説明

ペットフード処方箋情報作成装置及び個々対応型ペットフード製造装置

【課題】 ペットの飼い主が信頼できるペットフードを安心してペットに与えることができるペットフード処方箋情報作成装置を提供する。
【解決手段】 獣医などの処方者に対してペットフードの処方箋情報に作成に必要な情報を表示する表示装置44aと、処方者が入力部45から個々のペットに関するペットフードの組成に関する情報を入力したことに応答して組成情報を生成する組成情報生成プログラムと、その組成情報を記憶する組成情報記憶部52と、少なくとも組成情報と処方者の認証情報と合わせて処方箋情報を生成する処方箋情報生成プログラムと、その生成された処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶部64と、処方箋情報を出力する印刷装置39又はブラウザを備えている。その処方箋情報に基づいて攪拌混練機2、押出機3、乾燥機5を備えたペットフード製造装置がペットフードを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペットフードの製造とその管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ペットブームと言われ、ペットを家族の一員として考えるような人が増えている。自分のペットの病気を治すために高額の治療を施す飼い主も多い。
ペットの食生活も人間化しており、これに伴いアレルギー、湿疹、脱毛、肥満などの所謂、生活習慣病と呼ばれるような病気がペットに増えている。これらのアレルギー、肥満等の病気について特効薬はなく、ペットに適切な運動をさせるとともに、ペットに与える食事を改善することが有効であると考えられている。
つまり、獣医の経営する動物病院を訪れるペットの病気としては、薬等で治療できる病気と、ペットが食べるペットフードなどを変えて生活習慣を改善することにより症状を軽減する病気との2種類に大別することができる。
一方、現在のペットブームに対応してペットフードの種類、生産高も増え、ペットフードの品質についても高い関心が寄せられている。現在のペットフードの原料は廃棄されるような動物肉や、最低レベルの材料が使用されており、それらの材料には有害な化学物質やペットの健康に悪影響を及ぼすような物質が多量に混入していることが指摘されている。
【0003】
さらに、長期間保存するためにペットフードには防腐剤、保存料などが多量に使用されており、このようなペットフードをペットが長期間にわたって食べ続けることによりペットの健康が害されることが憂慮されている。
【0004】
防腐剤、保存料を使用しないペットフードの従来技術として下記のようなものが提案されている。
例えば、特許文献1には、ペット毎に個別にオーダーメードされた添加物を加えないウェットタイプのレトルトフードと、ドライフードとからなるペットフードをそれぞれ一食分ごとに包材にて個別に梱包し、この梱包体を複数食分まとめて宅配サービス用のデリバリー容器に納めたことを特徴とするペットフードが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、添加物を添加しないまま常温で1年以上保存できるように、肉類などの原料を、添加物を添加しないまま、粉砕、混合する粉砕・混合工程と、混合した原料を加熱処理して得られた中間生成物を、その水分含量が約19〜28%になるように、乾燥させる工程と、中間生成物を冷却する冷却工程と、中間生成物を密封包装する包装工程と、中間生成物を約80〜95℃で約20〜30分間加熱ボイルする1次加熱殺菌工程と、冷却・放置工程と、再度、約80〜95℃で約20〜30分間加熱ボイルする2次加熱殺菌工程と、冷却する冷却工程を備えた無添加ペットフードの製造方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−203866「ペットフード」
【特許文献2】特開平10−297914「無添加ペットフードの製造方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、動物病院などで安全と思われる従来のペットフードを利用して、ペットの生活習慣病を改善することを考えると、下記のような課題がある。
(課題1)市販されているペットフードの特徴や品質について獣医が分からない課題
比較的、良質の食材を用い、防腐剤、保存剤を用いない市販のペットフードもある。しかし多数市販されているペットフードの一つ一つについて獣医がその組成や特徴を常に把握することは難しい。
【0008】
(課題2)獣医とペットフード製造・販売会社との情報の授受が十分でない課題
飼い主などから得た情報、獣医間の情報などに基づいて、獣医が市販ペットフードの中から比較的品質が良いと思うものを選択して、診察したペットの飼い主に勧めることは良くあることである。しかし、生活習慣病においてはそのペットフードをペットが長期間(3ヶ月〜6ヶ月程度)継続して食べた場合にその効果が出る場合が多い。そのような長期間に亘るペットフードの取得状況は獣医で把握することが難しく、獣医とペットフード販売会社との情報の授受が十分でないために、特定のペットフードの健康に及ぼす効果を検証することが難しかった。
【0009】
(課題3)個々のペットの症状に合致したペットフードを提供できない課題
上記特許文献1,特許文献2に開示されたペットフードにおいても、定型的なペットフードを大量生産することを前提としており、ペットフード製造会社が個々のペットの症状に応じた個別のペットフードを生産することはできない。
個々のペットの状態を診察した獣医が、特定の症状に応じたペットフードをペットに提供できればペットの症状が改善すると思われる場合でも、大量生産するペットフード製造会社がペットフードの組成や製造方法について個別の要望に対処することは不可能である。そのような個別対応の処理が必要になるペットの症状として特定食物に対するアレルギーが例示できる。
【0010】
一方、ペットの飼い主がペットのために自分で防腐剤、保存料を使用しないペットフードを作ることも考えられるが、例えば、犬の場合、カルシウムを多量に必要とする、必要以上に糖分を与えると好ましくないなど、ペットの必要とする栄養素は人間の食事とかなり異なっており、家庭のユーザが手に入れられる食材でペットの健康を増進できるような高品質なペットフードを長期間にわたり安定して製造することは難しい。
【0011】
(課題4)飼い主が自分のペットに与えているペットフードについて自信を持つことができない課題
ペット情報誌、インターネット上のペットフード提供サイトなどでは、美味しさ、健康増進機能を強調したペットフードの広告がさかんに行われ、ペットフードの組成、品質、効能について、ペットの飼い主は情報過多の状態にある。ペットの飼い主はペットの病気を何とか良くしてやりたいという気持ちはあるが、専門的な知識がないために、どのペットフードが自分のペットの病気を改善するかが分からない。また、市販のペットフードはあくまで不特定多数のペットを対象とするものであるから組成的にも最大公約数的なものが多いうえに、個々のペットの症状に好ましいペットフードをペットに与えているか否かの判断はペットの飼い主が行うしかない。このような現状では、症状の重い生活習慣病などを持つペットの飼い主はペットフードについて自分の判断を信じるしかなく不安な状態に置かれている。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上記課題を解決できる装置およびそのシステムを提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)個々のペットの症状に対応した信頼性の高いペットフードをペットの飼い主に提供できるペットフード処方箋情報作成装置及び個々対応型ペットフード製造装置を提供する。
(b)獣医等とペットフードを製造する者との情報の授受を円滑にして、ペットフードの効果について十分な検証ができるペットフード処方箋情報作成装置及び個々対応型ペットフード製造装置を提供する。
(c)ペットの飼い主が信頼できるペットフードを安心してペットに与えることができるペットフード処方箋情報作成装置及び個々対応型ペットフード製造装置を提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題及びその解決手段は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると次のように構成したものである。
第1発明のペットフード処方箋情報作成装置は、個々のペット用に組成の異なるペットフードを製造するための処方箋情報を作成するペットフード処方箋情報作成装置であって、
獣医などの処方者に対してペットフードの処方箋情報に作成に必要な情報を表示する表示装置と、処方者が情報入力手段から個々のペットに関するペットフードの組成に関する情報を入力したことに応答して組成情報を生成する組成情報生成手段と、その組成情報を記憶する組成情報記憶手段と、少なくとも組成情報と処方者の認証情報と合わせて処方箋情報を生成する処方箋情報生成手段と、その生成された処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、処方箋情報を出力する処方箋情報出力手段と、を備え、
処方箋情報生成手段によって生成された作成された処方箋情報は、食材を攪拌混練できる攪拌混練機と、攪拌混練機によって得た混練物を線状に押し出す押出機と、押し出された線状物を乾燥する乾燥機とを備えたペットフード製造装置がペットフードを製造するために使用されることを特徴とする。
【0014】
第2発明は、第1発明において、処方箋情報出力手段による出力が通信ネットワークを介してペットフード製造装置の処理コンピュータに処方箋情報を送信することにより行われることを特徴とする。
第3発明は、第1発明において、処方箋情報にペットフード製造装置用の調整可能な製造情報を含んでいることを特徴とする。
【0015】
第4発明は、第1発明ないし第3発明のいずれか一つに記載の発明において、処方箋情報生成手段が、処方者が予め登録されているペットフード基材、ミンチ肉、野菜などの食材の選択とそれら配合量の指定を行ったことに応答して、その指定に対応するペットフードの組成情報と含んだペットフードの処方箋情報を生成することを特徴とする。
第5発明は、第1発明ないし第4発明のいずれか一つに記載の発明において、処方箋情報がペットフードの特記情報を含んでいることを特徴とする。
【0016】
第6発明は、第1発明ないし第5発明のいずれか一つに記載の発明において、処方箋情報生成手段によりペットフード処方箋情報を生成する場合に、処方者が、ペットフードを製造する者を指定する処理を含んでいることを特徴とする。
