説明

プロピレン重合体組成物

【課題】ゴム成分の分解を抑制し、耐衝撃性に優れるプロピレン重合体組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(X)と、下記成分(X)100重量部に対して、下記成分(Y)0.001〜3重量部と、下記成分(X)100重量部に対して、下記成分(Z)0.001〜3重量部とを含有するプロピレン重合体組成物。成分(X):プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であり、融点が155℃を超える重合体30〜95重量%と、プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位および/または1−ブテンに由来する構造単位とからなる共重合体5〜70重量%とからなるプロピレン共重合体。成分(Y):グルコース、トレハロース等。成分(Z):トコフェロール類。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性に優れるプロピレン重合体組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロピレン重合体は、包装、容器、家電製品、自動車部品等の分野で幅広く利用されている。
中でも、プロピレン単独重合体部とプロピレンとエチレン共重合体部を有する共重合体は、プロピレン単独重合体部が持つ剛性とプロピレンとエチレン共重合体部が有する耐衝撃性を併せ持つ事から、包装用フィルムや自動車のバンパーなどに利用されている。分解を抑制する為、これらの共重合体には酸化防止剤を含んでいる事が一般的である。
例えば、特許文献1および2には、ブロック共重合体に酸化防止剤として[テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン]を溶融混練した技術が記載されている。
また、特許文献3には、プロピレン樹脂に対して、トコフェロール類と高級脂肪酸カルシウムを配合したプロピレン樹脂組成物が、成形時の熱安定性が良好であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−3295号公報
【特許文献2】特開平9−71695号公報
【特許文献3】特開平11−302469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、汎用的に使用されているフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、あるいは亜リン酸エステル類ではゴム成分(プロピレン/エチレン共重合体部)の分解抑制効果が十分ではなかった。また、近年環境問題等の高まりから、天然に存在する安全な化合物を使用することが望まれている。
本発明の目的は、ゴム成分の分解を抑制し、耐衝撃性に優れるプロピレン重合体組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記成分(X)と、下記成分(X)100重量部に対して、下記成分(Y)0.001〜3重量部と、下記成分(X)100重量部に対して、下記成分(Z)0.001〜3重量部とを含有するプロピレン重合体組成物に係るものである。
成分(X):プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であり、融点が155℃を超える重合体(成分(A))30〜95重量%と、プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位および/または1−ブテンに由来する構造単位とからなる共重合体(成分(B))5〜70重量%とからなるプロピレン共重合体(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)
成分(Y):下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される化合物、グルコースおよびトレハロースからなる群から選ばれる糖化合物

2n+2 (I)

(式中、nは4〜12の整数を表す。)



(式中、mは2以上の整数を表す。)

成分(Z):下記式(III)で表されるトコフェロール類



(式中、R、RおよびRは、それぞれ同一または相異なり、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素数1〜16のヒドロカルビル基を表す。)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐衝撃性に優れるプロピレン重合体組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に用いられるプロピレン共重合体(成分(X))は、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であり、融点が155℃を超える重合体(成分(A))30〜95重量%と、プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位および/または1−ブテンに由来する構造単位とからなる共重合体(成分(B))5〜70重量%とからなる(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)。
【0008】
本発明に用いられるプロピレン共重合体(成分(X))の製造方法としては、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。
公知の重合触媒としては、例えば、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須とする固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて用いられる電子供与性化合物等の第3成分とからなる触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系等が挙げられる。好ましくはマグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須とする固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、電子供与性化合物からなる触媒系であり、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報等に記載されている触媒系である。
【0009】
公知の重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合法、溶媒重合法、無溶媒による液相重合法、気相重合法等が挙げられ、好ましくは気相重合法、あるいは、前記の重合法を組み合わせ、それらを連続的に行なう方法、例えば、液相−気相重合法等が挙げられる。
【0010】
本発明に用いられるプロピレン共重合体(成分(X))に含まれる成分(A)と成分(B)との含有量としては、成分(A)の含有量が30〜95重量%であり、好ましくは、50〜95重量%であり、より好ましくは、60〜90重量%である。一方、成分(B)の含有量が5〜70重量%であり、好ましくは、5〜50重量%であり、より好ましくは、10〜40重量%である(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)。成分(A)の含有量が30重量%未満の時は耐熱性に劣る事があり、95重量%を超える場合には耐衝撃性が劣る事がある。
【0011】
成分(A)の融点は155℃を超え、好ましくは、158℃以上であり、より好ましくは、160℃以上である。成分(A)の融点が155℃以下であると得られたプロピレン共重合体の剛性が不十分であることがある。
【0012】
成分(A)の極限粘度は加工性に優れる観点から、好ましくは、1.0〜3.5dl/gであり、より好ましくは、1.5〜3.0dl/gである。
【0013】
成分(A)は、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であり、プロピレンに由来する構造単位以外の構造単位、例えば、エチレンに由来する構造単位や1−ブテンに由来する構造単位を融点が155℃以下にならない範囲で含んでいても良い。プロピレンに由来する構造単位の含有量として、好ましくは、60重量%以上であり、より好ましくは、80重量%以上であり、更に好ましくは、90重量%以上であり、特に好ましくは、100重量%である(但し、成分(A)の重量を100重量%とする。)。
【0014】
成分(B)は、プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位とからなる共重合体、プロピレンに由来する構造単位と1−ブテンに由来する構造単位とからなる共重合体、プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位と1−ブテンに由来する構造単位とからなる共重合体などが具体的に挙げられる。
【0015】
成分(B)中に含まれるエチレンに由来する構造単位および/または1−ブテンに由来する構造単位の含有量は、剛性と耐衝撃性とのバランスに優れる観点から、好ましくは、1〜80重量%であり、より好ましくは、10〜60重量%であり、更に好ましくは、15〜55重量%である(但し、成分(B)の重量を100重量%とする。)。
【0016】
成分(B)の極限粘度は耐ブロッキング性、耐衝撃性等に優れる観点から、好ましくは、1.5〜5.0dl/g、より好ましくは、2.0〜4.8dl/gであり、特に好ましくは、2.5〜4.8dl/gである。
【0017】
本発明に用いられる糖化合物(成分(Y))は、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される化合物、グルコースおよびトレハロースからなる群から選ばれる。

