説明

ベゼル加飾物

【課題】意匠性、物理的強度、化学的耐性、を向上させるベゼル加飾物を提供する。
【解決手段】携帯デジタル機器のベゼル加飾物10において、上記額縁パターン11が透明性と耐熱性の高い色材で形成したデザインや絵柄などのパターンからなる加飾パターン層17と、隠蔽性が高く金属光沢を有する材料や非光沢の色材で形成したパターンからなる裏押え層18との積層物であって、上記額縁パターン11とその他付随するパターンと、上記2つの層を被覆する透明被覆層26が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の携帯デジタル機器の表示画面の額縁部品への加飾に関するものであり、特に、額縁部品のベゼル加飾物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に携帯デジタル機器は、表示画面部、ナンバーキーなどの操作ボタン部、スピーカー、マイク、カメラなどからなり、各々の部材が携帯デジタル機器のデザインの中で筐体の各部に配置されている。
ここで、ベゼルとは、携帯電話等の携帯デジタル機器の表示画面の額縁パターンと、それに付随する意匠や機能を有するパターン全てのことである。
【0003】
表示画面上は視認性を阻害するパターンは設けないが、その周囲の額縁部分には額縁パターンの他、携帯デジタル機器のデザインによって、社名ロゴ、商品名、カメラレンズ用の開口窓、赤外線通信用の開口窓などが形成されている。
携帯デジタル機器のデザインとして、表示画面部と操作ボタン部を別々の筐体部分に配置し2つの筐体部品を結合したものや、表示画面部と操作ボタン部を同一の筐体上に配置したものが多い。
【0004】
そして、表示画面部以外の筐体部分にはプラスチックや金属材料の成形物が使用されている。操作ボタンの部品も筐体部分の色やデザインにあわせ加飾した部材で形成されている。
筐体部品の加飾方法として、成形された筐体に直接加飾を行う、直接印刷、転写印刷、箔押し、塗装、水圧転写などや、樹脂成形の際絵柄を成形物の表面に転写するインモールド成形、絵柄を施したフィルム材を成形樹脂と一体成形するインサート成形などがある。また、その他の方法として、成形物に立体的な凹凸を設ける方法などがとられている(特許文献1参照)。
【0005】
加飾に使用される絵柄としては、印刷による金属光沢調、パール光沢調、グラデーション、抽象画や写真などのパターン、メッキ法による金属光沢層の形成、真空成膜法による干渉膜や光沢層の形成など、高い意匠性のものが使用されている。
表示画面部の内部には、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示部材が配置されている。
【0006】
液晶パネルや有機ELパネルなどの表示部材は、硝子基板上に電気回路や表示素子を形成した構造からなり、外部からの物理的な力や化学物質の接触により破損しやすい。この為、表示画面部は表示部材を筐体の内部に封止し保護する構造がとられている。
この際、物理的に割れることがなく表示画面の視認性を損なわない透明性の高いプラスチック基板からなる前面板を最表面に配置している。
【0007】
前面板は液晶パネルや有機ELパネルなどの表示部材を保護する目的に加え、表示部材の外周部に配置された半導体駆動素子部を隠す為や、携帯デジタル機器にデザイン性を付与する為、額縁パターンを含むベゼル加飾物が形成されている。
前面板に対する加飾方法としては、前面板に直接加飾パターンを形成する方法や、別工程で加飾パターンを形成したフィルム基材を貼り合せる方法がとられている。
また、前面板としてプラスチック基板より透明性の高い硝子基板が用いられる様になってきた。
【0008】
最近は、表示部材と前面板の間にタッチパネルを配置して、操作ボタンの機能を画面上に集約し、表示画面を大きく配置するデザインが採用されている。
【0009】
タッチパネルとは、操作ボタンの代わりに画面を指で触り、触れた位置を検知するものである。指で触れた位置を検知する仕組みとしては、指で押されて変形した部分を検知する「感圧式」と、画面表面に微弱な電流を流し触れた指に電流が流れた際の変化を検知する「静電式(静電容量式)」が知られている(特許文献2参照)。
【0010】
従来ベゼル部分の額縁パターンには、液晶パネルや有機ELパネル自体の遮光パターンの黒色の額縁に合わせた黒い額縁が使用されてきた。
しかし、表示画面が大きく配置されるようになり、ベゼルも携帯デジタル機器本体のデザインの中の1つとして捉えられるようになり、ベゼルにも加飾が要求されるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−71884号公報
【特許文献2】特開2005−173970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ベゼル加飾物は、前面板に加飾を施す構成と、フィルム材料に加飾を施し前面板に貼り合わせる構成がとられている。
また、タッチパネル部材を積層する場合、上記加飾を施した前面板と液晶パネルや有機ELパネルからなる表示部材との間に貼り合わせ積層する構成がとられている。