第7発明は、第1発明ないし第6発明のいずれか一つに記載の発明において、獣医などの処方者が処方した回数を記憶する処方回数を記憶する処方回数記憶手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
第8発明の個々対応型ペットフード製造装置は、食材を攪拌混練できる攪拌混練機と、攪拌混練機によって得た混練物を線状に押し出す押出機と、押し出された線状物を乾燥する乾燥機と、攪拌混練機、押出機、乾燥機などを駆動制御するコントローラと、処理コンピュータと、情報入力手段と、ペットフード処方箋情報などの特注ペットフードの情報をペットフードの容器に使用する表示材に文字等を印刷する印刷装置とを備え、個々のペット用に組成の異なるペットフードを製造するためのペットフード製造装置であって、
処理コンピュータは特注ペットフードであるか否かを示す特注判別情報を記憶する特注判別情報記憶手段を備え、
処理コンピュータが、情報入力手段からペットフードの特定情報を入力したことに応答して特注判別情報に基づいて処理コンピュータが印刷装置を用いて特注ペットフードの情報を表示材に印刷することを特徴とする。
【0018】
第9発明は、第8発明において、表示材に文字等を印刷される情報が処方箋情報を含んでいることを特徴とする。
第10発明は、第8発明ないし第9発明のいずれか一つに記載の発明において、ペットフード製造装置をペット関連店に設けたことを特徴とする。
【0019】
以下、第1発明〜第9発明の各構成、変形例などについて説明する。
第1発明において、使用可能なペットフードの食材の内容を登録した食材データベースを設け、処方者がその食材データベースを参考して必要な情報の入力を行うこともできる。
第1発明におけるペットフード処方箋情報作成装置は、スタントアロン型のコンピュータでも、通信ネットワークに接続されたネットワークコンピュータでも構成できる。
第1発明において、さらに、少なくともペットフードの組成情報を含む食歴情報を記憶する食歴情報記憶手段と、標準的なペットフードの少なくとも組成情報を含む標準ペットフード情報を記憶する標準ペットフード情報記憶手段を備え、
組成情報生成手段が、表示装置にペットフード選択画面を表示させ、そのペットフード選択画面が標準的なペットフードである標準ペットフードを製造する標準ペットフード選択部と、前記食歴情報に基づいて過去の顧客が製造したペットフードを製造する過去製造ペットフード選択部とを少なくとも表示し、処方者が2つの選択部のうち一つを選択することによって選択されたペットフードの記憶手段から、製造するペットフードの少なくとも組成情報を決定するように構成することもできる。
【0020】
第3発明の製造情報としては、ペットフードの乾燥程度、ペットフードの直径、長さなどが例示できる。これらの製造情報はペットフード処方箋情報に基づいたペットフードを製造するペットフード製造装置がそれらの製造情報に基づいて変化させることができるものであることが必要となる。
第5発明において、「特記情報」とは、例えば「肥満気味なので糖分を抑える。」、「△△症状の緩和のために、製造時に○○サプリメントを水分に溶かして100mグラム加える。」というような獣医の注意書きなどが含まれる。
第7発明において、処方者が処方した回数を記憶する処方回数を記憶する処方回数記憶手段は、処理コンピュータのカウンタで構成できる。
【0021】
第8発明において、「表示材」としてはペットフードを入れる袋の材料や、ペットフードを入れる容器に貼るラベル等が例示できる。
「ペットフードの特定情報」としては顧客情報の顧客ID番号や、処方箋情報の処方箋コードなどが例示できる。
「特注判別情報」の一例としては、組成情報や処方箋情報に設けられる特注フラグが例示できる。
【発明の効果】
【0022】
以下、各発明の効果などについて説明する。
第1発明であれば、処方者が組成に関する情報を入力したことに応答して組成情報生成手段がペットフードの組成情報を生成し、組成情報記憶手段が生成された組成情報を記憶する。そして、処方箋情報生成手段が少なくとも組成情報と処方者の認証情報とを合わせた処方箋情報を生成し、処方箋情報記憶手段が生成された処方箋情報を記憶し、処方箋情報出力手段がその処方箋情報を出力するので、獣医などの処方者の処方箋に基づいた組成のペットフードを製造することが可能になる。
このように構成することにより、処方者は簡単に個々のペット用に組成の異なるペットフードを製造する処方箋を作成することができる。また、獣医などの処方者の処方に基づいた組成のペットフードを製造できることになるので、個々のペットの症状に合致した信頼性の高いペットフードをペットの飼い主に提供できる。また、ペットの飼い主は獣医などの処方に基づいた信頼できるペットフードを得ることができ、生活習慣病などのペットにそのペットフードを安心して与えることができるようになる。
また、乾式のペットフードを製造するペットフード製造装置を使用することにより、個々のペットに対応したペットフードを安価に製造しやすくなる利点がある。
【0023】
第2発明であれば、通信ネットワークを利用することにより、獣医などの処方者から遠隔地にあるペットフード製造装置であっても、そのペットフード製造装置に対応する処理コンピュータに処方箋情報を送信して、その処方箋情報に基づいてペットフードを製造できる。
第3発明であれば、処方箋情報にペットフード製造装置用の調整可能な製造情報を含んでいるので、ペットフードの組成情報だけに基づいて製造する場合に比べて、ペットの症状に応じたペットフードの品質、特性を細かく規定することができる利点がある。
【0024】
第4発明であれば、処方箋情報生成手段が、処方者が予め登録されているペットフード基材、ミンチ肉、野菜などの食材の選択とそれら配合量の指定を行ったことに応答して、その指定に対応するペットフードの組成情報を合わせたペットフードの処方箋情報を生成するので、詳細な構成を特定でき、個々のペットの症状に合うペットフードを製造できる可能性を高めることができる。
第5発明であれば、処方箋情報がペットフードの特記情報を含んでいるので、ペットフードを製造するオペレータは特記情報に基づいて、獣医などの処方者の意図を把握することができ、正確なペットフードを製造できる。
【0025】
第6発明であれば、処方箋情報生成手段によりペットフード処方箋情報を生成する場合に、処方者がペットフードを製造する者を指定する処理を含んでいるので、処方者が信頼できるペットフードを製造する者を選定することができる。また、このような処理を設けることで処方者とペットフードを製造する者との信頼関係を育成することができ、効果的にその後のペットの状態に関する情報の交換などを円滑に行うことができるようになる。
【0026】
第7発明であれば、処方回数記憶手段を備えていることにより、予め1件の処方金額を決めておけば、処方回数に応じてペットフードを製造した者からの紹介料の算出を行うことができる。なお、その処方金額の支払いは、本ペットフード処方箋情報作成装置を管理する者、会社等から得ることも可能である。
【0027】
第8発明であれば、ペットフード処方箋情報に基づいて製造されたペットフードのように、一般のペットフードとは区別しなければならない特注ペットフードを製造する場合に、そのペットフードが特注ペットフードであることを表示材に印刷することができるので、間違えて他の顧客に与えたり、同じ顧客が飼う他のペットに特注ペットフードを与えてしまうという可能性を著しく低減することができる。
【0028】
第9発明であれば、表示材に文字等を印刷される情報が処方箋情報を含んでいるので、処方箋情報の全部又は一部をペットフードを入れる容器などに印刷することができ、処方されたペットフードを間違えて他の顧客に与えたり、同じ顧客が飼う他のペットに処方されたペットフードを与えてしまうという可能性を著しく低減することができる。
第10発明であれば、ペット関連店とペットの飼い主との間には密接な交流・信頼関係がある場合が多いことを考えると、ペットフード製造装置をペット関連店に設けることにより、ペットの飼い主の要望を満たすペットフードを製造できる可能性が高くなる。また、ペットの飼い主にすれば、信頼できるペット関連店が製造したペットフードであれば、安心して自分のペットにペットフードを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は本発明の第1実施形態に係るペットフード製造装置の製造機械部の斜視図である。
【図2】図2は第1実施形態に係る製造機械部の部分断面正面図である。
【図3】図3は第1実施形態に係る製造機械部の部分断面右側面図である。
【図4】図4は第1実施形態に係る製造機械部の部分断面左側面図である。
【図5】図5は第1実施形態に係る製造機械部の平面図である。
【図6】図6は押出機の押出基盤付近の構成を示す概略斜視図である。
【図7】図7は個々対応型ペットフード製造装置の概略ブロック図の一例である。
【図8】図8は来客時におけるコンピュータ処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9はペットフード選択画面の一例を示す図である。
【図10】図10はペットフードの組成情報と製造情報などを表示する画面の一例である。
【図11】図11は処理コンピュータとその入力部の構成を示す一例である。
【図12】図12はこの第1実施形態に係るペットフード処方箋情報作成装置の構成を示す図である。
【図13】図13は本発明の第2実施形態を示す概略ブロック図である。
【図14】図14は獣医などの処方者が処方箋情報作成装置にアクセスして処方箋情報を作成する処理の一例を示したフローチャートである。
【図15】図15は処方箋情報作成サーバの処方箋情報作成プログラムが行う処方箋情報作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】図16は処方箋情報発行プログラムが行う処方箋情報発行処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】図17はペットフード製造装置の処理コンピュータが行う処方箋情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図18】図18は印刷プログラムが行う特注ペットフード用ラベルの一例を示すフローチャートである。
【図19】図19は特注ペットフード用ラベルの一例を示す図である。
