説明

ベッド車椅子間移動補助装置

【課題】 簡易な構成で被介助者がベッドと車椅子との間を移動する際の介助者の介助の補助を行うことができ、かつ、使い勝手のよいベッド車椅子間移動補助装置を提供する。
【解決手段】 被介助者がベッド10と車椅子15との間を移動する際の介助者の介助を補助するベッド車椅子間移動補助装置100であって、根元部が接続された2本の支持部13a、13bからなるコの字型形状の支持部材13と、滑り板14を有し、支持部材13は、支持部材13の下面に植設された軸部材13cを、ベッド10のフレーム11に設けられたサイドレール取り付け穴12に挿入することにより、ベッド10に回動自在に取り付けられ、滑り板14は、支持部材13の2本の支持部13a、13bの一方の支持部13bを回動軸として支持部材13に回動自在に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被介助者がベッドと車椅子との間を移動する際の介助者の介助を補助するベッド車椅子間移動補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、下半身等に障害を有する身体不自由者は、この身体不自由者の自由な活動を可能にするためにベッドと車椅子との間を頻繁に移動することがある。このベッドと車椅子との間の移動は一日に十数回に及ぶことがある。
【0003】
しかし、下半身に障害を有する身体不自由者は、上半身にも何らかの障害がある場合も多く、このような場合、ベッドと車椅子との間の移動に際して介助者の介助が必要となる場合が多く、このベッドと車椅子との間の移動に際しての介助者の負担は非常に大きなものになり、これが介助者の腰痛の発生の大きな原因のとなって、介助者が介護施設に定着しない1つの要因となっている。
【0004】
従来、身体不自由者が車椅子とベッドの間を安全に移動できるようにする器具としては、特許文献1に記載された「車椅子からベッドへの移動器具」が知られている。
【0005】
この特許文献1に記載された「車椅子からベッドへの移動器具」は、車椅子の座席とベッドとの両上面の間を渡す長板状の渡し材1を有し、渡し材1の長尺側の縁に、車椅子の前面に位置するフレーム部dが挿入できる凹部11を形成し、渡し材1の下面に渡し材1を支持する支持材2を設けて構成され、これによって、車椅子の座席とベッドとの間を渡し材1を介して直接平面によって連絡し、その上、車椅子のフレーム部dが渡し材1内に挿入されることになるので、車椅子の座席とベッドとの間の間隔は狭くなり、その分、身体の移動距離は短くなり、下半身不自由者による移動が楽になるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−175069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された「車椅子からベッドへの移動器具」は、サイズが大きくなるため、ベッドの横に置くと邪魔になり、また、上半身にも障害がある身体不自由者にとっては、車椅子からベッドへの移動に際しては介助者の介助が必要となり、この場合も身体不自由者の足が器具と干渉するので使い勝手がよいものではなかった。
【0008】
そこで、この発明は、簡易な構成で被介助者がベッドと車椅子との間を移動する際の介助者の介助の補助を行うことができ、かつ、使い勝手のよいベッド車椅子間移動補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、被介助者がベッドと車椅子との間を移動する際の介助者の介助を補助するベッド車椅子間移動補助装置であって、前記ベッドのサイドレール取り付け穴に取り付けられる支持部材と、前記支持部材に、前記ベッドのマット上を摺動して該ベッドのマット上から前記車椅子の方向に迫り出して前記ベッドのマット上と該車椅子の座面上との間を架橋するように取り付けられる滑り板とを具備することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記支持部材は、根元部が接続された2本の支持部からなるコの字型形状からなり、前記支持部材の根元部に植設された軸部材を前記ベッドのサイドレール取り付け穴に挿入することにより、前記ベッドに対して回動自在に取り付けられ、前記滑り板は、前記支持部材の2本の支持部の一方を回動軸として該支持部材に対して回動自在に取り付けられることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