ペレット防護体
【課題】 効果的に飛散物のエネルギーを消耗させて防護性能を向上させると共に、破壊部位の修復を容易にするペレット防護体を提供する。
【解決手段】 実質的に円柱形状の複数個の第1ペレット1を互いに点若しくは線で接触する状態で、第1ペレット1の底面4をプレートに向けて配設し、各第1ペレット1間の隙間を第1ペレット1よりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、第1ペレット1は、同一種または大小複数種のペレット1であって、第1ペレット1同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、第1ペレット1の全部または一部は、その円柱側面3と天面5との間にエッジ6を有し、かつその円柱側面3と底面4との間にアールを付けた曲部7とするペレット防護体としている。
【解決手段】 実質的に円柱形状の複数個の第1ペレット1を互いに点若しくは線で接触する状態で、第1ペレット1の底面4をプレートに向けて配設し、各第1ペレット1間の隙間を第1ペレット1よりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、第1ペレット1は、同一種または大小複数種のペレット1であって、第1ペレット1同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、第1ペレット1の全部または一部は、その円柱側面3と天面5との間にエッジ6を有し、かつその円柱側面3と底面4との間にアールを付けた曲部7とするペレット防護体としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛散物から防護するためのペレット防護体に関する。
【背景技術】
【0002】
銃弾あるいは爆発による飛散物からの防護の必要性は年々高まっている。防護方法には、飛散物により破壊されない材料を用いた防護体によって守る方法と、飛散物により破壊されても大きな破壊に至らしめない防護体によって守る方法とがある。前者の場合には、どのような飛散物よりも硬くかつ強靱な材料を防護体の材料として選択する必要がある。したがって、多種多様な飛散物が想定される用途では採用しにくい。また、硬度と強靱さ(靱性)とが両立する材料は希有であるため、コストがかさむという問題もある。このような理由から後者の方法を採用することが多い。例えば、防弾ガラス、防弾チョッキなどは、このような方法を採用したものである。
【0003】
従来から、様々な防護体が開発されてきている。例えば、樹脂とセラミックスとからなるペレット防護体として、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic: FRP)の表面にセラミックス板を配設した構造のものが知られている(特許文献1参照。)。かかる構造により、FRPのみよりも、さらに防弾性能や防刃性能が向上することが期待される。
【0004】
また、衝撃面に面し、第1の副層の上に積層され、そして隣接し合うセグメント同士が密着している複数の隣接し合うセラミックス製の表層セグメントで構成されている表層と、衝撃面とは反対の方向に面している裏層と、表層と裏層の間に配置された支持層を少なくとも含んでなる複合装甲板材料も知られている(特許文献2参照。)。かかる構造によって、防護性能をある程度向上させることは可能である。
【特許文献1】特開2002−316319号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特表2003−532561号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1に開示される発明では、必ずしも飛散物による防護性能は十分とは言えない。確かに、セラミックス板が破壊することによって、金属等の飛散物の運動エネルギーを吸収し、ある程度、飛散物による防護を図ることはできる。しかし、単に、セラミックス板が並んでいるだけでは、飛散物の運動エネルギーが大きい場合には十分な防護を図ることが出来ない。
【0006】
また、特許文献2に開示される発明の場合も同様に、積層構造においてセラミックス板が面接触するように配置されている状況では、防護性能は十分とは言えない。飛散物の運動エネルギーは、セラミックス板同士の面を介して広範囲に伝搬してしまい、破壊部位が大きくなり、複合衝撃または連続的衝撃に耐えられないことがその理由の一つに挙げられる。さらに、破壊箇所が大きいと、修復が難しく、一度飛散物により損傷を受けると、再度使用できなくなってしまうという問題もある。
【0007】
すなわち、銃弾あるいは飛散物が衝突した際に、いかにその運動エネルギーを消耗させて防護体の裏側にある守るべき対象の損傷を低減させるかということと同時に、一度破壊されてもその破壊された箇所をすぐに修復できるかということも重要となる。
【0008】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、効果的に飛散物のエネルギーを消耗させて防護性能を向上させると共に、破壊部位の修復を容易にするペレット防護体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、実質的に円柱形状の複数個の第1ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、第1ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第1ペレット間の隙間を第1ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、第1ペレットは、同一種または大小複数種のペレットであって、第1ペレット同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、第1ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間にエッジを有し、かつその側面と底面との間にアールを付けた曲部を有するペレット防護体としている。「実質的に円柱形状」とは、完全な円柱のみならず、楕円柱も含まれる。また、円柱若しくは楕円柱の表面に凹凸が存在するものも、全体として円柱若しくは楕円柱の形状と認められる限り、実質的に円柱形状の範疇に含まれる。また、第1ペレットは、全て同一サイズであっても、大小複数種のサイズであっても良い。
