説明

ペットフード組成物

【課題】ペットフード組成物の提供。
【解決手段】本明細書で開示するのは、ペットフード組成物である。一実施形態では、記述されるペットフード組成物は、2−デオキシ−D−グルコース、5−チオ−D−グルコース、3−O−メチルグルコース、1,5−無水−D−グルシトール、2,5−無水−D−マンニトール、マンノヘプツロース及びそれらの混合物から選ばれる成分を含む。更に他の実施例では、記述されるペットフード組成物は、アボカド、アルファルファ、イチジク、サクラソウ及びそれらの混合物から選ばれる植物抽出物を含む。該ペットフード組成物は、本明細書中に記載する任意のプロセス(しかし、これらに限定するものではない)を含む各種のプロセスのいずれかによって調製されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物抽出物含有ペットフード組成物の製造方法を含む、該植物抽出物の製造方法に関する。ある種の実施形態では、それによって製造された該抽出物又はペットフード組成物は、選択された炭水化物成分又はアボカド、アルファルファ、イチジク、サクラソウ及びその混合物から選ばれる植物性物質を含んでもよい。
【背景技術】
【0002】
研究により、食物欠乏によるカロリー摂取量の制限が、実験動物に存在するある種の望ましくない細胞の進行を低下させ、多くのエージング関連及び加齢に関連した疾病を減らすことが分かった。
【0003】
特に、カロリー制限は、一貫して多くのシステムにおいて寿命を延ばし、発病を遅らせ、そして腫瘍進行を遅延させ、生理学的エージングを遅らせることが分かった。実際、60年以上に及ぶ研究により、カロリー制限は動物の寿命を一貫して延ばす栄養上の診療行為であることが分かっている。「食事制限によるエージング及び疾病の防止(The Retardation of Aging and Disease by Dietary Restriction)」(ヴァインドルヒ(Weindruch)及びウォルフォード(Walford)著、チャールズ C.トーマス社(Charles C. Thomas)(スプリングフィールド(Springfield)、イリノイ州、1988年刊));「食事制限によるエージング調節の方法(Modulation of Aging Processes by Dietary Restriction)」(ユー(Yu)著、CRCプレス社(CRC Press)(ボカラトン(Boca Raton)、1994年刊));並びに「食事制限の生物学的効果(Biological Effects of Dietary Restriction)」(フィシュベイン(Fishbein)著、シュプリンガー社(Springer)(ニューヨーク、1991年刊))を参照のこと。カロリー制限が寿命及び腫瘍形成に与えるこれらの効果については、マッケイ(McKay)の初期の研究以来、数多く報告されている。
「遅れた成長が寿命及び最終的な体の大きさへ与える効果(The Effect of Retarded Growth Upon the Length of Lifespan and Upon Ultimate Body Size」(マッケイ(McKay)他著、栄養学雑誌(J. Nutr.)、第10巻、63〜79頁、1935年刊)を参照のこと。実際、過去20年に亘る加齢学でのカロリー制限への関心の再燃により、この食事療法が数多くのシステムの生理学的エージングを遅らせることが一般的に認識されるようになった。「食事制限によるエージング及び疾病の防止(The Retardation of Aging and Disease by Dietary Restriction)」(ヴァインドルヒ(Weindruch)及びウォルフォード(Walford)著、チャールズ C.トーマス社(Charles C. Thomas)(スプリングフィールド(Springfield)、イリノイ州、1988年刊));「食事制限によるエージング調節の方法(Modulation of Aging Processes by Dietary Restriction)」(ユー(Yu)著、CRCプレス社(CRC Press)(ボカラトン(Boca Raton)、1994年刊));並びに「食事制限の生物学的効果(Biological Effects of Dietary Restriction)」(フィシュベイン(Fishbein)著、シュプリンガー社(Springer)(ニューヨーク、1991年刊))を参照のこと。
【0004】