ベゼルの加飾にはスクリーン印刷が用いられ、額縁パターン、社名ロゴ、商品名、カメラレンズ用の開口窓、赤外線通信用の開口窓など、デザインや要求機能に合わせて印刷インキを変え各部分を重ね印刷して製造している。
【0013】
スクリーンインキは、メジウムの中にカラー顔料、アルミなどの金属粒子、パール顔料などを分散して発色している。スクリーン印刷ではプロセス色や特色、パール調、メタリック調、ミラー調の機能色の表現が可能である。
一方、ミラー感の高いカラー金属光沢の表現は、ミラーインキにカラー顔料を分散するものが使用されているが、カラー顔料分散により金属粒子の整列が阻害され、ミラー感が低下する問題があった。
【0014】
また、トーンジャンプの無いグラデーションの表現は、スクリーン版の解像できる最小開口径の制限や、開口径が小さくなることで開口部を通過できるインキ量がグラデーションパターンのある境で転写性が低下するなどの問題で、粗いパターン表現に限られている。
また、硝子基板上に形成したベゼル加飾物の上に、タッチパネル素子を形成する構成が考えられている。タッチパネル素子を形成する中で、真空成膜プロセスや、ウェットパターニングプロセス、高温硬化プロセスを通過することになり、ベゼル加飾層の耐熱性や、ベゼル加飾物からタッチパネルへの析出物への対策が必要である。
【0015】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、携帯デジタル機器のベゼル加飾物において、意匠性が高く、化学的、物理的に耐性の高い加飾物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、携帯デジタル機器の表示画面のベゼル加飾物において、
表面側の加飾パターン層と、加飾パターン層の裏側に形成される裏押え層との積層構造を有し、
上記加飾パターン層が、上記裏押え層を視認可能な透明性の高いカラー色材のパターンからなり、上記裏押え層が、上記加飾パターン層に比べて隠蔽性の高い色材のパターンからなることで、上記加飾パターン層と上記裏押え層との混色により意匠を表現することを特徴とするものである。
【0017】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記加飾パターン層の透明性の高いカラー色材は、液晶パネルのカラーフィルター用のネガ型フォトレジスト、オフセット印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、インクジェットプリンター用インキ、転写プリンター用インキのいずれかからなることを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、 上記透明性の高いカラー色材の塗膜の分光透過率のピーク値が40%以上であることを特徴とするものである。
【0018】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した構成に対し、上記裏押え層の隠蔽性の高い色材は、真空成膜法で形成したクロム、チタン、ジルコニウム、アルミなどの金属単層膜および各々の酸化物との積層膜からなり、ベゼル加飾物の上記パターン形状にフォトリソ法によりパターニングされていることを特徴とするものである。
【0019】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した構成に対し、上記裏押え層の隠蔽性の高い色材は、金属光沢を有する粒子を分散した金属光沢調インキからなり、ベゼル加飾物の上記パターン形状に印刷されることを特徴とするものである。
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した構成に対し、上記ベゼル加飾物は、フィルム基材、プラスチック基板、硝子基板などの被加飾基板上に形成されることを特徴とするものである。
【0020】
次に、請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した構成に対し、上記加飾パターン層の上に、有機樹脂や無機膜からなる透明被覆層を積層形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、携帯デジタル機器のベゼル加飾物において、透明性と耐熱性の高い色材からなる加飾パターン層と、隠蔽性の高い色材からなる裏押え層とを重ねて形成することにより、意匠の表現性が高く、化学的、物理的に高耐性の加飾物を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に基づく実施形態に係るベゼル加飾物の説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】額縁部のテーパー角と膜厚段差の説明図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係るベゼル加飾物の構成を説明する模式的側面図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係るベゼル加飾物と前面板と表示素子とタッチパネルの実装の構成例を示す分解状態の側面図である。
