーションするプロセスモジュールとともに、プロセスプラント10のセクションのオペレータビューを提供するために統合的に作成され、実行されてよい。前述されたように、プロセスモジュールとグラフィックディスプレイは、プロセスプラントのそのセクションまたは部分と関連して制御活動を実行する1つ以上の制御モジュールと追加で統合されてよい。このようにして、図1に描かれている制御モジュール29は、図1に描かれているプロセスモジュール39とグラフィックディスプレイ35の1つ以上と通信可能に統合されてよい。言うまでもなく、制御モジュール29、プロセスモジュール39およびグラフィックディスプレイ35は、図1に描かれている場合以外の特定の場合で、所望のように、あるいは必要に応じてコンピュータまたはプラント10内のデバイスで実現されてよい。
【0102】
さらに、プロセスモジュールとグラフィックディスプレイと制御モジュールの内の0個、1個以上は、さらに、プロセスプラントのそのセクションまたは部分に関して、異常な状況の検知および/または管理に役立たせるためにエキスパートシステムを実現する1つ以上のエキスパートモジュールと統合されてよい(例えば、通信可能に結合されてよい)。エキスパートシステムは例えばプロセスモジュールと関連付けられる物理エンティティに対応するプロセスデータおよび/またはシミュレーションデータ等のプロセスモジュールからデータを活用してよい。一般的に、エキスパートシステムはデータの中の指定されたパターンを検知するためにデータを分析する。パターンが検知されると、エキスパートシステムは検知されたパターンに対応するアクションのセットを実行してよい。
【0103】
図10は、プロセスモジュール304がエキスパートモジュール308と統合されるシステム300のブロック図である。プロセスモジュール部分304は、バルブブロック312、タンクブロック314、ポンプブロック316、およびバルブブロック318を含んでいる。バルブブロック312の出力はタンクブロック314の入力に接続され、ポンプブロック316の入力はタンクブロック314の出力に接続される。ポンプブロック316の出力はバルブブロック318の入力に接続される。バルブブロック312の入力とバルブブロック318の出力は、蒸気要素(名前が付けられていない)に接続される。バルブブロック312、タンクブロック314、ポンプブロック316およびバルブブロック318は配管要素(名前が付けられていない)を介して直列で接続される。
【0104】
エキスパートモジュール308は、プロセスモジュール304の中のブロックから少なくともプロセスおよび/またはシミュレーションデータを活用することにより、プロセスモジュール304内のブロックと関連付けられている物理要素の少なくともいくつかと関連する異常状況を検知する、および/または管理する上で役立てるためにエキスパートシステムを提供してよい。言い換えると、エキスパートシステムは、プロセスモジュール304から少なくともデータを活用することによりプロセスプラント内の実際の異常な状況を検知する、および/または管理する上で役立つことがある。また、エキスパートシステムは、プロセスモジュール部分304内のブロックと関連する物理要素の少なくともいくつかのシミュレーションと関連する異常な状況を検知する、および/または管理する場合に役立つことがある。言い換えると、エキスパートシステムはプロセスプラントのシミュレーションされる異常状況を検知する、および/または管理する場合に役立つことがある。これは、制御システム、安全システム、アラームシステム等を構成するおよび/または設計する、および/または例えばオペレータをトレーニングする際に有効である場合がある。
【0105】
エキスパートモジュール308は、規則324のセットおよび該規則を適用するエキスパートエンジン308を含んでよい。規則324は、異なる状況で実行されるアクションを指定する、例えばヒューリスティックス、つまり「経験則」を表してよい。通常、規則は、規則を適用可能にさせる事実の特定のセットを指定する「if」部分を含んでよい。また、規則は、規則の「if」部分が満たされると講じられる処置を指定する「then」部分を含んでよい。多くの場合、規則324は、プロセスモジュールと関連付けられる異常な状況を検知するように構成されてよい。このようなインプリメンテーションで講じられる処置は、異常状況が発生した、あるいは発生している旨を人員に通知することに関連してよい。したがって、規則324は、アラームまたは警告を生成する、オペレータ画面に通知を表示する、eメールを送信する、ページャにページを送信する、携帯通信機器等にテキストメッセージを送信する等の講じられるべき処置を示してよい。同様に、規則324は、アラームまたは警告を画面表示する等の講じられる処置を示してよい。例えば、根本的な問題は関連する装置、測定値、パラメータ等について多数の警告またはアラームが発生する結果となる可能性がある。エキスパートモジュール308は、このような結果の警告とアラームを画面表示するのに役立てるために使用でき、根本的な問題をあいまいにしないであろう。講じられる処置は、異常状況を訂正する、および/またはその影響を緩和することにも関してよい。したがって、規則324は、制御信号値を上書きする、設定点値を上書きする、装置設定値を修正する、装置を停止する等、講じられる処置も含んでよい。
【0106】
エキスパートエンジン326は、プロセスモジュール304と関連するデータに適用されるような規則324を評価してよい。例えば、エキスパートエンジン326は、プロセスモジュール304によって生成される、あるいはそれから取得されるデータを分析してよい。例えば、プロセスモジュール304内の要素のいずれかはエキスパートモジュール308に情報を提供し、それによりさらに優れたまたは強化された制御、シミュレーション、および/または異常状況防止に備えるために(関連する通信タグを介して)エキスパートモジュール308と通信してよい。例えば、タンクブロック314は、プロセス変数(例えば、タンクレベル測定値、入力フロー測定値等)、アラーム、パラメータ等をエキスパートエンジン326に提供するように構成されてよい。代わりに、エキスパートモジュール308は、タンクブロック314から情報を取得するように構成されてよい。同様にバルブブロック312と318は、プロセス変数データ(例えばバルブ位置、制御信号値等)、アラーム、パラメータ等をエキスパートエンジン326に提供するように構成されてよいか、あるいはエキスパートモジュールはバルブブロック312と318から情報を取得するように構成されてよい。
