ベッド用クッション及びその製造方法
【課題】リクライニング式ベッド用クッションのシームレスな構造を実現し、クッション同士のずれと、クッション間の段差をなくし、軽量化を実現する。
【解決手段】リクライニング式ベッド用クッション1は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、立体網状構造体の下面から上面に向かって複数の短手方向の連続溝1aを長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、立体網状構造体が上方に屈曲するときに該連続溝1aが拡開し、連続溝1aが側面視で線状であり、連続溝1aの端面を構成する中空線条の端部は溶着され、連続溝1aの深さ立体網状構造体の高さ50〜90%、連続溝1aの長手方向の幅Wを1mm〜5mm、立体網状構造体の高さH30mm〜150mmである。
【解決手段】リクライニング式ベッド用クッション1は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、立体網状構造体の下面から上面に向かって複数の短手方向の連続溝1aを長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、立体網状構造体が上方に屈曲するときに該連続溝1aが拡開し、連続溝1aが側面視で線状であり、連続溝1aの端面を構成する中空線条の端部は溶着され、連続溝1aの深さ立体網状構造体の高さ50〜90%、連続溝1aの長手方向の幅Wを1mm〜5mm、立体網状構造体の高さH30mm〜150mmである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の立体網状構造体を利用するスプリング構造のベッド用クッション及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リクライニング式ベッド用クッション(ギャジ式とも呼ばれている。)が種々提案されている(特許文献1〜5)。特許文献1は、変位脊椎の矯正のため、複数のマットに完全に分離・分割されたものである。特許文献2は、金属製スプリングをクリップで連結した構造体からなるものである。特許文献3は、ウォーター・ギャジベッドで、上部を折り曲げるため、複数のマットがゲル状物層を含み、それらのマットが完全に分離・分割されたものである。特許文献4は、身体洗浄容易性、糞尿処理容易性を実現するため、複数の立体網状構造体クッションに完全に分離・分割されたものである。特許文献5は、ギャジベッドにウォーターマットレスを適用した場合において、背の部分を起伏させた状態でウォーターバッグ内の水の移動をできるだけ少なくする構造とすることで、身体支持性能が低下することが無く、ウォーターマットレスがフラットな通常の状態においては、人体を均一な圧力により支持するとともに、不使用時にはコンパクトに折りたたみ保管や搬送を容易とするウォーターマットレスを提供するため、開閉自在な矩形の袋体の内部周縁に弾性発泡体よりなるクッション体を配し、ウォーターバッグ収容部を形成し、該ウォーターバッグ収容部内に複数のウォーターバッグを所定の方向に並設したものにおいて、ウォーターバッグ内に該ウォーターバッグの内容積とほぼ同程度の容積を有する弾性発泡体を有し、ウォーターバッグ内に水を封入し、バッグ下の複数のクッションを完全に分離・分割するものである。
【0003】
【特許文献1】特開昭47−44890号公報
【特許文献2】実開昭59−29961号公報
【特許文献3】実開平2−74024号公報
【特許文献4】特開平11−318998号公報
【特許文献5】特開2003−310389号公報
【0004】
また、リクライニング式ベッド用のクッションではない一般のベッド用クッションは種々のものが開発されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、3、4、5の従来のリクライニング式ベッド用クッションは、クッションが分離・分割されており、ずれが生じたり、段差ができやすく使い難いという問題がある。特許文献2、3、5は重量が重過ぎるという問題がある。さらに、従来の一般ベッドでは、空気の循環作用、強度、屈曲性などが十分ではないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、ベッド用クッションのシームレスな構造を実現し、クッション同士のずれと、クッション間の段差をなくし、軽量化を実現することを課題とする。
かかる課題を解決するため、請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、該立体網状構造体の下面から上面に向かって短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、該立体網状構造体が上方に屈曲するときに該溝が拡開することを特徴とするスプリング構造のベッド用クッションである。
【0007】
前記連続溝が側面視で線状であることが好ましい。
前記連続溝が側面視で角形であることが好ましい。
前記連続溝が側面視で弧状であることが好ましい。
前記連続溝が、前記立体網状構造体の長手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって短手方向に貫通させた複数の溝と、前記立体網状構造体の短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって長手方向に貫通させた複数の溝と、からなる格子状に形成されていることが好ましい。
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、中空線条の端部が溶着されることが好ましい。
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、前記連続溝に面する端面が、熱又は超音波により閉そく形成されることが好ましい。
前記連続中空線条の線径が0.3mm〜3.0mmであることが好ましい。
前記連続中空線条の嵩密度が0.02〜0.9g/cm3であることが好ましい。
前記連続溝の深さを立体網状構造体の高さの50〜90%とすることが好ましい。
前記短手方向に貫通する連続溝の長手方向の幅、または、前記長手方向に貫通する連続溝の短手方向の幅を立体網状構造体の高さの6〜50%とすることが好ましい。
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、連続中空線条の端部が閉じていることが好ましい。
【0008】
本発明のスプリング構造のベッド用クッション製造方法は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体を成形するスプリング構造成形ステップと、該立体網状構造体の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成する間隙形成ステップと、を備えることを特徴とする。
また、前記間隙形成ステップが、前記立体網状構造体の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、かつ、長手方向に貫通する複数の連続溝を短手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成する格子状の連続溝を形成する間隙形成ステップであることを特徴とする。
立体網状構造体は、厚み方向の上部と下部とで、連続中空線条又は中実線条の嵩密度を変えた構成としても良いし、その左右で嵩密度を変えた構成としても良い。一例として、上部を密として、下部を疎とする構成が上げられる。
更に、着色剤、蛍光塗料、蓄光性材料、マイナスイオン発生材、活性炭、抗菌剤等を原料樹脂に混合しても良い。
【0009】
前記間隙形成ステップの後、前記切除された前記立体網状構造体の連続溝の開口端部を熱又は超音波により溶融固化するか、または、前記間隙形成ステップの前記切除と同時に前記立体網状構造体の連続溝の開口端部を熱又は超音波により溶融固化することによって前記開口端部を閉じるステップを備えることが好ましい。
【0010】
本発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設け、片面に密部である表面層を持ち、全体の空隙率が85%〜95%のもので、前記表面層は、十分な屈曲を得るとともに、屈曲回数に対する耐力を増しているベッド用クッションである。
【0011】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記連続中空線条からなるものであって、前記表面層が連続中空線条で構成されることが好ましい。
【0012】
本発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設けることができるが、片面に密部を持ち、全体の空隙率が80%〜95%のもので、前記表面層に密部を持つ構造体は、音源又は振動体により、その表面層に長繊維構造の連続中空線条の内外部に空気振動を生じ、前記表面層及び前記ベッド全体が増幅振動するベッド用クッションである。
【0013】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記連続中空線条からなるものであって、前記連続中空線条に表面層があり、その表面層及びベッド全体が音源又は振動体により、振動することが好ましい。
【0014】
本発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、前記立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を持ち、片面に密部を持ち、全体の空隙率が70%〜90%のものは、十分な空気の循環があり、涼しいとともに、構造体内部を常に乾燥状態に保つことができ、全体の空隙率が80%〜95%のものは、寝心地もよく、空隙率が85%〜95%のものは、空気の循環作用も十分にあり、体圧が分散されるベッド用クッションである。
【0015】
本発明は、前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記押し出し方向の左右である幅方向にも疎密構造を持ち、連続中空線条からなるものであって、四面成型された連続中空線条に表面層のあることが好ましい。
【0016】
前記密部の空隙率が50%〜80%、前記疎部5cの空隙率が80%〜95%である請求項16〜21のベッド用クッションが好ましい。
【0017】
前記連続線条の外径が0.5mm〜4mmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
請求項1及び13により、ベッド用クッションのシームレスな構造を実現し、クッション同士のずれと、クッション間の段差をなくし、軽量化を実現することができる。
【0019】
請求項1〜14において、ベッド用クッションにモーターの振動装置を付ける等して、振動可能な構成とすることで、クッションに横になった人がリラックスすることが出来、好適である。振動は、リモコン操作等で、様々な振動を選択出来るようにする構成が考えられる。
また、ベッドに空気を注入し、空気で体を支えるようにすることにより、体圧を分散させ、うっ血、とこずれ、褥瘡を防ぐことが出来るので、好適である。
【0020】
請求項2によれば、前記連続溝が側面視で線状であるので、好適な屈曲性が得られる。
【0021】
請求項3、4によれば、前記連続溝が側面視で角形又は弧状であるので、クッションの一部を盛り上げるように屈曲させた際に、連続溝の互いに向き合う両端面が密着することがないので、クッション下面に皺や盛り上がりができてしまうことを防止できる。
【0022】
請求項5及び14によれば、立体網状構造体の下面上に前記連続溝が格子状に形成されているので、クッションをどの側面からも上方に屈曲することが出来る。つまり、クッションの短手方向に貫通させた連続溝を拡開させるように折り曲げれば、クッションに横になった人の頭部から背中にかけて持ち上げる、又は、脚先を上げる等屈曲可能であるのみならず、クッションの長手方向に貫通させた連続溝を拡開させるように折り曲げることによって、身体の左右いずれか一方を持ち上げるように屈曲することも可能となる。体の向きを自力で変えることが困難な場合においても、クッションの身体のあたる部分の左右いずれかに座布団等を宛がうようにすれば、体位変換が容易となる。クッションの下に枕等を宛がうことによってクッションの一部を適宜隆起させることも可能である。またその隆起させる位置も格子状のどの部分に枕を置くかによって自由に調整可能であり、うっ血、褥瘡(pressure ulcer)等の防止に役立つ。
【0023】
請求項6及び12によれば、連続中空線条の立体網状構造体であるので、連続中空線条が空気バネとして作用し、ベッド用クッションの反発力と沈み込みの調和を図ることができる。また、中空線条の端部が溶着されるので、該端部が閉じた状態となり、洗浄の際の中空線条への水の浸入を防止することができる。連続中空線条内部に、液体(水など)、固体(ほこり等)の侵入を防止するとともに、雑菌などの繁殖を抑えることができる。
【0024】
請求項7および15によれば、連続溝に面する中空線条の端部(切断面)が、熱又は超音波により溶融固化され、閉そく形成された端面となる。これにより、連続溝からクッション内部への水、埃、菌等の浸入を防止できる。さらに、連続溝に面する端面が、空間を含んだ中空線条の端部の集合面であったものが、閉そく状態の溶融固化された端面となることによって、ベッド用クッション自体の強度が増し、前述したクッションの屈曲にも耐え得るものとなる。
