説明

ヘッドホン装置

【課題】 ヘッドホン装置において、ケーブル6が衣類や靴等に触れたり、また、擦れることによって生じるタッチノイズを低減することができるヘッドホン装置を提供する。
【解決手段】 前方に開口する凹部を備え下方に切欠きを備えるハウジングと、ハウジングの凹部に圧入され、前方に開口する凹部を備え、下方に当該凹部に貫通する孔を備える突出部を備える弾性部と、ハウジングの前面に固着する前部と、湾曲状に延在し下方に貫通する第1の孔と、第1の孔に連通し上方に開口する第2の孔を備え、第2の孔が突出部に固着し突出部に保持される部材と、一端に入力端子を備えるケーブルと、前部に固着しケーブルのリード線に電気的に接続し入力端子が入力した信号を放音する振動板を有するドライバーユニットとを備え、第1の孔は、突出部の孔と連通するように配設され、突出部の孔及び部材の第1の孔の内壁は、ケーブルの表面に密着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを介して再生装置と接続し、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘッドホン装置として、ケーブルを介して再生装置と電気的に接続し、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、従来のヘッドホン装置を示す概略構成図である。
ヘッドホン装置100は、それぞれ2つのハウジング200、前部3及びイヤーパッド4を備え、それぞれのハウジング200は、ケーブル6によって入力端子8に接続される。ケーブル6は、内部に後述するリード線を備える。入力端子8は、再生装置10の出力端子11に接続される。再生装置10は、オーディオ信号を再生し、再生したオーディオ信号を出力端子11から出力する。
【0004】
図5は、ヘッドホン装置100を示す断面図である。
図5に示すヘッドホン装置100においては、右方向をヘッドホン装置100の前方とし、上方向をヘッドホン装置100の上方とする。
【0005】
ヘッドホン装置100は、図4で説明した構成の他、ドライバーユニット7及びブッシュ500を備える。
ハウジング200は、円筒型を形成し、前方に開口する凹部201を備え、下方に貫通する孔210を備える。ブッシュ500は、上下に貫通する孔を備えたゴム部材等の弾性体から成り、外周が孔210の内壁に固定される。ケーブル6は、一端がブッシュ500を介してハウジング200の凹部201の内部に挿入され、この凹部201の内部で結び目601を形成する。ケーブル6は、この結び目601によってブッシュ500から外部に脱落しないように成されている。ハウジング200の凹部201の内部で結び目601が形成されたケーブル6の一端からは、リード線602が突出した状態となる。
【0006】
前部3は、前後に貫通する孔304を備えた円盤型を形成し、後方に開口する凹部301を備え、前方に円筒型を形成した凸部302を備える。凸部302は、外周の中央部分に溝部303を備える。前部3は、後面がハウジング200の前面に接着剤等により固着される。ドライバーユニット7は、図示しない振動板を備え、ケーブル6のリード線602に電気的に接続される。ドライバーユニット7は、前部3の凹部301の裏面に接着剤等により固着される。
【0007】
イヤーパッド4は、ゴム部材等の弾性体により円筒型に形成され、前後に貫通する孔401を備える。イヤーパッド4は、後方の内側部分に鍔部402を備える。イヤーパッド4は、鍔部402が前部3の溝部303にはめ込まれることによって前部3の前方に保持された状態となる。
【0008】
図4及び図5に示すように、ヘッドホン装置100は、再生装置10の出力端子11から出力されるオーディオ信号を入力端子8によって入力し、入力端子8から入力したオーディオ信号をケーブル6を介してドライバーユニット7から放音する。ヘッドホン装置100の使用者は、イヤーパッド4を耳にはめ込み、例えば、洋服のポケット等に再生装置10を入れた状態で、再生装置10からオーディオ信号を再生させる。このことにより、再生装置10が再生したオーディオ信号が入力端子8及びケーブル6を介してドライバーユニット7によって放音され、この放音されたオーディオ信号が前部3の孔304を介してイヤーパッド4の孔401の内部に伝達する。これにより、イヤーパッド4を装着した使用者の耳にオーディオ信号が伝達し、使用者は、ヘッドホン装置100から出力されるオーディオ信号を聴取することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−098290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図6は、ヘッドホン装置100を示す断面図である。
