説明

ペットのための食用薬剤坦持体

【課題】動物に効率的に薬剤を与えることを目的とするペットのための食用薬剤坦持体を提供する。
【解決手段】本発明の食用薬剤坦持体は、内部に収納部を有する本体及び蓋を備える。本体及び蓋はいずれもペットフードと同様の材料で製造され、本体は一般的にみられるペットフードと同様の外観を有する。保温体及び蓋はそれぞれ環状である第一壁及び第二壁を有し、第一壁及び第二壁は互いに対応する第一螺合部及び第二螺合部を有する。薬剤を本体の収納部内に安置し、第一螺合部と第二螺合部を螺合することで、蓋を本体に固定し、薬剤を本体の内部に固定する。また、ペットフードのような形状や臭いを備えることで、ペットフードに混ぜて動物に与えることで、効率的に薬剤を与えることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を入れるための坦持体、より詳しくは、犬や猫等の動物に与える食用薬剤坦持体に関する。
【背景技術】
【0002】
犬を飼う経験がある人なら誰しも、犬に薬剤を与える際に、犬が薬剤を吐き出す、或いは薬剤を舌の裏に隠し、飼い主が見ていない時に吐き出すという経験を持つ。薬剤を餌の中に混ぜ込んでも、犬は餌のみを食べ、薬剤を残してしまう。犬に薬剤を与える最も効果的な方法は、一人が犬の口を広げ、もう一人が薬剤を犬の喉の奥に押し込み、犬の口を閉じ、飲み込むまで押さえ続けることだが、犬に咬まれたり、犬に怪我をさせてしまうこともある。
【0003】
米国特許第5,853,757号には、動物に丸状、タブレット状或いはカプセル状等の内服薬を飲ませるための動物用の薬剤坦持体(Carrier for animal medication)が記載されている。当該坦持体は薬剤を載置する収納部を備え、前記坦持体が変形することにより薬剤を坦持体内へ固定する。坦持体は薬剤の臭いを遮り、オイルを加えることで内部に薬剤を含んだ坦持体を動物に食べさせやすくする効果がある。
【0004】
米国特許第5,895,662号には、動物に内服薬を飲ませるための肉製カプセル(Meat Product pet medicine capsule)が記載されている。当該カプセルは食用材料で製造される瓶及び蓋を有し、前記瓶は薬剤を安置できる内部空間と開け口を有し、前記蓋は可動式で前記開け口を塞ぐのに使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,853,757
【0006】
【特許文献2】米国特許第5,895,662
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の動物用の薬剤坦持体はいずれも、薬剤を包むことで薬剤の臭いを遮っているが、当該坦持体の形状及び臭いがペットフードとは異質であり、ペットフードに混ぜて与えたとしても坦持体を除けてしまう恐れがあり、薬剤を与える手段としては効果的とは言えない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の先行技術が持つ課題を解決するため、本発明はペットのための食用薬剤坦持体を提供する。
【0009】
本発明のペットのための食用薬剤坦持体は、ペットフードと大差ない形状及び匂いを有することで、ペットフードと混ぜて与えた際、動物が除けてしまうことがない。
【0010】
また、本発明のペットのための食用薬剤坦持体はまた、薬剤と結合することで薬剤が坦持体から分離してしまうのを防ぐことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例1を示す説明図である。
【図2】本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例1を示す分解図である。
【図3】本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例2を示す説明図である。
【図4】本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例2を示す分解図である。
【図5】本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例3を示す説明図である。
【図6】本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例3を示す分解図である。
【図7】本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例4を示す説明図である。
【図8】本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例4の本体及び蓋を示す説明図である。
【図9】本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例4を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
図1及び図2は、本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例1を示す図である。本実施例の食用薬剤坦持体1は、本体11及び蓋12を備える。本体11及び蓋12はいずれもペットフードと同様の材料で製造され、本体11は例えば骨の形状のような、一般的にみられるペットフードの外観を有する。本体11の表面には開け口112を有し、内部には収納部111を有する。開け口112は収納部111と繋がっている。本体11は収納部111を形成する第一壁113を有し、蓋12は第一壁113に対応する第二壁120を有する。第一壁113及び第二壁120は共に環状である。第一壁113及び第二壁120は互いに対応する第一螺合部114及び第二螺合部121を有する。本実施例の第一螺合部114及び第二螺合部121は互いに対応するオネジ及びメネジを有する。薬剤10は本体11の収納部111内に安置することができ、第一螺合部114と第二螺合部121を螺合することで、蓋12を本体11と結合し、開け口112を塞ぐことで、薬剤10を本体11の内部に固定する。
