説明

ペレット燃料及び高出力ペレットバーナーの構造

【課題】 熱源用等のボイラーにおける燃料は、現在のところ主として使用されるA重油に替わる植物性燃料が無いため、化石燃料であるA重油の使用やむなきの状態にあって、CO2排出の課題を有している。
【解決手段】 植物残渣、廃材を20〜30%の廃プラスチックで固化成型してペレット状に加工し、それを二重構造の回転式ペレットバーナーによって空気を加給しながら燃焼させることにより高熱量を発生させるとともにCO2排出量を削減することが可能となる、従来のA重油に替わる熱源発生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2排出削減を目的とした高温度、高熱量の熱ガスを発生させる植物系燃料バーナーの構造と燃焼させるペレット燃料の成分に関する。
【背景技術】
【0002】
もみ殻、木くず、紙くず等はそのままボイラー内の火格子上に投入し、燃焼空気を吹き付け燃やしているので、10万キロカロリー/H以上の熱量を発生させることができない。
【特許文献1】特開2001−152215
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、燃焼、埋め立て、放置されているもみ殻、鋸屑、紙くず、豆殻、わら類、繊維くず等と廃プラスチックを混合して、圧縮しペレット化したものを回転する鋼管内に挿入し、点火する。
【0004】
鋼管外周に取り付けた高温空気噴射口より燃焼空気を回転させる方向に吹き付け、高温度の燃焼ガスを発生させ、ボイラー内に噴射することにより、各種の廃棄物ペレットを石油代替の燃料として使用し、化石燃料の使用量を80%削減する。
【0005】
植物残渣、廃品は圧縮固化しても燃えないが、10〜30%のプラスチック廃品を混合して造粒すると安定して燃焼する高カロリーの燃料となる。
【0006】
ペレット化された燃料は、粒径が小さいほど酸化面積が多くなるので早く燃えるが、火格子の上では灰溜まりに落ちるので燃やすことができない難点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、4〜8mm程度の小径ペレットを回転する内管とそれを支える外管で構成されるペレットバーナーに投入、内管を回転させることでペレットに回転を与えながら、内部に設置した送り羽根でバーナーの噴火口の方向に移動させながら回転筒の外面に伝わる熱で外筒内の空気を約200〜300℃に温め、内筒に設置した噴出口から内筒内のペレットに吹き付け、ペレットを高温度で早く燃焼させるものである。
【0008】
高温度に燃焼するペレットは、内筒の回転に従って、自転しながら燃焼を継続し、バーナー出口に向かって移動、灰になってバーナー出口から灰溜まりに落ちる。
【0009】
燃焼試験の結果によれば、6mm径のもみ殻80%、廃プラスチック20%のペレット50Kgが、1時間で燃焼し約50万キロカロリーの熱を発生させた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
もみ殻等難燃廃材に廃プラスチックを混合し圧縮、造粒することで約6000キロカロリー/Kgのペレットができる。
【0011】
本発明を更に詳細に説明する。
【0012】
本発明の二重管構造バーナーにペレットを送入し、点火バーナーで着火後、燃え始めた時点で弱圧力の送風をすると約30秒で火炎が大きくなるので、送風量を増すとバーナー出口より火炎が噴出する。
【0013】
噴出する火炎が充分に大きくなった時点で1分間1回転の速度で内管を回転させ、新しい燃料ペレットの供給を開始し、これを連続しておこなう。
【実施例1】
【0014】
廃プラスチックは、脱塩機で塩素成分を除去した後、破砕機で4mm以下に切断され、20〜30%がもみ殻又は木くず等と混合される。
【0015】
混合された材料は、ペレッターマシンに投入され、約200Kg/cmの圧力で圧縮さ
れ4〜6mm径のペレットに成型される。
【0016】
ペレットはストックサイロに保管された後、ペレットバーナーを装備したボイラーの近くに配給され、2〜6日分ストックされる。
【0017】
ストックされた燃料ペレットは、ペレットバーナー付のホッパーを経てペレットバーナーの回転する内筒に圧入され、着火バーナーで点火されて燃焼を開始する。