【0025】
請求項8によれば、前記中空線条の線径が0.3mm〜3.0mmであるので、適度な弾性が得られる。
【0026】
請求項9によれば、前記中空線条の嵩密度が0.02〜0.9g/cm3であるので、軽量化を実現できる。
【0027】
請求項10によれば、前記連続溝の深さを立体網状構造体の高さの50〜90%とするので、好適な屈曲性が得られる。
【0028】
請求項11によれば、前記短手方向に貫通する連続溝の長手方向の幅及び/又は前記長手方向に貫通する連続溝の短手方向の幅を立体網状構造体の高さの6〜50%とするので、クッションの一部を盛り上げるように屈曲させても、連続溝の互いに向き合う両端面が過度に密着して圧縮応力が付加される可能性を低減できるので、クッション下面に皺や盛り上がりができてしまうことを防止できる。
【0029】
請求項16によれば、前記表面層は、十分な屈曲を得るとともに、屈曲回数に対する耐力を増す。
【0030】
請求項17によれば、クッション性や強度が向上する。
【0031】
請求項18によれば、音源又は振動体により、その表面層に長繊維構造の連続中空線条の内外部に空気振動を生じ、前記表面層及び前記ベッド全体が増幅振動する。
【0032】
請求項19によれば、その表面層及びベッド全体が音源又は振動体により、振動する。
【0033】
請求項20によれば、十分な空気の循環があり、涼しいとともに、構造体内部を常に乾燥状態に保つことができ寝心地もよく、空気の循環作用も十分にあり、体圧が分散される。
【0034】
請求項21によれば、強度が向上し、形くずれがし難い。
【0035】
請求項22、23によれば、疎部と密部の物理特性のバランスがよい。
【0036】
請求項16〜23によれば、寝心地、すわり心地がよく、体圧分布の分散性がよく、通気性がよく蒸れず、包み込むような安定感がある。耐久性がよく、適度な反発力(反発力の調整が容易で自由)、ウレタンと比較してへたりが少ない。清潔であり、水洗いができ、速乾性であり、消毒(アルコール、安定化二酸化塩素)できる。抗菌剤を熱可塑性樹脂に練りこむことができる。家庭でのメンテナンスが容易である。エコロジに有用であり、リサイクルが可能であり、一般ゴミとして焼却できる。安全性に優れ、うつ伏せ時にも呼吸が確保できる。耐候性がある。着色料は熱可塑性樹脂への混合によって容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明実施形態を図面を参照して説明する。なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【0038】
先ず、図1を用いて、実施形態1を説明する。実施形態1のリクライニング式ベッド用クッション1は、再生熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5(立体網状構造体5については、図9〜図10参照)であり、該立体網状構造体5の下面から上面に向かって短手方向に貫通する複数の連続溝1aを長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、該立体網状構造体5が上方に屈曲するときに該連続溝1aが拡開することを特徴とする。図1(a)に示す通り、ここでは、連続溝1aが側面視で線状である。連続溝1aの端面を構成する中空線条の端部は溶着される。連続溝1aの深さを立体網状構造体5の高さHの50〜90%とする。連続溝1aの長手方向の幅Wを1mm〜5mmとする。これは立体網状構造体5の高さHを30mm〜150mmとすると、0.6〜16.7%に該当する。尚、図1(b)は、立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション1を上方に屈曲させたときの態様を示しており、図1(c)は立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション1の下面を示したものである。
【0039】
ここでは再生熱可塑性樹脂である原料又は主原料は、PETボトルのフレーク状又はチップ状を使用する。PETボトルをそのまま粉砕しそれを溶融させてフレーク形状にしたものである。リサイクル促進の時代にも適合している。これが再生品ではなく、純正品であると、乾燥結晶化、或いはごみ除去等、コスト的に1m2あたりの製造費が倍増する。廃棄処理コスト削減に威力を発揮できる。しかしながら、再生以外の熱可塑性樹脂等においても適用可能である。例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン66などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、上記樹脂をベースとし共重合したコポリマーやエラストマー、上記樹脂をブレンドしたもの等が挙げられる。酢酸ビニール樹脂、ゴムを混合したポリエチレン樹脂が好適である。また、原料を熱可塑性ウレタンとすれば、低反発で弾力性を保持できる。
【0040】
この実施形態1の立体網状構造体5の内部は概ね均一な密度に成形されたものである。中空線条の線径が0.3mm〜3.0mmである。見掛密度(嵩密度)は0.02〜0.9g/cm3(空隙率36〜98.4%に相当する)が好ましく、0.02〜0.2g/cm3が特に好ましい。立体網状構造体5は、長さ方向において無端状である網状構造体を適宜の長さに切断したものであり、リクライニング式ベッド用クッション1のベッドに好適な大きさに設定されている。
【0041】
実施形態1により、リクライニング式ベッドに適用されるクッションでありながらも、分離・分割されていない1つのシームレスなクッション構造を実現できる。これにより、クッション同士のずれや、クッション間に段差が生じる不具合のないリクライニング式ベッド用クッション1となる。
また、図1(b)に示すように、連続溝1aが拡開するので、連続溝1aを支点として屈曲可能となる。これにより、背もたれ部を上挙させる、あるいは、脚乗せ部を上挙させることができ、仰臥状態から上半身を起こす、あるいは、脚先を上げる等の就寝時の姿勢を変化させ得るクッション1となる。更に、連続溝1aの端面を構成する中空線条の端部は溶着されるので、洗浄等によって水が内部に浸入しないという効果がある。
【0042】
次に、図2を用いて、実施形態2を説明する。実施形態2のリクライニング式ベッド用クッション2は、図2(a)に示す通り、連続溝2aが側面視で三角形である点を除けば概ね実施形態1と同様である。連続溝2aの三角形の底面が開放端となっている。傾斜角度は10〜20°が好ましいが限定されるものではない。連続溝2aの長手方向の幅Wを10mm〜15mmとする。これは立体網状構造体5の高さHを30mm〜150mmとすると、6.6〜50%に該当する。尚、図2(b)は、立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション2を上方に屈曲させたときの態様を示しており、図2(c)は立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション2の下面を示したものである。
【0043】
実施形態2は実施形態1と同様の効果を奏する。また実施形態1の立体網状構造体5の物性によっては、リクライニング式ベッド用クッション2を上方へ屈曲することによって、屈曲した下面に圧縮応力が付加されて皺が寄るなどいびつな形状となるおそれがあるが、実施形態2ではこれを解消することができる。
【0044】
次に、図3を用いて、実施形態3を説明する。実施形態3のリクライニング式ベッド用クッション3は、図3(a)に示す通り、連続溝3aが側面視で弧形状である点を除けば概ね実施形態2と同様である。即ち、実施形態2における連続溝2aの三角形の陵面を弧状としたものである。図3(b)は、立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション3を上方に屈曲させたときの態様を示しており、図3(c)は立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション3の下面を示したものである。本実施形態は実施形態2と同様の効果を奏する。
【0045】
次に、図4〜6を用いて、実施形態4を説明する。本実施形態のリクライニング式ベッド用クッション4は、図4(a)に示す通り、リクライニング式ベッド用クッション4の四方ある側面のうち、全ての側面に連続溝4aが形成された構成となっている。即ち、リクライニング式ベッド用クッション4の下面上に、立体網状構造体5の長手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体5の下面から上面に向かって短手方向に貫通させた複数の溝と、立体網状構造体5の短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって長手方向に貫通させた複数の溝と、からなる連続溝4aが格子状に形成されている(図4(c)参照)。
図4(b)は、リクライニング式ベッド用クッション4の四方ある側面のうち、一側面を上方に屈曲させたときの態様を示している。
【0046】
実施形態4は実施形態1と同様の効果の他、リクライニング式ベッド用クッション4の下面上に、前記連続溝4aが格子状に形成された構成とすることにより、図5(a)、図5(b)に示すように、リクライニング式ベッド用クッション4を四方ある側面のうち、どの側面からも上方に屈曲することが出来る。これにより、例えば、クッション4に座布団等6を宛がうことで、クッション4に横になった人の頭部7から背中8まで持ち上がるように屈曲することも出来るし(図5(a)参照)、横になった人の身体の側面が持ち上がるように屈曲することも出来る(図5(b)参照)。従来の固定式のベッドにクッション4を適用することによって、リクライニング式ベッドと同様の効果、即ち、脚乗せ部を上挙する、または、背もたれ部を上挙する等が可能になるのみならず、仰臥状態から身体の右半身または左半身を上挙させることをも可能とするものである。
【0047】
更に、本実施形態では、リクライニング式ベッド用クッション4の下面上に、前記連続溝4aを格子状に形成することによりクッション4の下面が複数の領域に分割される。本実施形態では、図4(c)に示すように16分割されて16個のブロック4cが形成されることとなる。そして、該ブロック4cに座布団等6を宛がうことで、図6(a)に示すように、クッション全体のうち、一部分だけを盛り上げることが可能である。更に、図6(b)、(c)に示すようにクッション全体のうち、複数箇所を盛り上げることも出来る。これにより、健常者のみならずお年寄りや身体障害者、けがや病気療養中の者などが楽な姿勢で横になれるクッションを提供することが出来る。うっ血、とこずれ、褥瘡等の防止にも役立つ。
【0048】
尚、実施形態1〜4の立体網状構造体5をカッタ、丸ノコ等で切断すると、その切断面(ここでは連続溝1a〜4a及び四方側面部)の連続中空線条の端部は開端することになるが、この連続中空線条をヒータ、熱湯等の溶融手段の接触により切断することにより、切断面を溶融・固化し、連続中空線条の端部が閉じられているものとしてもよい。該処理の温度範囲は60℃〜300℃が好ましい。また、該処理の圧力範囲は、0.01〜10MPaが好ましい。
具体的には、熱板、熱線、超音波ナイフ、超音波カッター等を使用することが考えられる。例えば、図7(a)に示すように熱又は超音波で連続溝1aを加工形成することより、切断面が融着され、強度が増し、更に端部の隙間を塞ぐことになり、中空線条に、水や菌が進入することを防ぐことが出来るので、好適である。
ナイフや丸ノコで連続溝1aを加工形成すると、図7(b)に示すように、切断面に隙間が生じてしまうことにより、その強度に問題が生じ、また、端部の隙間から菌や水が浸入してしまう恐れが出てくる。
【0049】
図8(a)に示すベッド用クッション5は、表面層5aまで連続溝1a,2a,3a又は4aが形成された例である。
【0050】
図8(b)に示す通り、連続溝9aが狭い間隔(10mm〜60mm、好ましくは20〜30mm)で形成されてもよい。この場合の連続溝9aの形成は、Vカットではなく、鉄板9bに薄板9cを直交して接続して構成された熱板9dを使用し、その薄板9cを表面層5bに対して垂直になるように押し付け、強制冷却又は自然冷却させた後、熱板9dを引く抜く。
【0051】
図9及び図10に示す立体網状構造体5は実施形態1〜4の素材であり、図9、図10に示す通り、押出し方向の両側領域5a及び5bが密であり、内側領域5cは疎になっている。図10のAに示すように連続線条は中空構造(管)である。両側領域5a及び5bのうち、5aはクッションにしたときの人体が乗る側、5bはベッドの土台に乗る側である。本実施形態では、両側領域5aは両側領域5bより密度が高くなっている。両側領域5a,5bは、適宜疎密を変更可能である。
【0052】
また、立体網状構造体5は、図9(a)に示す通りの構造であるが、リクライニング式ベッド用素材としても利用できるが、リクライニング式ベッド以外の一般ベッド用としても実施できる。具体的には、ベッド用クッション5は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条(図10参照)又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5であり、立体網状構造体5は、押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設け、片面に密部5a,5bである表面層5a,5bを持ち、全体の空隙率が85%〜95%のものである。前記スプリング構造の立体網状構造体5が、連続中空線条からなるものであって、前記表面層5a,5bが連続中空線条で構成される。