記支持部材は、両端に植設された第1の軸部材および第2の軸部材を前記ベッドのサイドレール取り付け穴に挿入することにより、該ベッドに取り付けられる第1の支持部と、前記第2の軸部材に回動自在に取り付けられる第2の支持部とを具備し、前記滑り板は、前記第2の支持部に取り付けられることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記支持部材は、両端に植設された第1の軸部材および第2の軸部材を前記ベッドのサイドレール取り付け穴に挿入することにより、該ベッドに取り付けられる支持部と、前記支持部の長手方向に移動可能な第3軸部材および第4の軸部材とを具備し、前記滑り板は、前記第3の軸部材を回動軸として前記支持部材に取り付けられるとともに、前記第4の軸部材を案内する案内溝を有することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記支持部材は、一端を前記ベッドのサイドレール取り付け穴に挿入することにより、該ベッドに取り付けられる2本の植設部と、前記2本の植設部に前記ベッドと直交する面内で回動自在に取り付けられる2つの支持部とを具備し、
前記滑り板は、
前記2つの支持部上に、前記ベッドと直交する方向に摺動自在に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、簡易な構成で被介助者がベッドと車椅子との間を移動する際の補助が可能になり、かつ、使い勝手のよく、また、不使用時には邪魔にならないベッド車椅子間移動補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の実施例1を示す図である。
【図2】図2は、図1に示したベッド車椅子間移動補助装置の不使用時の取り付け状態を示した図である。
【図3】図3は、図1に示したベッド車椅子間移動補助装置の取付構造の詳細を示した図である。
【図4】図4は、図1に示したベッド車椅子間移動補助装置の使用時から不使用時への取り付け状態の遷移を説明する図である。
【図5】図5は、図1に示したベッド車椅子間移動補助装置の取り付け状態の他の例を示す図である。
【図6】図6は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の実施例2を示す図である。
【図7】図7は、図6に示したベッド車椅子間移動補助装置の滑り板の他端をベットのマット上から水平方向に迫り出させた状態を示す側面図である。
【図8】図8は、図6に示したベッド車椅子間移動補助装置の不使用時の取り付け状態を示した図である。
【図9】図9は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の実施例3を示す図である。
【図10】図10は、図9に示したベッド車椅子間移動補助装置の使用時の取り付け状態を示した図である。
【図11】図11は、図9に示したベッド車椅子間移動補助装置の不使用時の取り付け状態を示した図である。 図11は、図9に示したベッド車椅子間移動補助装置の使用時の取り付け状態を示した図である。
【図12】図12は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の実施例4を示す図である。
【図13】図13は、図12に示したベッド車椅子間移動補助装置の使用時の取り付け状態を示した図である。
【図14】図14は、図12に示したベッド車椅子間移動補助装置の不使用時の取り付け状態を示した図である。
【図15】図15は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の取り付け構造の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の実施例1を示す図である。
【0018】
図1において、実施例1のベッド車椅子間移動補助装置100は、ベッド10のフレーム11に設けられたサイドレール取り付け穴12を用いてベッド10に取り付けられる。
【0019】
このベッド車椅子間移動補助装置100は、根元部が接続された2本の支持部13a、13bからなるコの字型形状の支持部材13と、滑り板14を有する。
【0020】
支持部材13は、支持部材13の下面に植設された軸部材13cを、ベッド10のフレーム11に設けられたサイドレール取り付け穴12に挿入することにより、ベッド10に回動自在に取り付けられる。
【0021】
