説明

ヘッドカバー装置

【課題】容易な施工によって可撓等を保護する。
【解決手段】ヘッドカバー装置1は、第1の導管5の一端に設けられた端管12に取り付けられ、最大外径が第1の導管5と略同径又はやや大径のカバー本体34と、このカバー本体34の先端側外周面にワイヤ47が取り付けられるワイヤ取付部35と、カバー本体34のワイヤ取付部35と反対側の基端部に設けられる第1の導管5に接続するための接続部36とを備え、カバー本体34の基端部に設けられた接続部36と第1の導管5の一端に設けられた端管12とを接続することができ、カバー本体34の最大外径が第1の導管5と略同径又はやや大径に設けられているので、第1の導管5を保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓管を保護するヘッドカバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長年月にわたり地中に埋設されている既設管の管路更新工法として、パイプインパイプ工法がある。パイプインパイプ工法では、既設管に沿って適当距離をおいて発進坑と到達坑とを設け、次いで、ロープ、ワイヤ、シャフト等を用いて既設管内より径の小さな新規管を引き込んで発進坑から既設管の内部に順次挿入させ、到達坑内において、例えば、溶接や導管接続装置を用いて新規管と既に管路更新された他の新規管とを接続させて配管を行う。
【0003】
パイプインパイプ工法は、埋設されている既設管を掘り起こして撤去し、新規管に取り替える開削工法に比べて、非常に経済的であり、発進坑及び到達坑を設けるだけで長大な管路の更新ができるので、工期が短くなり、開削工法の実施が困難な都市部の管路更新工法として用いられることがある。
【0004】
パイプインパイプ工法において、ロープ、ワイヤ、シャフト等を用いて既設管内に挿入される新規管として、例えば、特許文献1の可撓管を用いることができる。特許文献1の可撓管は、例えば障害物を迂回するために既設管と既設管とが所定の角度で曲がっている場合や、地盤沈下等で既設管の継ぎ目が曲がってしまった場合においても挿入することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の可撓管をそのまま既設管内に挿入した場合には、例えば、既設管内に形成された継ぎ目の段差に、可撓管の挿入端やその近傍等が引っ掛かり、傷が付いてしまう虞があり、作業に手間が係る虞がある。
【0006】
【特許文献1】特開平11−071806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、可撓管を既設管に挿入する際に、挿入する可撓管を保護するヘッドカバー装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、既設管内に可撓管を挿入するにあたって、可撓管の端管に容易に接続することができるヘッドカバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成する本発明に係るヘッドカバー装置は、可撓管の一端に設けられた端管に取り付けられ、最大外径が上記可撓管と略同径又はやや大径のカバー本体と、上記カバー本体の先端側外周面にワイヤが取り付けられるワイヤ取付部と、上記カバー本体の上記ワイヤ取付部と反対側の基端部に設けられる上記端管に接続するための接続部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カバー本体の最大外径が可撓管と略同径又はやや大径に設けられているので、既設管に挿入する際に、可撓管を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明が適用されたヘッドカバー装置1について、図面を参照して説明する。なお、ここでは、既設管の管路更新工法であるパイプインパイプ工法により、既設水道管4の管路更新が行われる場合を例にとり説明する。
【0012】
パイプインパイプ工法では、図1に示すように、既設水道管4に沿って適当距離をおいて発進坑2と到達坑3とを設け、既設水道管4の内径より径の小さな新規管である第1の導管5の先端に本発明が適用されたヘッドカバー装置1を接続し、このヘッドカバー装置1にワイヤ47を取り付けて、ウインチ等でワイヤ47を巻き取り第1の導管5を引き込んで発進坑2から既設水道管4の内部に挿入し、到達坑3内にヘッドカバー装置1が接続された第1の導管5の先端を露出させる。そして、パイプインパイプ工法では、到達坑3内において、第1の導管5の一端に挿口7を設け、既に管路更新された他の新規管である第2の導管6の他端に受口8を設け、これら挿口7と受口8とを接続して配管を行う。
【0013】
ここで、既設水道管4の内部に挿入される第1の導管5及び第2の導管6は、例えば、図2に示すように、可撓性や伸縮性、さらに密閉性を有するベローズ管9の外周面にブレード10が巻回されて形成され、ベローズ管9の両端には挿口7又は受口8となる端管12が設けられている。
【0014】
ベローズ管9は、図2に示すように、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなり、凸部が連続して管軸方向に形成されたベローズを有するベローズ本体9aと、このベローズ本体9aの両端部に端管12と接続するためにそれぞれ直管状の接続部9bとが一体に設けられている。ベローズ管9は、既設水道管4の内径より径が小さく設けられ、発進坑2から到達坑3まで達する十分な長さを有している。ベローズ管9は、例えば、作業者が容易に手で曲げることができる程度に可撓性や伸縮性を有するように、板厚、ベローズの数、高さ等が設計されている。
【0015】
ベローズ本体9aのベローズを構成する各凸部によって形成された凹溝の底部は、直管状の接続部9bの内径より小さくならないように形成されている。これにより、ベローズ管9は、流路が接続部9bより細くなることがなくなり、ベローズ本体9aで第1の導管5内に流れる水道水の流れが妨げられることを防止することができる。
【0016】
ブレード10は、図2に示すように、ベローズ本体9aの伸長や局所的変形を防止するため、ベローズ本体9aの外周面に、管軸方向に沿って全長に亘って巻回されている。ブレード10は、例えば、帯状の金属薄板を網目状に織ってなるリボンブレードや金属線を網目状に織ってなるワイヤブレード等が用いられる。
【0017】
