ヘルメット装着用レインキャップ
【課題】降雨降雪時の屋外で、作業用ヘルメット装着しての作業において、雨粒などの頭部への付着による、視界不良や体温の低下および不快感を除去し、作業効率の向上と快適な作業環境を提供する。
【解決手段】ヘルメット1の上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体10と、平面視においてキャップ冠体10から前方に突出された前方鍔部8、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部9とを備える。
【解決手段】ヘルメット1の上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体10と、平面視においてキャップ冠体10から前方に突出された前方鍔部8、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部9とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、降雨降雪時に屋外にて作業を行う際に作業用ヘルメットに装着するヘルメット装着用レインキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、港湾や工事現場などで使用されている作業用ヘルメットは、頭上からの落下物または目線から上方の突起物や障害物などから、作業者の頭部を保護する事を目的として設計及び製造されている。この作業用ヘルメットは、図6に示すように、概ね人間の耳から上方、頭部の上半分を保護する形状になっている。
【0003】
しかし、図6のような従来の作業用ヘルメット16には、降雨降雪時の雨粒や雪から顔面や後頭部及び首筋を保護する機能はほとんどない。またこの作業用ヘルメット16は、直射日光が目に入り眩しく感じる事を低減する為に、図6の4の様な小さな庇が付く程度である。
【0004】
それゆえ現状では、降雨降雪時や夏季の強い日差し、冬季の寒風などから、顔面や後頭部、首筋を保護し少しでも快適に作業をする為に、一般的には作業ヘルメットの下に、庇の広い帽子を被ったり、タオルや手拭いで頭部や首回りを覆ったりした上で、さらにその上から作業用ヘルメットを被り作業を行うという手段が知られている。
これらの対策方法は、作業員の工夫やアイデアによって以前からおこなわれている方法であるが、これを応用し、夏の日差しを防ぐための遮光布を作業用ヘルメットに簡易的に取り付ける手段などが例えば、特許文献1に開示されている。しかし、これらは主に、日差しや風を遮る事で防暑および防寒の効果を得る事を目的としている。
【0005】
また、従来の作業用ヘルメットや防災用ヘルメットには、特許文献2、3の開示技術に代表される様な、顔面保護用として透明な合成樹脂製のシールドを取り付けた、もしくは取り付けられる構造を有する物も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3052564号公報
【特許文献2】特開2003−82518号公報
【特許文献3】特開2005−273107公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の作業用ヘルメットや、特許文献1の防暑防寒具付き作業ヘルメットもしくは首回りにタオルを巻くなどの方法では、特に降雨降雪時における屋外での作業の際、顔面や後頭部および首筋に雨粒が付着する事により、非常に不快感を覚えると共に、雨粒の気化熱作用により作業者の体温を奪い、疲労を増幅させてしまう。
【0008】
さらに、図6に示すような従来の一般的な作業用ヘルメット16には、作業者の耳を保護する機能は無く、特に降雨降雪時の屋外における作業の際、耳に雨粒や雪が付着する事により、作業者は非常に不快感を覚え、意識も散漫になり、作業に集中できないこともある。
【0009】
また、降雨降雪時における屋外での作業の際、雨粒が顔面に付着すると同時に、これが目に入ったり、もしくは眼鏡のレンズ表面に付着する事により、視界の低下を招いてしまう。
【0010】
そのため、濡れる度にタオルやハンカチなどで拭き取る必要があり、作業に対する能率や作業中の安全性が低下してしまうという問題もある。顔面保護用として特許文献2や、特許文献3の開示技術に代表される様な、透明な合成樹脂製のシールドを取り付けた、もしくは取り付けられる構造を有する物も知られているが、これらもシールドに雨粒が付着し視界の低下を招くという問題点は同じである。
【0011】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであり、雨天降雪時に、顔面および後頭部および首回りに付着する雨粒などを遮へいし、不快感の低減を図ると共に、視界と快適性を向上させたヘルメット装着用レインキャップ、レインキャップセット、レインキャップ付きヘルメットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した問題点を解決するために、ヘルメットの上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体と、平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えることにより、雨粒が頭部にかからないようにするための形状からなるヘルメット装着用レインキャップを発明した。
【0013】