【0107】
加えて、エキスパートエンジン326は、プロセスモジュール304内のプロセスブロックと関連する(例えばイベントクロニクル、データヒストリアンに記憶される)過去のアラームと警告、オペレータの処置、設定点の変更、動作モード等のプロセスモジュール304と関連付けられている他のデータ、(例えばデータヒストリアンに記憶される)プロセス変数、パラメータ等の履歴値、(ステップ応答モデル、第1主要モデル等に基づいた)プロセス変数、パラメータ等の将来の値を分析してよい。さらに、エキスパートエンジン326は、他のプロセスモジュールと関連するデータ、プロセスモジュール304に描かれていない装置と関連するデータ等他のタイプのデータをオプションで分析してよい。
【0108】
エキスパートエンジン326は、例えば、CLIPSエキスパートシステムツール、および/または他の適切な市販のまたはカスタマイズされたエキスパートシステムツールを備えてよい。このようにして、当業者は、CLIPSエキスパートシステムツールが必要とされないことを認識する。図10ではエキスパートエンジン326はエキスパートモジュール308の構成要素として描かれているが、エキスパートエンジン326はエキスパートモジュール308から分離できるであろう。例えば、1つのエキスパートエンジンは各々のプロセスモジュールと関連付けられている複数のエキスパートモジュールの規則を適用できるであろう。図2を参照すると、実行エンジン48は、例えば1つ以上のエキスパートエンジン326を含むことができるであろう。
【0109】
また、エキスパートモジュール308は、プロセスモジュール304とは個別であるとして図10に描かれているが、エキスパートモジュール308はプロセスモジュール304内に組み込むことができるであろう。単なる1つの例として、規則324がプロセスモジュール304の一部となり、エキスパートエンジン326はプロセスモジュール304とは個別となることができるであろう。
【0110】
一般的に、プロセスモジュールは、プロセスプラント内のプロセスエンティティ、論理エンティティ、装置等をともに表現する上で役立つ複数の相互接続されたプロセスオブジェクトを含んでよい。前述されたように、スマートプロセスオブジェクトは、スマートプロセスオブジェクト、非スマートプロセスオブジェクト、制御モジュール、プロセスグラフィックス等により生成され、その中に記憶されるデータを通信するための入力と出力を含む。このようにして、プロセスモジュールは、多様なデータが、プロセスプラントのいくつかの物理装置または論理装置と関連する多くのデバイスから入手できる単一のオブジェクトを提供してよい。
【0111】
システム300内では、プロセスモジュール304はエキスパートモジュール308と統合されているため、エキスパートシステムは、エキスパートを活用する以前のシステムにおいてよりさらに容易に構成できる。例えば、プロセスモジュール304は、エキスパートモジュール308にそのデータの一部またはすべてを自動的に使用可能とすることができるであろう。他方、エキスパートシステムを活用していた以前のプロセスシステムでは、オペレータは時間のかかるエキスパートシステムに提供されたデータを手動で決定し、構成する必要があるであろう。同様に、プロセスモジュール304等のプロセスモジュールは関連プロセスグラフィックを有することがあるため、このような構成がプロセスグラフィックに対する参照をもって実行されてよい場合には、それはエキスパートモジュールの構成を容易にする可能性がある。さらに、プロセスモジュール304は、モデル化および/またはシミュレーション機能を提供してよいため、エキスパートモジュール308は、これらの機能を使用してプロセスモジュール304によって生成されるデータに便利にアクセスできる。またさらに、関連エキスパート規則を有するプロセスモジュールクラスが作成されてよい。例えば、エキスパートのためのデフォルト規則がプロセスモジュールクラスのために構成できるであろう。次に、プロセスモジュールクラスのインスタンスが作成されると、それはデフォルト規則を有する統合されたエキスパートモジュールを与えられてよい。所望の場合、ユーザは、次にデフォルト規則を修正する、または例えばプロセスモジュールインスタンスのために単にデフォルト規則を活用する。
【0112】
プロセスモジュール304および/またはプロセスモジュール304の中のプロセスオブジェクトは、エキスパートモジュール308との統合をサポートするために追加のパラメータを含んでよい。例えば、1つ以上のプロセスオブジェクトは、パラメータを含んでよく、あるいは既存のパラメータは障害(例えば、測定の障害)があるか否かを示すために修正されてよい。例えば、エキスパートモジュール308は、センサに障害があると判断してよく、したがってセンサと関連する測定に障害がある可能性があることを示すためにプロセスモジュール304を修正してよい。このデータは、他のプロセスブロック、制御モジュール等によって活用できるであろう。同様に、このデータはオペレータに検知された障害を示すためにプロセスモジュールのプロセスグラフィックで反映できるであろう。一般的に、エキスパートモジュール308の内部状態、規則評価によって生成される出力は、プロセスモジュール304のパラメータとして、および/またはプロセスモジュールのプロセスオブジェクトのパラメータとして表示されてよい。したがって、これらの表示されたパラメータは、プロセスモジュール、他のモジュール等のプロセスグラフィックスによって参照できる。
【0113】
さらに、1つ以上のプロセスオブジェクトはパラメータを含んでよく、あるいは既存のパラメータが警告および/またはアラームの画面表示を可能にするために修正されてよい。同様にプロセスモジュール304は、パラメータを含んでよく、あるいは既存のパラメータは警告および/またはアラームの画面表示を可能にするために修正されてよい。例えば、エキスパートモジュール308は、プロセスモジュール304と関連する根本的な問題を検知してよく、該根本的な問題の結果として生じる可能性があるが、該根本的な問題を明示的に示さないアラームを表示するためにプロセスモジュール304を修正してよい。前述されたように、このようなアラームの画面表示は該根本的な問題が曖昧になるのを防ぐのに役立つ可能性がある。
【0114】
