Array ( [harmful] => 0 [next] => Array ( [id] => A,2012-169826 [meishou] => 画像処理装置、画像表示システム及び画像処理方法 ) [prev] => Array ( [id] => A,2012-169824 [meishou] => 携帯端末及びその制御方法 ) ) ヘッドホン

ヘッドホン

【課題】イヤーパッドの厚さ寸法を大きくしなくても良好な装着感が得られ、装着状態でユーザーの頭部が移動しても位置ずれがなく装着時の姿勢を安定に維持すできるヘッドホンを得る。
【解決手段】ヘッドホンユニットの基体2にスピーカユニット8が取り付けられ、基体2のスピーカユニッ8による放音面側にイヤーパッド6が固着され、イヤーパッド6は、反発弾性係数が大きい第1クッション材61と反発弾性係数が小さい第2クッション材62が層状に重ねられ第1クッション材61側が基体2側に固着され、イヤーパッド6に側圧がかかることにより第2クッション材62が弾性変形し、より大きな側圧がかかることにより第2クッション材62が弾性変形したまま第1クッション材61が弾性変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドホンに関するもので、特に、耳覆い型あるいは耳載せ型ヘッドホンにおけるイヤーパッドの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
耳覆い型あるいは耳載せ型ヘッドホンは、左右チャンネルのスピーカユニットが収納された左右のヘッドホンユニットをヘッドバンドあるいはネックバンドで連結し、ヘッドバンドあるいはネックバンドの弾力で左右のヘッドホンユニットがユーザーの側頭部あるいは耳介を挟み込むようになっている。左右のヘッドホンユニットはイヤーパッドを有していて、イヤーパッドがユーザーの側頭部あるいは耳介に押し当てられる。
【0003】
以下、従来のヘッドホンに用いられている一般的なイヤーパッドの例について、図7を参照しながら説明する。図7は、片方のチャンネルのヘッドホンユニットにおけるイヤーパッドを含む部分の断面を示している。図7において、符号18はスピーカユニットを示しており、スピーカユニット18はバッフル板12の中心部に形成された孔を貫通した形でバッフル板12に固定されている。バッフル板12はスピーカユニット18を前面側(図7において右面側)と背面側に分ける機能を持っている。バッフル板12の背面側には、スピーカユニット18の背面を覆ってハウジング14が取り付けられている。バッフル板12の前面側には、バッフル板12の外周縁に沿って、リング状のイヤーパッド16が適宜の固着手段によって取り付けられている。
【0004】
イヤーパッド16は、ヘッドホンの装着感を高めるために、低反発で柔らかいクッション材161を主体としてなり、リング状に形成されたクッション材161の外表面を、肌触りのよい素材からなる表皮162で覆うことにより構成されている。イヤーパッド16の横断面は四角形で、四角形の一面をバッフル板12の前面に固着することにより、イヤーパッド16がバッフル板12の前面から突き出た形で、かつ、スピーカユニット18の前面側外周を包囲した形でイヤーパッド16が取り付けられている。
【0005】
イヤーパッド16は、ヘッドホンの装着感を決定する部材として最も重要な部材である。ヘッドホンの装着感を高めるためには、イヤーパッドの主体をなす上記クッション材161を柔軟性の高いものにし、クッション材161の厚さを厚くするとよい。性能を重視して大きさにこだわらない高級なヘッドホンでは、柔軟性に富んでいて、厚さ寸法の大きいクッション材161が用いられている。
【0006】
しかし、上記のように、1種類のクッション材161を用い、その柔軟性を高くし、厚さ寸法を大きくすると、ユーザーがヘッドホンを装着した状態で頭を動かすたびに、ヘッドホンが慣性力でずれるという問題があった。クッション材161を厚くすると、その分外側への張り出し量が増え、かつ、ヘッドホンの重量が重くなり、慣性力が大きくなるからである。また、クッション材161を上記のように厚くすることによってヘッドホンの重量が重くなると、そのこと自体がヘッドホンの装着感を阻害する要因となっていた。
このように、ヘッドホンには、良好な装着感と、位置ずれをなくすための安定した側圧(以下、「荷重」という場合もある)が得られることが求められるが、従来のヘッドホンにおけるイヤーパッドの構造では、上記両者を両立させることは困難である。そのことについて、より詳細に説明する。
【0007】
