説明

ヘッドホン

【課題】ヘッドバンド部が側圧付与部材を備えるヘッドホンにおいて、側圧付与部材の着脱を簡易に行うことで、側圧付与部材の付け替え操作の煩雑さを解消する。
【解決手段】ヘッドホン1は、スピーカユニット2を有する一対の放音部10と、ヘッドバンド部12と、放音部10とヘッドバンド部12とを連結する支持腕部11とを備える。支持腕部11は、ヘッドバンド部12と支持腕部11とを連結する連結部16を備える。ヘッドバンド部12は側圧付与部材13を備える。連結部16は、連結部16に対して側圧付与部材13を着脱する着脱部20を備え、着脱部20は、連結部16と連結する側圧付与部材13の一部に係合する係合部材21と、係合部材21と側圧付与部材13の一部の係合を解除する解除部材22とを備える。解除部材22は連結部16に対して変位可能に設けられており、連結部16に対する解除部材22の変位が係合部材21と側圧付与部材13とを離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドホンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されるような従来のヘッドホンは、スピーカユニットを備えた一対の筐体(放音部)と、この筐体を支持するヘッドバンド部を備えている。この従来のヘッドホンにおけるヘッドバンド部は、使用者の頭部に当接することで放音部を位置決めする部材と使用者の耳に放音部を押し付ける側圧を付与する部材とが別の部材になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願平2−52773号(実開平4−12789号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヘッドホンは、使用者の耳に放音部を押し付ける側圧を付与する部材(側圧付与部材)を備えるが、使用者の頭部の形状によって付与される側圧が異なり、使用者によって放音部と使用者の耳との密着性が変化し、放音部が使用者の耳を良好に密閉できない場合が生じる。放音部が使用者の耳に密着していない場合には、放音部から発せられる音が周囲に漏れて周囲の人に不快感を与え、また、周囲の雑音が使用者の耳に入り放音部から発せられる音を快適に聞くことができない問題が生じる。
【0005】
これに対しては、側圧付与部材を使用者の頭部形状に応じて適正な側圧が付与できるものに付け替えることで対応可能であるが、付け替え操作が煩雑になるので、簡易に側圧付与部材を着脱できるヘッドホンが求められていた。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、使用者に適した側圧付与部材を選択することで放音部と使用者の耳との密着性を良好に高めることができること、側圧付与部材の着脱を簡易に行うことで、側圧付与部材の付け替え操作の煩雑さを解消すること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明によるヘッドホンは、以下の構成を少なくとも具備するものである。
スピーカユニットを有する一対の放音部と、ヘッドバンド部と、前記放音部と前記ヘッドバンド部とを連結する支持腕部とを備え、前記支持腕部は、前記ヘッドバンド部と当該支持腕部とを連結する連結部を備え、前記ヘッドバンド部は側圧付与部材を備え、前記連結部は、当該連結部に対して前記側圧付与部材を着脱する着脱部を備え、前記着脱部は、前記連結部と連結する前記側圧付与部材の一部に係合する係合部材と、前記係合部材と前記側圧付与部材の一部の係合を解除する解除部材とを備え、前記解除部材は前記連結部に対して変位可能に設けられ、前記連結部に対する前記解除部材の変位が前記係合部材と前記側圧付与部材とを離間させることを特徴とするヘッドホン。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るヘッドホンを示した側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るヘッドホンの連結部を示した説明図である(同図(a)が外観図、同図(b)が内部説明図)。
【図3】本発明の実施形態に係るヘッドホンの連結部における着脱部を示した説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るヘッドホンの連結部における着脱部の分解図である。