請求項1記載のヘルメット装着用レインキャップは、ヘルメットの上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体と、平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載のヘルメット装着用レインキャップは、請求項1記載の発明において、上記前方鍔部の先端側から上記キャップ冠体頂部又は後頭部にかけて、凸または凹形状のリブが形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載のヘルメット装着用レインキャップは、請求項1又は2記載の発明において、上記庇部は、少なくとも装着者の耳に応じた箇所が外側へ段差をもって拡径されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載のレインキャップセットは、請求項1〜3のうち何れか1項記載のヘルメット装着用レインキャンプと、上記ヘルメット装着用レインキャップに着脱自在に装着されるヘルメットとを備え、上記ヘルメット装着用レインキャップは、上記ヘルメットと連結するための第1の連結手段が設けられ、上記ヘルメットは、上記連結手段と対応する位置に設けられてなるとともに上記第1の連結手段との間で機械的に連結自在な第2の連結手段が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載のレインキャップセットは、請求項4記載の発明において、上記第2の連結手段は、上記ヘルメットの下端部周辺における内面に設けられ、上記第1の連結手段は、上記キャップ冠体の内側に内向きで吊下げられてなるとともに、これを折り返すことにより上記第1の連結手段と連結自在とされていることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載のレインキャップ付きヘルメットは、ヘルメットに一体的に形成されたキャップ冠体と、平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、当該レインキャップは、作業用ヘルメットに取り付けた状態を上部からみた平面視において、前記ヘルメットを覆う形状を有し、かつ前記ヘルメットよりも外側に突出し、雨粒が頭部にかからない様にするための形状を成す、顔面防御用の前方へ張り出した庇および首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇を有する構造になっている。このため、作業者の顔面や後頭部および首筋を、降雨降雪による雨粒などから防ぐことができ、作業者が寒さや蒸れや視界低下などを感じることなく快適に作業をできる環境を実現できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ヘルメットの上にレインキャップを取り付けた状態を示した側面図である。
【図2】ヘルメットとレインキャップの使用状態を示した斜視図である。
【図3】ヘルメットの上からレインキャップを取り付けた状態を示した平面図である。
【図4】ヘルメットとレインキャップの固定部の詳細を示した正面から見た断面図である。
【図5】レインキャップとヘルメットの組合せを説明する為の斜視図である。
【図6】従来の一般的な作業用ヘルメットの使用状態を示した斜視図である。
【図7】雨除け部を備えたヘルメットを示した側面図である。
【図8】雨除け部を備えたヘルメットの使用状態を示した斜視図である。
【図9】雨除け部を備えたヘルメットの形状を示した正面図である。
【図10】本発明のレインキャップおよびヘルメットの雨粒に対する保護範囲を示す側面図である。
【図11】従来の一般的な作業用ヘルメットの雨粒に対する保護範囲を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用したヘルメット装着用レインキャップについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1はヘルメット1の上からレインキャップ2を取り付けて使用している状態を示した側面図であり、図2はヘルメット1とレインキャップ2を使用している状態を示す斜視図であり、図3はヘルメット1の上からレインキャップ2を取り付けた状態を示した平面図であり、図4は図1に示される固定部3について詳細に示した正面から視認した部分断面図であり、図5はレインキャップ2とヘルメット1の組合せを説明するための斜視図である。
【0023】
図1において、適宜なプラスチックもしくは金属の材料によって一体成形されたヘルメット1の上から、適宜な透明の例えばプラスチック材料によって一体成形されたレインキャップ2を被せ、これを連結し固定するための第1連結部3が、ヘルメット1の内側下端部周辺の任意の箇所に設けられ、これに相対する、レインキャップ2の内側の箇所に第2連結部23が設けられている。この第1連結部3、第2連結部23は、雌雄組合せになるような、面ファスナー(例えばマジックテープ(登録商標)等)や、ホックまたはボタン等とされている。
【0024】
ヘルメット1の前方には、図5に示すように、鍔部4が設置されることが多く、またヘルメット1の下端周辺には反りまたは溝状の水切り部5が設置されることも多い。ヘルメット1の内部には、ヘッドバンド6が取り付けられ、このヘッドバンド6の側面部にアゴ紐7が取り付けられている。
【0025】
レインキャップ2は、ヘルメットの上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体10を有している。キャップ冠体10は、レインキャップ2の、着用者の頭部に沿って相対する半球形の部分を指す。そして、平面視においてキャップ冠体10の周囲から前方に突出された前方鍔部8、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部9とを有している。
【0026】
前方鍔部8は、レインキャップ2の前方に設けられ、ヘルメット1の前方に設けられている鍔部4に覆い被さるように、この鍔部4と比べて2倍から8倍程度の面積を有し、雨粒が顔面にかかることを防ぐことが可能なように設けられている。即ち、この前方鍔部8は、顔面防御用のために前方へ張り出した構成とされている。また側頭部から後頭部にかけての下部には、装着対象としてのヘルメット1の水切り部5を覆い、さらに装着者の耳および後頭部と首回りの上部を覆う、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部9が設けられている。
【0027】
顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部8と首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部9を併せて、以下雨除け部と称する。庇部9の端部19は外側に折り返されていてもよい。
【0028】
また、図示していないが、レインキャップ2の内側の概ね側頭部周辺には、アゴ紐が取り付けられる場合もある。
【0029】
図11に示すように、従来の一般的な作業用ヘルメットのみを装着した場合に比べ、本発明では、図10に示すように、前記雨除け部によって真上から落下してくる雨粒だけでなく、風雨の際に斜め45度方向から吹き込んでくる雨粒に対しても、作業者の顔面や後頭部および首筋のほぼ全域を防ぐことができる。このため、本発明では、作業者の快適な頭部環境を確保することを実現している。
【0030】
図2において、レインキャップ2は、適宜な透明材料によって一体成形されるが、キャップ冠体10およびその周辺の形状は、ヘルメット1の形状に倣うような形状が好ましい。
【0031】
しかしながら、ヘルメット1に類似する、従来の既存品のヘルメットを使用されている場合においては、レインキャップ2は、様々な形状や大きさのヘルメットに対応できるように、レインキャップ帽体部10の突起部や帽体の大きさを、少し大きめに形成すると共に、レインキャップ内側の任意の3か所または4か所に、スポンジやゴムなどの適宜の素材を、隙間を埋める緩衝材11として設けるのも良い。
【0032】
また、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部9は、その上部のレインキャップ帽体部10よりも外側に突出して形成されている。
【0033】
さらに、大顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部8の先端部側からキャップ冠体10頂部又は後頭部にかけて、凸または凹形状の補強リブ12が形成されていてもよい。
【0034】
この補強リブ12が形成されることにより、本発明のレインキャップの強度を向上させることができ、風による庇部分を含めた雨除け部の振動や、雨除け部が外部物体と接触した際に生じる大幅な変形を防止し、雨粒などから作業者の顔面や後頭部および首筋を防ぐ機能が低下することを防止できる。
【0035】
また、前項に記載した通り、本発明のレインキャップ2が透明の例えばプラスチック材料などによって形成されたことにより、本発明のレインキャップ2の内部に装着されている前記ヘルメット1および既存の作業用ヘルメットおよび帽子に掲示されたている団体名や、氏名、番号といった文字や記号、もしくはヘルメット1の色による分類などを、外部から可視できるようにした事で、本発明のレインキャップ2を装着した状態でも、非装着時と同等の識別および作業の遂行できることになる。
【0036】
図3において、ヘルメット1を覆う形状を有するレインキャップ2が、顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部8と首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部9によって雨粒が頭部にかからない様にするための形状を成し、ヘルメット1よりも外側に突出している特徴を示している。
【0037】
レインキャップ2を構成する前方鍔部8、庇部9は、上部からみた平面視において、ヘルメット1を覆う形状を有し、かつヘルメット1よりも外側に突出し、雨粒が頭部にかからない様にするための形状をなしている。 庇部9は、図1に示すように、装着者の顎とほぼ同様の高さとなるように下方向に延長されていてもよいが、装着者の耳たぶの高さと同程度まで浅めに設定されたものであってもよい。庇部9の長さは、例えば5〜15cmとされていてもよいが、これに限定されるものではない。
【0038】
図4において、ヘルメット1の上からレインキャップ2を取り付ける際に、ヘルメット1の下端部周辺の表面または裏面の適当な位置に取り付けられた、例えばマジックテープ(登録商標)等をはじめとした面ファスナーもしくはホックなどの第1連結部3と、レインキャップ2の裏面の相対する場所にも取り付けられた面ファスナーもしくはホックなどの第2連結部23とを着脱自在に連結させることで、ヘルメット1とレインキャップ2が強固に且つ着脱可能に固定できるようになり、作業中にレインキャップ2が所定の取り付け位置からずれたり脱落することを防ぐことができる。
【0039】
なお、図4に示す面ファスナーを使用した構造では、第1連結部3が、ヘルメット1の下端部周辺における内面に設けられ、第2連結部23がキャップ冠体10の内側に内向きで吊下げられてなるとともに、これを折り返すことにより第1連結部3と連結自在とされていてもよい。このとき、第2連結部23は、布体等に縫い付けられた面ファスナー等として構成されていてもよい。但し、この図4に示す形態は、一例であり、機械的に連結する構造であれば、全てあてはまるものである。
【0040】
また、図4に示す、面ファスナーもしくはホックなどの第1連結部3および第2連結部23を併せた連結部は、ヘルメット1の下端部周辺および相対するレインキャップ2の裏面の、3箇所以上の複数の任意の場所に設定するのが望ましい。
【0041】
なお庇部9は、図4に示すように外側へ段差をもって拡径されていてもよい。この拡径されている部分は、少なくとも装着者の耳に応じた箇所であればよい。これにより、装着者がヘッドホンを着用しながら作業をしなければならない場合において、この拡径された庇部9により、ヘッドホンを着用するためのスペースを耳の周辺において確保することができ、しかも雨水がかかるのを防止することが可能となる。
【0042】
また、この庇部9は、斜下に立ち下げられ、次に垂下方向に向けて延長された構成とされているが、これに限定されるものではなく、斜下のみ立ち下げられ、或いは垂下方向のみにむけて立ち下げられるものであってもよいし、両者の組合せで構成されていてもよい。
【0043】
