説明

ヘッド分離型カメラ装置、撮像装置、制御装置及びヘッド分離型カメラ装置の制御方法

【課題】カメラヘッド内における被制御機器の数が増加しても、カメラケーブルの信号線数を増加させずにカメラヘッドを制御できるヘッド分離型カメラ装置を提供する。
【解決手段】撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、制御信号を供給する1本の制御線を含み、前記撮像装置と前記制御装置とを接続するケーブルとを有し、前記制御装置は、前記撮像装置における1以上の被制御機器の中で、制御対象となる被制御機器を通知する選択コマンド、及び制御対象への制御内容を示す制御データを含む前記制御信号を出力する第1の制御手段とを有し、前記撮像装置は、前記選択コマンドに基づいて、少なくとも前記制御対象となる被制御機器に対して、制御対象か否かを通知する個別選択コマンド、及び前記制御データを送信する第2の制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラヘッドとそれを制御するカメラコントロールユニットとが分離されたヘッド分離型カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ヘッド分離型カメラ装置は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサ等の固体撮像素子を内蔵したカメラヘッドと、このカメラヘッドの固体撮像素子に対して駆動用制御信号を与えるとともに、固体撮像素子の出力に信号処理を施して映像信号を得るカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)とがそれぞれ別体に構成されている。カメラヘッドとCCUとは、複数の信号線を束ねたケーブルを介して接続されている。
【0003】
ヘッド分離型カメラ装置は、幅広い産業で用いられるため、高機能化及び高性能化が望まれている。ヘッド分離型カメラ装置は、カメラヘッドとCCUとの間で伝送される信号の種類やビット数が格段に増加してきている。このため、カメラケーブルは、内包する信号線数が増大し太くなるとともに、カメラケーブルとカメラヘッドとを接続するためのコネクタも、その端子数が増加して大型化する傾向にある。
【0004】
一般的に、ヘッド分離型カメラ装置は、人間が入ることのできない狭小領域の点検等を行なうことを目的として開発されているため、そのカメラヘッドを可能な限り小型化することが望まれている。このため、カメラケーブル自体が太くなったり、カメラケーブルと接続するためのコネクタが大型化したりすることは、カメラヘッドの小型化を阻害する要因となるため、避けなければならない重要な課題となっている。
【0005】
特許文献1には、カメラヘッド部117と制御ユニット部118が分離している撮像装置であって、制御ユニット部118のCPU116からカメラヘッド部117のマイコン106などの複数のデバイスに制御信号を送信する構成について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−311535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、CCUによって制御されるカメラヘッドに設けられたセンサ素子などの被制御機器は、SoC(System on a chip)化に伴ってデジタル出力が一般的である。したがって被制御機器には多数のピンが配置される。そのため、センサ素子とセンサ素子を制御する制御部との間を結線する信号線の数は、増加傾向にある。
【0008】
さらに、CCUがカメラヘッドを制御するための信号線の数は、複数のセンサ素子、メモリなどの被制御機器の数に応じて増加する。
【0009】
しかしながら、特許文献1には、被制御機器の数が増加した場合に、CCUとカメラヘッドとの間の信号線数を減らす構成については言及されていない。
【0010】
そこで、この発明は、カメラヘッド内における被制御機器の数が増加しても、カメラヘッドとそれを制御するCCUとを接続するカメラケーブルの信号線数を増加させることなくカメラヘッドを制御できるヘッド分離型カメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るヘッド分離型カメラ装置は、撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、制御信号を供給する1本の制御線を含み、前記撮像装置と前記制御装置とを接続するケーブルとを有し、前記制御装置は、前記撮像装置における1以上の被制御機器の中で、制御対象となる被制御機器を通知する選択コマンド、及び制御対象への制御内容を示す制御データを含む前記制御信号を出力する第1の制御手段とを有し、前記撮像装置は、前記選択コマンドに基づいて、少なくとも前記制御対象となる被制御機器に対して、制御対象か否かを通知する個別選択コマンド、及び前記制御データを送信する第2の制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0012】