空腹時のグルコース及びインシュリン量の減少は、カロリー制限のバイオマーカーによって直ちに測定される。カロリー制限された齧歯動物は、空腹時のグルコース及びインシュリン値がより低く、グルコースチャレンジ中に到達するグルコース及びインシュリンの最大値は、カロリー制限した齧歯動物について低下する。「食事制限がグルコース代謝及びインスリン応答性及びラットのエージングに与える効果(Effect of Diet Restriction on Glucose Metabolism and Insulin Repsonsiveness and Aging Rats)」(カラント(Kalant)他著、エージング進行機構(Mech.Aging Dev.)、第46巻、89〜104頁、1988年刊)を参照のこと。高インスリン血が、心疾患及び糖尿病を含むいくつかの疾病過程に付随する危険因子であることも知られている(「Diabetes Obes. Metab. 1(付録1)、」(バルカウ(Balkau)及びエシュビーゲ(Eschwege)著、23〜31頁、1999年刊)。減少したインシュリン量及び体温は、この変更した代謝プロフィールについての最も信頼性のある2つの指標である(マソロ(Masoro)他著、老人生物科学雑誌(J. Gerontol. Biol. Sci.)、第47巻、B202〜208頁、1992年刊);小泉(Koizumi)他著、栄養学雑誌(J. Nutr.)、第117巻、361〜367頁、1987年刊;レーン(Lane)他著、Proc. Nat. Acad. Sci.、第93巻、4154〜4164頁、1996年刊)。
【0005】
特定の観点の炭水化物代謝を阻害又は抑制し、従ってカロリー制限の効果を模倣する2−デオキシ−D−グルコースのような成分が記載されてきた(レゼック(Rezek)他著、栄養学雑誌(J. Nutr.)、第106号、143〜157頁、1972年;米国特許出願第2002/0035071号)。これらの成分は、体重減少、血漿インスリン量の減少、体温低下、腫瘍形成の阻害及び糖質コルチコイド・ホルモン濃度の循環を高めることを含む、多数の生理学的効果を発揮する。(確認するには、ロス(Roth)他著、ニューヨーク・アカデミー・オブ・サイエンス年鑑(Ann. NY Acad. Sci.)、第928巻、305〜315頁、2001年刊を参照のこと。)これらの効果は、炭水化物代謝の抑制から生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特に、このような成分を調整する商業的方法は未だ見いだされていないため、このような成分の商業的利用は限られている。本明細書における発明者らは、このような成分を含む植物抽出物を含む組成物の製造方法を提供する。特に、本明細書の成分は、植物から加工されてよく、成分の完全性について妥協することなく、更に所望により従来の食品加工(例えば、押出し又は他のそのような強制的な方法)に供してもよいことが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、植物抽出物の製造方法及びそれとは別に植物提供による食品組成物の製造方法に関する。
【0008】
該植物抽出物製造方法は、
(a)アボカド、アルファルファ、イチジク、サクラソウ及びそれらの混合物からなる群から選択される植物を提供し、
(b)該植物と、水溶液と、所望により酵素と、更に所望により加熱とを組み合わせ、消化植物混合物を提供し;及び
(c)該消化植物混合物を濃縮し、その中の炭水化物の濃度を高めること、からなる。
【0009】
植物抽出物を含む食品組成物の該製造方法は、
(a)アボカド、アルファルファ、イチジク、サクラソウ及びそれらの混合物からなる群から選択される植物を提供し、
(b)該植物と、水溶液と、所望により酵素と、更に所望により加熱とを組み合わせ、消化植物混合物を提供し、
(c)該消化植物混合物を濃縮し、その中の炭水化物の濃度を高め;及び
(d)該消化植物混合物を、1つ以上の食品組成物成分と組み合わせること、からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
刊行物及び特許を含む様々な文書が、例示として本開示を通して引用される。このようなすべての文書は参考として本明細書に組み込まれる。所与のいかなる文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの承認として解釈されるべきではない。
【0011】