図5においては、ヘルメット1のほぼ直上から、レインキャップ2を被せて連結することを示しているが、例えば顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部8の形状が図示している物とは若干異なる場合などにおいては、ヘルメット1のほぼ直上だけではなく、ヘルメット1の後方または側方もしくは前方から、レインキャップ2を被せて連結するようにしてもよい。
【0044】
なお、本発明は、上述したヘルメット1と、レインキャップ2とを組み合わせたレインキャップセットとして実施するようにしてもよいことは勿論である。
【0045】
以下、本発明を適用したレインキャップ付きヘルメットについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
図7は、本発明を適用したレインキャップ付きヘルメット13の形状を示した側面図であり、図8はレインキャップ付きヘルメット13の使用状態を示す斜視図であり、図9はレインキャップ付きヘルメット13の正面図である。
【0047】
図7において、レインキャップ付きヘルメット13は、適宜なプラスチックもしくは金属の材料によって一体成形され、帽体部前面には太陽の強い日差しや、降雨降雪が顔面に当らないようにするための、顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部14が設けられ、帽体部の側頭部から後頭部の下部にも、太陽の強い日差しや、降雨降雪が側頭部および後頭部および耳周辺および首の周辺にあたらないようにするための、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部15が設けられている。前方鍔部14の詳細は、前方鍔部8と同様であり、庇部15の構成は、庇部9と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0048】
また、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部15の下端周辺には反りまたは溝状の水切り部16が設置され、前記ヘルメット13の上部から流れてきた雨水が、ヘルメット裏面および首周辺に付着することを防ぐ。
【0049】
雨除け部を備えた作業用ヘルメット13の内部には、ヘッドバンド17が取り付けられ、このヘッドバンド17の側面部にアゴ紐18が取り付けられている。
【0050】
顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部14と首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部15を併せて、雨除け部と称する。
【0051】
図8においては、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部15は、その上部のキャップ冠体10よりも外側に突出して形成されていることを示している。
【0052】
さらに、顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部14の先端部から帽体部にかけて、任意の凸または凹形状の補強リブ20が形成されている。
【0053】
この補強リブ20が形成されることにより、本発明のヘルメットの強度を向上させることができ、風による庇部分を含めた雨除け部の振動や、雨除け部が外部物体と接触した際に生じる大幅な変形を防止し、雨粒などから作業者の顔面や後頭部および首筋を防ぐ機能を低下させないことになる。
【0054】
また、図10および図11における斜線矢印は、風雨の際の一例として45度方向から降雨する雨粒の軌跡を図示したもので、人体部の網目模様部は、雨粒が付着する範囲を示している。
【0055】
これらの図によると、図11の様な従来の一般的な作業用ヘルメット16では、作業者のアゴや後頭部および首の一部に雨粒が付着してしまう事を示しているが、これに対し、図10に示す、雨除け部を備えたレインキャップ付きヘルメット13では、顔面および後頭部、首周辺には雨粒が付着しないように構成することが可能となる。また、このレインキャップ付きヘルメット13も、上述した他の効果も奏し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 ヘルメット
2 レインキャップ
3 第1連結部
4 鍔部
5 水切り部
6 ヘッドバンド
7 アゴ紐
8 前方鍔部
9 庇部
10 キャップ冠体
11 緩衝材
12 補強リブ
23 第2連結部
【技術分野】
【0001】
この発明は、降雨降雪時に屋外にて作業を行う際に作業用ヘルメットに装着するヘルメット装着用レインキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、港湾や工事現場などで使用されている作業用ヘルメットは、頭上からの落下物または目線から上方の突起物や障害物などから、作業者の頭部を保護する事を目的として設計及び製造されている。この作業用ヘルメットは、図6に示すように、概ね人間の耳から上方、頭部の上半分を保護する形状になっている。
【0003】
しかし、図6のような従来の作業用ヘルメット16には、降雨降雪時の雨粒や雪から顔面や後頭部及び首筋を保護する機能はほとんどない。またこの作業用ヘルメット16は、直射日光が目に入り眩しく感じる事を低減する為に、図6の4の様な小さな庇が付く程度である。
【0004】
それゆえ現状では、降雨降雪時や夏季の強い日差し、冬季の寒風などから、顔面や後頭部、首筋を保護し少しでも快適に作業をする為に、一般的には作業ヘルメットの下に、庇の広い帽子を被ったり、タオルや手拭いで頭部や首回りを覆ったりした上で、さらにその上から作業用ヘルメットを被り作業を行うという手段が知られている。
これらの対策方法は、作業員の工夫やアイデアによって以前からおこなわれている方法であるが、これを応用し、夏の日差しを防ぐための遮光布を作業用ヘルメットに簡易的に取り付ける手段などが例えば、特許文献1に開示されている。しかし、これらは主に、日差しや風を遮る事で防暑および防寒の効果を得る事を目的としている。
【0005】