接続部9bと接続される端管12は、図2に示すように、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなり、ベローズ管9の接続部9bの外径と略同径の内径を有する直管状に形成されている。
【0018】
端管12の他端は、ベローズ管9の接続部9bと接続される。具体的に、端管12の他端は、図2に示すように、端管12の内周面がベローズ管9の接続部9bの外周面に嵌合され、ベローズ本体9aの強度が溶接時の熱等による歪み等で低下しないように、図2中の符号15aに示すように、接続部9bの先端と端管12の内周面とが溶接され、ベローズ管9と一体化されている。
【0019】
端管12の他端には、外周面に、ステンレス材等の金属材料からなるリング形状の鍔部材16が嵌合されている。端管12の他端は、図2中の符号15bに示すように、鍔部材16の内周面と溶接により一体化されている。鍔部材16は、ベローズ管9を構成する各凸部と略同じ高さとなるように形成され、端管12に接続部9bが嵌合されたとき、ベローズ本体9aの最外凸部に外側から突き当てられることによって、ベローズ本体9aの端部を保護する。
【0020】
なお、端管12の他端には、リング形状の鍔部材16が設けられることに限定されず、端管12の他端の周回り方向にベローズ本体9aの端部を保護する一又は複数個の舌片を設けるようにしてもよい。
【0021】
鍔部材16の外周面には、図2中の符号15cで示すように、ベローズ本体9aに巻回されたブレード10の端部とブレード押さえ部材17が溶接されている。ブレード押さえ部材17は、リング形状であり、織物であるベローズ本体9aに巻回されたブレード10の端部が解れ広がらないように、ブレード10の端部をベローズ本体9aに押さえ付けて保護する。これにより、ブレード10は、ベローズ本体9aの一端において、ベローズ本体9aに固定されている。
【0022】
ベローズ管9に巻回されたブレード10の外周面には、防錆テープ18が巻回され、さらに、巻回された防錆テープ18の外層部に保護テープ19が巻回されている。防錆テープ18と保護テープ19は、ベローズ本体9aの一端において、止めリング20によって固定されている。防錆テープ18は、ベローズ管9が長期間に亘って地中に埋設されることにより、粘着力が低下したテープ状の保護テープ19から水が浸透した場合でも、ベローズ管9に達しないように腐蝕を防止させる。
【0023】
なお、ベローズ本体9aに巻回されるブレード10、防錆テープ18及び保護テープ19は、ベローズ管9の可撓性、伸縮性等の特性を損なわせるものではない。また、防錆テープ18、保護テープ19、止めリング20は、使用条件によっては、設けなくてもよい。
【0024】
また、ベローズ管9に接続される端管12は、図3に示すように、外周面に、周回り方向に全周に亘って後述する離脱防止部材14が係合される凹溝11と、周回り方向に全周に亘って後述するヘッドカバー装置1が係止されるストッパ部33が形成されている。
【0025】
凹溝11は、溝幅が離脱防止部材14の幅と略同様であり、離脱防止部材14が係合された際に、離脱防止部材14とフランジ部材13とが当接されてフランジ部材13を一端側に離脱防止することができる程度に離脱防止部材14を端管12の外周面から突出させる深さに形成されている。
【0026】
ストッパ部33は、図3に示すように、外径がフランジ部材13の挿通孔13aよりやや大径であり、接続部36の貫通孔42よりやや大径であり、後述するカバー本体34の内径と間隔Aを有するように、端管12の外周面から突出して設けられている。これにより、ストッパ部33は、端管12が受口8の内側に入りすぎないように防止することができる。
【0027】
以上のような構成を有する第1の導管5の一端に設けられる端管12には、図3に示すように、挿口7が構成される。挿口7は、端管12に対して凹溝11より内側に挿入されるフランジ部材13と、凹溝11に係合される離脱防止部材14とを備える。
【0028】
フランジ部材13は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなる。フランジ部材13は、図3に示すように、挿通孔13aを有するリング形状に形成され、挿通孔13aの内径が端管12の外径よりやや大径に設けられている。フランジ部材13には、挿通孔13aの近傍に、挿通孔13aの内径又はフランジ部材13の外径と略同心で端管12の管軸方向へ突出した脱落防止片21が形成されている。フランジ部材13に形成されている脱落防止片21は、図3に示すように、フランジ部材13と略同心であり、離脱防止部材14の外周面と略同径又はやや大径のリング形状に突出して形成されている。また、フランジ部材13には、略同一円周上に互いに等間隔に、厚み方向に貫通する複数個の第1の貫通孔22が形成されている。
【0029】
離脱防止部材14は、図3に示すように、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなるリング形状であり、凹溝11に係合され、フランジ部材13の一端側への離脱を防止する。
【0030】
また、挿口7には、図3に示すように、挿口7が受口8に挿入された際に、挿口7と受口8との間に形成されたクリアランスを埋めて密着し、挿口7と受口8との間の水密性、気密性を保持するためにシーリング部材25が装着される。このシーリング部材25は、ゴムや合成ゴム等の弾性材料によって、端管12の外周部にきつく嵌合される内径を有するとともに、先端側に向かって次第に小径となる略円錐筒状に成形されている。シーリング部材25は、端管12に対して凹溝11より外側に装着され、第2の導管6の受口8の受口部26の内側に圧着された際に、脱落防止片21に押圧されることによって弾性変形し、挿口7の外周面と受口8の内周面との間に形成されたクリアランスを埋めて密着する厚みを有している。
【0031】
一方、以上のように構成された挿口7が挿入され、ベローズ管9に接続される受口8は、図3に示すように、挿口7が挿入されて挿口7の直管状の端管12より大径の受口部26と、受口部26の外周面に設けられた結合部27とを備える。この受口8は、例えば、ベローズ管9同士を接続する場合、ベローズ管9の挿口7が設けられていない側の端管12に設けられ、また、ベローズ管9と接続される相手方のべローズ管9又は直管の挿口7との接続に用いられる。
【0032】
