説明

ベルトコンベア及びそのベルト緊張度合い調整装置

【課題】ベルトの緊張度合いを容易に調整できるようにする。
【解決手段】左右一対のフレーム10と、従動ローラ20bに対応して各フレーム10に対して各々配設され、従動ローラ20bの回転軸21の各端部を支持するとともに、駆動ローラ20aに対して接近・離隔する方向に移動可能な軸受け支持材50と、ベルト30の長さ方向と平行に延び、自身の軸回り方向に回転することによって各軸受け支持材50を駆動ローラ20aに対して接近・離隔する方向に移動させる軸材60と、各軸材60に対して直角の方向に延びる軸材80と、軸材80の軸回り方向の回転に基づいて、軸材60を軸回り方向に回転させる回転変換伝達機構(傘歯車85・65)と、両フレーム10又はその延長線上の間の空間に設けられ、軸材80を軸回り方向に回転させるための操作が行われる操作機構(アーム90,アーム連結棒100)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルトコンベア及びそのベルト緊張度合い調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ベルトコンベア(以下単に「コンベア」ともいう)は、次の構成を有している。
搬送方向に延びる左右一対のフレームの各端部において、その両フレームの間に一対のローラが設けられており、その一対のローラにわたって、無端状のベルトが掛け渡されている。
一方のローラが駆動ローラであり、他方のローラが従動ローラである。
ベルトは、一般的に、ゴム製のものが多い。無端状のベルトのうちの上側の部分が往路部であり、下側の部分が復路部である。
そして、駆動ローラの回転に基づいてベルトが循環移動し、ベルト(往路部)上の物品(被搬送物)が搬送される。
【0003】
コンベアのベルトについては、所定の張り具合(緊張度合い)で張られていることが必要である。ベルトの緊張度合いは、その無端状のベルトの長さ(周回長さ)及び一対のローラの間隔によって定められる。
【0004】
コンベアのベルトは、当初は、所定の緊張度合いで張られている。
しかしながら、そのコンベアが長時間使用されることによって、そのベルト(特にゴム製のものの場合)は、徐々に伸びてくる(すなわち、たるんでくる)。
こうして、ベルトの緊張度合いが不足してくる(緊張度合いが小さくなってくる)。
【0005】
ベルトの緊張度合いが不足してくると、ベルトが蛇行するという不具合が発生する。
すなわち、特にベルトがその幅方向において不均一に(すなわち、左右に不均一に)たるんだ場合は、そのベルトは蛇行しやすい。また、ベルトが左右に均一にたるんだ場合においても、そのベルト(往路部)上に載置された被搬送物の重心がベルトの幅方向の中心からずれている場合は、やはりそのベルトは蛇行することとなる。
ベルトが蛇行すると、そのベルト(往路部)から被搬送物が落下したり、ベルトが損傷したりする等の不具合が生ずるのである。
このため、コンベアには、そのベルトの緊張度合いを調整する機構が必要である。
【0006】
従来のコンベアにおいては、次のように、少なくとも一方のローラが位置調整可能に設けられ、ベルトの緊張度合いが調整可能とされている。
すなわち、左右一対のフレームの少なくとも一端部には、そのコンベアの搬送方向に沿って延びる長孔が形成されている。ローラの回転軸又はその回転軸と同心状の軸(以下「取付用軸」ともいう)の各端部にはおねじが形成されており、その取付用軸の各端部が各長孔に対して挿通されている。
そして、各フレームの外側において、取付用軸の各端部のおねじに対してナットが螺合され、その取付用軸(回転軸)が所定の位置に固定される。
【0007】
上記従来のコンベアにおいてベルトの緊張度合いを調整する際には、取付用軸の一端部に螺合されたナットが緩められ、取付用軸の当該一端部が長孔に沿って移動され、取付用軸の当該一端部が所定の位置に位置する状態でナットが締められる。取付用軸の他端部についても同様な作業が行われる。
こうして、回転軸(取付用軸)の位置が調整され、ベルトの緊張度合いが調整される。
【0008】
しかしながら、上記従来のコンベアでは、次のような欠点がある。
すなわち、上述のように、ナットを緩めて、取付用軸(その端部)を移動させ、ナットを締める、という作業を行うのは煩雑である。
