説明

ベッドボード

【課題】従来のベッドボードでは、患者等がベッド周囲を歩行する際、端部が身体や衣服、歩行補助具等と干渉を起こし易く、これを防ぐための対策や、歩行を補助する機能が付加されることが望まれている。またベッドボードは、梱包状態における輸送や保管を効率的に行えるようにする他、梱包していない状態においても保管を省スペースで容易に行えることが望まれている。
【解決手段】本発明では、薄箱状に形成したボード本体2の上部左右側に、側方部分と上方部分を有するグリップ部10a,10bを形成し、上方部分はボード本体に対してベッド内側方向に屈曲させると共に、側方部分は、その上部が上方部分と共にベッド内側方向に突出するようにボード本体から傾斜させた構成とすることにより前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院用ベッドや在宅介護ベッド等のヘッドボードやフットボード、即ち、ベッドボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベッドの枕元側にベッド使用者の身の回り品やリモートコントローラ等の小物を収納可能とすると便利であり、ベッドボード側に収納部を設けるための種々の提案が従来からなされている。
【0003】
例えば特許文献1では、ベッドのへッドボードに取り付けて、へッドボードのベッド内側に垂下させる基布に剛性をもたせ、その正面側に、ティッシュボックス収納体や物品収納用ポケットを設けた構成としている。
【0004】
この特許文献1のように、ヘッドボードのベッド内側に収納部を設ける従来のものでは、収納部が突出しているので、背床部が回動昇降するベッドの場合には、背床部と干渉して収納物が破損するという不都合が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−131368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、従来のベッドボードでは、患者等がベッド周囲を歩行する際、端部が身体や衣服、歩行補助具等と干渉を起こし易く、これを防ぐための対策や、歩行を補助する機能が付加されることが望まれている。
【0007】
更に、近来、介護用ベッド等はレンタルで使用されることもあり、この場合、ベッドボードは、レンタル業者における保管などで部品として扱われることも多い。こうして、ベッドボードは、梱包状態における輸送や保管を効率的に行えるようにする他、梱包していない状態においても保管を省スペースで容易に行えることが望まれている。
本発明は、以上の課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明では、薄箱状に形成したボード本体の上部左右側に、側方部分と上方部分を有するグリップ部を形成し、上方部分はボード本体に対してベッド内側方向に屈曲させると共に、側方部分は、その上部が上方部分と共にベッド内側方向に突出するようにボード本体から傾斜させた構成としたベッドボードを提案する。
【0009】
また本発明では、上記の構成において、側方部分は、背床部の回動軌跡に沿った形状に傾斜させているベッドボードを提案する。
【0010】
また本発明では、上記の構成において、ボード本体の上側面とグリップ部の上方部分の上面は同一面上に配置したベッドボードを提案する。
【0011】
また本発明では、上記の構成において、ボード本体の中央下部に把手部を設けたベッドボードを提案する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のベッドボードは以上のとおり、薄箱状に形成したボード本体の上部左右側に、側方部分と上方部分を有するグリップ部を形成し、上方部分はボード本体に対してベッド内側方向に屈曲させると共に、側方部分は、その上部が上方部分と共にベッド内側方向に突出するようにボード本体から傾斜させた構成としているので、グリップ部を患者等がベッド周囲を歩行する際につかまり易く、特に、つかまる個所を側方部分から上方部分へ、又は上方部分から側方部分へと連続的に変更していくことができるので、歩行が補助されて、安全な歩行を行うことができる。またグリップ部の側方部分はベッド内側方向に突出するようにボード本体から傾斜させた構成としているので、薄板状に構成されている従来のベッドボードのように、その端部に衣服が引っ掛かったり、身体や歩行補助器等と干渉する等の不都合を改善することができる。一方、グリップ部がベッド内側方向に屈曲していることにより、ベッドの側方に取り付けたサイドレールの端部との隙間を非常に狭くすることができ、その隙間への身体の挟まれを確実に防止することができる。
【0013】
そしてグリップ部の側方部分は、背床部の回動軌跡に沿った形状に傾斜させた構成とすれば、ヘッドボードとしての使用において、回動昇降する背床部との干渉を防止することができる。
【0014】