受口部26は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなり、端管12より大径である内径を有する太径管部28と、第2の導管6の他端と接続され、端管12の外周面と略同径の外周面を有する直管部29と、太径管部28と直管部29との間を連結する連結管部30とを有し、全体として断面略漏斗状に形成されている。
【0033】
太径管部28には、挿口7が挿入された際に、シーリング部材25が圧着され、開口部
から内側に向かって次第に小径となり、太径管部28の内周面と連続するテーパ部31が形成されている。太径管部28の外周面の先端には、フランジ部材13の外径と略同径の外径を有する結合部27が全周に亘って一体に形成されている。
【0034】
結合部27には、厚み方向に貫通する複数個の第2の貫通孔32が形成されている。第2の貫通孔32は、略同一円周上に互いに等間隔に形成されている。結合部27は、第2の貫通孔32を等間隔に形成することによって、第1の締結ボルト23と締結ナット24とによる結合を行う際に、円周方向に対して均等な力をもってフランジ部材13と結合される。結合部27は、フランジ部材13との間に第1の締結ボルト23を貫通させるため、第2の貫通孔32が、フランジ部材13の第1の貫通孔22にそれぞれ対応して形成されている。
【0035】
直管部29は、端管12の他端と同様の構成を有し、端管12と同様にベローズ管9と一体化されるので説明を省略する。
【0036】
パイプインパイプ工法では、可撓管であるベローズ管9を主たる構成要素とする第1の導管5の先端に本発明が適用されたヘッドカバー装置1を接続し、このヘッドカバー装置1にワイヤを取り付けて、ウインチ等でワイヤを巻き取り第1の導管5を引き込んで発進坑2から既設水道管4の内部に挿入させ、到達坑3内に露出させた後に、到達坑3内において、第1の導管5の一端に挿口7を設け、第2の導管6の他端に受口8を設け、第1の貫通孔22と第2の貫通孔32とを第1の締結ボルト23と締結ナット24とにより結合されることで、これら挿口7と受口8とを接続して配管を行う。
【0037】
なお、第1の導管5と第2の導管6とを接続するにあたっては、図3に示すような挿口7と受口8とで接続されることに限定されるものでなく、直管状の端管12同士を溶接によって接合してもよく、また、端管12の端部にフランジ部を設けて、このフランジ部同士を溶接によって接合してもよい。更に、直管状の端管12同士を溶接によって接合する場合、凹溝11は不要となる。
【0038】
以下、第1の導管5と接続され、第1の導管5を発進坑2から既設水道管4の内部に挿入させ、到達坑3に露出させる本発明が適用されたヘッドカバー装置1について説明する。
【0039】
本発明が適用されたヘッドカバー装置1は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなり、図4、図5及び図6に示すように、先端が次第に縮径するように設けられているカバー本体34と、このカバー本体34の先端側外周面に溶接され、ワイヤが取り付けられるワイヤ取付部35と、端管12に接続する接続部36と、第1の半体34aと第2の半体34bとを一体に結合する結合部材37とを有する。
【0040】
カバー本体34は、具体的に、略円筒体の一端に円錐状の先端部を設けた形状であり、端管12に容易に着脱できるように、長軸に沿って2分割された第1の半体34aと第2の半体34bとで構成されている。
【0041】
第1及び第2の半体34a,34bは、当接面38a,38b同士で突き合わされたとき、第1の導管5の挿入端やその近傍を保護するために、最大外径が第1の導管5と略同径又はやや大径に設けられている。また、第1及び第2の半体34a,34bは、がたつきを有するように、ストッパ部33の外径との間に間隔Aを有するような肉厚で設けられている。更に、第1及び第2の半体34a,34bは、端管12を先端からストッパ部33まで収納できる程度の全長を有している。
【0042】
以上のよう構成を有するカバー本体34は、先端が次第に縮径となるように設けられているので、既設水道管4の内部に挿入されている最中に、可撓管を主たる構成要素とする第1の導管5を、既設水道管4の内部の段差や付着物等に接触又は引っ掛からないようにガイドすることができ、第1の導管の挿入端やその近傍を保護することができる。また、カバー本体34は、がたつきを有することで、端管12に対してカバー本体34の先端の向きを変えることができ、既設曲管内も容易に挿入することができる。
【0043】
なお、カバー本体34は、第1の導管5を、先端部が円錐形状であることに限定されるものではなく、既設水道管4の内部の段差や付着物等に接触又は引っ掛からないようにガイドすることができれば、先端側に向かって次第に縮径する曲面形状に設けてもよい。
【0044】
カバー本体34の円錐状の先端部には、ワイヤ47が取り付けられるワイヤ取付部35が設けられている。このワイヤ取付部35は、カバー本体34の先端部に一定幅で全体が略三角状となるように形成されている。すなわち、第1の半体34aの先端面には、当接面38aに沿って、ワイヤ47が取り付けられる第1のワイヤ取付片35aが設けられ、第2の半体34bの先端面には、当接面38bに沿って、第2のワイヤ取付片35bが設けられている。
【0045】
第1及び第2のワイヤ取付片35a,35bの側面には、第1の半体34aと第2の半体34bとを当接面38a,38b同士で突き合わせたときに一致し、ワイヤ47が取り付けられる第1及び第2の貫通孔39a,39bが形成されている。例えば、第1及び第2の貫通孔39a,39bは、カバー本体34の中心軸上及びワイヤ取付部35の両端近傍の3箇所に形成されている。
【0046】
更に、第1及び第2のワイヤ取付片35a,35bの側面には、第1の半体34aと第2の半体34bとを当接面38a,38b同士で突き合わせたときに一致し、第1の半体34aと第2の半体34bとを一体に結合する第1及び第2の締結孔40a,40bが形成されている。例えば、第1及び第2の締結孔40a,40bは、カバー本体34の中心軸上と一端近傍とに形成され第1の貫通孔39a,39aの間と、カバー本体34の中心軸上と他端近傍とに形成され第1の貫通孔39a,39aの間に2箇所形成されている。また、第1及び第2の締結孔40a,40bは、例えば、一方の半体の締結孔をネジ孔で形成し、第2の締結ボルト41を他方の半体の締結孔から挿通させて、一方の締結孔で締結させることで、第1及び第2の半体34a,34bを一体に結合させる。なお、第2の締結ボルト41と締結ナットとで締結させることで、第1及び第2の半体34a,4bとを一体に結合させてもよい。また、第1及び第2の締結孔40a,40bは、2箇所形成されることに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0047】