図1と図10を参照すると、プロセスモジュール304のための少なくともエキスパート規則324は構成データベース28に記憶できるであろう。このようにして、規則324は、特性、パラメータ、モード、状態等のプロセスモジュールプロセスの、あるいは他のプロセスモジュールの要素を参照するためにタグおよび/またはエイリアスを活用できるであろう。さらに、プロセスモジュール304が構成エンジニアによって変更、更新、名前変更等を行われた場合、例えばエキスパートモジュール308は依然としてタグおよび/またはエイリアスを使用してプロセスモジュール304から情報を参照できるであろう。同様に、例えばエキスパートモジュール308によって参照されるパラメータが、構成エンジニアによって削除された場合には、構成ソフトウェアは構成エンジニアに、パラメータがエキスパートモジュール308によって参照されたことを警告できるであろう。このようにして、一般的に、エキスパートモジュール308をプロセスモジュール304と統合する、および/または構成データベース28にエキスパート規則324を記憶すると、エキスパート規則324をプロセスプラントの構成に対する変更に応じて最新に保つのに役立つことがある。さらに、多くの構成データベースは構成のバージョンを追跡するバージョン制御技法を活用する。したがって、規則324のバージョンは、それらが構成データベース28に記憶される場合には追跡できるであろう。
【0115】
図9および図10を参照すると、プロセスモジュールと関連エキスパートモジュールは、制御戦略文書中で任意に所望のようにエキスパートモジュールを活用してよい制御構成データベースおよびエンジニアリングツール222に提供されてよい。エキスパート規則324は、実行時前にディスプレイクラス定義と関連付けられてよく、次にディスプレイクラス定義およびそれに結び付けられたエキスパート規則のインスタンスが生成され、(1つ以上のワークステーションで1つ以上の実行エンジン48の形で実現されてよい)グラフィックディスプレイ/プロセスモジュール実行時環境226に提供されてよい。エキスパート規則は、例えば、グラフィックディスプレイ/プロセスモジュール実行時環境226または規則ベースの実行エンジン230によって実現されるエキスパートエンジンによって適用されてよい。このようなインプリメンテーションでは、エキスパートモジュール308は、幅広い範囲のリアルタイムデータに(および任意選択的に非リアルタイムデータにも)アクセスしてよい。例えば、「Longhorn」というコード名のMicrosoft(登録商標) Windows(登録商標)オペレーティングシステムのバージョン等のオペレーティングシステムが活用される場合、エキスパートモジュール308はサービスを介して多様なデータソースにより提供されるリアルタイムおよび非リアルタイムデータにアクセスできてよい。
【0116】
さらに、他のモジュールは、エキスパートモジュール308の状態、パラメータ、特性等のリアルタイム値にアクセスしてよい。例えば、オペレータワークステーションに表示されるプロセスグラフィックスは、1つ以上のエキスパートモジュール308からのデータに基づいて修正されてよい。単なる1つの例として、エキスパートモジュール308が、センサに欠陥があると判断すると、オペレータワークステーションに表示されるプロセスグラフィックは該欠陥のあるセンサを示すために修正できるであろう。例えば、該センサの描写の色を変更したり、該センサの描写をオンとオフで点滅したり、ウィンドウをそれが欠陥があることを示すセンサの描写の隣に表示したりなどできるであろう。さらに、エキスパートモジュールは、警告とアラームを生成でき、例えば他のモジュールの警告とアラームを画面表示できるであろう。さらに、「Longhorn」というコード名のMicrosoft(登録商標) Windows(登録商標)オペレーティングシステムのバージョン等のオペレーティングシステムが活用される場合、エキスパートモジュール308はサービスを介して他のモジュールにデータを提供する。
【0117】
さらに、オペレータは、実行時中にエキスパートモジュール308を調べるおよび/または修正することができるであろう。例えば、オペレータは、エキスパートモジュール308の追加のパラメータ、状態、モード等を表示するために実行時中にプロセスグラフィックを修正できるであろう。同様に、オペレータは実行時中に規則324を修正できるであろう。例えば、オペレータは追加の規則を追加したり、規則を修正したり、規則を削除したり、規則を無効にするおよび/または使用可能にしたり等できるであろう。
【0118】
一般的に、エキスパートモジュール308等のエキスパートモジュールを構成するためのユーザインタフェースは、オペレータにより活用されてよい所定の規則のセットを含んでよい。例えば、所定の規則は所定の事実テンプレートと、事実に応えて講じられる処置に対応する該当処置テンプレートを含んでよい。例えば、事実テンプレートと処置テンプレートは、ヒータ装置等の特定のプロセスプラントエンティティまたは装置のために提供されてよい。ユーザがヒータプロセスモジュールについて特定の事実テンプレートと特定の処置テンプレートを活用することを決定すると、エキスパートモジュール構成アプリケーションは、事実テンプレートと処置テンプレートに対応する規則を自動的に作成してよい。さらに、規則はプロセスモジュール内の正しいプロセスオブジェクトに自動的に結び付けられてよい。加えて、ユーザは所定の規則を修正する、および/または新しい規則を作成することができてよい。例えば、オペレータはプロセスプラントと関連する事実をブラウズし、選択できるようにしてよい。さらに、ユーザはCLIPSエキスパートシステムツール、または他の何らかの適切なエキスパートシステムツールによる評価に適した新しい規則を作成できるようにしてよい。
【0119】
さらに、ユーザインタフェースは、ユーザが動作中にエキスパートモジュールの動作を観察できるようにしてよい。例えば、規則324によって指定される事実は、エキスパートモジュールの実行中にユーザに表示されてよい。さらに、ユーザはそれらの事実に応えてエキスパートモジュール308の動作を観察するためにこれらの事実を修正するおよび/または指定することができてよい。さらに、ユーザインタフェースはユーザが、例えばブレイクポイントにあるエキスパートモジュールの状態を観察できるように規則の中にブレイクポイントを挿入できるようにしてよい。
【0120】