図6に示すヘッドホン装置100においては、右方向をヘッドホン装置100の前方とし、上方向をヘッドホン装置100の上方とする。
【0011】
前述したように、ヘッドホン装置100の使用者が、例えば、洋服のポケット等に再生装置10を入れ、ヘッドホン装置100のイヤーパッド4を耳に装着した状態で、ヘッドホン装置100から出力されるオーディオ信号を聴取している場合、ケーブル6が衣類や靴等に接触したり、また、擦れたりすることがある。ケーブル6が衣類や靴等に接触したり擦れたりすると、ケーブル6に振動が発生し、この振動が結び目601にも伝達して、リード線602を振動させる。また、ケーブル6に生じた振動は、ブッシュ500や結び目601を介してハウジング200にも伝達する。ハウジング200に伝達した振動は、前部3にも伝達し、前部3に固着されたドライバーユニット7にも伝達する。このように、リード線602及びドライバーユニット7伝達された振動は、ドライバーユニット7に伝達し、この振動によってタッチノイズが生じ、使用者の耳には、オーディオ信号に混じってタッチノイズが伝達されることとなる。
【0012】
このように、ヘッドホン装置100によって再生装置10が再生したオーディオ信号を聴取する場合に、ケーブル6が衣類や靴等に触れたり、また、擦れることによってタッチノイズが生じると、聴取するオーディオ信号の音質が著しく低下してしまい、使用者に不快感を与えることになる。
【0013】
本発明は、ケーブルを介して再生装置と電気的に接続し、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、ケーブル6が衣類や靴等に触れたり、また、擦れることによって生じるタッチノイズを低減することができるヘッドホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の請求項1記載の発明は、ケーブルを介して入力端子に入力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、円筒型を成し前方に開口する凹部を備え下方に切欠きを備えるハウジングと、前記ハウジングの前記凹部に圧入され、前方に開口する凹部を備え、下方に当該凹部に貫通する孔を備える突出部を備える弾性部と、前記ハウジングの前面に固着し前後に貫通する孔を備える前部と、弾性体で形成され湾曲状に延在し下方に貫通する第1の孔と、当該第1の孔に連通し上方に開口する第2の孔を備え、当該第2の孔の内壁が前記突出部の外周面に固着することにより前記突出部に保持される部材と、内部にリード線を備え、一端に入力端子を備えるケーブルと、前記前部に固着し前記ケーブルの前記リード線に電気的に接続し前記入力端子が入力したオーディオ信号を放音する振動板を有するドライバーユニットとを備え、前記第1の孔は、前記突出部の前記孔と連通するように配設され、前記突出部の前記孔及び前記部材の前記第1の孔の内壁は、前記ケーブルの表面に密着していることを特徴とする。
【0015】
本願の請求項2記載の発明は、ケーブルを介して入力端子に入力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、円筒型を成し前方に開口する凹部を備え下方に孔を備えるハウジングと、前記ハウジングの前記凹部に圧入され、前方に開口する凹部を備え、下方に当該凹部に貫通する孔を備える突出部を備える弾性部と、前記ハウジングの前面に固着し前後に貫通する孔を備える前部と、弾性体で形成され湾曲状に延在し下方に貫通する第1の孔と、当該第1の孔に連通し上方に開口する第2の孔を備え、当該第2の孔の内壁が前記突出部の外周面に固着することにより前記突出部に保持される部材と、内部にリード線を備え、一端に入力端子を備えるケーブルと、前記前部に固着し前記ケーブルの前記リード線に電気的に接続し前記入力端子が入力したオーディオ信号を放音する振動板を有するドライバーユニットとを備え、前記第1の孔は、前記突出部の前記孔と連通するように配設され、前記突出部の前記孔及び前記部材の前記第1の孔の内壁は、前記ケーブルの表面に密着していることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のヘッドホン装置において、前記ケーブルは、前記入力端子を備える一端の他端に前記突出部の前記孔及び前記部材の前記第1の孔を介して前記弾性部の内部で形成する結び目を備え、前記弾性部の前記凹部の内壁は、前記結び目の表面と密着していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ケーブルを介して再生装置と電気的に接続し、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、ケーブル6が衣類や靴等に触れたり、また、擦れることによって生じるタッチノイズを低減することができるヘッドホン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例のヘッドホン装置を示す概略構成図。
【図2】本実施例のヘッドホン装置1を示す断面図。
【図3】本実施例のヘッドホン装置1を示す断面図。
【図4】従来のヘッドホン装置を示す概略構成図。
【図5】ヘッドホン装置100を示す断面図。
【図6】ヘッドホン装置100を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、背景技術又は図4〜図6で示した構成要素と同一の部分については同符号を用いる。
【0020】
図1は、本発明の一実施例のヘッドホン装置を示す概略構成図である。
ヘッドホン装置1は、ハウジング2、前部3、イヤーパッド4、弾性部5、ケーブル6、ドライバーユニット7、入力端子8、部材9a及び部材9bを備える。入力端子8については、背景技術で説明した構成と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0021】
図2は、本実施例のヘッドホン装置1を示す断面図である。
図2に示すヘッドホン装置1においては、右方向をヘッドホン装置1の前方とし、上方向をヘッドホン装置1の上方とする。
【0022】
図1及び図2に示すように、ハウジング2は、円筒型を形成し、前方に開口する凹部201を備え、下方に切欠き202を備える。弾性部5は、ゴム部材等の弾性体から成り、ハウジング2の凹部201の内壁と略同一の円筒型を形成する。弾性部5は前方に開口する凹部503を備え、下方に円筒型を形成した突出部502を備える。突出部502は、下方から凹部503の内壁に貫通する孔504を備える。弾性部5は、ハウジング2の凹部201に圧入され、切欠き202から突出部502が下方に突出した状態となる。
【0023】
部材9a及び9bは、ゴム部材等の弾性体から成り、直方体を形成する。部材9a及び9bは、それぞれ左右対称の形状を成し、対抗する一側面にそれぞれ湾曲状に延在する第1の溝901a及び第1の溝901bと、当該第1の溝901a及び第1の溝901bに連通する第2の溝902a及び第2の溝902bを備える。部材9a及び9bは、それぞれ前述した溝を備える一側面を接着剤等により貼り合わせることによって、1つの直方体を形成する。部材9a及び9bは、第1の溝901aと第1の溝901bが左右対称の形状であって、また、第2の溝902aと第2の溝902bが左右対称の形状であることから、それぞれの部材を貼り合わせると、第1の溝901aと第1の溝901bによって、湾曲状に延在し、下方に貫通した第1の孔903が形成され、また、第2の溝902aと第2の溝902bによって、第1の孔903に連通し、上方に開口した第2の孔904が形成される。第2の孔904は、弾性部5の突出部502の外径と略同一の内径を形成する。部材9a及び9bは、弾性部5の突出部502が第2の孔904に挿入され、接着剤等により固着することにより、弾性部5に保持された状態となる。
【0024】
