説明

ヘッドサスペンションの修正方法及び製造方法、ヘッドサスペンション、並びに薄板の加工方法

【課題】 複数回にわたる修正を繰り返し行った場合であっても、その修正作業を高精度で行うことが可能なヘッドサスペンションの修正方法を提供する。
【解決手段】 複数回の曲げ修正に係るレーザ光照射を行うに際し、既遂に係る修正工程と、後の修正工程との間に、当該ヘッドサスペンションにおける残留応力を除去するための工程を介挿させた。後の修正工程の遂行に先だって、既遂に係る修正工程での当該ヘッドサスペンションにおける残留応力は除去されており、換言すれば、過去の修正履歴は抹消されている。従って、複数回目の修正を行うに際して、過去の修正履歴があった部位をトレースするようにレーザ照射に係る曲げ修正を行った場合であっても、その修正作業を高精度で行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブの磁気ヘッドスライダ(以下、「磁気ヘッド」という。)を支持するヘッドサスペンションの荷重又は姿勢角を修正するためのヘッドサスペンションの修正方法に係り、特に、複数回の修正を要する場合であっても、その修正作業を高精度で行うことが可能なヘッドサスペンションの修正方法及び製造方法、ヘッドサスペンション、並びに薄板の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブの記録密度が飛躍的に向上し、これに伴い、磁気ヘッドを支持するためのヘッドサスペンションに対する要求精度が相当に厳しくなってきている。磁気ヘッドは、所定の圧力によりディスク上に押し当てられ、かつ、ディスクの回転時に所定間隔をもって空力的に浮上するため、ヘッドサスペンションの荷重及び微小なロール角、ピッチ角が浮上姿勢に大きな影響を及ぼす。このため、製造工程段階で個々のヘッドサスペンション毎に、荷重、及びロール角、ピッチ角(以下、「姿勢角」と総称する場合がある。)の修正を行なうようにしている。
【0003】
ところで、従来の荷重又は姿勢角の修正は、フレキシャ先端のアウトリガーを把持し、曲げ・ねじり等の変位を与えることで機械的に行っていた。この場合、アウトリガーを機械的に把持することから、製品形状に合わせた治具の準備と、治具移動及び把持等を含む加工に長時間を要し、修正作業に係る工数の増大を招来していた。
【0004】
かかる課題を解決するために、レーザ光をヘッドサスペンションに照射することで、当該照射部位に熱変形を生じさせることを通じて、荷重又は姿勢角の修正を行う技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、本願出願人は、ヘッドサスペンションの荷重曲げ部及び姿勢角調整部にレーザ照射領域を設定し、同レーザ照射領域に所定の長さ及び形状のレーザ光を照射することで、荷重曲げ部及び姿勢角調整部をレーザの照射態様に従い湾曲させることを通じて、ヘッドサスペンションの荷重曲げ部及び姿勢角調整部の曲げ成形を精度よく行う技術を提案している(特許文献2参照)。
【0005】
ところで、最近のヘッドサスペンションの製造に係る要求精度のさらなる向上に伴い、ヘッドサスペンション製造時におけるばらつき低減が強く求められている。そこでは、例えば次述のケースにおいて、荷重又は姿勢角の修正を複数回にわたり行う必要が生じてくる。すなわち、既に修正(通常は第一回目の修正を意味するが、第二回目以上の修正を含む。以下、同様とする。)を行ったにもかかわらず、許容公差範囲内に収束していないヘッドサスペンションを再修正する場合、又は、ヘッドサスペンションに磁気ヘッドを実装してヘッドジンバルアセンブリ(以下、「HGA」と省略する場合がある。)を構成した後の検査工程において、磁気ヘッドの特性不良等を検出した場合に、ヘッドサスペンション上の磁気ヘッドを良品に交換してHGAを再生する(例えば特許文献3参照)場合(かかるHGA再生前/後に、ヘッドサスペンションを再修正する必要が生じる。)、などがそれである。
【0006】
しかし、本発明者の研究によると、例えば、第一回目の修正後に第二回目の修正を行うなど、複数回にわたる修正を行うに際して、同一の対象部位で同一の照射履歴をなぞるようにレーザ光照射を行った場合には、その修正作業を高精度で行うことが難しくなることが判明した。すなわち、第一回目の修正に係るレーザ光照射を行った後に、同一の対象部位で同一の照射履歴をなぞるように再照射しても、荷重又は姿勢角はほとんど変化しないのである。これは、レーザ光照射による荷重又は姿勢角制御では、照射面側と非照射面(裏面)側との熱応力差に由来する曲げ加工を基本原理としているからであると考えられる。このため、既にレーザ光照射に係る入熱を受けている部位では、再度のレーザ光照射に係る入熱に対する内部応力の変化量が少なくなる結果として、本来の曲げ量よりも実際の曲げ量が少なくなってしまい、このことが複数回にわたる修正を繰り返し行う際の誤差を生む主因となっていたのである。
【0007】
そこで、ヘッドサスペンション等の薄板に対して複数回にわたる修正を繰り返し行った場合であっても、その修正作業を高精度で行うことが可能な新規技術の開発が、一部関係者の間で強く要請されていた。なお、曲げ修正履歴に起因する上述した誤差の発生は、レーザ照射以外の曲げ修正手段においても同様に生じる課題である。