【図5】本発明に基づく実施形態に係るベゼル加飾物と前面板と表示素子とタッチパネルの実装の構成例を示す分解状態の側面図である。
【図6】実施例1の製造工程を示す図である。
【図7】被加飾基板におけるパターン配置の説明図である。
【図8】実施例2の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ベゼル加飾物10は、図1に示すように、フィルム基材や、プラスチック基板、硝子基板など被加飾基板16上に設けられるものである。本実施形態のベゼル加飾物10は、透明性の高い色材のパターンからなる加飾パターン層17と、その上側に形成され且つ隠蔽性の高い色材のパターンからなる裏押え層18との積層構造となっている。また、携帯デジタル機器への実装時に付与したい機能を有する透明被覆層を、加飾パターン層17を覆うように積層形成しても良い。
【0024】
上記加飾パターン層17の透明性の高い色材の透過率は、40%以上、好ましくは60%以上とする。
裏押え層18は、金属光沢を有する印刷インキを使用する。このとき、金属粒子径が10μm〜60μm程度の反射輝度が高い印刷インキを使用すればよい。
加飾パターン層17と裏押え層18のトータルの膜厚は、20μm以下に設定すれば良い。なお、前面板や表示素子やタッチパネル素子との貼り合わせの際に、図2に示すように、被加飾基板16からの突出量(段差)は小さい方が望ましく、その観点から、上記トータルの膜厚の上限値を20μmとした。
【0025】
また透明被覆層26で額縁パターン11や被加飾基板16の全面を被覆するために、額縁パターン11の端部は段差が無いことが望ましく、窓枠パターン端部のテーパー角θは、20度以下、若しくは、額縁パターン11の端部のパターン段差が透明被覆層26の形成膜厚の1/2以下であることが望ましい(図2参照)。
【0026】
被加飾基板16のフィルム基材やプラスチック基板としては、加飾パターン層17の透明性の高い色材や裏押え層18の隠蔽性の高い色材との密着性の高いものを選べば良い。PMMA(アクリル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプリピレン)などの材料が使用可能である。
【0027】
硝子基板は液晶パネルや有機ELパネルに使用されるような無アルカリ硝子やソーダ硝子など使用可能である。
【0028】
図3に、ベゼル加飾物10の例を示す。
図3(a)は、加飾パターン層17にフォトレジストを使用し、裏押え層18に真空成形した金属薄膜を使用した構成の例である。図3(b)は、加飾パターン層17にオフセット印刷によるパターンを使用し、裏押え層18にスクリーン印刷によるパターンを使用した構成の例である。
【0029】
図3(c)は、加飾パターン層17にフォトレジストを使用し、裏押え層18に真空成形した金属薄膜を使用した例である。更に、透明被覆層26として、有機樹脂を塗工した構成の例である。図3(d)は、加飾パターン層17にオフセット印刷によるパターンを使用し、裏押え層18にスクリーン印刷によるパターンを使用した例である。更に、透明被覆層26として、真空成形によるSiOX膜を形成した例である。
【0030】
本実施形態のネガフォトレジストや印刷インキは、有機樹脂、顔料、フィラー、硬化開始剤や硬化成分、機能性を付与する添加剤、そして希釈溶剤などを混合した色材である。
上記有機樹脂としてはポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアミン系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。
【0031】
このような樹脂としては、ポリエステル、ポリスチレン、フェノール樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、芳香族ナイロン樹脂、あるいはスチレン、芳香族酸、フェノール等を含む共重合体、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアミン樹脂を上げることができる。
【0032】
なかでも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂あるいはエポキシ樹脂のいずれか1つ以上と、メラミン樹脂あるいはベンゾグアミン樹脂のいずれか1つ以上と組み合わせたものが好ましい。さらに、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂の組み合わせ、及びエポキシ樹脂、メラミン樹脂及びベンゾグアミン樹脂を組み合わせたものがより好ましい。
硬化成分としては、光硬化成分、熱硬化成分ないしその両方を分散したものより選べば良い。
【0033】
次に、本実施形態のベゼル加飾物10と前面板31と表示素子とタッチパネル33の実装の構成を説明する
図4に示すように、被加飾基板16の裏面にベゼル加飾物10を形成し、前面板31に粘着フィルム32で貼り合わせて構成し、それにタッチパネル33及び表示パネル34を実装しても良い。又は、図5に示すように、前面板31の裏面にベゼル加飾物10を形成し、それにタッチパネル33及び表示パネル34を実装する構成としても良い。
【0034】
すなわち、携帯デジタル機器に対し、本実施形態のベゼル加飾物10と、前面板31と、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示部材とを実装する際に、被加飾基板16のベゼル加飾物10を形成した面が、前面板31に対し裏面形成側で実装される構成や、表面形成側で実装される構成がありうる。
【0035】
被加飾基板16に対して、加飾パターン層17と裏押え層18と透明被覆層26の形成する順番は、上記被加飾基板16が裏面で実装されるか表面で実装されるかに合わせ、視認側から加飾パターン層17が最表面に見える配置で形成すればよい。図1(b)では、被加飾基板16の裏面側にベゼル加飾物10を形成した例である。
【0036】
ベゼル加飾物10の色味は、形成後の熱処理などの履歴により若干シフトしてしまう。加飾パターン層17と裏押え層18の各々色材の色味を設定する場合、表示画面の積層物として実装されるまでの熱履歴後の色味が、デザインで定めた色味と一致するように設計すれば良い。
そして、本実施形態のベゼル加飾物10は、意匠性の向上と、化学的な強度の向上を図ることが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態におけるベゼル加飾物10とは、表示画面の窓枠に配置される全ての加飾物のことである。
【0038】
更に、本実施形態について詳説する。
本実施形態のベゼル加飾物10は、加飾パターン層17と裏押え層18との積層構造からなり、加飾パターン層17に透明性の高いカラー色材にて色や絵柄を形成する。この結果、裏押え層18の塗膜からの反射色に加色する表現が可能である。
【0039】
裏押え層18の隠蔽性の高い色材として、金属材料を含有し金属光沢を有する色材や金属粒子を有さない白やグレーや黒などの色材が使用可能である。
加飾パターン層17は、上記透明性の高い色材と隠蔽性の高い色材とを併用してパターンを形成する事も可能で、隠蔽性の高い色材で形成したパターン部は裏押え層18の色材の反射色の影響を受けない意匠表現が可能である。
【0040】
またベゼル加飾物10としては、図1(a)のように、窓枠の他、社名ロゴ15や商品名14の部分、カメラなどの開口部12、赤外線通発信部の開口部13の隠し窓部などがある。これらの加飾部分は、加飾パターン層17や裏押え層18の該当する部分を抜きパターンで形成しておき、各開口部に機能性インキをスクリーン印刷にて押えたりする事で形成することが可能である。
【0041】
社名ロゴ15や商品名14の部分には、金属光沢調や隠蔽性の高い白などの意匠が使用されており、加飾パターン層17や裏押え層18の抜きパターン部に該当する色のスクリーンインキで押さえ印刷して形成することが可能である。
また、裏押え層18に社名ロゴ15や商品名14の該当する色の金属光沢を有する色材や隠蔽性の高い白色などの色材を使用して、加飾パターン層17のみ抜きパターンを形成し、抜きパターン部より上記裏押え層18の色を見せる事も可能である。
【0042】
また、上記加飾パターン層17の透明性の高いカラー色材は、液晶パネルのカラーフィルター用のネガ型フォトレジスト、ないしはオフセット印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、インクジェットプリンター用インキ、転写プリンター用インキからなり、ベゼル加飾物10の上記パターン形状にパターニングされている。
【0043】
液晶パネルのカラーフィルター用のネガ型レジストは、通常Red、Green、Blue、Black、透明の色から構成されている。カラーフィルターが光を透過してカラー表示する事を目的としているため、Red、Green、Blue、と透明レジストは色顔料の濃度と顔料粒径により範囲があるが、一般にピークの分光透過率が塗膜状態で50〜95%で設計されており、透明性の高い塗膜が得る事ができる。
【0044】
一方、Blackレジストは遮光膜として機能させる為、OD値が3以上と2μm程度の形成膜厚で非常に高い隠蔽性が得られる。
何れのレジストも光硬化により光重合し、フォトリソ法で不要な部分を溶解除去することが可能で、所望のパターンを得る事が可能である。フォトマスクの設計により10μmΦ程度のドットパターンからベタ膜までのパターン形成が可能であり、フォトマスクに形成したパターンに従いグラデーションや絵柄など任意のパターン形成が可能である。
【0045】
また、プロセス中の温度制御によりフォトマスクの設計に対し、パターンの位置精度の誤差は50μm以下で制御することが可能である。
加飾パターン層17の意匠表現の手法として、Red、Green、Blueレジストのパターンと、Blackパターンとを併用することで、カラー金属光沢調と非金属光沢調とを組み合わせた加飾パターン層17を形成することが可能である。
【0046】
また加飾パターンに使用する色としては、印刷インキと同様にRed、Green、Blueレジストの調合により3原色以外の調色が可能である。
