説明

ベランダフェンスの装飾パネル

【課題】 集合住宅各戸の居住性を高めるというベランダ空間がもつ機能を発展させ、より快適な住環境を提供する。
【解決手段】 ベランダフェンスに装着し、フェンスの内側を被覆可能なパネル材11であって、木材からなるとともに、パネルを貫通する複数の透孔15を備える。透孔15は、フレーム12内に板材13,14を適宜間隔をもって配することにより形成する。パネル状の板材に適宜形状の孔を穿設することにより透孔を形成しても良い。ベランダフェンスの金属格子を隠し、木材の温もりのある暖かな居住空間をベランダに形成できる。フェンスへの装着は、例えばボルト等の締結具、フック等の係止金具、針金やベルトなど適宜の係着手段により行う。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案はベランダフェンス装飾パネル係り、特にマンション等のベランダフェンスに設置するパネル状のカバー部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるマンションや公団住宅、ホテルなどの多層階建築物では、ベランダ(バルコニー)が各戸ごとに設けられることがある。このようなベランダは、一般にリビングルームやダイニングルームの屋外部に形成され、建物外壁から張り出した棚状の床を鉄筋コンクリートで形成し、その先端に転落防止用の防護フェンスを設けた構造となる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、ベランダは、単に洗濯物を干したりあるいは火災発生時の避難路となるだけではなく、窓の外にプライベートな屋外スペースを形成することによって居住空間に広がりをもたせ、当該住戸の居住性を向上させる機能をも営むものである。
【0004】
しかしながら従来のベランダ構造では、このような機能が必ずしも十分に発揮されているとは云い難い。なぜなら、ベランダには既に述べたように防護フェンスが設けられるが、従来のベランダではほとんどが図11に示すような金属製の縦格子を使用しており、この檻のようなフェンス1が、せっかくの屋外スペースの雰囲気を壊しているからである。
【0005】
たしかに安全上、防護フェンスは必要であり、また強度や耐久性の観点から金属製のフェンスを使用することは好ましいことでもある。しかしながら、例えばリビングのソファに座って屋外を眺めた場合、ベランダフェンスの金属格子が目につくと心理的な圧迫や狭苦しさを感じることが少なくなく、快適な居住環境を得るには未だ改良の余地がある。
【0006】
そこで本考案の目的は、集合住宅各戸の居住性を高めるというベランダ空間がもつ機能を発展させ、より快適な住環境を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成して課題を解決するため、本考案に係るベランダフェンス装飾パネルは、ベランダフェンスに装着して該フェンスの室内側を被覆する木製のパネル材を形成し、該パネルに複数の透孔を形成する。木製パネルを打ち抜いて透孔部を形成しても良いが、軽量感を出すため、請求項2に記載したように、適当幅の板材を組み合わせて透孔部を形成し、パネル周囲に木製フレームを設けるのが望ましい。
【0008】
【作用】
本考案に係るパネル材は、ベランダフェンスに装着し、当該フェンスの室内側を覆うものである。従って、本パネルを設置することにより、建物室内から屋外を見た場合、あるいはベランダに出た場合に、ベランダフェンスの鉄格子は木製パネルによって被覆され、木のもつ心理的な温かみによってベランダの美的価値が高まり、快適な居住雰囲気を生む。バルコニーの美観は、例えばマンションの販売価格やホテルの客室料金にダイレクトに直結し、パネルコスト以上の大きな価値を生み出す。殊にバルコニー床面に木製床材を配した場合は、室内から眺める外の風景が一変し、室内空間の価値がさらに向上する。
【0009】
フェンスの装飾パネルは、集成材や一枚板を使用しても良いが、透孔部を形成するには、所定幅をもった板材を組み合わせてパネルを形成するのが望ましい。