また、滑り板14は、支持部材13の2本の支持部13a、13bの一方の支持部13bを回動軸として支持部材13に回動自在に取り付けられる。
【0022】
被介助者15をベッド10から車椅子16に移動させる場合、介助者は、まず、ベッドに設けられた周知の高さ調節装置(図示せず)を用いて、ベッド10のマット10a面の高さを車椅子16の座面16aの高さと略同じか若しくは、車椅子16の座面16aの高さよりもわずかに高い高さに調節し、支持部材13および滑り板14を図1で実線で示す状態にセットする。そして、車椅子16を図1に示す位置に移動させて、この位置で車椅子16が動かないようにロックする。
【0023】
この状態で、支持部材13は、ベッド10のフレーム11に平行な位置に位置し、滑り板14の下面は、支持部材13の支持部13aに当接して、その大部分は、ベット10のマット10a上にある。
【0024】
ここで、ベッド10上の被介助者15をベッド10の縁の滑り板14上に座らせる。この被介助者15を滑り板14上に座らせる動作は、被介助者15がベッド10の縁に座る通常の動作と同じなので、介助者の大きな負担なく行うことができる。
【0025】
次に、介助者は、滑り板14の取っ手孔14aに手をかけて、滑り板14を被介助者15と共に、軸部材13cを回動軸として矢印X方向に回動させて、滑り板14の他端をベット10のマット10a上から水平方向に迫り出させ、滑り板14の先端が車椅子16の座面16aに乗るようにする。この状態でベット10のマット10aの上面と車椅子16の座面16aとは滑り板14により架橋される。
【0026】
次に、介助者は、滑り板14を利用して被介助者15を滑り板14上を滑らせて車椅子16の座面16a上に導く。これにより、被介助者15をベット10上から車椅子16の座面16a上に移動させる介助が完了する。
【0027】
上記一連の動作において、被介助者15の足はこのベッド車椅子間移動補助装置100に干渉することはなく、また介助者が被介助者15を直接持ち上げる動作も不要になるので、ベット10から被介助者15を車椅子16に移動させる際の介助者の負担を大幅に減少させることができる。
【0028】
なお、車椅子16から被介助者15をベット10へ移動させる際の介助は、上記動作と逆の動作を行えばよく、この場合も、介助者は、被介助者15を直接持ち上げる動作は不要になるので、車椅子16から被介助者15をベット10へ移動させる際の介助者の負担を大幅に減少させることができる。なお、この場合は、ベッド10のマット10a面の高さを車椅子16の座面16aの高さと略同じか若しくは、車椅子16の座面16aの高さよりもわずかに低い高さに調節する。
【0029】
図2は、図1に示したベッド車椅子間移動補助装置100の不使用時の取り付け状態を示した図である。
【0030】
図1に示したベッド車椅子間移動補助装置100は、被介助者15をベット10から車椅子16へ若しくは車椅子16からベット10へ移動させる際に、その都度ベット10に装着するようにしてもよいが、ベット10に装着したままににし、不使用時は、滑り板15を支持部13bを回動軸として支持部13aと反対側に回動し、図2に示すように、ベッド10の側部に位置させるように構成してもよい。
【0031】
図3は、図1に示したベッド車椅子間移動補助装置100の取付構造の詳細を示した図である。このベッド車椅子間移動補助装置100は、支持部材13の下面に植設された軸部材13cを、ベッド10のフレーム11に設けられたサイドレール取り付け穴12に挿入することにより、ベッド10に取り付けられる。ここで、支持部材13は、軸部材13cを回動軸として、ベッド10のマット上を水平方向に回動可能に取り付けられる。
【0032】
滑り板14は、その先端が支持部材13の一方の支持部13bに巻き付けられて、図4に示す矢印Y方向に回動自在に取り付けられる。この滑り板14は、このベッド車椅子間移動補助装置100の不使用時には、図2に示したように、ベッド10の側部に位置しているが、使用時には、図4に示す矢印Y方向と逆方向に回動させて、滑り板14の下面を支持部材13の他方の支持部13aに当接させ、図3に示す状態にする。この状態で、滑り板14は、軸部材13cを回動軸として、ベッド10のマット上を水平方向に回動可能である。
【0033】
なお、上記実施例では、支持部材13の下面に植設された軸部材13cを、ベッド10のフレーム11に設けられたサイドレール取り付け穴12に挿入することにより、このベッド車椅子間移動補助装置100をベッド10に取り付けるように構成したが、図5に示すように、ベッド10のフレーム11に取り付け穴12aが形成された取付金具11aを介してこのベッド車椅子間移動補助装置100をベッド10に取り付けるように構成してもよい。11bは、取付金具11aをベッド10のフレーム11に取り付けるためのピンである。