【特許文献1】特開2000−339894号公報
【特許文献2】特開2004−82161号公報
【特許文献3】特開2002−93092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、複数回にわたる修正を繰り返し行った場合であって、例えば第一回目の修正と第二回目の修正を行うに際して、同一の部位に対して繰り返し曲げ修正を行った場合には、その修正作業を高精度で行うことが困難であった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数回にわたる修正を繰り返し行った場合であっても、その修正作業を高精度で行うことが可能なヘッドサスペンションの修正方法を提供すること目的として、読み取り書き込み用のヘッドを実装する前、又は実装した後のヘッドサスペンションに対し曲げ修正を行うヘッドサスペンションの修正方法であって、前記修正を複数回にわたり行うに際し、既遂に係る修正工程と、後の修正工程との間に、当該ヘッドサスペンションにおける残留応力を除去するための工程を介挿させた、ことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るヘッドサスペンションの修正方法は、読み取り書き込み用のヘッドを実装する前、又は実装した後のヘッドサスペンションに対し曲げ修正を行うヘッドサスペンションの修正方法であって、前記修正を複数回にわたり行うに際し、既遂に係る修正工程と、後の修正工程との間に、当該ヘッドサスペンションにおける残留応力を除去するための工程を介挿させたので、これにより、後の修正工程の遂行に先だって、既遂に係る修正工程での当該ヘッドサスペンションにおける残留応力は除去されており、換言すれば、過去の修正履歴は抹消されている。従って、複数回目の修正を行うに際して、過去の修正履歴があった部位をトレースするように曲げ修正を行った場合であっても、その修正作業を高精度で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
複数回にわたる修正を繰り返し行った場合であっても、その修正作業を高精度で行うことが可能なヘッドサスペンションの修正方法を提供するといった目的を、曲げ修正を複数回にわたり行うに際し、既遂に係る修正工程と、後の修正工程との間に、当該ヘッドサスペンションにおける残留応力を除去するための工程を介挿させることで実現した。
【実施例】
【0012】
以下、本発明実施例に係るヘッドサスペンションの修正方法及び製造方法、ヘッドサスペンション、並びに薄板の加工方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
初めに、本発明実施例に係るヘッドサスペンションの修正方法及び製造方法を実施する際に用いられるヘッドサスペンション修正装置について説明する。
【0014】
[ヘッドサスペンション修正装置]
図1は、ヘッドサスペンション修正装置の全体構成図、図2は、図1に示したヘッドサスペンション修正装置の機能部に係る構成を示す機能ブロック図、図3は、ヘッドサスペンションを修正装置に固定した状態を示す説明図である。
【0015】
図1に示すように、ヘッドサスペンションにおける所要の対象部位に対する曲げ修正を行う際に用いられるヘッドサスペンション修正装置100は、荷重測定装置1と、姿勢角測定装置2と、レーザマーカ3と、ヘッドサスペンション200を搬送するためのワーク搬送装置4と、主制御装置5と、レーザマーカ本体6と、を備えて構成されている。
【0016】
搬送装置4は、搬送ステージ7上にヘッドサスペンション200を仮固定した状態で移動させ、荷重測定装置1、姿勢角測定装置2、レーザマーカ3の下方にそれぞれ位置決め可能に構成されている。搬送ステージ7は、サーボモータ8、ボールねじ9、及び直動案内部10により移動制御される。なお、前記仮固定の方法は、例えばヘッドサスペンション200を搬送ステージ7上に冶具11(図3中点線で示す)により挟んで固定する。これ以外の仮固定手段としては、吸引装置、ボルト止め、マグネット等の各種手段を挙げることができる。搬送ステージ7や仮固定手段(11)には、これらを駆動制御するための駆動制御部(図示省略)が設けられており、各駆動制御部は主制御装置5に接続されて、主制御装置5により各部の動作制御が行われるように構成されている。
【0017】
荷重測定装置1は、ヘッドサスペンション200の特定部位を所定量押圧するプローブ12と、プローブ12に設けたロードセル13と、から構成される。プローブ12の上下移動は、直動案内部を備えたサーボモータ14(またはステッピングモータ)及びボールねじ15の組合せ、或いは油圧シリンダ(不図示)を用いた上下移動用アクチュエータにより行う。プローブ12の先端12aは略球形状となっており、ヘッドサスペンション200の磁気ヘッド搭載部(具体例は後述する)に押し当てられる。このときの押し込み量は一定であり、そのときのロードセル13の出力電圧信号が主制御装置5に送られる。主制御装置5は、前記出力電圧信号に基づいてヘッドサスペンション200の荷重を演算する。
【0018】
