説明

ベルト式移載装置

【課題】比較的脆弱な食品生地などを、一方のコンベヤから別のコンベヤに安全に移載することができるベルト式移載装置を提供する。
【解決手段】被搬送物を搬入する第1コンベヤ1から第1コンベヤ1の下側に配置された第2コンベヤ2に被搬送物を移載するベルト式移載装置3である。第1コンベヤ1の終端部の下側に、移動コンベヤユニット10が第1コンベヤ1の搬送方向と同じ方向に移動可能に配設され、移動コンベヤユニット10には、ベルト22を始端側の始端ロール23と終端側の終端ロール24との間にかけた傾動コンベヤユニット20が始端ロール23の軸を中心に終端ロール24を上下に揺動可能に形成される。始端ローラ23に隣接し且つ平行に移動軸14が回転可能に軸支される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦列配置されたコンベヤから別のコンベヤに移載する際に使用するベルト式移載装置に関し、特に比較的柔らかく脆弱な食品の生地素材などを移載する際に好適なベルト式移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、クッキーなどの食品の生地素材を、トンネル窯に連続して搬入し、大量の食品を焼成するトンネル式焼成装置では、焼き板コンベヤがトンネル窯内を貫通して配置され、そのコンベヤの焼き板の上に、多数の生地素材を所定の正確な間隔をおいて載置し、トンネル窯内を移動しながら、生地素材を焼成する。このとき、食品の生地素材は、搬入用のベルトコンベヤ上に、所定の間隔をおいて一旦載置され、これらの生地素材をベルトコンベヤから焼き板コンベヤに載せ替えることになるが、この際に使用する移載装置の開発が種々試みられている。
【0003】
ところで、2列に縦列配置されたコンベヤ間で、物品を載せ替えるベルト式の移載装置としては、従来、移載用ベルトコンベヤを傾動させる構造のベルト式移載装置が、下記特許文献1において提案されている。
【特許文献1】特開2002−321818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この移載装置は、移載用ベルトコンベヤを用いて物品を、2列に縦列配置されたコンベヤ間で移送するものであり、この移載用ベルトコンベヤは、搬入用コンベヤから物品を引き込む際、移載用ベルトコンベヤを下向き傾動させて引込み、送出時には、搬出用コンベヤに対し、移載用ベルトコンベヤを下り傾斜させて物品を移載するように動作する。
【0005】
しかし、従来のこの種の移載用ベルトコンベヤは、ダンボール箱などに収納された物品を移載する際には使用可能であるものの、物品が比較的柔らかく脆弱な食品の生地素材の場合、移載する際に、物品を引き込む或いは送り出す際、物品を変形させ或いは落下させる虞があり、搬入用コンベヤから物品を安全に引き込み、或いは移載用ベルトコンベヤから搬出用コンベヤに物品を安全に移載することが難しいという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、比較的脆弱な食品生地などを、一方のコンベヤから別のコンベヤに安全に移載することができるベルト式移載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のベルト式移載装置は、被搬送物を搬入する第1コンベヤから該第1コンベヤの下側に配置された第2コンベヤに該被搬送物を移載するベルト式移載装置において、該第1コンベヤの終端部の下側に、移動コンベヤユニットが該第1コンベヤの搬送方向と同じ方向に移動可能に配設され、該移動コンベヤユニットには、ベルトを始端側の始端ロールと終端側の終端ロールとの間にかけた傾動コンベヤユニットが該始端ロールの軸を中心に該終端ロールを上下に揺動可能に形成され、該始端ローラに隣接し且つ平行に移動軸が回転可能に軸支され、該始端ローラの軸と該移動軸が1対の歯車を介して連係され、該始端ローラの軸と同軸上に傾動軸が設けられ、該傾動軸と移動軸の両端部が軸受を介して移動フレームに支持されると共に、該終端ロールの軸と該始端ロールの軸が軸受を介して傾動フレームに支持され、移動