ベースブロック及び該ベースブロックを用いた一組の高床構造体用コンクリートブロック
【課題】タイル工事等と同等の意匠性を確保しつつ、ウッドデッキに用いられる豊富なデザインを有する床材を選択できる施工作業性に優れた高床構造体を提供すること。
【解決手段】天端レベルがグランドレベルGLよりも高い位置に設置される高床構造体用の平板状床材30に高さを付与するためのベースブロック10である。ベースブロック10は、上面12及び下面13の中央部が開口11b、11cした高さ方向に中空部11を有する部材から構成され、少なくとも平面方向に向けて配列可能であって、ベースブロック10の上面12には平板状床材30を固定するための床材取付孔(平板取付孔14、根太取付孔15)が設けられている。このベースブロック10は、平板取付孔14に対応した位置に取付用貫通孔31が設けられている平板状コンクリートブロック30と組み合わせて一組の高床構造体用コンクリートブロックとして利用される。
【解決手段】天端レベルがグランドレベルGLよりも高い位置に設置される高床構造体用の平板状床材30に高さを付与するためのベースブロック10である。ベースブロック10は、上面12及び下面13の中央部が開口11b、11cした高さ方向に中空部11を有する部材から構成され、少なくとも平面方向に向けて配列可能であって、ベースブロック10の上面12には平板状床材30を固定するための床材取付孔(平板取付孔14、根太取付孔15)が設けられている。このベースブロック10は、平板取付孔14に対応した位置に取付用貫通孔31が設けられている平板状コンクリートブロック30と組み合わせて一組の高床構造体用コンクリートブロックとして利用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポーチ、テラスデッキ等の高床構造体を敷設する際の平板状床材の高さを付与するためのベースブロック及び該ベースブロックを用いた一組の高床構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅建築では、玄関口や勝手口にポーチを形成し、或いは庭に面した部位にテラスを形成することがある。このようなポーチ或いはテラスは、天端レベルがグランドレベルよりも高い位置に設定されるため、打設された土間コンクリートにレベル調整しながらタイル工事を行って構築するのが一般的である。
【0003】
一方、天端レベルがグランドレベルよりも高い位置に設置される高床構造体として、ウッドデッキが一般的に広く普及している。このようなウッドデッキの施工は、例えば、縦横方向に所定間隔をあけて配置された束の上に平行に複数本の大引を固定し、これら大引に直交して複数本の根太を載置し、金具等で固定すると共に、これら根太の上面に、複数枚の床板を根太に対して直交して固定した構成が一般的である(例えば、特許文献1参照。)。ウッドデッキ用の床板は、天然木材のみならず、近年合成木と呼称される合成樹脂製の床材が提案されている。このような樹脂製の床材は、天然木材に比べて耐久性が良好であり、かつ、テラスデッキ等の床材としてのデザインが豊富で、廉価であるという特徴を備え、その普及は急激に拡大しつつある。
【特許文献1】特開2007−2305号公報(従来技術の欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なウッドデッキでは、床材のデザインは豊富であるが、高床構造体としての側面より見た意匠性が確保しにくいという課題がある。
【0005】
一方、タイル工事によれば外観体裁は良好であるが、タイルをモルタルにて固定する工事は、床材としてのタイルの取り外しや交換が一般的には困難であるという課題がある。また、床材としてのタイルのレベル調整を行いつつ敷き並べる作業は高度な熟練が必要である。このため、仕上がり状態は施工者の技量に左右されるという課題がある。
【0006】
このような状況下で、レベル調整や敷き並べ作業が確実に行える熟練職人の数は減少する傾向にある。まして、タイル工事職人であって、かつ、木材等の寸法切り出し作業なども自由に行える職人の数は極めて限定される。
【0007】
そこで、本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、タイル工事等と同等の意匠性を確保しつつ、ウッドデッキに用いられる豊富なデザインを有する床材を選択できる施工作業性に優れた高床構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、この発明は、天端レベルがグランドレベルよりも高い位置に設置される高床構造体用の平板状床材に高さを付与するためのベースブロックであって、
該ベースブロックは、上面及び下面の中央部が開口した高さ方向に中空部を有する部材から構成され、少なくとも平面方向に向けて配列可能であって、
前記ベースブロックの上面には、前記平板状床材を固定するための床材取付孔が設けられていることを特徴とするベースブロックである。
【0009】
このように構成すれば、ベースブロックは、上面及び下面の中央部が開口した高さ方向に中空部を有する部材から構成されているので軽量に提供でき、かつ、組立施工後は、タイル工事等と同等の側面方向の意匠性を確保することができる。
【0010】
また、このベースブロックの上面には、平板状床材を固定するための床材取付孔が設けられているので、この床材取付孔を用いてウッドデッキ用の平板状床材を固定することもできる。
【0011】
また、このような高床構造体の施行は、ウッドデッキ用の平板状床材を固定する作業が簡易であるので、タイル工事職人でも容易に施工できるという特徴を有する。
【0012】
これにより、タイル工事等と同等の意匠性を確保しつつ、ウッドデッキと同等の床材のデザイン性を確保できる施工作業性に優れた高床構造体を提供することができる。
【0013】
ここで、前記床材取付孔は、位置決め機能を有すると共に、前記ベースブロック上面の各辺には、隣接するブロック間を跨って連結するための連結用溝が設けられていることが好ましい。
【0014】