姿勢角測定装置2は、例えばヘッドサスペンション200の磁気ヘッド搭載部に対してレーザ光を照射するレーザ光源16と、前記磁気ヘッド搭載部で反射したレーザ光を受けるCCD17及び信号増幅器(AMP)18を有する受光部19と、から構成される。CCD17の受光信号は主制御装置5に送信され、主制御装置5では、前記レーザ光の反射光の位置に基づいてヘッドサスペンション200の曲り角度を演算する。なお、荷重測定装置1と姿勢角測定装置2とは、レーザマーカ3の修正工程の上流側に位置している。また、レーザ光源16の種類としては、例えば、半導体レーザ、YAGレーザ、炭酸ガスレーザなどのなかから適宜のものを用いることができる。なお、これらのレーザ照射条件は、ワークの材質等に応じて適切とされる条件が異なってくる。従って、本発明実施例に係る修正方法を実施するにあたっては、ワークの材質等に応じた適切なレーザ照射条件を適宜設定すればよい。
【0019】
一般的なレーザマーカは、ワークに対してレーザ光を照射し、吸収熱によりワーク表面を蒸発、改質、或いは変色させることで、当該レーザ照射部位とレーザ照射していない部位とを異なる見え方に加工する機能を有している。本発明では、上述した如く一般的なレーザマーカ3を本発明の修正方法に係る実施装置として適用することで、ヘッドサスペンション修正装置を構成している。従って、レーザ照射によるヘッドサスペンション修正を施すにあたっては、レーザマーカに備えられているアプリケーションをそのまま使用することができる。すなわち、レーザ照射によってヘッドサスペンション200に描くマーク(「キャラクタ」と呼ぶ場合がある。)としては、本来的にレーザマーカに予め備えられている、文字、図形、若しくは記号、又はこれらの組み合わせに係るマークのうち、適宜のマークを採用すればよい。
【0020】
レーザマーカ3は、レーザマーカヘッド20と、光ファイバ等の導光路21を介して接続されるレーザマーカ本体6と、からなる。レーザマーカ3本体内で発振出力されたレーザ光は、導光路21内を伝送し、レーザマーカヘッド20経由でヘッドサスペンション200に向けて照射される。レーザマーカヘッド20は、XY方向のガルバノスキャナミラー22によりレーザビームを偏向させ、集光レンズ23でエネルギー密度分布が適切に調整されたレーザ光をヘッドサスペンション200に向けて照射する。レーザマーカ本体6には、レーザ発振部24及び発振制御部25が内蔵されている。レーザ発振部24は、発振媒体(例えばYAG等)をフラッシュランプ、LD(レーザダイオード)等により励起させてレーザ光を発振出射させるものである。また、発振制御部25は、レーザ発振とミラー駆動を同期させ、狙った特定部位にレーザ光を照射するようにレーザマーカヘッド20を制御する機能を有している。具体的には、例えば、シングルモードレーザを用いた場合にはレーザスポット径を小さくできるので、後述するように配線間の狭い部分であっても狙った部位に確実に照射することができる。また、ガルバノヘッドからのレーザ光を長焦点距離レンズで集光し、深い焦点深度が得られるように調整すれば、レーザマーカヘッド20とヘッドサスペンション200間の距離が多少変化したとしても、レーザ光照射部位におけるエネルギー密度の変化を可及的に抑制することができる。従って、通常では、レーザマーカヘッド20とヘッドサスペンション200間の距離が変化した場合には、精密な焦点距離制御を行うことが必要であるのに対し、本例ではかかる精密な焦点距離制御が不要となる。
【0021】
主制御装置5は、ヘッドサスペンション200に係る荷重設定値を記憶する荷重設定値記憶部51と、荷重測定装置1の出力信号及び前記設定した荷重設定値に基づいて荷重調整量を演算する荷重調整量演算部52と、各荷重に対応付けて、荷重キャラクタ(照射されるキャラクタのバリエーション)の組合せに係るデータを記憶する荷重データベース53と、荷重調整量演算部52で演算された荷重調整量及び荷重データベース53の記憶内容に基づいて、複数の荷重キャラクタの組合せに係るデータのうち、適正荷重に修正するために相応しい荷重キャラクタの組合せに係るデータを選択する荷重キャラクタ組合せ選択部54と、を備えて構成されている。
【0022】
また、主制御装置5は、ヘッドサスペンション200に係る姿勢角設定値を記憶する姿勢角設定値記憶部55と、姿勢角測定装置2の出力信号及び前記設定した姿勢角設定値に基づいて姿勢角調整量を演算する姿勢角調整量演算部56と、各姿勢角に対応付けて、姿勢角キャラクタ(照射されるキャラクタのバリエーション)の組合せに係るデータを記憶する姿勢角データベース57と、姿勢角調整量演算部56で演算された姿勢角調整量及び姿勢角データベース57の記憶内容に基づいて、複数の姿勢角キャラクタの組合せに係るデータのうち、適正姿勢角に修正するために相応しい姿勢角キャラクタの組合せに係るデータを選択する姿勢角キャラクタ組合せ選択部58と、を有する。
【0023】
さらに、主制御装置5は、荷重キャラクタ組合せ選択部54で選択された荷重キャラクタ並びに姿勢角キャラクタ組合せ選択部58で選択された姿勢角キャラクタを加算するとともに、加算されたキャラクタコードを次述するレーザマーカ3宛に送出する加算部59を有する。以上のように構成された主制御装置5は、上述した各種機能を、CPUやメモリ等のハードウエア及び所定のソフトウエアによって実現するように構成されている。
【0024】