フレームは搬送方向に移動可能に固定部上に支持され、固定部上にはラックが搬送方向に向けて固定され、該移動軸の端部に一方向にのみ該移動軸と共に回転する一方向回動歯車が取着され、該一方向回動歯車が該ラックに噛合し、該傾動コンベヤユニットのベルトを停止させた状態で移動コンベヤユニットを搬送方向に移動可能とし、該移動コンベヤユニットを搬送方向に移動させる移動駆動機構が設けられると共に、該傾動コンベヤユニットの先端部を下側に傾動させる傾動駆動機構が設けられ、該傾動コンベヤユニットの先端を下側に傾動させた状態で、反搬送方向に該移動コンベヤユニットを移動させたとき、該ラックと噛合する一方向回動歯車の回転によって傾動コンベヤユニットのベルトの上搬送路が搬送方向に移動するように構成される。
【0008】
ここで、上記傾動コンベヤユニットは、移動フレームから、傾動軸の軸受の部分より着脱可能に構成することができる。
【0009】
また、上記移動駆動機構は、エアーシリンダを固定部上に略水平に取り付け、そのピストンロッドの先端を上記移動フレームに連結して構成することができ、上記傾動駆動機構は、エアーシリンダを該移動フレーム上に取り付け、そのピストンロッドの先端を、上記傾動フレーム上に突設された傾動アームに係合させて構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成のベルト式移載装置によれば、第1コンベヤから食品を本移載装置に搬入し、第1コンベヤの終端部に食品生地など被搬送物が達したとき、該第1コンベヤと同速度で移動コンベヤユニットを搬送方向に移動させ、第1コンベヤの真下位置に傾動コンベヤユニットの上搬送部を押し出すように動作する。これより、第1コンベヤの終端部を離れた被搬送物が安全に傾動コンベヤユニットのベルト上に載せ換えられる。
【0011】
この後、移動コンベヤユニットが前進端に達したとき、傾動駆動機構が動作して該傾動コンベヤユニットがその先端部を下側に傾動させて、下側に配置された第2コンベヤ上に接近させる。この状態で、移動駆動機構が動作して、移動コンベヤユニットを反搬送方向に引き戻すように移動させる。このとき、ラックとそれと噛合する一方向回動歯車の動作により、移動軸が回転すると共に、その回転が1対の歯車を介して傾動コンベヤユニットの始端ロールに伝達され、始端ロールにかけられたベルトの上搬送部が搬送方向に移動する。
【0012】
これにより、傾動コンベヤユニットが傾動した状態で反搬送方向に移動しながらベルトの上搬送部が搬送方向に移動することとなり、ベルト上の食品がベルトから離れて、下の第2コンベヤ上に載置される。
【0013】
このように、第1コンベヤにより搬送された食品生地のような脆弱な被搬送物を、ベルト式移載装置により下方の第2コンベヤ上に安全に移載することができる。また、本移載装置は、移動機構と傾動機構にエアーシリンダを使用するのみで、モータなどの電気回転駆動装置を使用しない構造とすることができ、構造が簡単となり、モータの制御機器などの高価な電気部品を使用せずに、製造コストを低減することができる。また、傾動コンベヤユニットを、移動フレームから、傾動軸の軸受の部分より着脱可能に構成すれば、被搬送物が載置されるベルトを容易に取り外して、簡単に洗浄することができ、食品生地などの被搬送物を移載する装置として衛生的に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はベルト式移載装置3の正面図を示し、図2は移動コンベヤユニット10を搬送方向に移動させた状態の拡大正面図を示し、図3はその平面図を示している。このベルト式移載装置3は、被搬送物としての食品生地(洋菓子生地W)を搬入する第1コンベヤ1から、第1コンベヤ1の下側に配置された第2コンベヤ2に洋菓子生地Wを移載するための装置であり、第1コンベヤ1の終端部の下側に、移動コンベヤユニット10が第1コンベヤ1の搬送方向と同じ方向に移動可能に配設され、移動コンベヤユニット10には、ベルト(コンベヤベルト)22を始端側の始端ロール23と終端側の終端ロール24との間にかけた傾動コンベヤユニット20が始端ロール23の軸を中心に終端ロール24を上下に揺動可能に形成されている。