このように構成すれば、ブロックを平面方向(前後方向及び左右方向)に配列させ、隣接するブロック間を連結部材により連結させれば、ブロック間のレベル調整及び通り調整が簡易にかつ正確に行える。また床材取付孔を用いて平板状床材を取り付ければ、平板状部材のレベル調整及び通り調整も簡易に確実に行える。
【0015】
また、このように構成すれば、ブロック間の固定には連結部材を用いるので、モルタル施工が不要となる。これにより、施工現場での組立施工が容易となり、かつ、ベースブロックの解体・再利用を図ることもできる。
【0016】
ここで、平板状床材は床材取付孔に直接固定してもよいが他の部材を介して取り付け固定してもよい。そのような他の部材としては、この床材取付孔に対応した位置に設けられたブロック固定部と、平板状床材を位置決め固定するための床材固定部とを備えた床材取付用部材を例示することができる。
【0017】
前記連結用溝の深さは、隣接するブロック間を跨って連結するための連結部材の厚みよりも深く形成すれば、連結部材によりブロック間を締結固定した状態で、この連結用溝をブロック内と外部との通風を図るための通風口として利用することもできる。
【0018】
前記コンクリートブロックの上面には、モルタル溝が形成されていることが好ましい。これにより、このモルタル溝を利用して上下方向(鉛直方向)にコンクリートブロックを積み重ねたり、また、モルタル溝を利用して、床材取付孔への固定部を有しない一般的に広く普及している平板状コンクリートブロックを平板状床材として利用することもできる。
【0019】
ここで、このモルタル溝は、幅方向の断面が、例えば、半円形状、半楕円形状、逆U字形状、鋭角の三角断面形状、など自由である。
【0020】
また、前記床材取付孔は、異なる規格に対応した床材にそれぞれ対応する複数種類の取付孔が設けられていることが好ましい。
【0021】
このように構成すれば、前記床材取付孔は、異なる規格に対応した床材にそれぞれ対応する複数種類の取付孔が設けられているので、規格の異なる床材を、本発明に係るベースブロックの上に固定させることができる。そのような床材取付孔としては、例えば、合成床材を取り付けるためのアルミ製の方形の根太を取り付けるための床材取付孔(根太取付孔)、及び平板状コンクリートブロックを取り付けるための平板取付孔が例示される。これにより、ベースブロックの上に合成床材を施工して利用したり、平板状コンクリートブロックを施工することもできる。
【0022】
また、上記ベースブロックは、該ベースブロックの床材取付孔に対応した位置に取付用貫通孔が設けられている平板状コンクリートブロックと組み合わせて一組の高床構造体用コンクリートブロックとして利用することもできる。
【0023】
このような構成によれば、平板状コンクリートブロックの取付用貫通孔及びベースブロックの床材取付孔を利用して平板状コンクリートブロックをベースブロックの上面に螺合部材などにより固定することにより、平板状コンクリートブロックの通り調整が正確に行える。
【0024】
このような構成によれば、螺合部材を平板状コンクリートブロックの上面から用いるので、施工後の床板表面に取付用貫通孔や螺合部材の頭部が視認可能となるが、設計当所から取付用貫通孔や螺合部材の頭部を考慮したデザインを行えば、デッキの外観体裁を損傷することはない。
【0025】
また、施工後において平板状床材を交換する必要が生じた場合、交換対象の平板状コンクリートブロックに固定された螺合部材の螺合を解除するだけで平板状コンクリートブロックを取り外すことができるので交換作業は容易である。
【0026】
なお、このコンクリートブロックに代えてその他の平板状床材を用いてもよいことはいうまでもない。そのような平板状床材としては、例えば、タイル、セラミック、金属などを例示することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に従えば、タイル工事と同等の意匠性を確保しつつ、ウッドデッキに用いられる豊富なデザインを有する床材を選択できる施工作業性に優れた高床構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1〜図4は、本発明に係るベースブロックを説明する図である。これらの図において、符号10はベースブロックであって、このベースブロック10は、平面視の形状が一般的な平板状コンクリートブロックと略同一の略方形のコンクリート製ブロックである。ここで、この実施例に係るベースブロックは、約30cm角の略正方形であり、その高さは約10〜20cm(例えば、14cm)である。
【0030】
このベースブロック10は、高さ方向に中空部11を有し、ベースブロック10の上面12及び下面13にはそれぞれ中空部11に連なる上部開口11b,下部開口11cが形成されている。上面12の四隅には、図2に示すように、それぞれ対称に床材取付孔14、15が設けられている。また、上面12の各辺には、断面が三角形のモルタル溝16が形成され、また各辺の中央部分には連結用溝17が外壁面10aから内壁面11aに向けて各辺を横断して設けられている。隅よりの床材取付孔(合計4箇所)14は、後述する平板状床材(平板状コンクリートブロック)30を固定するための平板取付孔であり、中央より床材取付孔(各2箇所、合計8箇所)15は後述する合成床材(平板状床材)40取付用の根太(床材取付用部材)50を固定するための根太取付孔である。
【0031】
ここで、連結用溝17の深さd(図4)は限定されないが、例えば、3〜5mm程度であり、後述する連結部材(ベース連結金具20)の厚みtよりも深く(d>t)形成させることにより、連結された状態で厚みtと深さとの差Δ(Δ=d−t)を隣接するベースブロック10、10間の通気口として利用できる。
【0032】
ここで、ベースブロック10の外壁面10a及び中空部11の内壁面11aは上下方向に互いに平行であり、また、根太取付孔15の内壁面15aは、図4に示すように、上方に向けて直径Dが拡大した形状となっている。もう一方の根太取付孔15の内壁面及び平板取付孔14の内壁面も図4に示すと同様に、上方に向けて直径が拡大した略同一形状となっている。