【0053】
立体網状構造体5は、図9(a)に示す通り、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条(図10参照)から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5であり、立体網状構造体5は、押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設けることができるが、片面に密部5a,5bを持ち、全体の空隙率が80%〜95%のもので、前記表面層5a,5bに密部5a,5bを持つ構造体は、音源又は振動体により、その表面層5a,5bに長繊維構造の連続中空線条の内外部に空気振動を生じ、前記表面層5a,5b及び前記ベッド全体が増幅振動する。
【0054】
立体網状構造体5は、図9(a)に示す通り、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条(図10参照)又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5であり、立体網状構造体5は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を持ち、片面に密部5a,5bを持ち、全体の空隙率が70%〜95%は、十分な空気の循環があり、涼しいとともに、構造体内部を常に乾燥状態に保つことができ、全体の空隙率が80%〜95%のものは、寝心地もよく、空隙率が85%〜95%のものは、空気の循環作用も十分にあり、体圧が分散されるベッド用クッションである。
【0055】
立体網状構造体5は、図9(b)に示す通り、前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記押し出し方向の左右である幅方向にも疎密構造を持ち、連続中空線条(図10参照)からなるものであって、四面成型された連続中空線条に表面層5eと内部層5fがある構造である。表面層5eが内部層5fを押出し方向に沿って包囲する構造である。
【0056】
前記密部5a,5bの空隙率が50%〜80%、前記疎部5cの空隙率が80%〜95%である。前記連続線条の外径が0.5mm〜4mmである。
【0057】
(立体網状構造体製造装置)
次に、立体網状構造体製造装置10を説明する。
この立体網状構造体製造装置10は、図12の通り、押出成形機11、無端ベルト12,13を備えた一対の無端コンベア14,15(図14参照)、無端ベルト12,13を駆動する駆動モータ16、チェーン及び歯車から構成され無端ベルト12,13の移動速度を変速させる変速機17、一対の無端コンベア14,15を一部水没させる水槽18、制御装置19、その他計器類等から構成されている。
【0058】
無端コンベア14は、図14の通り、上下に配置された、無端チェーン12aが巻き掛けられたスプロケット14aを有する駆動軸14bと、スプロケット14cを有する従動軸14dを備えている。また、無端コンベア15は無端コンベア14と同期して駆動され、上下に配置された、無端チェーン13aが巻き掛けられたスプロケット15aを備えた従動軸15bと、スプロケット15cを備えた従動軸15dとを備えている。
【0059】
図12の通り、押出成形機11は、コンテナ31、コンテナ31上部に設けた原料供給口32、ダイス33、ダイス33の下端部に脱着自在に固定可能な口金34等から構成されている。押出成形機11のダイス内部の温度範囲は100〜400℃、押出量は20〜200Kg/時間、等に設定可能である。ダイス33の圧力範囲は0.2〜25MPa、例えば75mmスクリューの吐出圧である。立体網状構造体5の厚さが100mmを越えるとギヤポンプ等によりダイス圧力の均一化が必要なこともある。したがって、ダイス33内全域から均等に中空線条を吐出させるためにギヤポンプ等によりダイス内の圧力を上げることが必要となる。このとき立体網状構造体の形状を形成するため、無端コンベア14,15の各面は自由に移動出来る構造とし、ダイス33の口金34の形状(孔の密度又は径)と無端コンベア14,15の搬送速度により所望の密度、強度をもった製品を製造することができ、製品の多様な要求を満足させることができる。
【0060】
本実施形態の立体網状構造体製造装置10は、複数の線条を引き込むための無端コンベア14,15に加えて、図15に示す一対のロール56,57を備えた四面成形機である。すなわち、駆動軸14b,従動軸14dを有する無端コンベア14と、同じく従動軸15b,15dを有する無端コンベア15と、これらの無端コンベア14,15の長手方向端部にそれらと回転軸が直交して配置された回転可能な回転軸56a,57aを備えた一対のロール56,57が配置されている。駆動軸14bにはそれぞれ傘歯車54b,54cが設けられ、回転軸56a,57aにもそれぞれ傘歯車56b,57bが設けられ、傘歯車54b,54c及び傘歯車56b,57bが歯合され、駆動軸14b,15bはチェーンCを介してモータMによって同期駆動され、従って、回転軸56a,57aも同期駆動されるようになっている。回転軸56a,57aの他端部は軸受58a,58bで支持されている。
【0061】
図15(c)の通り、無端コンベア14,15と同様な構造で短尺の一対の無端コンベア59a,59bを直交して配置したものでも良い。この場合、一層、成形を精密に行うことができ、寸法精度が向上する。
【0062】
図15(d)の通り、四面成形を用いて製造ができる。また、図15(e)の通り、これを用いて、三面成形を行うことも出来る。即ち、立体網状構造体5の種類によっては、ダイス33を2系列設けて平行して2つの中空線条の集合体を押し出すようにすれば、生産効率が2倍と成る。
【0063】
図16(a)の通り、変更形態として、前述の同期駆動に替えて、駆動源(モータ等)をそれぞれ設けて、無端コンベア64,65と、ロール66,67(無端コンベアとしても良い)とが独立駆動するような構成も可能である。即ち、三面又は四面成形の場合、回転軸64a,65aを有する無端コンベア64,65と、これらの無端コンベア64,65の長手方向端部にそれらと回転軸が直交して配置された回転可能な回転軸66a,67aを備えた一対のロール66,67が配置されている。回転軸66a,67aにもそれぞれモータMが設けられ、独立駆動されるようになっている。回転軸66a,67aの他端部は軸受68a,68bで支持されている。
【0064】
図16(b)の通り、他の変更形態として、上述例において一対のロール66,67、回転軸66a,67a、軸受68a,68b及びモータMを削除し、表面にポリテトラフルオロエチレンの加工等がなされた滑り性の曲板69a,69bをロール66,67のあった位置に設けることで、駆動機構を簡素化できる。この曲板69a,69bは側面視で、弧状であり、平面視で長方形状に形成されている。
【0065】
口金34の穴は線条が直列に下降する形状であり、穴があいてここから中空糸が下方向に降下して出てくる。穴は環状に形成されているものである。穴は等間隔に設けられていても良いし、非等間隔でも良い。穴は千鳥状、直交状等、様々な配列を取り得る。配列密度を変えたい場合、積極的に端部領域だけ密度を高くする方法をとることもある。口金34の形態を様々に変形させることで製品の多様な要求を満足させることができる。
【0066】
(リクライニング式ベッド用クッションの製造方法)
本発明のリクライニング式ベッド用クッションの製造方法は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5を成形するステップと、該立体網状構造体5の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、複数の短手方向の連続溝1a〜4aを長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成するステップと、を備えるものである。立体網状構造体5の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、複数の長手方向の連続溝4aを短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成してもよい。以下、詳細に説明する。
【0067】
スプリング構造の立体網状構造体5は次のように成形される。
図13に示すように、溶融した熱可塑性樹脂を複数のダイス33より下方へ押出し、一対の無端コンベア14,15により水中において下方に搬送される構造となっている。ダイス33の口金34は複数の孔を有しており、押出された線条は中空線条となる。この溶融した熱可塑性樹脂からなる中空線条が口金34から自然降下し、シュータ20,21を経て一部水没した無端コンベア14,15の間に引き込まれる。押出された線条の集合体の幅より無端コンベア14と無端コンベア15のあいだの間隔が狭く設定されているため、シュータ20,21により、降下した熱可塑性樹脂の集合体の両面、または、一面の表面部分が無端コンベア14,15の上部に落下したのち、溶融した熱可塑性樹脂の集合体の内側へ移動し密な状態となって巻き込まれる(図13参照)。このとき、無端コンベア14,15間に自然降下して、そのまま引き込まれる速度よりも、無端コンベア14,15上に落下した線条の引き込まれる速度のほうが遅くなる。そのため、線条の集合体の両面(または一面)は、水中にそのまま落下した中央部分より空隙率が小さくなる。空隙率が低くなった表面部分は、空隙率が高い中央部分より交点の数が多くなるので、中空線条の密な部分となり、強度が高くなる。また、水中にそのまま落下した中央部分は、中空線条の疎な部分となるのである。この方法により、線条の集合体のうち無端コンベア14,15と接触する面が整えられて、線条の集合体の二面、即ち、ベッド用クッション1〜4の上面と下面が成形される。また、立体網状構造体5の両側面も、ロール56,57または、図15(c)に示す無端コンベア59a,59b等で成形されて四面が成形される。
【0068】
立体網状構造体5の原料として、酢酸ビニール樹脂を加水分解防止のため加熱し乾燥させ、これに適宜仕上がりを良好にする薬剤、又は抗菌剤等を添加したものを用いてもよい。
【0069】
一対のシュータ20,21は表面上を水が上方から下方に流れており、また、透水性シート例えば布で覆われており、透水性シートの上を水が流下することで、均一なループが形成できるようになっている。シュータ20,21は左右対称の傾斜面を備え、その幅が下方に向かうに従って徐々に狭くなっている。
【0070】
立体網状構造体5として機能するためには、全体の空隙率は、リクライニング式ベッド用クッションの使用条件にもよるが、50%〜98%の空隙率の範囲が良好であるとの試験結果が得られた。つまり、密度が大きいと硬くなり、密度が少なくなると柔らかくなる。ベッド用クッション1〜4として十分な機能を発揮するには、空隙率は少なくとも70%以上にすると良いという結果が得られた。つまり、空隙率が70%より小さいと、リクライニング式ベッド用クッション1〜4のクッション性が期待したほど向上しないことがある。この空隙率については、立体網状構造体5の用途に応じて、70%〜98%の範囲で適宜設計すると良い。
【0071】
空隙率=100−{(B÷A)×100}である。Aは樹脂比重に立体網状構造体5の容積を掛けたもの、Bは立体網状構造体5の重さである。
【0072】
ここで使用する熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニール樹脂、或いはゴムを混合したポリエチレン樹脂を原料又は主原料とする。しかし、主原料として使用されるものとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリマー或は複数のポリマーをブレンドしたものなど、通常の押出成形機で加工のできる樹脂であれば問題ない。
また、立体網状構造体5の硬さは嵩密度、合成樹脂の材質等を変更することで可能となる。嵩密度の制御は、押出成形機11の樹脂糸押出速度制御、引き取り機の回転数制御等の制御によって実現できる。
【0073】
シートの幅1.0m、厚さ100mmとした場合、密度が変化することを確かめるため無端コンベアの速度を変化させることにより密度は変化することを確認した。
さらに押出成形機11の吐出量の変化により密度が変化することを確かめた。
【0074】
本実施形態では、スクリューの直径が75mmの単軸押出し機に、1.5m×150mmの面積のダイス33に、直径0.5mmとされた、ほぼ等間隔で約3500個の孔Hを有する口金34を取り付けた。ダイス33の下約120mmの位置に水位がある水槽18を設置し、幅1.2mの無端コンベア14,15を50mmの間隔をあけて1対、無端コンベア14,15の上部が40mm程度水面から出るようにほぼ垂直に設置した。無端コンベア14,15の上方にシュータ20,21を設置した。
【0075】