またボード本体の上側面とグリップ部の上方部分の上面は同一面上に配置すれば、ベッドボードの天地を逆にした状態において、ボード本体の上側面とグリップ部の上方部分により、ベッドボードを天地逆の状態で立設して支持することができる。そして、ボード本体の中央下部に把手部を設ければ、天地逆の状態でのベッドボードの移動を容易に行うことができる。
【0015】
更にグリップ部は、その上方部分はボード本体に対してベッド内側方向に屈曲させると共に、側方部分は、その上部が上方部分と共にベッド内側方向に突出するようにボード本体から傾斜させた構成であるので、2つのボード本体の上下方向を逆にすると共に、ベッド内側を対向させれば、グリップ部の突出部分や、ボード本体のベッド内側の左右に配置しているベッド取付金具が干渉せずに薄く重ねることができ、この状態での効率的な保管や、梱包が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明に係るベッドボードの実施の形態の全体構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は右側面図、(e)は背面図である。
【図2】図2は図1のベッドボードを正面側から見た斜視図である。
【図3】図3は図1のベッドボードを背面側から見た斜視図である。
【図4】図4は図3のA−A線矢視図である。
【図5】図5は本発明に係るベッドボードをヘッドボードとして使用している状態を示す斜視図である。
【図6】図6は2つのベッドボードを重ねた状態を示す斜視図である。
【図7】図7は2つのベッドボードを重ねた状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図8】図8はベッドボードを天地逆にして床上に支持している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明のベッドボードの実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図において符号1は本発明に係るベッドボードを概括的に示すもので、このベッドボード1は、薄箱状に形成したボード本体2の、ベッド内側、即ち、図1における正面側の左右に、上下方向の有底の凹部3a,3bを形成し、凹部3a,3bの底部側から上方に至る保持板4を設けて収納部5a,5bを構成している。また、ベッド外側、即ち、図1における背面側の中央部に有底の凹部6を形成し、凹部6の底部側から上方に至る保持板7を設けて収納部8を構成している。このようにボード本体2は、薄箱状であるから、上述したようにベッド内側の左右に上下方向の有底の凹部3a,3bを形成することに加えて、ベッド外側の中央部に有底の凹部6を形成することができ、夫々保持板4,7を設けて収納部5a,5b,8を設けることができる。
【0018】
また、ボード本体2の上部左右側に、側方部分9sと上方部分9uを有するグリップ10a,10b部を形成し、それらの上方部分9uはボード本体2に対してベッド内側方向に屈曲させると共に、側方部分9sは、その上部が上方部分9uと共にベッド内側方向に突出するようにボード本体2から傾斜させた構成としている。ここで、側方部分9sは、背床部(図示省略)の回動軌跡に沿った形状に傾斜させている。また、ボード本体2の上側面とグリップ部10a,10bの上方部分9uの上面は同一面上に配置しており、ボード本体2の上部、この実施の形態ではボード本体2の背面側の上部を把手部11として構成している。更にベッドボード1の正面側の左右側下部には取付金具12a,12bを設けて、ベッドに取り付けるように構成している。取付金具12a,12bは詳細な構成を省略しているが、従来の適宜の取付金具を適用することができる。またボード本体2の正面側の中央下部に把手部14を設けている。
【0019】
以上の構成において、本発明のベッドボード1は、例えば図5に示すように、ベッド13の頭側の端部に取り付けてヘッドボードとして使用することができると共に、ベッド13の足側に取り付けてフットボードとして使用することもできる。図示は省略しているが、ベッド13は、その背床部が回動昇降可能な構成である。
【0020】
以上の構成において、本発明のベッドボードは、図5に示すようにヘッドボードとして使用している場合には、患者等のベッド使用者の頭位置の両脇に収納部5a,5bが配置されているので、寝ながらでも頭を横に向けて収納物を確認し、手を伸ばして収納物の出し入れを行って収納物の使用を行うことができる。
【0021】
この際、収納部5a,5bは、ボード本体2のベッド内側の面から突出していないので、回動可能な背床部との予期せぬ干渉等を防ぐことができる。また、グリップ部10a,10bの側方部分9sは、背床部の回動軌跡に沿った形状に傾斜させた構成とすることにより、ヘッドボードとしての使用において、回動昇降する背床部との干渉を防止することができる。
【0022】