ケーブル6は、一端が部材9a及び9bの第1の孔903と突出部502の孔504を介して弾性部5の凹部503の内部に挿入され、この凹部503の内部で結び目601を形成する。ケーブル6は、この結び目601によって弾性部5の内部から下方に脱落しないように成されている。第1の孔903及び突出部502の孔504の内径はそれぞれケーブル6の外径より僅かに大きい。このため、第1の孔903及び孔504の内壁はケーブル6の表面に密着した状態となる。弾性部5の凹部503の内部で結び目601が形成されたケーブル6の一端からは、リード線602が突出した状態とされる。このとき、弾性部5の凹部503は、予め結び目601の外径と略同一の内径となるよう設定され、結び目601の表面と凹部503の内壁が密着した状態となる。
【0025】
前部3は、前後に貫通する孔304を備えた円盤型を形成し、後方に開口する凹部301を備え、前方に円筒型を形成した凸部302を備える。凸部302は、外周の中央部分に溝部303を備える。前部3は、後面がハウジング2の前面に接着剤等により固着される。ドライバーユニット7は、図示しない振動板を備え、ケーブル6のリード線602に電気的に接続される。ドライバーユニット7は、前部3の凹部301の裏面に接着剤等により固着される。
【0026】
イヤーパッド4は、ゴム部材等の弾性体により円筒型に形成され、前後に貫通する孔401を備える。イヤーパッド4は、後方の内側部分に鍔部402を備える。イヤーパッド4は、鍔部402が前部3の溝部303にはめ込まれることによって前部3の前方に保持された状態となる。
【0027】
図1及び図2に示すように、ヘッドホン装置1は、従来例で説明した再生装置の出力端子から出力されるオーディオ信号を入力端子8によって入力し、入力端子8から入力したオーディオ信号をケーブル6を介してドライバーユニット7から放音する。ヘッドホン装置1の使用者は、イヤーパッド4を耳にはめ込み、例えば、洋服のポケット等に再生装置を入れた状態で、再生装置からオーディオ信号を再生させる。このことにより、再生装置が再生したオーディオ信号が入力端子8及びケーブル6を介してドライバーユニット7によって放音され、この放音されたオーディオ信号が前部3の孔304を介してイヤーパッド4の孔401の内部に伝達する。これにより、イヤーパッド4を装着した使用者の耳にオーディオ信号が伝達し、使用者は、ヘッドホン装置1から出力されるオーディオ信号を聴取することができる。
【0028】
図3は、本実施例のヘッドホン装置1を示す断面図である。
図3に示すヘッドホン装置1においては、右方向をヘッドホン装置1の前方とし、上方向をヘッドホン装置1の上方とする。
【0029】
前述したように、ヘッドホン装置1の使用者が、例えば、洋服のポケット等に再生装置を入れ、ヘッドホン装置1を耳に装着した状態で、ヘッドホン装置1から出力されるオーディオ信号を聴取している場合、ケーブル6が衣類や靴等に接触したり、また、擦れたりすると、ケーブル6に振動が発生する。ケーブル6に生じた振動は、上方の結び目601にも伝達しようとするが、部材9a及び9bの第1の孔903の内壁がケーブル6の表面に密着し、また、弾性部5の突出部502の孔504の内壁がケーブル6の表面に密着していることから、部材9a及び9bと突出部502の有する弾性力によって結び目601に伝達する振動を減衰させ、振動が結び目601に伝達するのを防止する。また、結び目601に振動が伝達した場合でも、結び目601の表面に弾性部5の凹部503の内壁が密着していることから、弾性部5の有する弾性力により、結び目601の振動を減衰させ、結び目601に生じた振動がハウジング2やリード線602に伝達するのを防止する。この結果、ケーブル6に生じた振動が前部3及びリード線602を介してドライバーユニット7に伝達することを防止する。
【0030】
ヘッドホン装置1の使用者は、ヘッドホン装置1から出力されるオーディオ信号を聴取している場合、腕や肩などで不用意にケーブル6を引っ張ってしまうと、ケーブル6に軸方向の張力が生じる。ケーブル6に生じた軸方向の張力は、上方の結び目601にも伝達し、結び目601を下方に引っ張ろうとするが、部材9a及び9bの第1の孔903が湾曲状に延在していることから、部材9a及び9bの有する弾性力によって第1の孔903が変形し、ケーブル6に生じた張力が結び目601に伝達するのを防止する。この結果、ケーブル6に生じた軸方向の張力が結び目601に伝達し、この張力によって結び目601が下方に引っ張られることにより振動が生じ、この振動がドライバーユニット7に伝達してノイズが発生してしまうことを防止する。