【図5】本発明の実施形態に係るヘッドホンにおける防振部を示した説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るヘッドホンにおける防振部を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るヘッドホンを示した側面図である。本発明の実施形態に係るヘッドホン1は、スピーカユニットを有する一対の放音部10,10と、ヘッドバンド部12と、放音部10とヘッドバンド部12とを連結する支持腕部11とを備えている。支持腕部11は、ヘッドバンド部12と支持腕部11とを連結する連結部16を備えている。ヘッドバンド部12は両端に一対の支持腕部11,11を介して放音部10を支持している。ヘッドバンド部12の一部(端部)が連結部16を介して支持腕部11に連結されている。
【0010】
放音部10は、筐体10Aを備え、その筐体10Aの内側にスピーカユニット2(図5参照)が配置されている。筐体10A内のスピーカユニット2には外部から音声信号をスピーカユニット2に供給するためのケーブル5が接続されている。筐体10Aにはスピーカユニットの音響放射側にて密接部10Cが取り付けられている。また、スピーカユニット2の音響放射側とは逆側にて、筐体10Aには蓋体10Bが取り付けられている。
【0011】
図示の例では、放音部10の筐体10Aは、支持腕部11の両端部に支持されている。詳細には、筐体10Aは、所定の回転軸のまわりに、支持腕部11に対して回転可能に支持腕部11と連結している。前述の回転軸として、連結部16近傍に配置される筐体10Aの面に沿う方向であって、且つ連結部を通過する方向が回転軸となっている。支持腕部11に対する筐体10Aの支持はこれに限らず、筐体10Aは支持腕部11の一部に支持されていればよい。
【0012】
本発明の実施形態に係るヘッドホン1においては、ヘッドバンド部12が少なくとも一つの側圧付与部材を備えている。図示の例では、一対の放音部10,10を支持する両端部を有するヘッドバンド部12が、第1の側圧付与部材13と第2の側圧付与部材14と位置決めバンド15を備えている。第1及び第2の側圧付与部材13,14は、位置決めバンド15に沿う形状を備えた湾曲状の弾性部材であり、一対の放音部10,10を被装着位置に圧接するための側圧を付与する部材である。位置決めバンド15は使用者の頭部に載せ置かれることで、使用者の耳に対する放音部10,10の位置決めを行う部材である。
【0013】
ヘッドバンド部12(第1及び第2の側圧付与部材13,14及び位置決めバンド15)の両端部はいずれも連結部16を介して一対の支持腕部11,11に連結されている。図示の例では位置決めバンド15と第2の側圧付与部材14が連結部16に取り付けられている。第1の側圧付与部材13において、第1の側圧付与部材13の端部13Aが連結部16に取り付けられている。この第1の側圧付与部材13の端部13Aは、連結部16に対して着脱可能に取り付けられている。
【0014】
図2〜図4によってヘッドホン1の連結部16を詳細に説明する。図2は、ヘッドホン1の連結部16を示した説明図であり、同図(a)が外観図、同図(b)が内部説明図である。図3は、ヘッドホン1の連結部16における着脱部20を示した説明図である。図4は、連結部16における着脱部20の分解図である。
【0015】
図示の例では、第2の側圧付与部材14には、位置決めバンド15の端部15Aがネジ17A及び取付パット17B、被取付パット17Cで構成される取付部材17を介して取り付けられている。取付部材17は、第2の側圧付与部材14に対する位置決めバンドの位置を変更可能となるように、第2の側圧付与部材14に取り付けられている。詳細には、取付部材17の孔部を第2の側圧付与部材が通過している。また、取付部材17は、第2の側圧付与部材14に沿って、規定の位置に配置される。このため、取付部材17が第2の側圧付与部材14の規定の位置にて配置されることで、位置決めヘッドバンド15を使用者に応じて配置することができる。第2の側圧付与部材14の面上には、取付部材17の位置を規定する突起部14Aが複数、所定の間隔をあけて設けられている(図5参照)。この突起部14Aに対応する位置にて取付部材17が配置され、使用者の耳に対応するように位置決めバンド15が位置決めされる。
【0016】