また、従来の作業用ヘルメットや防災用ヘルメットには、特許文献2、3の開示技術に代表される様な、顔面保護用として透明な合成樹脂製のシールドを取り付けた、もしくは取り付けられる構造を有する物も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3052564号公報
【特許文献2】特開2003−82518号公報
【特許文献3】特開2005−273107公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の作業用ヘルメットや、特許文献1の防暑防寒具付き作業ヘルメットもしくは首回りにタオルを巻くなどの方法では、特に降雨降雪時における屋外での作業の際、顔面や後頭部および首筋に雨粒が付着する事により、非常に不快感を覚えると共に、雨粒の気化熱作用により作業者の体温を奪い、疲労を増幅させてしまう。
【0008】
さらに、図6に示すような従来の一般的な作業用ヘルメット16には、作業者の耳を保護する機能は無く、特に降雨降雪時の屋外における作業の際、耳に雨粒や雪が付着する事により、作業者は非常に不快感を覚え、意識も散漫になり、作業に集中できないこともある。
【0009】
また、降雨降雪時における屋外での作業の際、雨粒が顔面に付着すると同時に、これが目に入ったり、もしくは眼鏡のレンズ表面に付着する事により、視界の低下を招いてしまう。
【0010】
そのため、濡れる度にタオルやハンカチなどで拭き取る必要があり、作業に対する能率や作業中の安全性が低下してしまうという問題もある。顔面保護用として特許文献2や、特許文献3の開示技術に代表される様な、透明な合成樹脂製のシールドを取り付けた、もしくは取り付けられる構造を有する物も知られているが、これらもシールドに雨粒が付着し視界の低下を招くという問題点は同じである。
【0011】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであり、雨天降雪時に、顔面および後頭部および首回りに付着する雨粒などを遮へいし、不快感の低減を図ると共に、視界と快適性を向上させたヘルメット装着用レインキャップ、レインキャップセット、レインキャップ付きヘルメットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した問題点を解決するために、ヘルメットの上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体と、平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えることにより、雨粒が頭部にかからないようにするための形状からなるヘルメット装着用レインキャップを発明した。
【0013】
請求項1記載のヘルメット装着用レインキャップは、ヘルメットの上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体と、平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載のヘルメット装着用レインキャップは、請求項1記載の発明において、上記前方鍔部の先端側から上記キャップ冠体頂部又は後頭部にかけて、凸または凹形状のリブが形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載のヘルメット装着用レインキャップは、請求項1又は2記載の発明において、上記庇部は、少なくとも装着者の耳に応じた箇所が外側へ段差をもって拡径されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載のレインキャップセットは、請求項1〜3のうち何れか1項記載のヘルメット装着用レインキャンプと、上記ヘルメット装着用レインキャップに着脱自在に装着されるヘルメットとを備え、上記ヘルメット装着用レインキャップは、上記ヘルメットと連結するための第1の連結手段が設けられ、上記ヘルメットは、上記連結手段と対応する位置に設けられてなるとともに上記第1の連結手段との間で機械的に連結自在な第2の連結手段が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載のレインキャップセットは、請求項4記載の発明において、上記第2の連結手段は、上記ヘルメットの下端部周辺における内面に設けられ、上記第1の連結手段は、上記キャップ冠体の内側に内向きで吊下げられてなるとともに、これを折り返すことにより上記第1の連結手段と連結自在とされていることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載のレインキャップ付きヘルメットは、ヘルメットに一体的に形成されたキャップ冠体と、平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、当該レインキャップは、作業用ヘルメットに取り付けた状態を上部からみた平面視において、前記ヘルメットを覆う形状を有し、かつ前記ヘルメットよりも外側に突出し、雨粒が頭部にかからない様にするための形状を成す、顔面防御用の前方へ張り出した庇および首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇を有する構造になっている。このため、作業者の顔面や後頭部および首筋を、降雨降雪による雨粒などから防ぐことができ、作業者が寒さや蒸れや視界低下などを感じることなく快適に作業をできる環境を実現できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ヘルメットの上にレインキャップを取り付けた状態を示した側面図である。
【図2】ヘルメットとレインキャップの使用状態を示した斜視図である。
【図3】ヘルメットの上からレインキャップを取り付けた状態を示した平面図である。
【図4】ヘルメットとレインキャップの固定部の詳細を示した正面から見た断面図である。
【図5】レインキャップとヘルメットの組合せを説明する為の斜視図である。
【図6】従来の一般的な作業用ヘルメットの使用状態を示した斜視図である。
【図7】雨除け部を備えたヘルメットを示した側面図である。