上記した発明によれば、カメラヘッド内における被制御機器の数が増加しても、カメラヘッドとそれを制御するカメラコントロールユニットとを接続するカメラケーブルの信号線数を増加させることなくカメラヘッドを制御できるヘッド分離型カメラ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るヘッド分離型カメラ装置の信号処理系を説明するために示すブロック構成図。
【図2】第1の実施形態に係るヘッド分離型カメラ装置における信号線の配置を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態に係る選択コマンドの構成図。
【図4】第1の実施形態に係る第1のセンサ素子と通信する場合のタイミングチャート。
【図5】第1の実施形態に係る第1のセンサ素子及び第3のセンサ素子と通信する場合のタイミングチャート。
【図6】第2の実施形態に係る選択コマンドの構成図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係るヘッド分離型カメラ装置の信号処理系を示している。すなわち、このヘッド分離型カメラ装置は、撮像部(以降カメラヘッドという)10とそれを制御する制御部(以降CCUという)20とをカメラケーブル30で接続する構成である。ヘッド分離型カメラ装置は、カメラケーブル30の長さの距離だけ離れた位置で利用できる。
【0015】
カメラヘッド10は、センサ101、PLD(Programmable Logic Device)102、メモリ103を備える。
【0016】
センサ101は、RGBそれぞれに対応するセンサとして、第1のセンサ素子1011,第2のセンサ素子1012,第3のセンサ素子1013で構成されている。センサ101は、入射された被写体の光学像を受光面に結像する。そして、センサ101は、光学像に対応したデジタルの映像信号に変換する。センサ101は、例えばCMOSセンサなどのデジタルセンサである。
【0017】
PLD102は、制御信号処理部1021とパラレル/シリアル変換部1022を有している。制御信号処理部1021は、CCU20による制御に基づいて、第1のセンサ素子1011、第2のセンサ素子1012、第3のセンサ素子1013、メモリ1014がMPU201による制御対象機器か否かを選択する。パラレル/シリアル変換部1022は、映像信号及び同期信号を重畳したシリアルデータをCCU20に送信する。メモリ103は、例えば、映像信号の画質調整、同期制御に関するデータを記憶する。メモリ103は、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)である
また、CCU20は、MPU(Micro Processing Unit)201、クロック発振器202、TG(Timing Generator)203、シリアル/パラレル変換部204、映像信号処理部205、映像出力部206、メモリ207を備える。
【0018】
MPU201は、外部から供給されたユーザによる操作情報を受け、操作情報を反映するようにカメラヘッド10およびCCU20を構成する各部を制御する。クロック発振器202は、所定のパルス特性のクロック信号を発振する。
【0019】
TG203は、クロック信号を基にしてセンサ101の駆動制御タイミングを生成する。
【0020】
シリアル/パラレル変換部204は、カメラヘッドから送信されたシリアルデータをパラレルデータに分離する。
【0021】
映像信号処理部205は、映像信号に対して予め設定された所定の設定値に応じて信号処理を施す。
【0022】
映像出力部206は、映像信号を所望の映像フォーマットの信号に変換して図示しないモニタに画像を出力する。映像フォーマットとしては、例えば、HD−SDI(High Definision -Serial Digital Interface)またはHD−DVI(High Definision -Digital Visual Interface)などである。メモリ207は、CCU20の動作に関する設定値を保存する。
【0023】
カメラケーブル30は、制御信号ケーブル301とデータ信号ケーブル302を有する。制御信号ケーブル301は、カメラヘッド10とCCUの間で制御信号を伝送する。データ信号ケーブル302は、カメラヘッド10からCCU20に映像信号を伝送する。
【0024】
次に、図1を参照して、CCU20による映像信号の取得について信号の流れに沿って説明する。はじめに、クロック発振器202は、第1のクロック信号(CLK1)を発振する。クロック発振器202は、TG203にCLK1を供給する。TG203は、CLK1を基にして、水平同期信号(HS)、垂直同期信号(VS)、センサ駆動用の第2のクロック信号(CLK2)を生成する。TG203は、HS、VS、CLK2を制御信号ケーブル301を介して、センサ101に伝送する。
