説明

ベンズアゼピン及びその誘導体の製造方法

本発明は、一般式(IIA)を有する少なくとも1の化合物をオレフィンと反応させ、このようにして得られた化合物は、次に例えばテトラロンを生成するように環化され、続いてそのオキシム誘導体のベックマン転移による変換により所望される化合物を生じさせる、一般式(IA)を有するベンズアゼピン化合物を製造する方法に関する。
【化1】


【化2】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より特にベンズアゼピンタイプの分子へのアクセスの新規なルートを提供することを目的とする。
【0002】
ベンズアゼピン及び関連分子、例えばベンズアゼピノン及びベンゾジアゼピンは、その薬学的活性のために有利である化合物の族を構成する。
【0003】
最近、2つのN−置換ベンズアゼピン誘導体、即ち大塚製薬製の(±)−N−[4−(7−クロロ−5−ヒドロキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−l−ベンズアゼピン−1−イルカルボニル)−3−メチルフェニル]−2−メチルベンズアミド(OPC−41061)及び(±)−N−[4−(7−クロロ−5−ヒドロキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−l−ベンズアゼピン−l−イルカルボニル)−フェニル]−2−メチルベンズアミド(OPC−31260)は、強力なアルギニンバソプレッシン(AVP)Vレセプターアンタゴニストとして作用することができ、従って心臓疾患の治療に効果的に使用されることができることが示された。
【0004】
しかし、これらのベンズアゼピン誘導体を得るための、最近、利用可能な種々の合成方法は、第一に、収率及びコストの点で満足できる条件下でこれらの化合物を得ることに対して、及び第二に新規な誘導体を開発することに対して重大な障害を生じせしめる。
【背景技術】
【0005】
即ち、図1に示された方法は、OPC−41061誘導体を得るために現在使用されている合成経路に対応し、11の連続工程を含み、それらのうちのいくつかは、ある数の官能基の存在と両立しない猛烈な条件を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ベンズアゼピンタイプの化合物へのアクセスの新規なルートであって、第一に満足できる条件下で公知の化合物を製造すること、第二に、これらの化合物の新規な誘導体へのアクセスを得ることを有利に可能にするルートをまさに提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
より具体的には、本発明は、その第一の側面に従うと、一般式(IA)の少なくとも1のベンズアゼピン化合物を一般式(IIA)の少なくとも1の化合物から製造する方法において、
【化1】

ここで、
は、塩素、弗素、臭素、及びヨウ素から選択されたハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基、又は炭化水素に基づく環又はへテロ環、ポリマー鎖、又は基−(CH−OR、−CH(OR)(OR)、−(CH−SR、−(CH−S(O)R、−(CH−SO、−(CH−SONR、−(CH−SO、−(CH−NO、−(CH−CN、−(CH−PO(OR)(OR)、−(CH−SiR、−(CH−COOR、−(CH−NCOR、又は−(CHNRを表す、
、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル、ハロアルキル、アシル、アリール、アルケニル、アリールアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アラルキル、又はアルカリール基、炭化水素に基づく環又はへテロ環を表す、
又はR及びRはそれらが結合している原子と一緒になってへテロ環を形成する、
mは0以上の整数、特に0〜100の範囲、特に0〜20の範囲の整数を表す、
nは0、1、2、3、及び4から選択された整数を表す、但し、nが2以上であるとき、対応するR基は、同じであるか又は異なることができ、適切である場合には、一緒になって炭化水素に基づく環又は例えば5又は6員のへテロ環を形成することが可能である、
、R、R、R、R及びRは互いに独立して、水素原子、塩素、弗素、及び臭素から選択されたハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基、又は炭化水素に基づく環又はヘテロ環、ポリマー鎖、又は基−(CH−OR、−CH(OR)(OR)、−(CH−SR、−(CH−S(O)R、−(CH−SO、−(CH−SONR、−(CH−SO、−(CH−NO、−(CH−CN、−(CH−PO(OR)(OR)、−(CH−SiR、−(CH−COOR、−(CH−NCOR、又は−(CH−NRを表す、ここでR,R,R及びmは、上で定義された通りである、
又は、R,R,R及びRは対になって炭化水素に基づく1以上の環又はへテロ環を形成する、ここでR,R,R及びRの少なくとも1は水素原子を表す、
【化2】

ここで、
は、
(i)アルキル、アシル、アリール、アラルキル、アルケン、又はアルキン基、及び炭化水素に基づく環又はへテロ環、
(ii)−OR又は−SR基、ここでRは、
アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基、又は炭化水素に基づく環又はへテロ環、又はポリマー鎖、
−CRPO(OR)(OR)基、ここで
及びRは、それぞれ互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル又はパーフルオロアルキル基、炭化水素に基づく環又はへテロ環、又は−NO、−NCO、−CN基、又は−R,−SO,−OR,−SR,−NR,−COOR,−OCR,−CONR,−NRCORのタイプの基から選択された基を表す、ここでR及びRはそれぞれ独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、又は場合によってヘテロ環、アルカリール、アリールアルキル、又はへテロアリールと縮合していてもよいアリール基を表す、
又はR及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってC=O又はC=S基、又は炭化水素に基づく環又はヘテロ環を形成する、及び
及びRはそれぞれ互いに独立して、R基について上で与えられた定義の1つに対応する基を表す、
又はR及びRは一緒になって、2〜4の炭素原子を含む炭化水素に基づく鎖を形成し、場合によって鎖は−O−、−S−及び−NR−、ここでRは、R基について上で与えられた定義の1つに対応する、から選択された基で遮断されていてもよい、
から選択された基である。
(iii)−NR基、ここで
及びRは、互いに独立してアルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、エステル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基又は炭化水素に基づく環又はヘテロ環から選択された基を表す、又は
及びRは一緒になって、2〜4の炭素原子を含む炭化水素に基づく鎖を形成し、場合によって鎖は−O−、−S−又は−NR−基、ここでRは、R基について上で与えられた定義の1つに対応する、で遮断されていてもよい(該炭化水素に基づく鎖は、R及びRが結合している窒素原子と共に5員環を有利に形成する)、
から選択された基を表す、
2aは、水素原子、ハロゲン原子、特にフッ素、塩素、又は臭素、アルキル、ハロアルキル、アシル、アリール、又はアリールアルキル基、又は炭化水素に基づく環又はへテロ環、ポリマー鎖、又は基−(CH−OR,−CH(OR)(OR),−(CH−SR,−(CH−S(O)R,−(CH−SO,−(CH−SONR,−(CH−SO,−(CH−NO,−(CHCN,−(CH−PO(OR)(OR),(CH−SiR,−(CH−COOR,−(CH−NCOR,又は−(CH−NRから選択された基を表す、ここでR,R、R及びmは、上で定義された通りであり、好ましくは水素原子である、
及びnは、上で定義された通りである、
以下の工程:
a 一般式(IIA)の上記化合物を一般式(A)の少なくとも1のオレフィンと反応させて、一般式(IIIA)の少なくとも1の化合物を得ること、
【化3】

ここで、R,R,R及びRは、上で定義された通りである、但し、R,R,R又はR基の少なくとも1は水素原子を表す、
【化4】

ここでR,R2a,R,R,R,R,Z及びnは、上で定義された通りである、
b 一般式(IIIA)の該化合物をラジカルに基づく方法により環化させて、一般式(IVA)の少なくとも1のテトラロン化合物を得ること、
【化5】