すべての百分率及び比率は、特に記述しない限り、重量基準にて計算される。百分率及び比率はすべて、特に指示しない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0012】
本発明中で利用される種々の原材料を含む成分の商標名が、本明細書中で参照される。
本明細書における発明者らは、特定の商標名によって材料が限定されることを意図するものではない。商標名で引用されるものの同等材料(例えば、異なる名前又は参照番号が付いた異なる供給源から得られるもの)を本明細書中の記述中にて代用品として利用してもよい。
【0013】
本明細書の明細書本文中では、種々の実施形態又は個々の特徴が開示されている。当業者には明らかな様に、このような実施形態及び特徴のすべての組み合わせが可能であり、そして本発明の好ましい実施態様とすることができる。
【0014】
本明細書の組成物は、本明細書中に記載する特徴又は実施形態のいずれかを含み、それらから本質的に構成され、或いはそれらからなる。
【0015】
本発明の種々の実施形態及び個々の特徴について説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施することができる。更に明らかな様に、上記の開示にて示された実施形態及び特徴のすべての組み合わせが可能であり、本発明の好ましい実施態様とすることができる。
【0016】
ここで使用する「ペット」なる用語は、家庭の犬又は猫を意味する。
【0017】
本発明の方法
本発明は、植物抽出物の製造方法及びそれとは別に植物提供による食品組成物の製造する方法に関する。一実施形態では、該食品組成物は、ペットフード組成物である。
【0018】
該植物抽出物製造方法は、
(a)アボカド、アルファルファ、イチジク、サクラソウ及びそれらの混合物からなる群から選択される植物を提供し;
(b)該植物と、水溶液と、所望により酵素と、更に所望により加熱とを組み合わせ、消化植物混合物を提供し;及び
(c)該消化植物混合物を濃縮し、その中の炭水化物の濃度を高めること、からなる。
【0019】
植物抽出物を含む食品組成物の該製造方法は、
(a)アボカド、アルファルファ、イチジク、サクラソウ及びそれらの混合物からなる群から選択される植物を提供し;
(b)該植物と、水溶液と、所望により酵素と、更に所望により加熱とを組み合わせ、消化植物混合物を提供し;
(c)該消化植物混合物を濃縮し、その中の炭水化物の濃度を高め;及び
(d)該消化植物混合物を、1つ以上の食品組成物成分と組み合わせること、からなる。
【0020】
種々の方法で提供される該植物は、アボカド、アルファルファ、イチジク、サクラソウ及びそれらの混合物であってもよい。これらの植物は、2−デオキシ−D−グルコース、5−チオ−D−グルコース、3−O−メチルグルコース、1,5−無水−D−グルシトール、2,5−無水−D−マンニトール又はマンノヘプツロースのような炭水化物成分を含むことが知られている。例えば、米国特許出願第2002/0035071号を参照のこと。高濃度のマンノヘプツロースを有する抽出物が得られる方法が、ここでは好ましい。
有利には、マンノヘプツロース又は他の任意の成分が、アボカドのような植物成分又はアルファルファ、イチジク若しくはサクラソウのような他のマンノヘプツロースの強化供給源のような植物成分として存在し得る。
【0021】
該植物は、葉、果実、種子又は核などの植物の一部又は全体、特に少なくとも多量の炭水化物成分を含むような植物の部分であってよい。食品組成物の抽出物の一部として、これらの成分を1つ以上包含することが、例えば、グルコース又は他のエネルギー源の利用を変更するため及びカロリー制限の代謝効果を模倣するために、本明細書中では有利である。理論に拘束されることを意図するものではないが、グルコース代謝を変更するためのグルコース代謝拮抗物質の本発明での使用は、細胞レベルでのエネルギー源としてのグルコースを阻害することで代謝速度を下げる働きをする。細胞グルコースの通常の代謝作用を阻害する成分を慎重に使用することで、カロリー制限により引き起こされるものに類似した生理作用に変化を生じさせることができる。カロリー制限は、一貫して動物の寿命を延ばすことを示してきた。「食事制限によるエージング及び疾病の防止(The Retardation of Aging and Disease by Dietary Restriction)」(ヴァインドルヒ(Weindruch)及びウォルフォード(Walford)著、チャールズ C.トーマス社(Charles C. Thomas)(スプリングフィールド(Springfield)、イリノイ州、1988年刊));「食事制限によるエージング調節の方法(Modulation of Aging Processes by Dietary Restriction)」(ユー(Yu)著、CRCプレス社(CRC Press)(ボカラトン(Boca Raton)、1994年刊));並びに「食事制限の生物学的効果(Biological Effects of Dietary Restriction)」(フィシュベイン(Fishbein)著、シュプリンガー社(Springer)(ニューヨーク、1991年刊))を参照のこと。