以上のような構成を有するワイヤ取付部35は、ワイヤ47を取り付けることができると共に、第1及び第2の半体34a,34bとを一体に結合することができ、更に既設水道管4の内部に挿入されたときに、第1の導管5を、既設水道管4の内部の段差や付着物等に引っ掛からないように滑らかに挿入することができる。
【0048】
更に、カバー本体34には、ワイヤ取付部35が設けられた先端側と反対側の基端部にそれぞれ端管12のストッパ部33に係止されて端管12と接続する接続部36が設けられている。すなわち、第1の半体34aには、第1のワイヤ取付片35aが設けられた先端側と反対側の基端部に端管12のストッパ部33に係止される第1の係止部36aが設けられ、第2の半体34bには、第2のワイヤ取付片35bが設けられた先端側と反対側の基端部に端管12のストッパ部33に係止される第2の係止部36bが設けられている。
【0049】
第1及び第2の係止部36a,36bは、がたつきを有するように、内径が端管12の外径より間隔Bの分だけ大径であると共に、ストッパ部33の外径よりやや小径に設けられている。
【0050】
また、第1及び第2の半体34a,34bの基端部の底面には、第1の半体34aと第2の半体34bとを当接面38a,38b同士で突き合わせたときに当接面38a,38bに対して略対称となり、第1の半体34aと第2の半体34bとを一体に結合する第1及び第2の結合孔43a,43bが形成されている。例えば、第1及び第2の結合孔43a,43bは、それぞれ当接面38a,38b近傍であり両端近傍に、2箇所形成されている。
【0051】
以上のような構成を有する接続部36は、第1及び第2の半体34a,34bとを後述する結合部材37で一体に結合されると、既設水道管4の内部に挿入されている最中に、第1の導管5に対してカバー本体34の先端の向きが変えられるようながたつきを有してストッパ部33と当接することができる。
【0052】
結合部材37は、薄板矩形状であり、第1及び第2の半体34a,34bを結合するために、第1及び第2の半体34a,34bの基端部の底面に形成された第1の結合孔43aに対応させた第1の結合孔44aと、第2の結合孔43bに対応させた第2の結合孔44bとが形成されている。なお、結合部材37は、第1及び第2の半体34a,34bの何れか一方の半体に、溶接や蝶番によって取り付けられているようにし、他方の半体に、第3の締結ボルト45で締結されて、第1及び第2の半体34a,34bとが一体に結合されるようにしてもよい。
【0053】
以上のような構成を有するヘッドカバー装置1は、第1の導管5を発進坑2から既設水道管4の内部に挿入させるときに、第1及び第2の貫通孔39a,39bを一致させると共に、第1及び第2の係止部36a,36bをストッパ部33より内側に配置された状態で第1及び第2の半体34a,34bを当接面38a,38b同士で突き合わせ、第1の結合孔43aと結合部材37の第1の結合孔44aとを一致させると共に、第2の結合孔43bと結合部材37の第2の結合孔44bとを一致させて第3の締結ボルト45で締結させ、第1及び第2の半体34a,34bとが一体に結合されることで、第1及び第2の係止部36a,36bとストッパ部33とが係止されて端管12に接続される。
【0054】
そして、端管12に接続されたヘッドカバー装置1は、ワイヤ47が取り付けられたワイヤ取付部材46がワイヤ取付部35に取り付けられ、ウインチ等でワイヤ47を巻き取ることで、ヘッドカバー装置1と接続された第1の導管5と共に、発進坑2から既設水道管4の内部に挿入される。
【0055】
ヘッドカバー装置1とこのヘッドカバー装置1と接続された第1の導管5を発進坑2から既設水道管4の内部に挿入するワイヤ取付部材46は、ステンレス材等の金属材料からなり、第1のワイヤ取付片35aの側面と当接される第1の取付片46aと、第2のワイヤ取付片35bと当接される第2の取付片46bと、これら第1の取付片46aと第2の取付片46bとが連続する第3の連続部46cとで略U字状をなしている。
【0056】
第1及び第2の取付片46a,46bは、第1の半体34aと第2の半体34bとが当接面38a,38b同士で突き合わされたときのワイヤ取付部35の厚さと、略同等の間隔で設けられている。また、第1の取付片46aには、第1の貫通孔39aと一致する位置に厚み方向に貫通する第1の取付孔48aが形成され、第2の取付片46bには、第2の貫通孔39bと一致する位置に厚み方向に貫通する第2の取付孔48bが形成されている。更に、第3の連続部46cには、例えば先端を輪形状に形成したワイヤ47が取り付けられている。
【0057】
以上のような構成を有するワイヤ取付部材46は、第1及び第2の半体34a,34bが当接面38a,38b同士で突き合わされた後に、第1の貫通孔39aと第1の取付孔48aとを一致させ、第2の貫通孔39bと第2の取付孔48bとを一致させて、それぞれ第4の締結ボルト49を挿通させて、第4の締結ボルト49と締結ナットとで締結させることで、ヘッドカバー装置1に取り付けることができる。なお、第1及び第2の取付孔48a,48bのどちらか一方をネジ孔で形成し、第4の締結ボルト49を他方の取付孔から挿通させて、一方の取付孔で締結させることで、ヘッドカバー装置1に取り付けてもよい。
【0058】
また、ワイヤ取付部材46は、第1及び第2の取付片46a,46bとの間隔が、第1及び第2の半体34a,34bが当接面38a,38b同士で突き合わされたときのワイヤ取付部35の厚さと略同等に設けられているので、第1及び第2のワイヤ取付片35a,35bの側面を挟み込み第4の締結ボルト49で締結することで、第1及び第2の半体34a,34bとを先端側で一体に結合することができる。
【0059】
なお、第1及び第2の半体34a,34bは、先端部や側面に蝶番等のヒンジ部を設けて、ヒンジ部によって連結しておいてもよい。
【0060】
次に、以上のような構成を有するヘッドカバー装置1の使用方法について説明する。なお、ここでは、既設管の管路更新工法であるパイプインパイプ工法を用いて、鋳鉄管で形成され、既設水道管4が管路更新される場合を例にとり説明する。
【0061】