【0025】
センサ101は、光学像を復元するための映像信号(VIDEO)、映像水平同期信号(HD)、映像垂直同期信号(VD)を第3のクロック信号(CLK3)を出力する。パラレル/シリアル変換部1022は、位相の揃った映像信号、HD、VD、CLK3をシリアルデータに変換して、データ信号ケーブル302を介して、CCU20に送信する。
【0026】
シリアル/パラレル変換部204は、シリアルデータで送信されてきた映像信号、HD、VD、CLK3をパラレルデータに変換する。映像信号処理部205は、映像信号に対して予め設定された所定の設定値に応じて信号処理を施す。映像信号処理部205は、信号処理した映像信号、HD、VD、CLK4を映像出力部206に供給する。映像出力部206は、映像信号、HD、VD、CLK4を所望の映像フォーマットの信号に変換して図示しないモニタに画像を出力する。
【0027】
カメラヘッド10とCCU20との間で送受信される信号は、LVDS(Low voltage differential signaling)信号に変換されてもよい。また、カメラヘッド10とCCU20との間で送受信される信号は、エンハンサ、イコライザ等で補正されてもよい。
【0028】
次に、カメラヘッド10内及びカメラヘッド10とCCU20との間の制御信号に関する信号線の配置について説明する。図2は、信号線の配置を示すブロック図である。ここでは、MPU201による被制御機器(被制御素子)を第1のセンサ素子1011、第2のセンサ素子1012、第3のセンサ素子1013、メモリ103とする。ここでは、被制御機器として4つの場合について説明するが、数はこれに限られない。
【0029】
カメラヘッド10の制御信号処理部1021とCCU20のMPU201との間には、3線式シリアル通信(シリアルクロック(SCLK)、制御信号であるシリアル出力データ(SDO)、シリアル入力データ(SIO))用の信号線、制御対象を選択するための信号であるチップセレクト(CS_H)信号用の信号線が配置されている。
【0030】
ここで、3線式シリアル通信用の信号線を伝送される信号の内、CS_H信号用の信号線は、4つの被制御機器のうち制御対象となる被制御機器の選択を設定する信号である。
【0031】
次に、カメラヘッド10内の制御信号処理部1021と被制御機器との間の信号線について説明する。4つの被制御機器それぞれは、RST信号の入力端、CS信号の入力端、SCLKの入力端、SDOの入力端、SDIの出力端を有している。
【0032】
制御信号処理部1021と第1のセンサ素子1011との間には、3線式シリアル通信(SCLK_H、SDO_H、SDI_H)用信号線、CS_1(チップセレクト)信号用信号線またはRST_1(リセット)信号用信号線が配置されている。同様に、制御信号処理部1021と第2のセンサ素子1012との間には、3線式シリアル通信(SCLK_H、SDO_H、SDI_H)用信号線、CS_2(チップセレクト)信号用信号線またはRST_2(リセット)信号用信号線が配置されている。制御信号処理部1021と第3のセンサ素子1013との間には、3線式シリアル通信(SCLK_H、SDO_H、SDI_H)用信号線、CS_3(チップセレクト)信号用信号線またはRST_3(リセット)信号用信号線が配置されている。制御信号処理部1021とメモリ103との間には、3線式シリアル通信(SCLK_H、SDO_H、SDI_H)用信号線、CS_4(チップセレクト)信号用信号線またはRST_4(リセット)信号用信号線が配置されている。
【0033】
次に、図3は、第1の実施形態に係るMPU201から制御信号処理部1021に送信されるCS_H(チップセレクト)信号(選択コマンド)の構成図である。
【0034】
CS_H信号は、4つの被制御機器のうちからMPU201による制御対象となる被制御機器を選択するコマンドである。CS_H信号は、先頭に制御信号処理部1021に対する他のコマンドとを区別する信号制御用の識別子が配置されている。CS_H信号は、信号制御用の識別子の後に、制御信号処理部1021が各被制御機器のCS信号、RST信号をどう制御するのかを各1ビットで示している。
【0035】
例えば、信号制御コマンドのCS_1が1を示している場合、MPU201が制御対象として第1のセンサ素子1011を選択していないことを意味している。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011に信号レベルH(High)のCS_1信号を送信する。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011を通信無効状態(非アクティブ状態)に制御する。信号制御コマンドのCS_1が0を示している場合、MPU201が制御対象として第1のセンサ素子1011を選択していることを意味している。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011に信号レベルH(Low)のCS_1信号を送信する。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011を通信有効状態(アクティブ状態)に制御する。