【0015】
第1コンベヤ1は、焼成前の多数の洋菓子生地Wを整列した状態で搬送するベルトコンベヤであり、始端部から中央部にかけて水平な搬送部を有しており、その終端部が下方に位置するベルト式移載装置3に向けて傾斜した構造に形成されている。第2コンベヤ2は、第1コンベヤ1、ベルト式移載装置3から送られた洋菓子生地Wを、図示しないトンネル式オーブンに搬入して焼成する焼成用コンベヤであり、多数の焼き板を無端状に連結し、各焼き板の上に多数の洋菓子生地Wを載置して搬送するものである。
【0016】
ベルト式移載装置3は、固定部4となる固定枠上の両側に2対の支柱5a,5bが立設され、図2の左側の1対の支柱5a,5a間にビーム8が水平に固定される。さらに、それらの1対の支柱5a,5aと右側の1対の支柱5b,5b間に、1対のガイドロッド9が水平に且つ搬送方向に沿って取り付けられている。ビーム8の中央部には、前後動用のエアーシリンダ6が水平に固定され、そのピストンロッド6aの先端は搬送方向に向けられ、後述の移動コンベヤユニット10のビーム13に連結される。
【0017】
1対のガイドロッド9は、図3の平面図に示すように、固定部4の両側部寄りに位置し、移動コンベヤユニット10の摺動支持部(スラスト軸受)11a,11aがそのガイドロッド9に摺動移動自在に外嵌され、移動コンベヤユニット10は所定の範囲内で搬送方向に移動可能に支持されている。さらに、固定部4の両側部寄りに、ラック7,7が水平に搬送方向を向けて固定されている。ラック7,7には、移動コンベヤユニット10の移動軸14の両端に軸着された一方向回動歯車15,15が噛合し、移動コンベヤユニット10がエアーシリンダ6の駆動により移動したとき、一方向回動歯車15,15の移動力を回転力に変換し、一方向回動歯車15,15を回転させるように機能する。
【0018】
なお、一方向回動歯車15,15には内部に例えばラチェット機構が配設され、図2の右方向(搬送方向)に移動コンベヤユニット10が移動したときには、一方向回動歯車15,15は空回転を行い、図2の左方向(反搬送方向に)移動コンベヤユニット10が移動したときのみ、一方向回動歯車15,15の回転力が移動軸14に伝達される構造となっている。
【0019】
移動コンベヤユニット10のベースは、ブロック状の移動フレーム11、11を両側に配置し、両側の移動フレーム11,11間に掛け渡すようにビーム13を固定し、両側の移動フレーム11,11上に1対の支柱12,12を立設して形成される。ビーム13の中央部に上記エアーシリンダ6のピストンロッド6aの先端部が連結される。さらに、移動フレーム11,11上にスラスト軸受などからなる摺動支持部11a,11aが固定され、摺動支持部11a,11aには上述のガイドロッド9,9が挿通され、移動コンベヤユニット10はこのガイドロッド9,9に支持され、エアーシリンダ6の駆動により、所定の範囲で搬送方向及び反搬送方向に移動する。
【0020】
さらに、両側の移動フレーム11,11には、1本の移動軸14が搬送方向に対し直角に横断方向に向けて、軸受16,16を介して回転自在に支持される。上述のように、移動軸14の両端には一方向回動歯車15,15が軸着され、一方向回動歯車15,15は固定側のラック7,7に噛合している。一方向回動歯車15,15はラチェット機構を内蔵するため、移動コンベヤユニット10がエアーシリンダ6の駆動により搬送方向(図2の右側方向)に移動したとき、一方向回動歯車15,15は空回転して回転力を移動軸14に伝達せず、移動コンベヤユニット10が反搬送方向(図2の左側方向)に移動したときのみ、回転力を移動軸14に伝達する。移動軸14の両端部近傍には歯車17,17が軸着されている。
【0021】
さらに、この移動コンベヤユニット10には、傾動コンベヤユニット20がその傾動軸25を支軸に傾動可能に装着されている。傾動コンベヤユニット20は、ベルト22を始端側の始端ロール23と終端側の終端ロール24との間に掛け渡して形成され、傾動コンベヤユニット20は、始端ロール23の軸を中心に、つまり始端ロール23の軸と同軸上に位置する傾動軸25を軸に、終端ロール24を上下に揺動可能に形成されている。この始端ロール23と傾動軸25は移動軸14と平行に隣接して配置され、始端ロール23の両側の軸は軸受27,27により、傾動コンベヤユニット20の傾動フレーム21,21上に回転自在に支持されている。