一方、レーザマーカ3の一部を構成する発振制御部25は、キャラクタ設定コードを格納するキャラクタ設定コード記憶部61と、キャラクタ設定コード記憶部61に記憶されているキャラクタ設定コードを参照して、加算部59から送出されてきたキャラクタコードをデコードし、キャラクタを照射形状(「照射形状」とは、レーザ光のスポット照射を行うに際し、各照射痕毎のバリエーション(例えば、照射痕が文字か、図形か、記号か、などを含む。)を意味する。以下、同じ。)の情報に変換するキャラクタ変換部62と、キャラクタ変換部62で変換された照射形状の情報に基づいて、実際にレーザ照射する位置及び形状に係る情報に変換するとともに、変換された位置及び形状に係る情報をレーザマーカヘッド20宛に送出するレーザ照射位置変換部63と、を有している。こうした各種機能部を有する発振制御部25は、上述した各種機能を、CPUやメモリ等のハードウエア及び所定のソフトウエアによって実現するように構成されている。
【0025】
次に、上述したヘッドサスペンション修正装置により曲げ修正が行われるヘッドサスペンションについて説明する。
【0026】
[曲げ修正の対象となるヘッドサスペンション]
図4は、曲げ修正の対象となるヘッドサスペンションの一例を示す斜視図、図5は、ヘッドサスペンションの荷重曲げ部におけるレーザ照射領域を示す説明図、図6は、ヘッドサスペンションの姿勢角調整部におけるレーザ照射領域を示す説明図、図7は、レーザ照射形状をキャラクタ登録する場合の、キャラクタの一例を示す説明図である。
【0027】
図4に示すように、ヘッドサスペンション200は、ベースプレート201に、荷重曲げ部202を介してロードビーム203を設けて構成されており、ロードビーム203の先端にはフレキシャ204がスポット溶接されている。ロードビーム203は、精密な薄板ばねから構成されて、後述する磁気ヘッド209に負荷荷重を与える機能を有している。ロードビーム203の材料としては、例えばSUS304あるいはSUS305などのオーステナイト系ステンレス鋼からなる金属板(板厚が例えば数10μm程度から100μm程度)が好適に用いられる。フレキシャ204は、図6に示すように、ジンバルばね部205、アウトリガー206、ヘッドサスペンションアーム取付部207、及び磁気ヘッド搭載部208から構成されている。磁気ヘッド搭載部208には、ロードビーム先端に形成されたディンプル208aが接している。ディンプル208aは、磁気ヘッドを搭載した際、その略中央に位置する。
【0028】
ヘッドサスペンションアーム取付部207は、ロードビーム203に取り付けられる。フレキシャ204は、ステンレス板を所定形状にエッチング或いは打ち抜きプレス加工することで形成される。浮上のための磁気ヘッド209は磁気ヘッド搭載部208に設けられ、磁気ヘッド209端部には磁気ヘッド素子210が設けられる(図中点線で示す)。なお、ベースプレート201とロードビーム203とは、一体成形ではなく別部材をスポット溶接によって接合する構成であっても良い。このとき、ロードビーム203と荷重曲げ部202が一体となり、荷重曲げ部202の一部又は全体をパーシャルエッチングなどによって板厚を薄くした構造とすることができる。或いは、別体である荷重曲げ部202をロードビーム203にヒンジ状に固定した構造とし、この荷重曲げ部202をベースプレート201にスポット溶接によって固定するように構成しても良い。
【0029】
荷重曲げ部202は、磁気ヘッド搭載部208において適正な荷重が得られるように予めプレス等でピッチ方向(図4参照)に曲げ成形されている。ヘッドサスペンション200の曲げ成形は、上述したように機械的に行われるため、磁気ヘッド搭載部208に適正荷重が加わるように当該荷重を修正する必要がある。また、磁気ヘッド搭載部208がハードディスクドライブのディスクに対して適正な角度(姿勢角)で相対するように当該姿勢角を修正する必要がある。こうした各場面において、後述する本発明に係る修正方法が有効に機能することになる。
【0030】
図5及び図6に示すように、荷重曲げ部202は、ベースプレート201とロードビーム203との間を、例えば一対の脚部を介して架け渡すように位置している。なお、荷重曲げ部202は、必要に応じて薄肉に形成することができる。この荷重曲げ部202には、曲げ修正に係るレーザ照射領域211が設定されている。ここで、本発明実施例でいう「レーザ照射領域」とは、レーザ光を照射するのに適切な範囲をいう(以下、同じ)。詳しくは後述するが、演算により求められたレーザ光の照射長さや形状に従って、レーザ照射領域211の範囲内でレーザ光照射が行われることになる。荷重曲げ部202のレーザ照射領域211では、例えば、4種類の長さにわたりレーザ照射を行うことが想定されており、この場合、修正の程度(荷重調整量)に応じて適当な長さが選択されることになる。このレーザ照射領域211の左右対称な修正は、ヘッドサスペンション200をピッチ方向に湾曲させることになる。
【0031】
また、図6に示すように、姿勢角調整部212におけるレーザ照射領域213,214は、アウトリガー206のベース板204a部分から延出した直線部206aに設定される一方、直線部206aからジンバルばね部205に至る曲り部206bにそれぞれ設定されている。
【0032】