この装置で、酢酸ビニル樹脂を熱を加えて可塑化しながら樹脂温度が240℃になるように、ダイス33の温度をコントロールして、1時間当たり120kgの押出し量で口金34から出た溶融樹脂の集合体の両面が無端コンベア14,15に落ちるようにそれらの間に押出した。この時の無端コンベア14,15の引取速度は0.7m/分とした。無端コンベア14,15に挟まれて下方へ移動した成形物は、水槽18の下部で向きを変え、押出し機とは反対の側から水面へと移動し、水槽18から出た時点で圧縮エアー又は真空ポンプで水分を吹き飛ばした。
【0076】
このようにして得られた立体網状構造体5は、幅1500mm〜2000mm、厚さ30〜150mm(60〜120mmが好適である)で、密度は、0.02g/cm3〜0.2g/cm3が得られた。適宜、リクライニング式ベッド用クッション用のサイズに切断する。切断は押出し方向に直交する方向が好ましい。つまり立体網状構造体5の切断面が、リクライニング式ベッド用クッション1〜4の長手方向の両端となるように切断されることが好ましい。
【0077】
次に、立体網状構造体5に加熱したカッタで下面から上面に向かって切込みを入れることにより、切断面を形成する。立体網状構造体5の下面から上面に向かって短手方向に貫通する複数の連続溝1a〜4aを長手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成する。形成する切断面は側面視で線条、角状、弧状等とする。格子状の連続溝4aとする場合には、上記連続溝の形成に加えて、長手方向に貫通する複数の連続溝4aを短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成する。
【0078】
この切断面の形成後、又は、切断面の形成と同時に、連続線条の開口端部(ここでは連続溝1a〜4a及び前後の側面部)が熱で溶着され固化され閉じられる。即ち、立体網状構造体5の切断面において連続中空線条は開端(図10のA参照)しているが、連続中空線条の開口端部がヒータ、熱湯、超音波等の溶融手段の接触により開口端部を溶融固化される工程を経て図11に示すリクライニング式ベッド用クッション1または4となる。図11は、線条の連続溝1aまたは4aを形成したものであるが、角状の連続溝2a、弧状の連続溝3aをそれぞれ形成することによって、リクライニング式ベッド用クッション2または3としてもよい。該処理の温度範囲は60℃〜300℃が好ましい。また、該処理の圧力範囲は、0.01〜10MPaが好ましい。切断と溶融固化を同時に行うときには、ヒータ板で連続線条を切断することになる。この場合、連続中空線条内部に、液体(水など)、固体(ほこり等)の侵入を防止するとともに、雑菌などの繁殖を抑える効果がある。
【実施例】
【0079】
立体網状構造体のベッドの大きさは、縦1910mm、横840mm、厚み75mmであり、図17のバネ剛性が柔らかいタイプは、重量が10.5Kg,空隙率91%、線条の外径2〜3mm、図18のバネ剛性が硬いタイプは、重量が14.5Kg,空隙率88%、線条の外径2〜3mmである。リクライニング用溝は形成されていない一般ベッドの構造である。体重が60Kgの被験者がベッド用クッションに寝た状態の体圧分散をベッドの各位置に対して計測した。体圧を18階級に色で区分し(右側グラフ)、各測定位置に対する色分布図(左側グラフ)を作成した。分割された上中下の区画に示す陰影は、それぞれ、肩甲骨部、臀部、踵部をそれぞれ示す。その結果、図17及び図18に示す通り、褥瘡(pressure ullcer)が生じる限界である32mmHg(4266Pa)以下に体圧が分散されていることが認められる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のベッド用クッション1〜4によれば、洗浄が可能で乾きも早いため清潔で使いやすいベッド用クッションを提供できる。また、1つ1つの中空線条自体がエアークッションの働きをしているのに加え、適宜箇所において屈曲可能であるため、寝心地のよいベッド用クッションを提供できる。病院、一般家庭、特に介護の必要な者に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】(a)は実施形態1のリクライニング式ベッド用クッション1の斜視図、(b)は該クッション1の屈曲時の斜視図、(c)は、該クッション1の下面図である。
【図2】(a)は実施形態2におけるリクライニング式ベッド用クッション2の斜視図、(b)は該クッション2の屈曲時の斜視図、(c)は、該クッション2の下面図である。
【図3】(a)は実施形態3におけるリクライニング式ベッド用クッション3の斜視図、(b)は該クッション3の屈曲時の斜視図、(c)は、該クッション3の下面図である。
【図4】(a)は実施形態4におけるリクライニング式ベッド用クッション4の斜視図、(b)は該クッション4の屈曲時の斜視図、(c)は、該クッション4の下面図である。
【図5】(a)は実施形態4におけるリクライニング式ベッド用クッション4を上方に屈曲した説明図、(b)は該クッション4の横方向を上方に屈曲した説明図である。
【図6】(a)は実施形態4におけるリクライニング式ベッド用クッション4の1部分を盛り上げた斜視図であり、(b)は該クッション4のうち、複数箇所盛り上げた場合の斜視図、(c)は該クッション4のうち、複数箇所盛り上げた場合の説明図である。
【図7】(a)は熱板、熱線、超音波ナイフ、超音波カッター等を使用して、実施形態1の連続溝1aを加工した図であり、(b)は、ナイフや丸ノコを使用して実施形態1の連続溝1aを加工した図である。
【図8】(a)は、実施形態1〜4の素材となる2面成形の立体網状構造体5の斜視図、(b)は、同じく4面成形の立体網状構造体5の斜視図であり、一般ベッド用クッションにも適用できる。
【図9】(a)は本実施形態1〜4のクッション4の断面図、(b)は実施形態5のクッション4の断面図である。
【図10】本実施形態の素材となる立体網状構造体5の斜視図である。
【図11】実施形態1および4のスプリング構造のリクライニング式ベッド用クッション1,4の正面図である。
【図12】本実施形態の立体網状構造体製造装置10の斜視図である。
【図13】本実施形態の立体網状構造体製造装置10の動作状況を示す説明図である。
【図14】(a),(b)は、同立体網状構造体製造装置10の無端コンベア14,15の側面図及び正面図である。
【図15】(a)は、本実施形態の立体網状構造体製造装置10の無端コンベア14,15の平面図、(b)は、同立体網状構造体製造装置10の側面図、(c)は、他の形態の四面成形の立体網状構造体製造装置10の側面図、(d)は、同立体網状構造体製造装置10による四面成形の様子を示す平面図、(e)は、同立体網状構造体製造装置10による三面成形の様子を示す平面図である。
【図16】(a)は四面成形の場合の独立駆動構造の立体網状構造体製造装置10の無端コンベア14,15の平面図、(b)は曲板69a,69bを端面に設けた同無端コンベア14,15の平面図である。
【図17】実施例のバネ剛性が柔らかいタイプの体圧分散の分布を示す説明図である。
【図18】実施例のバネ剛性が硬いタイプの体圧分散の分布を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1,2,3,4…リクライニング式ベッド用クッション
1a,2a,3a,4a…連続溝
5…立体網状構造体(ベッドクッション) 10…立体網状構造体製造装置
11…押出成形機 12,13…無端ベルト
14,15,59a,59b,64,65…無端コンベア
33…ダイス 34…口金
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の立体網状構造体を利用するスプリング構造のベッド用クッション及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リクライニング式ベッド用クッション(ギャジ式とも呼ばれている。)が種々提案されている(特許文献1〜5)。特許文献1は、変位脊椎の矯正のため、複数のマットに完全に分離・分割されたものである。特許文献2は、金属製スプリングをクリップで連結した構造体からなるものである。特許文献3は、ウォーター・ギャジベッドで、上部を折り曲げるため、複数のマットがゲル状物層を含み、それらのマットが完全に分離・分割されたものである。特許文献4は、身体洗浄容易性、糞尿処理容易性を実現するため、複数の立体網状構造体クッションに完全に分離・分割されたものである。特許文献5は、ギャジベッドにウォーターマットレスを適用した場合において、背の部分を起伏させた状態でウォーターバッグ内の水の移動をできるだけ少なくする構造とすることで、身体支持性能が低下することが無く、ウォーターマットレスがフラットな通常の状態においては、人体を均一な圧力により支持するとともに、不使用時にはコンパクトに折りたたみ保管や搬送を容易とするウォーターマットレスを提供するため、開閉自在な矩形の袋体の内部周縁に弾性発泡体よりなるクッション体を配し、ウォーターバッグ収容部を形成し、該ウォーターバッグ収容部内に複数のウォーターバッグを所定の方向に並設したものにおいて、ウォーターバッグ内に該ウォーターバッグの内容積とほぼ同程度の容積を有する弾性発泡体を有し、ウォーターバッグ内に水を封入し、バッグ下の複数のクッションを完全に分離・分割するものである。
【0003】
【特許文献1】特開昭47−44890号公報
【特許文献2】実開昭59−29961号公報
【特許文献3】実開平2−74024号公報
【特許文献4】特開平11−318998号公報
【特許文献5】特開2003−310389号公報
【0004】
また、リクライニング式ベッド用のクッションではない一般のベッド用クッションは種々のものが開発されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、3、4、5の従来のリクライニング式ベッド用クッションは、クッションが分離・分割されており、ずれが生じたり、段差ができやすく使い難いという問題がある。特許文献2、3、5は重量が重過ぎるという問題がある。さらに、従来の一般ベッドでは、空気の循環作用、強度、屈曲性などが十分ではないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、ベッド用クッションのシームレスな構造を実現し、クッション同士のずれと、クッション間の段差をなくし、軽量化を実現することを課題とする。
かかる課題を解決するため、請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、該立体網状構造体の下面から上面に向かって短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、該立体網状構造体が上方に屈曲するときに該溝が拡開することを特徴とするスプリング構造のベッド用クッションである。
【0007】
前記連続溝が側面視で線状であることが好ましい。
前記連続溝が側面視で角形であることが好ましい。
前記連続溝が側面視で弧状であることが好ましい。
前記連続溝が、前記立体網状構造体の長手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって短手方向に貫通させた複数の溝と、前記立体網状構造体の短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって長手方向に貫通させた複数の溝と、からなる格子状に形成されていることが好ましい。
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、中空線条の端部が溶着されることが好ましい。
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、前記連続溝に面する端面が、熱又は超音波により閉そく形成されることが好ましい。
前記連続中空線条の線径が0.3mm〜3.0mmであることが好ましい。
前記連続中空線条の嵩密度が0.02〜0.9g/cm3であることが好ましい。
前記連続溝の深さを立体網状構造体の高さの50〜90%とすることが好ましい。
前記短手方向に貫通する連続溝の長手方向の幅、または、前記長手方向に貫通する連続溝の短手方向の幅を立体網状構造体の高さの6〜50%とすることが好ましい。
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、連続中空線条の端部が閉じていることが好ましい。
【0008】
本発明のスプリング構造のベッド用クッション製造方法は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体を成形するスプリング構造成形ステップと、該立体網状構造体の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成する間隙形成ステップと、を備えることを特徴とする。
また、前記間隙形成ステップが、前記立体網状構造体の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、かつ、長手方向に貫通する複数の連続溝を短手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成する格子状の連続溝を形成する間隙形成ステップであることを特徴とする。
立体網状構造体は、厚み方向の上部と下部とで、連続中空線条又は中実線条の嵩密度を変えた構成としても良いし、その左右で嵩密度を変えた構成としても良い。一例として、上部を密として、下部を疎とする構成が上げられる。
更に、着色剤、蛍光塗料、蓄光性材料、マイナスイオン発生材、活性炭、抗菌剤等を原料樹脂に混合しても良い。
【0009】