【実施例2】
【0034】
図6は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の実施例2を示す図である。
【0035】
この図6に示す実施例のベッド車椅子間移動補助装置200も、実施例1と同様に、ベッド10のフレーム11に設けられたサイドレール取り付け穴12を用いてベッド10に取り付けられる。
【0036】
このベッド車椅子間移動補助装置200は、両端に植設された第1の軸部材230aおよび第2の軸部材230bを有する第1の支持部230と、第1の支持部230の第2の軸部材230bに回動自在に取り付けられる第2の支持部231と、第2の支持部231に取り付けられる滑り板24とを具備する。
【0037】
第1の支持部230は、第1の軸部材230aおよび第2の軸部材230bをベッド10のサイドレール取り付け穴12に挿入することにより、ベッド10に取り付けられる。
【0038】
第2の支持部231は、一端が第1の支持部230の第1の軸部材230aに回動自在に取り付けられるとともに、他端に、第1の支持部230に設けられた穴230c係止する係止用突起231aを有する。
【0039】
被介助者15をベッド10から車椅子16に移動させる場合、介助者は、まず、ベッドに設けられた周知の高さ調節装置(図示せず)を用いて、ベッド10のマット10a面の高さを車椅子16の座面16aの高さと略同じか若しくは、車椅子16の座面16aの高さよりもわずかに高い高さに調節し、第2の支持部231の係止用突起231aを第1の支持部230の穴230c係止した状態で、滑り板24を図6で実線で示す状態にセットする。そして、車椅子16を図6に示す位置に移動させて、この位置で車椅子16が動かないようにロックする。
【0040】
この状態で、第1の支持部230および第2の支持部231は、ベッド10のフレーム11に平行な位置に位置し、滑り板24の下面の大部分は、ベット10のマット10a上にある。
【0041】
ここで、ベッド10上の被介助者15をベッド10の縁の滑り板24上に座らせる。この被介助者15を滑り板24上に座らせる動作は、被介助者15がベッド10の縁に座る通常の動作と同じなので、介助者の大きな負担なく行うことができる。
【0042】
次に、介助者は、滑り板24の取っ手孔24a若しくは取っ手孔24bに手をかけて、滑り板24を被介助者15と共に、第1の軸部材230aを回動軸として矢印X方向に回動させて、滑り板24の他端をベット10のマット10a上から水平方向に迫り出させ、滑り板24の先端が車椅子16の座面16aに乗るようにする。この状態でベット10のマット10aの上面と車椅子16の座面16aとは滑り板24により架橋される。図7は、滑り板24の他端をベット10のマット10a上から水平方向に迫り出させた状態を側面図で示したもので、滑り板24の下面は、第2の支持部231で支持されている。
【0043】
次に、介助者は、滑り板24を利用して被介助者15を滑り板24上を滑らせて車椅子16の座面16a上に導く。これにより、被介助者15をベット10上から車椅子16の座面16a上に移動させる介助が完了する。
【0044】
上記一連の動作において、被介助者15の足はこのベッド車椅子間移動補助装置200に干渉することはなく、また介助者が被介助者15を直接持ち上げる動作も不要になるので、ベット10から被介助者15を車椅子16に移動させる際の介助者の負担を大幅に減少させることができる。
【0045】
なお、車椅子16から被介助者15をベット10へ移動させる際の介助は、上記動作と逆の動作を行えばよく、この場合も、介助者は、被介助者15を直接持ち上げる動作は不要になるので、車椅子16から被介助者15をベット10へ移動させる際の介助者の負担を大幅に減少させることができる。なお、この場合は、ベッド10のマット10a面の高さを車椅子16の座面16aの高さと略同じか若しくは、車椅子16の座面16aの高さよりもわずかに低い高さに調節する。
【0046】
図8は、図6に示したベッド車椅子間移動補助装置200の不使用時の取り付け状態を示した図である。
【0047】