ここで、曲げ修正に係る効果を概略的に説明すると、図6に示すように、磁気ヘッド搭載部の中央位置(一般にはディンプル208aの位置)を中心としてXY軸をとった場合、アウトリガー部の範囲II及び範囲IIIに係るレーザ照射領域へのレーザ照射によりロール角(図4参照)がマイナス修正され、範囲I及び範囲IVに係るレーザ照射領域へのレーザ照射によりロール角がプラス修正される。また、ジンバルばね部205の中心を境界とした領域V(第一領域)に係るレーザ照射領域へのレーザ照射によりピッチ角(図4参照)がプラス修正され、領域VI(第二領域)に係るレーザ照射領域へのレーザ照射によりピッチ角がマイナス修正される。従って、これらを組合せることにより、ロール角及びピッチ角を狙った値に修正することができる。
【0033】
なお、図4乃至図6に示したヘッドサスペンション200は一例であり、これ以外の形状を呈するヘッドサスペンションであっても、荷重及び姿勢角を支配する部位(荷重及び姿勢角の変動に影響を与える部位)に対して上記レーザ照射領域を適宜設けることができることは言うまでもない。また、そのレーザ照射領域の形状等についても、そのヘッドサスペンションの形状や材質等の諸条件を勘案して決定される。従って、全てのヘッドサスペンションに対して一義的にその形状等を決定することはできない。レーザ照射領域は、経験的に或いはコンピュータによるシミュレーションによりその形状や位置等を設定することができる。
【0034】
図6に示すように、レーザ照射領域213,214は、アウトリガー206と磁気ヘッド搭載部208との間に位置する配線領域215aに重ならないように設定される。配線領域215aには、例えばパターニングされた銅と絶縁層を含む配線部(例えばフレキシブル基板等)が配置され、実際にはアウトリガー206から離れて浮いた状態になっている。この配線領域215aにレーザ光を照射すると、配線に対する熱負荷が過大になる等に起因して、断線や配線不良が生じる恐れがある。また、フレキシブル基板が焼ける恐れもある。そこで、同図に示すように、配線領域215aを避けてレーザ照射領域213,214を設定することで、配線領域215a上にレーザ光が照射されることがないようにしている。このため、レーザ光に起因した断線等の不具合の発生を未然に抑止することができる。
【0035】
本発明に係るヘッドサスペンションの修正方法は、ヘッドサスペンション200における曲げ修正に係る対象部位にレーザ光を照射することでその熱変形を利用し、荷重又は姿勢角の修正を行おうとするものである。このため、レーザ光照射に従う熱変形量を、レーザ照射領域211,213,214ごとに予め取得することでデータベース化しておく必要がある。具体的には、例えば図5及び図6に示すように、レーザ照射領域211,213,214に所定の形状及び長さの照射履歴を与えるようにレーザ光照射を行うと、かかるレーザ光照射により荷重曲げ部202、姿勢角調整部212の変位が変わるので、この関係を実験的或いはシミュレーションにより取得してデータベース化しておく必要がある。このような関係データベースの具体例は、図2に示した主制御装置5内に構築されている。すなわち、荷重調整量または姿勢角調整量に基いて曲げ修正を行う際のレーザ光の照射形状をキャラクタとして登録することを通じて、関係データベースが構築されている。
【0036】
次に、レーザマーカ3に登録されているレーザ照射形状(キャラクタ)の一例について、図7を参照して説明する。符号C1のキャラクタは、レーザマーカ3の通常の使用時に用いる場合のレーザ光照射形状(アルファベット)を示す。符号C2〜符号C11は、所定の荷重調整量だけ修正を行うときの、キャラクタを示す。例えば符号C2のキャラクタは、所定大きさの枠(レーザ照射範囲)内にて下方中央よりの位置にレーザ光を照射するためのものである。符号C3のキャラクタは、枠内上方中央よりの位置にレーザ光を照射するためのものである。符号C4〜符号C11のキャラクタについても、所定位置にレーザ光を照射するためのものである。
【0037】
また、符号C12〜符号C15は、キャラクタの組合せを示したものである。例えば符号C12は、キャラクタ1とキャラクタ4とを組合せたものである。キャラクタC12は、この組合せにより所定の荷重調整量または姿勢角調整量の修正を可能とする。符号C13〜符号C15も同様に所定のキャラクタを組合せたものであり、この組合せにより所定の荷重調整量または姿勢角調整量の修正を可能とする。実際には、要求される荷重調整量または姿勢角調整量の範囲の全てをカバーするような複数種類のキャラクタの組合せが用意され、荷重データベースまたは姿勢角データベースに記憶される。なお、キャラクタの組合せにより修正を行うのは、上記のように各キャラクタを用いてロール角(またはピッチ角)の修正を行うにしても、ほとんど不可避的にピッチ角(またはロール角)に影響を与えるため、ロール角またはピッチ角を独立させて修正を行うことができないことに由来する。従って、実際に曲げ修正を行う場合は、複数のキャラクタを適宜組合せることで、曲げ修正量に応じた適切な組み合わせに係るキャラクタを生成することが好ましい。
【0038】
前記キャラクタ組合せは、荷重データベース53及び姿勢角データベース57にコード化されて格納されており、荷重調整及び姿勢角調整のためキャラクタ組合せ選択部54,58により選択され、加算部59において加算されたキャラクタコードは、上記キャラクタ変換部62にて前記キャラクタ設定コードを参照して位置データに変換され、更にレーザ照射位置変換部63にてレーザ光を照射するための照射位置データに変換される。