前記間隙形成ステップの後、前記切除された前記立体網状構造体の連続溝の開口端部を熱又は超音波により溶融固化するか、または、前記間隙形成ステップの前記切除と同時に前記立体網状構造体の連続溝の開口端部を熱又は超音波により溶融固化することによって前記開口端部を閉じるステップを備えることが好ましい。
【0010】
本発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設け、片面に密部である表面層を持ち、全体の空隙率が85%〜95%のもので、前記表面層は、十分な屈曲を得るとともに、屈曲回数に対する耐力を増しているベッド用クッションである。
【0011】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記連続中空線条からなるものであって、前記表面層が連続中空線条で構成されることが好ましい。
【0012】
本発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設けることができるが、片面に密部を持ち、全体の空隙率が80%〜95%のもので、前記表面層に密部を持つ構造体は、音源又は振動体により、その表面層に長繊維構造の連続中空線条の内外部に空気振動を生じ、前記表面層及び前記ベッド全体が増幅振動するベッド用クッションである。
【0013】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記連続中空線条からなるものであって、前記連続中空線条に表面層があり、その表面層及びベッド全体が音源又は振動体により、振動することが好ましい。
【0014】
本発明は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、前記立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を持ち、片面に密部を持ち、全体の空隙率が70%〜90%のものは、十分な空気の循環があり、涼しいとともに、構造体内部を常に乾燥状態に保つことができ、全体の空隙率が80%〜95%のものは、寝心地もよく、空隙率が85%〜95%のものは、空気の循環作用も十分にあり、体圧が分散されるベッド用クッションである。
【0015】
本発明は、前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記押し出し方向の左右である幅方向にも疎密構造を持ち、連続中空線条からなるものであって、四面成型された連続中空線条に表面層のあることが好ましい。
【0016】
前記密部の空隙率が50%〜80%、前記疎部5cの空隙率が80%〜95%である請求項16〜21のベッド用クッションが好ましい。
【0017】
前記連続線条の外径が0.5mm〜4mmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
請求項1及び13により、ベッド用クッションのシームレスな構造を実現し、クッション同士のずれと、クッション間の段差をなくし、軽量化を実現することができる。
【0019】
請求項1〜14において、ベッド用クッションにモーターの振動装置を付ける等して、振動可能な構成とすることで、クッションに横になった人がリラックスすることが出来、好適である。振動は、リモコン操作等で、様々な振動を選択出来るようにする構成が考えられる。
また、ベッドに空気を注入し、空気で体を支えるようにすることにより、体圧を分散させ、うっ血、とこずれ、褥瘡を防ぐことが出来るので、好適である。
【0020】
請求項2によれば、前記連続溝が側面視で線状であるので、好適な屈曲性が得られる。
【0021】
請求項3、4によれば、前記連続溝が側面視で角形又は弧状であるので、クッションの一部を盛り上げるように屈曲させた際に、連続溝の互いに向き合う両端面が密着することがないので、クッション下面に皺や盛り上がりができてしまうことを防止できる。
【0022】
請求項5及び14によれば、立体網状構造体の下面上に前記連続溝が格子状に形成されているので、クッションをどの側面からも上方に屈曲することが出来る。つまり、クッションの短手方向に貫通させた連続溝を拡開させるように折り曲げれば、クッションに横になった人の頭部から背中にかけて持ち上げる、又は、脚先を上げる等屈曲可能であるのみならず、クッションの長手方向に貫通させた連続溝を拡開させるように折り曲げることによって、身体の左右いずれか一方を持ち上げるように屈曲することも可能となる。体の向きを自力で変えることが困難な場合においても、クッションの身体のあたる部分の左右いずれかに座布団等を宛がうようにすれば、体位変換が容易となる。クッションの下に枕等を宛がうことによってクッションの一部を適宜隆起させることも可能である。またその隆起させる位置も格子状のどの部分に枕を置くかによって自由に調整可能であり、うっ血、褥瘡(pressure ulcer)等の防止に役立つ。
【0023】
請求項6及び12によれば、連続中空線条の立体網状構造体であるので、連続中空線条が空気バネとして作用し、ベッド用クッションの反発力と沈み込みの調和を図ることができる。また、中空線条の端部が溶着されるので、該端部が閉じた状態となり、洗浄の際の中空線条への水の浸入を防止することができる。連続中空線条内部に、液体(水など)、固体(ほこり等)の侵入を防止するとともに、雑菌などの繁殖を抑えることができる。
【0024】
請求項7および15によれば、連続溝に面する中空線条の端部(切断面)が、熱又は超音波により溶融固化され、閉そく形成された端面となる。これにより、連続溝からクッション内部への水、埃、菌等の浸入を防止できる。さらに、連続溝に面する端面が、空間を含んだ中空線条の端部の集合面であったものが、閉そく状態の溶融固化された端面となることによって、ベッド用クッション自体の強度が増し、前述したクッションの屈曲にも耐え得るものとなる。
【0025】
請求項8によれば、前記中空線条の線径が0.3mm〜3.0mmであるので、適度な弾性が得られる。
【0026】
請求項9によれば、前記中空線条の嵩密度が0.02〜0.9g/cm3であるので、軽量化を実現できる。
【0027】
請求項10によれば、前記連続溝の深さを立体網状構造体の高さの50〜90%とするので、好適な屈曲性が得られる。
【0028】
請求項11によれば、前記短手方向に貫通する連続溝の長手方向の幅及び/又は前記長手方向に貫通する連続溝の短手方向の幅を立体網状構造体の高さの6〜50%とするので、クッションの一部を盛り上げるように屈曲させても、連続溝の互いに向き合う両端面が過度に密着して圧縮応力が付加される可能性を低減できるので、クッション下面に皺や盛り上がりができてしまうことを防止できる。
【0029】
請求項16によれば、前記表面層は、十分な屈曲を得るとともに、屈曲回数に対する耐力を増す。
【0030】
請求項17によれば、クッション性や強度が向上する。
【0031】
請求項18によれば、音源又は振動体により、その表面層に長繊維構造の連続中空線条の内外部に空気振動を生じ、前記表面層及び前記ベッド全体が増幅振動する。
【0032】
請求項19によれば、その表面層及びベッド全体が音源又は振動体により、振動する。
【0033】
請求項20によれば、十分な空気の循環があり、涼しいとともに、構造体内部を常に乾燥状態に保つことができ寝心地もよく、空気の循環作用も十分にあり、体圧が分散される。
【0034】
請求項21によれば、強度が向上し、形くずれがし難い。
【0035】
請求項22、23によれば、疎部と密部の物理特性のバランスがよい。
【0036】
請求項16〜23によれば、寝心地、すわり心地がよく、体圧分布の分散性がよく、通気性がよく蒸れず、包み込むような安定感がある。耐久性がよく、適度な反発力(反発力の調整が容易で自由)、ウレタンと比較してへたりが少ない。清潔であり、水洗いができ、速乾性であり、消毒(アルコール、安定化二酸化塩素)できる。抗菌剤を熱可塑性樹脂に練りこむことができる。家庭でのメンテナンスが容易である。エコロジに有用であり、リサイクルが可能であり、一般ゴミとして焼却できる。安全性に優れ、うつ伏せ時にも呼吸が確保できる。耐候性がある。着色料は熱可塑性樹脂への混合によって容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明実施形態を図面を参照して説明する。なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【0038】
先ず、図1を用いて、実施形態1を説明する。実施形態1のリクライニング式ベッド用クッション1は、再生熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5(立体網状構造体5については、図9〜図10参照)であり、該立体網状構造体5の下面から上面に向かって短手方向に貫通する複数の連続溝1aを長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、該立体網状構造体5が上方に屈曲するときに該連続溝1aが拡開することを特徴とする。図1(a)に示す通り、ここでは、連続溝1aが側面視で線状である。連続溝1aの端面を構成する中空線条の端部は溶着される。連続溝1aの深さを立体網状構造体5の高さHの50〜90%とする。連続溝1aの長手方向の幅Wを1mm〜5mmとする。これは立体網状構造体5の高さHを30mm〜150mmとすると、0.6〜16.7%に該当する。尚、図1(b)は、立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション1を上方に屈曲させたときの態様を示しており、図1(c)は立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション1の下面を示したものである。
【0039】
ここでは再生熱可塑性樹脂である原料又は主原料は、PETボトルのフレーク状又はチップ状を使用する。PETボトルをそのまま粉砕しそれを溶融させてフレーク形状にしたものである。リサイクル促進の時代にも適合している。これが再生品ではなく、純正品であると、乾燥結晶化、或いはごみ除去等、コスト的に1m2あたりの製造費が倍増する。廃棄処理コスト削減に威力を発揮できる。しかしながら、再生以外の熱可塑性樹脂等においても適用可能である。例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン66などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、上記樹脂をベースとし共重合したコポリマーやエラストマー、上記樹脂をブレンドしたもの等が挙げられる。酢酸ビニール樹脂、ゴムを混合したポリエチレン樹脂が好適である。また、原料を熱可塑性ウレタンとすれば、低反発で弾力性を保持できる。
【0040】
この実施形態1の立体網状構造体5の内部は概ね均一な密度に成形されたものである。中空線条の線径が0.3mm〜3.0mmである。見掛密度(嵩密度)は0.02〜0.9g/cm3(空隙率36〜98.4%に相当する)が好ましく、0.02〜0.2g/cm3が特に好ましい。立体網状構造体5は、長さ方向において無端状である網状構造体を適宜の長さに切断したものであり、リクライニング式ベッド用クッション1のベッドに好適な大きさに設定されている。
【0041】
実施形態1により、リクライニング式ベッドに適用されるクッションでありながらも、分離・分割されていない1つのシームレスなクッション構造を実現できる。これにより、クッション同士のずれや、クッション間に段差が生じる不具合のないリクライニング式ベッド用クッション1となる。
また、図1(b)に示すように、連続溝1aが拡開するので、連続溝1aを支点として屈曲可能となる。これにより、背もたれ部を上挙させる、あるいは、脚乗せ部を上挙させることができ、仰臥状態から上半身を起こす、あるいは、脚先を上げる等の就寝時の姿勢を変化させ得るクッション1となる。更に、連続溝1aの端面を構成する中空線条の端部は溶着されるので、洗浄等によって水が内部に浸入しないという効果がある。
【0042】
次に、図2を用いて、実施形態2を説明する。実施形態2のリクライニング式ベッド用クッション2は、図2(a)に示す通り、連続溝2aが側面視で三角形である点を除けば概ね実施形態1と同様である。連続溝2aの三角形の底面が開放端となっている。傾斜角度は10〜20°が好ましいが限定されるものではない。連続溝2aの長手方向の幅Wを10mm〜15mmとする。これは立体網状構造体5の高さHを30mm〜150mmとすると、6.6〜50%に該当する。尚、図2(b)は、立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション2を上方に屈曲させたときの態様を示しており、図2(c)は立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション2の下面を示したものである。
【0043】
実施形態2は実施形態1と同様の効果を奏する。また実施形態1の立体網状構造体5の物性によっては、リクライニング式ベッド用クッション2を上方へ屈曲することによって、屈曲した下面に圧縮応力が付加されて皺が寄るなどいびつな形状となるおそれがあるが、実施形態2ではこれを解消することができる。
【0044】