また、第2の側圧付与部材14はその端部が連結部16に取り付けられており、第2の側圧付与部材14は連結部16に固定されている。第2の側圧付与部材14に対する位置決めヘッドバンドの位置の変更に伴って、使用者の耳に対する一対の放音部10の位置が変更される。また、同時に使用者の耳への側圧も変化する場合がある。
【0017】
連結部16は、第1の側圧付与部材13の端部13Aが挿入される挿入孔部16Bを備えている。また、連結部16は、第1の側圧付与部材13の端部13Aに対面する面を有し且つ挿入孔部16Bを構成する筒状部16Cを備えている。連結部16の挿入孔部16Bに第1の側圧付与部材13の端部13Aを挿入することで、端部13Aが連結部16に着脱可能に取り付けられる。第1の側圧付与部材13の端部13Aは、連結部16に取り付けられた時、筒状部16Cが有する面に接触しても構わない。
【0018】
連結部16は、連結部16に対して側圧付与部材を着脱する着脱部20を備えている。図示の例では、連結部16には、カバー16Fを取り外すと、第1の側圧付与部材13の端部13Aを連結部16に対して着脱するための着脱部20が設けられている。着脱部20は、連結部16と連結する第1の側圧付与部材13の一部に係合する係合部材21と、係合部材21と第1の側圧付与部材13の一部の係合を解除する解除部材22とを備えている。
【0019】
解除部材22は、連結部16に対して変位可能に設けられている。また、解除部材22の一端部に係合部材21の一部が取り付けられている。そして、連結部16に対する解除部材22の変位が係合部材21と第1の側圧付与部材13とを離間させる。具体的には、解除部材22を連結部16に対して変位させることによって、係合部材21が弾性変形し、この係合部材21の弾性変形に伴って、第1の側圧付与部材13の端部13Aに対して係合部材21が離れ、係合部材21と第1の側圧付与部材13の端部13Aの係合が解除される。
【0020】
以下に、着脱部20を更に具体的に説明する。係合部材21は、図4に示すように、連結部16の内部に固定される第1の部分21Aと、連結部16内部に挿入される第1の側圧付与部材13の端部13Aの周囲で第1の部分21Aに対して変位する第2の部分21Bとを備えている。より具体的には、係合部材21は、板状の形状を有する弾性部材で構成され、第1の部分21Aと第2の部分21Bとの間にて、第1の側圧付与部材13の端部13Aの軸方向に沿う折曲部21Cを備える。この折曲部21Cで第1の部分21Aと第2の部分21Bが実質的に屈曲又は屈折することで、第2の部分21Bが第1の部分21Aに対して変位する。第2の部分21Bは、解除部材22の軸方向に沿って変位する。
【0021】
図示の例では、係合部材21の第1の部分21Aは取付孔21Eを有し、取付孔に挿入される取付部材(ネジ)18を連結部16の被取付部16Eに取り付けることで、第1の部分21Aが連結部16の内部に固定される。一方、係合部材21の第2の部分21Bは取付部材22Eによって解除部材22の端部に設けられた第1のフランジ部22Aに取り付けられている。
【0022】
係合部材21の第2の部分21Bは、連結部16の内側に配置される第1の側圧付与部材13の一部が有する被係合部13A1と係合する係合部21B1を備えている。被係合部13A1は第1の側圧付与部材13の端部13Aに設けられる。
【0023】
第1の側圧付与部材13の端部13Aに設けられる被係合部(凹状部)13A1は、端部13Aの内側に向かって凹状の断面形状を備えている。これに対して、係合部材21の係合部21B1は、第1の側圧付与部材13の端部13Aの軸方向に沿った第2の部分21Bから解除部材22の軸方向に折れ曲がる断面形状を備えている。
【0024】
解除部材22は、連結部16の内側に配置される一方の端部と、連結部16の外側に配置される他方の端部とを備え、解除部材22の一方の端部が係合部材21の第2の部分21Bと連結している。そして、解除部材22は、係合部材21の第2の部分21Bと連結する第1のフランジ部22Aと、連結部16の内側側面に対向する第2のフランジ部22Bと、連結部16の外側に配置される解除操作部22Cとを備えている。解除操作部22Cは、連結部16の孔部16A内を通過して外側に突出している。また、第2のフランジ部22Bの外径は孔部16Aの内径より大きい。これによって、第2のフランジ部22Bは、解除操作部22Cを設定の長さだけ連結部16の外側に突出させる抜け止めの機能を有している。
【0025】
