説明

プロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部

【課題】
本発明は、暫間的な仮歯であって、長期に左・右支台歯に装着されるもので、歯の欠損に対して用いるプロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部の技術を提供する。
【解決手段】
プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯15は、左・右人工歯冠16、17とそれらの中間部分に於ける架工歯歯冠部18を歯科用樹脂(レジン)で一体成形する。前記人工歯冠16、17は、いずれも略U字状又は略V字状の凹陥16a、17aを形成し当該プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯15を残存歯である左・右支台歯20、21に覆設する。この際、当該架工歯歯冠部18には略半球形状又は略卵形状のセラミックス製架工歯用既製基底部19を埋込み一体的に固定・成形する。前記セラミックス製架工歯用既製基底部19の軸芯19bの外周面を凹凸状又はねじ切り状に製作し架工歯歯冠部18から離脱又は脱落することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロビジョナルレストレーションつまり暫間的な仮歯であって、長期に左・右支台歯に装着されるもので、歯の欠損に対して用い、即時重合レジンで製作された前記左・右の支台歯間に介在させた架工歯歯冠部と、該架工歯歯冠部と同一材料で一体形成されかつ左・右支台歯に覆設・接合する左・右人工歯冠と、架工歯歯冠部に接合・固定すると共に架工歯(ポンティック)の歯肉側に接合するセラミックス製基底部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種、第1例としては図7(a)(b)に示す特開平5−253250号公開特許公報に開示された架工義歯がある。これについて説明すれば、図7(a)は左・右の支台歯2、3に合着した状態を示す固定性架工義歯Aを示している。図7(b)は前記固定性架工義歯Aを左・右の支台歯2、3に合着する前の状態を示している。そしてこの第1例は歯を2本欠損した場合であって、かかる固定性架工義歯Aは左・右の人工歯冠4、5と該人工歯冠4、5間に成形したポンティック部6、7とで構成されこの人工歯冠4、5とポンティック部6、7とは同一材料、例えば歯科用樹脂、いわゆるレジンで成形される。図中、8は例えば結晶化ガラスで作成された人工歯肉であって前記人工歯冠4、5とポンティック部6、7の下側に配置・固定されている。
【0003】
この種、第2の例としては図8に示す特表2001−516614号公表特許公報に開示された架工義歯Bがある。これについて説明すれば、図8は、3つの接合部材を含む架工義歯Bの断面を示している。架工義歯Bは、2つの支持歯9、10上においてセメントで固められる。架工義歯Bは、図8に示すように2つの人工歯冠11、12と、欠損した歯に対する代用としての中央の架工歯13を備えている。これらの人工歯冠11、12、架工歯13は、ガラスを添加しながら高温で接合され、そのガラスは溶融状態でコア材料を濡らし、各架工義歯部材の間の隙間に広がる。冷却の際に、ガラスは凝固し、架工義歯Bを接合する高強度の接合部14を得る。架工義歯Bは、コアB1と、それに張り合わせた歯科用陶材B2からなる。架工義歯Bは、2つ以上の前処理した支持歯9,10にセメントで固定する。支持歯9、10はまたインレー又は張り合わせ部材を備えることもでき、張り合わせ部材は、頬側面及び舌側面の両方に作製する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−253250号公開特許公報
【特許文献2】特表2001−516614号公表特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に於いて前述した第1例によれば、人工歯冠4、5部分とポンティック部6、7とは例えば歯科用樹脂としてのレジンのみで一体形成された固定性架工義歯Aを提供する。このレジン材は吸水性を備え、患者がこれを長期に使用すれば人工歯肉8がない場合該ポンティック部6、7と歯肉との隙間及び人工歯肉8が存在する場合にも該人工歯肉8の下側にそれぞれ歯垢が付着し、その歯肉部分に於ける歯周組織に炎症を発生し、とりわけ左・右の支台歯2、3の歯周組織の歯根膜や歯槽骨に炎症が波及するという問題点があり、プロビジョナルレストレーションには不適切であった。