また、ナットはフレームの外側に位置しているため、上記作業については、フレームの外側において作業員が作業を行う必要がある。しかし、コンベアは工場等の施設の壁際に設置される場合もあり、その場合は、コンベアをその壁から離隔するように移動させる必要があり、その作業は非常に煩雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ベルトの緊張度合いを容易に調整することができるベルトコンベア及びそのベルト緊張度合い調整装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、一対のローラによって無端状のベルトが支持されるベルトコンベアであって、前記ベルトの左右の両側に位置し、前記両ローラを回転可能に支持する左右一対のフレームと、前記一対のローラのうちの少なくとも一方のローラに対応して前記各フレームに対して各々配設され、当該一方のローラの回転軸の各端部を支持するとともに、前記一対のローラのうちの他方のローラに対して接近・離隔する方向に移動可能な回転軸支持部材と、前記各フレームに対して各々設けられ、前記ベルトの長さ方向と少なくともほぼ平行に延びる軸状をなし、自身の軸回り方向に回転することによって前記各回転軸支持部材を前記他方のローラに対して接近・離隔する方向に移動させる長さ方向軸状部材と、前記各長さ方向軸状部材に対して各々設けられ、当該各長さ方向軸状部材に対して交差する方向に延びる軸状をなす交差方向軸状部材と、前記交差方向軸状部材の軸回り方向の回転に基づいて、前記長さ方向軸状部材を軸回り方向に回転させる回転変換伝達機構と、前記両フレーム又はその延長線上の間の空間に設けられ、前記交差方向軸状部材を軸回り方向に回転させるための操作が行われる操作機構とを有する、ベルトコンベアである。
【0011】
この発明のベルトコンベアでは、操作機構が操作されることによって交差方向軸状部材が軸回り方向に回転し、それに基づいて、回転変換伝達機構を介して長さ方向軸状部材が軸回り方向に回転し、それによって、回転軸支持部材が移動する。
こうして、この発明のベルトコンベアではローラ間の距離が容易に調整され、ベルトの緊張度合いが調整される。
そして、この発明のベルトコンベアでは、操作機構が両フレーム又はその延長線上の間の空間に設けられているため、フレームが壁際に位置する場合でも、作業員は上記の作業を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のベルトコンベアであって、前記操作機構は、各交差方向軸状部材から各々その遠心方向に延びるアームを有するものである、ベルトコンベアである。
【0013】
この発明のベルトコンベアでは、請求項1に係る発明のベルトコンベアの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明のベルトコンベアでは、操作機構が、各交差方向軸状部材から各々その遠心方向に延びるアームを有するため、各交差方向軸状部材を中心に各アームを揺動又は回転させることによって、各交差方向軸状部材を容易に回転(回動を含む)させることができ、容易にベルトの緊張度合いを調整することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明のベルトコンベアであって、前記操作機構は、前記各交差方向軸状部材と前記各アームとの間に、前記各交差方向軸状部材を中心とする前記各アームの一方向の揺動を前記各交差方向軸状部材の一方向の回動として伝達するとともに、同じく前記各アームの他方向の揺動を前記各交差方向軸状部材には伝達しないラチェット機構を有する、ベルトコンベアである。
【0015】
この発明のベルトコンベアでは、請求項2に係る発明のベルトコンベアの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明のベルトコンベアでは、操作機構が、各交差方向軸状部材と各アームとの間にラチェット機構を有しているため、各アームを往復揺動させることによって、各交差方向軸状部材を一方向に回転させることができ、容易にベルトの緊張度合いを調整することができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に係る発明のベルトコンベアであって、前記操作機構は、前記両アームをつなぐアーム連結部材を有する、ベルトコンベアである。
【0017】