【0039】
[本発明に係るヘッドサスペンションの修正方法、並びに薄板の加工方法]
次に、本発明に係るヘッドサスペンション(薄板)の修正方法について、図8及び図9を参照して具体的に説明する。
【0040】
図8は、本発明実施例に係るヘッドサスペンションの修正方法を時系列的に示す説明図、図9は、本発明実施例に係るヘッドサスペンションの修正処理の概要を示す説明図である。
【0041】
ヘッドサスペンション200等の薄板における曲げ修正に係る対象部位(例えば、レーザ照射領域211,213,214などの部位)にレーザ光を照射することを通じて荷重又は姿勢角の修正を行う場合に、前述した通り、複数回にわたる修正を繰り返し行う旨の要請を生じる場合がある。
【0042】
しかし、例えば、第一回目の修正後に第二回目の修正を行うなど、複数回にわたる修正を行うに際して、各回の修正において同一の対象部位で同一の照射履歴をなぞるようにレーザ光照射を行った場合には、その修正作業を高精度で行うことが難しい。これは、既にレーザ光照射に係る入熱を受けている部位では、再度のレーザ光照射に係る入熱に対する内部応力の変化量が少なくなる結果として、本来の曲げ量よりも実際の曲げ量が少なくなってしまう。そして、これが繰り返し修正作業に係る誤差を生む主因となっていたのである。
【0043】
なお、ヘッドサスペンション200は極微細な製品であるため、複数回にわたる修正を行うに際して、各修正回毎にレーザ照射に係る対象部位を異ならせることが難しい場合がある。そして、かかる場合には、同一の対象部位に対して、繰り返しの修正を行うことが必要になるといった極微細製品に係る製造上の実情もある。
【0044】
そこで、こうした実情を踏まえて、複数回にわたる修正を繰り返し行った場合であっても、その修正作業を高精度で行うことを目的として、本発明実施例に係るヘッドサスペンション200の修正方法は、ベースプレート201と、ロードビーム203と、フレキシャ204と、を備え、読み取り書き込み用のヘッドを実装する前、又は実装した後の、ヘッドサスペンション200における対象部位(例えば図6に示すアウトリガー206におけるレーザ照射領域213など)にレーザ光を照射することで曲げ修正を行うヘッドサスペンションの修正方法であって、図8に示すように、曲げ修正処理を複数回にわたり行うに際し、既遂に係る修正工程(第1ステップ)と、後の修正工程(第1ステップ)との間に、当該ヘッドサスペンション200における残留応力を除去するための加熱処理工程(第2ステップ)を介挿させた、ことを要旨とする。
【0045】
ここで、第2ステップに係る加熱処理工程は、既存の技術をそのまま流用すればよい。すなわち、第2ステップに係る加熱処理工程では、例えば、ヘッドサスペンション200を低温ガス雰囲気炉(不図示)内に入れて扉を閉め、同炉内を不活性ガス雰囲気に置換後、所定の温度、かつ、所定の時間だけ加熱処理を行うようにする。
【0046】
本発明実施例に係るヘッドサスペンション200の修正方法によれば、後の修正工程の遂行に先だって、既遂に係る修正工程での当該ヘッドサスペンション200における残留応力は除去されており、換言すれば、過去の修正履歴は抹消されている。従って、複数回目の修正を行うに際して、過去の修正履歴があった部位をトレースするようにレーザ照射に係る曲げ修正を行った場合であっても、その修正作業を高精度で行うことができる。
【0047】
また、複数回目の修正を行うに際して、過去の修正履歴があった部位か否かを考慮することが全く不要となる結果として、レーザ照射による曲げ修正の位置決めに係る自由度を向上させるといった副次的な効果を期待することができる。
【0048】
さらに、本発明実施例に係るヘッドサスペンションの修正方法では、ヘッドサスペンション200の加熱処理は、サスペンション基材を酸化から防護するために、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。ここで、不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、又は、長周期表第18族に属する、ヘリウム・ネオン・アルゴン・クリプトン・キセノン・ラドン・ウンウンオクチウム等の希ガスを例示することができる。このように、ヘッドサスペンション200の加熱処理を、不活性ガス雰囲気下で行うことによって、サスペンション基材を効果的に酸化から防護することが可能となる結果として、ヘッドサスペンションにおける残留応力の除去を精密に行うことができる。
【0049】
さて、図8の第1ステップに係るレーザ照射のよる曲げ修正処理は、図9(1)に示すように、所定方向(具体的には、対象部位301の長手方向に沿う方向であり、図9(1)中の「実線矢印」で示す方向をいう。)に直線的かつ間欠的に複数のスポット照射を行うことで、対象部位301の表面に、複数の連続した照射痕からなる照射履歴303を形成させることを通じて行われる。
【0050】
