説明

ペット用焼き煮干の加工方法

【課題】
高温の直火で加熱して減少させた酸化物・過酸化物は時間の経過とともに、再び酸化しないよう防止する事が製品化の段階での課題となります。
【解決手段】
この課題を解決する為にできるだけ素早く気密性のある容器に脱酸素剤とともに上記、処理した煮干魚類を使用量に応じた量を小分して充填し蜜封することで解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原魚よりの加工ではなく通常市販流通している煮干魚類を利用、使用した犬・猫等ペット用コミニケイションフードの加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
市販流通の煮干魚類はだし汁を作る天然調味料として古くから広く使用されている。煮干魚類の製造は、水揚げしたイワシ等小魚の原魚を水洗いし、蒸籠に並べて煮熟し、乾燥させることにより製造する。このようにして製造され出荷される煮干魚類は、できるだけ脂肪分や水分を除去することが望ましいが、皮下脂肪の多い原魚は煮熟では皮下脂肪を十分に除去することは困難であり、皮下脂肪を残したまま乾燥工程に入り、水分を13〜16%程度まで乾燥させ出荷しているのが現状である。
【0003】
このため、時間が経過すると皮下脂肪が酸化し、これにより煮干魚類が変色するとともに脂肪の酸化臭が発生する。また脂肪の酸化臭が発生するだけではなく、人間にも犬・猫等ペットにも有害な脂肪の酸化物・過酸化物が発生する。
【0004】
通常犬・猫等ペット用には煮干魚類の日本農林規格基準の基準外の等級のものが使用される。JAS規格基準 上級・標準の煮干魚類は人間用として販売されるため価格が高く、犬・猫等ペット用としては価格の安い基準外の煮干魚類が利用されているのが現状である。基準外の煮干魚類は原魚の鮮度での評価もあるが、主に皮下脂肪の量の程度で評価されることが多い(JAS規格基準外の脂肪分8%以上)。
【0005】
製造後の煮干魚類はダンボール箱詰め等の含気包装で常温保管・常温輸送され、包装業者で始めて冷蔵保管・小分け包装される。小分け包装では機密包装・脱酸素剤等の併用により煮干魚類の酸化は飛躍的に遅くなるが、小分け包装前かなりの時間経過があるため煮干魚類の皮下脂肪の酸化が進み、好ましくないにおい、有害な酸化物質が生成されているのが現状である。本発明者は上記の問題を解決すべく試験研究の結果、皮下脂肪の酸化した基準外煮干魚類の好ましくない臭いの改善、有害な脂肪の酸化物・過酸化物を減少させる方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の目的は、酸化した皮下脂肪を持つ市販煮干魚類の臭いを犬・猫等の好む香りに改善するとともに、犬・猫等にも有害な酸化物・過酸化物を減少させ、より安全なペットとのコミニケイションフード加工方法を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−5752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとしている問題点は、市販している安価なJAS規格基準外の煮干魚類をより安全なペットフードとして供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決するため請求項に記載の煮干魚類の加工方法は原魚を煮熟し、乾燥さ
せた市販の煮干魚類の表面に水を噴霧し高温にて煤焼することを特徴とする。
本発明に係る原料の煮干魚類は産地で水揚げし、産地製造工場で煮干魚類に加工した一般的流通のJAS規格基準外煮干魚類を使用する。
【0010】
煮干魚類の表面を均一に煤焼するためステンレス製の金網上に均一に並べ、さらに同様の金網で反転したとき混ざったり落下したりしないよう上から押さえる。上面に霧吹きで適量水を噴霧しガスバーナー等の強熱で均一に焼き色がつくよう煤焼する。ガスバーナーは炎の最高温度点が煮干魚類の表面に接するように炎の距離を調節する。一般的にガスバーナー炎の最高温度は1,300℃前後といわれている。
さらに反転し、同様霧吹きで上面に水を適量噴霧しガスバーナー等の強熱で均一に焼き色がつくよう煤焼し、すばやく放冷する。焼き色の程度は最良のものを手元にサンプルとして保管し目視により比較し煤焼する。
【0011】
以上で煤焼工程を経て本発明に係る犬・猫等ペット用煮干魚類の加工が完了するが、煤焼工程を経て得られた焼き煮干を大型のステンレス製のかごに広げ放冷しながらこげ落ちた皮・ひれ・うろこ等のきょう雑物を除去する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のペット用焼き煮干は酸化した皮下脂肪の多い基準外煮干魚類の酸化物・過酸化物を低減し安価な基準外煮干魚類の有効利用にある。
【0013】
ここでJAS規格基準(標準)、基準外の煤焼処理後の比較成績を記す。分析は㈶日本冷凍食品検査協会に依頼した。

従来品と処理品の酸化物価・過酸化物価分析比較
(従来品) 酸化物価 過酸化物価
標準 19 59
標準外 12 96
(処理品)
標準 19 51
標準外 12 71
分析結果から見て標準煮干魚類はあまり酸化が進んでいないため変化が少ないが標準外煮干魚類の過酸化物かでは顕著に結果がでている。酸化物価は双方ともあまり進んでいなかったため結果は出なかった。
【0014】
処理することにより味・香りが変化することによる嗜好の変化についても犬・猫による検証を行った(ペットを飼育している家庭にお願いし、その後聞き取り調査を行った)。
処理したことによる犬の嗜好の変化
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
従来品 × × ○ × × × × × × ×
処理品 ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

1〜4までは小型犬、5〜8までは中型犬、9・10は大型犬。
処理したことによる猫の嗜好の変化
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
従来品 × ○ × × × ○ × ○ × ×
処理品 ○ × ○ ○ ○ × ○ × ○ ○
1〜10までブランド猫でなく普通猫。
犬においては煤焼による味・香りの改善で確実に嗜好の変化が見られるが、猫においては従来持っている気まぐれな性格もあるのか70%程度の結果であった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
煮熟・乾燥した市販の煮干魚類の表面に水を噴霧しガスバーナー等の高温の直火で瞬間的に加熱し、噴霧した水を蒸発させ、瞬間的な加熱と急激に蒸発させた水蒸気で煮干魚類の表面の酸化した脂肪分の酸化物・過酸化物を低減させることを特徴とする加工方法。