ベルト型濃縮機とベルト型濃縮機運転方法
【課題】分離液を洗浄液として再利用でき、かつ洗浄手段閉塞を起こさず連続運転が可能なベルト型濃縮機を提供する。
【解決手段】複数のベルト洗浄手段と分離液貯留手段とを備えるベルト型濃縮機を提供する。前記分離液貯留手段に貯留した分離液の一部は、前記洗浄手段に洗浄液として供給される。前記複数の洗浄手段にセルフクリーニング式スプレーノズルを使用し、ベルト洗浄とノズル内部の洗浄を交互に行うことにより、前記ベルト型濃縮機の連続運転を可能とする。
【解決手段】複数のベルト洗浄手段と分離液貯留手段とを備えるベルト型濃縮機を提供する。前記分離液貯留手段に貯留した分離液の一部は、前記洗浄手段に洗浄液として供給される。前記複数の洗浄手段にセルフクリーニング式スプレーノズルを使用し、ベルト洗浄とノズル内部の洗浄を交互に行うことにより、前記ベルト型濃縮機の連続運転を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、無端状の濾布を有する、分離液、洗浄排液を洗浄液として再利用することが可能な節水型のベルト型濃縮機であって、セルフクリーニング機能を有する複数の洗浄手段を用いて、ベルト洗浄と洗浄手段のセルフクリーニングを交互に行うベルト型濃縮機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
汚泥等の被処理物を処理する際に、汚泥固形分（ＳＳ）を水分から分離し、汚泥スラリーを濃縮するための装置の一つとして、ベルト型濃縮機が知られている。同様のベルト型濃縮機が特許文献１に開示されている。当該特許文献１に開示されているベルト型濃縮機は、フィルター状の無端ベルトに載せられたスラリーから無端ベルトを透過して得られる分離液を受ける貯槽と、これとは別に、無端ベルトの目詰まりを防ぐために、洗浄ノズルから噴出した洗浄液で無端ベルトを洗浄した後の洗浄排液を受ける貯槽を有する。これら２つの槽の貯留液は同一のライン内で混合され、一部は洗浄液として再利用され、残りは機外に排出される構成である。
本発明によって、分離液と洗浄排液を洗浄液として再利用することが可能であるが、洗浄排液にわずかながらＳＳが残留するため、これを洗浄液とすることで洗浄ノズルの閉塞等を引き起こす恐れがある。
特許文献２は、特許文献１に示される問題を解決すべく、分離液と洗浄排液を分割して集液した後、混合せずに前者は洗浄液として再利用、または機外に排出し、後者は処理前の汚泥スラリーに混入し、再度濃縮処理を行うベルト型濃縮機を開示している。
洗浄ノズルに閉塞が起きてしまった場合、ベルトに未洗浄領域が生じ、脱水性能を低下させる。特許文献３に開示されているセルフクリーニングノズルのように、ノズル自体に異物による閉塞が発生した場合、圧力調整により異物を洗い流し、閉塞を解消する機能を有するノズルが知られており、その使用により、閉塞が発生しても、一旦洗浄液の供給を停止し、再度洗浄水を供給する過程で閉塞が解消される。
【特許文献１】特開昭５５−２７０４７号公報
【特許文献２】特開２００８−７３６７０号公報
【特許文献３】実開昭５３−１５６９１７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
特許文献２に記載の従来技術では、貯留した分離液を洗浄液として再利用しているが、分離液へのスカムの混入を防ぐ手段、及びスカムを除去する手段はなく、これを洗浄液として再利用することにより、洗浄ノズルの閉塞が頻発する恐れがあった。また、分離液、洗浄排液を機外の貯槽に貯留させるため、貯槽が大きなスペースを必要とする。
また、特許文献３に開示されるようなセルフクリーニングノズルを使用しても、ベルトの洗浄不良等、目視による閉塞確認の後、閉塞を解消するため手動弁を切り替えることが必要であるため、一度ベルト洗浄を停止するか、ベルト濃縮機自体の運転を停止しなくてはならず、作業効率が落ちる。さらに、洗浄ノズルが閉塞した場合、上記の操作を行わず長時間放置すると、閉塞下異物が固着してしまい、一度運転を停止して、ノズルを取り外しての清掃作業を実施しなければならないという問題もあった。
以上のように、ベルト濃縮機において、分離液を洗浄液として再利用する場合、残留したＳＳやスカムの混入による洗浄ノズルの閉塞、及び閉塞を除去するための運転中断が、ベルト型濃縮機の運転効率を低下させる要因となっていた。本発明の目的は、分離液として再利用される洗浄液へのＳＳ及びスカムの混入を低減させ、かつ洗浄ノズル内部の洗浄を行いながらも、連続運転が可能なベルト型濃縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
＜請求項１記載の発明＞
請求項１記載の発明は、複数のローラ間に巻き掛けられローラの回転方向に沿って走行させられる通水性の無端ベルトを備え、前記無端ベルトの搬送面の始端側に汚泥を供給し、終端側に移送しながら汚泥中の水分を分離液として前記無端ベルトを透過させることにより汚泥を濃縮するベルト型濃縮機であって、前記分離液を貯留する分離液貯留手段と、終端側から始端側へ戻る前記無端ベルトを洗浄液により洗浄する複数の洗浄手段と、前記貯留した分離液を前記洗浄手段に前記洗浄液として供給する洗浄液供給手段とを有し、前記洗浄手段は、セルフクリーニング式スプレーノズルを使用するとともに、各洗浄手段へ供給する洗浄液を切り替える洗浄切替手段を設けたことを特徴とするベルト型濃縮機を提供する。
【０００５】
（発明の効果）