装着感を高めるためには反発弾性係数の小さい柔軟性に富んだクッション材161を用いるのが有効であるが、反面では外力が加わることによりクッション材161が変形しやすくなり、ヘッドホン本体を頭部に安定に保持することができず、上記のような位置ずれが生じやすくなる。図7には、矢印dで示すように斜め上の方に向かってイヤーパッド16を圧縮する外力が加わった場合のイヤーパッド16の位置ずれないしは変形の様子を示している。外力が加わらないイヤーパッド16の自然な位置を点線で示し、上記矢印dで示す外力が加わったときのイヤーパッド16の態様を実線で示している。イヤーパッド16は上記外力の向きにしたがって符号164で示すように変形し、装着しているユーザーの頭部に対して相対的にヘッドホンの位置ずれが生じる。
【0008】
図8は、イヤーパッド16を正面から背面に向かって圧縮する外力が加わった場合のイヤーパッド16の位置ずれないしは変形の様子を示している。図8(a)は外力が加わる前、図8(b)は外力が加わった状態を示している。図8(b)に示すように、イヤーパッド16は上記外力の向きにしたがって圧縮され、符号165で示すように上下の幅方向に拡張変形する。
【0009】
また、反発弾性係数の小さい(柔らかい)クッション材161を用いながら、必要な側圧を確保するためには、クッション材161の圧縮撓み率を大きくする必要があり、そのために、クッション材161の圧縮前の厚さ寸法を大きくしておく必要がある。その結果、イヤーパッド16が厚くなり、ヘッドホン本体とイヤーパッドの寸法バランス率が悪く、良好なデザイン設計も困難になる。
【0010】
ユーザーの頭部にヘッドホンを装着した状態を安定に維持するためには、反発係数の大きい(硬い)クッション材161を使用することが有効である。しかし、反発弾性係数の大きいクッション材を使用すると、ヘッドホン本体がユーザーの頭部を強く圧迫することになり、ユーザーは強い圧迫感を感じて装着感を害することになる。
【0011】
次に、ヘッドホンのイヤーパッドに関する発明が記載されている特許文献1乃至3を挙げ、これらの特許文献に記載されている発明について説明する。
特許文献1には、少なくとも2つの互いに結合した部材からなるイヤーパッドであって、上記2つの部材の少なくとも1つは、弾性を有しかつ軟質の音響非透過性発泡材料からなり、他の部材はイヤーパッドの全体の厚さに対して薄い音響透過性材料からなるイヤーパッドが記載されている。上記音響非透過性発泡材料と音響透過性材料は層状に重ねられている。特許文献1記載の発明がこのような構成を備えている理由は、周波数曲線の均一性を得るためであって、ヘッドホンの装着感に関しては弾性を有しかつ軟質の音響非透過性発泡材料のみが寄与している。したがって、ヘッドホンの装着感に関しては、図7、図8に示す従来例と同様の問題を有している。
【0012】
特許文献2には、気泡が大きく柔らかな弾性を持つ第1の発泡弾性体を主体とし、その3方から気泡が小さく少し柔らかさが劣る第2の発泡弾性体で包囲し、さらに表面に現れている上記第2、第1の発泡弾性体を、線状ポリウレタンを主成分とする吹付け被膜用組成物で被膜を形成したイヤーパッドを有するヘッドホンが記載されている。特許文献2記載の発明は、イヤーパッドの美観に着目した発明であって、装着感を決定する第1の発泡弾性体は柔らかさが劣る第2の発砲弾性体で包囲されているため、良好な装着感は期待できない。
【0013】
特許文献3には、イヤーパッドを構成する発泡体の発泡度を、人間の頭部の前後に対応する部分で異ならせ、前頭部側に対応する部分の発泡度を、後頭部側に対応する部分の発泡度より小さくしたものである。かかる構成にした理由は、スピーカユニットから放射される音波の前頭部側での拡散、減衰成分を後頭部側での拡散、減衰成分より大きくし、いわゆる頭上での音像定位感が解消されて、音場の広がり感が得られるようにするためである。特許文献3記載の発明は、音場の広がり感に着目した発明であり、装着感に関しては考慮されていない。むしろ、イヤーパッドの柔軟性を頭部の前後に対応する部分で異ならせているため、装着感が前後で異なり、良好な装着感は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭59−230395号公報
【特許文献2】特開昭60−16096号公報
【特許文献3】実公昭63−22784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、以上説明した従来のヘッドホンの問題点を解消すること、すなわち、イヤーパッドの厚さ寸法を大きくしなくても良好な装着感を得ることができ、装着状態でユーザーの頭部が移動しても位置ずれがなく装着時の姿勢を安定に維持することができるヘッドホンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ヘッドホンユニットの基体にスピーカユニットが取り付けられ、上記基体の上記スピーカユニッによる放音面側にイヤーパッドが固着されたヘッドホンであって、