また前述した第2例によれば支持歯9、10の固定される架工義歯BがコアB1と歯科用陶材B2から構成されており、特にコアB1は例えばガラスで接合される2つ又はそれ以上の部材からなり、そのガラスは熱処理され溶融又は凝固により接合する工程を経る必要があり、更にこのコアB1に歯科用陶材B2を張り合わせる技術が要求されるという架工義歯Bであって複雑である上に製作工数が大幅にかかり高価であって実用に供し難く、度々の修正が必要となるプロビジョナルレストレーションには採用できないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プロビジョナルレストレーションつまり暫間的な仮歯であって、長期に左・右支台歯に装着されるもので、歯の欠損に対して用いるものであって、即時重合レジンで製作された人工義歯の機能を有する架工歯歯冠部と、該架工歯歯冠部と同一材料で一体形成され左・右の支台歯に覆設・接合する左・右の人工歯冠とでなり、特に、架工歯(ポンティック)がセラミックス製架工歯用既製基底部を備え、該セラミックス製架工歯用既製基底部の基底面が略半球形又は略卵形状(オベイト)を形成したことで、その基底面が歯肉に完全に埋込まれ食べ滓から生じる歯垢を付着し難くし、常に口腔内を清潔にすべくしたことを目的としたものであって、次の構成から成立する。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、暫間的かつ左・右支台歯に装着される仮歯であって、即時重合レジンで製作された架工歯歯冠部と、該架工歯歯冠部と同一材料で一体形成されかつ左・右の支台歯に覆設・接合する左・右の人工歯冠とでなる構成に於いて、該架工歯歯冠部に固定したセラミックス製架工歯用既製基底部を備えたことを特徴とするプロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部を得られる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、前記セラミックス製架工歯用既製基底部は略卵形状又は略半球形状からなることを特徴とする請求項1記載のプロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部を得られる。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、前記セラミックス製架工歯用既製基底部は略半球殻状からなることを特徴とする請求項1記載のプロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部を得られる。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、前記セラミックス製架工歯用既製基底部は本体と、該本体に一体形成されかつ外周面が凹凸状又はねじ切り状に形成された軸芯とを備えたことを特徴とする請求項1記載のプロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部を得られる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、左・右の支台歯の間に介在させる架工歯(ポンティック)の基底部がセラミックス製であるため、形態を優先させる部分についてはレジンを用いることで任意の形状を形成し、最も自浄性を要する部分を吸水性を有しないセラミックス材料で作成したので細菌の感染及び繁殖を抑止して歯肉に於ける手術による創傷部の予後を改善することができるという効果がある。またセラミックス製架工歯の基底部に接する歯肉面を常に清潔に保持できかつ口腔粘膜への為害性を少なくし、さらにセラミックス材が生体親和性に優れるため本発明に係る架工義歯が長期の装着に耐えると共に簡単に装着・取付けが可能であり架工歯(ポンティック)による顎堤粘膜への圧迫調整も簡単に行なえるという効果がある。また本発明は長期に歯の欠損部分に装着した暫間的な仮歯であって、最終補綴物に付与される機能及び形態を合理的見地から構築できるという効果もある。本発明は特に架工歯に装着する基底部が既製であって予め生産した後に架工歯歯冠部に埋込み一体的に固定でき迅速かつ高品質のプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯に適用できるという効果がある。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、セラミックス製架工歯用既製基底部を略卵形状又は略半球形状にしたので、予め凹面に形成した顎堤粘膜に該セラミックス製架工歯用既製基底部を密着させることができ、あたかも自然歯が萌出しているかのような歯頸部形態を有し、生理的に歯肉への適度な圧迫による歯間乳頭や鼓形空隙を再生させることができ、前記セラミックス製架工歯用既製基底部の基底面を歯肉に少し埋め込むことで歯垢を入れにくくすることができるという効果がある。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1及び2に記載の発明の効果に加えて、架工歯のセラミックス部分を略半球殻状にしたので、セラミックス材の重量を低減でき材料費を軽減することができるという効果がある。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、セラミックス製架工歯用既製基底部をレジンで製作された架工歯歯冠部に強固に固定することができ、該セラミックス製架工歯用既製基底部が架工歯歯冠部から脱落することがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯の実施の形態を示す正面図である。