【図8】雨除け部を備えたヘルメットの使用状態を示した斜視図である。
【図9】雨除け部を備えたヘルメットの形状を示した正面図である。
【図10】本発明のレインキャップおよびヘルメットの雨粒に対する保護範囲を示す側面図である。
【図11】従来の一般的な作業用ヘルメットの雨粒に対する保護範囲を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用したヘルメット装着用レインキャップについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1はヘルメット1の上からレインキャップ2を取り付けて使用している状態を示した側面図であり、図2はヘルメット1とレインキャップ2を使用している状態を示す斜視図であり、図3はヘルメット1の上からレインキャップ2を取り付けた状態を示した平面図であり、図4は図1に示される固定部3について詳細に示した正面から視認した部分断面図であり、図5はレインキャップ2とヘルメット1の組合せを説明するための斜視図である。
【0023】
図1において、適宜なプラスチックもしくは金属の材料によって一体成形されたヘルメット1の上から、適宜な透明の例えばプラスチック材料によって一体成形されたレインキャップ2を被せ、これを連結し固定するための第1連結部3が、ヘルメット1の内側下端部周辺の任意の箇所に設けられ、これに相対する、レインキャップ2の内側の箇所に第2連結部23が設けられている。この第1連結部3、第2連結部23は、雌雄組合せになるような、面ファスナー(例えばマジックテープ(登録商標)等)や、ホックまたはボタン等とされている。
【0024】
ヘルメット1の前方には、図5に示すように、鍔部4が設置されることが多く、またヘルメット1の下端周辺には反りまたは溝状の水切り部5が設置されることも多い。ヘルメット1の内部には、ヘッドバンド6が取り付けられ、このヘッドバンド6の側面部にアゴ紐7が取り付けられている。
【0025】
レインキャップ2は、ヘルメットの上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体10を有している。キャップ冠体10は、レインキャップ2の、着用者の頭部に沿って相対する半球形の部分を指す。そして、平面視においてキャップ冠体10の周囲から前方に突出された前方鍔部8、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部9とを有している。
【0026】
前方鍔部8は、レインキャップ2の前方に設けられ、ヘルメット1の前方に設けられている鍔部4に覆い被さるように、この鍔部4と比べて2倍から8倍程度の面積を有し、雨粒が顔面にかかることを防ぐことが可能なように設けられている。即ち、この前方鍔部8は、顔面防御用のために前方へ張り出した構成とされている。また側頭部から後頭部にかけての下部には、装着対象としてのヘルメット1の水切り部5を覆い、さらに装着者の耳および後頭部と首回りの上部を覆う、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部9が設けられている。
【0027】
顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部8と首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部9を併せて、以下雨除け部と称する。庇部9の端部19は外側に折り返されていてもよい。
【0028】
また、図示していないが、レインキャップ2の内側の概ね側頭部周辺には、アゴ紐が取り付けられる場合もある。
【0029】
図11に示すように、従来の一般的な作業用ヘルメットのみを装着した場合に比べ、本発明では、図10に示すように、前記雨除け部によって真上から落下してくる雨粒だけでなく、風雨の際に斜め45度方向から吹き込んでくる雨粒に対しても、作業者の顔面や後頭部および首筋のほぼ全域を防ぐことができる。このため、本発明では、作業者の快適な頭部環境を確保することを実現している。
【0030】
図2において、レインキャップ2は、適宜な透明材料によって一体成形されるが、キャップ冠体10およびその周辺の形状は、ヘルメット1の形状に倣うような形状が好ましい。
【0031】
しかしながら、ヘルメット1に類似する、従来の既存品のヘルメットを使用されている場合においては、レインキャップ2は、様々な形状や大きさのヘルメットに対応できるように、レインキャップ帽体部10の突起部や帽体の大きさを、少し大きめに形成すると共に、レインキャップ内側の任意の3か所または4か所に、スポンジやゴムなどの適宜の素材を、隙間を埋める緩衝材11として設けるのも良い。
【0032】
また、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部9は、その上部のレインキャップ帽体部10よりも外側に突出して形成されている。
【0033】
さらに、大顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部8の先端部側からキャップ冠体10頂部又は後頭部にかけて、凸または凹形状の補強リブ12が形成されていてもよい。
【0034】
この補強リブ12が形成されることにより、本発明のレインキャップの強度を向上させることができ、風による庇部分を含めた雨除け部の振動や、雨除け部が外部物体と接触した際に生じる大幅な変形を防止し、雨粒などから作業者の顔面や後頭部および首筋を防ぐ機能が低下することを防止できる。
【0035】
また、前項に記載した通り、本発明のレインキャップ2が透明の例えばプラスチック材料などによって形成されたことにより、本発明のレインキャップ2の内部に装着されている前記ヘルメット1および既存の作業用ヘルメットおよび帽子に掲示されたている団体名や、氏名、番号といった文字や記号、もしくはヘルメット1の色による分類などを、外部から可視できるようにした事で、本発明のレインキャップ2を装着した状態でも、非装着時と同等の識別および作業の遂行できることになる。
【0036】