フォトレジストで形成した加飾パターンは熱硬化を施すことで強固な膜となり、高耐薬品性や高耐光性や高耐熱性である膜が得られる。また液晶パネル内でイオンコンタミやアウトガスなどが少ない事を特徴とする材料であり、化学的に耐性の高い加飾パターンを得ることができる。
【0047】
オフセット印刷用インキやグラビア印刷用インキはCMYKからなるプロセスインキ、調色による特色インキ、金属粒子を分散したインキや透明インキなどの機能インキなど多数の色が存在し、多数の色表現が可能である。インキの硬化方式としては、UV硬化方式や熱硬化方式があり、何れも使用可能であるが、被加飾基板16が浸透性の無い材料の場合UV硬化インキが望ましい。
【0048】
オフセット印刷やグラビア印刷で得られる印刷膜厚は2μmt前後と薄く、暗色や濃色以外では透明性が高い印刷物が得られる。
また、同色を重ねて印刷する事で色濃度を上げる事や隠蔽性を上げることが可能である。
オフセット印刷は、ドット径の大小の変化によりパターンを形成しており、刷版上の親インキ部分に乗ったインキをブランケットで受け取り、被加飾基材に転写する事でパターンを得ている。
【0049】
印刷インキと刷版とブランケットとの間の親インキ性の最適化により印刷で得られる印刷膜厚や最小ドット径を調整することが可能で、刷版に形成したパターンに忠実なグラデーションや絵柄などの印刷物の形成が可能である。
グラビア印刷は、ドット径の大小の変化によりパターンを形成しており、刷版上凹部に充填されたインキを被加飾基材に転写する事でパターンを得ている。
【0050】
印刷インキと刷版と被印刷基材との間の親インキ性の最適化により印刷で得られる印刷膜厚や最小ドット径を調整することが可能で、刷版に形成したパターンに忠実なグラデーションや絵柄などの印刷物の形成が可能である。
インクジェットプリンターは、50μmΦ程度のドットの重ね合わせによりパターンを形成しており、デジタル画像データをもとに被加飾基材へ直接描画する事でパターンを得ることができる。刷版を使用する必要が無く1つ1つ異なる絵柄を印刷することが可能であるとともに、機械制御により繰り返し同一の絵柄を均一な品質で印刷することが可能である。
【0051】
インクジェットプリンター用インキには、UV硬化型インキ、溶剤性インキ、水溶性インキがある。インキの種類を特に規定するものではないが、本実施形態の被加飾基材と密着が得られるインキを使用すれば良い。
熱転写プリンターには、その転写方式により溶融転写プリンター、昇華転写プリンターがある。インキリボン上に塗工された色材を、デジタル画像データをもとに転写シートに転写して1次の絵柄を形成した後、上記転写シートより被加飾基板16に絵柄を印刷する事でパターンを得ることができる。絵柄を表現するドット径は、プリンターヘッドの種類により異なり、50μmΦ程度のドット表現によるものと、階調出力によるものがある。
【0052】
刷版を使用する必要が無く1つ1つ異なる絵柄を印刷することが可能であるとともに、機械制御により繰り返し同一の絵柄を均一な品質で印刷することが可能である。
階調出力による印刷方式では、グラデーションの表現においてトーンジャンプの無いなめらかな階調表現が可能である。
また、加飾パターン層17の意匠表現の手法として、透明性の高いインキと、暗色や濃色のインキとを併用することで、カラー金属光沢部と非金属光沢部とを組み合わせた加飾パターン層17を形成することが可能である。
【0053】
また、上記カラー色材とは、フォトレジスト、オフセット印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、インクジェットプリンター用インキ、転写プリンター用インキのことであり、何れも色顔料を透明樹脂に分散し発色させている。
顔料の粒径や添加量の調整で分光透過率は変化し、顔料の粒径を大きくする、添加量を増やす、などの調整で上記カラー材料の隠蔽性が高くなり分光透過率が低下する。逆に顔料の粒径を小さくする、添加量を増やす、などの調整で色が薄くなり分光透過率は高くなる。
【0054】
色により発色のピーク位置が変化し、例えばBlueは440nm付近、Greenは530nm付近、Redは610nm付近にピーク位置がある。
上記カラー色材が裏押え層18からの反射光を透過し、かつ色を発色させるには、上記カラー塗膜の分光透過率のピーク値が40%以上、望ましくは60%以上必要である。
裏押え層18の金属光沢を有する色材の分光反射率は拡散反射、正反射など塗膜のマット、グロス、ミラー状態かなどの条件で変化する為、規定できないが、一般にアルミ粒子を分散したインキはアルミ単層膜の反射率に比べ6〜8割まで低下する。
【0055】
カラー色材の塗膜の分光透過率が40%未満では、裏押え層18の金属光沢を有する色材からの反射率のロス分と掛け合わせて、トータルの反射率が30%程度まで低下し隠蔽性が出てくるため、カラー金属光沢調の意匠が得られなくなる。
カラー色材の分光透過率が40〜60%の範囲では、隠蔽性から透明性へ変化する領域であり、カラー金属光沢調から弱い金属光沢調までの意匠が可能となる。
【0056】
カラー色材の分光透過率が60%以上では、透明性が高くなるが、色濃度が低下する領域であり、色が濃から淡に変化するカラー金属光沢調の意匠が可能となる。