フェンスとしてより自然な形状になるからであり、心理的にも軽量感があって美観が高まるからである。板材の組み合わせ方法や透孔部の形状は問わない。また板材でパネル面を形成するときは、周囲に木製フレームを形成する。見栄えを向上させるためである。請求項2ではフレームを明記したが、請求項1には板材の組み合わせを含むので、周囲フレームは必ずしも必要ではない場合がある。尚、木材は、塗装するよりも自然木のままの感じを与えることが望ましく、防水防腐等の表面塗装をする場合は、通気性のある塗装を行う。
【0010】
本パネルには、複数の透孔部を形成してある。強風時にパネルがあおられ、フェンスから外れて飛ぶ危険性をなくすためである。また、かかる透孔を形成することによりベランダ内(あるいは室内)への風通しを良好にし、採光を行うことも可能となる。透孔部の大きさ、形状は限定されない。
【0011】
フェンスに対する装着手段は、ベランダ構造(フェンスの形状や構造等)に応じて適宜変更が可能であり、とくに限定されない。例えばボルト等の締結手段によっても良いし、フック等の係止金具を使用しても構わない。また針金やロープ、ベルト等の締縛手段その他を使用することも可能である。
【0012】
また、本パネルはベランダフェンスを被覆するものであるが、必ずしも完全にフェンスを見えなくする必要はない。パネル周囲やパネルに設けた前記透孔からフェンスの一部が見えたとしても、室内側の大部分を覆うことが出来れば、ベランダ空間の美的な雰囲気を高めることは十分に可能だからである。
【0013】
【実施例】
以下、添付図面に基づいて本考案の実施例を説明する。
図1〜図2は本考案に係る装飾パネルの一例を示すものである。同図に示すようにこのパネル11は、フレーム12の内部に板材13,14を適宜間隔をもって格子状(斜め格子)に配設し、パネル11に複数の透孔15を形成したものである。フレーム12および斜材13,14には共に木材を使用する。木材特有の質感から生じる暖かく柔らかな雰囲気をベランダ空間に形成するためである。
【0014】
パネル11の外形サイズは特定の寸法に限定されるものではないが、ベランダフェンス1の内側略全面を被覆できるように高さHをフェンス1の高さと略同一寸法とした。またこの実施例では、図2に示すように複数枚(例えば2枚)のパネル11によりフェンス1を覆うことができるように長さ寸法Lを設定した。一戸あたりの金属フェンスを、いくつの木製パネルで被覆するかは限定されない。
現在の通常のマンションでは二枚ないし三枚のパネルで十分に装飾できる。
【0015】
フェンス1に対するパネル11の固定手段(図示せず)は、ベランダ構造(フェンスの形状や構造等)に応じて適宜変更が可能であり、とくに限定されない。
例えばボルト等の締結手段によっても良いし、フック等の係止金具を使用し、フェンスに掛けるようにしても構わない。また針金やロープ、ベルト等の締縛手段その他を使用することも可能である。ただし、いずれの方式によってもパネルの裏面側に隠れるように固定具を配設することが美感上好ましい。
【0016】
本パネルによれば、ベランダの雰囲気を損ない、景観を害していた防護フェンス1を覆って隠すことが出来る。また、従来、コンクリートと鉄格子のみによって形成されていたベランダ空間に木材の温もりのある、暖かく柔らかな屋外空間を形成することによって、当該住戸の居住性を向上させることが可能となる。また本パネルは透孔(15)を備えるから、ベランダや室内への風通しも確保することができ、パネルが強風時に飛ぶおそれもない。さらに透孔を通して木漏れ日にも似た柔らかな陽の光を採り入れることが出来るとともに、屋外の景色を眺めることも可能である。尚、この実施例のパネルでは、フェンス1は完全には隠れないが、格子の間(しかも透孔15の奥方)に途切れ途切れに縦桟4が見え、またパネル上部に手すり2が見えるだけであるから、実際にパネルを設置した場合にはフェンス1は目立たず、ほとんど気になることはない。
【0017】
また、前記図11に示すように従来のフェンス構造では、上下端部のパイプ2,3以外に横桟が通常なく、花木の鉢植やプランターなどをフェンス1に吊るすことは難しかった。しかし本パネルを設置すれば、透孔(15)にフックを掛けこれらを容易に、しかも好きな高さ位置に吊るしてベランダ内を飾ることが可能となる。尚、本パネルに加え、ベランダ床部分にも木質床材18を敷き並べれば、ベランダ装飾がより効果的となる。