【0022】
該植物は、果実、種子(若しくは核)、枝、葉若しくは関連植物の任意の他の部分又はそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、本明細書の一実施形態では、アボカドを用意し、アボカド全体又は一部を使い、核はそのままで又は取り除いて(若しくは、一部を取り除いて)処理を開始してよい。提供される植物が、核又は核の一部を含む場合には、該核又はその部分は所望により更なる方法に先立って取り除いてもよい。アルファルファ、イチジク又はサクラソウを、同様に処理してよい。
【0023】
アボカド(一般的には、ワニナシ、アグアカテ又はパルタとも呼ばれる)は、関連糖類及び他の炭水化物成分と同様に、マンノヘプツロースの強化供給源を通常含む。アボカドは、亜熱帯性常緑樹の果実であり、カリフォルニア州、フロリダ州、ハワイ州、グアテマラ共和国、メキシコ、西インド諸島、南アフリカ共和国及びアジアの各地域で最も良好に生育する。
【0024】
アボカドの種は、ここで説明する種のすべての品種を含むが、例えば、Persea Americana及びPersea nubigenaが挙げられる。品種には、Anaheim、Bacon、Creamhart、Duke、Fuerte、Ganter、Gwen、Hass、Jim、Lula、Lyon、Mexicola、Mexicola Grande、Murrieta Green、Nabal、Pinkerton、Queen、Puebla、Reed、Rincon、Ryan、Spinks、Topa Topa、Whitsell、Wurtz及びZutanoを含んでよい。アボカドの果実が本明細書での使用には特に好ましく、該果実は核を含んでいてよく、或いは該核を取り除いたり、少なくとも一部を取り除いてよい。Anaheim、Creamhart、Fuerte、Hass、Lula、Lyon、Murrieta Green、Nabal、Queen、Puebla、Reed、Ryan及びSpinksのような大きな果実(例えば、果実が成熟した時に約340g(12オンス)以上)を実らせる品種に加えて、Persea Americana由来の果実が、本明細書での使用には特に好ましい。
【0025】
アルファルファ、イチジク又はサクラソウ由来の植物もまた、相対的に多量のマンノヘプツロースを提供することが報告されている。アルファルファも、Medicago sativaと呼ばれる。サクラソウ又はPrimula officinalisに加えて、イチジク又はFicus carica(例えば、Cluster fig又はSycamore figを含む)も使用してよい。
【0026】
一実施形態では、消化植物混合物の製造は、植物の管理可能成分への浸漬を促進する、植物と水などの水溶液との組み合わせを含む。所望により、しかし好ましくは、細胞壁破壊による炭水化物の溶解と放出の促進を含むそのような浸漬を促進するためのセルロース又はペクチン活性又はこれらの任意の組み合わせ(例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ又はペクチナーゼ)を有する酵素が含まれる。そのような酵素処理の利用は、そのような浸漬中での加熱、例えば、周囲温度以上から約120℃又は約100℃へ、又は約60℃から約120℃、又は約60℃から約100℃への加熱により、促進されてよい。典型的には、約24時間までの攪拌を利用することが更に好ましいが、処理中のバッチに依存する。一実施形態では、pHは酵素活性を維持するように、約4〜約6の範囲内に、好ましくは約5〜約6の範囲内に頻繁に管理される。植物の成熟度、過程水溶液(例えば過程に加えられた水)の品質などの要因に依存するので、酸又は塩基の量は当業者に所望されるような量であることが望ましい。
【0027】