また、上記裏押え層18の隠蔽性の高い色材として金属光沢を有する色材が使用可能である。
金属光沢を有する色材として、真空成膜が可能なクロム、チタン、ジルコニウム、アルミなどの金属単層膜、および加飾パターン層17側より金属膜、各々の酸化物と成膜した積層膜が使用可能である。
【0057】
金属薄膜の形成方法としては、真空成膜法のスパッタ成膜や蒸着成膜が使用可能である。
形成膜厚は特に規定しないが、隠蔽性の得られる2000Å以上が望ましい。
形成した金属薄膜を、ベゼル加飾物10の上記パターン形状にパターニングするフォトリソ法としては、上記金属薄膜の上にフォトレジストを塗工、露光現像し、ベゼル加飾物10の上記パターン部を被覆したレジストパターンを形成し、上記金属膜を溶解する薬液でエッチングした後、上記レジストパターンを除去する方法が可能である。
【0058】
また、金属薄膜を成膜する前に、フォトレジストでベゼル加飾物10の上記パターン部を開口させたレジストパターンを形成し、成膜後に上記レジストパターンを剥離しその上の上記金属薄膜をリフトオフすることで、エッチングの難しい上記金属薄膜をパターニングする事が可能である。
また、上記裏押え層18の隠蔽性の高い色材として金属光沢を有する色材が使用可能である。
【0059】
金属光沢を有する色材として、金属光沢を有する粒子を分散した金属光沢インキを使用して印刷によりベゼル加飾物10の上記パターン形状を得るものである。
金属光沢を有する粒子としては、アルミ、銀、金、チタンなどの金属粒子やパールなどの光学干渉粒子が使用可能である。
印刷法としては、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、反転印刷など使用可能であり、上記加飾パターン層17で形成したアライメントマーク19,110を基準に重ね印刷することで(図7参照)、重ね精度の高いベゼル加飾物10を得る事ができる。
【0060】
また、上記ベゼル加飾物10を形成する被加飾基板16として、フィルム基材や、プラスチック基板、硝子基板などが使用可能である。
フィルム基材はロール供給や枚葉供給のものが、ベゼル加飾物10の製造に使用可能である。ロール供給のフィルム基材へは、本発明の全ての加工方法も実施可能である。
枚葉供給のフィルム基材、プラスチック基板、硝子基板へは、本発明の加工方法のうちグラビア印刷法以外の全ての加工方法が実施可能である。
【0061】
その中で枚葉供給のフィルム基材を真空成形する場合、成膜装置に投入する際支持体が必要となったり、成膜後のウェットプロセスにおいて基材洗浄、乾燥処理に困難を伴うため、フィルム基材は真空成形法を伴うプロセスの場合にロール供給が望ましい。
プラスチック基板、硝子基板は枚葉供給になり、本発明の何れの加工方法も実施可能である。
また上記被加飾基板16は、携帯デジタル機器の表示画面部分のプロセスに合わせて選択すればよい。
【0062】
実装プロセスとしては、次の1)〜4)の工法が例示出来る。
1)前面板31にベゼル加飾物10を貼り合せて液晶パネルなどの表示素子と重ねて使用する工法
2)被加飾基板16自体を前面板31として使用し液晶パネルなどの表示素子と重ねて使用する工法
3)被加飾基板16自体を前面板31として使用し液晶パネルなどの表示素子とタッチパネル33を重ねて使用する工法
4)被加飾基板16自体を前面板31として使用し、その上にタッチパネル33素子を形成したのち液晶パネルなどの表示素子と重ねて使用する工法
また、上記加飾パターン層17と裏押え層18とを被覆する、透明被覆層26を積層形成する構成とすると良い。
【0063】
透明被覆層26は額縁部分と加飾表示画面上とも一様に被覆して形成する為、携帯デジタル機器の画面表示を阻害しないように透過率の高い膜が望ましい。透過率としては特に規定しないが90%以上が望ましい。
上記透明被覆層26には、額縁パターン11などの加飾物を外部の物理的な力から守る保護膜としての機能を持たせることができる。
【0064】
あるいは、額縁パターン11を印刷法で形成する場合、総厚が5から20μm程度となり、上記透明皮膜を形成することで、額縁パターン11と被加飾基板16表面との段差を低減させる平滑化層としての機能を持たせることができる。額縁パターン11と被加飾基板16の表面との段差を低減させることで、上記被加飾基板16の加飾面と前面板31とを粘着フィルムを介して貼り合わせる場合、段差の際が浮き気泡が侵入することを防止する効果が得られる。
【0065】
また、窓枠パターンを形成した上記被加飾基板16にタッチパネル33素子を積層して形成する場合、窓枠パターンの形成に使用した色材やプラスチック基板などの被加飾基板16から析出してくるアウトガスや水分がタッチパネル33素子に浸入を防止するバリア膜としての機能を持たせることができる。
上記透明被覆層26の材料としては、カラーフィルターで使用される有機樹脂の塗膜や、真空成形やコーティングで形成するSiOxやTiOxなどの無機膜が使用可能である。
【実施例1】
【0066】
本発明に基づく実施例1について図6を参照して説明する。