【0033】
このようなベースブロック10は、コンクリートブロック材料を充填し、必要により振動、圧縮を行う、即脱式コンクリートブロックの製造方法により簡易に、かつ、廉価に大量製造が可能である。この場合、コンクリートブロックを製造するための型枠としては、例えば、底面に連結用溝17,モルタル溝16等に相当する凹凸を備えた底型と、中空部11及び平板取付孔14,根太取付孔15に相当する中子が用いられる。
(ベースブロックの施工例)
以上説明のベースブロック10を用いた施工例について、図5〜図7を参照しつつベースブロック10の上に平板状コンクリートブロック30を敷設する例について説明する。
【0034】
ベースブロック10は、図5、図6に示すように、概略平らに整地された敷設面1の上に平面方向(左右及び前後方向)に敷き並べられる。ベースブロック10が接地される敷設面(地面)1には、砂とセメントと水少々を空練りしたパサモルなどにより基礎2を築いておく。一方、通り調整(目地を揃えるための水平方向のズレ調整)が行いやすいように、図5に示すように、長手方向に延びる板材(位置決め補助部材)3を互いに直交させて敷設面1に配設する。
【0035】
この位置決め補助部材3に沿って、複数のベースブロック10を適宜水平調整及びレベル調整(垂直方向の位置ズレ調整)しつつ前後左右の平面方向に配設する。
【0036】
互いに隣接するベースブロック10、10間をベース連結金具(連結部材)20により固定する。このベース連結金具20は、例えば、厚みtが1〜3mm程度のステンレス製のコの字状部材であって、隣接したベースブロック10,10の連結用溝17,17を跨って圧入することにより、隣接するベースブロック10、10の外壁面10a,10aが互いに弾性的に圧設されて固定される。
【0037】
ここで、連結用溝17,17及びベース連結金具20の形状は自由であるが、例えば連結用溝17,17の形状をベース連結金具20と嵌合形状とすることにより、この連結用溝17,17とベース連結金具20とを嵌合させて連結させた場合に隣接するベースブロック10,10間の相対位置を位置決めする位置決め部材として利用することもできる。
【0038】
ついで、図6に示すように、中空部11に位置するパサモルをベースブロック10の内壁面11aに向けて寄せ、残余の空間部11には適宜量の砕石4を充填する。
【0039】
モルタル溝16に適宜の量の目地モルタル5を充填させ、ベースブロック10を高さ方向に積み重ねることもできる。これにより、ベースブロック10は、2段又は3段程度に積み重ねることができる。
【0040】
パサモルに水分を与えることによりパサモルを固化させ、ベースブロック10の位置を敷設面1に対して固定させる。
(市販の平板状コンクリートブロックの施工例)
一般的な平板状コンクリートブロックを積み重ねる場合には、図6に示すように、モルタル溝16に適宜の目地モルタル5を充填させて平板状コンクリートブロック7を積み重ねることにより平板施工を行うことができる。
【0041】
目地モルタル5に代えてボンドなどの接着剤5で固定してもよい。このように、ボンドなどの接着剤を用いれば、モルタル溝16の無いベースブロック10(変形例に係るベースブロックで不図示。)を用いることもできる。
【0042】
これにより、ベースブロック10の作用により、平板状コンクリートブロック7の天端レベルをグランドレベルGLより高めることができ、本発明に係る高床構造体の一例を施工することができる。
(本発明に好適に用いられる平板状コンクリートブロック)
上述のベースブロック10と一組の高床構造体用コンクリートブロックを構成する平板状コンクリートブロックとして、図7に示すように、四隅に取付用貫通孔31が予め形成されている平板状コンクリートブロック30が用いられる。この取付用貫通孔31は、ベースブロック10の平板取付孔14に対応する位置に穿設されている。
【0043】
このような平板状コンクリートブロック30は、取付用貫通孔31に相当する部分の底部に中子を備えた型を用いて、上方からコンクリートブロック材料を充填し、必要により振動、圧縮を行う即脱式コンクリートブロックの製造方法により簡易に、かつ、廉価に大量製造が可能である。
(本発明に係る平板状コンクリートブロックの施工例)
平板取付孔14には、ナイロン樹脂製のディップなどのビス止め固定部材を圧入させておく。取付用貫通孔31の位置が平板取付孔14の位置に合致するようにベースブロック10の上に平板状コンクリートブロック30を載置させる。ベースブロック10と平板状コンクリートブロック30との間に、ゴム材等の緩衝材(例えば、ピアス黒ゴム)を介在させることが好ましい。
【0044】
ついで、ステンレス製の取付ビス33により平板状コンクリートブロック30をベースブロック10の上面12に螺合固定させる。ビス止めによりディップが開いて、図8に示すように、ベースブロック10の上面12に確実に平板状コンクリートブロック30が固定される。天端レベルの調整は、例えば、ベースブロック10と平板状コンクリートブロック30との間に挿入される緩衝材の挿入枚数や厚み調整により行える。
【0045】
このように構成すれば、平板状コンクリートブロック30のベースブロック10への固定が螺合固定であるので、平板状コンクリートブロック30の交換が容易に行える。
【0046】
また、連結用溝17の深さdをベース連結金具20の厚みtよりも深く(d>t)形成すれば、ベース連結金具20によりブロック間を締結固定した状態で、この連結用溝17をベースブロック10の中空部11と外部との通風を図るための通風口として利用することもできる。
【0047】
なお、図8に示す平板状コンクリートブロック30では、平板の中央部に大きな貫通孔32が設けられているものが一部に用いられている。この貫通孔32は、例えば、手摺り等を敷設するための貫通孔であるが、手摺りに限らず、適宜の構造物を付加的に取り付けることができる。
(合成床材の施工例)
つぎに、合成床材をベースブロック10の上面12に施工する例について図9〜図11を参照しつつ説明する。
【0048】