【0022】
傾動コンベヤユニット20は、その両側部に傾動フレーム21,21を配置し、両側の傾動フレーム21,21間をビーム21aにより連結して構成され、両側の傾動フレーム21,21上には、傾動アーム26、26が立設される。その傾動アーム26、26の上部に長孔が形成され、その長孔に傾動用のエアーシリンダ18、18のピストンロッド18a,18aの先端部が係合している。
【0023】
傾動駆動用のエアーシリンダ18、18は、両側の移動フレーム11,11に上部に取付ブラケット19を介して取り付けられ、そのピストンロッド18a,18aの先端は傾動アーム26の上部に向けられ、その長孔に係合している。図4に示すように、始端ロール23の軸23aの両端に歯車29、29が取着され、この両側の歯車29、29は上記移動軸14の両側に取着した歯車17、17と噛合する。
【0024】
これにより、傾動コンベヤユニット20の始端ロール23と移動軸14は、歯車17,29を介して連係され、始端ロール23は移動軸14と逆方向に回転する。さらに、図4に示すように、傾動フレーム21には始端ロール23の軸23aと同軸上に、傾動軸25、25が両側に突出して設けられ、この傾動軸25,25は軸受28,28を介して回転可能に傾動フレーム21に支持されている。
【0025】
これにより、傾動コンベヤユニット20は傾動軸25,25を軸に、その終端ロール24側を上下に傾動することができ、この傾動は、移動フレーム11上に搭載されたエアーシリンダ18により行なわれる。
【0026】
つまり、図1において、傾動用のエアーシリンダ18がそのピストンロッド18aを押し出し作動すると、傾動フレーム21がその傾動軸25を軸に図1の時計方向に回動し、傾動コンベヤユニット20はその終端ロール24側を下方に下げるように傾動する。
【0027】
また、傾動コンベヤユニット20のベルト22の回転駆動は始端ロール23によって行なわれ、始端ロール23の回転駆動は移動軸14の回転により行なわれ、移動軸14は図1において移動フレーム11が左側に反搬送方向に移動したときのみ、図1の反時計方向に回転するため、始端ロール23は図1の時計方向に回転し、ベルト22及び終端ロール24も同方向に回転する。
【0028】
上記のように構成される傾動コンベヤユニット20は、図4に示すように、移動フレーム11から容易に取り外し可能な構造となっている。つまり、図4に示す如く、傾動コンベヤユニット20の傾動軸25の軸受28の部分は、移動フレーム11より取り外し可能となっており、この部分を取り外すと共に、エアーシリンダ18のピストンロッド18aの先端の連結部を外すことにより、傾動コンベヤユニット20は取り外すことができる。
【0029】
なお、図3、図4において、傾動コンベヤユニット20のベルト22は、連続した1枚のベルトとして図示されているが、このベルト22は、搬送方向に沿って幅方向に複数に分割し、各ベルトに1個づつの洋菓子生地Wを載置し、移載するように構成することができる。また、移動駆動機構として又は傾動駆動機構としてエアーシリンダ6、18を使用したが、このほかに、油圧シリンダ、モータ、リニアモータなどの駆動装置を使用することも可能である。
【0030】
次に、上記構成のベルト式移載装置3の動作を説明する。被搬送物として洋菓子生地Wが上側の第1コンベヤ1により図1の左側から右方向に搬送され、第1コンベヤ1上の洋菓子生は、幅方向と搬送方向(長手方向)に複数列、複数行で整列して配置され、搬送される。なお、第1コンベヤ1の終端部の真上には、図1のように、コンベヤの終端位置に搬送され到達した洋菓子生地Wを非接触で検出するために、光電センサ30が配設されている。
【0031】
ベルト式移載装置3は、移載動作の開始時には、図1、図5に示すように、前後動用のエアーシリンダ6がピストンロッド6aを引戻した状態にあり、移動コンベヤユニット10は図1、図5の左端に位置し、傾動コンベヤユニット20のベルト22の終端部は、第1コンベヤ1の終端部の真下に位置している。