解除部材22は、第1のフランジ部22Aと第2のフランジ部22Bとの間に柱部22Dを備え、柱部22Dは、連結部16側に設けられる第1の側圧付与部材13の端部13Aと対向する面を有する。第1の側圧付与部材13の端部13Aを連結部16の挿入孔部16Bに挿入すると、端部13Aの先端は解除部材22の柱部22Dの面に接し、連結部16に対する端部13Aの挿入長さが規定される。また、図4に示すように、端部13Aの先端部が柱部22Dに当接すると、係合部材21の係合部21B1が端部13Aの被係合部13A1に係合される。なお、端部13Aが連結部16に取り付けられている際には、端部13Aは柱部22Dに接触していても、端部13Aと柱部22Dとの間に所定の間隙が設けられていても構わない。
【0026】
第1の側圧付与部材13の端部13Aは、傾斜面13A2を備えている。この傾斜面13A2は、被係合部13A1から端部13Aの先端側に向かって端部13Aの外径が小さくなる形状を備えている。一方、第2のフランジ部22Bは、第1の側圧付与部材13の端部13Aに設けられる傾斜面13A2に対面する傾斜面22B1を有している。この傾斜面22B1は、傾斜面13A2に接することができればよく、例えば傾斜面13A2に沿う面を備えている。
【0027】
連結部16の内部は、係合部材21と解除部材22とが変位可能な空間を有している。解除部材22の解除操作部22Cが押圧されることで、解除部材22の一部が連結部16の空間内で変位する。解除部材22の一部の変位により、解除部材22の第1のフランジ部22Aに取り付けられている係合部材21の第2の部分21Bが第1の部分21Aに対して変位する。第2の部分21Bの変位により、係合部材21の係合部21B1と第1の側圧付与部材13の端部13Aにおける被係合部13A1の係合が解除される。また、係合部21B1と被係合部13A1の係合が解除されるとともに、第2のフランジ部22Bから第1のフランジ部22Aに向かう解除部材22の変位は連結部16の内側から外側へ向かって第1の側圧付与部材13の端部13Aを変位させる。すなわち、解除部材22の変位によって、解除部材22の第2のフランジ部22Bが有する傾斜面22B1が第1の側圧付与部材13の端部13Aに設けられる傾斜面13A2に接し、傾斜面22B1と傾斜面13A2との接触と解除部材22の変位とにより、第1の側圧付与部材13の端部13Aが連結部16の外側に向けて押し出される。
【0028】
ヘッドホン1は、異なる複数の第1の側圧付与部材13を備えても構わない。複数の第1の側圧付与部材13として、例えば、一方の第1の側圧付与部材13の断面形状が、他方の第1の側圧付与部材の断面形状に対して大きい外形を有する場合が挙げられる。この例において、第1の側圧付与部材13の外形(湾曲径)は互いに実質的に同じであっても、複数の第1の側圧付与部材13の外形(湾曲径)を互いに異ならせても構わない。第1の側圧付与部材の断面形状、又は外形を異ならせることで、第1の側圧付与部材13の曲げ剛性が互いに異なるので、複数の第1の側圧付与部材13の側圧を異ならせることができる。また、前述のように、第2の側圧付与部材14に対する位置決めヘッドバンドの位置の変更に伴って、使用者の耳に対する一対の放音部10の位置が変更される。このとき、使用者の耳への放音部10の側圧が変化しても、使用者に対応する第1の側圧付与部材13を連結部16に取り付けることで、側圧を調整することができる。
【0029】
このような構成を備えたヘッドホン1によると、第1の側圧付与部材13の端部13Aが連結部16の挿入孔部16Bに挿入されることで、端部13Aの被係合部13A1に係止部材21の係合部21B1が係合される。複数の第1の側圧付与部材13のうち、使用者が好む側圧を付与する第1の側圧付与部材13に付け替える際には、解除部材22の解除操作部22Cを押圧することで、簡単に連結部16から第1の側圧付与部材13の端部13Aを取り外すことができる。
【0030】
これによると、使用者に適した第1の側圧付与部材13を選択することで放音部10と使用者の耳との密着性を良好に高めることができる。また、第1の側圧付与部材13の着脱を簡易に行うことで、第1の側圧付与部材13の付け替え操作の煩雑さを解消することができる。
【0031】
本発明の実施形態に係るヘッドホン1は、前述した第1の側圧付与部材13の着脱部に加えて、スピーカユニットの振動がヘッドバンド部12に伝達するのを抑止する防振部を備えている。図5及び図6は、本発明の実施形態に係るヘッドホンの防振部を示した説明図である。
【0032】