ここで、R,R2a,R,R,R,R及びnは上で定義された通りである、
c 一般式(IVA)の該化合物を一般式(VA)の少なくともそのオキシム誘導体に転化すること、
【化6】

ここで、R、R2a,R,R,R,R及びnは上で定義された通りである、
d 一般式(VA)の該化合物をベックマン転移及び続く還元により、一般式(IA)の少なくとも1の化合物に転化すること、及び
e 一般式(IA)の上記化合物を回収すること、
を少なくとも含む方法に関する。
【0008】
その別の側面に従うと、本発明の課題は、一般式(IB)の少なくとも1の化合物を、一般式(IVB)の少なくとも1の化合物から製造する方法において、
【化7】

ここで
、R,R,R,R及びnは、上で定義された通りである、
Xは、O,NR,S,S(O),SO,SONRを表す,そして
及びRは、互いに独立して水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アリールアルキル、アルカリール、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基、又は炭化水素に基づく環又はへテロ環、又はポリマー鎖、適切な場合には置換されていてもよい、を表す、
又はR及びRは、それらが結合している原子と一緒になってヘテロ環を形成する、
【化8】

ここで、

,R,R,R,R,X及びnは、上で定義された通りである、及び
2aは、上で定義された通りである、
以下の工程:
a’ 一般式(IVB)の該化合物を一般式(VB)の少なくともそのオキシム誘導体に転化すること、
【化9】

ここで、R,R2a,R,R,R,R,X及びnは、上で定義された通りである、
b’ 一般式(VB)の該化合物をベックマン転移及び続く還元により、一般式(IB)の少なくとも該化合物に転化すること、及び
c’ 一般式(IB)の該化合物を回収すること、
を少なくとも含む方法である。
【0009】
本明細書を通して、用語「アルキル基」は、直鎖又は分岐の、飽和の炭化水素に基づく基であって場合により1以上の飽和脂肪族環を含んでいてもよい基を含むことが意図される。本発明の目的のために、アルキル基は、25までの炭素原子、特に1〜12の炭素原子、特に1〜6の炭素原子を有することができる。
【0010】
想定され得るアルキル基の中で、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、又はドデシル基が特に挙げられ得る。
【0011】
特に、アルキル基は、本明細書の目的のために、シクロアルキル基、即ち3〜10の炭素原子を有する、環状の飽和炭化水素に基づく基、をもまた意味することができる。
【0012】
用語「アルコキシ基」は、その一部として、本明細書の目的のために、−OAlk基、ここでAlkは、上で定義されたアルキル基を表す、を意味する。
【0013】
本明細書の目的のために、用語「ハロアルキル基」は、上で記載され、少なくとも1のハロゲン原子で置換されているようなアルキル基を意味し、ここで用語「ハロゲン原子」は、明細書全体において、弗素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、特に弗素又は塩素原子を意味する。即ち、本発明の「ハロアルキル」基は、例えば「パーフルオロアルキル」基、即ち、本発明の目的のために、式−CH2n+1に対応する基、ここで、nは、1〜20の範囲の整数を表す、であることができる。
【0014】
用語「アルケニル基」は、本明細書において使用される意味において、少なくとも1の二重結合C=Cを有する、直鎖又は分岐状の、不飽和の炭化水素に基づく基を表すことが意図される。本発明のアルケニル基は、2〜25の炭素原子、特に2〜12の炭素原子、特に2〜6の炭素原子を有することができる。
【0015】
同様に、用語「アルキニル基」は、少なくとも1の三重結合C≡Cを有する直鎖又は分岐状の、不飽和の炭化水素に基づく基を意味することが意図される。本発明のアルキニル基は、一般的に2〜25の炭素原子、特に2〜15の炭素原子、特に2〜6の炭素原子を有する。
【0016】
本明細書の目的のために、用語「エステル基」及び「アシル」基は、それぞれ−C(=O)−OB、及び−C(=O)−B基を意味することが意図され、ここでBは1〜25の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状の炭化水素に基づく鎖を表し、特に上で定義されたようなアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であることができる。
【0017】
本明細書の目的のために、「炭化水素に基づく環」タイプの基は、3〜20の炭素原子を含み、場合によって置換されていてもよい、飽和、不飽和、又は芳香族環状基、特にシクロアルキル、シクロアルケニル、又はシクロアルキニルタイプを意味する。「ヘテロ環」タイプの基は、その一部に、例えばN,O,S,P、及びSi,から選択された少なくとも1のヘテロ原子で遮断されているような炭素に基づく環を意味し、該炭素に基づく環は、飽和又は不飽和であることができる。
【0018】
本明細書の目的のために、用語「アリール基」は、その一部に、一般的に5〜20の炭素原子、特に6〜10の炭素原子を有するモノ環状、又はポリ環状芳香族基を意味する。即ち、それは例えばフェニル基、又は1−又は2−ナフチル基であり得る。1の特定の変形に従うと、「アリール」基は、本発明の目的のために、1以上のヘテロ原子、例えば硫黄、酸素、又は窒素を取り込んでいることができる。この特定の場合、用語「アリール基」は、モノ環状又はポリ環状へテロ芳香族基を意味する。
【0019】
本明細書の目的のために、「アリールアルキル」「アラルケニル」及び「アラルキニル」基は、それぞれ、上で定義されたアリール基で置換されたアルキル、アルケニル、及びアルキニル鎖である。