前記ベルト型濃縮機においては、分離液を洗浄液として再利用するため、分離液を貯留する貯留手段を備える。
前記洗浄液は、被処理物から得られた分離液であるため、機外から供給する清浄な洗浄液に比べ、ＳＳ、スカム等で洗浄手段が閉塞を起こす可能性が高い。そこで、洗浄手段を複数配置し、交互に運転することにより、一つに閉塞が生じても、他の使用が可能であり、連続運転が可能となる。
さらに、前記洗浄手段として、セルフクリーニング式スプレーノズル（図２に例示）を複数使用しており、これらを切り替えて使用することにより、ベルト洗浄とノズル内部の洗浄を交互に行い、連続運転が実施可能である。
【０００６】
＜請求項２記載の発明＞
請求項２記載の発明は、前記洗浄切替手段が、洗浄液の圧力が所定値を上回った場合、他の洗浄手段に切り替える請求項１記載のベルト型濃縮機を提供する。
【０００７】
（発明の効果）
洗浄手段に閉塞が生じた場合、洗浄液供給手段（洗浄管）の圧力が上昇する。この圧力上昇を検知し、圧力が上昇した洗浄管の自動制御弁を閉じ、他の洗浄管の自動制御弁を開くことにより、洗浄液配管の切り替えが可能であり、洗浄ノズル閉塞によるベルトの洗浄不良を防止することが可能である。
【０００８】
＜請求項３記載の発明＞
請求項３記載の発明は、前記洗浄切替手段が、洗浄手段が切り替えられずに所定時間経過した場合に、他方の洗浄手段に切り替える請求項１または２に記載のベルト型濃縮機を提供する。
【０００９】
（発明の効果）
複数の洗浄手段において、洗浄ノズルのセルフクリーニングを一定時間、好適には６０分から１２０分ごとに交互に実施することにより、洗浄ノズル閉塞の防止が可能である。
【００１０】
＜請求項４記載の発明＞
請求項４記載の発明は、前記洗浄切替手段が、洗浄液の圧力が所定値を上回った場合、他方の洗浄手段に切り替えるとともに、次回の切り替えまでの時間が所定時間を下回った場合に異常信号を出力する請求項１〜３のいずれか１項に記載のベルト型濃縮機を提供する。
【００１１】
（発明の効果）
請求項２記載の発明によれば、洗浄ノズルが閉塞を起こしても連続してベルト型濃縮機を運転することが可能である。しかし、機器本体の何らかの異常により、多量のＳＳ等が分離液に入り込んだ場合や洗浄ノズルに異物が固着して閉塞が解消されない場合等、短時間に頻回に洗浄液配管の切り替えを実施することとなる。この場合、一度運転を停止し、点検、処置を行う必要がある可能性が高い。したがって、本願発明では、ベルト型濃縮機に、洗浄ノズル閉塞による洗浄管の圧力上昇が、配管切り替えから極めて短時間、好適には３分から５分以内に起こった場合は、異常信号を出力し、使用者に注意を呼びかける機能を付与する。
【００１２】
＜請求項５記載の発明＞
請求項５記載の発明は、前記無端ベルト下方側に前記分離液および前記無端ベルトを洗浄した後の洗浄排液を受けるトラフが、始端側トラフと終端側トラフとに分割されて備えられており、前記分離液貯留手段は、始端側トラフである請求項１〜４のいずれか１項に記載のベルト型濃縮機を提供する。
【００１３】
（発明の効果）
従来必要とされていた機外の貯槽を使用せず、本体の被処理物搬送面の下側底部に位置するトラフを始端側、終端側に分割して形成するとともに、貯槽の代替として使用する。ＳＳを微量含む洗浄排液を終端側トラフにのみ排出させ、始端側トラフに貯留した分離液への洗浄排液の混入を防止する。
【００１４】
＜請求項６記載の発明＞
請求項６記載の発明は、複数のローラ間に巻き掛けられローラの回転方向に沿って走行させられる通水性の無端ベルトを備え、前記無端ベルトの搬送面の始端側に汚泥を供給し、終端側に移送しながら汚泥中の水分を分離液として前記無端ベルトを透過させることにより汚泥を濃縮するベルト型濃縮機の運転方法であって、終端側から始端側に戻る前記無端ベルトを洗浄液により洗浄する複数の洗浄手段にセルフクリーニング式スプレーノズルを使用したベルト型濃縮機を使用し、前記分離液を貯留するとともに、前記貯留した分離液を前記洗浄手段に前記洗浄液として供給し、各洗浄手段へ供給する洗浄液を切り替えることを特徴とするベルト型濃縮機の運転方法を提供する。
【発明の効果】
【００１５】
本発明により、分離液を洗浄液として再利用することによる節水効果を保持しながらも、ベルト洗浄にセルフクリーニング機能を有する洗浄手段を複数配置し、これらを切り替えてベルト洗浄とノズル内部の洗浄を交互に実施させることにより、連続運転しながら洗浄手段内の異物排出が可能なベルト型洗浄機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
本発明の実施の形態を図面に基づき以下詳細に説明する。図１は、本発明のベルト型濃縮機の一例の概略側面図を含むフローシートである。図１において、ベルト型濃縮器本体１の円筒状のドライブロール１５，テンションロール１６が、断面が前後面を向くように設置されており、無端状のベルト１３が、ロール１５，１６に巻き掛けられている。ドライブロール１５は、ベルト走行減速機４に連結されており、図１に示す矢印の方向にベルトの走行及び走行速度制御を可能としている。
【００１７】
ベルト１３としては、樹脂製（ポリエステル等）、あるいは金属製の線材により構成されたメッシュ構造の金属ベルト等、通常ベルト型濃縮機に使用されるものを使用できる。
【００１８】