まず、図9は、合成床材を取り付けるための床材取付用部材としての根太50を説明する図である。この図において根太50は、図9(b)に示す断面を備えたアルミニウ押し出し成型品からなる4片の長尺部材(51〜54)を方形の枠体に接合して構成されている。
【0049】
各長尺部材(51〜54)の上面は、床材取付面となる内側載置面50a、外側載置面50cとそれらの載置面50a、50cとの間の窪んだ窪み面50bとから形成され、この中央の窪み面50bと載置面50a、50cとの間には窪み空間56が形成されている。また、各長尺部材(51〜54)の下面は、平坦なブロック設置面50dとされている。
【0050】
各長尺部材(51〜54)の両末端付近(根太50の四隅付近)の窪み面50b及びブロック接地面50dであってベースブロック10の根太取付孔15に対応した位置にはそれぞれベースブロックへの取付用貫通孔55b、55d(各長尺部材に2箇所、合計8箇所)が穿設されている。また、この根太50には、合成床材40に予め設けられている取付用貫通孔41に対応する位置に、タップ立て(不図示)されているのが好ましい。
【0051】
これにより、図10に示すように、隣接するベースブロック10、10間が連結部材20により連結された4個のベースブロック10…に跨って一つの根太50を載置させる。
【0052】
ステンレス製の取付ビス34の尾部を取付用貫通孔55b、55dを貫通させて根太50をベースブロック10の上面12に螺合固定させる。取付ビス34の尾部によりディップ(図面では、ディップは省略されている。)が開いて、図11に示すように、ベースブロック10の上面12に確実に根太50が固定される。
【0053】
ついで、合成床材40に予め設けられている取付用貫通孔41に取付用ビス43を貫通させて根太50に螺合固定させる。このとき、予め根太50にタップが設けられていると施工現場での施工工数を少なくすることができ、また、螺合させることにより合成床材40を正確に取り付けることができる。
【0054】
合成床材40の天端レベルの調整は、例えば、ベースブロック10と平板状コンクリートブロック30との間に挿入される緩衝材の挿入枚数や厚み調整により行える。
【0055】
一般的に、市販の合成床材は、長手方向に延びる板状部材であり、市販の平板状コンクリートブロックとは縦及び横の寸法規格が完全には一致していない。しかしながら、例えば、ベースブロック10として、約30cmを単位寸法とするブロックを用いる場合には、一つ又は複数個のベースブロック10を単位として、いわゆる尺モジュールの合成床材の規格に合致させることが可能となる。
【0056】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るベースブロックを説明する斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の底面図である。
【図4】図2のA−A線で切断した際の端面図である。
【図5】本発明に係るベースブロックの敷設例を説明する斜視図である。
【図6】一般的な平板状コンクリートブロックを本発明に係るベースブロックに敷設した敷設例を側面より説明する図である。
【図7】本発明の平板状コンクリートブロックを説明する図であり、図7(a)はその平面図、図7(b)は側面図である。
【図8】図7の平板状コンクリートブロックを用いた施工例を説明する図である。
【図9】合成床材を施工する際に用いられる床材取付用部材としての根太を説明する図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は図9(a)の長尺部材51をB−B線で切断した場合の拡大断面図である。
【図10】図9の根太の取付状況を説明する図である。
【図11】図9の根太を介して合成床材を固定する施工例を説明する図である。
【符号の説明】
【0058】
d:深さ
t:厚み
D:直径
GL:グランドレベル
1:敷設面(地面)
2:基礎
3:位置決め補助部材
4:砕石
5:目地モルタル又はボンド(接着剤)
10:ベースブロック
10a:外壁面
11:中空部
11a:内壁面
11b:上部開口
11c:下部開口
12:上面
13:下面
14:平板取付孔(床材取付孔)
15:根太取付孔(床材取付孔)
15a:内壁面
16:モルタル溝
17:連結用溝
20:ベース連結金具(連結部材)
30:平板状コンクリートブロック(平板状床材)
31:取付用貫通孔
32:手摺り取付用貫通孔
33:取付ビス
34:取付ビス
40:合成床材(平板状床材)
41:取付用貫通孔
43:取付用ビス
50:根太(床材取付用部材)
50a:内側載置面
50b:窪み面
50c:外側載置面
50d:ブロック設置面
51、52、53、54:長尺部材
55b、55d:取付用貫通孔
56:窪み空間
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポーチ、テラスデッキ等の高床構造体を敷設する際の平板状床材の高さを付与するためのベースブロック及び該ベースブロックを用いた一組の高床構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅建築では、玄関口や勝手口にポーチを形成し、或いは庭に面した部位にテラスを形成することがある。このようなポーチ或いはテラスは、天端レベルがグランドレベルよりも高い位置に設定されるため、打設された土間コンクリートにレベル調整しながらタイル工事を行って構築するのが一般的である。
【0003】
一方、天端レベルがグランドレベルよりも高い位置に設置される高床構造体として、ウッドデッキが一般的に広く普及している。このようなウッドデッキの施工は、例えば、縦横方向に所定間隔をあけて配置された束の上に平行に複数本の大引を固定し、これら大引に直交して複数本の根太を載置し、金具等で固定すると共に、これら根太の上面に、複数枚の床板を根太に対して直交して固定した構成が一般的である(例えば、特許文献1参照。)。ウッドデッキ用の床板は、天然木材のみならず、近年合成木と呼称される合成樹脂製の床材が提案されている。このような樹脂製の床材は、天然木材に比べて耐久性が良好であり、かつ、テラスデッキ等の床材としてのデザインが豊富で、廉価であるという特徴を備え、その普及は急激に拡大しつつある。