【図20】図20は特注ペットフード用ラベルに印刷された処方箋情報などを表示した処方箋ラベルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1…製造機械部、2…攪拌混練機、3…押出機、5…乾燥機、13…コントローラ、21…制御部、37…印刷装置、40…処理コンピュータ、47…入力部、48…通信ネットワーク、52…組成情報記憶部、53…製造情報記憶部、52…組成情報記憶部、53…製造情報記憶部、56…印刷情報記憶部、64…処方箋情報記憶部、65…処方箋情報処理プログラム記憶部、102…ペットフード情報DB、105…処理プログラム記憶部、107…ペットフード処方箋情報作成装置、108…ペットフード処方箋情報作成装置サーバ、111…処方箋情報DB、112…処方者コンピュータ、113…動物病院コンピュータ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
まず、本発明に係るペットフード処方箋情報作成装置の構成を説明する前に、ペッフード関連店などに設置されるペットフード製造装置の機械的構成について説明する。
図1は本発明に使用されるペットフード製造装置の製造機械部の斜視図、図2は製造機械部の部分断面正面図、図3は製造機械部の部分断面右側面図、図4は製造機械部の部分断面左側面図、図5は製造機械部の平面図である。
【0032】
主に図1、図2に示すように、ペットフード製造手段としての製造機械部1は、小型省スペースの装置構成となっている。製造機械部1は、ペットフード基材とミンチ肉を含む食材とを攪拌部材で混合混練する攪拌混練機2と、攪拌混練機2によって得た混練物を線状に押し出す押出機3としての一軸押出機4と、押し出された線状物8を乾燥する乾燥機5と、攪拌混練機2・押出機3・乾燥機5を制御駆動するコントローラ13(図2参照)と、製造オペレータ用の表示装置44b(図2参照)とを少なくとも備えている。
【0033】
この第1実施形態に示す構成では、攪拌混練機2の下方位置に押出機3が配設され、その押出機3の下方位置に攪拌混練機モータ25と押出機モータ26が配設されている。攪拌混練機2の下側開口27に対応して押出機3の投入ホッパー20が設けられ、投入ホッパー20から混練されたペットフード材が押出機3内に送り込まれるように構成してある。
【0034】
図6に示すように、押出機3の押出口16には押出基盤28が着脱自在に取り付けられ、その押出基盤28には複数の小孔29が形成してある。押出機3内を圧力がかかった状態で押出基盤28に達したペットフード材は小孔29の直径の太さに成形されつつ押し出されるように構成してある。
押出機3の所定位置には押出基盤の判別手段28としてのリミットスイッチ148が設けられている。また、押出基盤28にはそのリミットスイッチ148に当接又は非当接する凸凹部44が形成してあり、その凸凹部44の当接位置又は当接度合いに応じて押出基盤28の種類を検出して、コントローラ13が押出基盤28の判別を行えるように構成してある。
【0035】
押出基盤28は小孔29の直径の異なる複数の基盤が用意され、表示装置44bに表示されるペットフードの製造情報にしたがって製造オペレータが手動で取り替えるようになっている。なお、コントローラ13又は処理コンピュータ40(図7参照)の指令によって押出基盤28を自動に取り替える押出基盤自動取替え装置を設けても良い。
【0036】
図6に示すように、押出機3の押出基盤28の表面には、その表面に沿って回転する線状物長さ調整手段としての切断羽根30が設けられ、切断羽根30の回転速度を変えることによって線状物8(押し出されたペットフード材、図1参照)の長さを変化させることができるように構成してある。即ち、切断羽根30の回転速度を大きくすることによって線状物8の長さは長くなり、切断羽根30の回転速度を小さくすることによって線状物8の長さは短くなる。切断羽根30の回転速度を所定域で変化させることによって線状物8を2cm〜5cm程度に調整して切断できるように構成してある。押出機3は通常は一軸スクリュウ押出機、二軸スクリュウ押出機などのスクリュウ回転型押出機で構成し、その回転速度を20rpm〜40rpmの範囲に設定することが好ましい。なお、本実施形態では押出機3として一軸スクリュウ押出機4が示してある。
【0037】
図1に示すように押出機3の押出口16の下方位置には搬送手段としてのベルトコンベア10が設けられ、ベルトコンベア10によって搬送された線状物8は乾燥機5の開口18に設けられたシュート38から乾燥機5内に投入されるよう構成してある。
図4に示すように乾燥機5は、乾燥容器17を傾斜した回転軸31の回りに回転させて、線状物8を乾燥容器17内で転がせて移動させながら乾燥させる構成が採用されている。
【0038】
乾燥容器17内には乾燥機内周面に沿うような螺旋形凸板32が設けられ、乾燥容器17を一方向に回転させると、線状物8が乾燥容器17内で転がりながら乾燥され、乾燥容器17を逆方向に回転させると、線状物8が乾燥容器17内から螺旋形凸板32に沿って乾燥容器17の底から開口へと移動して、ケーシング33に取り付けられた排出路36(図4,図5参照)から排出されるように構成してある。
【0039】
また、乾燥機5内には熱風発生装置14(図2参照)からの熱風が吹き込まれる構成にしてある。例えば、乾燥容器17内で140℃〜160℃で5分間〜10分間程度、対流を起こしてムラなく線状物8を乾燥してペットフードを製造する。
【0040】
上記構成の攪拌混練機2、押出機3、乾燥機5はケーシング33内に収容され、ペットフードの乾燥時には、熱風発生装置14の熱風によって乾燥機5内の高温に維持されるように構成してある。図3に示すようにケーシング33には攪拌混練機2の下側開口27の排出扉34を駆動するハンドル35と、乾燥機5から排出されたペットフードを誘導する排出路36(図4参照)が設けられている。
【0041】
図2に示すようにコントローラ13の近くには処理コンピュータ40(図7参照)の製造オペレータ用表示装置44bが配置されている。製造オペレータ用表示装置44bには入力部45が設けられ、その入力部45には製造機械部1の実行ボタン50が設けられている。製造オペレータは攪拌混練機2内に必要なペットフード基材、新鮮食材、水などを投入して、実行ボタン50を操作することにより、製造機械部1を駆動させて個々のペット用のペットフードの製造を開始する。
なお、乾燥機5の配置位置及び構成は図1に示す構成に限定されず、乾燥機5は攪拌混練機2、押出機3の下方に設けても良い。この構成であれば、ベルトコンベア10は不要になり、幅方向のスペースも小さくできることになる。また、乾燥機5が乾燥容器17を有しておらず、ベルトコンベア10上で熱風加熱により乾燥を行う構成としてもよい。
【0042】
必要に応じて、ミンチ肉を加熱調理済みにする加熱調理器(図示せず)を攪拌混練機2の近くに設置する。加熱調理器としてはミンチ肉を載せる鉄板、アルミニウム板などをバーナ加熱又は電気加熱する構成、電子レンジのような電磁波加熱を行う構成や、水を入れた鍋によってミンチ肉を煮る装置などが使用できる。
【0043】
また、加熱調理器はコントローラ13が攪拌混練機2などの運転に合わせて加熱調理時間を制御するように構成することが好ましい。加熱調理器によって加熱され調理されたミンチ肉は振動フィーダなどの搬送機によって自動的に攪拌混練機2に投入され、又は手作業により攪拌混練機2に投入される。また、ミンチ肉を加熱調理済みにする加熱調理器を攪拌混練機2の近くに設置し、攪拌混練機2に投入するミンチ肉を加熱調理済みにするとともにコントローラ13が攪拌混練機2などの運転に合わせて加熱調理時間を制御することもできる。
【0044】
次にペットフードを製造するときに使用するペットフード基材について説明する。
本実施形態ではペットフード基材は、炭水化物が80重量%〜98重量%、タンパク質が20重量%〜2重量%を含んだ粉状のもので構成してある。炭水化物は、穀物の粉、特に米粉が好ましい。但し、所定の穀物アレルギー、例えば麦アレルギーのあるペットに与えるペットフードを製造する場合は、対応するアレルギーに相当する穀物の粉(例えば麦粉)は一切入れずにペットフード基材を製造する。
【0045】
このようなペットフード基材には防腐剤、保存料は一切入れないようにすることが好ましい。また、その他の添加剤は人間が食用に供せるものだけを使用することが好ましい。
ペットフード基材に入れるタンパク質としては、牛、鳥、羊、魚などの動物性タンパク質粉や大豆などから精製した植物性タンパク質粉を混入させることもできる。タンパク質粉を入れる場合は20重量%〜1重量%、さらに好ましくは10重量%〜1重量%程度にする。
【0046】
ペットフード基材の種類は、例えば、
(タイプ1)最も応用範囲の広い、防腐剤、保存料が一切入らない、又は防腐剤、保存料を人間が使用できるものにした、前記炭水化物を主体とするペットフード基材。これは標準ペットフード基材と言えるものである。
(タイプ2)アレルギーの虞のある材料、例えば、小麦、卵、青魚等から作られた成分などのアレルギー可能性材料を除いたアレルギー防止用ペットフード基材。
(タイプ3)特定の病気、特定の生活習慣病に対応して、薬効成分を含ませたペットフード基材。
などが例示できる。
標準ペットフード基材としては、さらに、犬用ペットフード基材、ネコ用ペットフード基材、老齢用ペットフード基材、若年用ペットフード基材などが例示できる。
【0047】
次に、上記個々対応型ペットフード製造装置の制御システムについて説明する。
図7は個々対応型ペットフード製造装置の概略ブロック図の一例である。
この装置はシステム全体の統括的な制御を行う制御部21と、書換えを予定していない情報を記憶したROMメモリ23と、書換え可能な情報を記憶したRAMメモリ24と、ペットフード組成情報、ペットフード製造情報などを表示する受付オペレータ用表示装置44aと、ペットフード組成情報、ペットフード製造情報などを表示する製造オペレータ用表示装置44bと、受付オペレータ又は製造オペレータが必要な情報を入力する入力部45と、製造機械部1のコントローラ13との間で信号のやりとりを行うインターフェイス部22と、インターネットなどの通信ネットワーク48を介して後述する処方者コンピュータ112に通信を行う通信制御部47とを備えている。前記処理コンピュータ40は少なくとも制御部21、ROMメモリ23、RAMメモリ24を含んで構成される。
なお、この実施形態に係る構成では、表示材に所定の情報を印刷する印刷装置37が制御部21に接続されている。
【0048】
製造オペレータ用表示装置44bは前記したように製造機械部1の近くに設けられ、製造オペレータが見やすい位置に設けられる。一方、受付オペレータ用表示装置44aは受付オペレータが見やすい位置に設けられる。ペットの飼い主の要望等を聞く受付オペレータと製造機械部1の処理を行う製造オペレータは別人である方が処理作業を円滑化できるが、コストを下げるために、受付オペレータが製造オペレータを兼ね、受付オペレータ用表示装置44aが製造オペレータ用表示装置44bも兼ねる場合も採用できる。