先ず、発進坑2及び到達坑3は、図1に示すように、バックホウ等で既設水道管4が完全に露出される程度まで深く堀削され、図示はしないが、ライナープレート等で築造される。そして、発進坑2及び到達坑3内で露出された既設水道管4は、既設水道管4の内径より径の小さな新規水道管である第1の導管5を挿入又は露出するためにガス溶断器やカッタ等で開口部が形成される。そして、場合により、両端に開口部が形成された既設水道管4は、新規水道管である第1の導管5が挿通しやすくなるようにピグ工法等で管内の錆や付着物等が除去される。そして、既設水道管4は、一方の開口部よりワイヤ47が挿入され、他方の開口部より露出される。そして、ワイヤ47は、発進坑2において、一端がワイヤ取付部材46の第3の連続部46cに取り付けられ、到達坑3において、他端がワイヤ47を巻き取るウインチ等に取り付けられる。
【0062】
次に、発進坑2において、第1及び第2の半体34a,34bは、第1及び第2の貫通孔39a,39bが一致されると共に、第1及び第2の締結孔40a,40bが一致され、更に第1及び第2の係止部36a,36bをストッパ部33より内側に配置された状態で当接面38a,38b同士で突き合わされる。
【0063】
次に、第1及び第2の半体34a,34bは、図6及び図7に示すように、第1及び第2の締結孔40a,40bが第2の締結ボルト41で締結されると共に、第1の結合孔43aと第1の結合孔44aとが一致され、第2の結合孔43bと第2の結合孔44bとが一致され、それぞれ第3の締結ボルト45で締結されてカバー本体34の基端側が一体に結合される。これにより、ヘッドカバー装置1は、図4に示すように、端管12に接続される。
【0064】
次に、ヘッドカバー装置1には、図8に示すように、第1の貫通孔39aと第1の取付孔48aとが一致され、第2の貫通孔39bと第2の取付孔48bとが一致されて、第4の締結ボルト49が挿通されて締結されることで、ワイヤ取付部材46が取り付けられる。このとき、第1及び第2の半体34a,34bは、第1及び第2の取付片46a,46bとの間隔が、第1及び第2の半体34a,34bが当接面38a,38b同士で突き合わされたときのワイヤ取付部35の厚さと略同等に設けられているので、第1及び第2のワイヤ取付片35a,35bの側面が挟み込まれ、第4の締結ボルト49で締結されてカバー本体34の先端側が一体に結合される。
【0065】
次に、到達坑3においてウインチ等でワイヤ47を巻き取ることで、第1の導管5は、両端に開口部が形成された既設水道管4に、既設水道管4の一端の開口部よりヘッドカバー装置1を挿入端として挿入される。このとき、第1の導管5には、更に外層部に保護シートが巻回されており、この保護シートは、ベローズ管9を既設水道管4内の付着物等から保護すると共に、既設水道管4に対して滑りやすくした状態で既設水道管4に挿入される。なお、保護シートは、使用条件によっては、設けなくてもよい。
【0066】
次に、既設水道管4の一端の開口部よりヘッドカバー装置1を挿入端として挿入された第1の導管5は、到達坑3において、既設水道管4の他端の開口部から外部に露出される。そして、ヘッドカバー装置1は、結合部材37とワイヤ取付部材46とを取り外し、第1及び第2の半体34a,34bを取り外すことで、端管12から取り外される。そして、ヘッドカバー装置1が取り外された端管12には、フランジ部材13、離脱防止部材14、シーリング部材25等が取り付けられ、挿口7が構成される。
【0067】
具体的に、端管12は、到達坑3において、図3に示すように、フランジ部材13が挿入される。そして、フランジ部材13が挿入された端管12は、離脱防止部材14が凹溝11に係合される。そして、フランジ部材13は、先端側に離脱防止するため、脱落防止片21を凹溝11に係合された離脱防止部材14と重なった状態に設ける。そして、離脱防止部材14によってフランジ部材13が先端側に離脱防止された端管12には、シーリング部材25が外周面に嵌合されて装着される。
【0068】
次に、挿口7は、既に既設水道管4を管路更新させた他の新規管である第2の導管6の受口8の受口部26に挿入され、第1及び第2の貫通孔22,32を第1の締結ボルト23と締結ナット24とにより結合されることで、受口8と接続される。
【0069】
次に、第1の導管5と第2の導管6とが接続された到達坑3は、埋め戻されて路面の復旧が行われる。
【0070】
以上のような構成を有する本発明が適用されたヘッドカバー装置1は、カバー本体34の最大外径が第1の導管5と略同径又はやや大径に設けられているので、第1の導管5を、既設水道管4の内部の段差や付着物等に接触又は引っ掛からないようにガイドすることができ、第1の導管5の端管12と、この端管12とベローズ管9との接続部近傍とを保護することができる。
【0071】
また、ヘッドカバー装置1は、ストッパ部33の外径が、第1及び第2の係止部36a,36bの貫通孔42よりやや大径であり、カバー本体34の内径と間隔Aを有するように端管12の外周面から突出して設けられ、第1及び第2の係止部36a,36bの内径が、端管12の外径より間隔Bの分だけ大径であると共に、ストッパ部33の外径よりやや小径に設けられているので、ストッパ部33とがたつきを有するように当接することができ、第1の導管5を、発進坑2から既設水道管4の内部に挿入することができる。
【0072】
更に、ヘッドカバー装置1は、ストッパ部33とがたつきを有するように当接することができるので、例えば既設水道管4が折曲角度が90°、45°、22.5°或いは11.25°のベンド管等で所定の角度を有して配管されている場合であっても、既設水道管4の所定の角度に応じてカバー本体34の先端の向きを変えることができ、第1の導管5を滑らかに挿入することができる。
【0073】
また、ヘッドカバー装置1は、間隔A及び間隔Bを調整することで、端管12に対するがたつき量を調整することができ、例えば既設水道管4が直管である場合、角度に応じて先端の向きを変える必要が無いので、がたつき量を少なく又は無くして、直進性を向上させ、第1の導管5を滑らかに挿入することができる。
【0074】
更に、ヘッドカバー装置1は、カバー本体34の先端部が略円錐形状に設けられ、これに沿うように第1及び第2のワイヤ取付片35a,35bが先端側に向かって次第に縮径するように設けられているので、第1の導管5を、既設水道管4の内部の段差や付着物等に引っ掛からないように滑らかに挿入することができる。
【0075】