所望により、存在する酵素の非活性化を促進するために、最初の加熱及び攪拌の時又はその後に温度を上げて、消化植物混合物を形成する。水は、植物に加えられる前に、所望により処理温度まで加熱される。低圧蒸気を利用するジャケット付きタンクで熱を適用してよい。
【0028】
消化植物混合物は、一般的技術に従って分離される留分として得られる。例えば、消化植物混合物内に存在する留分は、結果として得られたろ液として炭水化物抽出物を提供するために濾過により分離して得、ろ過ケーキは廃棄する。重力、遠心力、その他の濾過又はこれらの組み合わせを利用した他の方法を含んでよいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
炭水化物抽出物は、次に、所望により加熱、真空乾燥、リフラクタンス−ウィンドウドライ(refractance window drying)、凍結乾燥法、噴霧乾燥、他の有益な任意の方法又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの濃縮方法を利用して濃縮してよい。一実施形態では、リフラクタンス−ウィンドウドライのような少なくとも1つの方法が使用される。
【0030】
一旦濃縮されると、該炭水化物抽出物は、本発明のペットフード組成物内に利用されてもよい。本明細書の一実施形態では、本発明の方法は、最初の植物(例えば、アボカド)の質量に基づいて、好ましい収率のマンノヘプツロース又は他の炭水化物、又は炭水化物抽出物が結果として得られる。ある実施形態において、濃縮後の炭水化物抽出物内に存在するマンノヘプツロースの収率は、最初の植物の質量を基準にして約20%未満、又は約0.1%〜約10%、又は約1%〜約7%である。別の実施形態では、濃縮後の炭水化物抽出物の収率は、最初の植物の質量を基準にして約30%未満、又は約5%〜約25%、又は約8%〜約20%である。当然、さらにより高い収率が望ましく、そしてより低い収率も許容される。
【0031】
食品組成物は、本発明の方法に従い、更に消化植物混合物を1つ以上の食品組成物成分と組み合わせることにより、調製してもよい。ここで使用する「食品組成物」なる用語は、人間のような動物又は他の動物(ペットを含む)による摂取を意図した組成物を意味する。例えば、ペットフード組成物は、ペットによる摂取を意図した食品組成物である。食品組成物は、当技術分野において広く知られている。ペットフード組成物は、栄養的にバランスがとれていてもまたとれていなくてもよいサプリメント(例えば、エサ)の他に、毎日の食事に適した栄養的にバランスがとれた組成物を無制限に含んでよい。本明細書で使用するとき、ペットフード組成物に関する用語「栄養的にバランスのとれた」は、当該組成物が、ペット栄養学分野の第一人者らの推奨に基づいた適切な量及び割合で、生命を維持するために必要な既知の栄養素を有することを意味する。
【0032】
本明細書の一実施形態では、本発明に係る方法が、2−デオキシ−D−グルコース、5−チオ−D−グルコース、3−O−メチルグルコース、1,5−無水−D−グルシトール、2,5−無水−D−マンニトール、マンノヘプツロース及びそれらの混合物から選ばれる成分を含む食品組成物を準備するために利用される。別の実施形態では、このような成分は特定の含有量で調製した組成物内に存在する。特に、比較的高い摂取量だけでなく比較的低い摂取量でも、有用ではあるが、所望する目的のためには最適な有効性が発揮できないことが分かった。特に、ペットへの毎日の最適量は、驚くことに約1mg/kg〜約15mg/kg、より有利には約2mg/kg〜約10mg/kg、更により有利には約2mg/kg〜約5mg/kgであることが分かった。ここで、(当業者には一般的であると理解されるように)「mg」とは成分の含有量であり、「kg」とはペットのキログラム(単位での重さ)である。ある実施態様においては、このことは、組成物の約5%未満、又は約2%未満、又は約0.0001%〜約0.5%(すべて組成物に対する重量%)を含むペットフード組成物の調製を意味する。成分含有量は、当業者が、様々な要因、例えば、ペットフード組成物の形態(例えば、乾燥組成物、半生組成物、ウェット組成物、又はサプリメント、又は任意の他の形態又はそれらの組み合わせ)に基づいて決めてよい。普通の当業者は、好ましい最適量を利用することができ、そしてそれらを使って、与えるペットフード組成物内の成分の最適含有量を決定できる。
【0033】
同様に、植物抽出物の最適量は、勿論、そのような抽出物内の有効成分量に依存する。