【0049】
ROMメモリ23には製造プログラム記憶部50と、通信プログラム記憶部51と、食材量算出プログラム記憶部41と、標準ペットフード情報記憶部42と、印刷ブログラム記憶部63と、処方箋情報処理プログラム記憶部65とを備えている。製造プログラム記憶部50にはコントローラ13を介して攪拌混練機2、押出機3、乾燥機5などの制御を行う基本的なペットフード製造プログラムが記憶されている。通信プログラム記憶部51には処方者コンピュータ112への情報の送受信を行う通信プログラムが記憶されている。食材量算出プログラム記憶部41には、個々のペットの組成情報に基づいてペットフードの製造量に必要な各食材の量を算出する食材量算出プログラムが記憶されている。標準ペットフード情報記憶部42には標準ペットフードを製造するための組成情報、製造情報が記憶されている。処方箋情報処理プログラム65には処方者の作成した処方箋情報を用いてペットフードを作るときの処方箋情報処理プログラムが記憶されている。
【0050】
RAMメモリ24には、ペットフードの組成情報を記憶する組成情報記憶部52と、ペットフードの製造情報を記憶する製造情報記憶部53と、食歴情報を記憶する食歴情報記憶部54と、顧客IDコードなどの顧客情報を記憶する顧客情報記憶部55と、印刷情報記憶部56と、処方箋情報記憶部64とを備えている。
印刷情報記憶部56は、印刷判別情報記憶部と印刷抽出情報記憶部を備えている。印刷判別情報は、例えば特注フラグなどで構成され、ペットフードの容器の表示材(表示ラベルを含む)を印刷するか否かを決める情報である。印刷抽出情報は、印刷する場合にペットフード製造情報、ペットフード組成情報、顧客情報、処方箋情報のうちどの情報を抽出して印刷するかという印刷すべき範囲を特定する情報である。
なお、図7に示す構成では、コントローラ13の指示によって攪拌混練機2に水分を供給する水分供給機が設けられた構成となっている。
【0051】
ペットフードの組成情報とは前記したように、
(1)ペットフード基材の種類とその量、
(2)新鮮食材の種類とその量、
(3)ミンチ肉の種類とその量、
(4)水分量、
(5)投入するサプリメント(薬剤も含む)の種類と量、
(6)アレルギーなどにより除外すべき食材の種類
などが例示できる。食材となるペットフード基材、キャベツなどの新鮮食材、ミンチ肉、水分、サプリメントなどは、全て、食材コードが付けられ、その食材コードの指定と混合時の重量%を指定した組成情報テーブルとして与えられる。
通常、これらのペットフード組成情報は1kg当たりの重量%という形で与えられる。例えば、ペットの飼い主がペットの1週間分、2週間分、3週間分というようにペットフードの量を購入する場合は、各成分要素、ペットフード基材、ミンチ肉、野菜などの量が、3週間分は1週間分の3倍の量が自動的に計算されて、表示装置44a,44bに表示されるように構成されている。
【0052】
ペットフードの製造情報とはペットフードの組成が決まった上で、そのペットフードをどのように製造するかという情報である。
これらは各販売店にある、前記した製造機械部1の各構成要素の駆動データを含んで構成してある。例えば、
(1)攪拌混練機2についてはその駆動時間、回転速度
(2)押出機3ではその回転数、
(3)押出基盤28の種類(小孔29の直径の大きさ)
(4)切断羽根30の回転数
(5)乾燥機5においては熱風発生装置14の温度、加熱時間、乾燥機5の回転軸31の回転数、熱風の風量などが設定される。
【0053】
この他に必要に応じて製造オペレータがペットフードの製造に際して行う処理情報も含めることができる。例えば、ミンチ肉の加熱方法、ミンチ肉の加熱時間、ミンチ肉肉汁の処理方法などである。ミンチ肉肉汁の処理方法とは、乾燥時に加熱時に生じた肉汁をペットフードの表面にかけながら乾燥機を用いて乾燥することによってミンチ肉の芳香を増すことができるようなことである。
なお、ペットフードの組成情報、ペットフードの製造情報にはそれらの情報がそれぞれ特注であることを示す特注フラグが記憶できる項目(属性)を備えている。
【0054】
食歴情報は、例えばいつどのようなペットフードをどれだけの量、生産したかの情報が含まれる。食歴情報の一例を挙げれば、
[顧客ID,年月日,製造店コード,受付時間,ペットフード情報]
などの項目(属性)を有している。なお、本明細書において、「ペットフード情報」とは少なくともペットフードの組成情報を含み、さらに必要に応じてペットフードの製造情報も含めた情報をいう。通常は、組成情報、製造情報の2つを含んでいる場合が多い。
食歴情報ファイルは、顧客が各店を訪れてペットフードを製造する毎に年月日とそのペットフード情報が経時的に蓄積されていく、例えばトランザクションファイルとして構成される。
【0055】
このような食歴情報はペットフード製造情報と結合することにより、後述する図8のステップS109の食歴情報を呼び出して再利用する処理に使用するのは勿論のこと、長期間にわたってペットの状態を知るために大きな役割を果たす。
これはペットフードを食することによってペットの健康が良くなるのは、ペットフードを食べ始めてから、3ヶ月や半年という長期間にわたることが多く、その期間にわたってどのようなペットフードを食べたかという記録を取ることがペットフードの評価において大事になるからである。
【0056】
顧客情報は、例えば、下記のような項目によって構成される。
[飼い主の名前,飼い主の住所,電話・電子メール等の連絡先,犬の名前,犬の種別,犬の生年月日,雄雌の種別,体重,どのようなペットフードが好きかというペットフードの嗜好性,病歴,個別情報,特注フラグ]などである。
【0057】
このうち病歴にはアレルギーの有無、特定の疾病に係っている否かの情報などが記載される。個別情報としては個々の飼い主の希望、配送に際しての注意などが記載される。特注フラグは複数のペットを飼っている場合などに自動的に付与される。
【0058】
図8は来客時における処理コンピュータが行う処理の一例を示すフローチャートである。
図8において、まず、顧客受付処理を行う(ステップS101)。
この顧客受付処理は、受付オペレータに対して来客した顧客を新規顧客と登録顧客とで区別し、新規顧客と登録顧客とで対応を変えるためにコンピュータが行う処理である。例えば、処理コンピュータの受付オペレータ用表示装置に新規顧客か登録顧客か否かを選択する顧客選択画面(図示せず)が表示され、受付オペレータが新規顧客であると入力部から入力した場合は、この入力に応答して、コンピュータが自動的に顧客コードを付与し、その新規顧客の顧客情報をオペレータが入力する。
入力する顧客情報のデータは販売店においてペットの飼い主が会員登録シートに記入した情報に基づいて行われる。
【0059】
一方、前記選択画面が表示された後、受付オペレータによってその顧客が登録顧客であると入力された場合は、処理コンピュータの受付オペレータ用表示装置にID番号入力画面が表示され、その顧客ID番号を入力することによって後のペットフード製造処理を円滑に進める。
【0060】
顧客受付処理が終了すると、例えば、図9のようなペットフード選択画面が表示される(ステップS102)。ペットフード選択画面は大別すると、特注ペットフードを製造するための入力領域と、通常処理によってペットフードを製造するための入力領域に大別される。
【0061】
さらに、通常処理に関しては2通りの処理がある。一つは、標準ペットフードを選択した場合であり、もう一つはその登録顧客が過去に製造したペットフード情報(組成情報、製造情報)で同じペットフードを製造する場合である。
図9に示すようなペットフード選択画面を参照しつつどのようなペットフードの製造を希望するかを顧客に聞き、その要望に応じてペットフードを選択することによってデータの入力を少なくして、効率的に製造するようにしている。
【0062】
即ち、図8に示すステップS102において、標準ペットフードの製造が選択された場合には、コンピュータのROMメモリ23(図7参照、以下同様)内の標準ペットフード情報記憶部42から標準ペットフードの組成情報、製造情報が呼び出され(S103)、オペレータのペットフード製造量の入力を受けて、食材量算出プログラムにしたがって各材料の量をコンピュータが自動的に計算する(S104)。具体的には、標準ペットフード情報記憶部42の標準ペットフードの組成情報テーブルには、例えば、標準ペットフード基材の重量%が25%、ミンチ肉の重量%が20%、新鮮野菜の重量%が5%、水分の重量%が50%と登録されているので、1kgのペットフードを製造する場合には、(標準ペットフード基材:1.0×0.25=250g),(ミンチ肉:1.0×0.20=200g),(新鮮野菜:1.0×0.05=50g),(水分:1.0×0.50=500g)とコンピュータが自動的に算出する。
【0063】
そして、製造オペレータ用表示装置44bに図10に示すようなペットフード情報を出力し(S105)、コントローラ13へ製造情報(製造データ)を出力用意し(S106)、製造オペレータが製造機械部1の実行スイッチ50をオンしたとき(S107のYES)に、処理コンピュータ40が食歴情報記憶部54に食歴情報を登録(S108)して一連の処理を終了する。
【0064】
一方、ステップS102において以前製造したペットフードを同じ組成、同じ製造条件で再び作ると選択された場合には、処理コンピュータ40がその顧客情報に対応する食歴情報をRAMメモリ24の食歴情報記憶部54から呼び出し(S109)、オペレータのペットフード製造量の入力を受けて、食材量算出プログラムが各材料の量を計算し(S110)、前回と同じペットフード情報が表示装置に表示される(S105)。
このように過去に製造したペットフードを再び作る場合には、処理コンピュータ40の食歴情報に過去の組成情報、製造情報が記憶されているので、それらの情報を利用すれば、簡単かつ正確に希望するペットフードの製造が行える。
【0065】
また、図8に示すステップS102において、標準ペットフードや以前製造したペットフードでもない特注ペットフードを製造することが選択された場合には、その特注ペットフードを製造することが選択されたことに応答して作成されるペットフード情報、食歴情報に特注判別情報としての特注フラグを付与し(S111)、ペットフード選択画面の表示入力ウィンドウから、どのようなペットフード情報を入力すればよいかということについてペットの飼い主から販売店のオペレータが聞いてその個別の情報を入力する(S112)。
そして、特注ペットフード情報が入力された場合は、その特注ペットフード情報に基づいて表示装置への表示情報が表示され(S105)、以下、ステップS106〜S108の処理を同様に行う。
【0066】