【0020】
種々の基は、O,S,N,P、及びSiから選択された1以上のヘテロ原子で、又は−(C=O)−,−(C=S)−,−SO−,又は−SO−基、又は2級又は3級アミンで、場合により遮断されていることができ、考慮下の反応を阻害する傾向のない任意のタイプの基で置換されている、又は一緒に存在する化合物間の依存的な反応(parasitic reaction)をもたらさないような任意のタイプの基で、特に同じであるか異なっていてもよいところの、アルコキシカルボニル又はアリールオキシカルボニル(−COOR),カルボキシ(−COOH),アシロキシ(−OCR),カルバモイル(−CONR),シアノ(−CN),アルキルカルボニル,アルキルアリールカルボニル,アリールカルボニル,アリールアルキルカルボニル,フタルイミド、マレイミド,コハク酸イミド、アミジノ、グアニジノ、ヒドロキシ(−OH),アミノ(−NR)又は(−NH),ハロゲン、パーフルオロアルキル(C2n+l)アリル、エポキシ、アルコキシ(−OR),チオアルコキシ又はチオアリールオキシ(−SR),スルホン、又はホスホネート基、シリル化基、ハロゲン原子、親水性又はイオン性である基、例えばカルボン酸のアルカリ金属塩、スルホン酸又はホスホン酸のアルカリ金属塩、ポリアルキレンオキシド鎖(PPO、PEO),及びカチオン性の置換基(4級アンモニウム塩)、Rはアルキル又はアリール基を表す、又はポリマー鎖から選択された1以上の基で置換されていることができ、該置換基は場合によりヘテロ原子で遮断されていることもまた可能である。任意の所望されない副反応を防ぐために、使用された化合物中に存在する種々の基及び置換基の性質を選択することは、当業者の範囲内である。
【0021】
本発明に従う方法は、n=1、特にRがパラ位(窒素原子に関して)にあるところの一般式(IA)又は(IB)に相当するベンズアゼピン化合物を製造するのに特に有利である。
【0022】
基は、ハロゲン原子、特に弗素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、又はアルコキシ、特にメトキシ基を表すことができる。
【0023】
本発明の1つの変形に従うと、ベンズアゼピン化合物は、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す一般式(IA)又は(IB)に相当することができる。
【0024】
本発明の変形に従うと、ベンズアゼピン化合物は、R及びRがそれぞれハロゲン原子、特に塩素、弗素、又は臭素原子を表すところの一般式(IA)又は(IB)に相当することができる。
【0025】
本発明の第一の側面を構成する方法の工程aにおいて使用されることができる一般式(IIA)の化合物の中で、キサンテート化合物、即ち、Zが−ORを表す化合物、特にRがC〜C12のアルキル基、特にエチル基を表すものが挙げられ得る。
【0026】
式(A)のオレフィンに関して、それは一置換されている、又は二置換されていてもよい。
【0027】
二置換されたオレフィンの場合、それらは環状オレフィン、例えばシクロペンテン、又はノルボルネン、この場合R及びR又はR及びRのいずれかが、それぞれ水素原子を表す、又はそれらは末端二置換されたオレフィンであり得る、即ち、R及びR、又はR及びRのいずれかが、それぞれ水素原子を表す。
【0028】
この場合、本発明に従うベンズアゼピンは、置換基R、R、R、及びRの少なくとも2が、特にR及びR、又はR及びRのいずれか、又はR及びR、又はR及びRのいずれか、それぞれが水素原子を表すところの一般式(IA)又は(IB)に相当することができる。
【0029】
本発明の特定の変形に従うと、オレフィンは一置換されている。また、本発明に最も特に適するのは、ここでR、R、及びRは、同時に水素原子を表す式(A)のオレフィン、特に、Rが上で定義されたような-XR基を表す式(A)のオレフィンである。
【0030】
より特に、本発明に従うベンズアゼピンは、R、R、及びRは、同時に水素原子を表す一般式(IA)又は(IB)に対応する。
【0031】
このオレフィンの置換基は、−Oアシル基、及び−(CHCNタイプの基から選択されることができ、ここでpは1〜10の範囲の整数、特に1に等しい整数を表す。
【0032】
本発明に従って使用されることのできる式(A)のオレフィンの例として、
ビニルピバレート、アリルシアニド、及びN−ビニルフタルイミド
が挙げられ得る
【0033】
このオレフィンは、1に少なくとも等しいモル比で、特に1.5以上のモル比で、工程aにおいて式(IIA)の化合物の存在下で入れられる。一般的に2つの化合物は、有機溶媒に可溶な形で一緒に入れられる。
【0034】
工程a及びbは、一般的に、ラジカルに基づく方法により行われる。特に式(IIA)及び/又は(IIIA)の化合物は、特に光への暴露による光化学性の活性化、及び/又は例えばパーオキシド、例えばジラウリルパーオキシド、又はジアゾ化合物の分解(熱分解)、又は有機金属化合物、例えばトリエチルボラン、ジエチル亜鉛又はトリアルキルアルミニウムの酸素による自動酸化による分解による化学性の活性化に付されることができる。
【0035】
本発明の方法におけるフリーラジカルの源として特に適切であるパーオキシドの例として、特にジイソブチリルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート、tert−アミルパーオキシネオデカノエート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート,tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、ジブチルパーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、tert -ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert−アミルパーオキシピバレート、ジデカノイルパーオキシド、tert‐アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、1,4−ジ(tert−ブチルパーオキシカルボ)シクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジーtert−アミルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ビス−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド(DLP)又はジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが特に挙げられ得る。
【0036】
特に、工程aは、有効量の少なくとも1のラジカル開始剤、特にジラウロイルパーオキシドの存在下で行われることができる。
【0037】
その性質に関わらず、本発明の方法に従って使用されるフリーラジカルの源は、フリーラジカルの生産を許す条件下で使用され、フリーラジカルの生産は一般的に、熱活性化、即ち環境温度のオーダー(約20℃)〜200℃、特に40℃〜180℃、特に80℃〜160℃の温度に反応媒体の温度を高めることにより、一般的に行われる。フリーラジカルの生産は、低温、一般的に環境温度より低い温度、特に10℃〜−78℃において、酸素による自動酸化に敏感なフリーラジカルの源を使用してもまた行われることができる。一般的にフリーラジカルの源の選択は反応を行うことが所望されるところの温度に依存する。
【0038】
媒体中に導入されるべきフリーラジカルの源の量は、いくつかのパラメーター、特にその有効性、その導入方法、試薬の純度、反応媒体の濃度、及びフリーラジカルトラップとしてのオレフィンの有効性に依存する。これらの種々のパラメーターに従って媒体中に導入されるべきフリーラジカルの源の量を調節することは当業者の範囲内である。一般的に、開始剤は一般式(IIA)又は(IIIA)の化合物が完全に使用され尽くすまで反応媒体中に数回、添加される。
【0039】
工程a、及び/又はbにおいて使用される溶媒は、フリーラジカル合成において一般的に使用される溶媒、例えば1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、トリフルオロメチルベンゼン(トリフルオロトルエン)、クロロベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、及びそれらの混合物から選択される。
【0040】
反応は一般的に、大気圧下、選択された溶媒の沸点において行われる。
【0041】
工程bの特定の場合、ラジカル環化もまた一般的に酸性媒体中で行われる。この場合、反応は、触媒量の酸、特にカンファースルホン酸の存在下で行われることができる。
【0042】
反応の終わりに、一般式(IVA)又は(IVB)の期待される生成物が単離される、又は反応媒体中で一般式(VA)又は(VB)の化合物に直接、転化されることができる。
【0043】
オキシム(VA)又は(VB)の形成からなる工程は、従来の方法で行われることができる。特に、式(IVA)又は(IVB)の化合物は、有効量のニトロメタン又はヒドロキシルアミン、特にヒドロキシルアミンの塩、例えばヒドロキシル塩酸塩の存在下で入れられることができる。
【0044】
一般的に、ヒドロキシルアミンは、一般式(IVA)又は(IVB)の化合物に比較してモル過剰で導入され、特に約1.3当量の量で存在する。式(VA)又は(VB)のオキシムの形成からなる反応は、種々の溶媒、例えばメタノール、エタノール、ピリジン、トルエン、ベンゼン、及びそれらの混合物、特にエタノール中で行われることができる。
【0045】
このオキシム形成反応において、ヒドロキシルアミン塩が使用されるとき、弱塩基、例えば酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、NaHCO、NaCO、及びそれらの混合物が式(IVA)又は(IVB)の化合物の溶液に添加されることができる。この弱塩基は、式(IVA)又は(IVB)の化合物に対して1当量以上、及び/又はヒドロキシルアミンに対して1当量未満の量で存在することができる。
【0046】
式(IVA)又は(IVB)の少なくとも1の化合物、及びヒドロキシルアミンを含む混合物は、加熱されることができ、例えば30分〜3時間の範囲の期間の間、特に還流に至らせられることができる。
【0047】
特定の変形に従うと、本発明に従う製造方法は、式(VA)又は(VB)の生成物の回収、特に再結晶による回収からなる工程を含むことができる。
【0048】
しかし、得られた化合物は精製されていない状態であり得るが、次の工程でそのまま使用されることができる。
【0049】
本発明に従う製造方法は、例えばDonaruma及びHeldt著「Org. React.」(ニューヨーク)1960年、第11巻、第1号に記載されたような慣用の方法に従うベックマン転移による化合物(VA)又は(VB)の転化からなる工程を含む。特に、ベックマン転移は有効量の試薬、例えばPCl、濃HSO、蟻酸、液体SO,HMPA,SOCl、シリカゲル、P−メタンスルホン酸、HCl−酢酸−無水酢酸、又はポリリン酸(PPA)の存在下で行われることができる。
【0050】
PCl誘導体は、特にその有効性のために、特に有利であることが見出される。それは一般的に、モル過剰で、特に2より大きいモル比で、特に3以上、そして最も特に3〜6の範囲のモル比で、式(VA)又は(VB)のオキシムの存在下で入れられる。
【0051】
ベックマン転移は、多くの溶媒、例えばピリジン、酢酸、フェノール、トルエン、ベンゼン、エーテル、メチルアミン、シクロヘキシルアミン、モルフォリン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF),クロロホルム、ジクロロメタン、又は塩酸の水性溶液、特にジクロロメタン中で行われることができる。
【0052】
特定の実施態様に従うと、溶液中の式(VA)及び(VB)のオキシムは、例えば0℃においてPClの溶液に滴加され、反応は環境温度において行われる。反応の終わりに、反応混合物は、例えば飽和されたNaHCO水溶液で中和され、有機溶媒、例えばCHClで処理され、乾燥され、濾過され、次に濃縮される。
【0053】
このようにして得られた生成物は何ら他の精製無しに次の還元工程において使用されることができる。
【0054】
ベックマン転移から誘導された生成物、単離されても、されなくてもよい、は有効量の少なくとも1の金属還元剤、例えばマグネシウム、亜鉛、又は鉄、特に亜鉛で還元されることができる。
【0055】
この金属還元剤は、一般的にモル過剰で、特に約6当量で使用される。
【0056】
この還元は、種々の溶媒、例えば酢酸、メタノール又はエタノール、又はそれらの混合物中で行われることができる。
【0057】
この還元が行われるところの温度は、特に0℃から、使用される溶媒の沸点の範囲であることができる。
【0058】
この還元の終わりに形成される生成物は、何ら他の精製なしに、有効量の還元剤、特にBH,特にBH・THF,POCl/NaBH,PC1/NaBH,LiAlH又はジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)での処理を含む、別の還元工程において使用されることができる。
【0059】
この第二の還元は、溶媒の還流において、特にTHFの還流において行われることができる。
【0060】
2つのタイプの連続する還元を含むこの還元方法は、R及びRが水素原子である式(IA)又は(IB)の化合物を生産する。
【0061】
別の変形に従うと、還元は有効量のNaBH、ここでNaBHは一般的にベックマン転移生成物に対してモル過剰で存在する、で単一の工程において行われることができる。この特定の実施態様において、ベックマン転移及びNaBHによる還元は同じ容器中で連続的に行われることができる。
【0062】
この反応の終わりにおいて得られた式(IA)又は(IB)の生成物において、R及びR基は塩素原子である。
【0063】
その別の側面に従うと、本発明の課題は、一般式(IA)の化合物でもまたある。
【化10】