前面板31として、360×460×0.7mmtの無アルカリ硝子を使用した。その前面板31に対し直接ベゼル加飾物10を形成し、更にタッチパネル素子を積層形成した。ベゼルパターンは、上記前面板31上に多面付けで設計した。
すなわち、まず、図6(a)のように、ベゼル加飾物10の加飾パターン層17を、液晶パネル用のカラーフィルター製造に使用する透過性の高いネガ型のフォトレジストで設計した。
【0067】
ベゼル加飾物10のデザインは、額縁パターンは赤色のフォトレジスト単色にて形成し、社名ロゴ部分は抜き文字で設計した。
次に、図6(b)のように、上記加飾パターン層17の上に、真空成膜法にて、Crスパッタ膜からなる裏押え層18を積層形成し、さらに、図6(d)に示すように、Cr薄膜をエッチングし、不要になったフォトレジストを剥離して、Crパターンを形成した。額縁パターンは赤色の金属光沢調に、社名ロゴは裏押えの金属膜を見せて金属光沢調で設計した。
【0068】
フォトマスクには、ベゼルパターンと次工程で使用するフォトリソ用のアライメントマーク19,110を配置したものを使用した(図7参照)。
さらに、図6(e)に示すように、Crスパッタ膜からなる上記裏押え層18に、カラーフィルターのオーバーコート層に使用される絶縁性の高い透明樹脂からなる透明被覆層26を積層形成し、タッチパネル33の素子との絶縁性を持たせた。次に、図6(f)のように、ベゼル加飾物10の上のタッチパネル33の素子を積層形成した。
【0069】
再度、ベゼル加飾物10の作製手順を次に示す。
1)無アルカリ硝子に赤色のフォトレジストを塗工し、フォトリソ法により額縁パターン11からなる加飾パターン層17とフォトリソ用のアライメントマーク19,110を形成した。
2)Cr膜をスパッタ法で成膜した。
3)Cr膜上にポジレジストを塗工し、フォトリソ法により加飾パターン部がポジレジスト層で被覆された状態にした。
4)硝酸の混合物からなるCrエッチング液によりポジレジスト被覆層より露出したCr膜を溶解除去した。
5)不要になったポジレシスト被覆膜を溶解除去してCrパターンを得た。
6)熱硬化性のアクリル樹脂からなる透明樹脂を基板全面に塗工し、加飾全面板を作製した。
【0070】
以上のようにして作製された、本実施形態のゼル加飾物の製造によって、ミラー感の高い赤色の金属光沢調の表現が可能となり、意匠性の高い加飾物を得ることができた。
更に、上記加飾全面板にタッチパネル33を積層形成することにより、ベゼル加飾物10からのアウトガスなどタッチパネル33へのコンタミ浸透が少なく、化学的に信頼性の高い加飾物を積層したタッチパネル33機能を有する前面板31を得ることができた。
【実施例2】
【0071】
次に、本発明に基づく実施例2について図8を参照して説明する。
前面板31にとして、0.8mmtの透明アクリル板を使用した。その前面板31に対し、直接ベゼル加飾物10を形成し、液晶パネルと、タッチパネル素子を積層して使用した。ベゼルパターンは上記前面板31上に多面付けで設計した。
すなわち、図8(a)のように、ベゼル加飾物10の加飾パターン層17を透過性の高いUVオフセット印刷で設計した。
【0072】
ベゼル加飾物10のデザインは、額縁パターンに赤色単色と黒色の単色部分と赤色から黒色に階調変化するグラデーションで設計した。
次に、図8(b)のように、上記加飾パターン層17にアルミ粒子を分散したシルバーのスクリーンインキを印刷し裏押え層18を積層形成し、額縁パターンは赤色の金属光沢調が非金属光沢調の黒色に階調変化しながら移り変わって行くグラデーションで設計した。
【0073】
UVオフセット版にはベゼルパターンと、次工程で使用するスクリーン印刷用のアライメントマーク19,110を配置したものを使用した。
次に、図8(c)のように、社名ロゴ15とカメラレンズ部分は加飾パターン層17と裏押え層18とも抜きパターンで設計した。社名ロゴ抜きパターン54部分と、赤外線通信用の開口部13は、上記裏押え層18の上より他の機能性のスクリーンインキ54,57を印刷するデザインで設計した。
【0074】
再度、ベゼル加飾物10の作製手順を次に示す。
1)アクリル基板にUVオフセット印刷で額縁パターンからなる加飾パターン層17とスクリーン印刷用のアライメントマーク19,110を形成した。
2)スクリーン印刷用のアライメントにて位置合わせを行い、スクリーン印刷法にてシルバーインキを額縁パターン形状に印刷した。
3)社名ロゴ抜きパターン54部分はミラーインキをスクリーン印刷し加飾パターン層17と裏押え層18の抜きパターンから色を見せる方法で形成した。
4)赤外線通信用の開口部は、赤外線透過インキをスクリーン印刷し加飾パターン層17の開口部を押える方式で形成した。
本実施例のベゼル加飾物10は、階調表現の良好なカラー金属光沢調のグラデーションの表現が可能となり、意匠性の高い加飾物を得ることができた。
【0075】
「比較例」
比較技術として、ベゼル加飾物をスクリーン印刷のみで形成する製造方法を説明する。
加飾フィルムに0.8mmtの透明PETフィルムを使用した。
加飾フィルムを透明アクリル基板からなる前面板に貼り付け、実装サイズに断裁、トリミングした後、液晶パネルと筐体に封止して使用した。ベゼルパターンは上記加飾フィルム上に多面付けで設計した。