ヘッドホン1は、ヘッドバンド部12と支持腕部11と放音部10の筐体10Aが金属部材で構成されている。そして、支持腕部11は、第1の樹脂部材3を介して、筐体10Aに取り付けられている。また、放音部10は、筐体10Aと筐体10Aに取り付けられるスピーカユニット2とスピーカユニット2を覆う蓋体10Bとを備えており、スピーカユニット2の音響放射側に対して逆側に配置される蓋体10Bとスピーカユニット2は、第2の樹脂部材4を介して取り付けられている。蓋体10Bは、複数の孔部を有する金属部材で構成されていても構わない。
【0033】
支持腕部11の両端部は、柱部とフランジ部とを有する取付部材19を介して筐体10Aと連結している。取付部材19は、支持腕部11に固定されていても構わない。取付部材19に支持腕部11が固定されている場合、支持腕部11は、取付部材19の孔部に挿入され、筐体10A内に配置される棒状部材を介して、放音部10に対して回転可能に連結される。取付部材19と棒状部材は、金属部材にて構成される。また、筐体10Aは取付部材19が配置される取付孔10A1を備える。この取付部材19の周囲を覆うように第1の樹脂部材3が設けられる。第1の樹脂部材3は取付部材19が挿入される孔を有する。この第1の樹脂部材3の孔に取付部材19が挿入されて第1の樹脂部材3が支持腕部11と筐体10Aの間に介在されることで、スピーカユニット2から支持腕部11に伝播する振動が第1の樹脂部材3によって減衰できる。すなわち、スピーカユニット2に生じる振動が支持腕部11に伝わり難くできる。
【0034】
また、スピーカユニット2の背面側(音響放射側と逆側)にはスペーサ10Dを介して蓋体10Bが取り付けられるが、スピーカユニット2の背面側(音響放射側に対して逆側)に配置される被取付部2Aに第2の樹脂部材4を嵌め込み、この第2の樹脂部材4を介してスペーサ10D及び蓋体10Bを取り付ける。これによって、スピーカユニット2から蓋体10Bに伝播する振動が第2の樹脂部材4によって減衰できる。すなわち、スピーカユニット2に生じる振動が蓋体10Bに伝わり難くできる。
【0035】
このような防振部を備えたヘッドホン1は、スピーカユニット2に生じる振動が放音部10やヘッドバンド部12の金属部材に伝わって異音を発生する不具合を抑制することができる。また、スピーカユニット2の振動が放音部10やヘッドバンド部12を介して使用者に伝わる不具合を抑制することができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。上述の各図で示した実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
1:ヘッドホン,2:スピーカユニット,3:第1の樹脂部材,
4:第2の樹脂部材,5:ケーブル,
10:放音部,10A:筐体,10B:蓋体,10C:密接部,
11:支持腕部,12:ヘッドバンド部,13:第1の側圧付与部材,
13A:端部,13A1:被係合部(凹状部),13A2:傾斜面,
14:第2の側圧付与部材,15:位置決めバンド,16:連結部,
16A:孔部,16B:挿入孔部,16C:筒状部,17:取付部材,
20:着脱部,21:係合部材,
21A:第1の部分,21B:第2の部分,
21B1:係合部,21C:折曲部,
22:解除部材,22A:第1のフランジ部,22B:第2のフランジ部,
22B1:傾斜面,22C:解除操作部,22D:柱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカユニットを有する一対の放音部と、ヘッドバンド部と、前記放音部と前記ヘッドバンド部とを連結する支持腕部とを備え、
前記支持腕部は、前記ヘッドバンド部と当該支持腕部とを連結する連結部を備え、
前記ヘッドバンド部は側圧付与部材を備え、
前記連結部は、当該連結部に対して前記側圧付与部材を着脱する着脱部を備え、
前記着脱部は、前記連結部と連結する前記側圧付与部材の一部に係合する係合部材と、前記係合部材と前記側圧付与部材の一部の係合を解除する解除部材とを備え、
前記解除部材は前記連結部に対して変位可能に設けられ、
前記連結部に対する前記解除部材の変位が前記係合部材と前記側圧付与部材とを離間させることを特徴とするヘッドホン。
【請求項2】
前記ヘッドバンド部は、前記側圧付与部材と位置決めバンドとを備え、前記側圧付与部材は前記位置決めバンドに沿う形状を備えることを特徴とする請求項1記載のヘッドホン。
【請求項3】
前記側圧付与部材を複数備え、
一方の前記側圧付与部材の断面形状は、他方の前記側圧付与部材の断面形状に対して大きいことを特徴とする請求項2に記載のヘッドホン。