【0032】
このような状態で、第1コンベヤ1の作動により洋菓子生地Wがその終端部に搬送され、光電センサ30によって洋菓子生地Wの所定位置への到達が検出されると、前後動用のエアーシリンダ6がピストンロッド6aを押し出し作動する。
【0033】
これにより、図2のように、移動コンベヤユニット10が図の右方向に第1コンベヤ1の搬送速度と同じ速度で移動し、傾動コンベヤユニット20のベルト22が第1コンベヤ1の終端部の真下から同一速度で搬送側に突き出し移動する。このとき、第1コンベヤ1は搬送動作を継続しているため、洋菓子生地Wは第1コンベヤ1の終端部からベルト22上に安全に載せ換えられ、図2の状態となる。またこのとき、移動コンベヤユニット10の一方向回動歯車15は、図2の時計方向に回転するものの、そこに内蔵されるラチェットにより移動軸14にその回転力は伝達されず、傾動コンベヤユニット20の始端ロール23、ベルト22、終端ロール24は回転せず静止している。
【0034】
次に、傾動用のエアーシリンダ18がピストンロッド18aを押し出し作動する。これにより、図6に示すように、傾動コンベヤユニット20が傾動軸25を軸にその先端の終端ロール24側を下に下げるように傾動し、その終端部を下方の第2コンベヤ2の真上位置に接近させる。そして、前後動用のエアーシリンダ6がピストンロッド6aを引戻し作動する。
【0035】
これにより、図7のように、傾動コンベヤユニット20が傾動した状態で、移動コンベヤユニット10が図の左方向に移動し、このとき、一方向回動歯車15がラック7と噛合しながら図7の反時計方向に回動する。このとき、一方向回動歯車15の回転力がラチェットを介して移動軸14に伝達され、傾動コンベヤユニット20の始端ロール23が回転し、ベルト22が移動コンベヤユニット10の移動速度と略同じ速度で図7の右方向(搬送方向)に回転駆動され、その上搬送部が同方向に移動する。このような動作により、図7の如く、ベルト式移載装置3のベルト22上の洋菓子生地Wは、下方の第2コンベヤ2の上に安全に載置される。
【0036】
なお、洋菓子生地Wがベルト22から第2コンベヤ2の上に移載されるとき、ベルト22が移動コンベヤユニット10の移動速度と同速度で移動する場合、第2コンベヤ2は停止していることが好ましいが、第2コンベヤ2が常時低速で搬送動作する構造のものであっても、その第2コンベヤ2の搬送速度と移動コンベヤユニット10の移動速度を加算した速度を、傾動コンベヤユニット20のベルト22の搬送速度と略同速度に設定すれば、洋菓子生地Wを問題なく安全に移載することができる。
【0037】
この後、傾動用のエアーシリンダ18がピストンロッド18aを引戻し作動して、傾動コンベヤユニット20が図5のような水平状態に復帰し、第1コンベヤ1の作動により、次の洋菓子生地Wがその終端部の所定位置に進み、それが光電センサ30により検出されると、再び上記と同様に、前後動用のエアーシリンダ6が作動して移動コンベヤユニット10が搬送方向に移動し、洋菓子生地Wの移載動作が繰り返される。
【0038】
このように、第1コンベヤ1により搬送された被搬送物を、ベルト式移載装置3により下方の第2コンベヤ2上に安全に移載することができる。また、このベルト式移載装置3は、移動駆動機構と傾動駆動機構にエアーシリンダ6,18を使用するのみで、モータなどの電気駆動装置を使用しない構造のため、構造が簡単となり、モータの制御機器など高価な電気部品を使用せずに、製造コストを低減することができる。
【0039】
また、傾動コンベヤユニット20は、移動フレーム11上より、傾動軸25の軸受28の部分から着脱可能な構造としているため、使用後には、被搬送物が載置されるベルト22を簡単に取り外して、洗浄することができ、食品生地などの被搬送物を移載する装置として衛生的に使用することができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、下側に位置する第2コンベヤ2は、第1コンベヤ1及び傾動コンベヤユニット20と同じ搬送方向に搬送するものであったが、これらのコンベヤとは異なる方向(例えば直角方向に)に搬送するコンベヤであっても、被搬送物を移載することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態を示すベルト式移載装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】移動コンベヤユニットを第1コンベヤの下側から突き出した状態のベルト式移載装置の正面図である。