この発明のベルトコンベアでは、請求項2又は請求項3に係る発明のベルトコンベアの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明のベルトコンベアでは、操作機構が両アームをつなぐアーム連結部材を有しているため、アーム連結部材を操作することによって両アームを同時に揺動又は回転させることが可能であり、容易にベルトの緊張度合いを調整することができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明のベルトコンベアであって、前記連結部材は、前記各アームに連結された各分割アーム連結部材と、当該両分割アーム連結部材を分離・結合可能に結合する結合部材とを有する、ベルトコンベアである。
【0019】
この発明のベルトコンベアでは、請求項4に係る発明のベルトコンベアの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明のベルトコンベアでは、結合部材によって両分割アーム連結部材が結合した状態(アーム連結部材が形成された状態)では、そのアーム連結部材を操作することによって両アームを同時に揺動させることができ、ベルトの緊張度合いを左右均一に容易に調整することができる。こうして、ベルトが左右均一に伸びた場合等に容易に対応することができる。
一方、アーム連結部材が各分割アーム連結部材ごとに分離された状態では、その各分割連結部材を操作することによって各アームを各々揺動させることができ、ベルトの緊張度合いを左右各々調整することができる。こうして、ベルトが左右不均一に伸びた場合等に対応することができる。
このように、この発明のベルトコンベアでは、ベルトの緊張度合いについての状況(左右に均一に伸びているか否か等)に応じて、適切にかつ能率的にベルトの緊張度合いを調整することができる。
【0020】
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに係る発明のベルトコンベアであって、前記回転変換伝達機構は、前記長さ方向軸状部材に設けられた第1傘歯車と、その第1傘歯車に対応して前記交差方向軸状部材に設けられた第2傘歯車とを有するものである、ベルトコンベアである。
【0021】
この発明のベルトコンベアでは、請求項1〜請求項5に係る発明のベルトコンベアの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明のベルトコンベアでは、第2傘歯車の回転に伴って第1傘歯車が回転するため、交差方向軸状部材の軸回り方向に回転に基づいて、容易に、長さ方向軸状部材を軸回り方向に回転させることができる。こうして、請求項1〜請求項5に係る発明の作用効果が確実に得られる。
【0022】
請求項7に係る発明は、一対のローラによって無端状のベルトが支持されるベルトコンベアの当該ベルトの緊張度合いを調整する調整装置であって、前記ベルトコンベアは、前記ベルトの左右の両側に位置し、前記両ローラを回転可能に支持する左右一対のフレームと、前記一対のローラのうちの少なくとも一方のローラに対応して前記各フレームに対して各々配設され、当該一方のローラの回転軸の各端部を支持するとともに、前記一対のローラのうちの他方のローラに対して接近・離隔する方向に移動可能な回転軸支持部材と、前記各フレームに対して各々設けられ、前記ベルトの長さ方向と少なくともほぼ平行に延びる軸状をなし、自身の軸回り方向に回転することによって前記各回転軸支持部材を前記他方のローラに対して接近・離隔する方向に移動させる長さ方向軸状部材とを有するものであり、当該調整装置は、前記各長さ方向軸状部材に対して各々設けられ、当該各長さ方向軸状部材に対して交差する方向に延びる軸状をなす交差方向軸状部材と、前記両フレーム又はその延長線上の間の空間に設けられ、前記交差方向軸状部材を軸回り方向に回転させるための操作が行われる操作機構とを有し、前記交差方向軸状部材の軸回り方向の回転に基づいて、前記長さ方向軸状部材を軸回り方向に回転させる回転変換伝達機構を介して、前記ベルトコンベアに対して接続されるのものである、ベルトコンベアのベルト緊張度合い調整装置である。
【0023】
この発明のベルトコンベアのベルト緊張度合い調整装置においては、ベルトコンベアに対して接続され、請求項1に係る発明のベルトコンベア(その操作機構)と同様に操作されることによって、請求項1に係る発明と同様の作用効果が得られる。
なお、請求項1に係る発明に対して請求項2〜請求項6に係る発明において付加された事項は、同様に、請求項7に係る発明に対しても付加され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[実施形態1]