次に、図3を用いて、実施形態3を説明する。実施形態3のリクライニング式ベッド用クッション3は、図3(a)に示す通り、連続溝3aが側面視で弧形状である点を除けば概ね実施形態2と同様である。即ち、実施形態2における連続溝2aの三角形の陵面を弧状としたものである。図3(b)は、立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション3を上方に屈曲させたときの態様を示しており、図3(c)は立体網状構造体5からなるリクライニング式ベッド用クッション3の下面を示したものである。本実施形態は実施形態2と同様の効果を奏する。
【0045】
次に、図4〜6を用いて、実施形態4を説明する。本実施形態のリクライニング式ベッド用クッション4は、図4(a)に示す通り、リクライニング式ベッド用クッション4の四方ある側面のうち、全ての側面に連続溝4aが形成された構成となっている。即ち、リクライニング式ベッド用クッション4の下面上に、立体網状構造体5の長手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体5の下面から上面に向かって短手方向に貫通させた複数の溝と、立体網状構造体5の短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって長手方向に貫通させた複数の溝と、からなる連続溝4aが格子状に形成されている(図4(c)参照)。
図4(b)は、リクライニング式ベッド用クッション4の四方ある側面のうち、一側面を上方に屈曲させたときの態様を示している。
【0046】
実施形態4は実施形態1と同様の効果の他、リクライニング式ベッド用クッション4の下面上に、前記連続溝4aが格子状に形成された構成とすることにより、図5(a)、図5(b)に示すように、リクライニング式ベッド用クッション4を四方ある側面のうち、どの側面からも上方に屈曲することが出来る。これにより、例えば、クッション4に座布団等6を宛がうことで、クッション4に横になった人の頭部7から背中8まで持ち上がるように屈曲することも出来るし(図5(a)参照)、横になった人の身体の側面が持ち上がるように屈曲することも出来る(図5(b)参照)。従来の固定式のベッドにクッション4を適用することによって、リクライニング式ベッドと同様の効果、即ち、脚乗せ部を上挙する、または、背もたれ部を上挙する等が可能になるのみならず、仰臥状態から身体の右半身または左半身を上挙させることをも可能とするものである。
【0047】
更に、本実施形態では、リクライニング式ベッド用クッション4の下面上に、前記連続溝4aを格子状に形成することによりクッション4の下面が複数の領域に分割される。本実施形態では、図4(c)に示すように16分割されて16個のブロック4cが形成されることとなる。そして、該ブロック4cに座布団等6を宛がうことで、図6(a)に示すように、クッション全体のうち、一部分だけを盛り上げることが可能である。更に、図6(b)、(c)に示すようにクッション全体のうち、複数箇所を盛り上げることも出来る。これにより、健常者のみならずお年寄りや身体障害者、けがや病気療養中の者などが楽な姿勢で横になれるクッションを提供することが出来る。うっ血、とこずれ、褥瘡等の防止にも役立つ。
【0048】
尚、実施形態1〜4の立体網状構造体5をカッタ、丸ノコ等で切断すると、その切断面(ここでは連続溝1a〜4a及び四方側面部)の連続中空線条の端部は開端することになるが、この連続中空線条をヒータ、熱湯等の溶融手段の接触により切断することにより、切断面を溶融・固化し、連続中空線条の端部が閉じられているものとしてもよい。該処理の温度範囲は60℃〜300℃が好ましい。また、該処理の圧力範囲は、0.01〜10MPaが好ましい。
具体的には、熱板、熱線、超音波ナイフ、超音波カッター等を使用することが考えられる。例えば、図7(a)に示すように熱又は超音波で連続溝1aを加工形成することより、切断面が融着され、強度が増し、更に端部の隙間を塞ぐことになり、中空線条に、水や菌が進入することを防ぐことが出来るので、好適である。
ナイフや丸ノコで連続溝1aを加工形成すると、図7(b)に示すように、切断面に隙間が生じてしまうことにより、その強度に問題が生じ、また、端部の隙間から菌や水が浸入してしまう恐れが出てくる。
【0049】
図8(a)に示すベッド用クッション5は、表面層5aまで連続溝1a,2a,3a又は4aが形成された例である。
【0050】
図8(b)に示す通り、連続溝9aが狭い間隔(10mm〜60mm、好ましくは20〜30mm)で形成されてもよい。この場合の連続溝9aの形成は、Vカットではなく、鉄板9bに薄板9cを直交して接続して構成された熱板9dを使用し、その薄板9cを表面層5bに対して垂直になるように押し付け、強制冷却又は自然冷却させた後、熱板9dを引く抜く。
【0051】
図9及び図10に示す立体網状構造体5は実施形態1〜4の素材であり、図9、図10に示す通り、押出し方向の両側領域5a及び5bが密であり、内側領域5cは疎になっている。図10のAに示すように連続線条は中空構造(管)である。両側領域5a及び5bのうち、5aはクッションにしたときの人体が乗る側、5bはベッドの土台に乗る側である。本実施形態では、両側領域5aは両側領域5bより密度が高くなっている。両側領域5a,5bは、適宜疎密を変更可能である。
【0052】
また、立体網状構造体5は、図9(a)に示す通りの構造であるが、リクライニング式ベッド用素材としても利用できるが、リクライニング式ベッド以外の一般ベッド用としても実施できる。具体的には、ベッド用クッション5は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条(図10参照)又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5であり、立体網状構造体5は、押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設け、片面に密部5a,5bである表面層5a,5bを持ち、全体の空隙率が85%〜95%のものである。前記スプリング構造の立体網状構造体5が、連続中空線条からなるものであって、前記表面層5a,5bが連続中空線条で構成される。
【0053】
立体網状構造体5は、図9(a)に示す通り、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条(図10参照)から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5であり、立体網状構造体5は、押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設けることができるが、片面に密部5a,5bを持ち、全体の空隙率が80%〜95%のもので、前記表面層5a,5bに密部5a,5bを持つ構造体は、音源又は振動体により、その表面層5a,5bに長繊維構造の連続中空線条の内外部に空気振動を生じ、前記表面層5a,5b及び前記ベッド全体が増幅振動する。
【0054】
立体網状構造体5は、図9(a)に示す通り、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条(図10参照)又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5であり、立体網状構造体5は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を持ち、片面に密部5a,5bを持ち、全体の空隙率が70%〜95%は、十分な空気の循環があり、涼しいとともに、構造体内部を常に乾燥状態に保つことができ、全体の空隙率が80%〜95%のものは、寝心地もよく、空隙率が85%〜95%のものは、空気の循環作用も十分にあり、体圧が分散されるベッド用クッションである。
【0055】
立体網状構造体5は、図9(b)に示す通り、前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記押し出し方向の左右である幅方向にも疎密構造を持ち、連続中空線条(図10参照)からなるものであって、四面成型された連続中空線条に表面層5eと内部層5fがある構造である。表面層5eが内部層5fを押出し方向に沿って包囲する構造である。
【0056】
前記密部5a,5bの空隙率が50%〜80%、前記疎部5cの空隙率が80%〜95%である。前記連続線条の外径が0.5mm〜4mmである。
【0057】
(立体網状構造体製造装置)
次に、立体網状構造体製造装置10を説明する。
この立体網状構造体製造装置10は、図12の通り、押出成形機11、無端ベルト12,13を備えた一対の無端コンベア14,15(図14参照)、無端ベルト12,13を駆動する駆動モータ16、チェーン及び歯車から構成され無端ベルト12,13の移動速度を変速させる変速機17、一対の無端コンベア14,15を一部水没させる水槽18、制御装置19、その他計器類等から構成されている。
【0058】
無端コンベア14は、図14の通り、上下に配置された、無端チェーン12aが巻き掛けられたスプロケット14aを有する駆動軸14bと、スプロケット14cを有する従動軸14dを備えている。また、無端コンベア15は無端コンベア14と同期して駆動され、上下に配置された、無端チェーン13aが巻き掛けられたスプロケット15aを備えた従動軸15bと、スプロケット15cを備えた従動軸15dとを備えている。
【0059】
図12の通り、押出成形機11は、コンテナ31、コンテナ31上部に設けた原料供給口32、ダイス33、ダイス33の下端部に脱着自在に固定可能な口金34等から構成されている。押出成形機11のダイス内部の温度範囲は100〜400℃、押出量は20〜200Kg/時間、等に設定可能である。ダイス33の圧力範囲は0.2〜25MPa、例えば75mmスクリューの吐出圧である。立体網状構造体5の厚さが100mmを越えるとギヤポンプ等によりダイス圧力の均一化が必要なこともある。したがって、ダイス33内全域から均等に中空線条を吐出させるためにギヤポンプ等によりダイス内の圧力を上げることが必要となる。このとき立体網状構造体の形状を形成するため、無端コンベア14,15の各面は自由に移動出来る構造とし、ダイス33の口金34の形状(孔の密度又は径)と無端コンベア14,15の搬送速度により所望の密度、強度をもった製品を製造することができ、製品の多様な要求を満足させることができる。
【0060】
本実施形態の立体網状構造体製造装置10は、複数の線条を引き込むための無端コンベア14,15に加えて、図15に示す一対のロール56,57を備えた四面成形機である。すなわち、駆動軸14b,従動軸14dを有する無端コンベア14と、同じく従動軸15b,15dを有する無端コンベア15と、これらの無端コンベア14,15の長手方向端部にそれらと回転軸が直交して配置された回転可能な回転軸56a,57aを備えた一対のロール56,57が配置されている。駆動軸14bにはそれぞれ傘歯車54b,54cが設けられ、回転軸56a,57aにもそれぞれ傘歯車56b,57bが設けられ、傘歯車54b,54c及び傘歯車56b,57bが歯合され、駆動軸14b,15bはチェーンCを介してモータMによって同期駆動され、従って、回転軸56a,57aも同期駆動されるようになっている。回転軸56a,57aの他端部は軸受58a,58bで支持されている。
【0061】
図15(c)の通り、無端コンベア14,15と同様な構造で短尺の一対の無端コンベア59a,59bを直交して配置したものでも良い。この場合、一層、成形を精密に行うことができ、寸法精度が向上する。
【0062】
図15(d)の通り、四面成形を用いて製造ができる。また、図15(e)の通り、これを用いて、三面成形を行うことも出来る。即ち、立体網状構造体5の種類によっては、ダイス33を2系列設けて平行して2つの中空線条の集合体を押し出すようにすれば、生産効率が2倍と成る。
【0063】
図16(a)の通り、変更形態として、前述の同期駆動に替えて、駆動源(モータ等)をそれぞれ設けて、無端コンベア64,65と、ロール66,67(無端コンベアとしても良い)とが独立駆動するような構成も可能である。即ち、三面又は四面成形の場合、回転軸64a,65aを有する無端コンベア64,65と、これらの無端コンベア64,65の長手方向端部にそれらと回転軸が直交して配置された回転可能な回転軸66a,67aを備えた一対のロール66,67が配置されている。回転軸66a,67aにもそれぞれモータMが設けられ、独立駆動されるようになっている。回転軸66a,67aの他端部は軸受68a,68bで支持されている。
【0064】
図16(b)の通り、他の変更形態として、上述例において一対のロール66,67、回転軸66a,67a、軸受68a,68b及びモータMを削除し、表面にポリテトラフルオロエチレンの加工等がなされた滑り性の曲板69a,69bをロール66,67のあった位置に設けることで、駆動機構を簡素化できる。この曲板69a,69bは側面視で、弧状であり、平面視で長方形状に形成されている。
【0065】
口金34の穴は線条が直列に下降する形状であり、穴があいてここから中空糸が下方向に降下して出てくる。穴は環状に形成されているものである。穴は等間隔に設けられていても良いし、非等間隔でも良い。穴は千鳥状、直交状等、様々な配列を取り得る。配列密度を変えたい場合、積極的に端部領域だけ密度を高くする方法をとることもある。口金34の形態を様々に変形させることで製品の多様な要求を満足させることができる。
【0066】
(リクライニング式ベッド用クッションの製造方法)