また、ヘッドカバー装置1は、ワイヤ取付部35に複数個形成された第1及び第2の貫通孔39a,39bにそれぞれワイヤ取付部材46を介してワイヤ47が取り付けられているので、例えば既設水道管4が折曲角度が90°、45°、22.5°或いは11.25°のベンド管等で所定の角度を有して配管されている場合であっても、ワイヤ取付部35の両端に形成されたうちの一方のワイヤ47を引っ張ることにより他方のワイヤ47側に先端を端管12又はベローズ管9に対して傾けさせることができ、第1の導管5を、滑らかに挿入することができる。
【0076】
更に、ヘッドカバー装置1は、第1及び第2の貫通孔39a,39bを一致させると共に、第1及び第2の係止部36a,36bをストッパ部33より内側に配置された状態で第1及び第2の半体34a,34bを当接面38a,38b同士で突き合わせ、第1の結合孔43aと結合部材37の第1の結合孔44aとを一致させると共に、第2の結合孔43bと結合部材の第2の結合孔44bとを一致させて、第3の締結ボルト45で締結させ、第1及び第2の半体34a,34bとが一体に結合されることで、第1及び第2の係止部36a,36bとストッパ部33とが係止されて容易に端管12に接続することができる。
【0077】
また、ヘッドカバー装置1は、第3の締結ボルト45を取り外して結合部材37を取り外し、第1の半体34aと第2の半体34bとを分け離すことで、容易に端管12から取り外すことができる。
【0078】
更に、ワイヤ取付部材46は、第1の及び第2の半体34a,34bが当接面38a,38b同士で突き合わされた後に、第1及び第2の取付片46a,46bとの間隔が、第1の及び第2の半体34a,34bが当接面38a,38b同士で突き合わされたときのワイヤ取付部35の厚さと略同等に設けられているので、第1及び第2のワイヤ取付片35a,35bの側面を挟み込み、第4の締結ボルト49で締結することで、第1及び第2の半体34a,34bを一体に結合することができる。
【0079】
また、ストッパ部33は、外径が、フランジ部材13の挿通孔13aよりやや大径となるように端管12の外周面から突出して設けられているので、端管12が受口8の内側に入りすぎないように防止することができる。
【0080】
なお、ヘッドカバー装置1は、第1及び第2のワイヤ取付片35a,35bに第1及び第2の締結孔40a,40bを形成することに限定されるものではなく、第1及び第2の締結孔40a,40bを形成せずに、例えば、第1及び第2の半体34a,34bを、複数個のワイヤ取付部材46で先端側を結合し、結合部材37で基端側を結合することで一体に結合してもよい。
【0081】
また、ヘッドカバー装置1は、第1及び第2のワイヤ取付片35a,35bに複数個のワイヤ取付部材46を取り付けることに限定されるものでなく、少なくともカバー本体34の中心軸上に1箇所、ワイヤ取付部材46が取り付けられていればよく、例えば、第1及び第2の半体34a,34bを、カバー本体34の中心軸上に取り付けられたワイヤ取付部材46で先端側を結合し、結合部材37で基端側を結合することで一体に結合してもよい。
【0082】
また、ヘッドカバー装置1は、第1及び第2の半体34a,34bで構成されることに限定されるものではなく、一体形状であってもよい。以下、一体形状のヘッドカバー装置50について説明する。
【0083】
先ず、既設水道管4の内部に挿入される第1の導管5、第1の導管5の一端に設けられる挿口7、第2の導管6及び第2の導管5の他端に設けられる受口8は、ヘッドカバー装置1と同様の構成を有するので、同様の符号を付して説明を省略する。また、挿口7が構成される端管12は、ヘッドカバー装置1の端管12にストッパ部33を設けることに代わり、取付片51を設けること以外同様の構成を有するので、取付片51以外の説明を省略する。
【0084】
ヘッドカバー装置50が接続される取付片51は、図9及び図10に示すように、端管12の外周面に形成されている。取付片51は、薄板矩形状であり、端管12の外周面に、長軸を中心に略等間隔に4箇所に、それぞれ半径方向の外周面側に向かって突設されている。また、取付片51は、主面が長軸に対して直交する向きに設けられている。更に、取付片51の主面には、後述するヘッドカバー装置50の接続片56と重ね合わせて接続する取付孔53が形成されている。なお、取付片51は、4箇所設けることに限定されるものではなく、例えば長軸を中心に略等間隔に2箇所でもよく、適宜変更可能である。
【0085】
次に、第1の導管5と接続され、第1の導管5を発進坑2から既設水道管4の内部に挿入させ、到達坑3に露出させる本発明が適用されたヘッドカバー装置50について説明する。
【0086】
本発明が適用されたヘッドカバー装置50は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなり、図9及び図10に示すように、カバー本体54と、このカバー本体54の先端側外周面に溶接され、ワイヤ47が取り付けられるワイヤ取付部55と、端管12に接続する接続片56とを有する。
【0087】
ここで、カバー本体54及びワイヤ取付部55については、一体で設けられていること以外は、ヘッドカバー装置1のカバー本体34及びワイヤ取付部35と同様の構成を有するので、説明は省略する。
【0088】
端管12の取付片51と接続される接続片56は、カバー本体54のワイヤ取付部55が設けられた先端側と反対側の基端面に設けられている。接続片56は、薄板矩形状であり、基端面に、貫通孔57の半径方向に対して長軸を中心に略等間隔に4箇所に、長軸方向の基端側に向かって突設されている。また、接続片56は、主面が貫通孔57の半径方向に対して直交する向きに設けられている。更に、接続片56の主面には、取付片51と接続する接続孔58が形成されている。なお、接続片56は、4箇所設けることに限定されるものではなく、例えば長軸を中心に略等間隔に2箇所でもよく、適宜変更可能である。
【0089】
ここで、ワイヤ取付部材46については、ヘッドカバー装置50が一体で設けられているので、ワイヤ取付部35の側面を第1の取付片46aと第2の取付片46bとで挟み込むことが不要となる以外は、同様の構成を有するので、説明は省略する。
【0090】
以上のような構成を有するヘッドカバー装置50は、ヘッドカバー装置1が有する効果に加えて、一体形状で設けられているので、割り構造を結合する手間が必要なく、容易に端管12に接続することができると共に、容易に取り外すことができる。
【0091】