図11は、エキスパートモジュールの構成を容易にするためにエキスパートモジュール構成アプリケーションによって活用されてよいディスプレイ例340である。ディスプレイ340は、ライブラリ部分344、インスタンス部分348、および情報部分352を含む。ライブラリ部分344は、規則のインスタンスを作成するために使用できるテンプレートの表示を含んでよい。テンプレートは、例えば事実テンプレートと処置テンプレートを備えてよい。例えば、事実テンプレートは、規則の「if」の部分を作成するために使用でき、処置テンプレートは規則の「then」部分を作成するために使用できる。事実のインスタンスまたは処置のインスタンスを作成するために、ユーザは部分344から事実テンプレートまたはインスタンステンプレートをドラッグし、例えば部分348にそれをドロップできるであろう。
【0121】
ユーザが特定の事実、事実テンプレート、処置または処置テンプレートを部分344または部分348で選択すると、選択された事実、事実テンプレート、処置または処置テンプレートに関する追加の情報が情報部分352に表示されてよい。情報部分により、ユーザは表示される情報を修正できる。したがって、ユーザは事実、事実テンプレート、処置、または処置テンプレートを修正できる。
【0122】
図12は、事実テンプレートを定義するために使用されてよいディスプレイ例360である。ディスプレイ360は、事実テンプレートと関連するプロセスプラント内の論理領域を選択するために、事実テンプレート、およびユーザインタフェース機構364(例えば、テキストボックス、プルダウンメニュー、ポップアップウィンドウを表示させるためのボタン等)の名前を作成するために(例えば、テキストボックス等の)ユーザインタフェース機構362を含んでよい。ディスプレイ360は、ユーザが、例えば事実テンプレートが関連付けられているある特定のプロセスモジュール、またはプロセスモジュールクラスを選択可能とするために、ユーザインタフェース機構366(例えば、テキストボックス、プルダウンメニュー、ポップアップウィンドウを表示させるためのボタン等)も含んでよい。同様に、ディスプレイ360は、ユーザが、ユーザインタフェース機構368を介して特定のプロセスブロックを選択し、ユーザインタフェース機構370を介してプロセスブロックの特定のパラメータを選択できるようにする。
【0123】
図13は、規則テンプレートを定義するために使用されてよいディスプレイ例380である。ディスプレイ380は、規則テンプレートの名前を作成するためのユーザインタフェース機構382(例えば、テキストボックス等)、および規則テンプレートと関連するプロセスプラント内の論理領域を選択するためのユーザインタフェース機構384(例えば、テキストボックス、プルダウンメニュー、ポップアップウィンドウを表示させるためのボタン等)を含んでよい。ディスプレイ380は、ユーザが規則テンプレートの「if」部分を定義可能とするための部分も含んでよい。同様に、ディスプレイ380は、ユーザが規則テンプレートの「then」部分を定義可能とするための部分も含んでよい。ユーザは、CLIPSまたは任意の他の適切なエキスパートシステムで使用されるようなシンタックスを使用して「if」部分と「then」部分を定義できるであろう。ボタン390は、規則テンプレートをより迅速に作成する上でユーザを支援するために設けられてよい。
【0124】
エキスパートモジュールは、実行のためにプロセスプラントの中である特定のノード(例えばワークステーション、コントローラ等)に割り当てることができてよい。したがって、エキスパートモジュールが実行されるノードは、エキスパートモジュールが構成されたノードと同じまたは別であってよい。あるインプリメンテーションでは、エキスパートモジュールは、それが関連付けられるプロセスモジュールと同じノードに割り当てられる。代わりに、エキスパートモジュールとプロセスモジュールは異なるノードに割り当てられてよい。単なる1つの例として、エキスパートモジュールはグラフィック技法を使用してノードに割り当てることができるであろう。図14は、プロセスプラント10内の特定のノード(例えば、ワークステーション、コントローラ等)によって実行されるエキスパートモジュールを割り当てるために使用できるディスプレイ例400の一部である。該ディスプレイは、エクスプローラ部分404と情報部分408を含む。エクスプローラ部分404は、プロセスプラント10のワークステーションに対応するフォルダ416と418を含んでよいツリー構造412を含む。フォルダ418はエキスパートモジュールフォルダ420を含む。エキスパートモジュールは、フォルダ420にあるいは任意選択的にフォルダ418にエキスパートモジュールに対応するアイテムをドラッグすることにより、フォルダ418に対応するノードに割り当てることができる。任意選択的に、エキスパートモジュールは、所望されたノードフォルダにエキスパートモジュールに対応するプロセスモジュールアイテムを同様にドラッグすることによりノードに割り当てることができるであろう。
【0125】
前述されたように、プロセスモジュールからのデータは、プロセスモジュールと統合されるエキスパートシステムに提供されてよい。プロセスモジュールからのデータはエキスパートシステムに提供される前に処理、分析できることが当業者によって理解されるであろう。例えば、図15は、プロセスモジュール304が分析モジュール504と統合されるシステム例500のブロック図である。分析モジュールは、統計分析システム510とエキスパートシステム514を含んでよい。統計分析システム510はさらに詳しく後述される。エキスパートシステム514は、エキスパートエンジンと、図10に関して前述されたものに類似した規則のセットを含んでよい。
【0126】
統計分析システム510は、プロセス障害および測定障害等の異常な状況を検知する、および/または隔離するのを容易にするために多変量統計プロセス制御(MSPC)技法を活用してよい。主成分分析(PCA)と部分最小二乗(PLS)という、MSPCで使用される2つの統計推定技法は、プロセス業界の要件に対処するために開発された。統計分析システム510はPCAとPLSの一方または両方を活用してよく、あるいは1つ以上の他の技法を活用できるであろう。さらに、故障解析でMSPCと連動して一般的に使用される2つの統計は二乗予測誤差Q(モデル適合の欠如の測度)とホテリングのT2(PCAモデルの中の変動の測度)である。したがって、統計分析システム510は、任意選択的に二乗予測誤差Qおよび/またはホテリングのT2を利用する技法を活用してよい。