このような処理ソフトを処理コンピュータが有していることにより、オペレータは新規顧客、登録顧客にかかわらず、表示画面を見ながら各顧客について定型的に処理することができ、非常に多くの数で多種多様なペットに対する要望を持つ顧客の状況を画面で確認しつつ、顧客の要望に応じた簡単かつ正確にペットフードの製造を行えるようになる。
【0067】
図9は上記ペットフード選択画面の一例を示す図であり、このペットフード選択画面を参照しつつ前記処理コンピュータの処理について説明する。
このペットフード選択画面73には、A型、B型、C型の標準ペットフードを選択する標準ペットフード選択部74と、過去の顧客が製造したペットフードを製造するための食歴情報からのペットフード選択部75と、特注ペットフード入力部76と、選択されたペットフード情報を表示し、修正入力する表示入力ウィンドウ77と、製造量を入力する入力欄78と、登録ボタン部79と、キャンセルボタン部80とを備えている。
【0068】
標準ペットフードを製造する場合にオペレータがA型、B型、C型の3種類の標準ペットフードの中から一つを選ぶと、その選ばれた標準ペットフードのペットフード情報が表示入力ウィンドウ77に表示される。そしてペットの飼い主が要望した製造量を例えば4kgと入力欄78に入力し、登録ボタン部79をカーソルなのでクリックすれば、4kgの標準ペットフード情報に対応する組成情報と、データがあれば製造情報が顧客コード、販売店コード、日付とともに登録される。
【0069】
また、オペレータが食歴情報からのペットフード選択をする場合は、顧客コードを入力した時点において、食歴表示欄に新しい順にその顧客コードに対応する過去の日付(例えば、2004年07月05日、2004年06月18日、2004年06月02日)が表示され、2004年07月05日の日付を選択ボタンによって選択すると、2004年7月5日に製造された以前のペットフード情報が表示入力ウィンドウ77に表示されるように構成してある。そして製造量を例えば4kgと入力して登録ボタン部79をクリックすれば、2004年7月5日の日付に係る4kg分のペットフード情報に対応する組成情報、データがあれば製造情報が顧客コード、販売店コード、日付とともに登録される。
【0070】
特注ペットフードの入力を選択した場合は、標準ペットフードを選択した場合や食歴情報からのペットフード選択を選ぶことによって表示入力ウィンドウ77に表示されたペットフード情報が表示された状態で、特注ペットフード入力部76の入力ボタン81を押して、表示入力ウィンドウ77に表示されたペットフード情報を修正入力が可能な状態にして修正入力した後、製造量を入力して、登録する。
【0071】
つまり、特注ペットフード入力部76の入力ボタン81を押すことによって予め登録されたペットフード情報が修正入力することが可能になり、修正入力した場合は、組成情報、製造情報などに特注フラグが設けられるので特注ペットフードであることが分かるのである。
なお、表示入力ウィンドウ77にペットフード情報が表示されていない状態から入力ボタンを押した後、組成情報、製造情報、特記情報の個々のデータを一つずつ手入力によって入力してから登録ボタン部79をクリックすることで特注ペットフード情報を登録してもよい。
【0072】
図10は受付オペレータ用表示装置の表示画面の一例を示す図、図11は処理コンピュータの入力部の一例を示す図である。
図10に示すようにペットフード情報表示画面59は、大別して組成情報表示領域60と、製造情報表示領域61と、特記情報表示領域63とを少なくとも備えている。また、図11に示すように、受付オペレータ用表示装置44aに隣接して処理コンピュータの入力部45が設けられる。即ち、入力部45は、一般的なマウス83、キーボード84、バーコード読取り装置85、マイク86などで構成してもよい。さらに言うなら、受付オペレータ用表示装置44aに隣接した入力部45は、図11に示すように一般のコンピュータに近い入力部とし、製造オペレータ用表示装置に隣接した入力部は、図2に示す入力部45のように食材をつかんだ手でも操作しやすい入力部とすることが好ましい。
【0073】
ペットフードの組成情報は前記したように、ペットフード基材の種類と量、新鮮食材の種類と量、ミンチ肉の種類と量、水分量などが表示される。このうち、この実施形態においてはオペレータが注意して見るべき必要のある情報が反転表示、点滅表示、又は目立つ色によって表示されるように構成してある。
例えば、ミンチ肉であれば牛ミンチ、100gの欄が赤色で点滅して表示され、この部分について製造オペレータはその牛ミンチを用意しなければならないことが一見して分かる。
特記情報表示領域63には、必要に応じて製造段階で投入されるサプリメントなどの表示も行ってオペレータに注意を促す。
【0074】
製造情報は前記したように攪拌混練機の駆動時間、押出機の駆動時間、ペットフードの直径、ペットフードの長さの製造条件、乾燥機の時間、温度などが表示される。標準ペットフードを製造する場合は、図8のステップS106において用意された通常処理の駆動データにしたがって表示される。標準ペットフードを製造する場合にはオペレータは製造情報については特に必要な時だけ見ればよく、表示された製造情報にしたがって処理を行うなどの操作は必要ない。即ち、製造オペレータは表示された組成情報を参照して組成情報の量表示欄に表示された牛ミンチの量、キャベツの量、水分量を冷蔵庫などから取り出して用意し、攪拌混練機内に投入して、実行スイッチを操作してペットフード製造装置を駆動させるだけで予め用意された製造情報の駆動データにコントローラが自動的に標準形ペットフードを製造する。組成情報の量の表示欄に表示される各食材の量は前記食材量算出プログラムが図9の製造量の入力欄78に入力された数値に基づいて自動的に算出して表示する。
【0075】
これに対して特注ペットフードの場合は、製造オペレータは表示された組成情報の食材を用意するとともに、各特記情報、サプリメントの情報、処理方法に応じてどのような処理を行うかを判別しなければならない。例えば、特定のサプリメントを入れる場合は、そのようなサプリメントを表示装置に表示される情報に基づいてサプリメントを選択して投入する。さらに、もう少し柔らかいペットフードが欲しい、キャベツの量を増やした、ミンチ肉を前の牛肉から羊肉に変えたいというような特記情報があった場合は、それらの要望に応じて水分量や乾燥時間、キャベツの量を増量する、あるいは羊肉に使用するなどというように組成や製造条件を変えてペットフードを製造する。このようなペットフードの製造に関する判断は、受付オペレータが行う場合もあるし、製造オペレータが行う場合もある。一般的には受付オペレータが決定して、製造オペレータが受付オペレータの判断に従うとした方が効率が良いようである。
なお、特記情報は、どのような目的のために組成情報、製造情報が変更されるのかを受付オペレータ、製造オペレータに示すことによって、間違いを少なくするという意味もある。
【0076】
処理コンピュータ40(図7参照)によって所定時間間隔で行われる確認処理を示すと以下の通りである。
まず、表示装置44に組成情報と、製造情報と、特記情報とがそれぞれの表示欄に表示された状態で、これらの表示において「受付オペレータ又は製造オペレータによる補正入力があったか(音声入力も含む)」、「実行ボタンの操作があったか」がそれぞれ所定時間間隔でリアルタイムに検出されるように構成してある。
【0077】
そして、実行ボタンが押される直前の組成情報、製造情報、特記情報を個々のペットの顧客ID毎に設けてあるペットフード情報に記憶する。実行ボタンが押される前
に補正入力データ、音声入力データがあれば、それらの補正データでペットフード情報が記録されることになる。製造オペレータが補正入力を行う場合には、図11に示したマウス、キーボードによって行う他、各肉の種類がバーコードによって印刷された肉ミンチバーコード表、野菜の種類がバーコードによって印刷された野菜バーコード表をバーコード読取り装置で読みとることによって入力しても良い。
【0078】
ペットフードの製造に際してオペレータが特別に工夫した点については、特に必要がある場合は、キーボード、バーコード入力、音声入力などによって特記情報として食歴情報に入力する。
このような方法を採用することにより、特注ペットフードを製造する場合は、必要であれば、製造したオペレータがどのような条件でペットフードを製造したかを自らが入力することを可能としているので多種多様な特注ペットフードの製造においても責任を持って製造することが可能になる。
【0079】
また、製造時にペットフードの組成、製造条件などを決定するオペレータ本人が表示装置に表示されたペットフード情報を確認することをルーチン化しているので、ペットフードの食歴を後で手入力する場合に比べて間違いが少なくなり、ペットフードの製造作業と同時進行で自動的にペットフード情報、食歴情報の作成も行えるので、データ整理作業を著しく効率化できる。
【0080】
以下、上記のようなペットフード製造装置などを使用して獣医などがペットフードの処方箋情報を作成して、ペットフード製造装置のあるペット関連店でペットフードを製造することができる実施形態について説明する。
まず、処方箋情報作成装置の具体的構成について説明する。
図12はこの第1実施形態に係るペットフード処方箋情報作成装置(以下、処方箋情報作成装置と称する)の構成を示す図である。
この第1実施形態の特徴は、図7において説明したペットフード製造装置において、製造機械部1とコントローラ13及びコントローラ13用のインターフェイス22を除いたコンピュータシステムを獣医などの処方者コンピュータ112に設け、通信ネットワーク48を介して複数のペット関連店に置かれた処理コンピュータ(図12では第1処理コンピュータ40−1〜第n処理コンピュータ40−nで示す)で処方箋情報を送信できるように構成した点にある。送信形態は電子メールの形態でも、その他の仕様でも可能である。
【0081】
つまり、処方者コンピュータ112において、図7に示す表示装置44a(製造オペレータ用表示装置44bは不要)と入力部47、RAMメモリ24、ROMメモリ23、通信制御部47などを備えたコンピュータシステムを処方者が操作してペットフード情報を作り、製造を希望するペット関連店に送信するのである。この場合、処方者コンピュータ112のROMメモリ23には処方箋情報作成プログラムを記憶した処方箋情報作成プログラム記憶部65が設けられている。第1発明の処方箋情報生成手段は、例えばその処方箋情報作成プログラムと処理コンピュータ40によって構成される。
【0082】
この処方箋情報作成プログラムは、処方者が作成したペットフード情報に処方者の認証情報(認証パスワードの入力、ICカードによる走査)を付加するというプログラムで構成できる。顧客情報についてのペットの名前、飼い主の氏名、飼い主の連絡先、処方者が入力した方が好ましいが、その他の情報は必要に応じてペット関連店が飼い主と連絡を取り、入力するようにしても良い。認証情報は上記認証パスワードの入力の他、指紋認証、手のひらの血管認証、網膜認証などの各種認証技術を利用しても良い。