【0013】
動物がペットフードを食べる際、フードを一度噛み砕き、臭いを嗅いでから食べることが多い。そこで、使用者は薬剤10を粉末状にすり潰し、軟らかく粘性を持つチーズやでんぷん糊等の食用材料と混ぜ合わせ、収納部111に安置する。或いは食用材料を蓋12及び本体11に粘着する。そして、第一螺合部114と第二螺合部121を螺合し、蓋12を本体11と結合し、開け口112を塞ぐ。そして、チーズやでんぷん糊等の食用材料を乾燥させ固形化させることで、蓋12及び本体11と一体化させる。そうすることで、薬剤10の粉末は食用薬剤坦持体1内にしっかりと固定され、食用薬剤坦持体1が動物に噛み砕かれても、薬剤10の粉末は食用薬剤坦持体1の破片内に留まり、分離することがない。そのため、動物は薬剤10の臭いを嗅ぎ分けることなく、食用薬剤坦持体1の破片と共に薬剤10を飲み込む。チーズやでんぷん糊等の食用材料は天然香料や人工香料を添加し、より動物が食べやすいようにすることも可能である。
【実施例2】
【0014】
図3及び図4は、本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例2を示す図である。本実施例の食用薬剤坦持体2は、本体21及び蓋22を備える。本体21及び蓋22はいずれもペットフードと同様の材料で製造される。本体21の表面には開け口212を有し、内部には収納部211を有する。開け口212は収納部211と繋がっている。本体21は収納部211を形成する第一壁213及び底面214を有し、第一壁213は少なくとも2つの第一螺合部215を有する。第一螺合部215の両端と底面214の間には高さの異なる隙間216を有する。蓋22は開け口212に対応する頂面221及び断面の大きさが開け口212より小さい第二壁222を有し、頂面221及び第二壁222は凹み223を形成する。第一壁213及び第二壁222は共に環状である。第二壁222は少なくとも2つの第二螺合部224を有し、第二螺合部224は第一螺合部215に対応している。蓋22の第二壁222を収納部211内に入れた際、第二螺合部224の一端が第一螺合部215の高い方の下へくるよう回転させ嵌め込むことで、蓋22は本体21に固定され、蓋22の頂面221は開け口212を塞ぐ。本実施例は薬剤10を本体21の収納部211及び蓋22の凹み223内に固定することが可能である。
【実施例3】
【0015】
図5及び図6は、本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例3を示す図である。本実施例の食用薬剤坦持体3は、本体31及び蓋32を備える。本体31及び蓋32はいずれもペットフードと同様の材料で製造される。本体31の表面には開け口312を有し、内部には収納部311を有する。開け口312は収納部311と繋がっている。本体31は収納部311を形成する第一壁313を有し、蓋32は第一壁313に対応する第二壁320を有する。第一壁313及び第二壁320は共に環状である。第一壁313及び第二壁320は互いに対応する第一螺合部314及び第二螺合部321を有する。第二壁320は凹み322を形成する。本実施例の第一螺合部314及び第二螺合部321は、互いに対応する斜めに形成される溝構造になっている。両側の溝を噛み合わせ、蓋32を回転させることで螺合し、蓋32は本体31に固定され、開け口312を塞ぐ。本実施例は薬剤10を本体31の収納部311及び蓋32の凹み322内に固定することが可能である。
【実施例4】
【0016】
図7、図8及び図9は、本発明のペットのための食用薬剤坦持体の実施例3を示す図である。本実施例の食用薬剤坦持体4は、本体41及び蓋42を備える。本体41及び蓋42はいずれもペットフードと同様の材料で製造される。本体41の表面には開け口412を有し、内部には収納部411を有する。開け口412は収納部411と繋がっている。本体41は収納部411を形成する第一壁413有し、蓋42は第二壁420を有する。第一壁413及び第二壁420は共に環状である。第一壁413及び第二壁420はそれぞれ対応する第一螺合部414及び第二螺合部421を有する。第一螺合部414及び第二螺合部421はそれぞれ第一壁413及び第二壁420上に設置される。
【0017】
図8に示すように、本実施例の第一螺合部414は、第一結合部415及び第一ストッパー416を有する。第一結合部415の上端は第一壁413の上端より高い位置にあり、第一結合部415は第一ストッパー416の上端に設置される。第二螺合部421は第二結合部422及び第二ストッパー423を有する。第二結合部422の上端は第二壁420の上端より高い位置にあり、第二結合部422は第二ストッパー423の上端に設置される。第一結合部415及び第二結合部422はそれぞれ対応する第一嵌合部417及び第二嵌合部424を有し、第一結合部415及び第二結合部422が結合した後に分離しにくいようにする。
【0018】
図9に示すように、第一結合部415及び第二結合部422を噛み合わせ、蓋42を回転させることで第一嵌合部417及び第二嵌合部424が互いに噛み合い、第一結合部415及び第二結合部422はそれぞれ第二ストッパー423及び第一ストッパー416に接触する。このようにして、図7に示すように、蓋42は本体41に固定され、開け口412を塞ぐ。本実施例は薬剤10を本体41の収納部411内に固定することが可能である。本実施例の本体41及び蓋42を同じ形状や構造にすることで、本体41及び蓋42を製造するのに必要な設備をまとめることが可能である。