次に、本発明の実施形態1について、図1〜図6に基づいて説明する。
図1に示すように、このベルトコンベアは、左右一対のフレーム10、前後方向(搬送方向)に一対のローラ20a,20b、及び、ベルト30を有している。
【0025】
図1〜図3に示すように、左右一対の各フレーム10は、コンベアの搬送方向に延びている。
各フレーム10は、下側フレーム材11及び上側フレーム材12を有し、下側フレーム材11及び上側フレーム材12は、縦フレーム材13によって連結されている。
また、左右の両フレーム10は、複数の連結部材14(図3)によって連結されている。
【0026】
一対のローラ(20a,20b)のうちの一方が駆動ローラ20aであり、他方が従動ローラ20bである。
各ローラ20a,20bは、両フレーム10の間において、両フレーム10によって回転可能に支持されている。
すなわち、駆動ローラ20aの回転軸21(図2,図3)の各端部は、各フレーム10の一方の端部において回転可能に支持され、従動ローラ20bの回転軸21(図1〜図3)の各端部は、各フレーム10の他方の端部において支持されている。
駆動ローラ20a(その回転軸21)には、モータを主とする駆動機構22(図1,図2)が設けられており、駆動回転可能とされている。
従動ローラ20bには、駆動機構(22)は設けられておらず、駆動ローラ20aの駆動回転に基づくベルト30の循環によって、従動回転する。
【0027】
ベルト30(図1〜図3)は、ゴムによって形成されている。
ベルト30は無端状をなし、一対のローラ(駆動ローラ20a,従動ローラ20b)にわたって掛け渡されている。
無端状のベルト30のうち、上側に位置する部分(駆動ローラ20aの上端部と従動ローラ20bの上端部との間の部分)が往路部31aであり、下側に位置する部分(駆動ローラ20aの下端部と従動ローラ20bの下端部との間の部分)が復路部31bである。
両フレーム10の間には、ベルト30の往路部31aに対応して、複数の補助ローラ(図示省略)が設けられている。これによって、ベルト30の往路部31a(駆動ローラ20aと従動ローラ20bとの間の部分)が自重によって下方にたるむことが防止されている。
駆動ローラ20aの駆動回転に基づいてベルト30が循環移動することによって、ベルト30(往路部31a)上に載置された物品(被搬送物)が搬送される。
【0028】
一方のローラ(従動ローラ)20bは、次のように、位置調整可能に設けられている。
図1〜図4に示すように、左右一対の各フレーム10のうち、従動ローラ20bの側の部分は、位置調整用フレーム40とされている。
各位置調整用フレーム40は、下側フレーム材11(前述)に対して、位置調整用上側フレーム材42、及び、両者をつなぐ縦フレーム材43等によって形成されている。
位置調整用上側フレーム材42は、下側フレーム材11に対して平行に延びている。
【0029】
下側フレーム材11と位置調整用上側フレーム材42との間に、軸受け支持材50(本発明の回転軸支持部材に該当する)が配設されている。
各軸受け支持材50には、軸受け55が設けられている。各軸受け55は、従動ローラ20bの回転軸21の各端部を支持するものである。
軸受け支持材50は、次のように、このコンベア(位置調整用フレーム40)の長さ方向に移動可能に配設されている。
【0030】
軸受け支持材50のうちの下縁部は、跨合部51(図1,図4)とされている。跨合部51は、下側フレーム材11を跨ぐようにして、下側フレーム材11に対して摺動可能に嵌合している。
位置調整用上側フレーム材42は、下方が開口した角パイプ状をしている。軸受け支持材50の上縁部は、その開口部44(図4)を通して、位置調整用上側フレーム材42の内部に入り込んでいる。
こうして、軸受け支持材50は、位置調整用フレーム40(下側フレーム材11,位置調整用上側フレーム材42)の長さ方向に沿って移動可能である。
【0031】
図2〜図4に示すように、各位置調整用上側フレーム材42には、軸材60(本発明の長さ方向軸状部材に該当する)が設けられている。
軸材60は、位置調整用上側フレーム材42の長さ方向に沿って延びており(すなわち、ベルト30の長さ方向と平行に延びており)、その各端部は、縦フレーム材43を貫通して、位置調整用上側フレーム材42から外部に露出している。
軸材60の基端部(露出した部分)は、大径状の抜け止め部61とされている。