【特許文献1】特開2007−2305号公報(従来技術の欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なウッドデッキでは、床材のデザインは豊富であるが、高床構造体としての側面より見た意匠性が確保しにくいという課題がある。
【0005】
一方、タイル工事によれば外観体裁は良好であるが、タイルをモルタルにて固定する工事は、床材としてのタイルの取り外しや交換が一般的には困難であるという課題がある。また、床材としてのタイルのレベル調整を行いつつ敷き並べる作業は高度な熟練が必要である。このため、仕上がり状態は施工者の技量に左右されるという課題がある。
【0006】
このような状況下で、レベル調整や敷き並べ作業が確実に行える熟練職人の数は減少する傾向にある。まして、タイル工事職人であって、かつ、木材等の寸法切り出し作業なども自由に行える職人の数は極めて限定される。
【0007】
そこで、本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、タイル工事等と同等の意匠性を確保しつつ、ウッドデッキに用いられる豊富なデザインを有する床材を選択できる施工作業性に優れた高床構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、この発明は、天端レベルがグランドレベルよりも高い位置に設置される高床構造体用の平板状床材に高さを付与するためのベースブロックであって、
該ベースブロックは、上面及び下面の中央部が開口した高さ方向に中空部を有する部材から構成され、少なくとも平面方向に向けて配列可能であって、
前記ベースブロックの上面には、前記平板状床材を固定するための床材取付孔が設けられていることを特徴とするベースブロックである。
【0009】
このように構成すれば、ベースブロックは、上面及び下面の中央部が開口した高さ方向に中空部を有する部材から構成されているので軽量に提供でき、かつ、組立施工後は、タイル工事等と同等の側面方向の意匠性を確保することができる。
【0010】
また、このベースブロックの上面には、平板状床材を固定するための床材取付孔が設けられているので、この床材取付孔を用いてウッドデッキ用の平板状床材を固定することもできる。
【0011】
また、このような高床構造体の施行は、ウッドデッキ用の平板状床材を固定する作業が簡易であるので、タイル工事職人でも容易に施工できるという特徴を有する。
【0012】
これにより、タイル工事等と同等の意匠性を確保しつつ、ウッドデッキと同等の床材のデザイン性を確保できる施工作業性に優れた高床構造体を提供することができる。
【0013】
ここで、前記床材取付孔は、位置決め機能を有すると共に、前記ベースブロック上面の各辺には、隣接するブロック間を跨って連結するための連結用溝が設けられていることが好ましい。
【0014】
このように構成すれば、ブロックを平面方向(前後方向及び左右方向)に配列させ、隣接するブロック間を連結部材により連結させれば、ブロック間のレベル調整及び通り調整が簡易にかつ正確に行える。また床材取付孔を用いて平板状床材を取り付ければ、平板状部材のレベル調整及び通り調整も簡易に確実に行える。
【0015】
また、このように構成すれば、ブロック間の固定には連結部材を用いるので、モルタル施工が不要となる。これにより、施工現場での組立施工が容易となり、かつ、ベースブロックの解体・再利用を図ることもできる。
【0016】
ここで、平板状床材は床材取付孔に直接固定してもよいが他の部材を介して取り付け固定してもよい。そのような他の部材としては、この床材取付孔に対応した位置に設けられたブロック固定部と、平板状床材を位置決め固定するための床材固定部とを備えた床材取付用部材を例示することができる。
【0017】
前記連結用溝の深さは、隣接するブロック間を跨って連結するための連結部材の厚みよりも深く形成すれば、連結部材によりブロック間を締結固定した状態で、この連結用溝をブロック内と外部との通風を図るための通風口として利用することもできる。
【0018】
前記コンクリートブロックの上面には、モルタル溝が形成されていることが好ましい。これにより、このモルタル溝を利用して上下方向(鉛直方向)にコンクリートブロックを積み重ねたり、また、モルタル溝を利用して、床材取付孔への固定部を有しない一般的に広く普及している平板状コンクリートブロックを平板状床材として利用することもできる。
【0019】
ここで、このモルタル溝は、幅方向の断面が、例えば、半円形状、半楕円形状、逆U字形状、鋭角の三角断面形状、など自由である。
【0020】
また、前記床材取付孔は、異なる規格に対応した床材にそれぞれ対応する複数種類の取付孔が設けられていることが好ましい。
【0021】
このように構成すれば、前記床材取付孔は、異なる規格に対応した床材にそれぞれ対応する複数種類の取付孔が設けられているので、規格の異なる床材を、本発明に係るベースブロックの上に固定させることができる。そのような床材取付孔としては、例えば、合成床材を取り付けるためのアルミ製の方形の根太を取り付けるための床材取付孔(根太取付孔)、及び平板状コンクリートブロックを取り付けるための平板取付孔が例示される。これにより、ベースブロックの上に合成床材を施工して利用したり、平板状コンクリートブロックを施工することもできる。
【0022】
また、上記ベースブロックは、該ベースブロックの床材取付孔に対応した位置に取付用貫通孔が設けられている平板状コンクリートブロックと組み合わせて一組の高床構造体用コンクリートブロックとして利用することもできる。
【0023】
このような構成によれば、平板状コンクリートブロックの取付用貫通孔及びベースブロックの床材取付孔を利用して平板状コンクリートブロックをベースブロックの上面に螺合部材などにより固定することにより、平板状コンクリートブロックの通り調整が正確に行える。
【0024】