上述した実施例に係る照射履歴303は、具体的には、例えば図9(2)に示すように、直線的かつ間欠的に複数のスポット照射を行うことで対象部位に形成された、中心軸305に沿って複数の連続した照射痕307a〜307g(本例では7つ)からなる。各照射痕307a〜307gのそれぞれは、相互に隣接する照射痕との間で重なり合うようになっており、隣接する各照射痕307a〜307gの間には、重複部分309a〜307fがそれぞれ形成されている。また、隣接する各照射痕307a〜307gの間隔は均一とされている。ここで、上述したように、隣接する各照射痕307a〜307gの間には、重複部分309a〜307fがそれぞれ形成されているにもかかわらず、本発明実施例に係るレーザ照射条件では、その重複部分309a〜307fに由来する曲げ修正に係る誤差はほとんど生じていない。これは、本発明実施例に係るレーザ照射条件では、あるひとつの照射痕に着目した場合、その照射エネルギー密度は、その照射痕の中心部分において高い反面、その外周部分(上述した重複部分に相当する部分)ではじゅうぶんに低いことに基づいている。従って、本発明実施例に係るレーザ照射条件とは異なる、その照射痕の外周部分であっても、ある程度の高い照射エネルギー密度を呈するようなレーザ照射条件を採用した場合には、隣接する各照射痕の間に、重複部分が形成されないことを考慮して、各照射痕間の間隔を定めることが望ましい。すなわち、照射履歴の構成は上述した例に限定されることなく、例えば、隣接する各照射痕307a〜307gの間隔を比較的大きく空けることによって、隣接する各照射痕307a〜307gの間に、重複部分309a〜307fを形成しないように構成してもよい。また、隣接する各照射痕307a〜307gの間隔を不均一に構成してもよい。
【0051】
そして、本発明実施例を包括的に含む薄板の加工方法は、梁状の薄板に、例えばレーザ光を照射することで曲げ加工を行う薄板の加工方法であって、前記加工を複数回にわたり行うに際し、既遂に係る加工工程と、後の加工工程との間に、前記薄板における残留応力を除去するための工程(例えば加熱処理工程)を介挿させた、ことを要旨としている。
【0052】
本発明実施例に係る薄板の加工方法によれば、後の加工工程の遂行に先だって、既遂に係る加工工程での当該薄板における残留応力は除去されており、換言すれば、過去の加工履歴は抹消されている。従って、複数回目の加工を行うに際して、過去の加工履歴があった部位をトレースするように(例えばレーザ照射等による)曲げ加工を行った場合であっても、その加工作業を高精度で行うことができる。
【0053】
なお、本発明実施例において「照射履歴を形成」とは、ヘッドサスペンション等の薄板にレーザ光を直線的に照射することで、その照射部位に対してレーザ光を照射したことの履歴を形成することを意味する。また、「レーザ光を照射したことの履歴を形成する」とは、レーザ光を照射した旨の痕跡を外観から確認できる場合を含むことは当然として、その痕跡を外観からは確認出来ない場合であっても、当該照射部位に入熱に係る応力履歴が形成されている場合をも含む概念である。従って、レーザ光の照射が既になされた部位については、その痕跡が外観に現れているか否かにかかわらず、レーザ光を照射したことの履歴が形成されたものとみなすようにしている。
【0054】
また、本発明実施例でいう「照射痕」とは、曲げ修正を行う目的でレーザ光照射を行った痕跡である修正痕と同義である。従って、修正痕とは、その痕跡を外観から確認できる場合を含むことは当然として、その痕跡を外観からは確認出来ない場合であっても、当該レーザ光照射部位に入熱に係る照射履歴(修正履歴)が形成されている場合をも含む概念である。
【0055】
[実施例の効果]
以上説明したように、本発明実施例に係るヘッドサスペンションの修正方法によれば、後の修正工程の遂行に先だって、既遂に係る修正工程での当該ヘッドサスペンションにおける残留応力は除去されており、換言すれば、過去の修正履歴は抹消されている。従って、複数回目の修正を行うに際して、過去の修正履歴があった部位をトレースするようにレーザ照射に係る曲げ修正を行った場合であっても、その修正作業を高精度で行うことができる。また、複数回目の修正を行うに際して、過去の修正履歴があった部位か否かを考慮することが全く不要となる結果として、レーザ照射による曲げ修正の位置決めに係る自由度を向上させるといった副次的な効果を期待することができる。
【0056】
さらに、本発明実施例に係るヘッドサスペンションの修正方法では、ヘッドサスペンションの加熱処理を、不活性ガス雰囲気下で行うようにしたので、従って、サスペンション基材を効果的に酸化から防護することが可能となる結果として、ヘッドサスペンションにおける残留応力の除去を精密に行うことができる。
【0057】
しかも、本発明実施例に係るヘッドサスペンションの修正方法によって曲げ修正を行う工程を経てヘッドサスペンションを製造するヘッドサスペンションの製造方法によれば、曲げ修正を高精度で行うことが可能となる結果として、姿勢角に係る精度が高品質に保たれたヘッドサスペンション製品を得ることができる。
【0058】
さらに、こうした製造方法により製造されたヘッドサスペンションによれば、磁気ヘッドにおける姿勢制御の適正化を実現することができるようになる。
【0059】
そして、本発明実施例を包括的に含む薄板の加工方法によれば、後の加工工程の遂行に先だって、既遂に係る加工工程での当該薄板における残留応力は除去されており、換言すれば、過去の加工履歴は抹消されている。従って、複数回目の加工を行うに際して、過去の加工履歴があった部位をトレースするように(例えばレーザ照射等による)曲げ加工を行った場合であっても、その加工作業を高精度で行うことができる。