【0083】
処方者によるペットフード情報の作成は、処方者コンピュータ112を用いて図9のペットフード選択画面表示から図8に示す処理を行うことによりペット関連店に載置されたペットフード製造装置の場合と同様に行える。図8に示すペットフード選択画面表示を用いる方法以外にも表計算ソフトを用いて、処方者がペットフードの組成情報を作成するように構成することもできる。
つまり、処方者が予め登録されているペットフード基材、ミンチ肉、野菜などの食材の選択とそれら配合量の指定を行ったことに応答して、処方者の認証情報と少なくともペットフードの組成情報と含んだペットフードの処方箋情報を生成するように構成されている。
【0084】
上記表計算ソフトを用いる場合には、例えば、各ペットフード製造装置において使用できるペットフード基材の種類、新鮮食材(キャベツ、ニンジン、レタスなど)、ミンチ肉の種類、水分などを表計算ソフトの行に予め配置しておき、対応する列に前記配合量としての重量%の数値を記入するだけで組成情報を作成するように構成することもできる。この場合、重量%が合計で100%にならない場合は注意を促す表示をするように構成することもできる。
(第2実施形態)
【0085】
図13は本発明の第2実施形態を示す概略ブロック図である。
この第2実施形態では処方箋情報作成装置107は、主に処方箋情報作成サーバ108によって構成されている。処方箋情報作成サーバ108の管理する記憶手段にはペットフードの組成情報データベース(図示せず)を少なくとも含むペットフード情報データベース102と、処方箋情報データベース111と、顧客情報データベース128と、ペットフード製造装置が設置されたペット関連店の製造店情報データベース129、食歴情報データベース103、処理プログラム記憶部105を含んで構成した例が示してある。なお、必要に応じてペットフード情報データベース102には、製造情報データベース(図示せず)などを含めることができる。
また、処方箋情報作成サーバ108には処方箋情報作成ウエブサイト131が連携され、その処方箋情報作成ウエブサイト実行プログラムが処理プログラム記憶部105に記憶されている。
【0086】
処方箋情報作成装置107を使用して処方箋を作成する処方者は、動物病院の獣医や動物に与える食物に関するアドバイス等を行う栄養士などであり、処方者は動物病院コンピュータ113などの処方者コンピュータ112からインターネットなどの通信ネットワーク48を介して処方箋情報作成装置107にアクセスできるように構成してある。
【0087】
一方、処方者によって作成された処方箋情報は、ペット関連店などに設置されるペットフード製造装置によってペットフードの製造に使用される。このようなペットフード製造装置は前記した処理コンピュータ40(図7参照)を備え、個々のペットフードの処方箋情報に応じて、必ずペットフード組成情報を使用し、必要によりペットフード製造情報を使用してペットフードを製造できるようになっている。
【0088】
処方箋情報作成装置107によって作成された処方箋情報は通信制御部130から通信ネットワーク48を介してペット関連店コンピュータの処理コンピュータ40−1〜40−nに送信又はダウンロードされ、図7に示すような処理コンピュータ40が管理する組成情報記憶部52や、製造情報記憶部53、処方箋情報記憶部64などに記憶される。各ペットフード製造装置には前記したコントローラ13と製造機械部1が接続されている。
【0089】
図14は獣医などの処方者が処方箋情報作成装置にアクセスして処方箋情報を作成する処理の一例を示したフローチャートである。
図14においてパスワードやICカードなどによる認証を行って通信ネットワーク上の処方箋情報作成サーバ108(図13参照、以下同様)にアクセスして(S401)、処方箋情報作成サーバ108の処理プログラム記憶部105にある処方箋情報プログラムを起動させて処方箋情報を作成し(S402)、作成した処方箋情報を所定の出力形態で出力(S403)して一連の処理を終了する。
【0090】
図15は処方箋情報作成サーバの処方箋情報作成プログラムが行う、図14のステップS402に記載した処方箋情報作成処理の一例を示すフローチャートである。
図15において、処方箋情報作成プログラムを起動させると、前記したようなペットフード組成情報、ペットフード製造情報、特記事項情報などの所定入力画面が表示され(S501〜S503)、処方者がそれらの情報を入力した場合は(S504のYES)、入力された情報を画面に表示し(S505)、それらの処方箋情報作成で認証するか否かを画面上で処方者に聞き(S506)、認証する場合は、処方者が入力した情報と認証情報に基づいて処方箋情報作成プログラムが処方箋情報を作成し(S507)、処方箋情報データベース111(図13参照)に登録し(S508)、処方箋情報発行処理(S509)を行って一連の処理を終了する。S506において認証しない場合、S501に戻り、入力画面表示を繰り返す。
【0091】
また、S508において処方箋情報を登録する場合には、処方箋情報作成プログラムによって処方箋情報自体に特注フラグが自動的に付与される。
ペットフード組成情報、ペットフード製造情報、特記事項情報などの入力画面は、少なくともペットフード組成情報のみであってもよい。また、標準ペットフードの種類を選択するだけの処理であってもよい。要はペットの状態を良く知る獣医などの処方者が最適なペットフードを選んで認証するということが大事なのである。
【0092】
最も簡単な構成は、図8及び図9で説明した標準ペットフード選択、食歴情報からのペットフード選択、特注ペットフード入力の3つのうちいずれかをオペレータが選択するペットフード選択画面の表示及び処理のプログラム一式を図13に示す処方箋情報作成サーバ108に組み込み、図9のペットフード選択画面を獣医などが動物病院コンピュータ113から選択できるように構成すればよい。
【0093】
図16は図15のS509に記載した処方箋情報発行プログラムが行う処方箋情報発行処理の一例を示すフローチャートである。
図15のS508における処方箋情報の登録処理が終了すると、処方箋情報作成ウエブサイト131(図13参照、以下同様)の画面には処方箋情報を印刷するか、又は処方箋情報を所定のペット関連ショップのペットフード製造店に送信するかの選択画面が表示され(S601)、印刷処理を処方者が選択したことに応答して、処方者の動物病院コンピュータ113内に組み込まれたブラウザの機能によって処方箋情報をプリントアウトする処理を行う(S602)。印刷された処方箋情報はペットの飼い主に渡され、ペットが自分で図1〜図6に示すペットフード製造装置のあるペット関連店に持参すれば、処方箋情報に記載されたペットフードを製造することができる。
【0094】
一方、S601において処方者が処方箋情報を送信することを選択したことに応答して、処方者へのペット関連店のペットフード製造店のID入力画面を表示して、ペットフード製造店のIDが入力された否かを判別(S603)し、入力されたと判別された場合は製造店データベース129に基づいてその入力された製造店IDに対応するペットフード製造装置の処理コンピュータ40のメールアドレスを特定(S604)し、その特定された処理コンピュータに処方箋情報を送信(S605)して一連の処理を終了する。
【0095】
また、S603において、処方者へのペット関連店のペットフード製造店のID入力画面を表示して、ペットフード製造店のIDが入力されなかった場合は(S603のNO)、処方箋作成情報作成サーバ108が処理プログラム記憶部105内の製造店選択プログラムを起動させ、自動的にペットフード製造店を選択(S606)して、その選択されたペットフード製造装置の処理コンピュータのメールアドレスに処方箋情報を送信(S607)して一連の処理を終了する。
【0096】
なお、S606において自動的にペットフードを製造する店を選択する基準としては、ペットの飼い主の近所でペットフード製造装置があるペット関連店や、獣医の住所の近くのペット関連店などを自動的に抽出する製造店選択プログラムが例示できる。なお、このような利用者、獣医の所在地から、最も道路距離の近い製造店位置を探索するプログラムはカーナビゲーションなどの分野で既に確立され、販売されている。また、2点間の最寄りの駅を探索すると共に電車による移動時間を算出し、最も移動時間の短い経路を探索するプログラムもインターネット上で提供されているので、それらを適宜、利用すればよい。
【0097】
図17はペットフード製造装置の処理コンピュータが行う処方箋情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。
図17において、ペットフード処方箋情報作成サーバ108から送信されたり、又はダウンロードすることによって処方箋情報を取得し(S801)て処方箋情報記憶部64に記憶し、処方箋情報に対応する顧客情報を図7のRAMメモリ24の顧客情報記憶部55内に登録し(S802)、表示装置44aに登録された処方箋情報を表示(S803)してオペレータに注意を促す。
【0098】
表示された状態でその処方箋ペットフードを受け取りにペットの飼い主が来店した場合(初めから特記情報などに製造されたペットフードを郵送して欲しいという要望があった場合は郵送時)には(S804)、例えば、オペレータが図9の特注ペットフード入力時に、表示装置44に処方箋情報に係るペットフード情報を表示し(S805)、特注ペットフード製造処理(S806)に移行する。ペットフード製造処理は図8や図9で説明した特注ペットフードの処理に処方箋情報に係るペットフードが入力されることにより、同様に行うことができる。そして、処理コンピュータは、処方箋情報に係るペットフードが特注ペットフードであることは前記した特注フラグにより判別できる。
【0099】
図18は印刷プログラムが行う特注ペットフード用ラベルの一例を示すフローチャートである。
図18において、ペットフードの組成情報(又は製造情報)に特注フラグがあるものを抽出し(S701)、顧客情報に特注フラグがあるものを抽出し(S702)、処方箋情報(必ず特注フラグがある)を抽出し(S702)、印刷抽出情報に基づいて組成情報、製造情報、特記情報、顧客情報、処方箋情報の中から印刷プログラムによって抽出された情報をラベルシートなどの表示材に印刷する(S704)。
【0100】
さらに説明する。あるペット用に組成情報に特別のサプリメントを入れたペットフードは、他のペットが食べることは防止しなければならない。この場合、最も分かりやすいのはペットフードが入れられる袋、容器の外面にそのペット用のサプリメントが入ったペットフードであることを表示する印刷ラベルを添付することや、ペットフードを入れる袋自体に印刷することである。