下水処理過程における沈殿池等から得られた固形分を含む汚泥スラリーは、凝集剤を添加され、凝集混合槽２へ送られる。撹拌装置３により凝集剤と混合された汚泥スラリーは、流入シュート１４より、走行するベルト１３の始端付近に投入される。前記汚泥スラリーは、含まれる水分が重力作用により分離液としてベルト１３裏面側へ透過することでベルト１３上で濃縮されるとともに、もう一方の末端（終端）側まで搬送され、排出シュート１７へ排出される。前記濃縮効果を促進し、ＳＳの回収率を向上させるため、ベルト１３の上方に汚泥スラリーのすき返しと濾過面の更新を行い、濃縮を促進するためのシケイン、ベルトの終端付近に汚泥スラリーをベルトに軽く押しつけ、さらなる濃縮効果を上げるためのプレスストリップ、終端に配置されたドライブロール１５近傍にベルト上の残存汚泥を掻き取るためのスクレーパーを設置することが好ましい（図示せず）。
【００１９】
ベルト型濃縮機本体１のベルト下方の底部には、トラフが始端側トラフ６，終端側トラフ７に分割されて形成されている。ベルトを透過した分離液は、前記始端側トラフ６，終端側トラフ７に流下する。始端側トラフ６，終端側トラフ７を含む本体底部の幅及び長さは、ベルト幅、ベルト長（ロールに巻き掛けられた状態）よりいずれも大きく、分離液及び後述の洗浄排液をすべて受けることが可能である。
【００２０】
始端側トラフ６に貯留された分離液は、始端側トラフの下部から抜き出され、洗浄液ポンプ５により自動操作三方ボールバルブ１８、複式ストレーナー２３を通過して、終端側トラフ７の上方に設置された洗浄ノズル９，１０より、ベルト１３の洗浄液として供給される。洗浄ノズル９，１０は、ベルト１３の終端で折り返された下側ベルトを上下方向に挟むように終端側トラフの上方に２系統に分かれて配置される。洗浄ノズル９は、ベルト表側（下側）に配置され、上方向に洗浄液を噴出し、洗浄ノズル１０はベルト裏側（ベルト内空隙）に配置され、下方向に洗浄液を噴出する。噴出された洗浄液でベルト１３のメッシュ構造の隙間に入り込んだ微量の残存ＳＳを除くことにより、ベルト１３の目詰まりが解消され連続使用が可能となる。本実施形態では、ベルトの表裏両面に洗浄ノズル９，１０を配置しているが、いずれか一方のみに洗浄ノズル９，１０の両方をベルトの走行方向に並べて配置してもよい。また、本実施態様では洗浄ノズルは９，１０の２系統を使用しているが、３系統以上を使用してもよい。
【００２１】
洗浄ノズルは、セルフクリーニング式スプレーノズルを使用する。セルフクリーニング式スプレーノズルは、公知のものを使用可能である。図２にその一例を図示する。セルフクリーニング式スプレーノズルは、所定以上の圧力がかかった状態では、噴出口が狭小となり、結果的に液体を高圧で噴出可能であるが、圧力を低下させることにより、噴出口が大きく開き、通過する液体により異物が排出されることによって、ノズル内部が洗浄され、閉塞が除去される。
【００２２】
洗浄ノズル９，１０への洗浄液供給経路は、ぞれぞれ、自動操作ボールバルブ１１，１２で制御される。一方のバルブ１１が開かれ、ベルトへの洗浄液噴射を行う間、もう一方のバルブ１２は閉められている。また、逆にバルブ１２が開かれる間、バルブ１１は閉められる。前記２つのバルブの開閉を切り替える際に、バルブが閉められる側の洗浄ノズルにおいて、洗浄ノズルの圧力が低下し、それに伴いノズル内部のセルフクリーニングが行われるため、次に当該バルブが開かれる際には、ＳＳの閉塞や固着のない状態で、ベルト洗浄が直ちに開始される。したがって、ベルト洗浄を中断させることなく、同時に洗浄ノズル内部を洗浄することが可能となり、ベルト洗浄不良を起こすことなく、本体の連続運転が可能である。洗浄ノズルの切り替えは後述の圧力上昇がない場合、一定時間ごと、好適には６０分から１２０分ごとに実施される。
【００２３】
洗浄ノズルに閉塞があった場合、洗浄管の圧力が上昇する。洗浄管の圧力上昇がみられた場合には、圧力スイッチ２０からの信号により、開かれている方の自動操作ボールバルブ１１（または１２）が閉められるとともに、もう一方のバルブ１２（または１１）が開かれ、ベルト洗浄が継続される。通常、洗浄管の圧力は０．３〜０．８ＭＰａであるが、好適には２．０ＭＰａ以上となると、洗浄液配管の切り替えが行われるのが望ましい。
【００２４】
洗浄液供給経路へのＳＳの混入等、運転状態の異常を検知するため、洗浄液配管の切り替えから洗浄管の圧力が、所定の値（例：２．０ＭＰａ）を超えるまでの時間はタイマー等によりモニタリングされており、所定の時間より短い場合には、異常信号を出力する。出力信号は、警告ランプ、警告音等、通常使用されるものが使用可能である（図示なし）。前記所定の時間は、３分から５分以内に設定することが、より好ましい。所定時間より短い時間で洗浄液配管の切り替えが行われる場合には、多量のＳＳやスカム等が分離液に入り込むなど、機器本体の何らかの異常が考えられ、この場合、一度運転を停止し、点検、処置を行う。
【００２５】
始端側トラフ６に流下した分離液は、運転中は始端側トラフ６の排出配管が閉じられることにより貯留されるとともに、所定の貯留量を超えると隣接する終端側トラフ７へオーバーフローにより流出する。また、終端側トラフ７に流下した分離液は、始端側トラフ６よりオーバーフローにより流出した分離液とともに、終端側トラフ７の底部に設けられた排出ノズルより機外に排出される。
【００２６】