【0018】
本考案は前記実施例に限定されるものではなく、パネルの形状やサイズ、構造等について様々に変更が可能である。例えば、前記実施例ではフレーム内に格子状に板材を配することにより透孔を形成したが、図3に示すように木材パネル(板材)21を打ち抜くことにより透孔22を形成する(透孔を穿設する)ことも可能である。また透孔の形状についても、例えば図4〜図7に符号23〜26で示すように方形や多角形(例えば六角形)、円形、スリット形状その他の形状とすることも可能である。透孔の大きさや配設密度(数)、配設パターンについても同様に適宜変更して構わない。
【0019】
また、実施例では板材(13,14)を斜め方向に配設したが、図8に示すようにフレーム27内に板材28,29をそれぞれ水平および鉛直方向に配し、透孔30を形成することも出来る。また図9に示すようにブラインド(ガラリ)状に板材31を並べて透孔32を形成し、パネルを構成することも可能である。さらに、例えばベランダフェンスの手すり部分に物干し用のアームやBSアンテナ等が設置されている場合に、図10に示すように陥凹部35を設けるなど、パネルの外形形状についても変更が可能である。また、本パネルを適用できる建物としてマンションや公団住宅、ホテルなどの多層階建築物を例にとり説明したが、本パネルは一戸建て住宅にも勿論適用することが出来る。
【0020】
【考案の効果】
以上説明したように本考案に係るベランダフェンス装飾パネルによれば、集合住宅各戸の居住性を高めるというベランダ空間がもつ機能を発展させ、より快適な住環境を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るベランダフェンス装飾パネルの一例を示す斜視図である。
【図2】前記ベランダフェンス装飾パネルの装着状態を例示する斜視図である。
【図3】本考案のベランダフェンス装飾パネルの別の例を示す正面図である。
【図4】本考案のベランダフェンス装飾パネルのさらに別の例を示す正面図である。
【図5】本考案のベランダフェンス装飾パネルのさらに別の例を示す正面図である。
【図6】本考案のベランダフェンス装飾パネルのさらに別の例を示す正面図である。
【図7】本考案のベランダフェンス装飾パネルのさらに別の例を示す正面図である。
【図8】本考案のベランダフェンス装飾パネルのさらに別の例を示す正面図である。
【図9】本考案のベランダフェンス装飾パネルのさらに別の例を示す正面図(a)および垂直断面図(b)である。
【図10】本考案のベランダフェンス装飾パネルのさらに別の例を示す正面図である。
【図11】従来のベランダ構造を室内側から例示する斜視図である。
【符号の説明】
1 ベランダフェンス
11 ベランダフェンス装飾パネル
12,27 フレーム
13,14,28,29,31 板材
15,22〜26,30,32 透孔

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ベランダフェンスの室内側に装着する木製のパネル材であって、パネル面に複数の透孔部を備えることを特徴とするベランダフェンスの装飾パネル。
【請求項2】 前記パネル材は、適当幅をもった板材を規則的に組み合わせて透孔部を備えるパネル面を形成し、該パネル面の周縁部に木製のフレームを設けることを特徴とする請求項1記載のベランダフェンスの装飾パネル。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【登録番号】第3040548号
【登録日】平成9年(1997)6月4日
【発行日】平成9年(1997)8月26日
【考案の名称】ベランダフェンスの装飾パネル
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平9−1247
【出願日】平成9年(1997)2月14日
【出願人】(397004629)
【出願人】(397004766)有限会社ホームリゾートコーポレーション (1)