【図2】本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯の実施の形態に適用するセラミックス架工歯用既製基底部の一例を示す図面であって(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は右側面図である。
【図3】本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯を装着した状態を示す正面図である。
【図4】図3に示す本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯を装着した状態であって口腔の内側から見た正面図である。
【図5】本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯の実施例1を示す正面図である。
【図6】本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯の実施例2を示す正面図である。
【図7】従来技術に於ける架工義歯の第1例を示す図面であって(a)は左・右の支台歯に合着した状態を示す正面図、(b)は架工義歯を左・右の支台歯に合着する前の状態を示す正面図である。
【図8】従来技術に於ける架工義歯の第2例を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯の実施の形態について図1ないし図4に基づき詳細に説明する。
本実施の形態は自然歯が1本欠損した場合に適用する構成例を示すものであり、15は本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯である。ここで、プロビジョナルレストレーションとは、歯を削ってから最終的に出来上がるクラウンなどの補綴物が入るまでの間に装着する仮の歯であって、実質的には、最終補綴物が入るまでに歯肉の状態を整えたり神経筋機能の調和までを目的とするという意味合いからプロビジョナルレストレーションという。該プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯15は例えば左側及び右側に人工歯冠16、17を形成し略中央部分に架工歯歯冠部18を形成する。該人工歯冠16、17及び架工歯歯冠部18は歯科用樹脂(レジン)で一体成形される。この歯科用樹脂は、アクリル樹脂(即時重合型のプラスチック)である。架工歯歯冠部18は、後述するセラミックス製架工歯用既製基底部19の本体19aと接合・固定されている。以下、互いに接合・固定された架工歯歯冠部18及びセラミックス製架工歯用既製基底部19を架工歯(ポンティック)と呼び説明することにする。
【0017】
更に具体的に例示すれば、歯科用樹脂の材料は、肌色に着色された歯科用粉末ポリメチルメタクリレートとメチルメタクリレートモノマーとを合算して90重量%(全歯科用樹脂比)と、架橋剤としてのエチレングリコール・ジメタクリレートを10重量%(全歯科用樹脂比)とからなる。前記肌色に着色された歯科用粉末ポリメチルメタクリレートは、重合開始剤、通常は過酸化ベンゾイルを、メチルメタクリレートモノマーに加えて、カルボキシメチルセルロース水溶液中で乳化重合させたものである。本発明に於ける歯科用樹脂(レジン)は即時重合レジンを採用する。そこで歯科用樹脂(レジン)は粉と液を混合することによって製作する。さらに混合した直後は粘性溶液だが2分間程経ると餅状態、つまり、やや固化状態になり5分間程度で硬い歯科用樹脂(レジン)のプラスチックが形成される。餅状態のときに架工歯歯冠部18がセラミックス製架工歯用既製基底部19の本体19aと接合・固定される。さらに、人工歯冠16、17は、図3に示す左・右支持台歯20、21部分との位置関係を合わせる。
【0018】
ここで即時重合レジンとは、熱や光を使用せず、粉と液を常温で混和することにより重合するレジンであって、粉はポリマーを主成分、液はポリマーを溶解させるためのモノマーを主成分とし、そのほか重合開始剤や顔料が配合されている。加熱重合レジンと比較して、熱収縮を低く抑えられるため寸法精度に優れ、操作性も比較的良好である。一方、重合度が低く残留モノマーが多い(3〜5%)ため強度や耐摩耗性は低く、吸水性が高いという特徴を有し、本発明のようにプロビジョナルレストレーションや義歯の修理などに適用する。
【0019】
前記人工歯冠16、17は、いずれも略U字状又は略V字状の凹陥16a、17aを形成し当該プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯15を残存歯である左・右支台歯20、21に覆設する。この左・右支台歯20、21は該凹陥16a、17aが挿装し易いようにその頭部20a、21aや側面等外周面が適正な形状を確保すべく医療工具により削取られる。そして該人工歯冠16、17とその間、つまり略中央部に存在する架工歯歯冠部18とは即時重合レジンで一体成形する。この際、当該架工歯歯冠部18には略半球形状又は略卵形状のセラミックス製架工歯用既製基底部19を即時重合レジンで埋込み一体的に固定・成形する。かくして当該架工歯(ポンティック)はその上端部(セラミックス製架工歯用既製基底部の反対部位)が噛合うための義歯機能を有すると共に該セラミックス製架工歯用既製基底部19を接合・固定される。