また、ヘッドカバー装置50は、端管12を貫通孔57に挿入し、接続片56と取付片51とを重ね合わせると共に、接続孔58と取付孔53とを一致させた状態で、接続孔58と取付孔53とを第5の締結ボルト52で締結することで、端管12に固定して接続することができるので、ヘッドカバー装置1ががたつきを有して可動するように端管12と接続されているのに対して、まっすぐな既設水道管4に、滑らかに挿入することができる。
【0092】
次に、一体形状の他のヘッドカバー装置60について説明する。
【0093】
先ず、既設水道管4の内部に挿入される第1の導管5、第1の導管5の一端に設けられる挿口7、第2の導管6及び第2の導管5の他端に設けられる受口8は、ヘッドカバー装置1と同様の構成を有するので、同様の符号を付して説明を省略する。また、挿口7が構成される端管12は、ヘッドカバー装置1の端管12にストッパ部33を設けることに代わり、取付片61を設けること以外同様の構成を有するので、取付片61以外の説明を省略する。
【0094】
ヘッドカバー装置60が接続される取付片61は、図11及び図12に示すように、薄板矩形状であり、端管12の他端に設けられた鍔部材16に、長軸を中心に略等間隔に4箇所に、先端側に向かって突設されている。また、取付片61は、主面が端管12の半径方向に向くように設けられている。また、取付片61の主面には、後述するヘッドカバー装置60の接続片66と重ね合わせて接続する取付孔63が形成されている。なお、取付片61は、4箇所設けることに限定されるものではなく、例えば長軸を中心に略等間隔に2箇所でもよく、適宜変更可能である。
【0095】
次に、第1の導管5と接続され、第1の導管5を発進坑2から既設水道管4の内部に挿入させ、到達坑3に露出させる本発明が適用されたヘッドカバー装置60について説明する。
【0096】
本発明が適用されたヘッドカバー装置60は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材等の金属材料からなり、図11及び図12に示すように、カバー本体64と、このカバー本体64の先端側外周部に溶接され、ワイヤが取り付けられるワイヤ取付部65と、端管12に接続する接続片66とを有する。
【0097】
ここで、カバー本体64及びワイヤ取付部65については、一体で設けられていること以外は、ヘッドカバー装置1のカバー本体34及びワイヤ取付部35と同様の構成を有するので、説明は省略する。
【0098】
端管12の取付片61と接続される接続片66は、カバー本体64のワイヤ取付部55が設けられた先端側と反対側の基端面に設けられている。接続片66は、薄板矩形状であり、基端面に、貫通孔67の半径方向に対して長軸を中心に略等間隔に4箇所に、長軸方向の基端側に向かって突設されている。また、接続片56は、主面が貫通孔57の半径方向に向くように設けられている。更に、接続片66の主面には、取付片61と接続する接続孔68が形成されている。なお、接続片66は、4箇所設けることに限定されるものではなく、例えば長軸を中心に略等間隔に2箇所でもよく、適宜変更可能である。
【0099】
ここで、ワイヤ取付部材46については、ヘッドカバー装置60が一体で設けられているので、ワイヤ取付部35の側面を第1の取付片46aと第2の取付片46bとで挟み込むことが不要となる以外は、同様の構成を有するので、説明は省略する。
【0100】
以上のような構成を有するヘッドカバー装置60は、ヘッドカバー装置1が有する効果に加えて、一体形状で設けられているので、割り構造を結合する手間が必要なく、容易に端管12に接続することができると共に、容易に取り外すことができる。
【0101】
また、ヘッドカバー装置60は、端管12を貫通孔67に挿入し、接続片66と取付片61とを重ね合わせると共に、接続孔68と取付孔63とを第6の締結ボルト62で締結することで、端管12に固定して接続することができるので、ヘッドカバー装置1ががたつきを有して可動するように端管12と接続されているのに対して、まっすぐな既設水道管4に、滑らかに挿入することができる。
【0102】
更に、ヘッドカバー装置60は、接続片66と端管12の他端に設けられた鍔部材16に設けられた取付片61とを締結するので、ヘッドカバー装置60の基端面と鍔部材16との隙間を小さく又は無くすことができ、既設水道管4の内部の段差や付着物等に引っ掛からないように第1の導管5を挿入することができる。
【0103】
なお、ヘッドカバー装置50,60は、複数個のワイヤ取付部材46を取り付けることに限定されるものでなく、少なくとも中心軸上に1箇所、ワイヤ取付部材46が取り付けられていればよい。
【0104】
また、ヘッドカバー装置1,50,60は、ステンレス材に限定されるものではなく、例えば、銅、チタン、アルミニウム合金等のその他の金属材料又は合成樹脂等によって設けてもよい。
【0105】
更に、ヘッドカバー装置1,50,60は、ワイヤ取付部35を複数個設けてもよい。
【0106】
ヘッドカバー装置1,50,60は、例えば、ワイヤ取付部35を略十字形状に設け、略十字形状に設けられたワイヤ取付部35の両端近傍に取付貫通孔37を形成し、それぞれの取付貫通孔37にワイヤ取付部材46を介してワイヤ47を取り付けることで、等間隔に4つ、すなわち90°の角度を有してワイヤ47を取り付けることができる。これにより、ヘッドカバー装置1,50,60は、上下左右の4方向に先端を端管12又はベローズ管9に対して傾けさせることができ、例えば既設水道管4が折曲角度が90°、45°、22.5°或いは11.25°のベンド管等で所定の角度を有して配管されている場合であっても、ワイヤ取付部35の4方向に形成されたうちの一のワイヤ47を引っ張ることにより一のワイヤと対向する他のワイヤ47側に先端を端管12又はベローズ管9に対して傾けさせることができ、第1の導管5を、滑らかに挿入することができる。
【0107】
また、ヘッドカバー装置1,50,60は、既設水道管4を管路更新させることに限定されず、水道水以外の他の液体を流す既設管、都市ガスや冷却ガス等の気体を流す既設管、又は、粉体、粒体、ゲル状体等の固体からなる流体を流す既設管等を管路更新させる新規管を接続させることに用いてもよい。
【0108】
更に、ヘッドカバー装置1,50,60は、鋳鉄管からなる既設水道管4を管路更新されることに限定されず、塩化ビニール系樹脂管やポリエチレン系樹脂管等の樹脂管、又は、鋼鉄管やアルミ合金管等の金属管等からなる既設管を管路更新させる新規管を接続させることに用いてもよい。
【0109】