ここで、
、R,R,R、R,R,R及びnは上で定義された通りであり、特にRは−XRを表すことができ,Rは上で定義された通りである。
【0064】
例えば、ベンズアゼピン化合物は、n=1であるところの、特にRがパラ位にあるところの式(IA)に相当することができる。
【0065】
本発明の変形に従うと、ベンズアゼピン化合物は、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す式(IA)に相当することができる。
【0066】
本発明の変形に従うと、ベンズアゼピン化合物は、R及びRがそれぞれ塩素原子を表す一般式(IA)に相当することができる。
【0067】
特にR基は、
−Xが酸素原子を表し、Rはアシル基であることができる‐XR基、例えば−C(=O)C(CH,又は
pが1〜10の範囲の整数、例えば1,2,3、又は4を表すことができる−(CHCN基、
を表すことができる。
【0068】
式(IA)又は(IB)の化合物の中で、
7−クロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、
7−フルオロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、
7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾアゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、
(7−フルオロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル)−アセトニトリル,
3,3,7−トリクロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル,2,2−ジメチルプロピオネート、及び
それらの誘導体、
が挙げられ得る。
【0069】
さらにその別の側面に従うと、本発明の課題は、一般式(VB)の化合物である。
【化11】

ここで
,R2a,R,R,R、XR及びnは上で定義された通りである。
【0070】
より特に、この化合物は、
4−[(E)−ヒドロキシイミノ]−7−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、
4−[(E)−ヒドロキシイミノ]−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、及び
4−[(E)−ヒドロキシイミノ]−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2、ジメチルプロピオネート、及び
それらの誘導体、
から選択されることができる。
【0071】
本発明の課題は、本発明に従う方法に従って、一般式(IIA)の化合物の、式(IA)の化合物への転化を少なくとも含む、一般式(VIA)のベンズアゼピンを製造する方法でもまたある。
【化12】

ここで、
,R,R,R,R,R、R及びnは上で定義された通りである、
10は水素原子又はアルキル、又はアシル基、特にメチル基を表す。
【0072】
本発明の課題は、本発明に従う方法に従って、一般式(IVB)の化合物の、式(IB)の化合物への転化を少なくとも含む、一般式(VIB)のベンズアゼピンを製造する方法でもまたある。
【化13】

ここで
,R,R,R,R,R、R、X及びnは上で定義された通りである、
10は水素原子又はアルキル、又はアシル基、特にメチル基を表す。
【0073】
以下の実施例が、本発明の非制限的な例示により与えられる。
【実施例】
【0074】
一般式(IIA)の化合物の製造
一般方法1:
【0075】
1.1当量のO−エチルキサンテートカリウムが、アセトン中(2ml)の1ミリモルのハロゲン化された誘導体を含む溶液に、0℃において暗所でアルゴン下、少しずつ添加される。溶液は1時間環境温度において攪拌され、次にアセトンが真空下で蒸発除去され、残渣はCHClで取り上げられる。有機相は水で洗浄され、硫酸ナトリウム上で乾燥され、濾過され、真空下で濃縮される。得られた残渣は、結晶化により精製される。
【0076】
実施例1:5−[2−(4−クロロ−フェニル)−2−オキソ−エチル]−O−エチルジチオカーボネート
一般方法1に従って、172mlのアセトン中の20g(85.6ミリモル)のp−クロロブロモアセトフェノンの0℃における溶液が製造され、この溶液に15.1g(94.2ミリモル)のO―エチルキサンテートカリウムが添加される。水からの再結晶後、標題の生成物が90%の収率で黄色の結晶の形で得られる(m.p.=64〜65℃)。

【0077】
実施例2:5−[2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソエチル]−O−エチルジチオカーボネート
一般方法1に従って、232mlのアセトン中の20g(115.5ミリモル)のp−フルオロ−γ−クロロアセトフェノンの0℃における溶液が製造され、この溶液に20.4g(127.4ミリモル)のO―エチルキサンテートカリウムが添加される。CHCl/石油エーテルでの再結晶後、標題の生成物が98%の収率で黄色の結晶の形で得られる(m.p.=58〜61℃)。