【0020】
前述したように、架工歯(ポンティック)は架工歯歯冠部18とセラミックス製架工歯用既製基底部19とでなり、該セラミックス製架工歯用既製基底部19は図2(a)ないし図2(d)に示すように略卵形状又は略半球形状の本体19aと、該本体19aと一体成形され外周面を凹凸状又はねじ切り状に形成した軸芯19bとでなる。本体19aの基底面19cは側面形状が略円弧状に形成し、プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯15を装着した際この基底面19cが人の歯肉22面に形成した凹面22aの顎堤粘膜(図示せず)に密着・嵌合する。
【0021】
前記セラミックス製架工歯用既製基底部19は前述したように人工歯冠16、17及び架工歯歯冠部18を歯科用樹脂(レジン)で一体成形される。前記セラミックス製架工歯用既製基底部19の軸芯19bの外周面が凹凸状又はねじ切り状に製作されているので、実質的にその部分の表面積が拡大され歯科用樹脂(レジン)と固着密度を高めており、架工歯歯冠部18から全く離脱又は脱落することがないという機能がある。
【0022】
次に、人の自然歯が1本欠損した場合に於いて、本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯15を人の歯肉22部分に装着する手順を説明する。
例えば、先ず治療医師は人の自然歯が欠損した歯肉22部分について必要に応じてその形態修正を行なう。すなわち、歯肉22部分に麻酔をして歯の欠損部位に於ける該歯肉22部分を微かに除去し凹面22aを人工的に形成する。そこで凹面22aの顎堤粘膜が形成される。この顎堤粘膜上に仮歯として製作した略半球形状又は略卵形状のセラミックス製架工歯用既製基底部19を嵌入・密着する。当該歯肉22部分が完全に治癒するまで例えば2〜3週間程度の長期間すえ置く。そしてこの際、セラミックス製架工歯用既製基底部19の左・右に備えた人工歯冠16、17の凹陥16a、17aを健全な残存歯でなる左・右支台歯20、21に嵌着し、接着剤すなわち歯科用の仮着用(仮止め用)セメントを用いて左・右の人工歯冠16、17を左・右支台歯20,21に暫定的に固定する。
【0023】
当該セラミックス製架工歯用既製基底部19は支持・固定され、長期間経過後、当該左・右に備えた人工歯冠16、17を左・右支台歯20、21から撤去すると歯肉22部分の凹面22aが固化する。そして治療医師がこの状態を確認した後、最終的な架工義歯の型取りを行なう。ここでセラミックス製架工歯用既製基底部19が歯肉22の凹面22aに形成した顎堤粘膜に密着させることにより、あたかも自然歯が萌出しているかのような歯頸部形態を有し、生理的に歯肉への適度な圧迫による歯間乳頭や鼓形空隙の再生が得られる。また、セラミックス製架工歯用既製基底部19はすでに予め生産してありプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯を迅速かつ高品質に製作可能となり吸水性がなく生体親和性にも優れるため長期の装着にも耐える機能を保持する。
【実施例1】
【0024】
次に本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯の実施例1について図5に基づき説明する。
23はプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯15に於ける架工歯歯冠部18に埋設・固定したセラミックス製架工歯用既製基底部23を示す略半球殻状の基底部である。該基底部23は下方(歯肉側の反対方向)周縁に内方彎曲片23aを形成し、架工歯歯冠部18に一旦固着すれば、この内方彎曲片23aが上方(歯肉側の方向)への動きを規制することとなり長期の使用に際しても義歯の一部を構成する架工歯歯冠部18から離脱又は脱落することはない。当該実施例1は図1に示すセラミックス製架工歯用既製基底部19に比較しセラミックス材料を大幅に削減でき、軽量化を図り、セラミックス材料費を低く設定するという特異点がある。プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯15の実施例1に於けるほかの構成や機能及びプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯15の製作方法やそれを人の歯肉部分に装着する手順等は図1に示すものと同一であり、その説明を省略する。
【実施例2】
【0025】
次に本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯の実施例2について図6に基づき説明する。