【0036】
つまり、制御信号処理部1021は、CS_H信号に基づいて、被制御機器それぞれに対するCS信号(個別選択信号)、RST信号の信号レベルを制御できるので、複数の被制御機器それぞれに複数の信号を同時に設定することも可能である。
【0037】
次に、CS_H信号に基づく制御信号処理部1021による各被制御機器に対する動作制御を説明する。
【0038】
3線式シリアル通信用の信号線は、4つの被制御機器に対する制御信号を共通に伝送する。CS_H信号用の信号線は、4つの被制御機器のうち制御対象となる被制御機器の選択を設定するCS_H信号をMPU201から制御信号処理部1021に伝送する。
【0039】
CS_1信号用信号線は、CS_H信号による制御対象とする選択に基づいて、制御信号処理部1021からCS_1信号を第1のセンサ素子1011に伝送する。CS_2信号、CS_3信号、CS_4信号についても同様である。RST_1信号用信号線は、CS_H信号による制御対象のリセットに基づいて、制御信号処理部1021からCS_1信号を第1のセンサ素子1011に伝送する。RST_2信号、RST_3信号、RST_4信号についても同様である。
【0040】
図4は、MPU201が制御対象である第1のセンサ素子1011のみに制御信号を送信する場合のタイミングチャートである。上段は、MPU201から制御信号処理部1021に送信するCS_H信号、SCLOCK、SDOの波形を示す。下段は、制御信号処理部1021から被制御機器それぞれに出力するSCLK_H、SDO_H、CS_1信号、CS_2信号、CS_3信号、CS_4信号の波形を示す。
【0041】
はじめに、CS_H信号の信号レベルがLの場合、MPU201は制御信号処理部1021と通信有効状態である。
【0042】
ここで、MPU201は、制御信号処理部1021に対して、CS_1が0、CS_2、CS_3、CS_4が1を示したCS_H信号を送信する。第1のセンサ素子1011が制御対象の被制御機器である。
【0043】
一方、CS_H信号の信号レベルがHの場合、制御信号処理部1021は、MPU201から送信されるMPU201と通信無効状態となる。
【0044】
制御信号処理部1021は、CS_H信号に基づいて、第1のセンサ素子1011に信号レベルLのCS_1信号を送信する。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011をMPU201と通信有効状態にする。同様に、制御信号処理部1021は、CS_H信号に基づいて、第2のセンサ素子1012に信号レベルHのCS_2信号を、第3のセンサ素子1013に信号レベルHのCS_3信号を、メモリ103に信号レベルHのCS_4信号を送信する。制御信号処理部1021は、第2のセンサ素子1012、第3のセンサ素子1013、メモリ103をMPU201と通信無効状態にする。
【0045】
MPU201がCS_H信号を制御信号処理部1021に送信している間、制御信号処理部1021はMPU201と通信無効状態となる。制御信号処理部1021は、SCLK,SDI,SDOをそれぞれSCLK_H信号用信号線,SDI_H信号用信号線,SDO_H信号用信号線にスルー出力する。したがって、制御信号処理部1021が通信無効状態の場合、MPU201と第1のセンサ素子1011との間で、制御対象への制御内容を示す制御データを含む制御信号を3線式シリアル通信できる。
【0046】
MPU201がCS_H信号を制御信号処理部1021に送信している間、制御信号処理部1021は、MPU201から送信される制御信号を無視するので、誤って制御信号を受信することはない。
【0047】
MPU201は、第1のセンサ素子1011への制御信号の送信を終了すると、CS_H信号の信号レベルをLとする。制御信号処理部1021は、MPU201と通信有効状態となる。制御信号処理部1021は、MPU201と制御対象である第1のセンサ素子1011との間で通信を遮断するため、MPU201から送信される制御信号が第1のセンサ素子1011への送信されることはない。MPU201が信号レベルLのCS_H信号を制御信号処理部1021に送信している間、SCLK_H、SDO_Hは規定値である。
【0048】
そして、MPU201は、制御信号処理部1021に対して、CS_1、CS_2、CS_3、CS_4が1を示したCS_H信号を送信する。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011、第2のセンサ素子1012、第3のセンサ素子1013、メモリ103に信号レベルHのCS_1信号を送信する。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011、第2のセンサ素子1012、第3のセンサ素子1013、メモリ103それぞれをMPU201と通信無効状態にする。以上のように、MPU201は、制御信号処理部1021をCS_H信号により制御することで、MPU201と第1のセンサ素子1011との間で通信の開始、遮断を確実に制御できる。上記では制御対象は1つであったが、複数の制御対象を同時に制御することもできる。