本明細書においては、成分の約1%〜約99%、或いは成分の約5%〜約75%、或いは成分の約10%〜約50%(すべて抽出物に対する重量%)を含む抽出物が最適であることが判明した。
【0034】
食品組成物は、1つ以上の食品組成物成分を含み、それは当然のことながら当業者には広く知られている。
【0035】
例えば、ペットフード組成物には、エサ(例えば、イヌ用ビスケット)又は他の食品栄養補助剤の他に、必要な食餌所要量を供給することが意図された食品組成物成分が有利に含まれてよい。所望により、本明細書の成分はドライ組成物(例えば、キブル)、半生組成物、ウェット組成物、又はこれらの任意の組み合わせであるペットフード組成物であってよい。或いは又は追加的に、該組成物は、グレービー、飲料水、ヨーグルト、粉末、懸濁液、チュー(chew)、エサ(treat)(例えば、ビスケット)又は他の任意の販売形態などのサプリメントである。
【0036】
一実施形態では、食品組成物は、乾物を基準として、食物組成物の約10重量%〜約90重量%の粗タンパク質、或いは約20重量%〜約50重量%の粗タンパク質、或いは約20重量%〜約40重量%の粗タンパク質、又は或いは約20重量%〜約35重量%の粗タンパク質を含んでもよい。粗タンパク質物質は、大豆、綿の実、及びピーナッツなどの植物性タンパク質及びカゼイン、アルブミンのような動物性タンパク質及び食肉タンパク質を含んでよい。本明細書で有用な食肉タンパク質の非限定例は、牛肉、豚肉、ラム肉、鶏肉、魚、野菜及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるタンパク源を含む。
【0037】
更に、組成物は、乾燥物質基準で約5%〜約40%の脂質、或いは約10〜約35%の資質を食品組成物に対する重量%で含んでよい。
【0038】
本発明の組成物は、更に炭水化物供給源を含んでよい。米、トウモロコシ、ミロ、ソルガム、大麦、小麦などの穀物又はシリアルは、供給源の例である。
【0039】
前記組成物は、乾燥乳清及び他の酪農副産物などの他の材料を1つ以上含有していてもよい。
【実施例】
【0040】
以下の実施例は、本発明を説明するものであり、いかなる方法によってもその範囲を制限することを意図しない。
【0041】
実施例1
マンノヘプツロース含有量を増やしたアボカド抽出物を、以下の方法に従って調製し、ペットフード組成物内で利用する。
【0042】
丸ごとのアボカドの果実(約900キログラム)を提供する。該果実を割り、核を部分的又はすべて取り除き、穴の開いたアボカドの半身225キログラムを提供する。生のアボカドを粉砕機に充填し、いくらか攪拌し、水(約3000キログラム)及びCELLUBRIX(ノボザイムズA/S社(Novozymes A/S)より市販されている)を更に(約1リットル)充填する。該混合物を更に攪拌し、同時に約66℃まで加熱する。充填が完了したら、更にCELLUBRIX(約1リットル)を加え、混合物全体を約12時間、pHを約5.5に管理しながら攪拌する。次に、温度を約80℃に上げてから、更に少なくとも約2時間維持する。次に、結果として得られる消化植物混合物を80℃にて濾過し、炭水化物抽出物をろ液として提供する。次に、炭水化物抽出物を単純な再循環システム内で80℃にて、真空下で蒸発させ、約10%〜約20%の固形分と約5.5のpHを有する炭水化物抽出物を提供する。次に、抽出物を更に濃縮し、リフラクタンス−ウィンドウ乾燥機を使って、抽出物約100キログラムを結晶又は粉末として提供する(アボガドの果実全体の最初の質量を基準にして、約11%の収率の炭水化物抽出物であり、これは、アボガドの果実全体の最初の質量を基準にして、約4.5%の収率のマンノヘプツロースとして分析される。)該抽出物は、本発明のペットフード組成物内で使用してもよい。
【0043】
実施例2
次の組成物をおおよそ指定量分有する2種類のキブル組成物を、押出しを含む当該技術分野における標準的な方法を使用して調製し、毎日の食事として猫に与える。
【表1】

*アボカドは、マンノヘプツロースをより多量に含む他の植物と置き換えてもよい。
**ビタミン類及びミネラル類には、以下のものが含まれる:ビタミンE、ベータカロチン及びビタミンA、酸化亜鉛、アスコルビン酸、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ビタミンB12、ビタミンB、ナイアシン、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンD、葉酸。
【0044】
実施例3