本実施例2は自然歯が2本連続的に欠損した場合に適用する構成例を示すものであり、24は本発明に係るプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯である。該プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯24は例えば左側及び右側に人工歯冠16、17を形成し略中央部分に義歯の一部を構成する架工歯歯冠部18を形成する。架工歯歯冠部18は左側の人工歯冠16に結合する第1架工歯歯冠部18Aと、該第1架工歯歯冠部18Aに隣接合しかつ右側の人工歯冠17に結合する第2架工歯歯冠部18Bとでなる。該人工歯冠16、17及び第1、第2架工歯歯冠部18A、18Bは歯科用樹脂(レジン)で一体成形され2本でなるセラミックス製架工歯用既製基底部19をこれに埋込み固定する。この際、当該第1架工歯歯冠部18A、第2架工歯歯冠部18Bにはそれぞれ略半球形状又は略卵形状の第1、第2セラミックス製架工歯用既製基底部19A、19Bを即時重合レジンで埋込み一体的に固定・成形する。かくして当該第1架工歯歯冠部18A、第2架工歯歯冠部18Bはそれぞれその上端部が噛合うための義歯機能を有すると共に該第1、第2セラミックス製架工歯用既製基底部19A、19Bを接合・固定される。プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯24の実施例2に於けるほかの構成や機能及び当該プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯24の製作方法やそれを人の歯肉部分に装着する手順等は図1に示すものと同一であり、その説明を省略する。
尚、本実施例2は自然歯が2本連続に欠損した場合に適用するプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯24を示したが、自然歯が3本以上連続欠損した場合も同様にして欠損本数に合わせたプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯を製作することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
架工歯(ポンティック)にセラミックス製架工歯用既製基底部を備え、該セラミックス製架工歯用既製基底部の基底面が略半球形又は略卵形状(オベイト)を形成したことで、その基底面が歯肉に完全に埋込まれ食べ滓から生じる歯垢を付着し難くし、常に口腔内を清潔にできる長期使用に耐えるプロビジョナルレストレーションに供する架工義歯を提供でき、進歩する歯科医療技術分野への利用が対応できる。
【符号の説明】
【0027】
15 プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯
16 人工歯冠
16a 凹陥
17 人工歯冠
17a 凹陥
18 架工歯歯冠部
18A 第1架工歯歯冠部
18B 第2架工歯歯冠部
19 セラミックス製架工歯用既製基底部
19A 第1セラミックス製架工歯用既製基底部
19B 第2セラミックス製架工歯用既製基底部
19a 本体
19b 軸芯
19c 基底面
20 左側支台歯(残存歯)
20a 左側支台歯の頭部
21 右側支台歯(残存歯)
21a 右側支台歯の頭部
22 歯肉
22a 歯肉の凹面(顎堤粘膜)
23 略半球殻状の基底部
23a 略半球殻状の基底部の内方彎曲片
24 プロビジョナルレストレーションに供する架工義歯(実施例2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暫間的かつ左・右支台歯に装着される仮歯であって、即時重合レジンで製作された架工歯歯冠部と、該架工歯歯冠部と同一材料で一体形成されかつ左・右の支台歯に覆設・接合する左・右の人工歯冠とでなる構成に於いて、該架工歯歯冠部に固定したセラミックス製架工歯用既製基底部を備えたことを特徴とするプロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部。
【請求項2】
前記セラミックス製架工歯用既製基底部は略卵形状又は略半球形状からなることを特徴とする請求項1記載のプロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部。
【請求項3】
前記セラミックス製架工歯用既製基底部は略半球殻状からなることを特徴とする請求項1記載のプロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部。
【請求項4】
前記セラミックス製架工歯用既製基底部は本体と、該本体に一体形成されかつ外周面が凹凸状又はねじ切り状に形成された軸芯とを備えたことを特徴とする請求項1記載のプロビジョナルレストレーションに供する架工歯用既製基底部。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−234845(P2011−234845A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107864(P2010−107864)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(591248348)学校法人松本歯科大学 (22)