【0031】
本実施例のヘッドホン装置1は、ケーブル6に振動が発生した場合でも、従来のヘッドホン装置と比較して、20Hz〜500Hz付近の周波数帯域でタッチノイズを10dB以上低減することができる。
【0032】
以上のように、本実施例のヘッドホン装置1は、ヘッドホン装置1の使用者が、例えば、洋服のポケット等に再生装置を入れ、ヘッドホン装置1のイヤーパッド4を耳に装着した状態でヘッドホン装置1から出力されるオーディオ信号を聴取している場合、ケーブル6が衣類や靴等に接触したり、また、擦れたりしてケーブル6に振動が発生しても、ケーブル6の振動によって生じるタッチノイズを低減することができる。
【0033】
また、本実施例のヘッドホン装置は、ヘッドホン装置1の使用者が、例えば、ヘッドホン装置1から出力されるオーディオ信号を聴取している場合、腕や肩などで不用意にケーブル6を引っ張ってしまい、ケーブル6に軸方向の張力が生じても、ケーブル6が引っ張られることにより生じるノイズを低減することができる。
【0034】
本実施例のヘッドホン装置1は、ハウジング2に切欠き202を備える構成としたが、切欠きの代わりに孔を備える構成とし、弾性部5をハウジング2に圧入する場合、弾性部5の有する弾性力で突出部502を当該孔に挿入するようにしても良い。これにより、ヘッドホン装置1の表面に切欠き202が露出しなくなるので、ヘッドホン装置1の概観を良質なものにすることができる。
【0035】
本実施例のヘッドホン装置1は、弾性部5をハウジング2の凹部201の内壁と略同一の円筒型とする構成としたが、弾性部5の弾性力によってハウジング2の凹部201に圧入可能な場合は、弾性部5の表面をハウジング2の凹部201の内壁よりも多少大きくした構成としても良い。これにより、弾性部5をハウジング2に圧入する場合、更に弾性部5を密着させて圧入することができるので、ケーブル6の振動がドライバーユニット7に伝達するのを更に低減することができる。
【0036】
本実施例のヘッドホン装置1は、弾性部5の凹部503の内部において結び目601を形成する構成としたが、例えば、弾性部5の内部に介在するケーブル6の一部分を太くし、また、孔504または第1の孔903をケーブル6に十分密着させる構成とし、また、ケーブル6を孔504または第1の孔903に接着してケーブル6が下方に脱落しない構成とし、また、弾性部5または第1の孔903とケーブル6とを一体成型する構成とした場合には、結び目601を備えない構成としても良い。これにより、結び目601を形成する作業が不要となるため、ヘッドホン装置1の製造コストを低減することができる。
【0037】
本実施例のヘッドホン装置1は、弾性部5の円筒部501の形状をハウジング2の凹部201の内壁より僅かに小さい円筒型を成す構成としたが、ケーブル6の振動を減衰することが可能であれば部分的に弾性体を有する構成としても良い。これにより、弾性部5の成型に必要なゴム部材を低減させることができるので、ヘッドホン装置1の製造コストを低減させることができる。
【0038】
本実施例のヘッドホン装置1は、部材9aと9bをそれぞれ貼り合わせて固着する構成としたが、第1の孔903及び第2の孔904を成型可能であれば、初めから1の直方体で形成しても良い。これにより、部材9aと9bを貼り合わせる作業が不要となるため、ヘッドホン装置1の製造コストを低減することができる。
【0039】
本実施例のヘッドホン装置1は、部材9a及び9bの第2の孔904に弾性部5の突出部502を挿入して固着させる構成としたが、部材9a及び9bを弾性部5またはハウジング2に固着させることが可能であれば、突出部502を備えない構成としても良い。また、孔504及び第1の孔903を備えることが可能であれば、ハウジング2と部材9a及び9bを一体で成型しても良い。これにより、部材9a及び9bを弾性部5に固着させる作業が不要となるため、ヘッドホン装置1の製造コストを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ケーブルを介して再生装置と接続し、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置に有用に用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ヘッドホン装置、2 ハウジング、201 凹部、202 切欠き、