軸材60の先端部には傘歯車65(本発明の第1歯車に該当する)が設けられている。軸材60のうち傘歯車65の近傍の部分(露出した部分)は、大径状の抜け止め部62とされている。
こうして、軸材60は、抜け止めされ、自身の長さ方向の移動が阻止された状態で、自身の軸回り方向に回転可能に支持されている。
図4に示すように、軸材60のうちの大半の部分には、おねじ64が形成されている。
【0032】
図4に示すように、軸受け支持材50の上縁部の近傍には、軸材60(おねじ64)に対応して、貫通孔状のめねじ54が形成されている。めねじ54に対して、軸材60(おねじ64)が螺合し、貫通している。
こうして、軸材60の回転(自身の軸回り方向の回転)に伴って、軸受け支持材50は、コンベア(位置調整用フレーム40)の長さ方向に移動する。
【0033】
図1〜図4に示すように、左右一対の位置調整用フレーム40(左右一対の傘歯車65)に対して、ベルト緊張度合い調整装置(以下、単に「調整装置」ともいう)70が、着脱可能に取り付けられる(接続される)。調整装置70は、常に取り付けられた状態でもよいし、必要の際にのみ取り付けられてもよい。
調整装置70は、ほぼ左右対称の構造を有しており、一対の取付部75、一対のアーム90、及び、アーム連結棒100(アーム連結部材)を有している。
一対のアーム90、及び、アーム連結棒100(アーム連結部材)が、本発明の操作機構に該当する。
【0034】
図1,図4〜図6に示すように、各取付部75は、各位置調整用上側フレーム材42に対応している。
各取付部75は、一対の縦板部(外側縦板部76a,内側縦板部76b)を有している。一対の縦板部76a,76bは、上部連結板材77によって連結されている。一対の縦板部76a,76bの間隔は、位置調整用上側フレーム材42の幅に対応している。
各取付部75は、一対の縦板部76a,76bが位置調整用上側フレーム材42を挟み、上部連結板材77が位置調整用上側フレーム材42に載置される状態で、各位置調整用上側フレーム材42に対して、周知の構造で着脱可能に固定される。
【0035】
各取付部75には、軸材80(本発明の交差方向軸状部材に該当する)が配設されている。
各軸材80は、このコンベアの幅方向に延びている。すなわち、各軸材60と直角の方向に延びている。
各軸材80の一端部は、外側縦板部76aに回転可能に支持されている。各軸材80の他端部の側の部分は、内側縦板部76bを回転可能に貫通している。
【0036】
各軸材80(そのうちの両縦板部76a,76bの間の部分)には、傘歯車85(本発明の第2傘歯車に該当する)が設けられている。傘歯車85は、軸材60の傘歯車65に対応して設けられており、傘歯車85は傘歯車65と噛み合っている(傘歯車65及び傘歯車85が、本発明の回転変換伝達機構に該当する)。
このため、各軸材80が自身の軸回り方向に回転することによって、各軸材60(図4)が自身の軸回り方向に回転し、それに伴って、各軸受け支持材50がコンベアの長さ方向に移動し、ひいては従動ローラ20bがコンベアの長さ方向に移動する。
各軸材80が一の方向に回転することに伴って、従動ローラ20b(軸受け支持材50)は、駆動ローラ20aから離隔する方向に移動する。一方、各軸材80が他の方向に回転することに伴って、従動ローラ20b(軸受け支持材50)は、駆動ローラ20aに接近する方向に移動する。
【0037】
図1,図5,図6に示すように、各軸材80の他端部(前述したように、内側縦板部76bから露出している)には、周知の構造のラチェット機構部95(本発明のラチェット機構に該当する)を介して、アーム90が設けられている。
このため、各アーム90が自身の基端部を中心に往復揺動することによって、各軸材80が所定の一方向にのみ回転する。
ラチェット機構部95は、同じく周知の構造の回転方向切換部(図示省略)も有している。
このため、その回転方向切換部における切換状態に応じて、各アーム90の往復揺動に基づいて、各軸材80が一の方向にのみ回転したり、他の方向にのみ回転したりする。
【0038】
図1に示すように、両アーム90の先端部同士は、アーム連結棒100によって連結されている。アーム連結棒100の各端部は、各アーム90の先端部に対して、相対的に自身の軸回り方向に回転可能に連結されている。
【0039】
次に、このベルトコンベアの使用方法及び作用効果について説明する。
長時間の使用によってベルト30が伸びてきて、緊張度合いが小さくなってきた場合には、各ラチェット機構部95(図5,図6)の回転方向切換部が所定の切換状態にある状態において、図1,図4〜図6に示すように、作業員がアーム連結棒100を円弧状に往復動させ、各アーム90を往復揺動させる。