図3において、ヘルメット1を覆う形状を有するレインキャップ2が、顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部8と首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部9によって雨粒が頭部にかからない様にするための形状を成し、ヘルメット1よりも外側に突出している特徴を示している。
【0037】
レインキャップ2を構成する前方鍔部8、庇部9は、上部からみた平面視において、ヘルメット1を覆う形状を有し、かつヘルメット1よりも外側に突出し、雨粒が頭部にかからない様にするための形状をなしている。 庇部9は、図1に示すように、装着者の顎とほぼ同様の高さとなるように下方向に延長されていてもよいが、装着者の耳たぶの高さと同程度まで浅めに設定されたものであってもよい。庇部9の長さは、例えば5〜15cmとされていてもよいが、これに限定されるものではない。
【0038】
図4において、ヘルメット1の上からレインキャップ2を取り付ける際に、ヘルメット1の下端部周辺の表面または裏面の適当な位置に取り付けられた、例えばマジックテープ(登録商標)等をはじめとした面ファスナーもしくはホックなどの第1連結部3と、レインキャップ2の裏面の相対する場所にも取り付けられた面ファスナーもしくはホックなどの第2連結部23とを着脱自在に連結させることで、ヘルメット1とレインキャップ2が強固に且つ着脱可能に固定できるようになり、作業中にレインキャップ2が所定の取り付け位置からずれたり脱落することを防ぐことができる。
【0039】
なお、図4に示す面ファスナーを使用した構造では、第1連結部3が、ヘルメット1の下端部周辺における内面に設けられ、第2連結部23がキャップ冠体10の内側に内向きで吊下げられてなるとともに、これを折り返すことにより第1連結部3と連結自在とされていてもよい。このとき、第2連結部23は、布体等に縫い付けられた面ファスナー等として構成されていてもよい。但し、この図4に示す形態は、一例であり、機械的に連結する構造であれば、全てあてはまるものである。
【0040】
また、図4に示す、面ファスナーもしくはホックなどの第1連結部3および第2連結部23を併せた連結部は、ヘルメット1の下端部周辺および相対するレインキャップ2の裏面の、3箇所以上の複数の任意の場所に設定するのが望ましい。
【0041】
なお庇部9は、図4に示すように外側へ段差をもって拡径されていてもよい。この拡径されている部分は、少なくとも装着者の耳に応じた箇所であればよい。これにより、装着者がヘッドホンを着用しながら作業をしなければならない場合において、この拡径された庇部9により、ヘッドホンを着用するためのスペースを耳の周辺において確保することができ、しかも雨水がかかるのを防止することが可能となる。
【0042】
また、この庇部9は、斜下に立ち下げられ、次に垂下方向に向けて延長された構成とされているが、これに限定されるものではなく、斜下のみ立ち下げられ、或いは垂下方向のみにむけて立ち下げられるものであってもよいし、両者の組合せで構成されていてもよい。
【0043】
図5においては、ヘルメット1のほぼ直上から、レインキャップ2を被せて連結することを示しているが、例えば顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部8の形状が図示している物とは若干異なる場合などにおいては、ヘルメット1のほぼ直上だけではなく、ヘルメット1の後方または側方もしくは前方から、レインキャップ2を被せて連結するようにしてもよい。
【0044】
なお、本発明は、上述したヘルメット1と、レインキャップ2とを組み合わせたレインキャップセットとして実施するようにしてもよいことは勿論である。
【0045】
以下、本発明を適用したレインキャップ付きヘルメットについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
図7は、本発明を適用したレインキャップ付きヘルメット13の形状を示した側面図であり、図8はレインキャップ付きヘルメット13の使用状態を示す斜視図であり、図9はレインキャップ付きヘルメット13の正面図である。
【0047】
図7において、レインキャップ付きヘルメット13は、適宜なプラスチックもしくは金属の材料によって一体成形され、帽体部前面には太陽の強い日差しや、降雨降雪が顔面に当らないようにするための、顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部14が設けられ、帽体部の側頭部から後頭部の下部にも、太陽の強い日差しや、降雨降雪が側頭部および後頭部および耳周辺および首の周辺にあたらないようにするための、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部15が設けられている。前方鍔部14の詳細は、前方鍔部8と同様であり、庇部15の構成は、庇部9と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0048】
また、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部15の下端周辺には反りまたは溝状の水切り部16が設置され、前記ヘルメット13の上部から流れてきた雨水が、ヘルメット裏面および首周辺に付着することを防ぐ。
【0049】
雨除け部を備えた作業用ヘルメット13の内部には、ヘッドバンド17が取り付けられ、このヘッドバンド17の側面部にアゴ紐18が取り付けられている。
【0050】
顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部14と首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部15を併せて、雨除け部と称する。
【0051】
図8においては、首周辺防御用の側方および後方へ張り出した庇部15は、その上部のキャップ冠体10よりも外側に突出して形成されていることを示している。
【0052】