【0019】
本発明の食用薬剤坦持体は、円柱形、立方体、長方体、球体、三角柱体、或いは骨のような不規則な形状でもよい。本発明の食用薬剤坦持体の材料は、小麦粉、大豆粉やピーナツ粉等のような未発酵或いはあまり発酵していない穀類の粉末であり、更にレモン香料、ゴマ、肉粉や魚粉のような調味料や香料を加え、整形した後火であぶり製造する。
【0020】
本発明の食用薬剤坦持体は、一般的なペットフードを製造する設備を利用することができ、大量生産によるコストダウンにもつながる。ペットに薬剤を与える際、従来の方法では不便であったが、本発明によれば薬剤だけでなく、ビタミンやグルコサミンのような栄養剤を与えることもでき、ペットの健康にも繋がる。
【0021】
本発明の食用薬剤坦持体は、薬剤と軟らかく粘性を持つチーズやでんぷん糊等の食用材料と混ぜ合わせ、乾燥させることで、食用薬剤坦持体が動物に噛み砕かれても、薬剤が坦持体と分離することがない。また、ペットフードのような形状と臭いを有することで、ペットフードと混ぜ合わせて一緒に動物に与えることができるため、動物が除けて食べることがなく、薬剤を効率的に食べさせることができる。これにより、従来の動物用薬剤坦持体の欠点を解決した。
【0022】
上述において、本発明の説明の利便性のために最良の実施例を挙げて説明したが、これらの実施例は本発明の請求の範囲を限定するものではなく、本発明に基づく本発明の要旨を逸脱しないあらゆる変更は全て本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0023】
1、2、3、4 食用薬剤坦持体
10 薬剤
11、21、31、41 本体
111、211、311、411 収納部
112、212、312、412 開け口
113、213、313、413 第一壁
114、215、314、414 第一螺合部
121、224、321、421 第二螺合部
12、22、32、42 蓋
120、222、320 第二壁
214 底面
216 隙間
221 頂面
223、322 凹み
415 第一結合部
416 第一ストッパー
417 第一嵌合部
422 第二結合部
423 第二ストッパー
424 第二嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットのための食用薬剤坦持体であって、
薬剤を収納するための収納部、開け口及び前記収納部を形成する第一壁を備える本体、
及び第二壁を備える蓋、
を備え、前記開け口は前記収納部と繋がっており、前記第一壁は少なくとも1つの第一螺合部を備え、前記第二壁は少なくとも1つの第一螺合部と対応する第二螺合部を備え、
前記本体及び前記蓋はそれぞれペットフードと同様の材料で製造され、
前記第一壁及び前記第二壁はそれぞれ環状であり、
前記第一螺合部及び前記第二螺合部が螺合することで、前記蓋を前記本体に固定し、前記開け口を塞ぐことを特徴とする食用薬剤坦持体。
【請求項2】
前記本体はペットフードのような形状を有することを特徴とする請求項1に記載の食用薬剤坦持体。
【請求項3】
前記第一螺合部及び前記第二螺合部はそれぞれ対応するメネジ及びオネジであることを特徴とする請求項1或いは請求項2のうちいずれかに記載の食用薬剤坦持体。
【請求項4】
前記本体は前記収納部の底面を形成し、前記第一壁は少なくとも2つの突出した第一螺合部を備え、前記第一螺合部及び前記底面の間には隙間を有し、前記第二壁は少なくとも2つの第二螺合部を備え、
前記第二壁が前記収納部に収納された際、前記第二螺合部の一端が前記第一螺合部の下に位置し、前記蓋を回転させることで前記第二螺合部が前記第一螺合部の下に嵌合することで、前記蓋及び前記本体が固定されることを特徴とする請求項1或いは請求項2のうちいずれかに記載の食用薬剤坦持体。
【請求項5】
前記第一螺合部の両端と前記底面の間には高さの異なる隙間を有することを特徴とする請求項4に記載の食用薬剤坦持体。
【請求項6】
前記蓋は前記開け口と対応する頂面を備え、前記第二壁の断面の大きさが前記開け口より小さく、前記頂面及び前記第二壁が凹みを形成することを特徴とする請求項5に記載の食用薬剤坦持体。
【請求項7】
前記第一螺合部及び前記第二螺合部が互いに対応する斜めに形成される溝構造になっていることを特徴とする請求項1或いは請求項2のうちいずれかに記載の食用薬剤坦持体。
【請求項8】
前記第一螺合部は第一結合部及び第一ストッパーを備え、 前記第一結合部の上端は前記第一壁の上端より高く、 前記第一結合部は前記第一ストッパーの上端に接続され、
前記第二螺合部は第二結合部及び第二ストッパーを備え、 前記第二結合部の上端は前記第二壁の上端より高く、 前記第二結合部は前記第二ストッパーの上端に接続され、
前記第一螺合部及び前記第二螺合部が螺合する際、前記第一結合部及び前記第二結合部が嵌合し、前記第一結合部及び前記第二結合部がそれぞれ前記第二ストッパー及び前記第一ストッパーに接触することを特徴とする請求項1に記載の食用薬剤坦持体。
【請求項9】
前記第一結合部及び前記第二結合部はそれぞれ対応する第一嵌合部及び第二嵌合部を備えることを特徴とする請求項8に記載の食用薬剤坦持体。
【請求項10】
前記本体及び前記蓋は同じ形状であることを特徴とする請求項9に記載の食用薬剤坦持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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