このような構成によれば、螺合部材を平板状コンクリートブロックの上面から用いるので、施工後の床板表面に取付用貫通孔や螺合部材の頭部が視認可能となるが、設計当所から取付用貫通孔や螺合部材の頭部を考慮したデザインを行えば、デッキの外観体裁を損傷することはない。
【0025】
また、施工後において平板状床材を交換する必要が生じた場合、交換対象の平板状コンクリートブロックに固定された螺合部材の螺合を解除するだけで平板状コンクリートブロックを取り外すことができるので交換作業は容易である。
【0026】
なお、このコンクリートブロックに代えてその他の平板状床材を用いてもよいことはいうまでもない。そのような平板状床材としては、例えば、タイル、セラミック、金属などを例示することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に従えば、タイル工事と同等の意匠性を確保しつつ、ウッドデッキに用いられる豊富なデザインを有する床材を選択できる施工作業性に優れた高床構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1〜図4は、本発明に係るベースブロックを説明する図である。これらの図において、符号10はベースブロックであって、このベースブロック10は、平面視の形状が一般的な平板状コンクリートブロックと略同一の略方形のコンクリート製ブロックである。ここで、この実施例に係るベースブロックは、約30cm角の略正方形であり、その高さは約10〜20cm(例えば、14cm)である。
【0030】
このベースブロック10は、高さ方向に中空部11を有し、ベースブロック10の上面12及び下面13にはそれぞれ中空部11に連なる上部開口11b,下部開口11cが形成されている。上面12の四隅には、図2に示すように、それぞれ対称に床材取付孔14、15が設けられている。また、上面12の各辺には、断面が三角形のモルタル溝16が形成され、また各辺の中央部分には連結用溝17が外壁面10aから内壁面11aに向けて各辺を横断して設けられている。隅よりの床材取付孔(合計4箇所)14は、後述する平板状床材(平板状コンクリートブロック)30を固定するための平板取付孔であり、中央より床材取付孔(各2箇所、合計8箇所)15は後述する合成床材(平板状床材)40取付用の根太(床材取付用部材)50を固定するための根太取付孔である。
【0031】
ここで、連結用溝17の深さd(図4)は限定されないが、例えば、3〜5mm程度であり、後述する連結部材(ベース連結金具20)の厚みtよりも深く(d>t)形成させることにより、連結された状態で厚みtと深さとの差Δ(Δ=d−t)を隣接するベースブロック10、10間の通気口として利用できる。
【0032】
ここで、ベースブロック10の外壁面10a及び中空部11の内壁面11aは上下方向に互いに平行であり、また、根太取付孔15の内壁面15aは、図4に示すように、上方に向けて直径Dが拡大した形状となっている。もう一方の根太取付孔15の内壁面及び平板取付孔14の内壁面も図4に示すと同様に、上方に向けて直径が拡大した略同一形状となっている。
【0033】
このようなベースブロック10は、コンクリートブロック材料を充填し、必要により振動、圧縮を行う、即脱式コンクリートブロックの製造方法により簡易に、かつ、廉価に大量製造が可能である。この場合、コンクリートブロックを製造するための型枠としては、例えば、底面に連結用溝17,モルタル溝16等に相当する凹凸を備えた底型と、中空部11及び平板取付孔14,根太取付孔15に相当する中子が用いられる。
(ベースブロックの施工例)
以上説明のベースブロック10を用いた施工例について、図5〜図7を参照しつつベースブロック10の上に平板状コンクリートブロック30を敷設する例について説明する。
【0034】
ベースブロック10は、図5、図6に示すように、概略平らに整地された敷設面1の上に平面方向(左右及び前後方向)に敷き並べられる。ベースブロック10が接地される敷設面(地面)1には、砂とセメントと水少々を空練りしたパサモルなどにより基礎2を築いておく。一方、通り調整(目地を揃えるための水平方向のズレ調整)が行いやすいように、図5に示すように、長手方向に延びる板材(位置決め補助部材)3を互いに直交させて敷設面1に配設する。
【0035】
この位置決め補助部材3に沿って、複数のベースブロック10を適宜水平調整及びレベル調整(垂直方向の位置ズレ調整)しつつ前後左右の平面方向に配設する。
【0036】
互いに隣接するベースブロック10、10間をベース連結金具(連結部材)20により固定する。このベース連結金具20は、例えば、厚みtが1〜3mm程度のステンレス製のコの字状部材であって、隣接したベースブロック10,10の連結用溝17,17を跨って圧入することにより、隣接するベースブロック10、10の外壁面10a,10aが互いに弾性的に圧設されて固定される。
【0037】
ここで、連結用溝17,17及びベース連結金具20の形状は自由であるが、例えば連結用溝17,17の形状をベース連結金具20と嵌合形状とすることにより、この連結用溝17,17とベース連結金具20とを嵌合させて連結させた場合に隣接するベースブロック10,10間の相対位置を位置決めする位置決め部材として利用することもできる。
【0038】
ついで、図6に示すように、中空部11に位置するパサモルをベースブロック10の内壁面11aに向けて寄せ、残余の空間部11には適宜量の砕石4を充填する。
【0039】
モルタル溝16に適宜の量の目地モルタル5を充填させ、ベースブロック10を高さ方向に積み重ねることもできる。これにより、ベースブロック10は、2段又は3段程度に積み重ねることができる。
【0040】
パサモルに水分を与えることによりパサモルを固化させ、ベースブロック10の位置を敷設面1に対して固定させる。
(市販の平板状コンクリートブロックの施工例)
一般的な平板状コンクリートブロックを積み重ねる場合には、図6に示すように、モルタル溝16に適宜の目地モルタル5を充填させて平板状コンクリートブロック7を積み重ねることにより平板施工を行うことができる。
【0041】
