説明

ベースカップを備えた容器

【課題】容器の積み重ねができるベースカップ付きの容器を提供する。
【解決手段】着脱可能なキャップ6を有し、内容物の充填空間Mを形成する容器本体1と、この容器本体1の胴体下部もしくは底部に着脱自在に連結して該容器本体1を載置、保持するベースカップ4とを備えた容器において、前記筒体2に、その外壁にて一体成形され、エッジをその周りの少なくとも1箇所にて切り欠いた切欠部3aを有するリング3を設ける。そして、前記ベースカップ4には、その上端開口で容器本体1の胴体下部もしくは底部に着脱自在に係合する係合手段4cを有する周壁4aと、この周壁4aの下端にて一体連結され前記筒体2をリング3とともに内挿する下向きに開放されたドーム状の空間領域Mを区画する底壁4bにて構成し、該底壁4bに、前記リング3の切欠部3aにて適合させてベースカップ4を容器本体1に着脱自在に連結するバイヨネット式の連係部位4eを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースカップを備えた容器に関し、該容器の積層連結を容易に実現しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
乳液や化粧水、あるいは食品類等を入れる容器は、購買意欲を高めるために外観形状に工夫を加えたものが多数存在しているが、複数の容器を一体的に連結した状態で商品(例えば、化粧水と乳液、シャンプー、リンス及びボディソープ等)として販売されているようなものや容器同士をその上下において相互に連結してコンパクトな収納を可能とするものについての具体的な提案は今のところ存在しない。
【0003】
なお、炭酸飲料や清涼飲料水等を入れる合成樹脂製のブロー容器は、耐圧性、耐熱性が要求されることから、とくに容器の底部が球状に成形されるのが普通であってそのため、この種の容器は安定的に起立させるべくその底部にはベースカップが配置されている(例えば特許文献1参照)が、かかるベースカップは、容器同士を積み重ねることまでは想定されていないのが現状であった。
【特許文献1】実開平5−22336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、複数の容器を積層連結することができる新規な容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ねじ止め又はアンダーカットによる係合にて着脱可能なキャップを有し、内容物の取り出し口を形成する筒体と、この筒体と一体連結してその内側に内容物の充填空間を形成する容器本体と、この容器本体の胴体下部もしくは底部に着脱自在に連結して該容器本体を載置、保持するベースカップとを備えた容器であって、
前記筒体に、その外壁にて一体成形され、エッジをその周りの少なくとも1箇所にて切り欠いた切欠部を有するリングを設け、
前記ベースカップは、その上端開口で容器本体の胴体下部もしくは底部に着脱自在に係合する係合手段を有する周壁と、この周壁の下端にて一体連結され前記筒体をリングとともに内挿する下向きに開放されたドーム状の空間領域を区画する底壁からなり、
該底壁に、前記リングの切欠部にて適合させてベースカップを容器本体に着脱自在に連結するバイヨネット式の連係部位を設けたことを特徴とするベースカップを備えた容器である。
【0006】
上記の構成になる容器においては、 前記リングの切欠部に、前記連係部位に係合してベースカップをロックする突起を設けることができ、また、前記連係部位は、前記リングの下側面に当接して該リングをスライド可能に保持する誘導板と、該リングの上側面に位置し該誘導板との間にて該リングを挟持する複数の突起を設けることができる。
【発明の効果】
【0007】
容器の底部に配置されるベースカップを介して同等の形状を有する容器を複数連結することができるので、複数の容器を連結した一つの商品として販売できるだけでなく、容器の積み重ねによるコンパクトな収納が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明に従うベースカップを備えた容器の実施の形態を分解状態で示した外観斜視図であり、図2(a)〜(c)は容器の平面、側面及び底面図であり、図3(a)〜(c)はベースカップの平面、側面及び低面図である。
【0009】
図における1は内容物の充填空間を形成する容器本体、2は容器本体1に一体連結する筒体である。この筒体2は容器本体1の内容物を取り出すための取り出し口2aを形成する。
【0010】
また、3は筒体2に一体形成されたリング(ネックリング)である。このリング3はエッジの周りの少なくとも1箇所にて切り欠いた切欠部3aを有しており、該切欠部3aの側壁にはアンダーカットによる係合を実現するための突起3bが形成されている。
【0011】
4はベースカップである。このベースカップ4は上端開口を有する周壁4aと、この周壁4aの下端にて一体連結され、筒体2をリング3とともに内挿する下向に開放されたドーム状の空間領域M(図3(b)(c)参照)を区画する底壁4bからなっている。
【0012】
周壁4aの上端開口には容器本体1の胴体下部に設けられた環状溝1aにて着脱自在に係合(アンダーカット係合)する環状突起4cと、容器本体1の縦溝1bに適合して容器本体1とベースカップ4を相互に回転不能に維持する縦リブ4dが形成されており(図1参照)、底壁4bにはリング3の切欠部3aに適合させてベースカップ4を容器本体1に着脱自在に連結するバイヨネット式(差し込んで回転により固定するもの)の連係部位4e(図3(a)〜(c)参照)と、一対の窓孔4fが形成されている。