【0101】
また、複数種のペットを飼っている場合は、ネコ用のペットフード、犬用のペットフードと言うように区分したり、犬であっても若年用のペットフード、老年用のペットフードというように同じ飼い主の飼っているそれぞれのペット用のペットフードであることを表示する必要がある。
ここで、前記したように顧客に複数のペットを飼っているものについては、顧客情報に特注フラグを設けるようにするのである。そして、顧客情報に特注フラグがあるものについては、ラベル又は包装用紙にそれらの情報を印刷することにより、同じペットフード袋、容器を使用して、紛れることのないペットフードを顧客に提供することができるようになる。
【0102】
また、処方箋情報によって作成されるペットフードは、必ず特注フラグが付けられ、その処方箋情報と顧客情報の所定箇所をラベル等に印刷することにより、処方箋情報に基づいて製造されたペットフードであることを明示する。この明示により、そのペットフードがどの獣医、栄養士によって処方されたかが分かり、また、間違えて他のペットにその処方されたペットフードを与えることがなくなる。これは、処方者によって処方されるペットフードが最も一般的な標準ペットフードであっても特注ペットフードに分類されることを意味する。
つまり、本実施形態では、特注ペットフードには処方箋情報に基づいて製造されたペットフードの他、図9に示すペットフード選択画面から特注ペットフードとして入力されたペットフードや、複数のペットを飼っている顧客用のペットフードが含まれることになる。間違いを防止するためにペットフードの内容を明示するという目的からは、処方箋情報に基づく特注ペットフードと、製造店が個別に作られたものに基づく特注ペットフードは同じものであると考えることができるからである。
なお、特注フラグが付けられた情報のうち、どの項目を表示材に印刷するかについては、前記した印刷抽出情報記憶部に予め抽出印刷項目の情報をテーブルで指定しておくことにより、処理コンピュータは印刷装置を駆動させて、必要な情報を印刷することができる。下記図19と図20にその抽出印刷項目とその配置の一例を示す。
【0103】
図19は特注ペットフード用ラベルの一例を示す図である。
図19に示す特注ペットフード用ラベル66は、特注ペットフード表示欄67と、ペット飼い主情報表示欄68と、ペット名前表示欄69と、顧客ID表示欄70と、ペットフード情報表示欄71と、そのペットフードを製造したペット関連店表示欄72が設けてあるので、ある特定のペット用に製造された特注ペットフードを誤って他のペットに与えてしまうということを防ぐことができる。
【0104】
図20は特注ペットフード用ラベルに印刷された処方箋情報などを表示した処方箋ラベルの一例を示す図である。
図20に示すペットフード処方箋ラベル115は、ペットフード処方箋表示欄116と、処方箋コード表示欄126と、ペット飼い主情報表示欄117と、ペット名前表示欄118と、ペットフード情報表示欄120と、処方者の認証表示欄124と、認証コード表示欄125とが設けてある。ペットフード情報表示欄120には、組成情報表示欄121と、製造情報表示欄122と、特記情報表示欄123が設けてある。
なお、必ず必要な記載事項は、ペット飼い主情報表示欄117と、ペット名前表示欄118と、処方者の認証表示欄124である。なお、必要に応じてそのペットフードを製造したペット関連店表示欄を設けることもできる。
【0105】
このようなペットフード処方箋ラベルをペットフードの容器に貼り付けることによって、処方箋情報に基づいて製造されたペットフードであることが一見して分かり、ある特定のペット用に製造された処方箋情報に基づく特注ペットフードを誤って他のペットに与えてしまう不都合を防ぐことができる。
【0106】
以下、この第1実施形態に係る個々対応型ペットフード製造装置を利用してペットフードを製造する場合の概略について説明する。
図1〜図6に示すような製造機械部1を例えば、ペット販売店、ペット関連商品、ペット関連食品などのペット関連店に設置する。このようなペット関連店にはペットの飼い主が良く訪れるものである。
一方、ペットフード基材供給会社は、ペットフード基材を製造して、各ペット関連店に設置されたペットフード製造装置にペットフード基材を提供する。なお、ペットフード基材供給会社は同時にミンチ肉を供給することもできる。
【0107】
ペット関連店では受付オペレータの前判断事項として、顧客の個別対応の有無を聞くようにする。つまり、顧客のペットの状態を聞いた上で、標準ペットフードを選ぶか他のペットフードを製造するかを決めるのである。そして、図8で説明した処理を行い、ペットの飼い主の要望に応じてペットフード基材の選択とミンチ肉とその他の新鮮食材の選択を行う。具体的には、図10に示すペットフード情報表示画面に従って攪拌混練機2に投入するミンチ肉の種類(例えば牛肉、鶏肉などの肉の選択)や、投入する野菜(例えばキャベツなど)を決定する。この場合、ミンチ肉としてペットフード基材供給会社から郵送されてきたレトルト包装したものも使用できる。また、ミンチ肉の入手方法としてペットフードを製造する毎に各ペット関連店の製造オペレータが精肉店などからミンチ肉を購入する形態も当然に採用できる。
【0108】
次に、前記した加熱調理器でミンチ肉を加熱調理した後、その加熱調理済みの肉汁、水分などを加えつつミンチ肉と新鮮食材(キャベツなど)とペットフード基材とを攪拌混練機2内(図1〜図6参照、以下同様)に入れて攪拌混練する。野菜などの新鮮食材を入れるときは攪拌混練機2、押出機3でペットフードを良好に製造できる程度に細切れ状になっていることが好ましい。これら新鮮食材の前処理は、予め細切れ状になっている野菜等を購入したり、作業員が機械により細切れ状に加工してもよい。
【0109】
次に、攪拌混練されたものは、攪拌混練機2の下側開口27から取り出され、押出機3の投入口から押出機3内に入れられる。そして押出機3の押出基盤28の選択により線状物8の直径を決めつつ、線状物8の押出工程を行う。押出機3の小孔29から押し出された線状物8は切断羽根30によって長さが調整された後、ベルトコンベア10上に落下する。ベルトコンベア10上の線状物8はケーシング33内の加熱と乾燥容器17内で加熱され、乾燥される。以上の工程によりペットフードの製造が終了する。
【0110】
製造されたペットフードはペット関連店においてパッケージに入れて直接手渡されるか又は宅配にて配送される。このようにして、防腐剤、保存料を一切入れない安全で新鮮かつ味の良い作りたてのペットフードを提供することができる。
【0111】
以下、好ましいペットフードの組成に関する構成1〜構成3について説明する。
(構成1)前記個々対応型ペットフード製造装置をペット関連店に設置し、ペットフード基材が穀物粉を主とする組成で構成されるとともに混合しやすい形態で構成し、ペットフード基材と、少なくともミンチ肉を攪拌混練機に投入した後に、コントローラが攪拌混練機、押出機、乾燥機を制御駆動して、穀物粉100重量部に対してミンチ肉を3重量部〜100重量部含んだ構成にしたドライ型のペットフード。
【0112】
(構成2)前記個々対応型ペットフード製造装置をペット関連店に設置し、ペットフード基材を炭水化物とタンパク質を主とする組成とするとともに混合しやすい形態で構成し、ペットフード基材と、少なくともミンチ肉とを攪拌混練機に投入した後に、コントローラが攪拌混練機、押出機、乾燥機を制御駆動して、炭水化物が30重量%〜70重量%、タンパク質が20重量%〜32重量%、脂肪が5重量%〜25重量%の組成で、投入されたミンチ肉を含んだ構成にしたドライ型のペットフード。
【0113】
(構成3)前記個々対応型ペットフード製造装置をペット関連店に設置し、ペットフード基材が穀物粉を主とする組成で構成されるとともに混合しやすい形態で構成され、ペットフード基材と、少なくとも加熱調理済みのミンチ肉とを攪拌混練機に投入した後に、コントローラが攪拌混練機、押出機、乾燥機を制御駆動して、ミンチ肉を含んだ構成にしたドライ型のペットフード。
【0114】
なお、上記構成1〜構成3において長期間の保存を対象とした防腐剤、保存剤を一切入れずにペットフード基材を構成することが好ましい。さらに、上記構成においてペットフード基材がアレルギーを引き起こす虞のある材料を除いたもので構成されていることが好ましい。また、上記構成において押出機から押し出される線状物の水分量を15重量%〜40重量%の範囲に設定することが好ましい。
【0115】
構成1であれば、下記(イ)〜(ハ)の特有の効果を有する。
(イ)前記のように穀物粉を主成分とするペットフード基材を使用するので、品質が劣化しやすい脂肪分を少なくでき、ペットフード基材を長期保存することができる。また、ペットフード基材だけでなく、攪拌混練機によってミンチ肉も加えて最終的なペットフードを製造するので味、臭いも良好になり、新鮮で美味しいペットフードを製造できる。
(ロ)長期保存可能なペットフード基材とミンチ肉などの新鮮な食材をペット関連店で製造する直前に必要なだけ混合してペットフードを製造するので、例えば、あるペットの飼い主において自宅のペットが1週間食べるだけの少量のペットフードであっても個々に製造することができ、常に安全かつ新鮮で良好な品質のペットフードをペットに与えることができる。
(ハ)ペットフード製造装置をペット関連店に設置することでペットの健康状態を考慮して、ペットフード基材の配合、混入するミンチ肉の種類及び量などを調整することができ多種多様なペットフードを製造することが可能になる。したがって個々のペットの症状に対応したペットフードを安全かつ簡単に生産することができる。
【0116】
構成2であれば、上記(ロ)(ハ)の効果とともに、下記(ニ)の特有の効果を有する。
(ニ)前記のように炭水化物とタンパク質を主成分とするペットフード基材を使用するので、品質が劣化しやすい脂肪分を少なくでき、ペットフード基材を長期保存することができる。また、炭水化物、タンパク質、脂肪を上記範囲内に設定することにより、基本栄養素を満足する栄養価の高いペットフードを製造することができる。
【0117】
構成3であれば、上記(イ)〜(ハ)の効果とともに、下記(ホ)の特有の効果を有する。
(ホ)後から加えられるミンチ肉が加熱調理済みとすることにより、特に味、香りにおいてペットが非常に喜ぶペットフードを提供できる。
【実施例1】
【0118】
以下、具体的な実施例について説明する。