図6に示したベッド車椅子間移動補助装置200は、その不使用時においては、図8に示すようにベッド柵として機能する。すなわち、このベッド車椅子間移動補助装置200は、第1の支持部230と第2の支持部231とが図示しないヒンジで接続されており、このベッド車椅子間移動補助装置200の不使用時には、このヒンジを利用して滑り板24を図8に示すようにベッド10のフレーム11から立ち上げ、この滑り板24をベッド柵として機能させる。
【実施例3】
【0048】
図9は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の実施例3を示す図である。
【0049】
この図9に示す実施例のベッド車椅子間移動補助装置300も、実施例1または2と同様に、ベッド10のフレーム11に設けられたサイドレール取り付け穴12を用いてベッド10に取り付けられる。
【0050】
このベッド車椅子間移動補助装置300は、両端に植設された第1の軸部材330aおよび第2の軸部材330bを有する支持部330と、支持部330の長手方向に移動可能な第3軸部材331aおよび第4の軸部材331bと、第3軸部材331aに回動自在に取り付けられるとともに、第4の軸部材331bを案内する案内溝34bを有する滑り板34とを具備する。
【0051】
支持部330は、第1の軸部材330aおよび第2の軸部材230bをベッド10のサイドレール取り付け穴12に挿入することにより、ベッド10に取り付けられる。
【0052】
被介助者15をベッド10から車椅子16に移動させる場合、介助者は、まず、ベッドに設けられた周知の高さ調節装置(図示せず)を用いて、ベッド10のマット10a面の高さを車椅子16の座面16aの高さと略同じか若しくは、車椅子16の座面16aの高さよりもわずかに高い高さに調節し、滑り板34を図9で実線で示す状態にセットする。そして、車椅子16を図9に示す位置に移動させて、この位置で車椅子16が動かないようにロックする。
【0053】
この状態で、滑り板34の下面の大部分は、ベット10のマット10a上にある。ここで、ベッド10上の被介助者15をベッド10の縁の滑り板34上に座らせる。この被介助者15を滑り板24上に座らせる動作は、被介助者15がベッド10の縁に座る通常の動作と同じなので、介助者の大きな負担なく行うことができる。
【0054】
次に、介助者は、滑り板34の取っ手孔34aに手をかけて、滑り板34を被介助者15と共に、第3の軸部材331aを回動軸とし、案内溝34bを第4の軸部材331bの案内溝として、矢印X方向に回動させて、滑り板34の他端をベット10のマット10a上から水平方向に迫り出させ、滑り板34の先端が車椅子16の座面16aに乗るようにする。この状態でベット10のマット10aの上面と車椅子16の座面16aとは滑り板24により架橋される。図10は、滑り板34の他端をベット10のマット10a上から水平方向に迫り出させた状態を側面図で示したものである。
【0055】
次に、介助者は、滑り板34を利用して被介助者15を滑り板34上を滑らせて車椅子16の座面16a上に導く。これにより、被介助者15をベット10上から車椅子16の座面16a上に移動させる介助が完了する。
【0056】
上記一連の動作において、被介助者15の足はこのベッド車椅子間移動補助装置300に干渉することはなく、また介助者が被介助者15を直接持ち上げる動作も不要になるので、ベット10から被介助者15を車椅子16に移動させる際の介助者の負担を大幅に減少させることができる。
【0057】
なお、車椅子16から被介助者15をベット10へ移動させる際の介助は、上記動作と逆の動作を行えばよく、この場合も、介助者は、被介助者15を直接持ち上げる動作は不要になるので、車椅子16から被介助者15をベット10へ移動させる際の介助者の負担を大幅に減少させることができる。なお、この場合は、ベッド10のマット10a面の高さを車椅子16の座面16aの高さと略同じか若しくは、車椅子16の座面16aの高さよりもわずかに低い高さに調節する。
【0058】
図11は、図9に示したベッド車椅子間移動補助装置300の不使用時の取り付け状態を示した図である。
【0059】
図9に示したベッド車椅子間移動補助装置300は、実施例3のベッド車椅子間移動補助装置200と同様に、その不使用時においては、図11に示すようにベッド柵として機能する。すなわち、このベッド車椅子間移動補助装置300は、このベッド車椅子間移動補助装置200の不使用時には、滑り板34を図11に示すようにベッド10のフレーム11から立ち上げ、この滑り板34をベッド柵として機能させる。
【実施例4】
【0060】