【0127】
図15に描かれているように、ユーザはプロセスモジュール304に対応するグラフィックディスプレイ520を提示されてよい。1つの例として、ユーザはグラフィックディスプレイ520を参照して分析モジュール504を構成してよい。別の例として、ユーザはプロセスモジュール304のディスプレイに関して分析モジュール504を構成してよい。代わりに、ユーザは、グラフィックディスプレイ520またはプロセスモジュール304のディスプレイに関係なく分析モジュール504を構成してよい。
【0128】
ユーザは、PCAに自動的に含まれるプロセスモジュール304と関連付けられているすべての相関プロセスおよびシミュレーションデータを使用することを選んでよく、あるいはユーザはそのデータの一部だけを含むことを選んでよい。例えば相関データはプロセスモジュール304内のプロセス接続を活用して自動的に決定されてよく、計算に自動的に含まれてよい。さらに、ユーザはプロセスプラントの他の部分と関連するデータ(例えば、他のプロセスモジュール、制御モジュール等からのデータ)を使用することを選んでよい。また、ユーザは、データが調べられなければならないある一定の期間を調べることを選んでよい。この場合、パラメータの履歴プロットがユーザに表示でき、ユーザはPCAの生成で検討される時間枠を選択するオプションを与えられるであろう。PCAは、次にデータの選択された時間枠を使用して自動的に生成できるであろう。
【0129】
いったんPCAが作成されると、例えば二乗予測誤差のパターンが、エキスパートシステム514を使用して障害のあるセンサ等の異常な状況を検知するために分析できるであろう。異常状況(例えば、障害センサ)に関係する要件に関連するグラフィック要素は、次に自動的にオペレータ画面上で強調表示されてよい。例えば、グラフィック要素は、プロセスグラフィク520上で、強調表示できる、動画化できる、あるいはそれ以外にはユーザにグラフで知らせることができるであろう。分析モジュール504は(同様にプロセスグラフ520と統合される)プロセスモジュール304と統合されるため、統計分析により検知されるプロセスプラント装置での問題を示すための個別のグラフィックディスプレイは、システム500では必要ではない。言うまでもなく、当業者は他のインプリメンテーションで個別のグラフィックディスプレイが活用されてよい。
【0130】
障害を検知するセンサが活用されてよい1つの方法が、これにより本明細書に参照することにより組み込まれている「プロセスで障害のあるセンサを検知し、特定するための方法および装置(Method and apparatus for detecting and identifying faulty sensors in a process)」と題される米国特許第5,680,409号に説明されている。分析モジュール504は、米国特許番号第5,680,409号に説明される技法を活用してよいが、多様な他の技法も使用してよい。
【0131】
言うまでもなく、分析モジュール504は、センサ障害に加えて他の異常な状況を検知するために活用されてよい。プラント動作における異常状況の検知は、オペレータに、装置が損傷を受ける点、緊急事態が発生する点等に関して状況が進捗する前にそれに対処できる場合に警告することにより該状況に関して予防処置を講じることができるようにしてよい。
【0132】
図10に関して説明されたエキスパートモジュールと同様に、エキスパートシステム514は、デフォルト規則を与えられてよい。例えば、統計分析システム510により生じるデータと関連する二乗予測誤差(SPE)を分析するためのデフォルトの規則が提供できるであろう。エキスパートエンジンの規則は、例えば、統計分析システム510によって生成される変数のSPEの範囲、ある特定の異常状況に関連する範囲を特定するために定義できるであろう。この範囲値は、モジュールPCAのパラメータについて履歴データを見るエンジニアによって確立できるであろう。エンジニアが、異常状況が存在した時間を特定すると、SPEは特定された状態のための事実範囲値として自動的に保存されてよい。事実範囲値は、例えば正常な動作中に異常状況が発生したことを、オペレータが識別する場合にオペレータによって確立されてよい。後に、エキスパートシステム514が、SPE値が、範囲に入るパターンを検知すると、異常状態を示す警告またはアラームが生成できるであろう。
【0133】
エキスパートシステム514はプロセス性能の劣化等の異常な状況を検知するために使用されてもよい。例えば、ヒータと関連する熱伝達率はプロセスモジュールによって提供されるシミュレーション能力によって正確に求められてよい。不適切な装置のセットアップおよび/またはパイプおよび熱伝達面における磨耗または蓄積は装置の動作を改変する、および/または例えばプロセス性能の劣化を引き起こす可能性がある。重大なプロセス変化および/またはプロセス性能劣化の自動検知は、例えば装置の損傷および/または生産損失を妨げるために役立ってよい。
【0134】
エキスパートシステム514は、例えば異常な状況と関連するアラームを分析するおよび/または画面表示するためにも使用されてよい。例えば、問題の根本的な原因は、公知の技法を含む種々の技法を使用して検知できるであろう。根本的な問題は、根本的な原因を直接的に特定しないアラームの生成につながるであろう。プロセスモジュール304内でプロセスモジュール304および/またはプロセスオブジェクトにより与えられる情報は、アラームの画面表示を可能にするまたは無効にすることを許可するために使用できるであろう。例えば、警告は、オペレータが異常な状況の結果として生じる警告の過負荷からより注意散漫にならないように優先順位を付けることができるであろう。このようにして、オペレータは根本的な問題をより迅速に認識できるようにしてよい。
【0135】
エキスパートシステム514は、統計分析システム510からデータを受信することに加えて、プロセスモジュール304から直接的にプロセスデータおよび/またはシミュレーションデータを受信する。また、エキスパートシステム514は、他のプロセスモジュール、制御モジュール、アラーム、警告、データヒストリアン、イベントクロニクル等のデータの他のソースを受信してよい。
【0136】