【0010】
このため、第1ペレットに飛散物が衝突した際に、その衝撃の一部は充填材の変形に消費され、その衝撃の一部は、周囲の第1ペレットに向かって多くの方向に分散されて伝播する。この結果、第1ペレットの破壊領域の拡大を抑えることができる。また、第1ペレット間の間隔は最も広くても5mmとしているので、5mm以上の直径を持つ飛散物あるいは銃弾は、必ず第1ペレットに接触する。直径5mm以上の飛散物あるいは銃弾は、保護対象に与えるダメージが大きい。特に、銃弾の直径が5mm以上になると、人間の体を貫通するか否かを問わず、体内組織の破壊の程度が大きくなるので、これを有効に防止する必要がある。さらに、第1ペレットにエッジを設けているので、回転しながら直進してくる飛散物あるいは銃弾は、第1ペレット間のエッジによってねじ切られる。このため、飛散物あるいは銃弾の運動エネルギーは大きく消耗され、防護体の裏側にある保護すべき対象を効果的に保護することができる。
【0011】
また、別の本発明は、先の発明において、第1ペレットの側面に凸部を設け、第1ペレット同士が凸部同士あるいは当該凸部と当該凸部以外の部位で接触するように配設されているペレット防護体としている。
【0012】
このため、第1ペレットに与えられた衝撃は、凸部を介して周囲の第1ペレットに伝播される。凸部を設けることにより、第1ペレット同士の接触を確実にすることができるので、より効果的に、第1ペレットの破壊領域の拡大を抑えることができる。
【0013】
また、別の本発明は、先の発明において、第1ペレットを、凸部の数が異なる複数種のペレットとするペレット防護体としている。
【0014】
このため、互いに隣接する第1ペレットは、凸部と凸部のない箇所とで接触しやすくなる。このため、第1ペレット間の隙間を狭く充填できる。したがって、飛散物あるいは銃弾が第1ペレットに確実に衝突するペレット防護体とすることができる。
【0015】
また、別の本発明は、実質的に円柱形状の複数個の第2ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、第2ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第2ペレット間の隙間を第2ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、第2ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間、その側面と底面との間に共にアールを付けた曲部を有すると共に、その底面を実質的に平面とし、その天面を外側に突出する曲面とするペレット防護体としている。「実質的に平面」とは、完全な平面のみならず、局部的な凹凸、全体としてわずかに凹または凸の状態も含むように解釈され、天面の曲面よりも外方向に突出していない面はすべて、実質的に平面の範疇に含まれるものとする。
【0016】
このため、飛散物あるいは銃弾が第2ペレット天面の真ん中以外に衝突した際に、第2ペレットが円柱側面を貫き底面と平行の軸を中心に回転しやすくなる。特に、天面は外方向に突出する曲面であるため、天面の中央以外に飛散物あるいは銃弾が衝突した際に、第2ペレットが上記軸を中心に回転しやすくなる。さらに、天面と対向する底面は実質的に平面であるため、飛散物あるいは銃弾の運動方向に第2ペレットが押しこまれる確率が低く、飛散物あるいは銃弾の運動エネルギーは、第2ペレット自体の破壊よりも、底面と側面との間にある曲部の存在によって第2ペレットが回転するエネルギーに費やされやすくなる。また、天面と側面との間の曲部は、第2ペレットの回転をさらに促進する作用を奏する。さらに、かかる曲部を設けることによって、製造時にペレット同士が衝突し、一部が欠けたり、あるいはペレットが割れたりすることを防止できる。
【0017】
また、別の本発明は、先の発明において、実質的に円柱形状の複数個の第1ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、第1ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第1ペレット間の隙間を第1ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有し、第1ペレットは、同一種または大小複数種のペレットであって、第1ペレット同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、第1ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間にエッジを有し、かつその側面と底面との間にアールを付けた曲部を有している第1ペレット防護体を、第2ペレットの上段に重ねて配置するペレット防護体としている。
【0018】
このため、飛散物あるいは銃弾は、第1ペレット防護体の層に衝突した際に、第1ペレットのエッジによって一部(特に先端部)を切断され、それでも第1ペレット防護体を貫通したものは、第2ペレット防護体のペレットに衝突した際に、その衝突時の運動エネルギーが、他の第2ペレットに分散し、かつ第2ペレットの回転に費やされ、プレートの裏側にある保護対象に与える損傷をより有効に防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、効果的に飛散物のエネルギーを消耗させて防護性能を向上させると共に、破壊部位の修復を破壊ペレットの交換という簡便な手段で容易にでき、且つ、破壊以前と同等の衝撃に対応できる防護性能を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明に係るペレット防護体の各実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数の第1ペレット1のセッティング状態を、飛散物または銃弾(以後、代表して「飛散物」という。)の衝突を受ける面の方向から見た図である。