【0049】
図5は、MPU201が制御対象である第1のセンサ素子1011及び第3のセンサ素子1013に制御信号を送信する場合のタイミングチャートである。
【0050】
はじめに、MPU201は制御信号処理部1021に対して、CS_1、CS_3が0、CS_2、CS_4が1を示したCS_H信号を送信する。制御信号処理部1021は、制御対象である第1のセンサ素子1011に信号レベルLのCS_1信号を送信する。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011をMPU201と通信有効状態にする。同様に、制御信号処理部1021は、制御対象である第3のセンサ素子1013に信号レベルLのCS_3信号を送信する。制御信号処理部1021は、第3のセンサ素子1013をMPU201と通信有効状態にする。
【0051】
また、制御信号処理部1021は、制御対象でない第2のセンサ素子1012に信号レベルHのCS_2信号を、制御対象でないメモリ103に信号レベルHのCS_4信号を送信する。制御信号処理部1021は、第2のセンサ素子1012、メモリ103をMPU201と通信無効状態にする。MPU201がCS_H信号を制御信号処理部1021に送信している間、制御信号処理部1021はMPU201と通信無効状態となる。したがって、MPU201と第1のセンサ素子1011、第3のセンサ素子1013との間で3線式シリアル通信が可能となる。
【0052】
MPU201は、制御対象である第1のセンサ素子1011、第3のセンサ素子1013へのコマンドの送信が終了すると、CS_H信号の送信を終了する。制御信号処理部1021は、MPU201と通信有効状態となる。
【0053】
そして、MPU201は、制御信号処理部1021に対して、CS_1、CS_2、CS_3、CS_4が1を示したCS_H信号を送信する。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011、第2のセンサ素子1012、第3のセンサ素子1013、メモリ103に信号レベルHのCS_1信号を送信する。制御信号処理部1021は、第1のセンサ素子1011、第2のセンサ素子1012、第3のセンサ素子1013、メモリ103それぞれをMPU201と通信無効状態にする。以上のように、MPU201は、CS_H信号で選択した複数の被制御機器に対する通信の開始、遮断を同時に制御できる。
【0054】
上記説明した第1の実施形態は、標準的な3線式シリアル通信をそのまま利用した例である。したがって、MPU201とカメラヘッド10の制御信号処理部1021との間の信号線は、3線+CS_Hの4本ある。MPU201とカメラヘッド10の制御信号処理部1021との間の通信を調歩同期式の単方向通信または単一線の双方向通信にすることで、信号線数をさらに削減できる。
【0055】
さらに、MPU201とカメラヘッド10の制御信号処理部1021との間では、コマンドを工夫することでCS_H信号線を減らすことも可能である。図6は、第2の実施形態に係る選択コマンドの構成図である。図6は、CS_H信号線を省略し、調歩同期式の単方向通信で送信する信号制御コマンドの構成図である。ヘッド分離型カメラ装置の構成は、図1を用いて説明した第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0056】
ここで、信号制御コマンドの長さは固定長である。また、MPU201は、制御信号処理部1021に信号制御コマンド以外の他のコマンドを送信しないものとする。さらに、制御信号処理部1021が1つの被制御機器に対してCS信号とRST信号を同時に制御することは不要であるため、信号制御コマンドは、4つの被制御機器それぞれの各ビットとCS/RST選択ビットにより、被制御機器数×2本の信号を、被制御機器数+1ビットで制御している。図6の選択コマンドに示される被制御機器1は、第1のセンサ素子1011に対するビットを示している。同様に、被制御機器2は第2のセンサ素子1012、被制御機器3は第3のセンサ素子1013、被制御機器4はメモリ103に対するビットをそれぞれ示している。
【0057】
MPU201は、被制御機器と、そのコマンド長を予め決定し、制御信号処理部1021に選択コマンドを送信する。制御信号処理部1021は、開始ビットを受信すると、固定長分だけ読み込んで解析して、4つの被制御機器を制御する。制御信号処理部1021は、選択コマンドに基づいて4つの被制御機器にCS信号を送信する。
【0058】