目地モルタル5に代えてボンドなどの接着剤5で固定してもよい。このように、ボンドなどの接着剤を用いれば、モルタル溝16の無いベースブロック10(変形例に係るベースブロックで不図示。)を用いることもできる。
【0042】
これにより、ベースブロック10の作用により、平板状コンクリートブロック7の天端レベルをグランドレベルGLより高めることができ、本発明に係る高床構造体の一例を施工することができる。
(本発明に好適に用いられる平板状コンクリートブロック)
上述のベースブロック10と一組の高床構造体用コンクリートブロックを構成する平板状コンクリートブロックとして、図7に示すように、四隅に取付用貫通孔31が予め形成されている平板状コンクリートブロック30が用いられる。この取付用貫通孔31は、ベースブロック10の平板取付孔14に対応する位置に穿設されている。
【0043】
このような平板状コンクリートブロック30は、取付用貫通孔31に相当する部分の底部に中子を備えた型を用いて、上方からコンクリートブロック材料を充填し、必要により振動、圧縮を行う即脱式コンクリートブロックの製造方法により簡易に、かつ、廉価に大量製造が可能である。
(本発明に係る平板状コンクリートブロックの施工例)
平板取付孔14には、ナイロン樹脂製のディップなどのビス止め固定部材を圧入させておく。取付用貫通孔31の位置が平板取付孔14の位置に合致するようにベースブロック10の上に平板状コンクリートブロック30を載置させる。ベースブロック10と平板状コンクリートブロック30との間に、ゴム材等の緩衝材(例えば、ピアス黒ゴム)を介在させることが好ましい。
【0044】
ついで、ステンレス製の取付ビス33により平板状コンクリートブロック30をベースブロック10の上面12に螺合固定させる。ビス止めによりディップが開いて、図8に示すように、ベースブロック10の上面12に確実に平板状コンクリートブロック30が固定される。天端レベルの調整は、例えば、ベースブロック10と平板状コンクリートブロック30との間に挿入される緩衝材の挿入枚数や厚み調整により行える。
【0045】
このように構成すれば、平板状コンクリートブロック30のベースブロック10への固定が螺合固定であるので、平板状コンクリートブロック30の交換が容易に行える。
【0046】
また、連結用溝17の深さdをベース連結金具20の厚みtよりも深く(d>t)形成すれば、ベース連結金具20によりブロック間を締結固定した状態で、この連結用溝17をベースブロック10の中空部11と外部との通風を図るための通風口として利用することもできる。
【0047】
なお、図8に示す平板状コンクリートブロック30では、平板の中央部に大きな貫通孔32が設けられているものが一部に用いられている。この貫通孔32は、例えば、手摺り等を敷設するための貫通孔であるが、手摺りに限らず、適宜の構造物を付加的に取り付けることができる。
(合成床材の施工例)
つぎに、合成床材をベースブロック10の上面12に施工する例について図9〜図11を参照しつつ説明する。
【0048】
まず、図9は、合成床材を取り付けるための床材取付用部材としての根太50を説明する図である。この図において根太50は、図9(b)に示す断面を備えたアルミニウ押し出し成型品からなる4片の長尺部材(51〜54)を方形の枠体に接合して構成されている。
【0049】
各長尺部材(51〜54)の上面は、床材取付面となる内側載置面50a、外側載置面50cとそれらの載置面50a、50cとの間の窪んだ窪み面50bとから形成され、この中央の窪み面50bと載置面50a、50cとの間には窪み空間56が形成されている。また、各長尺部材(51〜54)の下面は、平坦なブロック設置面50dとされている。
【0050】
各長尺部材(51〜54)の両末端付近(根太50の四隅付近)の窪み面50b及びブロック接地面50dであってベースブロック10の根太取付孔15に対応した位置にはそれぞれベースブロックへの取付用貫通孔55b、55d(各長尺部材に2箇所、合計8箇所)が穿設されている。また、この根太50には、合成床材40に予め設けられている取付用貫通孔41に対応する位置に、タップ立て(不図示)されているのが好ましい。
【0051】
これにより、図10に示すように、隣接するベースブロック10、10間が連結部材20により連結された4個のベースブロック10…に跨って一つの根太50を載置させる。
【0052】
ステンレス製の取付ビス34の尾部を取付用貫通孔55b、55dを貫通させて根太50をベースブロック10の上面12に螺合固定させる。取付ビス34の尾部によりディップ(図面では、ディップは省略されている。)が開いて、図11に示すように、ベースブロック10の上面12に確実に根太50が固定される。
【0053】
ついで、合成床材40に予め設けられている取付用貫通孔41に取付用ビス43を貫通させて根太50に螺合固定させる。このとき、予め根太50にタップが設けられていると施工現場での施工工数を少なくすることができ、また、螺合させることにより合成床材40を正確に取り付けることができる。
【0054】
合成床材40の天端レベルの調整は、例えば、ベースブロック10と平板状コンクリートブロック30との間に挿入される緩衝材の挿入枚数や厚み調整により行える。
【0055】
一般的に、市販の合成床材は、長手方向に延びる板状部材であり、市販の平板状コンクリートブロックとは縦及び横の寸法規格が完全には一致していない。しかしながら、例えば、ベースブロック10として、約30cmを単位寸法とするブロックを用いる場合には、一つ又は複数個のベースブロック10を単位として、いわゆる尺モジュールの合成床材の規格に合致させることが可能となる。
【0056】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るベースブロックを説明する斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の底面図である。
【図4】図2のA−A線で切断した際の端面図である。
【図5】本発明に係るベースブロックの敷設例を説明する斜視図である。