図12は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の実施例4を示す図である。
【0061】
この図12に示す実施例のベッド車椅子間移動補助装置400も、実施例1乃至3と同様に、ベッド10のフレーム11に設けられたサイドレール取り付け穴12を用いてベッド10に取り付けられる。
【0062】
このベッド車椅子間移動補助装置400は、一端をベッド10のサイドレール取り付け穴12に挿入することにより、ベッド10に取り付けられる2本の植設部430a,431aと、2本の植設部430a,431aにベッド10と直交する面内で回動自在に取り付けられる2つの支持部430,431と、2つの支持部430,431上に、ベッド10と直交する方向に摺動自在に取り付けられる滑り板44とを具備する。
【0063】
滑り板44の下面には、支持部430,431に対応してそれぞれ突起44a,44bが設けられ、滑り板44は、この突起44a,44bを用いて支持部430,431を摺動する。
【0064】
被介助者15をベッド10から車椅子16に移動させる場合、介助者は、まず、ベッドに設けられた周知の高さ調節装置(図示せず)を用いて、ベッド10のマット10a面の高さを車椅子16の座面16aの高さと略同じか若しくは、車椅子16の座面16aの高さよりもわずかに高い高さに調節し、滑り板44を図12で実線で示す状態にセットする。そして、車椅子16を図12に示す位置に移動させて、この位置で車椅子16が動かないようにロックする。
【0065】
この状態で、介助者は、ベッド10上の被介助者15をベッド10の縁の滑り板44上に座らせる。この被介助者15を滑り板44上に座らせる動作は、介助者の大きな負担なく行うことができる。
【0066】
次に、介助者は、滑り板44を被介助者15と共に、2つの支持部430,431上でベッド10と直交する方向Zに移動させて、滑り板44をベット10のマット10a上から水平方向に迫り出させ、滑り板24の一端が車椅子16の座面16aに乗るようにする。この状態でベット10のマット10aの上面と車椅子16の座面16aとは滑り板24により架橋される。図13は、滑り板44の他端をベット10のマット10a上から水平方向に迫り出させた状態を側面図で示したもので、滑り板44の下面は、2つの支持部430,431で支持されている。
【0067】
次に、介助者は、滑り板44を利用して被介助者15を滑り板44上を滑らせて車椅子16の座面16a上に導く。これにより、被介助者15をベット10上から車椅子16の座面16a上に移動させる介助が完了する。
【0068】
上記一連の動作において、被介助者15の足はこのベッド車椅子間移動補助装置4000に干渉することはなく、また介助者が被介助者15を直接持ち上げる動作も不要になるので、ベット10から被介助者15を車椅子16に移動させる際の介助者の負担を大幅に減少させることができる。
【0069】
なお、車椅子16から被介助者15をベット10へ移動させる際の介助は、上記動作と逆の動作を行えばよく、この場合も、介助者は、被介助者15を直接持ち上げる動作は不要になるので、車椅子16から被介助者15をベット10へ移動させる際の介助者の負担を大幅に減少させることができる。なお、この場合は、ベッド10のマット10a面の高さを車椅子16の座面16aの高さと略同じか若しくは、車椅子16の座面16aの高さよりもわずかに低い高さに調節する。
【0070】
図14は、図12に示したベッド車椅子間移動補助装置400の不使用時の取り付け状態を示した図である。
【0071】
図12に示したベッド車椅子間移動補助装置400は、その不使用時においては、実施例2または3と同様に、図14に示すようにベッド柵として機能する。すなわち、このベッド車椅子間移動補助装置400は、支持部430,431が植設部430a,431aとベッド10と直交する面内で回動自在に取り付けられており、このベッド車椅子間移動補助装置400の不使用時には、滑り板44を図14に示すようにベッド10のフレーム11から立ち上げ、この滑り板44をベッド柵として機能させる。
【0072】
図15は、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置の取り付け構造の他の例を説明する図である。
【0073】