制御信号処理部1021は、選択コマンドの次コマンドのビット数に設定されたビット数分、MPU201から送信される制御信号をスルー出力する。制御信号処理部1021は、この間、MPU201から送信される制御信号を無視する。
【0059】
次コマンドが終了すると、制御信号処理部1021は、自動的に4つの被制御機器それぞれに信号レベルHのCS信号を送信する。制御信号処理部1021は図6に示す選択コマンドに基づいて、どの期間の制御信号を制御信号処理部1021が受信し、どの期間の制御信号をスルー出力するのかを判断できる。したがって、MPU201と制御信号処理部1021との間の通信は、信号線が1線であって、かつ最小限のコマンド長と通信時間で実現できる。
【0060】
本実施形態では、カメラヘッド10の制御信号処理部1021を中継しているが、制御信号処理部1021の代わりにMPUなどをカメラヘッド10に設けて代用することも可能である。
【0061】
本実施形態によれば、映像信号をシリアル化するなどの目的でカメラヘッド10に設けられている制御信号処理部1021(またはMPU)を活用することで信号線の数を削減することが可能となる。カメラヘッド10は、本実施形態を実現するために、新たなIC(Integrated circuit)などを搭載する必要はない。MPU201は、制御信号処理部1021を通じて各被制御機器へのCS信号、RST信号を制御するので、MPU201と各被制御機器との間の信号線は不要である。したがって、被制御機器の数の増加に関わらず、カメラヘッド10とCCU20との間で信号線の数は増加しない。結果として、カメラヘッド10の小型化を効果的に促進させることが可能となる。
【0062】
また、MPU201は、各被制御機器に対する制御信号をコマンド化及び共通化して制御信号処理部1021に送信しているので、任意の複数の被制御機器を同時に制御できる。例えば、MPU201が第1のセンサ素子1011、第2のセンサ素子1012、第3のセンサ素子1013に同一の制御をする場合、本実施形態により、通信時間を短縮できる。
【0063】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0064】
10…カメラヘッド、20…CCU、30…カメラケーブル、101…センサ、102…PLD、103…メモリ、201…MPU、205…映像信号処理部、206…映像出力部、1011…第1のセンサ素子、1012…第2のセンサ素子、1013…第3のセンサ素子、1021…制御信号処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、制御信号を供給する1本の制御線を含み、前記撮像装置と前記制御装置とを接続するケーブルとを有するヘッド分離型カメラ装置において、
前記制御装置は、
前記撮像装置における1以上の被制御素子の中で、制御対象となる被制御素子を通知する選択コマンド、及び制御対象への制御内容を示す制御データを含む前記制御信号を出力する第1の制御手段と、を有し、
前記撮像装置は、
前記選択コマンドに基づいて、少なくとも前記制御対象となる被制御素子に対して、制御対象か否かを通知する個別選択コマンド、及び前記制御データを送信する第2の制御手段と、
を有するヘッド分離型カメラ装置。
【請求項2】
前記第2の制御手段は、前記第1の制御手段から前記選択コマンドを受信している間、前記被制御素子への前記制御データを送信しない請求項1記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項3】
前記第1の制御手段は、前記制御対象となる被制御素子と通信終了後、前記制御対象となる被制御素子を非制御対象に設定する前記選択コマンドを前記第2の制御手段に送信する請求項1記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項4】
前記第1の制御手段は、前記第2の制御手段と前記第1の制御手段との通信無効期間を含めた前記制御信号を前記第2の制御手段に送信する請求項1記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項5】
前記第2の制御手段は、前記通信無効期間が終了すると、前記制御対象となる被制御素子に対して前記制御データを送信終了する請求項4記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項6】
前記被制御素子は、センサ素子またはメモリである請求項1記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項7】
制御装置にケーブルを介して接続されるヘッド分離型カメラ装置の撮像装置において、
前記制御装置から、前記撮像装置における1以上の被制御素子の中で、制御対象となる被制御素子を通知する選択コマンド、及び制御対象への制御内容を示す制御データを含む制御信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記選択コマンドに基づいて、少なくとも前記制御対象となる被制御素子に対して、制御対象か否かを通知する個別選択コマンド、及び前記制御データを送信する制御手段と、