本発明のリクライニング式ベッド用クッションの製造方法は、熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体5を成形するステップと、該立体網状構造体5の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、複数の短手方向の連続溝1a〜4aを長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成するステップと、を備えるものである。立体網状構造体5の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、複数の長手方向の連続溝4aを短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成してもよい。以下、詳細に説明する。
【0067】
スプリング構造の立体網状構造体5は次のように成形される。
図13に示すように、溶融した熱可塑性樹脂を複数のダイス33より下方へ押出し、一対の無端コンベア14,15により水中において下方に搬送される構造となっている。ダイス33の口金34は複数の孔を有しており、押出された線条は中空線条となる。この溶融した熱可塑性樹脂からなる中空線条が口金34から自然降下し、シュータ20,21を経て一部水没した無端コンベア14,15の間に引き込まれる。押出された線条の集合体の幅より無端コンベア14と無端コンベア15のあいだの間隔が狭く設定されているため、シュータ20,21により、降下した熱可塑性樹脂の集合体の両面、または、一面の表面部分が無端コンベア14,15の上部に落下したのち、溶融した熱可塑性樹脂の集合体の内側へ移動し密な状態となって巻き込まれる(図13参照)。このとき、無端コンベア14,15間に自然降下して、そのまま引き込まれる速度よりも、無端コンベア14,15上に落下した線条の引き込まれる速度のほうが遅くなる。そのため、線条の集合体の両面(または一面)は、水中にそのまま落下した中央部分より空隙率が小さくなる。空隙率が低くなった表面部分は、空隙率が高い中央部分より交点の数が多くなるので、中空線条の密な部分となり、強度が高くなる。また、水中にそのまま落下した中央部分は、中空線条の疎な部分となるのである。この方法により、線条の集合体のうち無端コンベア14,15と接触する面が整えられて、線条の集合体の二面、即ち、ベッド用クッション1〜4の上面と下面が成形される。また、立体網状構造体5の両側面も、ロール56,57または、図15(c)に示す無端コンベア59a,59b等で成形されて四面が成形される。
【0068】
立体網状構造体5の原料として、酢酸ビニール樹脂を加水分解防止のため加熱し乾燥させ、これに適宜仕上がりを良好にする薬剤、又は抗菌剤等を添加したものを用いてもよい。
【0069】
一対のシュータ20,21は表面上を水が上方から下方に流れており、また、透水性シート例えば布で覆われており、透水性シートの上を水が流下することで、均一なループが形成できるようになっている。シュータ20,21は左右対称の傾斜面を備え、その幅が下方に向かうに従って徐々に狭くなっている。
【0070】
立体網状構造体5として機能するためには、全体の空隙率は、リクライニング式ベッド用クッションの使用条件にもよるが、50%〜98%の空隙率の範囲が良好であるとの試験結果が得られた。つまり、密度が大きいと硬くなり、密度が少なくなると柔らかくなる。ベッド用クッション1〜4として十分な機能を発揮するには、空隙率は少なくとも70%以上にすると良いという結果が得られた。つまり、空隙率が70%より小さいと、リクライニング式ベッド用クッション1〜4のクッション性が期待したほど向上しないことがある。この空隙率については、立体網状構造体5の用途に応じて、70%〜98%の範囲で適宜設計すると良い。
【0071】
空隙率=100−{(B÷A)×100}である。Aは樹脂比重に立体網状構造体5の容積を掛けたもの、Bは立体網状構造体5の重さである。
【0072】
ここで使用する熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニール樹脂、或いはゴムを混合したポリエチレン樹脂を原料又は主原料とする。しかし、主原料として使用されるものとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリマー或は複数のポリマーをブレンドしたものなど、通常の押出成形機で加工のできる樹脂であれば問題ない。
また、立体網状構造体5の硬さは嵩密度、合成樹脂の材質等を変更することで可能となる。嵩密度の制御は、押出成形機11の樹脂糸押出速度制御、引き取り機の回転数制御等の制御によって実現できる。
【0073】
シートの幅1.0m、厚さ100mmとした場合、密度が変化することを確かめるため無端コンベアの速度を変化させることにより密度は変化することを確認した。
さらに押出成形機11の吐出量の変化により密度が変化することを確かめた。
【0074】
本実施形態では、スクリューの直径が75mmの単軸押出し機に、1.5m×150mmの面積のダイス33に、直径0.5mmとされた、ほぼ等間隔で約3500個の孔Hを有する口金34を取り付けた。ダイス33の下約120mmの位置に水位がある水槽18を設置し、幅1.2mの無端コンベア14,15を50mmの間隔をあけて1対、無端コンベア14,15の上部が40mm程度水面から出るようにほぼ垂直に設置した。無端コンベア14,15の上方にシュータ20,21を設置した。
【0075】
この装置で、酢酸ビニル樹脂を熱を加えて可塑化しながら樹脂温度が240℃になるように、ダイス33の温度をコントロールして、1時間当たり120kgの押出し量で口金34から出た溶融樹脂の集合体の両面が無端コンベア14,15に落ちるようにそれらの間に押出した。この時の無端コンベア14,15の引取速度は0.7m/分とした。無端コンベア14,15に挟まれて下方へ移動した成形物は、水槽18の下部で向きを変え、押出し機とは反対の側から水面へと移動し、水槽18から出た時点で圧縮エアー又は真空ポンプで水分を吹き飛ばした。
【0076】
このようにして得られた立体網状構造体5は、幅1500mm〜2000mm、厚さ30〜150mm(60〜120mmが好適である)で、密度は、0.02g/cm3〜0.2g/cm3が得られた。適宜、リクライニング式ベッド用クッション用のサイズに切断する。切断は押出し方向に直交する方向が好ましい。つまり立体網状構造体5の切断面が、リクライニング式ベッド用クッション1〜4の長手方向の両端となるように切断されることが好ましい。
【0077】
次に、立体網状構造体5に加熱したカッタで下面から上面に向かって切込みを入れることにより、切断面を形成する。立体網状構造体5の下面から上面に向かって短手方向に貫通する複数の連続溝1a〜4aを長手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成する。形成する切断面は側面視で線条、角状、弧状等とする。格子状の連続溝4aとする場合には、上記連続溝の形成に加えて、長手方向に貫通する複数の連続溝4aを短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成する。
【0078】
この切断面の形成後、又は、切断面の形成と同時に、連続線条の開口端部(ここでは連続溝1a〜4a及び前後の側面部)が熱で溶着され固化され閉じられる。即ち、立体網状構造体5の切断面において連続中空線条は開端(図10のA参照)しているが、連続中空線条の開口端部がヒータ、熱湯、超音波等の溶融手段の接触により開口端部を溶融固化される工程を経て図11に示すリクライニング式ベッド用クッション1または4となる。図11は、線条の連続溝1aまたは4aを形成したものであるが、角状の連続溝2a、弧状の連続溝3aをそれぞれ形成することによって、リクライニング式ベッド用クッション2または3としてもよい。該処理の温度範囲は60℃〜300℃が好ましい。また、該処理の圧力範囲は、0.01〜10MPaが好ましい。切断と溶融固化を同時に行うときには、ヒータ板で連続線条を切断することになる。この場合、連続中空線条内部に、液体(水など)、固体(ほこり等)の侵入を防止するとともに、雑菌などの繁殖を抑える効果がある。
【実施例】
【0079】
立体網状構造体のベッドの大きさは、縦1910mm、横840mm、厚み75mmであり、図17のバネ剛性が柔らかいタイプは、重量が10.5Kg,空隙率91%、線条の外径2〜3mm、図18のバネ剛性が硬いタイプは、重量が14.5Kg,空隙率88%、線条の外径2〜3mmである。リクライニング用溝は形成されていない一般ベッドの構造である。体重が60Kgの被験者がベッド用クッションに寝た状態の体圧分散をベッドの各位置に対して計測した。体圧を18階級に色で区分し(右側グラフ)、各測定位置に対する色分布図(左側グラフ)を作成した。分割された上中下の区画に示す陰影は、それぞれ、肩甲骨部、臀部、踵部をそれぞれ示す。その結果、図17及び図18に示す通り、褥瘡(pressure ullcer)が生じる限界である32mmHg(4266Pa)以下に体圧が分散されていることが認められる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のベッド用クッション1〜4によれば、洗浄が可能で乾きも早いため清潔で使いやすいベッド用クッションを提供できる。また、1つ1つの中空線条自体がエアークッションの働きをしているのに加え、適宜箇所において屈曲可能であるため、寝心地のよいベッド用クッションを提供できる。病院、一般家庭、特に介護の必要な者に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】(a)は実施形態1のリクライニング式ベッド用クッション1の斜視図、(b)は該クッション1の屈曲時の斜視図、(c)は、該クッション1の下面図である。
【図2】(a)は実施形態2におけるリクライニング式ベッド用クッション2の斜視図、(b)は該クッション2の屈曲時の斜視図、(c)は、該クッション2の下面図である。
【図3】(a)は実施形態3におけるリクライニング式ベッド用クッション3の斜視図、(b)は該クッション3の屈曲時の斜視図、(c)は、該クッション3の下面図である。
【図4】(a)は実施形態4におけるリクライニング式ベッド用クッション4の斜視図、(b)は該クッション4の屈曲時の斜視図、(c)は、該クッション4の下面図である。
【図5】(a)は実施形態4におけるリクライニング式ベッド用クッション4を上方に屈曲した説明図、(b)は該クッション4の横方向を上方に屈曲した説明図である。
【図6】(a)は実施形態4におけるリクライニング式ベッド用クッション4の1部分を盛り上げた斜視図であり、(b)は該クッション4のうち、複数箇所盛り上げた場合の斜視図、(c)は該クッション4のうち、複数箇所盛り上げた場合の説明図である。
【図7】(a)は熱板、熱線、超音波ナイフ、超音波カッター等を使用して、実施形態1の連続溝1aを加工した図であり、(b)は、ナイフや丸ノコを使用して実施形態1の連続溝1aを加工した図である。
【図8】(a)は、実施形態1〜4の素材となる2面成形の立体網状構造体5の斜視図、(b)は、同じく4面成形の立体網状構造体5の斜視図であり、一般ベッド用クッションにも適用できる。
【図9】(a)は本実施形態1〜4のクッション4の断面図、(b)は実施形態5のクッション4の断面図である。
【図10】本実施形態の素材となる立体網状構造体5の斜視図である。
【図11】実施形態1および4のスプリング構造のリクライニング式ベッド用クッション1,4の正面図である。
【図12】本実施形態の立体網状構造体製造装置10の斜視図である。
【図13】本実施形態の立体網状構造体製造装置10の動作状況を示す説明図である。
【図14】(a),(b)は、同立体網状構造体製造装置10の無端コンベア14,15の側面図及び正面図である。
【図15】(a)は、本実施形態の立体網状構造体製造装置10の無端コンベア14,15の平面図、(b)は、同立体網状構造体製造装置10の側面図、(c)は、他の形態の四面成形の立体網状構造体製造装置10の側面図、(d)は、同立体網状構造体製造装置10による四面成形の様子を示す平面図、(e)は、同立体網状構造体製造装置10による三面成形の様子を示す平面図である。
【図16】(a)は四面成形の場合の独立駆動構造の立体網状構造体製造装置10の無端コンベア14,15の平面図、(b)は曲板69a,69bを端面に設けた同無端コンベア14,15の平面図である。
【図17】実施例のバネ剛性が柔らかいタイプの体圧分散の分布を示す説明図である。
【図18】実施例のバネ剛性が硬いタイプの体圧分散の分布を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1,2,3,4…リクライニング式ベッド用クッション
1a,2a,3a,4a…連続溝
5…立体網状構造体(ベッドクッション) 10…立体網状構造体製造装置
11…押出成形機 12,13…無端ベルト
14,15,59a,59b,64,65…無端コンベア
33…ダイス 34…口金
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、
該立体網状構造体の下面から上面に向かって短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、
該立体網状構造体が上方に屈曲するときに該溝が拡開する、
スプリング構造を備えるベッド用クッション。
【請求項2】
前記連続溝が側面視で線状である請求項1のベッド用クッション。
【請求項3】