【0018】
燃焼開始から30〜60秒後、内筒は回転を開始し、内筒外側で80℃〜150℃に加熱された空気がノズル管を通り内筒の内側に噴射され、燃焼中のペレットに吹き付けられ、ペレットは激しく燃焼する。
【0019】
この燃焼速度は内管径200mmの場合で、1時間あたり40〜50Kgとなり、バーナーから噴出する高温度ガスは約900〜1200℃となって、計算値で40万〜50万キロカロリーとなる。
【0020】
ボイラー内の水温又は蒸気圧力が設定された値となるとき、圧力スイッチ又は温度スイッチの信号が発せられ、燃料供給を停止し、次に燃焼空気量を最小値に調整して、ペレットバーナーの内筒内は埋火状態となり、ガス温度は200℃前後となる。すなわちバーナーの出力は10〜15%の能力に低下する。
【0021】
ボイラー内の水温又は蒸気圧力が低下して、バーナーを高出力にする必要が発生した場合には、まずペレット燃料の供給が開始され、光電装置で燃焼が確認された時点で送気ファンが燃焼空気を供給してバーナーより噴出するガス温度が充分高温になった後、内管は回転を始めて正常運転に移行する。
【0022】
運転状態になっても噴射高温ガスの温度が低いとき、点火用重油バーナーが必要時間作動して燃焼を補助する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
現在、熱源として使用されるボイラーのためにA重油が多用されているが、これによって発生するCO2量は、環境対策としてその排出削減が求められている。
【0024】
たとえば、温室等の暖房用ボイラーには、現在燃料としてA重油が使用されており、それによるCO2排出量を削減するため、本発明のペレットとバーナーを普及させた場合の試算は、一農家あたり年間60トンのA重油を使用するとして、本発明による熱源転換をしたとき、一戸あたり現行比80%削減できるので、平均CO2削減量は年間19トン/戸に達し、100万台の本発明製品普及の場合には年間CO2削減総量は1900万トン/年の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明装置の一実施形態である工程を示す。
【図2】本発明装置の構造側面図
【図3】本発明装置の構造上面図
【符号の説明】
【0026】
1…脱塩、脱硫用蒸発器
2…ペレットバーナー
3…発生塩酸、硫酸の濃縮機
4…畜ふん、刈草、汚泥等の脱水機
5…脱水機で発生した水蒸気の凝縮器
6…洗煙塔及び煙突
7…発生した油及び塩酸、硫酸蒸気の凝縮装置
8…ペレット製造機(ペレタイザー)
9…脱塩、脱硫後のプラスチックと植物残渣の混合機
10…くず類のストックサイロ
11…破砕機
12…現場置きストックサイロ
13…ペレット燃料供給スクリュー
14…ペレット燃焼バーナー
15…ボイラー付燃焼室
16…灰受け皿
17…燃焼室造作用の蓋
18…追い焚き用A重油バーナー
19…ペレットバーナー外筒
20…温調用送風機
21…ペレット点火用A重油バーナー
22…ペレット供給スクリュー回転モーター
23…ペレット燃料受入れホッパー
24…回転筒駆動用減速モーター
25…燃焼空気供給用送風機
26…回転燃焼筒
27…回転筒駆動用歯車
28…燃焼空気噴射ノズル
29…灰出しスクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
もみがら、木くず、紙くず等の植物性廃品と、脱塩、脱硫黄した石油製品廃品を混合し圧縮固化成型したバイオペレット燃料を200φ〜400φの二重構造の鋼管内で回転させながら燃焼をおこない、高温度の無煙ガスを発生させて、ボイラー内に噴射し熱源として使用するバーナーの構造及びペレット燃料の成分。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−32140(P2010−32140A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195770(P2008−195770)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(502433689)
【出願人】(508231049)
【出願人】(508231050)
【Fターム(参考)】