始端側トラフ６に貯留された分離液のうち洗浄手段に供給した残りの分離液は、終端側トラフ７へトラフ幅方向全面からオーバーフローさせることにより流出し、ベルト洗浄の排水とともに終端側トラフ７の排出ノズルより機外へ排出される。始端側トラフ６に貯留された分離液にはスカムの発生が散見されるが、スカムには浮上性があり前記オーバーフローにより、前記スカムのほとんどが終端側トラフ７へ流出し、排出される。ベルト洗浄液は、ベルトの隙間に入り込んだＳＳを確実に除くため、高い水圧で噴出される。そのため、洗浄排液はＳＳを含んだ状態でかなり広範に終端側トラフ底面や壁面に分散し、該底面や壁面へのＳＳの付着を引き起こすが、終端側トラフ７は、前記分離液のオーバーフローにより常時洗い流されており、終端側トラフ７の底面や壁面へのＳＳの堆積を防ぐことができる。
【００２７】
前記始端側トラフ６からの洗浄液供給経路の他に、機外から（例えば処理水など）の洗浄液供給経路も設けられている。前記始端側トラフ６底部付近に液量レベルスイッチ２１が配置され、始端側トラフ６の分離液残量の検出信号に基づき、自動操作三方ボールバルブ１８の切り替えを行い、前記２系統の洗浄液供給経路を適時選択、変更することにより、洗浄液を安定的に供給する。すなわち、始端側トラフ６の分離液量が十分であれば始端側トラフからの洗浄液供給経路による洗浄液供給を行い、逆に不足している場合は、機外からの洗浄液供給経路による洗浄液供給を行うことができ、連続した洗浄が可能となっている。さらに、貯留されている分離液量の低下による、洗浄液側へのスカムの流出を未然に防ぐことができ、洗浄ノズルの閉塞を防止することが可能となっている。液量レベルスイッチ２１とバルブ１８の設定によっては、前述の分離液オーバーフローによる終端側トラフの洗浄工程のため、一定時間、機外からの洗浄液供給に切り替えることも可能である。
【００２８】
実際の運転において、始端側トラフに貯留された分離液のうち洗浄液として再利用されるのは全体の１割程度であり、ほとんどの分離液は終端側トラフにオーバーフローし、終端側トラフから機外に排出される。そのため、前記機外からの洗浄液供給経路を使用するのは、運転開始時や終了時など汚泥供給を停止した状態でのベルトの洗浄運転の場合、あるいは通常の運転が困難な状況等に限られると想定される。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
本発明は、下水汚泥処理など、大量のスラリー状物質の固液分離を必要とする分野において、従来の機能を保持しつつ、より製造コスト、稼働コストが低く、スペースをとらない濃縮機を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明に係るベルト型濃縮機及び配管フローシートである。
【図２】セルフクリーニング式スプレーノズルの一例の断面図である。（Ａ）通常洗浄時（昇圧時）（Ｂ）異物洗浄時。
【符号の説明】
【００３１】
１…ベルト濃縮機本体
２…凝集混合槽
３…撹拌装置
４…ベルト走行減速機
５…ベルト洗浄液ポンプ
６…始端側トラフ
７…終端側トラフ
８…分離液
９，１０…洗浄ノズル
１１，１２…自動操作ボールバルブ
１３…ベルト
１４…流入シュート
１５…ドライブロール
１６…テンションロール
１７…排出シュート
１８…自動操作三方ボールバルブ
１９…圧力計
２０…圧力スイッチ
２１…レベルスイッチ
２２…流量計
２３…複式ストレーナー
２４…洗浄液
２５…スプリング
【技術分野】
【０００１】
本発明は、無端状の濾布を有する、分離液、洗浄排液を洗浄液として再利用することが可能な節水型のベルト型濃縮機であって、セルフクリーニング機能を有する複数の洗浄手段を用いて、ベルト洗浄と洗浄手段のセルフクリーニングを交互に行うベルト型濃縮機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
汚泥等の被処理物を処理する際に、汚泥固形分（ＳＳ）を水分から分離し、汚泥スラリーを濃縮するための装置の一つとして、ベルト型濃縮機が知られている。同様のベルト型濃縮機が特許文献１に開示されている。当該特許文献１に開示されているベルト型濃縮機は、フィルター状の無端ベルトに載せられたスラリーから無端ベルトを透過して得られる分離液を受ける貯槽と、これとは別に、無端ベルトの目詰まりを防ぐために、洗浄ノズルから噴出した洗浄液で無端ベルトを洗浄した後の洗浄排液を受ける貯槽を有する。これら２つの槽の貯留液は同一のライン内で混合され、一部は洗浄液として再利用され、残りは機外に排出される構成である。
本発明によって、分離液と洗浄排液を洗浄液として再利用することが可能であるが、洗浄排液にわずかながらＳＳが残留するため、これを洗浄液とすることで洗浄ノズルの閉塞等を引き起こす恐れがある。
特許文献２は、特許文献１に示される問題を解決すべく、分離液と洗浄排液を分割して集液した後、混合せずに前者は洗浄液として再利用、または機外に排出し、後者は処理前の汚泥スラリーに混入し、再度濃縮処理を行うベルト型濃縮機を開示している。
洗浄ノズルに閉塞が起きてしまった場合、ベルトに未洗浄領域が生じ、脱水性能を低下させる。特許文献３に開示されているセルフクリーニングノズルのように、ノズル自体に異物による閉塞が発生した場合、圧力調整により異物を洗い流し、閉塞を解消する機能を有するノズルが知られており、その使用により、閉塞が発生しても、一旦洗浄液の供給を停止し、再度洗浄水を供給する過程で閉塞が解消される。
【特許文献１】特開昭５５−２７０４７号公報
【特許文献２】特開２００８−７３６７０号公報
【特許文献３】実開昭５３−１５６９１７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