前記連続溝が側面視で角形である請求項1のベッド用クッション。
【請求項4】
前記連続溝が側面視で弧状である請求項1のベッド用クッション。
【請求項5】
前記連続溝が、前記立体網状構造体の長手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって短手方向に貫通させた複数の溝と、
前記立体網状構造体の短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって長手方向に貫通させた複数の溝と、からなる格子状に形成された連続溝であることを特徴とする請求項1〜4いずれかのベッド用クッション。
【請求項6】
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、中空線条の端部が溶着される請求項1〜5いずれかのベッド用クッション。
【請求項7】
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、前記連続溝に面する端面が、熱又は超音波により閉そく形成される請求項1〜6いずれかのベッド用クッション。
【請求項8】
前記連続中空線条の線径が0.3mm〜3.0mmである請求項1〜7いずれかのベッド用クッション。
【請求項9】
前記連続中空線条の嵩密度が0.02〜0.9g/cm3である請求項1〜8いずれかのベッド用クッション。
【請求項10】
前記連続溝の深さを立体網状構造体の高さの50〜90%とする請求項1〜9のいずれかのベッド用クッション。
【請求項11】
前記短手方向に貫通する連続溝の長手方向の幅及び/又は前記長手方向に貫通する連続溝の短手方向の幅を立体網状構造体の高さの6〜50%とする請求項1〜10のいずれかのベッド用クッション。
【請求項12】
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、連続中空線条の端部が閉じている請求項1〜11のいずれかのベッド用クッション。
【請求項13】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体を成形するスプリング構造成形ステップと、
該立体網状構造体の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成する間隙形成ステップと、
を備えることを特徴とするベッド用クッション製造方法。
【請求項14】
前記間隙形成ステップが、前記立体網状構造体の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、かつ、長手方向に貫通する複数の連続溝を短手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成する格子状の間隙形成ステップであることを特徴とする請求項13のベッド用クッション製造方法。
【請求項15】
前記連続中空線条の場合において、
前記間隙形成ステップの後、前記切除された前記立体網状構造体の連続溝の開口端部を熱又は超音波により溶融固化するか、または、前記間隙形成ステップの前記切除と同時に前記立体網状構造体の連続溝の開口端部を熱又は超音波により溶融固化することによって前記開口端部を閉じるステップを備えスプリング構造とする請求項13又は14のベッド用クッション製造方法。
【請求項16】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、
立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設け、片面に密部である表面層を持ち、全体の空隙率が85%〜95%のもので、前記表面層は、十分な屈曲を得るとともに、屈曲回数に対する耐力を増しているベッド用クッション。
【請求項17】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記連続中空線条からなるものであって、前記表面層が連続中空線条で構成される請求項16のベッド用クッション。
【請求項18】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、
立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設けることができるが、片面に密部を持ち、全体の空隙率が80%〜95%のもので、前記表面層に密部を持つ構造体は、音源又は振動体により、その表面層に長繊維構造の連続中空線条の内外部に空気振動を生じ、前記表面層及び前記ベッド全体が増幅振動するベッド用クッション。
【請求項19】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記連続中空線条からなるものであって、前記連続中空線条に表面層があり、その表面層及びベッド全体が音源又は振動体により、振動することを特徴とする請求項18のベッド用クッション。
【請求項20】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、
前記立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を持ち、片面に密部を持ち、全体の空隙率が70%〜95%は、十分な空気の循環があり涼しいとともに、構造体内部を常に乾燥状態に保つことができ、全体の空隙率が80%〜95%のものは、寝心地もよく、空隙率が85%〜95%のものは、空気の循環作用も十分にあり、体圧が分散されるベッド用クッション
【請求項21】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記押し出し方向の左右である幅方向にも疎密構造を持ち、連続中空線条からなるものであって、四面成型された連続中空線条に表面層のある請求項16〜20のベッド用クッション。
【請求項22】
前記密部5a,5bの空隙率が50%〜80%、前記疎部5cの空隙率が80%〜95%である請求項16〜21のベッド用クッション。
【請求項23】
前記連続線条の外径が0.5mm〜4mmである請求項16〜22のベッド用クッション。
【請求項1】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、
該立体網状構造体の下面から上面に向かって短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、
該立体網状構造体が上方に屈曲するときに該溝が拡開する、
スプリング構造を備えるベッド用クッション。
【請求項2】
前記連続溝が側面視で線状である請求項1のベッド用クッション。
【請求項3】
前記連続溝が側面視で角形である請求項1のベッド用クッション。
【請求項4】
前記連続溝が側面視で弧状である請求項1のベッド用クッション。
【請求項5】
前記連続溝が、前記立体網状構造体の長手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって短手方向に貫通させた複数の溝と、
前記立体網状構造体の短手方向に沿って所定間隔又は適宜間隔で形成され、該立体網状構造体の下面から上面に向かって長手方向に貫通させた複数の溝と、からなる格子状に形成された連続溝であることを特徴とする請求項1〜4いずれかのベッド用クッション。
【請求項6】
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、中空線条の端部が溶着される請求項1〜5いずれかのベッド用クッション。
【請求項7】
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、前記連続溝に面する端面が、熱又は超音波により閉そく形成される請求項1〜6いずれかのベッド用クッション。
【請求項8】
前記連続中空線条の線径が0.3mm〜3.0mmである請求項1〜7いずれかのベッド用クッション。
【請求項9】
前記連続中空線条の嵩密度が0.02〜0.9g/cm3である請求項1〜8いずれかのベッド用クッション。
【請求項10】
前記連続溝の深さを立体網状構造体の高さの50〜90%とする請求項1〜9のいずれかのベッド用クッション。
【請求項11】
前記短手方向に貫通する連続溝の長手方向の幅及び/又は前記長手方向に貫通する連続溝の短手方向の幅を立体網状構造体の高さの6〜50%とする請求項1〜10のいずれかのベッド用クッション。
【請求項12】
前記連続中空線条の立体網状構造体であって、連続中空線条の端部が閉じている請求項1〜11のいずれかのベッド用クッション。
【請求項13】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体を成形するスプリング構造成形ステップと、
該立体網状構造体の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成する間隙形成ステップと、
を備えることを特徴とするベッド用クッション製造方法。
【請求項14】
前記間隙形成ステップが、前記立体網状構造体の下面から上面に向かって熱を加えながら切除することにより、短手方向に貫通する複数の連続溝を長手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成し、かつ、長手方向に貫通する複数の連続溝を短手方向に沿って所定間隙又は適宜間隙で形成する格子状の間隙形成ステップであることを特徴とする請求項13のベッド用クッション製造方法。
【請求項15】
前記連続中空線条の場合において、
前記間隙形成ステップの後、前記切除された前記立体網状構造体の連続溝の開口端部を熱又は超音波により溶融固化するか、または、前記間隙形成ステップの前記切除と同時に前記立体網状構造体の連続溝の開口端部を熱又は超音波により溶融固化することによって前記開口端部を閉じるステップを備えスプリング構造とする請求項13又は14のベッド用クッション製造方法。
【請求項16】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、
立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設け、片面に密部である表面層を持ち、全体の空隙率が85%〜95%のもので、前記表面層は、十分な屈曲を得るとともに、屈曲回数に対する耐力を増しているベッド用クッション。
【請求項17】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記連続中空線条からなるものであって、前記表面層が連続中空線条で構成される請求項16のベッド用クッション。
【請求項18】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、
立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を設けることができるが、片面に密部を持ち、全体の空隙率が80%〜95%のもので、前記表面層に密部を持つ構造体は、音源又は振動体により、その表面層に長繊維構造の連続中空線条の内外部に空気振動を生じ、前記表面層及び前記ベッド全体が増幅振動するベッド用クッション。
【請求項19】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記連続中空線条からなるものであって、前記連続中空線条に表面層があり、その表面層及びベッド全体が音源又は振動体により、振動することを特徴とする請求項18のベッド用クッション。
【請求項20】
熱可塑性樹脂を原料又は主原料とし、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱接着する連続中空線条又は中実線条から構成されるスプリング構造の立体網状構造体であり、
前記立体網状構造体は、前記押し出し成形の押し出し方向の上下方向である厚み方向に疎密構造を持ち、片面に密部を持ち、全体の空隙率が70%〜95%は、十分な空気の循環があり涼しいとともに、構造体内部を常に乾燥状態に保つことができ、全体の空隙率が80%〜95%のものは、寝心地もよく、空隙率が85%〜95%のものは、空気の循環作用も十分にあり、体圧が分散されるベッド用クッション
【請求項21】
前記スプリング構造の立体網状構造体が、前記押し出し方向の左右である幅方向にも疎密構造を持ち、連続中空線条からなるものであって、四面成型された連続中空線条に表面層のある請求項16〜20のベッド用クッション。
【請求項22】
前記密部5a,5bの空隙率が50%〜80%、前記疎部5cの空隙率が80%〜95%である請求項16〜21のベッド用クッション。
【請求項23】
前記連続線条の外径が0.5mm〜4mmである請求項16〜22のベッド用クッション。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−6924(P2006−6924A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154802(P2005−154802)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(300054206)株式会社シーエンジ (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(300054206)株式会社シーエンジ (15)
【Fターム(参考)】
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