【0078】
実施例3:5−[2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル]-O-エチルジチオカーボネート
翻訳レター、1997年、第38巻、1759〜1762ページに記載されたプロトコルに従って製造された。
【0079】
一般式(IIIA)の生成物の製造
一般方法2:
2当量の一般式(A)のオレフィンが、1,2−ジクロロエタン(1ml)中の1ミリモルの式(IIA)のキサンテートの溶液に添加される。溶液は、還流に至らせられ、アルゴン雰囲気下で脱気される。還流における15分後、0.05ミリモルのジラウロイルパーオキシド(DLP)が反応混合物に添加され、出発生成物が完全に使用され尽くすまで、1.5時間ごとに0.02ミリモルが添加される。反応が完了したとき、溶媒は真空下で蒸発除去され、生成物はクロマトグラフィーで精製される。
【0080】
実施例4:1−エトキシチオカルボニルスルファニル−4−(4−クロロフェニル)−4オキソブチル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法2に従って、18mlの1,2−ジクロロエタン中の5g(18ミリモル)の実施例1のキサンテート及び5.38ml(3.1g、36.3ミリモル)のビニルピバレートの溶液が還流に至らせられ、DLPで処理される。標題の生成物がシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(95:5))後97%の収率で得られる(黄色オイル)。

【0081】
実施例5:1−エトキシチオカルボニルスルファニル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法2に従って、19mlの1,2−ジクロロエタン中の5g(19.3ミリモル)の実施例2のキサンテート及び5.72ml(4.9g、38.7ミリモル)のビニルピバレートの溶液が還流に至らせられ、DLPで処理される。標題の生成物がシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(95:5))後90%の収率で得られる(黄色オイル)。

【0082】
実施例6:1−エトキシチオカルボニルスルファニル−4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブチル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法2に従って、0.5g(1.85ミリモル)の実施例3のキサンテート及び0.55ml(2.7ミリモル)のビニルピバレートの溶液が2mlの1,2−ジクロロエタンに溶解される。生成物はシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(95:5))により精製されて、標題の生成物を86%の収率で与える(黄色オイル)。

【0083】
実施例7:5−[1−シアノメチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル]-O-エチル ジチオカーボネート
一般方法2に従って、8mlの1,2−ジクロロエタン中の2g(7.74ミリモル)の実施例2のキサンテート及び1.25ml(1.03g、15.48ミリモル)のアリルシアニドの溶液が還流に至らせられ、DLPで処理される。標題の生成物がシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(9:1))後、81%の収率で得られる(黄色オイル)。

【0084】
式(IVA)又は(IVB)のテトラロンの製造
一般方法3:
1,2−ジクロロエタン(10ml)中の1ミリモルの式(IIIA)の化合物及び0.1ミリモルのカンファースルホン酸(CSA)の溶液が還流に至らせられ、アルゴン雰囲気下で脱気される。還流において15分後、0.2ミリモルのDLPが反応混合物に添加され、出発生成物が完全に使用され尽くすまで1時間ごとに0.2ミリモルが添加される。反応が完了したとき、溶媒は真空下で蒸発除去され、生成物はクロマトグラフィーにより精製される。
【0085】
実施例8:7−クロロ−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンー1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法3に従って、87mlの1,2−ジクロロエタン中の3.5g(8.67ミリモル)の実施例4の化合物及び0.2g(0.86ミリモル)のCSAの溶液が還流に至らせられ、DLPで処理される。標題生成物がシリカゲルカラム上で精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(9:1))、石油エーテルで再結晶化されて、少し黄色の固体(m.p.=76〜80℃)が、84%の収率で得られる。

【0086】
実施例9:7−フルオロ−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法3に従って、78mlの1,2−ジクロロエタン中の3g(7.76ミリモル)の実施例5の化合物及び0.18g(0.77ミリモル)のCSAの溶液が還流に至らせられ、DLPで処理される。標題生成物(黄色オイル)がシリカゲルカラムによる精製の後、54%の収率で得られる(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(9:1))。

【0087】
実施例10:7−メトキシ−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法3に従って、3g(7.5ミリモル)の実施例6の化合物が75mlの1,2−ジクロロエタン中に溶解され、DLPで処理される。標題生成物がシリカゲルカラム上で精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(9:1))、エタノールで再結晶化されて、黄色の固体(m.p.=80℃)が、30%の収率で得られる。

【0088】
実施例11:(7−フルオロ−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1− イル)アセトニトリル
一般方法3に従って、61mlの1,2−ジクロロエタン中の2g(6.14ミリモル)の実施例7の化合物及び0.143g(0.61ミリモル)のCSAの溶液が還流に至らせられ、DLPで処理される。標題生成物がシリカゲルカラム上で精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(8:2))、石油エーテルで再結晶化され、黄色の固体(m.p.=126〜128℃)が、36%の収率で得られる。

【0089】
式(VA)又は(VB)のオキシムの製造
一般方法4:
エタノール(0.75ml)中に1ミリモルの式(IVA)又は(IVB)のテトラロンを含む溶液に、水(0.3ml)中の1.3当量のNHOH・HCl及び1.2当量の酢酸ナトリウムからなる別の溶液が添加される。得られる溶液は2時間還流に至らせられ、エタノールは真空下で蒸発除去され、反応混合物は酢酸エチルで抽出される。有機相は硫酸ナトリウム上で乾燥され、濾過され、真空下で濃縮される。
【0090】
実施例12:4−[(E)−ヒドロキシイミノ]−7−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法4に従って、2.1mlの水中の0.596g(9.24ミリモル)のNHOH・HCl及び1.16g(8.53ミリモル)の酢酸ナトリウムの溶液が、5.3mlのエタノール中の1.99g(7.11ミリモル)の実施例8のテトラロンの溶液に添加される。混合物は還流に至らせられ、記載された態様で処理される。次に標題生成物が石油エーテルから再結晶化され、黄色の固体(m.p.=110〜112℃)が、96%の収率で単離される。

【0091】
実施例13:4−[(E)−ヒドロキシイミノ]−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法4に従って、1.3mlの水中の0.362g(5.6ミリモル)のNHOH・HCl及び0.425g(5.17ミリモル)の酢酸ナトリウムの溶液が、3.2mlのエタノール中の1.14g(4.31ミリモル)の実施例9のテトラロンの溶液に添加される。混合物は還流に至らせられ、記載された態様で処理される。次に標題生成物が石油エーテルから再結晶化され、黄色の固体(m.p.=125〜128℃)が、92%の収率で単離される。

【0092】
実施例14:4−[(E)−ヒドロキシイミノ]−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法4に従って、0.065g(1.011ミリモル)のヒドロキシルアミン塩酸塩及び0.127g(0.933ミリモル)の酢酸ナトリウムの溶液が、0.2mlの水に溶解される。この溶液が、0.6mlのエタノール中に0.215g(0.778ミリモル)の実施例10のテトラロンを含む溶液に添加され、還流に至らせられる。処理後、標題生成物が石油エーテルで再結晶化され、黄色の固体(m.p.=114〜115℃)が、92%の収率で得られる。