特許文献２に記載の従来技術では、貯留した分離液を洗浄液として再利用しているが、分離液へのスカムの混入を防ぐ手段、及びスカムを除去する手段はなく、これを洗浄液として再利用することにより、洗浄ノズルの閉塞が頻発する恐れがあった。また、分離液、洗浄排液を機外の貯槽に貯留させるため、貯槽が大きなスペースを必要とする。
また、特許文献３に開示されるようなセルフクリーニングノズルを使用しても、ベルトの洗浄不良等、目視による閉塞確認の後、閉塞を解消するため手動弁を切り替えることが必要であるため、一度ベルト洗浄を停止するか、ベルト濃縮機自体の運転を停止しなくてはならず、作業効率が落ちる。さらに、洗浄ノズルが閉塞した場合、上記の操作を行わず長時間放置すると、閉塞下異物が固着してしまい、一度運転を停止して、ノズルを取り外しての清掃作業を実施しなければならないという問題もあった。
以上のように、ベルト濃縮機において、分離液を洗浄液として再利用する場合、残留したＳＳやスカムの混入による洗浄ノズルの閉塞、及び閉塞を除去するための運転中断が、ベルト型濃縮機の運転効率を低下させる要因となっていた。本発明の目的は、分離液として再利用される洗浄液へのＳＳ及びスカムの混入を低減させ、かつ洗浄ノズル内部の洗浄を行いながらも、連続運転が可能なベルト型濃縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
＜請求項１記載の発明＞
請求項１記載の発明は、複数のローラ間に巻き掛けられローラの回転方向に沿って走行させられる通水性の無端ベルトを備え、前記無端ベルトの搬送面の始端側に汚泥を供給し、終端側に移送しながら汚泥中の水分を分離液として前記無端ベルトを透過させることにより汚泥を濃縮するベルト型濃縮機であって、前記分離液を貯留する分離液貯留手段と、終端側から始端側へ戻る前記無端ベルトを洗浄液により洗浄する複数の洗浄手段と、前記貯留した分離液を前記洗浄手段に前記洗浄液として供給する洗浄液供給手段とを有し、前記洗浄手段は、セルフクリーニング式スプレーノズルを使用するとともに、各洗浄手段へ供給する洗浄液を切り替える洗浄切替手段を設けたことを特徴とするベルト型濃縮機を提供する。
【０００５】
（発明の効果）
前記ベルト型濃縮機においては、分離液を洗浄液として再利用するため、分離液を貯留する貯留手段を備える。
前記洗浄液は、被処理物から得られた分離液であるため、機外から供給する清浄な洗浄液に比べ、ＳＳ、スカム等で洗浄手段が閉塞を起こす可能性が高い。そこで、洗浄手段を複数配置し、交互に運転することにより、一つに閉塞が生じても、他の使用が可能であり、連続運転が可能となる。
さらに、前記洗浄手段として、セルフクリーニング式スプレーノズル（図２に例示）を複数使用しており、これらを切り替えて使用することにより、ベルト洗浄とノズル内部の洗浄を交互に行い、連続運転が実施可能である。
【０００６】
＜請求項２記載の発明＞
請求項２記載の発明は、前記洗浄切替手段が、洗浄液の圧力が所定値を上回った場合、他の洗浄手段に切り替える請求項１記載のベルト型濃縮機を提供する。
【０００７】
（発明の効果）
洗浄手段に閉塞が生じた場合、洗浄液供給手段（洗浄管）の圧力が上昇する。この圧力上昇を検知し、圧力が上昇した洗浄管の自動制御弁を閉じ、他の洗浄管の自動制御弁を開くことにより、洗浄液配管の切り替えが可能であり、洗浄ノズル閉塞によるベルトの洗浄不良を防止することが可能である。
【０００８】
＜請求項３記載の発明＞
請求項３記載の発明は、前記洗浄切替手段が、洗浄手段が切り替えられずに所定時間経過した場合に、他方の洗浄手段に切り替える請求項１または２に記載のベルト型濃縮機を提供する。
【０００９】
（発明の効果）
複数の洗浄手段において、洗浄ノズルのセルフクリーニングを一定時間、好適には６０分から１２０分ごとに交互に実施することにより、洗浄ノズル閉塞の防止が可能である。
【００１０】
＜請求項４記載の発明＞
請求項４記載の発明は、前記洗浄切替手段が、洗浄液の圧力が所定値を上回った場合、他方の洗浄手段に切り替えるとともに、次回の切り替えまでの時間が所定時間を下回った場合に異常信号を出力する請求項１〜３のいずれか１項に記載のベルト型濃縮機を提供する。
【００１１】
（発明の効果）
請求項２記載の発明によれば、洗浄ノズルが閉塞を起こしても連続してベルト型濃縮機を運転することが可能である。しかし、機器本体の何らかの異常により、多量のＳＳ等が分離液に入り込んだ場合や洗浄ノズルに異物が固着して閉塞が解消されない場合等、短時間に頻回に洗浄液配管の切り替えを実施することとなる。この場合、一度運転を停止し、点検、処置を行う必要がある可能性が高い。したがって、本願発明では、ベルト型濃縮機に、洗浄ノズル閉塞による洗浄管の圧力上昇が、配管切り替えから極めて短時間、好適には３分から５分以内に起こった場合は、異常信号を出力し、使用者に注意を呼びかける機能を付与する。
【００１２】
＜請求項５記載の発明＞
請求項５記載の発明は、前記無端ベルト下方側に前記分離液および前記無端ベルトを洗浄した後の洗浄排液を受けるトラフが、始端側トラフと終端側トラフとに分割されて備えられており、前記分離液貯留手段は、始端側トラフである請求項１〜４のいずれか１項に記載のベルト型濃縮機を提供する。
【００１３】
（発明の効果）
従来必要とされていた機外の貯槽を使用せず、本体の被処理物搬送面の下側底部に位置するトラフを始端側、終端側に分割して形成するとともに、貯槽の代替として使用する。ＳＳを微量含む洗浄排液を終端側トラフにのみ排出させ、始端側トラフに貯留した分離液への洗浄排液の混入を防止する。
【００１４】
＜請求項６記載の発明＞