3 前部、301 凹部、302 凸部、303 溝部、304 孔、
4 イヤーパッド、401 孔、402 鍔部、
5 弾性部、501 円筒部、502 突出部、503 凹部、504 孔、
6 ケーブル、601 結び目、602 リード線、
7 ドライバーユニット、8 入力端子、
9a 部材、901a 第1の溝、902a 第2の溝、
9b 部材、901b 第1の溝、902b 第2の溝、
903 第1の孔、904 第2の孔、
10 再生装置、11 出力端子、
100 ヘッドホン装置、200 ハウジング、210 孔、500 ブッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを介して入力端子に入力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、
円筒型を成し前方に開口する凹部を備え下方に切欠きを備えるハウジングと、
前記ハウジングの前記凹部に圧入され、前方に開口する凹部を備え、下方に当該凹部に貫通する孔を備える突出部を備える弾性部と、
前記ハウジングの前面に固着し前後に貫通する孔を備える前部と、
弾性体で形成され湾曲状に延在し下方に貫通する第1の孔と、当該第1の孔に連通し上方に開口する第2の孔を備え、当該第2の孔の内壁が前記突出部の外周面に固着することにより前記突出部に保持される部材と、
内部にリード線を備え、一端に入力端子を備えるケーブルと、
前記前部に固着し前記ケーブルの前記リード線に電気的に接続し前記入力端子が入力したオーディオ信号を放音する振動板を有するドライバーユニットとを備え、
前記第1の孔は、前記突出部の前記孔と連通するように配設され、
前記突出部の前記孔及び前記部材の前記第1の孔の内壁は、前記ケーブルの表面に密着していることを特徴とするヘッドホン装置。
【請求項2】
ケーブルを介して入力端子に入力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、
円筒型を成し前方に開口する凹部を備え下方に孔を備えるハウジングと、
前記ハウジングの前記凹部に圧入され、前方に開口する凹部を備え、下方に当該凹部に貫通する孔を備える突出部を備える弾性部と、
前記ハウジングの前面に固着し前後に貫通する孔を備える前部と、
弾性体で形成され湾曲状に延在し下方に貫通する第1の孔と、当該第1の孔に連通し上方に開口する第2の孔を備え、当該第2の孔の内壁が前記突出部の外周面に固着することにより前記突出部に保持される部材と、
内部にリード線を備え、一端に入力端子を備えるケーブルと、
前記前部に固着し前記ケーブルの前記リード線に電気的に接続し前記入力端子が入力したオーディオ信号を放音する振動板を有するドライバーユニットとを備え、
前記第1の孔は、前記突出部の前記孔と連通するように配設され、
前記突出部の前記孔及び前記部材の前記第1の孔の内壁は、前記ケーブルの表面に密着していることを特徴とするヘッドホン装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のヘッドホン装置において、
前記ケーブルは、前記入力端子を備える一端の他端に前記突出部の前記孔及び前記部材の前記第1の孔を介して前記弾性部の内部で形成する結び目を備え、
前記弾性部の前記凹部の内壁は、前記結び目の表面と密着していることを特徴とするヘッドホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−77763(P2011−77763A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226229(P2009−226229)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(309039716)株式会社ディーアンドエムホールディングス (37)
【Fターム(参考)】