【0093】
実施例15:{7−フルオロ−4−[(E)−ヒドロキシルイミノ]−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル}−アセトニトリル
一般方法4に従って、0.4mlの水中の0.165g(2.55ミリモル)のNHOH・HCl及び0.321g(2.36ミリモル)の酢酸ナトリウムの溶液が、0.9mlのエタノール中の0.4g(1.96ミリモル)の実施例11のテトラロンの溶液に添加される。混合物は還流に至らせられ、記載された態様で処理される。次に標題生成物が酢酸エチル/石油エーテルから再結晶化され、黄色の固体(m.p.=167〜168℃)を、78%の収率で与える。

【0094】
式(IA)又は(IB)のベンズアゼピンの製造
一般方法5
10mlのジクロロメタン中の1ミリモルの式(VA)又は(VB)のオキシムの溶液が、0℃においてジクロロメタン(10ml)中に4ミリモルのPClを含む別の溶液に滴加される。次に溶液は環境温度において2時間攪拌され、次にNaHCOの水性溶液で中和され、CHClで抽出され、硫酸ナトリウム上で乾燥され、濾過され、濃縮される。このようにして得られたオイルは10mlの酢酸中に溶解され、還流に至らせられ、6ミリモルの粉末化亜鉛がこの溶液にゆっくり添加され、還流が30分間、維持される。得られた混合物は、次に酢酸エチルで希釈され、セライト上で濾過されNaHCOの飽和溶液で洗浄され、真空下、濃縮される。この態様で得られた生成物は、次に1.5mlのTHFに溶解され、0℃における1.5mlのTHF中の2ミリモルのBH・THF錯体の溶液に滴加される。溶液は30分間、還流に至らせられ、冷却するに任され、次に酢酸の飽和溶液、数滴で処理され、THFは蒸発除去され、水性相はNaCOの水溶液で塩基性化され、CHC1で抽出される。得られた残渣はクロマトグラフィーで精製される。
【0095】
実施例16:2,2−ジメチルプロピオン酸の7−クロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル エステル
一般方法5に従って,37mlのCHC1中の1.1g(3.71ミリモル)の実施例12のオキシムの溶液が、37mlのCHC1中の3.1g(14.8ミリモル)のPClの溶液で処理される。このようにして単離された残渣は、35mlの酢酸に溶解され、次に1.4g(21.45ミリモル)のZnが添加される。5.5mlのTHF中のこのようにして得られた1.1g(3.71ミリモル)の生成物の溶液は、一般的な方法に従って5.5mlのTHF中でBH・THFの1M溶液で還元される。標題の生成物はシリカゲルカラム上で精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(9:1))、白色の固体(m.p.=65〜66℃)が40%の3段階に渡る収率で得られる。

【0096】
実施例17:フルオロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法5に従って、34mlのCHC1中の0.956g(3.42ミリモル)の実施例13のオキシムの溶液が、34mlのCHC1中の3.1g(13.6ミリモル)のPClの溶液で処理される。このようにして得られた残渣は、34mlの酢酸に溶解され、1.34g(20.5ミリモル)のZnが添加される。4.7mLのTHF中のこのようにして得られた0.875g(3.13ミリモル)の生成物の溶液は、一般的な方法に従って4.7mlのTHF中でBH・THFの1M溶液で還元される。標題の生成物がシリカゲルカラム上で精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸(9:1))、白色の固体(m.p.=58〜60℃)が61%の3段階に渡る収率で得られる。

【0097】
実施例18:7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法5に従って,3.4mlのCHC1中の0.1g(0.343ミリモル)の実施例14のオキシムの溶液が、第一にジクロロメタン(34ml)中の0.286g(1.37ミリモル)のPClで処理される。第二に、このようにして得られた反応未精製品は、酢酸(3.4ml)に溶解され、0.135g(2.05ミリモル)の粉末化されたZnが添加される。最後にアミドは、1mlのTHF中で0.68ml(0.68モル)のBH・THFの1M溶液で還元される。標題の生成物がシリカゲルカラム上で精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(9:1))、黄色のオイルが21%の3段階に渡る収率で得られる。

【0098】
実施例19:(7−フルオロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル)−アセトニトリル
一般方法5に従って、12mlのCHC1中の0.25g(1.14ミリモル)の実施例15のオキシムの溶液が、12mlのCHC1中の0.954g(4.58ミリモル)のPClの溶液で処理される。このようにして得られた残渣は、12mlの酢酸に溶解され、次に0.45g(6.87ミリモル)のZnが添加される。2mlのTHF中のこのようにして得られた0.25g(1.14ミリモル)の生成物の溶液は、一般的な方法に従って2mLのTHF中で2.3ml(2.3ミリモル)のBH・THFの1M溶液で還元される。標題の生成物がシリカゲルカラム上で精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸(9:1))、白色の固体(m.p.=74〜75℃)が39%の3段階に渡る収率で得られる。

【0099】
実施例20:3,3,7−トリクロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
0℃における1.5mlのCHCl中の0.28g(1.35ミリモル)PClの溶液に、同じ溶媒中の0.1g(0.338ミリモル)の実施例12のオキシムの溶液が添加される。次に、出発生成物が消えるまで、環境温度において反応は攪拌される。次に反応は0℃に冷却され、0.3mlのエタノール中の0.128g(3.38ミリモル)のNaBHの懸濁物が反応媒体に静かに添加される。反応が完了するまで、攪拌は0℃において維持される。最後に反応混合物はジクロロメタンで抽出される。有機相は硫酸ナトリウム上で乾燥され、濾過され、真空下で濃縮される。そのようにして得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィーにより精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(95:5))、48%の2工程に渡る収率で白色固体(m.p.103〜104℃)を与える。

【0100】
一般方法6:
ジクロロメタン中に溶解されたXミリモルのアミン及び4Xミリモルのトリエチルアミンを含む溶液(5ml/ミリモル)が、氷冷水の浴の中で0℃において攪拌される。5ml/ミリモルのジクロロメタン中に溶解された3Xミリモルの酸塩化物がこの溶液に滴加される。反応混合物は15分間0℃において放置され、次に環境温度まで戻ることを許される。出発生成物が完全に使用し尽くされたとき(約1時間)、数滴の飽和NaCO溶液の添加により塩基性化され、生成物は酢酸エチルで抽出される。溶液は乾燥され、濾過され、真空下で濃縮され、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製される。
【0101】
実施例21:2,2−ジメチルプロピオン酸7−クロロ−1−(2−メチル−4−ニトロベンゾイル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イルエステル
一般方法6に従って,2mlのジクロロメタン中の0.212g(1.06ミリモル)の2−メチル−4−ニトロベンゾイルクロライドが、0.1mlのクロロメタン中の0.1g(0.35ミリモル)の実施例16の化合物及び2ml(0.143g,1.41ミリモル)のトリエチルアミンの溶液に添加される。このようにして得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーで精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(9:1))、98%の収率で白色の固体(58〜60℃)を与える。

【0102】
実施例22:7−フルオロ−1−(2−メチル−4−ニトロベンゾイル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
一般方法6に従って,1mlのジクロロメタン中の0.05g(0.18ミリモル)の実施例17のベンズアゼピン、及び0.1ml(0.076g,0.75ミリモル)のトリエチルアミンの溶液が、0.112g(0.565ミリモル)の2−メチル−4−ニトロベンゾイルクロライドで処理される。このようにして得られた残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(9:1))、97%の収率で黄色オイルを与える。