これによって、各軸材80が所定の一方向にのみ回転し、傘歯車85及び傘歯車65を介して、各軸材60(図4)が所定の一方向にのみ回転する。
これによって、各軸受け支持材50が駆動ローラ20aから離隔する方向に移動し、従動ローラ20bが駆動ローラ20aから離隔する方向に移動する。
こうして、駆動ローラ20aと従動ローラ20bとの間の距離がそれまでと比較して長くなり、ベルト30の緊張度合いが大きくなる。
【0040】
また、上述の作業等によってベルト30の緊張度合いが大きくなりすぎた場合は、作業員が、ラチェット機構部95(図5,図6)の回転方向切換部を上述とは逆の切換状態に切り換えた後に、図1,図4〜図6に示すように、アーム連結棒100を円弧状に往復動させ、各アーム90を往復揺動させる。
これによって、各軸材80が上述とは逆の一方向にのみ回転し、傘歯車85及び傘歯車65を介して、各軸材60(図4)が上述とは逆の一方向にのみ回転する。
これによって、各軸受け支持材50が駆動ローラ20aに接近する方向に移動し、従動ローラ20bの回転軸21の各端部が駆動ローラ20aに接近する方向に移動する。
こうして、駆動ローラ20aと従動ローラ20bとの間の距離がそれまでと比較して短くなり、ベルト30の緊張度合いが小さくなる。
【0041】
このように、このコンベアでは、アーム連結棒100を円弧状に往復動させるという操作をすることによって、容易にベルト30の緊張度合いを調整することができる。
そして、この作業は、作業員が一対のフレーム10及びその延長線の間に位置して行うことができる。このため、このコンベア(フレーム10)が壁際に設置されている場合であっても、ベルト30の緊張度合いの調整の作業を容易に行うことができる。
また、このコンベアでは、アーム連結棒100を円弧状に往復動させることによって、従動ローラ20bの回転軸21の両端部が同時に同一方向に同一距離を移動する。このため、従動ローラ20bの回転軸21の端部ごとに位置調整をする必要がなく、能率的にベルト30の緊張度合いを調整することができる。
【0042】
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2について、図7〜図9に基づいて説明する。実施形態2は実施形態1の変形例であり、実施形態1と相違する点についてのみ説明する。
【0043】
このベルトコンベア(調整装置70)では、アーム連結棒120(実施形態1のアーム連結棒100に対応する)が、一方のアーム90a(90)の側と、他方のアーム90b(90)の側とに分割されている。
すなわち、アーム連結棒120(アーム連結部材)は、一対の分割アーム連結棒110a,110b(分割アーム連結部材)に分割されているとともに、両分割アーム連結棒110a,110bは、結合部材130によって、分離・結合可能に結合される。
【0044】
図7,図9に示すように、一方の分割アーム連結棒110aの先端部には凹状部115aが形成されており、それに対応して、他方の分割アーム連結棒110bの先端部には凸状部115bが形成されている。そして、凹状部115aに対して凸状部115bが嵌合することによって、1本の棒状をなすようにされている。
【0045】
結合部材130は円筒状をしている。結合部材130の内径は、両分割アーム連結棒110a,110bの外径に対応している。そして、図7(a)(c)に示すように、結合部材130は、両分割アーム連結棒110a,110bに対して、その長さ方向に沿って移動可能に嵌合されている。
それとともに、結合部材130は、両分割アーム連結棒110a,110bの先端部(凹状部115a及び凸状部115bが形成されている部分)の位置(「結合用位置」ということとする)において維持される状態と、両分割アーム連結棒110a,110bの長さ方向に沿って変位可能な状態とが切り換えられるようにされている。
【0046】
すなわち、結合部材130は、結合用位置に位置する状態で、周知の機構で、その位置に維持される。所定の操作がされることによって、その位置に維持されることが解除される。
例えば、結合部材130の内面にめねじが形成され、それに対応して両分割アーム連結棒110a,110bの先端部(又はほぼすべての部分)の外面におねじが形成されている場合には、両おねじに対してめねじが螺合した状態で結合部材130が結合用位置に維持され、結合部材130が回転されることによって、両おねじに対するめねじの螺合が外れ、結合部材130が結合用位置に維持されることが解除される。