【図6】一般的な平板状コンクリートブロックを本発明に係るベースブロックに敷設した敷設例を側面より説明する図である。
【図7】本発明の平板状コンクリートブロックを説明する図であり、図7(a)はその平面図、図7(b)は側面図である。
【図8】図7の平板状コンクリートブロックを用いた施工例を説明する図である。
【図9】合成床材を施工する際に用いられる床材取付用部材としての根太を説明する図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は図9(a)の長尺部材51をB−B線で切断した場合の拡大断面図である。
【図10】図9の根太の取付状況を説明する図である。
【図11】図9の根太を介して合成床材を固定する施工例を説明する図である。
【符号の説明】
【0058】
d:深さ
t:厚み
D:直径
GL:グランドレベル
1:敷設面(地面)
2:基礎
3:位置決め補助部材
4:砕石
5:目地モルタル又はボンド(接着剤)
10:ベースブロック
10a:外壁面
11:中空部
11a:内壁面
11b:上部開口
11c:下部開口
12:上面
13:下面
14:平板取付孔(床材取付孔)
15:根太取付孔(床材取付孔)
15a:内壁面
16:モルタル溝
17:連結用溝
20:ベース連結金具(連結部材)
30:平板状コンクリートブロック(平板状床材)
31:取付用貫通孔
32:手摺り取付用貫通孔
33:取付ビス
34:取付ビス
40:合成床材(平板状床材)
41:取付用貫通孔
43:取付用ビス
50:根太(床材取付用部材)
50a:内側載置面
50b:窪み面
50c:外側載置面
50d:ブロック設置面
51、52、53、54:長尺部材
55b、55d:取付用貫通孔
56:窪み空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天端レベルがグランドレベルよりも高い位置に設置される高床構造体用の平板状床材に高さを付与するためのベースブロックであって、
該ベースブロックは、上面及び下面の中央部が開口した高さ方向に中空部を有する部材から構成され、少なくとも平面方向に向けて配列可能であって、
前記ベースブロックの上面には、前記平板状床材を固定するための床材取付孔が設けられていることを特徴とするベースブロック。
【請求項2】
前記床材取付孔は、位置決め機能を有すると共に、前記ベースブロック上面の各辺には、隣接するブロック間を跨って連結するための連結用溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベースブロック。
【請求項3】
前記連結用溝の深さは、隣接するブロック間を跨って連結するための連結部材の厚みよりも深く形成されていることにより、前記連結用溝は連結された状態で通気口とされることを特徴とする請求項2に記載のベースブロック。
【請求項4】
前記コンクリートブロックの上面には、モルタル溝が形成されてことを特徴とする請求項1に記載のベースブロック。
【請求項5】
前記床材取付孔は、異なる規格に対応した床材にそれぞれ対応する複数種類の取付孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベースブロック。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のベースブロックと、前記床材取付孔に対応した位置に取付用貫通孔が設けられている平板状コンクリートブロックとの組み合わせから構成されることを特徴とする一組の高床構造体用コンクリートブロック。
【請求項1】
天端レベルがグランドレベルよりも高い位置に設置される高床構造体用の平板状床材に高さを付与するためのベースブロックであって、
該ベースブロックは、上面及び下面の中央部が開口した高さ方向に中空部を有する部材から構成され、少なくとも平面方向に向けて配列可能であって、
前記ベースブロックの上面には、前記平板状床材を固定するための床材取付孔が設けられていることを特徴とするベースブロック。
【請求項2】
前記床材取付孔は、位置決め機能を有すると共に、前記ベースブロック上面の各辺には、隣接するブロック間を跨って連結するための連結用溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベースブロック。
【請求項3】
前記連結用溝の深さは、隣接するブロック間を跨って連結するための連結部材の厚みよりも深く形成されていることにより、前記連結用溝は連結された状態で通気口とされることを特徴とする請求項2に記載のベースブロック。
【請求項4】
前記コンクリートブロックの上面には、モルタル溝が形成されてことを特徴とする請求項1に記載のベースブロック。
【請求項5】
前記床材取付孔は、異なる規格に対応した床材にそれぞれ対応する複数種類の取付孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベースブロック。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のベースブロックと、前記床材取付孔に対応した位置に取付用貫通孔が設けられている平板状コンクリートブロックとの組み合わせから構成されることを特徴とする一組の高床構造体用コンクリートブロック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−274675(P2008−274675A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120759(P2007−120759)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(591286085)東洋工業株式会社 (17)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(591286085)東洋工業株式会社 (17)
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