ビーフフレーバーグレービー組成物は、次の成分を従来の方法で組み合わせることにより調製される。
【表2】

**ビタミン類及びミネラル類には、以下のものが含まれる:ビタミンE、ベータカロチン及びビタミンA、酸化亜鉛、アスコルビン酸、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ビタミンB12、ビタミンB、ナイアシン、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンD、葉酸。
【0045】
毎日、犬に食事を与える前に、グレービー組成物30ml(1液量オンス)を125cc(半カップ)の標準的な犬用キブルダイエットと混合する。該グレービー組成物の量は、犬の飼い主の希望により決定する。
【0046】
また、他の態様によれば、本発明は、以下の通りである。
(1)植物抽出物の製造方法であって、
(a)アボカド、アルファルファ、イチジク、サクラソウ及びそれらの混合物からなる群から選択される植物を提供し、
(b)該植物と、水溶液と、所望により酵素と、更に所望により加熱とを組み合わせ、消化植物混合物を提供し;及び
(c)該消化植物混合物を濃縮し、その中の炭水化物の濃度を高めること
を特徴とする、方法。
(2)前記植物が、アボカドの果実を含み、かつ水溶液と、酵素と、加熱と組み合わされ、消化植物混合物を提供する、(1)に記載の方法。
(3)前記加熱が、周囲温度より上〜約120℃の温度で行われる、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記消化植物混合物内に留分が存在する場合はそれを分離し、炭水化物抽出物を提供することを更に含む、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の方法。
(5)前記アボカド果実が核を含み、前記植物の提供後、少なくとも部分的に前記核を取り除くことを含む、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の方法。
(6)前記酵素がセルラーゼ酵素である、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の方法。
(7)前記消化植物混合物内に存在する留分を、濾過により分離し、該結果として得られるろ液として炭水化物抽出物を提供する、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の方法。
(8)前記炭水化物抽出物が、加熱、真空乾燥、リフラクタンス−ウィンドウドライ、凍結乾燥及び噴霧乾燥からなる群から選択される少なくとも1つの濃縮方法を利用して濃縮される、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の方法。
(9)前記植物抽出物中に存在するマンノヘプツロースの収率が、植物の最初の質量を基準にして約20%未満である、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の方法。
(10)前記消化植物混合物を1つ以上の食品組成物成分と組み合わせることを更に特徴とする、(1)〜(9)のいずれか一項に記載の方法。
(11)前記食品組成物成分がペットフード組成物成分を含む、(9)に記載の方法。
【0047】
また、さらに他の態様によれば、本発明は、以下の通りである。
(1)アボカド、アボカド抽出物、アルファルファ、アルファルファ抽出物、イチジク、イチジク抽出物、サクラソウ、サクラソウ抽出物及びこれらの混合物からなる群から選択される植物を含む、ペットフード組成物。
(2)上記植物がアボカド抽出物である、(1)に記載のペットフード組成物。
(3)2−デオキシ−D−グルコース、5−チオ−D−グルコース、3−O−メチルグルコース、1,5−無水−D−グルシトール、2,5−無水−D−マンニトール、マンノヘプツロース及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を含む、(2)に記載のペットフード組成物。
(4)マンノヘプツロースを含む、(3)に記載のペットフード組成物。
(5)上記マンノヘプツロースの少なくとも一部がアボカド抽出物に由来するものである、(4)に記載のペットフード組成物。
(6)上記組成物の5重量%未満のマンノヘプツロースを含む、(5)に記載のペットフード組成物。
(7)上記組成物の2重量%未満のマンノヘプツロースを含む、(5)に記載のペットフード組成物。