さらに、顔面防御用の前方へ張り出した前方鍔部14の先端部から帽体部にかけて、任意の凸または凹形状の補強リブ20が形成されている。
【0053】
この補強リブ20が形成されることにより、本発明のヘルメットの強度を向上させることができ、風による庇部分を含めた雨除け部の振動や、雨除け部が外部物体と接触した際に生じる大幅な変形を防止し、雨粒などから作業者の顔面や後頭部および首筋を防ぐ機能を低下させないことになる。
【0054】
また、図10および図11における斜線矢印は、風雨の際の一例として45度方向から降雨する雨粒の軌跡を図示したもので、人体部の網目模様部は、雨粒が付着する範囲を示している。
【0055】
これらの図によると、図11の様な従来の一般的な作業用ヘルメット16では、作業者のアゴや後頭部および首の一部に雨粒が付着してしまう事を示しているが、これに対し、図10に示す、雨除け部を備えたレインキャップ付きヘルメット13では、顔面および後頭部、首周辺には雨粒が付着しないように構成することが可能となる。また、このレインキャップ付きヘルメット13も、上述した他の効果も奏し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 ヘルメット
2 レインキャップ
3 第1連結部
4 鍔部
5 水切り部
6 ヘッドバンド
7 アゴ紐
8 前方鍔部
9 庇部
10 キャップ冠体
11 緩衝材
12 補強リブ
23 第2連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメットの上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体と、
平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えること
を特徴とするヘルメット装着用レインキャップ。
【請求項2】
上記前方鍔部の先端側から上記キャップ冠体頂部又は後頭部にかけて、凸または凹形状のリブが形成されていること
を特徴とする請求項1記載のヘルメット装着用レインキャップ。
【請求項3】
上記庇部は、少なくとも装着者の耳に応じた箇所が外側へ段差をもって拡径されていること
を特徴とする請求項1又は2記載のヘルメット装着用レインキャップ。
【請求項4】
請求項1〜3のうち何れか1項記載のヘルメット装着用レインキャンプと、上記ヘルメット装着用レインキャップに着脱自在に装着されるヘルメットとを備え、
上記ヘルメット装着用レインキャップは、上記ヘルメットと連結するための第1の連結手段が設けられ、
上記ヘルメットは、上記連結手段と対応する位置に設けられてなるとともに上記第1の連結手段との間で機械的に連結自在な第2の連結手段が設けられていること
を特徴とするレインキャップセット。
【請求項5】
上記第2の連結手段は、上記ヘルメットの下端部周辺における内面に設けられ、
上記第1の連結手段は、上記キャップ冠体の内側に内向きで吊下げられてなるとともに、これを折り返すことにより上記第1の連結手段と連結自在とされていること
を特徴とする請求項4記載のレインキャップセット。
【請求項6】
ヘルメットに一体的に形成されたキャップ冠体と、
平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えること
を特徴とするレインキャップ付きヘルメット。
【請求項1】
ヘルメットの上から着脱自在に装着可能とされたキャップ冠体と、
平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下及び/又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えること
を特徴とするヘルメット装着用レインキャップ。
【請求項2】
上記前方鍔部の先端側から上記キャップ冠体頂部又は後頭部にかけて、凸または凹形状のリブが形成されていること
を特徴とする請求項1記載のヘルメット装着用レインキャップ。
【請求項3】
上記庇部は、少なくとも装着者の耳に応じた箇所が外側へ段差をもって拡径されていること
を特徴とする請求項1又は2記載のヘルメット装着用レインキャップ。
【請求項4】
請求項1〜3のうち何れか1項記載のヘルメット装着用レインキャンプと、上記ヘルメット装着用レインキャップに着脱自在に装着されるヘルメットとを備え、
上記ヘルメット装着用レインキャップは、上記ヘルメットと連結するための第1の連結手段が設けられ、
上記ヘルメットは、上記連結手段と対応する位置に設けられてなるとともに上記第1の連結手段との間で機械的に連結自在な第2の連結手段が設けられていること
を特徴とするレインキャップセット。
【請求項5】
上記第2の連結手段は、上記ヘルメットの下端部周辺における内面に設けられ、
上記第1の連結手段は、上記キャップ冠体の内側に内向きで吊下げられてなるとともに、これを折り返すことにより上記第1の連結手段と連結自在とされていること
を特徴とする請求項4記載のレインキャップセット。
【請求項6】
ヘルメットに一体的に形成されたキャップ冠体と、
平面視において上記キャップ冠体から前方に突出された前方鍔部、並びに左右両側方から後方において斜下又は垂下方向に向けて延長された庇部とを備えること
を特徴とするレインキャップ付きヘルメット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−12709(P2012−12709A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147190(P2010−147190)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(510180670)株式会社ATRヤマト (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(510180670)株式会社ATRヤマト (1)
【Fターム(参考)】
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