統計分析システム510は、時系列プロット等の統計分析データのプロットおよび/または主成分スコア、スコア貢献等の棒グラフプロットを生成するように構成されてよい。モジュール504は、プロセスモジュール304と統合されるため、このようなプロットおよび/またはグラフは例えばグラフィックディスプレイ520を介してユーザからの要求に応えて表示できるであろう。
【0137】
図15では、統計分析システム510およびエキスパートシステム514が単一分析モジュール504の中にあるとして描かれているが、当業者は、統計分析システム510とエキスパートシステム514が個別のモジュールで実現できるであろうことを認識する。例えば、エキスパートシステム514は、図10のエキスパートモジュール308に類似するエキスパートモジュールとして実現する、および統計分析システム510は統計分析モジュールとして実現できるであろう。統計分析モジュールおよびエキスパートモジュールは、前述された技法に類似した方法でプロセスモジュール304と統合できるであろう。
【0138】
別の実施形態では、プロセス測定値のセットを使用し、プロセスプラント内で複数の物理的な装置を必要とする制御ルーチンのインプリメンテーションのためにプロセス制御モジュールを有するプロセスプラントの動作を監視するためのシステムは、プロセスシミュレーションモジュールおよびPCAモジュールを含んでよい。プロセスシミュレーションモジュールは、該複数の物理装置をモデル化するために連結された配列のシミュレーション要素を有してよい。シミュレーション要素はプロセスプラントの動作をモデル化するシミュレーションによる操作パラメータのセットを生成するために制御ルーチンのインプリメンテーションの間にプロセス制御モジュールと通信してよい。PCAモジュールはプロセスシミュレーションモジュールと通信してよく、プロセス測定値のセットおよびプロセスプラントの動作を監視する際に使用するためのプロセスプラントの正常な操作状態を定義するために、シミュレーション要素の連結された配列とシミュレーションによる操作パラメータのセットを介して構成されてよい。PCAモジュールは、プロセスプラントの操作状態を示す主成分出力を生成してよい。主成分出力はプロセス測定値のセットから導出されてよい。
【0139】
別の実施形態では、システムは、主成分出力を受信するためにPCAモジュールと通信するエキスパート分析ツールを備えてよい。エキスパート分析ツールは、障害状況が操作状態で存在するか否かを検知するための主成分出力を分析してよい。エキスパート分析ツールは、障害状況が存在するか否かを判断するために、通常の操作状態を定義する主成分データと、該主成分成分を比較するための複数のエキスパート規則を有してよい。
【0140】
さらに別の実施形態では、システムは、シミュレーション要素の連結された配列のグラフィックディスプレイを生成するグラフィック描写モジュールを含んでよく、エキスパート分析ツールはグラフィック描写モジュールに障害状況を示すデータを提供し、グラフィック描写モジュールは障害状況によって関係すると見なされる1台以上の装置と関連する
シミュレーション要素のグラフィック表示を修正することにより、データを表示する。グラフィックディスプレイは、シミュレーション要素の内の1つの選択のためのユーザインタフェースを含んでよく、選択が、選択されたシミュレーション要素に関係する情報の主成分データ表示を生成する。
【0141】
ユーザインタフェースを介してシミュレーション要素の内の1つを選択すると、構成ツールに、エキスパート分析ツールによって後に使用されるための選択されたシミュレーション要素と関連するエキスパート規則のユーザ定義のための構成ツールが提供されてよい。また、ユーザインタフェースを介してシミュレーション要素を選択すると、通常の操作状態を定義するためにPCAモジュールによって活用される、シミュレーションによる操作パラメータの集合のユーザ定義に提供されるPCA構成ツールが提供されてよい。PCA構成ツールを介したシミュレーションによる操作パラメータのセットのユーザ定義は、シミュレーションによる操作パラメータの内の1つ以上のためにデータを引き出す期間を選択することを含んでよい。
【0142】
主成分出力は、PCAモジュールがプロセスプラントの動作を監視する際にプロセス測定値のセットと組み合わせて電流値を分析するように、シミュレーションによる操作パラメータのセットの内の1つの現在値から導出されてよい。現在値は、主成分出力が将来の操作状態を示すようにプロセスプラントの将来の操作状態を予測してよい。また、現在値はプロセスプラントの非測定操作状態を示すシミュレーションパラメータと関連付けられてよい。非測定操作状態は測定不能な操作状態であってよい。
【0143】
さらに別の実施形態では、プロセス測定値のセットを使用し、プロセスプラントの中の複数の物理装置を必要とする制御ルーチンのインプリメンテーションのためのプロセス制御モジュールを有するプロセスプラントの動作を監視するための方法は、複数の物理装置、制御ルーチンの実現の間にプロセス制御モジュールと通信中である、連結された配列の中のシミュレーション要素を使用してシミュレーションによる操作パラメータのセット生成することにより、プロセスプラントの動作をシミュレーションすることを含んでよい。該方法は、シミュレーション要素の連結された配列とシミュレーションによる操作パラメータのセットに基づいてPCAを使用してプロセスプラントの通常の操作状態を定義する主成分データを生成することも含んでよい。該方法は、さらに、通常の操作状態の主成分データのビューでプロセス測定値のセットを分析することによりプロセスプラントの動作を監視することを含んでよい。
【0144】
該方法は、プロセス測定値のセットから主成分出力を導出することによりプロセスプラントの操作状態を示す主成分出力を生成することも含んでよい。
【0145】
該監視するステップは、該主成分出力と該主要構成要素データの比較によって通常の操作状態を鑑みてプロセスプラントの操作状態でエキスパート分析ツールを実行することにより障害状況が操作状態に存在するか否かを検知するために主成分出力を分析することを含んでよい。
【0146】
該分析するステップは主成分データとの主成分出力の比較のために複数のエキスパート規則を適用することを含んでよい。
【0147】
該方法は、シミュレーション要素の連結された配列のグラフィックディスプレイを生成することと、該グラフィックディスプレイのためにエキスパート分析ツールから障害状況を示すデータを提供することと、障害状況によって関係していると見なされている1台以