【0060】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うヘッドサスペンションの修正方法及び製造方法、ヘッドサスペンション、並びに薄板の加工方法もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0061】
すなわち、本発明実施例において、レーザ光照射装置として、市場に流通しているレーザマーカ3を流用する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されることなく、例えば、本発明実施例で開示した修正方法を実現することが可能である限りにおいて、いかなるレーザ光照射装置をも採用することができる。
【0062】
また、本発明実施例で開示したヘッドサスペンション修正装置では、荷重調整及び姿勢角調整を同時に行う例をあげて説明したが、これら一方のみを実施してもよい。その場合のキャラクタの組合せは、取得した荷重調整量又は姿勢角調整量に基づいて適宜選定すればよい。
【0063】
さらに、実際のレーザ照射による修正においては、レーザパワーを変化させることを通じて、姿勢角修正量を調整することが行われているが、かかる調整を、本発明と組み合わせて実施してもよい。
【0064】
最後に、本発明は、既に修正を行ってあるヘッドサスペンションに磁気ヘッドを実装してHGAを構成した後、同ヘッドサスペンションを再修正する場合、又は、HGAを構成した後の検査工程において、磁気ヘッドの特性不良等を検出した場合に、ヘッドサスペンション上の磁気ヘッドを良品に交換してHGAを再生する場合にも、HGA(ヘッドジンバルアセンブリ)をヘッドサスペンションと読み替えることによって、信号の読み取り書き込み用の磁気ヘッド等を実装してなるヘッドサスペンションに対しても、そのまま適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ヘッドサスペンション修正装置の全体構成図である。
【図2】図1に示したヘッドサスペンション修正装置の機能部に係る構成を示す機能ブロック図である。
【図3】ヘッドサスペンションを修正装置に固定した状態を示す説明図である。
【図4】曲げ修正の対象となるヘッドサスペンションの一例を示す斜視図である。
【図5】ヘッドサスペンションの荷重曲げ部におけるレーザ照射領域を示す説明図である。
【図6】ヘッドサスペンションの姿勢角調整部におけるレーザ照射領域を示す説明図である。
【図7】レーザ照射形状をキャラクタ登録する場合の、キャラクタの一例を示す説明図である。
【図8】本発明実施例に係るヘッドサスペンションの修正方法を時系列的に示す説明図である。
【図9】図9(1),(2)は、本発明実施例に係るレーザ照射による曲げ修正処理の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
200 ヘッドサスペンション
201 ベースプレート
202 荷重曲げ部
203 ロードビーム
204 フレキシャ
211,213,214 レーザ照射領域
301 対象部位
303 実施例に係る照射履歴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り書き込み用のヘッドを実装する前、又は実装した後のヘッドサスペンションに対し曲げ修正を行うヘッドサスペンションの修正方法であって、
前記修正を複数回にわたり行うに際し、既遂に係る修正工程と、後の修正工程との間に、当該ヘッドサスペンションにおける残留応力を除去するための工程を介挿させた、
ことを特徴とするヘッドサスペンションの修正方法。
【請求項2】
請求項1記載のヘッドサスペンションの修正方法であって、
前記曲げ修正は、レーザ光を照射することで行われ、
前記ヘッドサスペンションにおける残留応力を除去するための工程は、当該ヘッドサスペンションを熱処理することで行われる、
ことを特徴とするヘッドサスペンションの修正方法。
【請求項3】
請求項2記載のヘッドサスペンションの修正方法であって、
前記ヘッドサスペンションの熱処理は、不活性ガス雰囲気下で行われる、
ことを特徴とするヘッドサスペンションの修正方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のヘッドサスペンションの修正方法によって曲げ修正を行う工程を経てヘッドサスペンションを製造することを特徴とするヘッドサスペンションの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載のヘッドサスペンションの製造方法によって製造されることを特徴とするヘッドサスペンション。
【請求項6】
梁状の薄板に曲げ加工を行う薄板の加工方法であって、
前記加工を複数回にわたり行うに際し、既遂に係る加工工程と、後の加工工程との間に、前記薄板における残留応力を除去するための工程を介挿させた、
ことを特徴とする薄板の加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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