上述したとおり、ボード本体2は、薄箱状であるから、上述したようにベッド内側の左右に上下方向の有底の凹部3a,3bを形成することに加えて、ベッド外側の中央部に有底の凹部6を形成することができ、この凹部6により収納部8を構成することができるので、特に、ベッドボードをフットボードとして使用している場合に、収納部8の有効利用を図ることができる。
【0023】
更に本発明のベッドボードでは、ボード本体2の左右側に、側方部分9sと上方部分9uを有するグリップ部10a,10bを形成すると共に、上方部分9uはボード本体2に対してベッド内側方向に屈曲させ、そして側方部分9sは、その上部が上方部分9uと共にベッド内側方向に突出するようにボード本体2から傾斜させた構成としているので、グリップ部10a,10bを患者等がベッド周囲を歩行する際につかまり易い。特に、このグリップ部10a,10bは、つかまる個所を側方部分9sから上方部分9uへ、又は上方部分9uから側方部分9sへと連続的に変更していくことができるので、非常につかまり易く、歩行が補助されて、安全な歩行を行うことができる。
【0024】
一方、グリップ部10a,10bの側方部分9sはベッド内側方向に突出するようにボード本体2から傾斜させた構成としているので、薄板状に構成されている従来のベッドボードのように、その端部に衣服が引っ掛かったり、身体や歩行補助器等と干渉する等の不都合を改善することができる。一方、グリップ部10a,10bがベッド内側方向に屈曲していることにより、ベッド13の側方に、取付部材15により取り付けたサイドレール(図示省略)の端部との隙間を非常に狭くすることができ、その隙間への身体の挟まれを確実に防止することができる。
【0025】
またこの実施の形態では、ボード本体2の上側面とグリップ部10a,10bの上方部分の上面は同一面上に配置しているので、図8に示すように、ベッドボード1の天地を逆にした状態において、ボード本体2の上側面とグリップ部10a,10bの上方部分9uにより、ベッドボード1を天地逆の状態で立設して支持することができる。そして、ボード本体2の中央下部には把手部14を設けているので、天地逆の状態でのベッドボード1の移動を容易に行うことができる。
【0026】
更にグリップ部10a,10bは、その上方部分9uをボード本体2に対してベッド内側方向に屈曲させると共に、側方部分9sは、その上部が上方部分9uと共にベッド内側方向に突出するようにボード本体2から傾斜させた構成であるので、図6及び図7に示すように、2つのボード本体2の上下方向を逆にすると共に、ベッド内側を対向させれば、グリップ部10a,10bの突出部分や、ボード本体2のベッド内側の左右に配置しているベッド取付金具12a,12bが干渉せずに薄く重ねることができ、この状態での効率的な保管や、梱包が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のベッドボードは、以上の実施の形態に示すように、病院用ベッドや在宅介護ベッド等のヘッドボードやフットボードのいずれにも使用できるように構成する他、ヘッドボード又はフットボード専用として構成することもできるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 ベッドボード
2 ボード本体
3a,3b,6 凹部
4,7 保持板
5a,5b,8 収納部
9s 側方部分
9u 上方部分
10a,10b グリップ部
11 把手部
12a,12b 取付金具
13 ベッド
14 把手部
15 取付部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄箱状に形成したボード本体の上部左右側に、側方部分と上方部分を有するグリップ部を形成し、上方部分はボード本体に対してベッド内側方向に屈曲させると共に、側方部分は、その上部が上方部分と共にベッド内側方向に突出するようにボード本体から傾斜させた構成としたことを特徴とするベッドボード。
【請求項2】
側方部分は、背床部の回動軌跡に沿った形状に傾斜させていることを特徴とする請求項1に記載のベッドボード。
【請求項3】
ボード本体の上側面とグリップ部の上方部分の上面は同一面上に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載のベッドボード。
【請求項4】
ボード本体の中央下部に把手部を設けたことを特徴とする請求項3に記載のベッドボード。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−56210(P2013−56210A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274689(P2012−274689)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2009−10813(P2009−10813)の分割
【原出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)
【Fターム(参考)】