上の物理装置と関連するシミュレーション要素のグラフィックディスプレイを修正することによりデータを表示することをさらに含んでよい。
【0148】
グラフィックディスプレイを生成することは、シミュレーション要素の内の1つの選択、および該選択されたシミュレーション要素に関連する情報の主成分データディスプレイの生成のためにユーザインタフェースを提供することを含んでよい。ユーザインタフェースを提供することは、エキスパート分析ツールによって以後使用するための選択されたシミュレーション要素と関連するエキスパート規則のユーザ定義のための構成ツールを提供することを含んでよい。また、通常の操作状態を定義するために活用されるシミュレーションによる操作パラメータの集合のユーザ定義のためにPCA構成ツールを提供することを含んでよい。PCA構成ツールを提供することは、シミュレーションによる操作パラメータの内の1つ以上のためのデータを引き出す期間を選択することを含んでよい。
【0149】
主成分出力は、監視するステップがプロセス測定値のセットと組み合わせて現在値を分析することを含むように、シミュレーションによる操作パラメータのセットの内の1つの現在値からさらに導出されてよい。現在値は、主成分出力が将来の操作状態を示すようにプロセスプラントの将来の操作状態を予測してよい。
【0150】
前述された例は、プロセスモジュールと統合されたエキスパートモジュールを含む。当業者は、エキスパートモジュールが制御モジュール等のプロセスプラントと関連する他のモジュールと同様に統合されてよいことを認識するであろう。
【0151】
実現時、本明細書に説明されているソフトウェアのいずれも磁気ディスク、レーザディスク、または他の記憶媒体のような任意のコンピュータ読取可能メモリ内に、コンピュータまたはプロセッサ等のRAMまたはROM内に記憶されてよい。同様に、このソフトウェアは、例えばコンピュータ読取可能ディスクまたは他の可搬型のコンピュータ記憶機構上で、あるいは電話回線、インターネット、ワールドワイドウェブ、任意の他のローカルエリアネットワークまたは広域ネットワーク等を含む、(その配信が可搬型の記憶媒体を介してこのようなソフトウェアを提供することと同じである、もしくは取替え可能であると見なされる)任意の公知のまたは所望の配信方法を使用してユーザ、プロセスプラントまたはオペレータワークステーションに送達されてよい。さらに、このソフトウェアは、変調または暗号化を行わずに直接的に提供、あるいは通信チャネル上で送信される前に、任意の適切な変調搬送波および/または暗号化技法を使用して変調される、および/または暗号化されてよい。
【0152】
本発明は、例示的となることだけを目的とし、本発明の制限的となることを目的としない特定の例に関して説明されてきたが、変更、追加または削除が本発明の精神または範囲から逸脱することなく開示されている実施形態に加えられてよいことが当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスプラントのプロセス制御システムを構成するための構成システムであって、
該プロセス制御システムの構成を記憶するための構成データベースと、
該構成データベース内に記憶され、複数のプロセスオブジェクトを備えるプロセスモジュールであって、各プロセスオブジェクトが該プロセスプラントの中の対応する物理的なエンティティを表し、該プロセスプラント内の論理装置を表す該プロセスモジュールと、
該構成データベースに記憶され、該プロセスモジュールと関連付けられ、該論理装置と関連する少なくとも1つの異常な状況を検知するためにエキスパートエンジンによって適用されるように適応され、該プロセスモジュールによって表示される情報を参照するエキスパート規則のセットと、
を備える構成システム。
【請求項2】
該プロセスモジュールが該エキスパート規則のセットを備える請求項1に記載の構成システム。
【請求項3】
該プロセスモジュールの該プロセスオブジェクトが、該対応する物理エンティティをシミュレーションするシミュレーション機能を含む請求項1に記載の構成システム。
【請求項4】
該構成データベースに通信可能に結合される実行エンジンをさらに備え、該実行エンジンが該プロセスプラントの動作中に、該プロセスモジュールを実行し、該エキスパート規則のセットを適用するように構成される請求項1に記載の構成システム。
【請求項5】
プロセッサとコンピュータ読取可能メモリを含むワークステーションをさらに備え、該ワークステーションが該構成データベースに通信可能に結合され、
該プロセスモジュールと該エキスパート規則のセットが該コンピュータ読取可能メモリに記憶され、
該コンピュータ読取可能メモリが、該実行エンジンを実現するように該プロセッサを構成するプログラミング指令をその中に記憶している、
請求項4に記載の構成システム。
【請求項6】
該エキスパート規則が、事実のセットがエキスパートエンジンによって検知されると、該プロセスモジュールの内の少なくともいくつかの警告を無効にさせるように構成される請求項1に記載の構成システム。
【請求項7】
該エキスパート規則が、事実のセットがエキスパートエンジンによって検知されると、少なくとも1つの警告を生成させるように構成される請求項1に記載の構成システム。
【請求項8】
該構成データベースに記憶されるプロセスグラフィックをさらに備え、該プロセスグラフィックが該論理装置を描写するグラフィック表現を備え、該プロセスモジュールの実行中にディスプレイ装置上で表示されるように適応され、該プロセスグラフィックがプロセスの動作中に該エキスパート規則のセットを適用するエキスパートエンジンによって提供される情報を描写するように構成される請求項1に記載の構成システム。
【請求項9】
該構成データベースがエキスパート規則テンプレートのライブラリを含む請求項1に記
載の構成システム。
【請求項10】
該構成データベースが該エキスパート規則のセットのバージョンを追跡するように適応される請求項1に記載の構成システム。
【請求項11】
プロセスプラントのプロセス制御システムを監視するためのシステムであって、
プロセッサと、
コンピュータ読取可能メモリと、