また、ヘッドカバー装置1,50,60は、第1の導管5と第2の導管6とに、ステンレス材からなる可撓管を用いることに限定されるものではなく、塩化ビニール系樹脂管やポリエチレン系樹脂管等の可撓性を有する樹脂管、又は、鋼鉄管やアルミ合金管等の可撓性と有する金属管等を用いてもよい。
【0110】
更に、ヘッドカバー装置1,50,60は、地中に直接掘った孔に新規管を挿入する推進工法に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明を適用したヘッドカバー装置の実施例の断面図である。
【図2】第1の導管及び第2の導管の要部縦断面図である。
【図3】挿口と受口とを接続させた状態を示した縦断面図である。
【図4】本発明を適用したヘッドカバー装置と第1の導管とを接続させた状態を示した縦断面図である。
【図5】本発明を適用したヘッドカバー装置の分解斜視図である。
【図6】本発明を適用したヘッドカバー装置の分解背面斜視図である。
【図7】本発明を適用したヘッドカバー装置の背面図である。
【図8】本発明を適用したヘッドカバー装置にワイヤ取付部材を取り付けた状態を示した斜視図である。
【図9】本発明を適用した他のヘッドカバー装置と第1の導管とを接続させた状態を示した縦断面図である。
【図10】本発明を適用した他のヘッドカバー装置の分解背面斜視図である。
【図11】本発明を適用した他のヘッドカバー装置と第1の導管とを接続させた状態を示した縦断面図である。
【図12】本発明を適用した他のヘッドカバー装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0112】
1 ヘッドカバー装置、2 発進坑、3 到達坑、4 既設水道管、5 第1の導管、6 第2の導管、7 挿口、8 受口、9 ベローズ管、9a ベローズ本体、9b 接続部、10 ブレード、11 凹溝、12 端管、13 フランジ部材、13a 挿通孔、14 離脱防止部材、16 鍔部材、17 ブレード押さえ部材、18 防錆テープ、19 保護テープ、20 止めリング、21 脱落防止片、22 第1の貫通孔、23 第1の締結ボルト、24 締結ナット、25 シーリング部材、26 受口部、27 結合部、28 太径管部、29 直管部、30 連結管部、31 テーパ部、32 第2の貫通孔、33 ストッパ部、34 カバー本体、34a 第1の半体、34b 第2の半体、35 ワイヤ取付部、35a 第1のワイヤ取付部、35b 第2のワイヤ取付部、36 接続部、36a 第1の係止部、36b 第2の係止部、37 結合部材、38a 当接面、38b 当接面、39a 第1の貫通孔、39b 第2の貫通孔、40a 第1の締結孔、40b 第2の締結孔、41 第2の締結ボルト、42 貫通孔、43a 第1の結合孔、43b 第2の結合孔、44a 第1の結合孔、44b 第2の結合孔、45 第3の締結ボルト、46 ワイヤ取付部材、46a 第1の取付片、46b 第2の取付片、46c 第3の連結部、47 ワイヤ、48a 第1の取付孔、48b 第2の取付孔、49 第4の締結ボルト、50 ヘッドカバー装置、51 取付片、52 第5の締結ボルト、53 取付孔、54 カバー本体、55 ワイヤ取付部、56 接続片、57 貫通孔、58 接続孔、60 ヘッドカバー装置、61 取付片、62 第6の締結ボルト、63 取付孔、64 カバー本体、65 ワイヤ取付部、66 接続片、67 貫通孔、68 接続孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓管の一端に設けられた端管に取り付けられるヘッドカバー装置において、
最大外径が上記可撓管と略同径又はやや大径のカバー本体と、
上記カバー本体の先端側外周面にワイヤが取り付けられるワイヤ取付部と、
上記カバー本体の上記ワイヤ取付部と反対側の基端部に設けられる上記端管に接続するための接続部とを備えるヘッドカバー装置。
【請求項2】
上記端管は、上記カバー本体が先端側へ脱落を防止するストッパ部を有し、
上記カバー本体は、第1の半体と第2の半体とを有し、
上記接続部は、上記ストッパ部に係止される上記第1の半体に設けられる第1の係止部と、上記第2の半体に設けられる第2の係止部とを有し、
上記接続部は、上記端管に対して上記ストッパ部より内側に配置された状態で上記第1の半体と上記第2の半体とを突き合わせ、上記第1の半体と上記第2の半体とを結合部材によって一体に結合する請求項1記載のヘッドカバー装置。
【請求項3】
上記端管は、上記カバー本体が取り付けられる取付片を有し、
上記接続部は、上記取付片に重ね合わされる接続片を有し、
上記カバー本体は、上記取付片と上記接続片とが重ね合わされた状態で締結部材によって締結されることによって上記端管に接続されることを特徴とする請求項1記載のヘッドカバー装置。
【請求項4】
上記可撓管の端部に設けられる鍔部は、取付片を有し、
上記接続部は、上記取付片に重ね合わされる接続片を有し、
上記カバー本体は、上記取付片と上記接続片とが重ね合わされた状態で締結部材によって締結されることによって上記端管に接続される請求項1記載のヘッドカバー装置。
【請求項5】
上記ワイヤ取付部は、上記第1の半体と上記第2の半体のそれぞれに設けられる貫通孔を有し、
更に、上記第1の半体と上記第2の半体の貫通孔を挟み込む略U字状をなし、上記第1の半体と上記第2の半体に取り付けるための取付孔が形成されると共に、ワイヤが取り付けられるワイヤ取付部材を有し、
上記ワイヤ取付部材は、上記第1の半体と上記第2の半体とを結合する結合部材が上記取付孔と上記第1の半体と上記第2の半体の貫通孔に挿入されることによって取り付けられることを特徴とする請求項2記載のヘッドカバー装置。
【請求項6】
上記ワイヤ取付部は、貫通孔を有し、
更に、上記ワイヤは、貫通孔に係止されるワイヤ取付部材に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のヘッドカバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−19753(P2009−19753A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185054(P2007−185054)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(597092048)国産ラセン管株式会社 (7)
【Fターム(参考)】