【0076】
ベゼル加飾物の額縁パターンはスクリーン印刷の黒色単色で設計した。
社名ロゴとカメラレンズの開口部及び赤外線通信用の開口部は額縁パターンの抜きパターンで設計した。
社名ロゴ部分と、赤外線通信用の開口部は、上記裏押え層の上より他の機能性のスクリーンインキを印刷するデザインで設計した。
【0077】
再度、上記ベゼル加飾物の作製について説明する。
1)PETフィルムにスクリーン印刷で額縁パターンとスクリーン印刷用のアライメントマークを形成した。
2)社名ロゴ部分はミラーインキをスクリーン印刷し額縁パターンの開口部から色を見せる方法で形成した。
3)赤外線通信用の開口部は、赤外線透過インキをクリーン印刷し額縁パターンの開口部を押える方式で形成した。加飾フィルムと前面板を貼り合わせ、ベゼルパターンを有する前面板を形成し、実装サイズに断裁、トリミングした。
【0078】
従来どおりの製造方法により、額縁部分は黒色単色で表示パネルの額縁部分を隠す機能を有するが、筐体部分の加飾と一体性が無く意匠性の低いベゼル加飾物に仕上がった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のベゼル加飾物の構造およびその製造方法を用いることにより、ミラー感の高いカラー金属光沢調の色調を用意に表現できる様になり、ミラー感の高いカラー金属光沢調単色や、非金属光沢調の色材と併用することでグラデーションや絵柄などの多様な意匠性を有する加飾物を供給でき、画面表示機能のある携帯電話や、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤ、パソコンなどの電気機器、化粧品の容器、などのプラスチック成形物への表面加飾に応用することができる。
【0080】
また、フォトレジストの組成を印刷インキに転用することで、透明性の要求される家電などの表示画面など硝子基板を使用した部品への表面加飾に応用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 ベゼル加飾物
11 額縁パターン
16 被加飾基板
17 加飾パターン層
18 裏押え層
19 フォトリソ用アライメントマーク
110 印刷用アライメントマーク
26 透明被覆層
31 前面板
33 タッチパネル
34 表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯デジタル機器の表示画面のベゼル加飾物において、
表面側の加飾パターン層と、加飾パターン層の裏側に形成される裏押え層との積層構造を有し、
上記加飾パターン層が、上記裏押え層を視認可能な透明性の高いカラー色材のパターンからなり、上記裏押え層が、上記加飾パターン層に比べて隠蔽性の高い色材のパターンからなることで、上記加飾パターン層と上記裏押え層との混色により意匠を表現することを特徴とするベゼル加飾物。
【請求項2】
上記加飾パターン層の透明性の高いカラー色材は、液晶パネルのカラーフィルター用のネガ型フォトレジスト、オフセット印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、インクジェットプリンター用インキ、転写プリンター用インキのいずれかからなることを特徴とする請求項1に記載したベゼル加飾物。
【請求項3】
上記透明性の高いカラー色材の塗膜の分光透過率のピーク値が40%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したベゼル加飾物。
【請求項4】
上記裏押え層の隠蔽性の高い色材は、真空成膜法で形成したクロム、チタン、ジルコニウム、アルミなどの金属単層膜および各々の酸化物との積層膜からなり、ベゼル加飾物の上記パターン形状にフォトリソ法によりパターニングされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したベゼル加飾物。
【請求項5】
上記裏押え層の隠蔽性の高い色材は、金属光沢を有する粒子を分散した金属光沢調インキからなり、ベゼル加飾物の上記パターン形状に印刷されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したベゼル加飾物。
【請求項6】
上記ベゼル加飾物は、フィルム基材、プラスチック基板、硝子基板などの被加飾基板上に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載したベゼル加飾物。
【請求項7】
上記加飾パターン層の上に、有機樹脂や無機膜からなる透明被覆層を積層形成したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載したベゼル加飾物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−194799(P2011−194799A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66035(P2010−66035)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】