【0047】
このベルトコンベアに固有の使用方法及び作用効果は、次のとおりである。
ベルト30(図1等参照)が左右均一に伸びた場合等、従動ローラ20bの回転軸21の各端部を同一方向に同一長さだけ移動させる場合には、図7(a)(b)及び図8に示すように、凹状部115aを凸状部115bに嵌合させ、結合部材130を結合用位置に位置させ、両分割アーム連結棒110a,110bを結合させる。こうして、1本のアーム連結棒120を形成させる。
そして、そのアーム連結棒120を実施形態1においてアーム連結棒100について述べたように操作し、従動ローラ20bの回転軸21の各端部を同時に同一方向に同一長さだけ移動させ、従動ローラ20bの位置を調整する。
【0048】
一方、ベルト30が左右不均一に伸びた場合等、従動ローラ20bの回転軸21の各端部ごとに位置調整しようとする場合には、次のようにする。
すなわち、まず、図7(a)→(c)に示すように、結合部材130を結合用位置から一方の分割アーム連結棒(110a又は110b)にのみ嵌合する位置に変位させる。
その状態で、図9に示すように、凹状部115aと凸状部115bとを分離させ、両分割アーム連結棒110a,110bを分離させる。
そして、各分割アーム連結棒110a,110bごと円弧状に往復動させることによって、従動ローラ20bの各端部ごとに位置調整する。
こうして、ベルト30が左右不均一に伸びた場合等においても、適切にベルト30の緊張度合いを調整することができるのである。
【0049】
なお、上記のものはあくまで本発明の実施形態にすぎず、当業者の知識に基づいて種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【0050】
例えば、ラチェット機構部(95)も、必ずしも設けられなくてもよい。その場合は、アーム(90)が所定の一方向に回転するように操作する。
また、アーム連結棒(100,120)は、必ずしも設けられなくてもよい。その場合は、アーム(90)を把持して(そのための把持部が設けられてもよい)、アーム(90)を直接的に揺動(回動)又は回転させる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態1のベルトコンベアを示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1のベルトコンベアを示す分解側面図である。
【図3】本発明の実施形態1のベルトコンベアを示す分解縦断面図(側断面図)である。
【図4】本発明の実施形態1のベルトコンベアの要部を拡大して示す側面図(一部破断)である。ローラ及びベルトは便宜的に2点鎖線で示してある。
【図5】本発明の実施形態1のベルトコンベアの要部を拡大して示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態1のベルトコンベアの要部を拡大して示す斜視図である。図5とは異なる方向から見た図である。
【図7】本発明の実施形態2のベルトコンベアの一部(調整装置の一部)を示す図である。(a)は、結合部材が結合用位置にある状態の平面図である。(b)は、(a)の断面図である。(c)は、結合部材が一方の分割アーム連結棒にのみ嵌合する位置にある状態の平面図である。
【図8】分割アーム連結棒が結合された状態を示す斜視図である。
【図9】分割アーム連結棒が分離された状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10 フレーム
20a 駆動ローラ(ローラ)
20b 従動ローラ(ローラ)
30 ベルト
50 軸受け支持材(回転軸支持部材)
60 軸材(長さ方向軸状部材)
65 傘歯車(第1傘歯車)(回転変換伝達機構)
70 調整装置
80 軸材(交差方向軸状部材)
85 傘歯車(第2傘歯車)(回転変換伝達機構)
90 アーム(操作機構)
95 ラチェット機構部(ラチェット機構)
100,120 アーム連結棒(アーム連結部材)(操作機構)
110a,110b 分割アーム連結棒(分割アーム連結部材)
130 結合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のローラによって無端状のベルトが支持されるベルトコンベアであって、
前記ベルトの左右の両側に位置し、前記両ローラを回転可能に支持する左右一対のフレームと、