2n+2(I)

(式中、nは4〜12の整数を表す。)



(式中、mは2以上の整数を表す。)
【0018】
式(I)において、nは、4〜12の整数であり、好ましくは、5〜8の整数であり、より好ましくは、6である。
【0019】
式(I)で表される化合物としては、例えば、エリトリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、アドニトール、アリトール、イジトール、ガラクチトール、ソルビトール、タリトール、マンニトール、ボレミトール、ペルセイトール、オクチトール等を挙げることができる。
【0020】
式(I)で表される化合物としては、D体、L体などの光学活性体であっても、DL体などの光学的に不活性なものであってもよい。
式(I)で表される化合物としては、Fisher投影式で下記のように表されるアリトール、イジトール、ガラクチトール、ソルビトール、タリトール又はマンニトール等のnが6の糖アルコールが好ましく、ソルビトールまたはマンニトールがより好ましい。
【0021】
式(I)で表される化合物は、市販品をそのまま使用すればよい。また、式(I)で表される化合物は、無水物であってもよいし、水和物であってもよい。

【0022】
式(II)で表される化合物としては、例えば、1,2,3−シクロプロパントリオール(1,2,3-cyclopropanetriol)、1,2,3,4−シクロブタンテトラオール(1,2,3,4-cyclobutanetetraol)、1,2,3,4,5−シクロペンタンペンタオール(1,2,3,4,5-cyclopentanepentaol)、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサオール(1,2,3,4,5,6-cyclopentanehexaol)、1,2,3,4,5,6,7−シクロヘプタンヘプタオール(1,2,3,4,5,6,7-cycloheptaneheptaol)、1,2,3,4,5,6,7,8−シクロオクタンオクタノール(1,2,3,4,5,6,7,8-cyclooctaneoctaol)等が挙げられる。
【0023】
myo−イノシトール、epi−イノシトール、allo−イノシトール、muco−イノシトール、neo−イノシトール、chiro−イノシトール、scyllo−イノシトール等の1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサオールが好ましく、下記式で表されるmyo−イノシトールまたはscyllo−イノシトールがより好ましい。