(8)ドッグフード組成物、キャットフード組成物及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、(1に記載のペットフード組成物。
(9)上記ペットフード組成物が、キブル、半湿潤食品、湿潤食品及びこれらの組み合わせである、(8)に記載のペットフード組成物。
(10)上記組成物の5重量%未満のマンノヘプツロースを含む、(9)に記載のペットフード組成物。
(11)上記組成物がサプリメントである、(8)に記載のペットフード組成物。
(12)上記サプリメントが、グレービー、飲料水、ヨーグルト、粉末、懸濁液、チュー(chew)、エサ(treat)及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである、(11)に記載のペットフード組成物。
(13)2−デオキシ−D−グルコース、5−チオ−D−グルコース、3−O−メチルグルコース、1,5−無水−D−グルシトール、2,5−無水−D−マンニトール、マンノヘプツロース及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を含む、ペットフード組成物。
(14)マンノヘプツロースを含む、(13)に記載のペットフード組成物。
(15)上記組成物の約5重量%未満のマンノヘプツロースを含む、(13)に記載のペットフード組成物。
(16)上記組成物の約2重量%未満のマンノヘプツロースを含む、(13)に記載のペットフード組成物。
(17)ドッグフード組成物、キャットフード組成物及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、(13)に記載のペットフード組成物。
(18)上記ペットフード組成物が、キブル、半湿潤食品、湿潤食品及びこれらの組み合わせである、(17)に記載のペットフード組成物。
(19)上記組成物の5重量%未満のマンノヘプツロースを含む、(17)に記載のペットフード組成物。
(20)少なくとも部分的に押出されたものである、(17)に記載のペットフード組成物。
(21)キブルの形態である、(17)に記載のペットフード組成物。
(22)サプリメントである、(17)に記載のペットフード組成物。
(23)前記サプリメントが、グレービー、飲料水、ヨーグルト、粉末、懸濁液、チュー(chew)、エサ(treat)及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである、(22)に記載のペットフード組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アボカド、アルファルファ、イチジク、サクラソウ及びこれらの混合物からなる群から選択される酵素消化された植物の抽出物からなる、ペットフード組成物であって、
栄養的にバランスがとれており、かつ
前記組成物の約0.0001重量%〜5重量%の、2−デオキシ−D−グルコース、5−チオ−D−グルコース、3−O−メチルグルコース、1,5−無水−D−グルシトール、2,5−無水−D−マンニトール、マンノヘプツロース及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を含む、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記抽出物がアボカド抽出物である、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
マンノヘプツロースを含む、請求項2に記載のペットフード組成物。

【公開番号】特開2011−41581(P2011−41581A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267475(P2010−267475)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【分割の表示】特願2007−104426(P2007−104426)の分割
【原出願日】平成17年5月5日(2005.5.5)
【出願人】(595056859)ザ・アイムス・カンパニー (52)
【氏名又は名称原語表記】The Iams Company
【出願人】(506375657)ゲロテック、インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】GEROTECH,INC.
【Fターム(参考)】