【図3】同ベルト式移載装置の平面図である。
【図4】移動コンベヤユニットから外された状態の傾動コンベヤユニットの平面図(a)と正面図(b)である。
【図5】移動コンベヤユニットを第1コンベヤの下側に引戻した状態の正面図である。
【図6】傾動コンベヤユニットを傾動させた状態の正面図である。
【図7】傾動コンベヤユニットを傾動させた状態で移動コンベヤユニットを第1コンベヤの下側に引戻した状態の正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 第1コンベヤ
2 第2コンベヤ
3 ベルト式移載装置
4 固定部
6 エアーシリンダ
7 ラック
9 ガイドロッド
10 移動コンベヤユニット
11 移動フレーム
12 支柱
13 ビーム
14 移動軸
15 一方向回動歯車
16 軸受
17 歯車
18 エアーシリンダ
20 傾動コンベヤユニット
21 傾動フレーム
22 ベルト
23 始端ロール
24 終端ロール
25 傾動軸
27 軸受
28 軸受
29 歯車




【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬入する第1コンベヤから該第1コンベヤの下側に配置された第2コンベヤに該被搬送物を移載するベルト式移載装置において、
該第1コンベヤの終端部の下側に、移動コンベヤユニットが該第1コンベヤの搬送方向と同じ方向に移動可能に配設され、該移動コンベヤユニットには、ベルトを始端側の始端ロールと終端側の終端ロールとの間にかけた傾動コンベヤユニットが該始端ロールの軸を中心に該終端ロールを上下に揺動可能に形成され、該始端ローラに隣接し且つ平行に移動軸が回転可能に軸支され、該始端ローラの軸と該移動軸が1対の歯車を介して連係され、該始端ローラの軸と同軸上に傾動軸が設けられ、該傾動軸と移動軸の両端部が軸受を介して移動フレームに支持されると共に、該終端ロールの軸と該始端ロールの軸が軸受を介して傾動フレームに支持され、該移動フレームは搬送方向に移動可能に固定部上に支持され、該固定部上にはラックが搬送方向に向けて固定され、該移動軸の端部に一方向にのみ該移動軸と共に回転する一方向回動歯車が取着され、該一方向回動歯車が該ラックに噛合し、該傾動コンベヤユニットの該ベルトを停止させた状態で該移動コンベヤユニットを搬送方向に移動可能とし、該移動コンベヤユニットを搬送方向に移動させる移動駆動機構が設けられると共に、該傾動コンベヤユニットの先端部を下側に傾動させる傾動駆動機構が設けられ、該傾動コンベヤユニットの先端を下側に傾動させた状態で、反搬送方向に該移動コンベヤユニットを移動させたとき、該ラックと噛合する該一方向回動歯車の回転によって該傾動コンベヤユニットの該ベルトの上搬送路が搬送方向に移動することを特徴とするベルト式移載装置。
【請求項2】
前記傾動コンベヤユニットは、前記移動フレームから前記傾動軸の軸受の部分から着脱可能とされたことを特徴とする請求項1記載のベルト式移載装置。
【請求項3】
前記移動駆動機構として、エアーシリンダが前記固定部上に略水平に取り付けられ、該エアーシリンダのピストンロッドの先端が前記移動フレームに連結され、前記傾動駆動機構として、エアーシリンダが該移動フレーム上に取り付けられ、該エアーシリンダのピストンロッドの先端が、前記傾動フレームに突設された傾動アームに連結されたことを特徴とする請求項1記載のベルト式移載装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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