請求項６記載の発明は、複数のローラ間に巻き掛けられローラの回転方向に沿って走行させられる通水性の無端ベルトを備え、前記無端ベルトの搬送面の始端側に汚泥を供給し、終端側に移送しながら汚泥中の水分を分離液として前記無端ベルトを透過させることにより汚泥を濃縮するベルト型濃縮機の運転方法であって、終端側から始端側に戻る前記無端ベルトを洗浄液により洗浄する複数の洗浄手段にセルフクリーニング式スプレーノズルを使用したベルト型濃縮機を使用し、前記分離液を貯留するとともに、前記貯留した分離液を前記洗浄手段に前記洗浄液として供給し、各洗浄手段へ供給する洗浄液を切り替えることを特徴とするベルト型濃縮機の運転方法を提供する。
【発明の効果】
【００１５】
本発明により、分離液を洗浄液として再利用することによる節水効果を保持しながらも、ベルト洗浄にセルフクリーニング機能を有する洗浄手段を複数配置し、これらを切り替えてベルト洗浄とノズル内部の洗浄を交互に実施させることにより、連続運転しながら洗浄手段内の異物排出が可能なベルト型洗浄機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
本発明の実施の形態を図面に基づき以下詳細に説明する。図１は、本発明のベルト型濃縮機の一例の概略側面図を含むフローシートである。図１において、ベルト型濃縮器本体１の円筒状のドライブロール１５，テンションロール１６が、断面が前後面を向くように設置されており、無端状のベルト１３が、ロール１５，１６に巻き掛けられている。ドライブロール１５は、ベルト走行減速機４に連結されており、図１に示す矢印の方向にベルトの走行及び走行速度制御を可能としている。
【００１７】
ベルト１３としては、樹脂製（ポリエステル等）、あるいは金属製の線材により構成されたメッシュ構造の金属ベルト等、通常ベルト型濃縮機に使用されるものを使用できる。
【００１８】
下水処理過程における沈殿池等から得られた固形分を含む汚泥スラリーは、凝集剤を添加され、凝集混合槽２へ送られる。撹拌装置３により凝集剤と混合された汚泥スラリーは、流入シュート１４より、走行するベルト１３の始端付近に投入される。前記汚泥スラリーは、含まれる水分が重力作用により分離液としてベルト１３裏面側へ透過することでベルト１３上で濃縮されるとともに、もう一方の末端（終端）側まで搬送され、排出シュート１７へ排出される。前記濃縮効果を促進し、ＳＳの回収率を向上させるため、ベルト１３の上方に汚泥スラリーのすき返しと濾過面の更新を行い、濃縮を促進するためのシケイン、ベルトの終端付近に汚泥スラリーをベルトに軽く押しつけ、さらなる濃縮効果を上げるためのプレスストリップ、終端に配置されたドライブロール１５近傍にベルト上の残存汚泥を掻き取るためのスクレーパーを設置することが好ましい（図示せず）。
【００１９】
ベルト型濃縮機本体１のベルト下方の底部には、トラフが始端側トラフ６，終端側トラフ７に分割されて形成されている。ベルトを透過した分離液は、前記始端側トラフ６，終端側トラフ７に流下する。始端側トラフ６，終端側トラフ７を含む本体底部の幅及び長さは、ベルト幅、ベルト長（ロールに巻き掛けられた状態）よりいずれも大きく、分離液及び後述の洗浄排液をすべて受けることが可能である。
【００２０】
始端側トラフ６に貯留された分離液は、始端側トラフの下部から抜き出され、洗浄液ポンプ５により自動操作三方ボールバルブ１８、複式ストレーナー２３を通過して、終端側トラフ７の上方に設置された洗浄ノズル９，１０より、ベルト１３の洗浄液として供給される。洗浄ノズル９，１０は、ベルト１３の終端で折り返された下側ベルトを上下方向に挟むように終端側トラフの上方に２系統に分かれて配置される。洗浄ノズル９は、ベルト表側（下側）に配置され、上方向に洗浄液を噴出し、洗浄ノズル１０はベルト裏側（ベルト内空隙）に配置され、下方向に洗浄液を噴出する。噴出された洗浄液でベルト１３のメッシュ構造の隙間に入り込んだ微量の残存ＳＳを除くことにより、ベルト１３の目詰まりが解消され連続使用が可能となる。本実施形態では、ベルトの表裏両面に洗浄ノズル９，１０を配置しているが、いずれか一方のみに洗浄ノズル９，１０の両方をベルトの走行方向に並べて配置してもよい。また、本実施態様では洗浄ノズルは９，１０の２系統を使用しているが、３系統以上を使用してもよい。
【００２１】
洗浄ノズルは、セルフクリーニング式スプレーノズルを使用する。セルフクリーニング式スプレーノズルは、公知のものを使用可能である。図２にその一例を図示する。セルフクリーニング式スプレーノズルは、所定以上の圧力がかかった状態では、噴出口が狭小となり、結果的に液体を高圧で噴出可能であるが、圧力を低下させることにより、噴出口が大きく開き、通過する液体により異物が排出されることによって、ノズル内部が洗浄され、閉塞が除去される。
【００２２】
洗浄ノズル９，１０への洗浄液供給経路は、ぞれぞれ、自動操作ボールバルブ１１，１２で制御される。一方のバルブ１１が開かれ、ベルトへの洗浄液噴射を行う間、もう一方のバルブ１２は閉められている。また、逆にバルブ１２が開かれる間、バルブ１１は閉められる。前記２つのバルブの開閉を切り替える際に、バルブが閉められる側の洗浄ノズルにおいて、洗浄ノズルの圧力が低下し、それに伴いノズル内部のセルフクリーニングが行われるため、次に当該バルブが開かれる際には、ＳＳの閉塞や固着のない状態で、ベルト洗浄が直ちに開始される。したがって、ベルト洗浄を中断させることなく、同時に洗浄ノズル内部を洗浄することが可能となり、ベルト洗浄不良を起こすことなく、本体の連続運転が可能である。洗浄ノズルの切り替えは後述の圧力上昇がない場合、一定時間ごと、好適には６０分から１２０分ごとに実施される。