前記一対のローラのうちの少なくとも一方のローラに対応して前記各フレームに対して各々配設され、当該一方のローラの回転軸の各端部を支持するとともに、前記一対のローラのうちの他方のローラに対して接近・離隔する方向に移動可能な回転軸支持部材と、
前記各フレームに対して各々設けられ、前記ベルトの長さ方向と少なくともほぼ平行に延びる軸状をなし、自身の軸回り方向に回転することによって前記各回転軸支持部材を前記他方のローラに対して接近・離隔する方向に移動させる長さ方向軸状部材と、
前記各長さ方向軸状部材に対して各々設けられ、当該各長さ方向軸状部材に対して交差する方向に延びる軸状をなす交差方向軸状部材と、
前記交差方向軸状部材の軸回り方向の回転に基づいて、前記長さ方向軸状部材を軸回り方向に回転させる回転変換伝達機構と、
前記両フレーム又はその延長線上の間の空間に設けられ、前記交差方向軸状部材を軸回り方向に回転させるための操作が行われる操作機構と
を有する、ベルトコンベア。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトコンベアであって、
前記操作機構は、各交差方向軸状部材から各々その遠心方向に延びるアームを有するものである、
ベルトコンベア。
【請求項3】
請求項2に記載のベルトコンベアであって、
前記操作機構は、前記各交差方向軸状部材と前記各アームとの間に、前記各交差方向軸状部材を中心とする前記各アームの一方向の揺動を前記各交差方向軸状部材の一方向の回動として伝達するとともに、同じく前記各アームの他方向の揺動を前記各交差方向軸状部材には伝達しないラチェット機構を有する、
ベルトコンベア。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のベルトコンベアであって、
前記操作機構は、前記両アームをつなぐアーム連結部材を有する、
ベルトコンベア。
【請求項5】
請求項4に記載のベルトコンベアであって、
前記連結部材は、前記各アームに連結された各分割アーム連結部材と、当該両分割アーム連結部材を分離・結合可能に結合する結合部材とを有する、
ベルトコンベア。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のベルトコンベアであって、
前記回転変換伝達機構は、前記長さ方向軸状部材に設けられた第1傘歯車と、その第1傘歯車に対応して前記交差方向軸状部材に設けられた第2傘歯車とを有するものである、
ベルトコンベア。
【請求項7】
一対のローラによって無端状のベルトが支持されるベルトコンベアの当該ベルトの緊張度合いを調整する調整装置であって、
前記ベルトコンベアは、
前記ベルトの左右の両側に位置し、前記両ローラを回転可能に支持する左右一対のフレームと、
前記一対のローラのうちの少なくとも一方のローラに対応して前記各フレームに対して各々配設され、当該一方のローラの回転軸の各端部を支持するとともに、前記一対のローラのうちの他方のローラに対して接近・離隔する方向に移動可能な回転軸支持部材と、
前記各フレームに対して各々設けられ、前記ベルトの長さ方向と少なくともほぼ平行に延びる軸状をなし、自身の軸回り方向に回転することによって前記各回転軸支持部材を前記他方のローラに対して接近・離隔する方向に移動させる長さ方向軸状部材とを有するものであり、
当該調整装置は、
前記各長さ方向軸状部材に対して各々設けられ、当該各長さ方向軸状部材に対して交差する方向に延びる軸状をなす交差方向軸状部材と、
前記両フレーム又はその延長線上の間の空間に設けられ、前記交差方向軸状部材を軸回り方向に回転させるための操作が行われる操作機構とを有し、
前記交差方向軸状部材の軸回り方向の回転に基づいて、前記長さ方向軸状部材を軸回り方向に回転させる回転変換伝達機構を介して、前記ベルトコンベアに対して接続されるのものである、
ベルトコンベアのベルト緊張度合い調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−273702(P2008−273702A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120385(P2007−120385)
【出願日】平成19年4月28日(2007.4.28)
【出願人】(392034610)袴田ベルト工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】