上記イヤーパッドは、反発弾性係数が大きい第1クッション材とこの第1クッション材よりも反発弾性係数が小さい第2クッション材が層状に重ねられることによって構成されていて上記第1クッション材側が上記基体側に固着され、
上記イヤーパッドに側圧がかかることにより第2クッション材が弾性変形し、より大きな側圧がかかることにより第2クッション材が弾性変形したまま第1クッション材が弾性変形することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
通常の使用状態でイヤーパッドに加わる側圧の範囲では第2クッション材が弾性変形してユーザーの側頭部あるいは耳介にフィットし、良好な装着感が得られるとともに、ヘッドホンユニットに加わる重力方向の荷重に対しては第1クッション材がヘッドホンユニットの装着姿勢を安定に維持する。使用状態においてユーザーが急激に頭を動かすなどしてイヤーパッドに大きな側圧がかかると、第2クッション材が弾性変形したまま第1クッション材が弾性変形するが、第1クッション材は反発弾性係数が大きいため、ヘッドホンユニットの変位量は小さく、ユーザーの頭部に対するヘッドホンユニットの相対位置のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るヘッドホンの実施例であってヘッドホンユニットのイヤーパッドを含む部分の横断面図である。
【図2】上記実施例におけるイヤーパッドに斜め上向きの外力が加わった場合のイヤーパッドの挙動を図1に準じて示す横断面図である。
【図3】上記実施例において外力が加わることによるイヤーパッドの動きを示すもので、(a)は外力が加わる前の、(b)は正面から外力が加わったときの様子を示す横断面図である。
【図4】上記実施例中のイヤーパッドを構成する第2クッション材の圧縮撓み特性の例を示すグラフである。
【図5】上記実施例中のイヤーパッドを構成する第1クッション材の圧縮撓み特性の例を示すグラフである。
【図6】上記実施例中のイヤーパッド全体の圧縮撓み特性の例と従来のイヤーパッドの圧縮撓み特性の例を併せて示すグラフである。
【図7】従来のヘッドホンの例であってヘッドホンユニットのイヤーパッドを含む部分の横断面図である。
【図8】上記従来例において外力が加わることによるイヤーパッドの動きを示すもので、(a)は外力が加わる前の、(b)は正面から外力が加わったときの様子を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
以下、本発明に係るヘッドホンの実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るヘッドホンの実施例を示すもので、片方のチャンネルのヘッドホンユニットにおけるイヤーパッドを含む部分の横断面を示している。図1において、符号8はスピーカユニットを示している。スピーカユニット8の駆動形式は限定されないが、図示の実施例におけるスピーカユニット8は、振動板に固着されているボイスコイルと、永久磁石、ヨーク、ポールピースなどからなる磁気回路を有し、この磁気回路の途中に形成されている磁気ギャップ内に上記ボイスコイルが配置されたダイナミック型である。スピーカユニット8はバッフル板2の中心部に形成された孔を貫通した形でバッフル板2に固定されている。
【0020】
バッフル板2は、スピーカユニット8を前面側(図1において右面側)と背面側に分ける部材であり、ヘッドホンユニットの基体をなしている。バッフル板2の背面側には、スピーカユニット8の背面およびバッフル板2の背面を覆ってハウジング4が取り付けられている。バッフル板2の前面側すなわちスピーカユニット8による放音面側には、バッフル板2の外周縁に沿ってリング状のイヤーパッド6が適宜の固着手段によって取り付けられている。バッフル板2の外周縁形状は、円形、楕円形、四角形など様々な形状のものがあり、その外周縁形状に応じてイヤーパッド6の外形も決められる。いずれにせよ、イヤーパッド6は無端のリング状に形成されている。
【0021】
耳覆い型のヘッドホンの場合、イヤーパッド6はその内径の大きさがユーザーの耳介を囲むことができる大きさになっており、また、ユーザーの側頭部に対する側圧でイヤーパッド6が圧縮されても、ユーザーの耳介がスピーカユニット8に接触しないように、イヤーパッド6の前後方向の厚さ寸法が設定されている。耳載せ型のヘッドホンの場合、イヤーパッド6が耳介に接することができるようにイヤーパッドの径が設定される。
【0022】