上述した実施例1乃至4においては、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置をベッド10のフレーム11に設けられたサイドレール取り付け穴12を用いてベッド10に取り付けたが、サイドレール取り付け穴12がベッド10のフレーム11から突出した突出部17に取付金具18を用いて設けられている構造のベッドもある。このような構造のベッドに取り付ける場合は、上記ベッド10のフレーム11から突出した突出部17に取り付け金具18を用いて設けられているサイドレール取り付け穴12を用いれば、この発明に係わるベッド車椅子間移動補助装置を上記実施例1乃至4と同様に取り付けることができる。
【0074】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記実施例及び図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【符号の説明】
【0075】
10 ベッド
10a マット
11 フレーム
12 サイドレール取り付け穴
13 支持部材
13a 支持部
13b 支持部
13c 軸部材
14 滑り板
14a 取っ手孔
15 被介助者
16 車椅子
17 突出部
18 取付金具
16a 座面
24 滑り板
24a 取っ手孔
24b 取っ手孔
34 滑り板
34a 取っ手孔
44 滑り板
44a 突起
44b 突起
100 ベッド車椅子間移動補助装置
200 ベッド車椅子間移動補助装置
230 第1の支持部
230a 第1の軸部材
230b 第1の軸部材
231 第2の支持部
330 支持部
330a 第1の軸部材
300 ベッド車椅子間移動補助装置
330 支持部
330a 第1の軸部材
330b 第2の軸部材
331a 第3軸部材
331b 第4の軸部材
430 支持部
431 支持部
430a 植設部
431a 植設部
400 ベッド車椅子間移動補助装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介助者がベッドと車椅子との間を移動する際の介助者の介助を補助するベッド車椅子間移動補助装置であって、
前記ベッドのサイドレール取り付け穴に取り付けられる支持部材と、
前記支持部材に、前記ベッドのマット上を摺動して該ベッドのマット上から前記車椅子の方向に迫り出して前記ベッドのマット上と該車椅子の座面上との間を架橋するように取り付けられる滑り板と
を具備することを特徴とするベッド車椅子間移動補助装置。
【請求項2】
前記支持部材は、
根元部が接続された2本の支持部からなるコの字型形状からなり、
前記支持部材の根元部に植設された軸部材を前記ベッドのサイドレール取り付け穴に挿入することにより、前記ベッドに対して回動自在に取り付けられ、
前記滑り板は、
前記支持部材の2本の支持部の一方を回動軸として該支持部材に対して回動自在に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のベッド車椅子間移動補助装置。
【請求項3】
前記支持部材は、
両端に植設された第1の軸部材および第2の軸部材を前記ベッドのサイドレール取り付け穴に挿入することにより、該ベッドに取り付けられる第1の支持部と、
前記第2の軸部材に回動自在に取り付けられる第2の支持部と
を具備し、
前記滑り板は、
前記第2の支持部に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のベッド車椅子間移動補助装置。
【請求項4】
前記支持部材は、
両端に植設された第1の軸部材および第2の軸部材を前記ベッドのサイドレール取り付け穴に挿入することにより、該ベッドに取り付けられる支持部と、
前記支持部の長手方向に移動可能な第3軸部材および第4の軸部材と
を具備し、
前記滑り板は、
前記第3の軸部材を回動軸として前記支持部材に取り付けられるとともに、前記第4の軸部材を案内する案内溝を有することを特徴とする請求項1記載のベッド車椅子間移動補助装置。
【請求項5】
前記支持部材は、
一端を前記ベッドのサイドレール取り付け穴に挿入することにより、該ベッドに取り付けられる2本の植設部と、
前記2本の植設部に前記ベッドと直交する面内で回動自在に取り付けられる2つの支持部と
を具備し、
前記滑り板は、
前記2つの支持部上に、前記ベッドと直交する方向に摺動自在に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のベッド車椅子間移動補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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