【0103】
実施例23:1−(4−アミノ−2−メチルベンゾイル)−7−クロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベン[b]アゼピン−5−イル 2,2ジメチルプロピオネート
0.32g(1.68ミリモル)のSnClが、0.6mlのエタノール中の0.15g(0.337ミリモル)の実施例21の化合物及び及び0.2mlの濃塩酸の溶液に還流において添加される。出発生成物が完全に使用され尽くすまで(1時間30)、反応はこの温度において加熱される。それから反応は環境温度に戻ることが許され、溶液は、NaCOの飽和溶液の添加により塩基性化され、酢酸エチルで抽出され、NaSO上で乾燥され、濾過され、真空下で濃縮される。このようにして得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィーで精製され、溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(4:1)、82%の収率で白色結晶(m.p.=185〜186℃)を与える。

【0104】
実施例24:1−(4−アミノ−2−メチルベンゾイル)−7−フルオロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート
0.124g(0.654ミリモル)のSnClが、0.3mlのエタノール中の0.054g(0.130ミリモル)の実施例22の化合物及び及び0.1mlの濃塩酸の溶液に還流において添加される。出発生成物が完全に使用され尽くすまで(1時間30)、反応はこの温度において加熱される。それから反応は環境温度に戻ることが許され、溶液は、NaCOの飽和溶液の添加により塩基性化され、酢酸エチルで抽出され、NaSO上で乾燥され、濾過され、真空下で濃縮される。このようにして得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィーで精製され(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル(4:1))、82%の収率で白色結晶(m.p.=185〜186℃)を与える。

【0105】
実施例25:トルバプタン
一般方法6に従って、1mlのジクロロメタン中の0.05g(0.12ミリモル)の実施例23の化合物、及び0.07ml(0.048g,0.48ミリモル)のトリエチルアミンの溶液が、0.046g(0.301ミリモル)の2−メチル−4−ニトロベンゾイルクロライドで処理される。アシル化反応の未精製品は、次に1.5mlのエタノールに溶解され、2mlのNaOHの2N溶液が反応媒体に添加される。得られた溶液は2時間、50℃において加熱される。反応が冷却するのを許したのち、数ミリリットルの水が添加され、生成物が沈殿する。結晶は濾過乾燥され、冷水で洗浄され、メタノール/エーテルから再結晶化され、85%の2工程に渡る収率でトルバプタンを与える。この生成物のスペクトルの特徴は、文献において報告されたものに相当する。
【0106】
実施例26:フルオロトルバプタン
一般方法6に従って、1mlのジクロロメタン中の0.04g(0.10ミリモル)の実施例24の化合物、及び0.05ml(0.04g,0.40ミリモル)のトリエチルアミンの溶液が、0.046g(0.301ミリモル)の2−メチル−4−ニトロベンゾイルクロライドで処理される。アシル化反応の未精製品は、次に1mlのエタノールに溶解され、1.5mlのNaOHの2N溶液が反応媒体に添加される。得られた溶液は2時間、50℃において加熱される。反応が冷却するのを許したのち、数ミリリットルの水が添加され、生成物が沈殿する。結晶は濾過乾燥され、冷水で洗浄され、メタノール/エチルエーテルで再結晶化され、2工程に渡る定量的な収率で標題生成物(白色固体)を与える。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】OPC−41061誘導体を得るために現在使用されている合成経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(IA)の少なくとも1のベンズアゼピン化合物を一般式(IIA)の少なくとも1の化合物から製造する方法において、

ここで、
は、塩素、弗素、臭素、及びヨウ素から選択されたハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基、又は炭化水素に基づく環又はへテロ環、ポリマー鎖、又は基−(CH−OR、−CH(OR)(OR)、−(CH−SR、−(CH−S(O)R、−(CH−SO、−(CH−SONR、−(CH−SO、−(CH−NO、−(CH−CN、−(CH−PO(OR)(OR)、−(CH−SiR、−(CH−COOR、−(CH−NCOR、又は−(CHNRを表す、
、R及びRは、互いに独立して水素原子、アルキル、ハロアルキル、アシル、アリール、アルケニル、アリールアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アラルキル、又はアルカリール基、炭化水素に基づく環又はへテロ環を表す、
又はR及びRはそれらが結合している原子と一緒になってへテロ環を形成する、
mは0以上の整数を表す、
nは0、1、2、3、及び4から選択された整数を表す、但し、nが2以上であるとき、対応するR基は、同じであるか又は異なることができ、適切である場合には、一緒になって炭化水素に基づく環又はへテロ環を形成することが可能である、
、R、R、R、R及びRは互いに独立して、水素原子、塩素、弗素、及び臭素から選択されたハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基、又は炭化水素に基づく環又はヘテロ環、ポリマー鎖、又は基−(CH−OR、−CH(OR)(OR)、−(CH−SR、−(CH−S(O)R、−(CH−SO、−(CH−SONR、−(CH−SO、−(CH−NO、−(CH−CN、−(CH−PO(OR)(OR)、−(CH−SiR、−(CH−COOR、−(CH−NCOR、又は−(CH−NRを表す、ここでR,R,R及びmは、上で定義された通りである、
又は、R,R,R及びRは対になって炭化水素に基づく1以上の環又はへテロ環を形成する、ここでR,R,R及びRの少なくとも1は水素原子を表す、

ここで、
は、
(i)アルキル、アシル、アリール、アラルキル、アルケン、又はアルキン基、及び炭化水素に基づく環又はへテロ環、
(ii)−OR又は−SR基、ここでRは、
アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基、又は炭化水素に基づく環又はへテロ環、又はポリマー鎖、
−CRPO(OR)(OR)基、ここで
及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル又はパーフルオロアルキル基、炭化水素に基づく環又はへテロ環、又は−NO、−NCO、−CN基、又は−R,−SO,−OR,−SR,−NR,−COOR,−OCR,−CONR,−NRCORのタイプの基から選択された基を表す、ここでR及びRはそれぞれ独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、又は場合によってヘテロ環、アルカリール、アリールアルキル、又はへテロアリールと縮合していてもよいアリール基を表す、
又はR及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってC=O又はC=S基、又は炭化水素に基づく環又はヘテロ環を形成する、及び
及びRはそれぞれ互いに独立して、R基について上で与えられた定義の1つに対応する基を表す、
又はR及びRは一緒になって、2〜4の炭素原子を含む炭化水素に基づく鎖を形成し、場合によって鎖は−O−、−S−及び−NR−、ここでRは、R基について上で与えられた定義の1つに対応する、から選択された基で遮断されていてもよい、
から選択された基である、
(iii)−NR基、ここで
及びRは、互いに独立してアルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、エステル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基又は炭化水素に基づく環又はヘテロ環から選択された基を表す、又は
及びRは一緒になって、2〜4の炭素原子を含む炭化水素に基づく鎖を形成し、場合によって鎖は−O−、−S−又は−NR−基、ここでRは、R基について上で与えられた定義の1つに対応する、で遮断されていてもよい、
から選択された基を表す、
2aは、水素原子、ハロゲン原子、特にフッ素、塩素、又は臭素、アルキル、ハロアルキル、アシル、アリール、又はアリールアルキル基、又は炭化水素に基づく環又はへテロ環、ポリマー鎖、又は基−(CH−OR,−CH(OR)(OR),−(CH−SR,−(CH−S(O)R,−(CH−SO,−(CH−SONR,−(CH−SO,−(CH−NO,−(CHCN,−(CH−PO(OR)(OR),(CH−SiR,−(CH−COOR,−(CH−NCOR,又は−(CH−NRから選択された基を表す、ここでR,R、R及びmは、上で定義された通りであり、好ましくは水素原子である、
及びnは、上で定義された通りである、
以下の工程:
a 一般式(IIA)の上記化合物を一般式(A)の少なくとも1のオレフィンと反応させて、一般式(IIIA)の少なくとも1の化合物を得ること、