【請求項4】
複数の前記側圧付与部材は、互いに異なる曲げ剛性を有することを特徴とする請求項3に記載のヘッドホン。
【請求項5】
前記係合部材は弾性部材で構成され、
前記係合部材は、前記連結部の内側に固定される第1の部分と、当該第1の部分に対して変位する第2の部分とを備え、
前記第2の部分は、前記連結部の内側に配置される前記側圧付与部材の一部が有する被係合部と係合する係合部を備え、
前記解除部材は、前記連結部の内側に配置される一方の端部と、前記連結部の外側に配置される他方の端部とを備え、
前記解除部材の一方の端部が前記係合部材の第2の部分と連結していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記係合部材は、板状の形状を有し、前記第1の部分と前記第2の部分との間にて、前記側圧付与部材の端部の軸方向に沿う折曲部を備えることを特徴とする請求項5に記載のヘッドホン。
【請求項7】
前記側圧付与部材の被係合部は、当該側圧付与部材の内側に向かって凹状の断面形状を備え、
前記係合部は、前記第2の部分から前記解除部材の軸方向に折れ曲がる断面形状を備えることを特徴とする請求項6に記載のヘッドホン。
【請求項8】
前記解除部材は、前記係合部材の第2の部分と連結する第1のフランジ部と、前記連結部の内側側面に対向する第2のフランジ部と、前記連結部の外側に配置される解除操作部とを備え、
前記解除操作部は、前記連結部が有する孔部を通過しており、前記第2のフランジ部の外径は、前記連結部の孔部の内径より大きいことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のヘッドホン。
【請求項9】
前記解除部材は前記第1のフランジ部と前記第2のフランジ部との間に柱部を備え、
前記柱部は、前記連結部側に設けられる前記側圧付与部材の端部と対向する面を有することを特徴とする請求項8記載のヘッドホン。
【請求項10】
前記側圧付与部材の端部は傾斜面を備え、
前記傾斜面は前記被係合部から前記端部の先端側に向かって当該端部の外径が小さくなる形状を備え、
前記第2のフランジ部は、前記側圧付与部材の端部に設けられる傾斜面に対面する傾斜面を有することを特徴とする請求項8又は9に記載のヘッドホン。
【請求項11】
前記第2のフランジ部が有する傾斜面は、前記側圧付与部材の端部に設けられる傾斜面に沿う面を備え、
前記第2のフランジ部から前記第1のフランジ部に向かう前記解除部材の変位は前記連結部の内側から外側へ向かって前記側圧付与部材の端部を変位させることを特徴とする請求項10に記載のヘッドホン。
【請求項12】
前記連結部は、前記連結部側に設けられる前記側圧付与部材の端部が挿入する挿入孔部を備えることを特徴とする請求項11に記載のヘッドホン。
【請求項13】
前記連結部は、前記側圧付与部材の端部に対面する面を有し且つ前記挿入孔部を構成する筒状部を備えることを特徴とする請求項12に記載のヘッドホン。
【請求項14】
前記連結部の内側には、前記係合部材と前記解除部材とが変位可能な空間が設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のヘッドホン。
【請求項15】
前記ヘッドバンド部と前記支持腕部と前記放音部の筐体は金属部材で構成され、
前記支持腕部は、第1の樹脂部材を介して、前記筐体に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のヘッドホン。
【請求項16】
前記放音部は、蓋体と前記筐体と当該筐体と当該蓋体との間に配置されるスピーカユニットとを備え、
前記スピーカユニットの音響放射側に対して逆側に配置される前記蓋体と前記スピーカユニットは、第2の樹脂部材を介して取り付けられていることを特徴とする請求項15に記載のヘッドホン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−147139(P2012−147139A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2577(P2011−2577)
【出願日】平成23年1月8日(2011.1.8)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000221926)東北パイオニア株式会社 (474)
【Fターム(参考)】