既に述べた通り、イヤーパッド6はヘッドホンの装着感を決定し、かつ、装着時の安定性を決定する部材であり、ヘッドホンの部品として重要な役目を担っている。図1に示す実施例におけるイヤーパッド6は、イヤーパッド6の主体をなすクッション材が、第1クッション材61と第2クッション材62からなり、これらのクッション材61、62が層状に重ねられている。第1クッション材61は反発弾性係数の大きい、したがって硬いクッション材である。第2クッション材62は反発弾性係数の小さい、したがって低反発性のクッション材、すなわち圧縮された後圧縮力を除去してもすぐに原状に復帰することなくゆっくり原状復帰する性質を持った、柔軟性の高いクッション材である。第1クッション材61も第2クッション材62も、例えばスポンジ状の素材で作ることができる。
【0023】
第1クッション材61と第2クッション材62は層状に重ねられた状態で接着され、表皮63により包み込まれている。表皮63は、柔軟性に富み、肌触りの良好な素材、例えば、天然素材のなめし革、人工皮革などを用いることができる。イヤーパッド6は、第1クッション材61側がヘッドホンの基体としてのバッフル板2に固着されていて、第2クッション材62が第1クッション材61に重なった形でバッフル板2の前方(図1において右方)に向かい突出している。
【0024】
図1に示す実施例では、第1、第2クッション材61、62を合わせたクッション材全体の前後方向の厚さ寸法をT、第1クッション材61の前後方向の厚さ寸法をt1、第2クッション材62の前後方向の厚さ寸法をt2とすると、t1とt2はほぼ等しくなっている。第1、第2クッション材61、62の反発弾性係数が上記のように設定されていることにより、イヤーパッド6に側圧がかかるとまず第2クッション材62が弾性変形し、より大きな側圧がかかると、第2クッション材62が弾性変形したまま第1クッション材61が弾性変形するようになっている。
【0025】
第2クッション材62のみが弾性変形する範囲でイヤーパッド6にかかる側圧は、通常の使用態様において加わる側圧の範囲である。したがって、通常の使用態様においては柔軟性に富んだ第2クッション材62が弾性変形し、ユーザーの側頭部の形状に応じ柔軟に対応してヘッドホンの装着感を高め、また、ユーザーの側頭部への密着度を高めることができる。ヘッドホンの使用時にヘッドホンユニットに加わる重力方向の荷重に対しては、反発弾性係数の大きい第1クッション材61を備えていることにより、イヤーパッド6全体が大きく変形することを第1クッション材61が阻止し、ヘッドホンユニットの装着姿勢を安定に維持する。
【0026】
使用状態においてユーザーが急激に頭を動かすなどして慣性力によりイヤーパッド6に大きな側圧がかかると、第2クッション材62が弾性変形したまま第1クッション材61が弾性変形する。しかし、第1クッション材61は反発弾性係数が大きいため、ヘッドホンユニットの変位量は小さく、ユーザーの頭部に対するヘッドホンユニットの相対位置のずれを抑制することができる。
【0027】
図4は、第2クッション材62として用いられる反発弾性係数の小さいクッション材の荷重とたわみ率との関係の例を示している。加えられる荷重が小さくても、たわみ率が大きくなっている。図5は、第1クッション材61として用いられる反発弾性係数の大きいクッション材の荷重とたわみ率との関係の例を示している。図4の例と比較して、加えられる荷重が比較的大きくても、たわみ率が小さいことがわかる。図4においてF1で示すたわみ率の範囲は第2クッション材62が有効に機能する範囲を示しており、加わる荷重が小さくても大きくたわむことを表している。図5においてF2で示すたわみ率の範囲は第1クッション材61が有効に機能する範囲を示しており、加わる荷重が大きくてもたわみ量が小さいことを表している。
【0028】
このような第1クッション材61と第2クッション材62を層状に重ねてイヤーパッド6を構成することにより、上記のように、通常の使用状態では第2クッション材62が弾性変形して良好な装着感をもたらす。イヤーパッド6に大きな側圧がかかると、第2クッション材62が弾性変形したまま第1クッション材61が弾性変形するが、第1クッション材61は、加わる荷重の大きさに対してたわみ率が小さいため、イヤーパッド6全体の変形量を制限することになり、上記のように、ユーザーの頭部に対するヘッドホンユニットの相対位置のずれを抑制する。
【0029】
図6は、加わる荷重に対するイヤーパッドの圧縮たわみ曲線を示すもので、曲線Aは本発明の上記実施例におけるイヤーパッドの、曲線Bは従来例におけるイヤーパッドの圧縮たわみ曲線を示す。曲線Aからわかるように、本発明におけるイヤーパッドは小さな荷重から大きな荷重まで、荷重の大きさに対応してたわむことができる。通常の使用状態で加わる荷重に対しては、a1で示すたわみ率の範囲で第2クッション材62が弾性変形し、前述のとおり、ヘッドホンの装着感の向上に資する。通常の使用状態を越えて大きな荷重が加わった場合は、a2で示すたわみ率の範囲で第1クッション材61が弾性変形し、前述のとおり、ユーザーの頭部に対するヘッドホンユニットの相対位置のずれを抑制する。