該コンピュータ読取可能メモリに記憶され、複数の相互接続されるプロセスオブジェクトを備えるプロセスモジュールであって、各プロセスオブジェクトが該プロセスプラント内の対応する物理的なエンティティを表し、該プロセスモジュールが該プロセスプラントの中の論理装置を表し、各プロセスオブジェクトが該プロセスオブジェクトにより表される該物理的なエンティティに対応するパラメータデータを記憶するためのパラメータメモリ記憶装置を有し、該プロセスモジュールの該プロセスオブジェクトの内の少なくともいくつかが該対応する物理的なエンティティをシミュレーションするためのシミュレーション機能を含むプロセスモジュールと、
該コンピュータ読取可能メモリに記憶されるエキスパートモジュールであって、該エキスパートモジュールが、該プロセスモジュールと関連付けられ、該論理装置と関連する少なくとも1つの異常な状況を検知するためにエキスパートエンジンにより適用されるように適応されるエキスパート規則のセットを含み、該エキスパート規則のセットが該プロセスモジュールのパラメータデータを参照し、該エキスパート規則の評価と関連するエキスパートモジュールパラメータを含む該エキスパートモジュールと、
該コンピュータ読取可能メモリに記憶され、該論理装置のグラフィック描写、該プロセスモジュールのパラメータデータ、および該エキスパートモジュールのパラメータデータをユーザインタフェース上で提供するように適応されるプロセスグラフィックと、
該コンピュータ読取可能メモリに記憶され、該プロセッサによって実行されるように適応される実行エンジンであって、該プロセスプラントの動作中に該プロセスモジュールを実行するため、および該論理装置の該グラフィック描写、該プロセスモジュールの該パラメータデータ、および該エキスパートモジュールの該パラメータデータを該ユーザインタフェース上で表示するための該実行エンジンと、
該コンピュータ読取可能メモリに記憶され、該プロセッサによって実行されるように適応され、該エキスパートモジュールの該エキスパート規則のセットを適用するためのエキスパートエンジンと、
を備えるシステム。
【請求項12】
該実行エンジンが該エキスパートエンジンを備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
該実行エンジンが、ユーザが、該プロセスの動作中にディスプレイのために該エキスパートモジュールのパラメータを選択できるように適応される請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
該エキスパートエンジンが、ユーザが、該プロセスの動作中に該エキスパート規則のセットを修正できるように適応される請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
該エキスパート規則が、事実のセットが該エキスパートエンジンによって検知される場合に、該プロセスモジュールの少なくともいくつかの警告を無効にさせるように構成される請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
該エキスパート規則が、事実のセットが該エキスパートエンジンによって検知される場合に、少なくとも1つの警告を生成させるように構成される請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
プロセスプラントのプロセス制御システムを監視することを容易にする方法であって、
複数の相互接続されるプロセスオブジェクトを備えるプロセスモジュールを構成し、各プロセスオブジェクトが該プロセスプラントの中の対応する物理的なエンティティを表し、該プロセスモジュールが該プロセスプラントの中の論理装置を表すことと、
該プロセスモジュールと関連付けられ、該論理装置と関連する少なくとも1つの異常な状況を検知するためにエキスパートエンジンによって適用されるように適応されるエキスパート規則のセットを含むエキスパートモジュールを構成し、該エキスパート規則のセットが該プロセスモジュールのパラメータデータを参照し、該エキスパートモジュールが該エキスパート規則の評価と関連するエキスパートモジュールパラメータを含むことと、
該論理装置のグラフィック描写、該プロセスモジュールのパラメータデータ、および該エキスパートモジュールのパラメータデータをユーザインタフェース上で提供するように適応されるプロセスグラフィックを構成することと、
該構成されたプロセスモジュール、該構成されたエキスパートモジュール、および該構成されたプロセスグラフィックを、該プロセス制御システムの構成を記憶するための構成データベースに記憶することと、
該構成されたプロセスモジュール、該構成されたエキスパートモジュール、および該構成されたプロセスグラフィックを該プロセスプラント内のワークステーションにダウンロードすることであって、該ワークステーションは該プロセスモジュールを実行するために、ユーザインタフェースで該プロセスグラフィックを表示するために、および該プロセスの動作中に該エキスパートエンジンを実現するために、実行エンジンを実現するように適応される、該ダウンロードすることと、
を備える方法。
【請求項18】
該プロセスの動作中に該エキスパートエンジンを使用して該プロセス制御システムの警告システムで警告を生成することをさらに備える請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該プロセスの動作中に該エキスパートエンジンを使用して該プロセスモジュールまたは該エキスパートモジュールの内の少なくとも1つと関連するアラームのグループを無効に
することをさらに備える請求項17に記載の方法。
【請求項20】
該プロセスの動作中に、オペレータが該ワークステーションを介して該エキスパート規則のセットを修正できるようにすることをさらに備える請求項17に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−41596(P2013−41596A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221298(P2012−221298)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【分割の表示】特願2007−511570(P2007−511570)の分割
【原出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【出願人】(512132022)フィッシャー−ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】