を有する撮像装置。
【請求項8】
前記被制御素子は、センサ素子またはメモリである請求項7記載のヘッド撮像装置。
【請求項9】
撮像装置にケーブルを介して接続されるヘッド分離型カメラ装置の制御装置において、
前記撮像装置における1以上の被制御素子の中で、制御対象となる被制御素子を通知する選択コマンド、及び制御対象への制御内容を示す制御データを含む制御信号を出力する制御手段と、
を有する制御装置。
【請求項10】
撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置とを有するヘッド分離型カメラ装置において、
前記制御装置は、
前記撮像装置における1以上の被制御素子の中で、制御対象となる被制御素子を通知する選択コマンド、及び制御対象への制御内容を示す制御データを含む制御信号を出力する第1の制御手段と、を有し、
前記撮像装置は、
前記選択コマンドに基づいて、少なくとも前記制御対象となる被制御素子に対して、制御対象か否かを通知する個別選択コマンド、及び前記制御データを送信する第2の制御手段と、
を有するヘッド分離型カメラ装置。
【請求項11】
前記第2の制御手段は、前記第1の制御手段から前記選択コマンドを受信している間、前記被制御素子への前記制御データを送信しない請求項10記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項12】
前記第1の制御手段は、前記制御対象となる被制御素子と通信終了後、前記制御対象となる被制御素子を非制御対象に設定する前記選択コマンドを前記第2の制御手段に送信する請求項10記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項13】
前記第1の制御手段は、前記第2の制御手段と前記第1の制御手段との通信無効期間を含めた前記制御信号を前記第2の制御手段に送信する請求項10記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項14】
前記第2の制御手段は、前記通信無効期間が終了すると、前記制御対象となる被制御素子に対して前記制御データを送信終了する請求項13記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項15】
前記被制御素子は、センサ素子またはメモリである請求項10記載のヘッド分離型カメラ装置。
【請求項16】
制御装置と通信するヘッド分離型カメラ装置の撮像装置において、
前記制御装置から、前記撮像装置における1以上の被制御素子の中で、制御対象となる被制御素子を通知する選択コマンド、及び制御対象への制御内容を示す制御データを含む制御信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記選択コマンドに基づいて、少なくとも前記制御対象となる被制御素子に対して、制御対象か否かを通知する個別選択コマンド、及び前記制御データを送信する制御手段と、
を有する撮像装置。
【請求項17】
前記被制御素子は、センサ素子またはメモリである請求項16記載のヘッド撮像装置。
【請求項18】
撮像装置と通信するヘッド分離型カメラ装置の制御装置において、
前記撮像装置における1以上の被制御素子の中で、制御対象となる被制御素子を通知する選択コマンド、及び制御対象への制御内容を示す制御データを含む制御信号を出力する制御手段と、
を有する制御装置。
【請求項19】
撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、制御信号を供給する1本の制御線を含み、前記撮像装置と前記制御装置とを接続するケーブルとを有するヘッド分離型カメラ装置の制御方法において、
前記制御装置では、前記撮像装置における1以上の被制御素子の中で、制御対象となる被制御素子を通知する選択コマンド、及び制御対象への制御内容を示す制御データを含む前記制御信号を出力し、
前記撮像装置では、前記選択コマンドに基づいて、少なくとも前記制御対象となる被制御素子に対して、制御対象か否かを通知する個別選択コマンド、及び前記制御データを送信する、
ヘッド分離型カメラ装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−139534(P2011−139534A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64874(P2011−64874)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【分割の表示】特願2009−296137(P2009−296137)の分割
【原出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】