【００２３】
洗浄ノズルに閉塞があった場合、洗浄管の圧力が上昇する。洗浄管の圧力上昇がみられた場合には、圧力スイッチ２０からの信号により、開かれている方の自動操作ボールバルブ１１（または１２）が閉められるとともに、もう一方のバルブ１２（または１１）が開かれ、ベルト洗浄が継続される。通常、洗浄管の圧力は０．３〜０．８ＭＰａであるが、好適には２．０ＭＰａ以上となると、洗浄液配管の切り替えが行われるのが望ましい。
【００２４】
洗浄液供給経路へのＳＳの混入等、運転状態の異常を検知するため、洗浄液配管の切り替えから洗浄管の圧力が、所定の値（例：２．０ＭＰａ）を超えるまでの時間はタイマー等によりモニタリングされており、所定の時間より短い場合には、異常信号を出力する。出力信号は、警告ランプ、警告音等、通常使用されるものが使用可能である（図示なし）。前記所定の時間は、３分から５分以内に設定することが、より好ましい。所定時間より短い時間で洗浄液配管の切り替えが行われる場合には、多量のＳＳやスカム等が分離液に入り込むなど、機器本体の何らかの異常が考えられ、この場合、一度運転を停止し、点検、処置を行う。
【００２５】
始端側トラフ６に流下した分離液は、運転中は始端側トラフ６の排出配管が閉じられることにより貯留されるとともに、所定の貯留量を超えると隣接する終端側トラフ７へオーバーフローにより流出する。また、終端側トラフ７に流下した分離液は、始端側トラフ６よりオーバーフローにより流出した分離液とともに、終端側トラフ７の底部に設けられた排出ノズルより機外に排出される。
【００２６】
始端側トラフ６に貯留された分離液のうち洗浄手段に供給した残りの分離液は、終端側トラフ７へトラフ幅方向全面からオーバーフローさせることにより流出し、ベルト洗浄の排水とともに終端側トラフ７の排出ノズルより機外へ排出される。始端側トラフ６に貯留された分離液にはスカムの発生が散見されるが、スカムには浮上性があり前記オーバーフローにより、前記スカムのほとんどが終端側トラフ７へ流出し、排出される。ベルト洗浄液は、ベルトの隙間に入り込んだＳＳを確実に除くため、高い水圧で噴出される。そのため、洗浄排液はＳＳを含んだ状態でかなり広範に終端側トラフ底面や壁面に分散し、該底面や壁面へのＳＳの付着を引き起こすが、終端側トラフ７は、前記分離液のオーバーフローにより常時洗い流されており、終端側トラフ７の底面や壁面へのＳＳの堆積を防ぐことができる。
【００２７】
前記始端側トラフ６からの洗浄液供給経路の他に、機外から（例えば処理水など）の洗浄液供給経路も設けられている。前記始端側トラフ６底部付近に液量レベルスイッチ２１が配置され、始端側トラフ６の分離液残量の検出信号に基づき、自動操作三方ボールバルブ１８の切り替えを行い、前記２系統の洗浄液供給経路を適時選択、変更することにより、洗浄液を安定的に供給する。すなわち、始端側トラフ６の分離液量が十分であれば始端側トラフからの洗浄液供給経路による洗浄液供給を行い、逆に不足している場合は、機外からの洗浄液供給経路による洗浄液供給を行うことができ、連続した洗浄が可能となっている。さらに、貯留されている分離液量の低下による、洗浄液側へのスカムの流出を未然に防ぐことができ、洗浄ノズルの閉塞を防止することが可能となっている。液量レベルスイッチ２１とバルブ１８の設定によっては、前述の分離液オーバーフローによる終端側トラフの洗浄工程のため、一定時間、機外からの洗浄液供給に切り替えることも可能である。
【００２８】
実際の運転において、始端側トラフに貯留された分離液のうち洗浄液として再利用されるのは全体の１割程度であり、ほとんどの分離液は終端側トラフにオーバーフローし、終端側トラフから機外に排出される。そのため、前記機外からの洗浄液供給経路を使用するのは、運転開始時や終了時など汚泥供給を停止した状態でのベルトの洗浄運転の場合、あるいは通常の運転が困難な状況等に限られると想定される。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
本発明は、下水汚泥処理など、大量のスラリー状物質の固液分離を必要とする分野において、従来の機能を保持しつつ、より製造コスト、稼働コストが低く、スペースをとらない濃縮機を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明に係るベルト型濃縮機及び配管フローシートである。
【図２】セルフクリーニング式スプレーノズルの一例の断面図である。（Ａ）通常洗浄時（昇圧時）（Ｂ）異物洗浄時。
【符号の説明】
【００３１】
１…ベルト濃縮機本体
２…凝集混合槽
３…撹拌装置
４…ベルト走行減速機
５…ベルト洗浄液ポンプ
６…始端側トラフ
７…終端側トラフ
８…分離液
９，１０…洗浄ノズル
１１，１２…自動操作ボールバルブ
１３…ベルト
１４…流入シュート
１５…ドライブロール
１６…テンションロール
１７…排出シュート
１８…自動操作三方ボールバルブ
１９…圧力計
２０…圧力スイッチ
２１…レベルスイッチ
２２…流量計
２３…複式ストレーナー
２４…洗浄液
２５…スプリング
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数のローラ間に巻き掛けられローラの回転方向に沿って走行させられる通水性の無端ベルトを備え、