表1は標準ペットフード基材と牛肉ミンチ肉を使用した場合の配合割合の一例を示す表である。乾燥後の比率ではミンチ肉を5%として他の材料を計算してある。ミンチ肉を増やした場合(例えば20%まで増量)は、ミンチ肉を増やした分だけ米粉、小麦粉などの穀類の重量%を増すようにする。なお、ペットフード基材とミンチ肉、キャベツ等は人間が食べられる安価なものを使用し、防腐剤、保存料は一切使用しなかった。
【0119】
【表1】

【0120】
上記ミンチ肉を加熱容器(アルミニウム製)内に入れ、バーナーにより加熱して焼肉状態にして肉汁とともに表1に示すペットフード基材と細切れにしたキャベツと水とを攪拌混練機内に入れ、攪拌混練工程、押出し工程、乾燥工程を経て上記組成のペットフードを製造した。
【実施例2】
【0121】
上記ミンチ肉を底の浅い皿に入れ、電子レンジにより加熱して焼肉状態にして肉汁とともに上記構成のペットフード基材とキャベツと水を攪拌混練機内に入れ、後は前記した組成によりペットフードを製造した。つまり、この実施例2は実施例1に比べてミンチ肉の加熱方法が異なるだけである。
【実施例3】
【0122】
上記ミンチ肉を生の状態でペットフード基材とキャベツと水を攪拌混練機内に入れ、後は前記した組成によりペットフードを製造した。つまり、この実施例3は、ミンチ肉を加熱調理済みの状態にせず、乾燥機によってのみ加熱状態にする構成である。
【実施例4】
【0123】
アレルギーの虞があるペット用のペットフードは、小麦粉を米粉、魚粉をアレルギーの心配のない植物性蛋白粉などに代えた材料を使用する。その成分比率は小麦粉を米粉、魚粉を植物性蛋白粉に代えた以外は表1と同じなので省略する。上記ペットフード基材の変更以外は実施例1と同様にして製造した。
(比較例1)
【0124】
ペット関連店で投入される食材としてミンチ肉を使用せず、ミンチ肉に相当する重量の大豆蛋白を使用して、他の材料は同じにしてペットフードを製造した。
(比較例2)
【0125】
市販されているA社製ドッグフードを150g用意した。なお、肉の割合は実施例1〜実施例3よりも多量に入っているものを選んだ。
(比較例3)
【0126】
市販されているB社製ドッグフードを150g用意した。なお、肉の割合は実施例1〜実施例3よりも多量に入っているものを選んだ。
(実験の内容)
上記実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2、比較例3を犬1〜犬8(犬1:柴犬3歳、犬2:柴犬4歳、犬3:ゴールデンレトリバー2歳、犬4:ゴールデンレバトリー3歳、犬5:シベリアンハスキー2歳、犬6:雑種4歳、犬7:雑種5歳、犬8:雑種4歳)に6つ同時に与え、どのペットフードを最も喜んで食べるかを観察した。ペットフードの与え方は、犬の鼻先を円の中心として、同心円形に上記6個のペットフードを同じ皿に同量(150g)入れた状態にして犬に与え、その実験を3回繰り返してその平均を取った。3回の実験のうち、ペットフードを配置する位置はその毎に変更した。
【0127】
なお、実施例1、実施例2、実施例3のペットフードは製造後、常温で5日保存したペットフードを使用した。
各犬において最も好むと判断できるペットフードから順に1,2,3,…,5,6というように順番を付けたのが表2である。なお、どのペットフードを最も喜んで食べるかという順序を付ける判断として、最初に全部食べた皿のペットフード、食べるのに夢中になった様子などを判断して決定した。
【0128】
【表2】

【0129】
表2に示す実験から分かること、予想されることは以下の通りである。
(1)加熱調理済みのミンチ肉を使用した実施例1、実施例2は加熱しないもの(実施例3)に比べると犬は喜んで食べるようである。
(2)電子レンジの加熱よりもアルミニウム製、鉄板製など鍋でのバーナ加熱の方が犬は喜んで食べるようである。これは鍋での加熱の方が電子レンジの加熱よりも肉の芳香がより強くなるからと考えられる。実際、製造直後の状態では実施例2のペットフードよりも実施例1のペットフードの方が人間の鼻でも肉の臭いが強いと感じられるものである。犬の嗅覚は人間より遙かに強いので、5日経過した後でもその臭いの差を敏感に感じて上記結果になったのではないかと思われる。
【0130】
(3)ミンチ肉を使用せず、大豆蛋白を使用した比較例1は肉の臭いなどがほとんどないため、犬の嗜好はかなり低いのではないかと予想していたが、予想に反して肉の含有量が多い市販品の比較例2,比較例3よりも若干、良い成績をとっている。
(4)実施例3(生ミンチ肉を使用した場合)でも犬は市販ペットフードである比較例2,比較例3に比べて明らかに喜んで食べることが分かった。
【0131】
(5)上記実施例1〜実施例3、比較例1は防腐剤、保存料は一切使用せず、食材は人間が食べられるものを使用しており、製造直後の新鮮なものをペットに提供することができるので、防腐剤、保存料が多量に入り、品質の悪い材料を使用していると予想される市販のペットフードに比べてペットの健康に良いことは明らかである。また、各ペットは市販ペットフードに比べて美味しく、喜んで食べることが判明した。したがって、本実施形態に係る方法は、ペットの健康に良い、防腐剤、保存料の入っていない新鮮かつ安全なドライ型のペットフードをペットの飼い主に提供できるペットフード製造方法と言えるものである。
【0132】
(6)実施例1〜実施例3の製造直後のペットフードを上記犬に与えたところ、大変好んで食べた。作りたてのペットフードをペットに与えることができることが本個々対応型ペットフード製造装置の大きな特徴である。製造直後の新鮮な食べ物を好むのは人間だけでなく、ペットも同様である。ペット関連店で製造された直後のペットフードを食べさせることにより、ペットに安全な最適なペットフードを与えることができる。
(7)上記実験にはないが、加熱調理したミンチ肉の肉汁を取っておき、乾燥機内の線状物にかけながら乾燥させることにより、ペットが喜んで食べることも確認できた。これは、ミンチ肉の肉汁成分がペットフードの表面に付着するので、香り、味ともに向上するためと思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々のペット用に組成の異なるペットフードを製造するための処方箋情報を作成するペットフード処方箋情報作成装置であって、
獣医などの処方者に対してペットフードの処方箋情報に作成に必要な情報を表示する表示装置と、処方者が情報入力手段から個々のペットに関するペットフードの組成に関する情報を入力したことに応答して組成情報を生成する組成情報生成手段と、その組成情報を記憶する組成情報記憶手段と、少なくとも組成情報と処方者の認証情報と合わせて処方箋情報を生成する処方箋情報生成手段と、その生成された処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、処方箋情報を出力する処方箋情報出力手段と、を備え、
処方箋情報生成手段によって生成された作成された処方箋情報は、食材を攪拌混練できる攪拌混練機と、攪拌混練機によって得た混練物を線状に押し出す押出機と、押し出された線状物を乾燥する乾燥機とを備えたペットフード製造装置がペットフードを製造するために使用されることを特徴とする、ペットフード処方箋情報作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のペットフード処方箋情報作成装置において、処方箋情報出力手段による出力が通信ネットワークを介してペットフード製造装置の処理コンピュータに処方箋情報を送信することにより行われる、ペットフード処方箋情報作成装置。
【請求項3】
請求項1に記載のペットフード処方箋情報作成装置において、処方箋情報にペットフード製造装置用の調整可能な製造情報を含んでいる、ペットフード処方箋情報作成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のペットフード処方箋情報作成装置において、処方箋情報生成手段が、処方者が予め登録されているペットフード基材、ミンチ肉、野菜などの食材の選択とそれら配合量の指定を行ったことに応答して、その指定に対応するペットフードの組成情報と含んだペットフードの処方箋情報を生成する、ペットフード処方箋情報作成装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のペットフード処方箋情報作成装置において、処方箋情報がペットフードの特記情報を含んでいる、ペットフード処方箋情報作成装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載のペットフード処方箋情報作成装置において、処方箋情報生成手段によりペットフード処方箋情報を生成する場合に、処方者が、ペットフードを製造する者を指定する処理を含んでいる、ペットフード処方箋情報作成装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のいずれか一項に記載のペットフード処方箋情報作成装置において、獣医などの処方者が処方した回数を記憶する処方回数を記憶する処方回数記憶手段を備えている、ペットフード処方箋情報作成装置。
【請求項8】
食材を攪拌混練できる攪拌混練機と、攪拌混練機によって得た混練物を線状に押し出す押出機と、押し出された線状物を乾燥する乾燥機と、攪拌混練機、押出機、乾燥機などを駆動制御するコントローラと、処理コンピュータと、情報入力手段と、ペットフード処方箋情報などの特注ペットフードの情報をペットフードの容器に使用する表示材に文字等を印刷する印刷装置とを備え、個々のペット用に組成の異なるペットフードを製造するためのペットフード製造装置であって、
処理コンピュータは特注ペットフードであるか否かを示す特注判別情報を記憶する特注判別情報記憶手段を備え、
処理コンピュータが、情報入力手段からペットフードの特定情報を入力したことに応答して特注判別情報に基づいて処理コンピュータが印刷装置を用いて特注ペットフードの情報を表示材に印刷することを特徴とする、個々対応型ペットフード製造装置。
【請求項9】
請求項8に記載の個々対応型ペットフード製造装置において、表示材に文字等を印刷される情報が処方箋情報を含んでいる、個々対応型ペットフード製造装置。
【請求項10】
請求項8ないし請求項9のいずれか一項に記載の個々対応型ペットフード製造装置において、ペットフード製造装置をペット関連店に設けた、個々対応型ペットフード製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−109747(P2006−109747A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299624(P2004−299624)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(504383690)P・ボール株式会社 (4)
【Fターム(参考)】