【0024】
式(II)で表される化合物は、市販品をそのまま使用すればよい。また、式(II)で表される化合物は、無水物であってもよいし、水和物であってもよい。
【0025】
本発明に用いられるグルコースは、市販のものをそのまま用いることができる。グルコースは無水物であってもよいし、水和物であってもよい。グルコースはα体であっても、β体であってもよい。グルコースはD体であってもよいし、L体であってもよい。
【0026】
本発明に用いられるトレハロースは、結晶水の有無は問わずに市販のものをそのまま用いることができる。
【0027】
本発明に用いられる糖化合物(成分(Y))の含有量は、成分(X)100重量部に対して、0.001〜3重量部であり、好ましくは、0.001〜2重量部であり、より好ましくは、0.005〜1重量部である。
【0028】
また、本発明に用いられる糖化合物(成分(Y))は、1種単独または2種以上を併用してもよい。併用する場合の合計量は、成分(X)100重量部に対して、0.001〜3重量部であり、好ましくは、0.001〜2重量部、より好ましくは、0.005〜1重量部である。
【0029】
本発明に用いられる糖化合物(成分(Y))として、好ましくは、マンニトール、イノシトール、ソルビトール、グルコースまたはトレハロースであり、より好ましくは、イノシトール、グルコースまたはトレハロースである。
【0030】
本発明に用いられるトコフェロール類(成分(Z))は、下記式(III)で表される。



(式中、R、RおよびRは、それぞれ同一または相異なり、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素数1〜16のヒドロカルビル基を表す。)
【0031】
上記式(III)のRにおける炭素数1〜16のヒドロカルビル基としては、例えば、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数2〜16のアルケニル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数7〜16のアラルキル基等が挙げられる。
【0032】
炭素数1〜16のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、4,8,12−トリメチルトリデシル基{−[(CH23−CH(CH3)]3−CH3}等が挙げられ、炭素数2〜16のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、4,8,12−トリメチル−3,7,11−トリデカトリエニル基{−[(CH22−CH=C(CH3)]3−CH3}等が挙げられ、炭素数6〜16のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられ、炭素数7〜16のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
【0033】
天然或いは合成のトコフェロールはすべて上記式(III)で表されるトコフェロール類に含まれる。また、トコフェロール類は数種類の同族体の混合物であってもよい。具体的には、α−トコフェロール(5,7,8−トリメチルトコール)、β−トコフェロール(5, 8−ジメチルトコール)、γ−トコフェロール(7,8−ジメチルトコール)、δ−トコフェロール(8−メチルトコール)およびこれらの2種以上の混合物である。好ましくは、α−トコフェロールであるビタミンEである。またトコフェロール類は酸化されることにより、色調の悪化など性能面の変化があるため、あまり酸化されていないものが好ましい。純度もより高いものが好ましく、一般的には90%以上、さらに好ましくは、95%以上のものである。
【0034】
本発明に用いられるトコフェロール類(成分(Z))の含有量は、成分(X)100重量部に対して、0.001〜3重量部であり、好ましくは、0.005〜2重量部であり、より好ましくは、0.01〜1重量部である。
【0035】
本発明のプロピレン重合体組成物の20℃キシレン可溶部の極限粘度([η]CXS(dL/g))は、好ましくは、1.0〜4.0dl/gであり、より好ましくは、1.5〜3.5dl/gである。
【0036】
また、本発明のプロピレン重合体組成物の20℃キシレン不溶部の極限粘度([η]CXIS(dL/g))は、好ましくは、1.0〜3.0dl/gであり、より好ましくは、1.5〜2.5dl/gである。
【0037】
本発明のプロピレン重合体組成物のメルトフローレートは、好ましくは、0.5〜10g/10分であり、より好ましくは、1.0〜5.0g/10分である。
【0038】
本発明において、プロピレン重合体組成物には、必要に応じて、糖化合物(成分(Y))およびトコフェロール類(成分(Z))以外の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、金属石鹸、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
【0039】
本発明のプロピレン重合体組成物は、均質な混合物を得るため、公知の方法および装置を用いることができる。例えば、プロピレン共重合体(成分(X))のパウダーと、各種添加剤をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合装置を用いてあらかじめ混合する方法、定量供給機を用いて、一定の割合でプロピレン共重合体(成分(X))と各種添加剤を連続供給する方法などが好ましく用いられる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例および比較例により本発明を更に詳しく説明する。実施例および比較例で用いた物性の測定方法を下記に示した。
【0041】
(1)極限粘度([η]、単位:dL/g)
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
(2)20℃キシレン可溶部(CXS)と不溶部(CXIS)(単位:重量%)
重合体1gに対してキシレン200mLを加え、沸騰させて完全に溶解させた後降温し、20℃で1時間以上状態調整を行った。その後、ろ紙を用いて可溶部と不溶部に分離した。ろ液から溶剤を除去して乾固して可溶部(CXS)の試料とし、ろ紙上に残った不溶部(CXIS)、それぞれの重量を測定した。
(3)[η]CXS、[η]CXIS
CXSおよびCXISそれぞれの極限粘度を[η]CXS、[η]CXISとした。
(4)コモノマー(エチレン)含量(単位:重量%)
プロピレン重合体中の エチレン含有量は高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616〜619頁に記載されている方法によって求めた。(成分B1)中のエチレン含有量は、(成分B)の含有量を用いて計算により求めた。
(5)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
【0042】
[実施例1]
[プロピレン重合体(1)の製造]
特開2010−53342号公報の参考例2に従って触媒の調整、重合を行い、プロピレン単独重合体(A1)とプロピレン/エチレン共重合体(B1)の連続重合体を得た。(A1)と(B1)の含有量はそれぞれ重量84重量%、16重量%、(B1)中のエチレン含有量は38重量%、(A1)成分の[η]は2.2dl/g、(B1)成分の[η]は3.6dl/gであった。
【0043】
[プロピレン重合体(1)のペレット化]
プロピレン重合体(1)の粉末100重量部に対して、マンニトール0.03重量部、トコフェロール類としてビタミンE(理研ビタミン(株)製)0.05重量部を混合し、田辺プラスチックス機械(株)社製40mmφ単軸押出機を用いて、250℃で溶融混練し、ダイスより押し出したストランドをカットしてペレットを得た。得られたペレットの[η]は2.17dl/g、[η]CXSは2.26dl/g、[η]CXISは2.16dl/g、CXS含量は10.6重量%であった。
【0044】
[実施例2]
実施例1で用いたマンニトールをイノシトールに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、プロピレン重合体(1)をペレット化した。得られたペレットの[η]は2.19dl/g、[η]CXSは2.33dl/g、[η]CXISは2.14dl/g、CXS含量は10.6重量%であった。
【0045】
[実施例3]
実施例1で用いたマンニトールをソルビトールに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、プロピレン重合体(1)をペレット化した。得られたペレットの[η]は2.17dl/g、[η]CXSは2.25dl/g、[η]CXISは2.16dl/g、CXS含量は10.4重量%であった。
【0046】
[実施例4]
実施例1で用いたマンニトールをD−グルコース(和光純薬工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、プロピレン重合体(1)をペレット化した。得られたペレットの[η]は2.22dl/g、[η]CXSは2.39dl/g、[η]CXISは2.18dl/g、CXS含量は10.6重量%であった。
【0047】
[実施例5]
実施例1で用いたマンニトールをトレハロース(東京化成品工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、プロピレン重合体(1)をペレット化した。得られたペレットの[η]は2.19dl/g、[η]CXSは2.31dl/g、[η]CXISは2.16dl/g、CXS含量は10.3重量%であった。
【0048】
[比較例1]
ビタミンEを単独で使用した以外は、実施例1と同様の方法で、プロピレン重合体(1)をペレット化した。得られたペレットの[η]は2.18dl/g、[η]CXSは2.21dl/g、[η]CXISは2.17dl/g、CXS含量は10.5重量%であった。
【0049】
[比較例2]
実施例1で用いたマンニトールをイルガノックス1010(チバスペシャリティケミカルズ社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、プロピレン重合体(1)をペレット化した。得られたペレットの[η]は2.18dl/g、[η]CXSは2.22dl/g、[η]CXISは2.18dl/g、CXS含量は10.4重量%であった。
【0050】
【表1】