【0030】
これに対して、従来のイヤーパッドによれば、図6に曲線Bで示す圧縮たわみ曲線からわかるように、小さな荷重に対して大きくたわむことができるが、弾性変形して対応することができる荷重の大きさに限界がある。そのため、加わる荷重が小さい範囲ではヘッドホンの装着感を高めることが可能であるが、一定以上の荷重が加わるとこれに対応できず、ユーザーの頭部に対するヘッドホンユニットの相対位置のずれが生じる難点がある。
【0031】
図示した実施例では、バッフル板2の一部に、音響特性を改善し、あるいは音響特性の調整のために、バッフル板の前側空間と背面側空間を連通させる小孔21が設けられている。上記小孔21を設けるか否かは任意であり、また、小孔21を有するものにおいては、この小孔21を音響特性調整のための音響抵抗材で覆ってもよい。
【0032】
以上、ヘッドホンを構成する左右チャンネルのヘッドホンユニットの片方のユニットについて説明したが、他方のチャンネルのヘッドホンユニットも同様に構成される。左右チャンネルのヘッドホンユニットは、周知の通りヘッドバンドあるいはネックバンドで連結される。ヘッドホンの使用時に、上記ヘッドバンドあるいはネックバンドの弾力によって左右チャンネルのヘッドホンユニットに側圧が付与され、左右のヘッドホンユニットでユーザーの側頭部を挟み込むようになっている。
【0033】
図示の実施例では、イヤーパッド6を構成する第1クッション材61と第2クッション材62の厚さ寸法の比率をほぼ1:1としていたが、この比率は、ヘッドホンの設計仕様、設計思想などによって変更することができる。また、第1クッション材61と第2クッション材62の反発弾性係数も、特許請求の範囲に記載した技術思想を逸脱しない範囲で任意に設計変更可能である。第1クッション材61と第2クッション材62の厚さ寸法の比率と反発弾性係数は、相互に影響し合いながら最適な値に設定される。
また、図示の実施例では、イヤーパッド6を構成する第1クッション材61と第2クッション材62が1層ずつ設けられ、合わせて2層になっているが、少なくとも第1クッション材61と第2クッション材62が層状に重なっていればよく、層の数は任意である。したがって、3層あるいは4層であってもよく、第3のクッション材を重ねてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るヘッドホンは、イヤーパッドを構成するクッション材を、反発弾性係数が大きい第1クッション材と反発弾性係数が小さい第2クッション材で構成するため、製造コストが高くなる難点があるが、装着感が良好で位置ずれを少なくすることができる高級なかつ高音質のヘッドホンに採用するのに適している。
【符号の説明】
【0035】
2 バッフル板
4 ハウジング
6 イヤーパッド
8 スピーカユニット
61 第1クッション材
62 第2クッション材
63 表皮

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドホンユニットの基体にスピーカユニットが取り付けられ、上記基体の上記スピーカユニッによる放音面側にイヤーパッドが固着されたヘッドホンであって、
上記イヤーパッドは、反発弾性係数が大きい第1クッション材とこの第1クッション材よりも反発弾性係数が小さい第2クッション材が層状に重ねられることによって構成されていて上記第1クッション材側が上記基体側に固着され、
上記イヤーパッドに側圧がかかることにより第2クッション材が弾性変形し、より大きな側圧がかかることにより第2クッション材が弾性変形したまま第1クッション材が弾性変形することを特徴とするヘッドホン。
【請求項2】
第1クッション材と第2クッション材は層状に重ねられた状態で表皮により包み込まれている請求項1記載のヘッドホン。
【請求項3】
ヘッドホンユニットは左右のユニットからなっていて左右のユニットはヘッドバンドで連結され、通常の使用状態において上記ヘッドバンドの弾力によって上記左右のユニットに付与される側圧では第2クッション材が弾性変形する請求項1または2記載のヘッドホン。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−169825(P2012−169825A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28570(P2011−28570)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000128566)株式会社オーディオテクニカ (784)
【Fターム(参考)】