ここで、R,R,R及びRは、上で定義された通りである、但し、R,R,R及びR基の少なくとも1は水素原子を表す、

ここでR,R2a,R,R,R,R,Z及びnは、上で定義された通りである、
b 一般式(IIIA)の上記化合物をラジカルに基づく方法により環化させて、一般式(IVA)の少なくとも1のテトラロン化合物を得ること、

ここで、R,R2a,R,R,R,R及びnは上で定義された通りである、
c 一般式(IVA)の上記化合物を一般式(VA)の少なくともそのオキシム誘導体に転化すること、

ここで、R、R2a,R,R,R,R及びnは上で定義された通りである、
d 一般式(VA)の上記化合物をベックマン転移及び続く還元により、一般式(IA)の少なくとも1の化合物に転化すること、及び
e 一般式(IA)の上記化合物を回収すること、
を少なくとも含む方法。
【請求項2】
上記ベンズアゼピン化合物が、n=1であるところの一般式(IA)に相当することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基がパラ位にあることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ベンズアゼピン化合物が、Rがハロゲン原子又はアルコキシ基を表すところの一般式(IA)に相当することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記ベンズアゼピン化合物が、R及びRが互いに独立して水素原子又はアルキル基を表すところの一般式(IA)に相当する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記ベンズアゼピン化合物が、R及びRがそれぞれハロゲン原子、特に塩素、フッ素、又は臭素原子を表すところの一般式(IA)に相当する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式(IIA)の化合物において、ZがORを表し、特にRがC〜C12のアルキル基を表すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
一般式(A)のオレフィンが二置換されており、特に末端二置換又は環状であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
一般式(A)のオレフィンが一置換されており、特にR、R、及びRがそれぞれ水素原子を表すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
一般式(A)の上記オレフィンの置換基が、Oアシル基、及び−(CHCNタイプの基、ここでpは1〜10の範囲の整数を表す、から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
式(A)のオレフィンが
ビニルピバレート
アリルシアニド、及び
N−ビニルフタルイミド
から選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程aが、有効量の少なくとも1のラジカル開始剤、特にジラウロイルパーオキシド(DLP)の存在下で行われることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程bが、酸性媒体中で、特にカンファースルホン酸の存在下で行われることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
一般式(IB)の少なくとも1の化合物を、一般式(IVB)の少なくとも1の化合物から製造する方法において、

ここで
、R,R,R,R及びnは、請求項1〜6で定義された通りである、
Xは、O,NR,S,S(O),SO,SONRを表し,R及びRは、互いに独立して水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アリールアルキル、アルカリール、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基、又は炭化水素に基づく環又はへテロ環、又はポリマー鎖、適切な場合には置換されていてもよい、を表し
又はR及びRは、それらが結合している原子と一緒になってヘテロ環を形成する、

ここで、

,R,R,R,R,X及びnは、上で定義された通りである、及び
2aは、請求項1で定義された通りである、
以下の工程:
a’ 一般式(IVB)の上記化合物を一般式(VB)の少なくともそのオキシム誘導体に転化すること、

ここで、R,R2a,R,R,R,R,X及びnは、上で定義された通りである、
b’ 一般式(VB)の上記化合物をベックマン転移及び続く還元により、一般式(IB)の少なくとも上記化合物に転化すること、及び
c’ 一般式(IB)の上記化合物を回収すること、
を少なくとも含む方法。
【請求項15】
式(VA)又は(VB)のオキシム誘導体の製造からなる工程が、一般式(IVA)又は(IVB)の上記化合物を有効量のニトロメタン又はヒドロキシルアミンの存在下で入れることを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
式(VA)又は(VB)の生成物の回収、特に再結晶による回収、からなる工程をもまた含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ベックマン転移による化合物(VA)又は(VB)の転化が、有効量のPClの存在下で行われることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
PClが、式(VA)又は(VB)の化合物に対してモル過剰で使用されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ベックマン転移から誘導された生成物が、有効量の少なくとも1の金属還元剤、特に亜鉛、で還元されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
得られた還元生成物が有効量の還元剤、特にBH3、そして特にBH3・THFで処理されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ベックマン転移から誘導された生成物が、有効量のNaBH4で処理されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
一般式(IA)の化合物、

ここで
は、塩素、弗素、臭素、及びヨウ素から選択されたハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニル基、又は炭化水素に基づく環又はへテロ環、ポリマー鎖、又は基−(CH−OR、−CH(OR)(OR)、−(CH−SR、−(CH−S(O)R、−(CH−SO、−(CH−SONR、−(CH−SO、−(CH−NO、−(CH−CN、−(CH−PO(OR)(OR)、−(CH−SiR、−(CH−COOR、−(CH−NCOR、又は−(CH−NRを表す、ここで、R、R及びR及びmは、請求項1で定義された通りである、
、R、R、R、及びRは請求項1〜6で定義された通りである、
は=−XR、XRは請求項14で定義された通りである、
n=1である。
【請求項23】
7−クロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、
7−フルオロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、
7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾアゼピン−5−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、
(7−フルオロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル)−アセトニトリル,
3,3,7−トリクロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−lH−ベンゾ[b]アゼピン−5−イル,2,2−ジメチルプロピオネート、
及びそれらの誘導体、
から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
一般式(VB)の化合物、

ここで
、R2a、R、R、及びRは、請求項1〜6で定義された通りであり、XRは、請求項14で記載された通りであり、n=1である。
【請求項25】
4−[(E)−ヒドロキシイミノ]−7−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、
4−[(E)−ヒドロキシイミノ]−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2−ジメチルプロピオネート、及び
4−[(E)−ヒドロキシイミノ]−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル 2,2、ジメチルプロピオネート、及び
それらの誘導体、
から選択されることを特徴とする、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
一般式(VIA)のベンズアゼピン、

ここで、R,R,R,R,R,R,R及びnは、請求項22で記載された通りである、及び
10は、水素原子又はアルキル又はアシル基、特にメチル基を表す、
を製造する方法において、
請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法に従う、一般式(IIA)の化合物の一般式(IA)の化合物への転化を少なくとも含む方法。
【請求項27】
一般式(VIB)のベンズアゼピン、

ここで、
、R,R,R,R,R,XR及びnは、請求項22に記載された通りである、及び
10は、水素原子又はアルキル又はアシル基、特にメチル基を表す、
を製造する方法において、
一般式(IVB)の化合物の一般式(IB)の化合物への転化を少なくとも含む、請求項14〜21のいずれか1項に記載の方法に従う方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−526288(P2007−526288A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501325(P2007−501325)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050110
【国際公開番号】WO2005/085183
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(500531141)セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク (84)
【出願人】(506299412)エコール ポリテクニック (2)
【Fターム(参考)】