【0051】
ビタミンEを単独で使用した比較例1とビタミンEとIrg1010を併用した比較例2のペレットは[η]CXSが実施例と比較して低い結果であった。耐衝撃性等に劣ると推定される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のプロピレン重合体組成物は、耐衝撃性に優れ、包装用フィルム、自動車用材料などに利用する事が出来る。特に天然由来の糖類を使用することから、食品包装用に好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(X)と、下記成分(X)100重量部に対して、下記成分(Y)0.001〜3重量部と、下記成分(X)100重量部に対して、下記成分(Z)0.001〜3重量部とを含有するプロピレン重合体組成物。
成分(X):プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であり、融点が155℃を超える重合体(成分(A))30〜95重量%と、プロピレンに由来する構造単位とエチレンに由来する構造単位および/または1−ブテンに由来する構造単位とからなる共重合体(成分(B))5〜70重量%とからなるプロピレン共重合体(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)
成分(Y):下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される化合物、グルコースおよびトレハロースからなる群から選ばれる糖化合物

2n+2(I)

(式中、nは4〜12の整数を表す。)



(式中、mは2以上の整数を表す。)

成分(Z):下記式(III)で表されるトコフェロール類



(式中、R、RおよびRは、それぞれ同一または相異なり、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素数1〜16のヒドロカルビル基を表す。)

【公開番号】特開2012−126837(P2012−126837A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280206(P2010−280206)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】