前記無端ベルトの搬送面の始端側に汚泥を供給し、終端側に移送しながら汚泥中の水分を分離液として前記無端ベルトを透過させることにより汚泥を濃縮するベルト型濃縮機であって、
前記分離液を貯留する分離液貯留手段と、
終端側から始端側へ戻る前記無端ベルトを洗浄液により洗浄する複数の洗浄手段と、
前記貯留した分離液を前記洗浄手段に前記洗浄液として供給する洗浄液供給手段とを有し、
前記洗浄手段は、セルフクリーニング式スプレーノズルを使用するとともに、
各洗浄手段へ供給する洗浄液を切り替える洗浄切替手段を設けたことを特徴とするベルト型濃縮機。
【請求項２】
前記洗浄切替手段が、洗浄液の圧力が所定値を上回った場合、他方の洗浄手段に切り替える請求項１記載のベルト型濃縮機。
【請求項３】
前記洗浄切替手段が、洗浄手段が切り替えられずに所定時間経過した場合に、他方の洗浄手段に切り替える請求項１または２に記載のベルト型濃縮機。
【請求項４】
前記洗浄切替手段が、洗浄液の圧力が所定値を上回った場合、他方の洗浄手段に切り替えるとともに、次回の切り替えまでの時間が所定時間を下回った場合に異常信号を出力する請求項１〜３のいずれか１項に記載のベルト型濃縮機。
【請求項５】
前記無端ベルト下方側に前記分離液および前記無端ベルトを洗浄した後の洗浄排液を受けるトラフが、始端側トラフと終端側トラフとに分割されて備えられており、前記分離液貯留手段は、始端側トラフである請求項１〜４のいずれか１項に記載のベルト型濃縮機。
【請求項６】
複数のローラ間に巻き掛けられローラの回転方向に沿って走行させられる通水性の無端ベルトを備え、
前記無端ベルトの搬送面の始端側に汚泥を供給し、終端側に移送しながら汚泥中の水分を分離液として前記無端ベルトを透過させることにより汚泥を濃縮するベルト型濃縮機の運転方法であって、
終端側から始端側に戻る前記無端ベルトを洗浄液により洗浄する複数の洗浄手段にセルフクリーニング式スプレーノズルを使用したベルト型濃縮機を使用し、
前記分離液を貯留するとともに、前記貯留した分離液を前記洗浄手段に前記洗浄液として供給し、
各洗浄手段へ供給する洗浄液を切り替えることを特徴とするベルト型濃縮機の運転方法。
【請求項１】
複数のローラ間に巻き掛けられローラの回転方向に沿って走行させられる通水性の無端ベルトを備え、
前記無端ベルトの搬送面の始端側に汚泥を供給し、終端側に移送しながら汚泥中の水分を分離液として前記無端ベルトを透過させることにより汚泥を濃縮するベルト型濃縮機であって、
前記分離液を貯留する分離液貯留手段と、
終端側から始端側へ戻る前記無端ベルトを洗浄液により洗浄する複数の洗浄手段と、
前記貯留した分離液を前記洗浄手段に前記洗浄液として供給する洗浄液供給手段とを有し、
前記洗浄手段は、セルフクリーニング式スプレーノズルを使用するとともに、
各洗浄手段へ供給する洗浄液を切り替える洗浄切替手段を設けたことを特徴とするベルト型濃縮機。
【請求項２】
前記洗浄切替手段が、洗浄液の圧力が所定値を上回った場合、他方の洗浄手段に切り替える請求項１記載のベルト型濃縮機。
【請求項３】
前記洗浄切替手段が、洗浄手段が切り替えられずに所定時間経過した場合に、他方の洗浄手段に切り替える請求項１または２に記載のベルト型濃縮機。
【請求項４】
前記洗浄切替手段が、洗浄液の圧力が所定値を上回った場合、他方の洗浄手段に切り替えるとともに、次回の切り替えまでの時間が所定時間を下回った場合に異常信号を出力する請求項１〜３のいずれか１項に記載のベルト型濃縮機。
【請求項５】
前記無端ベルト下方側に前記分離液および前記無端ベルトを洗浄した後の洗浄排液を受けるトラフが、始端側トラフと終端側トラフとに分割されて備えられており、前記分離液貯留手段は、始端側トラフである請求項１〜４のいずれか１項に記載のベルト型濃縮機。
【請求項６】
複数のローラ間に巻き掛けられローラの回転方向に沿って走行させられる通水性の無端ベルトを備え、
前記無端ベルトの搬送面の始端側に汚泥を供給し、終端側に移送しながら汚泥中の水分を分離液として前記無端ベルトを透過させることにより汚泥を濃縮するベルト型濃縮機の運転方法であって、
終端側から始端側に戻る前記無端ベルトを洗浄液により洗浄する複数の洗浄手段にセルフクリーニング式スプレーノズルを使用したベルト型濃縮機を使用し、
前記分離液を貯留するとともに、前記貯留した分離液を前記洗浄手段に前記洗浄液として供給し、
各洗浄手段へ供給する洗浄液を切り替えることを特徴とするベルト型濃縮機の運転方法。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２０１０−１４２７４０（Ｐ２０１０−１４２７４０Ａ）
【公開日】平成２２年７月１日（２０１０．７．１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−３２３４５３（Ｐ２００８−３２３４５３）
【出願日】平成２０年１２月１９日（２００８．１２．１９）
【出願人】（０００１６５２７３）月島機械株式会社 (253)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年７月１日（２０１０．７．１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１２月１９日（２００８．１２．１９）
【出願人】（０００１６５２７３）月島機械株式会社 (253)
【Ｆターム（参考）】
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