【0013】
さらに、5は周壁4aと底経記4bを相互につなぐとともに容器本体1の底部に当接して位置決めする縦リブ(図3(a)(b)参照)、6は筒体2にねじ係合(アンダーカットによる係合でもよい)して取り出し口2aを密封するキャップである。
【0014】
連係部位4eはリング3の下側面に当接してそれをスライド可能に保持する誘導板4eと、この誘導板4eの端部に一体的に設けられリング3の突起3bと係合するストッパー4eと、底壁4bの周りでリング3の上側面に位置して誘導板4eとの間にて挟持する複数の突起4e(縦リブ等)からなる。
【0015】
上記の構成になる容器は、図4に示すように、ベースカップ4の空間領域Mに別の容器1′の筒体2′をリング3′とともに内挿(差し込む)せしめ、リング3′の切欠部3a′と、ベースカップ4の連係部位4eを図5に示すように適合させるとともに、容器本体1′及びベースカップ4の少なくとも一方を回転させてリング3′を誘導板4eに沿わせてスライドさせることでその両者を連結するもので、切欠部3a′の一端がストッパー4eに当接し、それと同時に切欠部3a′の突起3b′がストッパー4eを乗り越えることで図6に示すように容器とベースカップ3はロックされ連結状態を維持する。
【0016】
ベースカップ4と他の別の容器とは図示のようなバイヨネット式の連係部位4eを適用することができるが、ベースカップ4と容器とを簡単に連結、解除することが可能であれば、図示のものには限定されない。
【0017】
また、ベースカップ4の底壁4bにはその表裏において貫通する窓孔4fを設けたが、この窓孔4fは必要に応じて設けられるもので、その設置は任意となる。
【0018】
本発明に従う容器は、ベースカップ4を介して複数積層配置することが可能で、例えば、3つの容器をワンセットにして一つの商品として販売することができるし、容器の相互重ね合わせによりコンパクトな収納が可能となる。
【0019】
ベースカップ4は容器本体1の胴部下部でアンダーカット係合させる場合を例として示したが、ベースカップ4は容器本体1の底部で係合させてもよく、この点についても限定はされない。
【0020】
ベースカップ4は、底壁4bを下向に開放されたドーム状にしてそこに区画される空間領域Mに筒体2をリング3とともに内挿することとし、これに伴い容器本体1の底部には該底壁4bを入れ込むための凹部1c(図2(b)(c)参照)を形成することが可能で、これにより容器を積み重ねた時の全体の長さの短縮化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
複数の容器を連結して一体ものとして販売に供することが可能で、また、積層配置によってコンパクトに収納できるベースカップ付きの容器が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従うベースカップ付き容器の実施の形態を示した図である。
【図2】(a)〜(c)は図1に示した容器の本体部分の平面、側面及び底面を示した図である。
【図3】(a)〜(c)は図1に示した容器のベースカップの平面、側面及び底面を示した図である。
【図4】図1に示した容器を積み重ねた状態を示した図である。
【図5】ベースカップと容器本体との連結状態を説明した図である。
【図6】ベースカップと容器本体との連結状態を説明した図である。
【符号の説明】
【0023】
1、1′ 容器本体
1a 凹部
2、2′ 筒体
2a 取り出し口
3、3′ リング
3a、3a′ 切欠部
3b 突起
4 ベースカップ
4a 周壁
4b 底壁
4c 環状突起
4d 縦リブ
4e 連係部位
4e 誘導板
4e ストッパー
4e 突起
4f 窓孔
5 縦リブ
6 キャップ
M 空間領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ止め又はアンダーカットによる係合にて着脱可能なキャップを有し、内容物の取り出し口を形成する筒体と、この筒体と一体連結してその内側に内容物の充填空間を形成する容器本体と、この容器本体の胴体下部もしくは底部に着脱自在に連結して該容器本体を載置、保持するベースカップとを備えた容器であって、
前記筒体に、その外壁にて一体成形され、エッジをその周りの少なくとも1箇所にて切り欠いた切欠部を有するリングを設け、
前記ベースカップは、その上端開口で容器本体の胴体下部もしくは底部に着脱自在に係合する係合手段を有する周壁と、この周壁の下端にて一体連結され前記筒体をリングとともに内挿する下向きに開放されたドーム状の空間領域を区画する底壁からなり、
該底壁に、前記リングの切欠部にて適合させてベースカップを容器本体に着脱自在に連結するバイヨネット式の連係部位を設けたことを特徴とするベースカップを備えた容器。
【請求項2】
前記リングの切欠部に、前記連係部位に係合してベースカップをロックする突起を有する請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記連係部位は、前記リングの下側面に当接して該リングをスライド可能に保持する誘導板と、該リングの上側面に位置し該誘導板との間にて該リングを挟持する複数の突起を有する請求項1又は2記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−176581(P2007−176581A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378887(P2005−378887)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】