【0022】
図1に示すように、第1の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する第1ペレット1は、飛散物の衝突を受ける面から見ると円形となる実質的に円柱形状を呈している。第1ペレット1は、直径の大きい第1大ペレット1aと、第1大ペレット1aよりも直径の小さい第1小ペレット1b(図1では円内を斜線で示すペレット)の2種類のペレット1から構成されている。これら2種類の第1ペレット1は、互いに4点以上の箇所で線接触する状態で配置されている。また、第1ペレット1同士の隙間は、第1ペレット1よりも低硬度の充填材2で満たされている。ペレット防護体を複数の第1ペレット1から構成したのは、ペレット防護体全体の破壊を防ぎ、破壊箇所のみを容易に修復できるようにするためである。この実施の形態では、第1大ペレット1aの直径と第1小ペレット1bの直径の比を、1:0.8としているが、この比に限定されず、1:0.75等の任意の比を採用できる。なお、第1ペレット1を全て同一サイズとしても良い。
【0023】
ペレット防護体を構成する第1ペレット1は、セラミックス、金属(合金も含まれる)、エンジニアリングプラスチック、木材等、いかなる材料で構成されたものでも良いが、強度に優れるセラミックスあるいは金属製の方が好ましい。セラミックス製の第1ペレット1としては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)等の酸化物系セラミックス、炭化珪素(SiC)、炭化チタニウム(TiC)、炭化ホウ素(B4C)等の炭化物系セラミックス、窒化珪素(Si3N4)、窒化チタニウム(TiN)、六方晶窒化ホウ素(cBN)等の窒化物系セラミックス、ホウ化チタニウム(TiB2)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)等のホウ化物系セラミックスのいずれの種類のセラミックス焼結体でも採用可能である。また、ガラス、炭素製の第1ペレット1でも良い。また、金属製の第1ペレット1としては、鉄、アルミニウム、鉛、銅等の金属単体のペレットでも、ステンレス、アルミニウム合金等の合金製のペレットでも良い。
【0024】
この実施の形態では、第1大ペレット1aおよび第1小ペレット1bを、それぞれ酸化アルミニウム製および炭化珪素製のペレットとしているが、かかる材料の組み合わせに限定されず、酸化アルミニウム製と炭化ホウ素製、炭化珪素製と炭化ホウ素製の各組み合わせとしても良い。また、第1大ペレット1aをセラミックス製のペレット、第1小ペレット1bを金属製のペレットとしたり、その逆の組み合わせとしても良い。また、第1大ペレット1aと第1小ペレット1bとを同じ材料で構成するようにしても良い。
【0025】
また、充填材2としては、例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を採用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリブチレンテレフタレート(GF−PBT)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、ウレタン樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
【0026】
充填材2の硬化後の柔軟性を保持できるための理想的な数値は、硬度90〜95(測定法:ASTM D−2240)、伸び380〜420%(測定法:ASTM D―412)、引張強度2700〜3000psi(測定法:ASTM D―412)、吸水率1.6%(測定法:ASTM D−570)である。
【0027】
第1ペレット1同士の隙間は、広狭いろいろあるが、最も広い隙間tが5mm以下となるようにしている。このため、5mm以上の直径を持つ飛散物は、必ず第1ペレット1に接触する。直径5mm以上の飛散物は、保護対象が人間の場合、特に与えるダメージが大きくなる。飛散物が銃弾の場合、その直径が5mm以上になると、人間の体を貫通するか否かを問わず、体内で組織を大きく破壊するので、これを有効に防止する必要がある。
【0028】
図2は、第1ペレット1を、飛散物の衝突する面からその対向面に向かって縦に切断して見た断面図を示す図である。
【0029】
第1ペレット1は、図2に示すように、円柱側面3と、実質的に平面形状の底面4と、円柱側面3の直径よりもわずかに小さい直径を持ち外方向に突出する曲面形状の天面5とを有している。天面5の外周は平面となり、その平面から円柱側面3へと略直角につながっている。すなわち、天面5と円柱側面3との間には、略直角のエッジ6が形成されている。このエッジ6は、後述するように、第一ペレット1同士の隙間に飛散物が入り込んできた際に、飛散物の運動エネルギーを大きく低減する機能を有している。
【0030】
また、円柱側面3と底面4との間には、アールをつけた曲部7が形成されている。底面4から円柱側面3に向かって曲部7が形成されていると、飛散物が天面5の中央からそれた位置に衝突した場合、第1ペレット1の重心を円柱側面3から底面4と平行に貫いた軸を中心に回転させやすくなる。すなわち、飛散物の運動エネルギーの一部を第1ペレット1の回転エネルギーに変えることができる。さらに、天面5が外方向に突出する曲面形状であるため、飛散物の衝撃を天面5でまともに受ける確率が低くなる。
【0031】
図3は、第1ペレット1同士の隙間に飛散物10が入り込むように、飛散物10がペレット防護体に衝突した状況を示す図である。なお、「飛散物」の符号は、図3およびそれに基づく説明においてのみ用いられるものとする。
【0032】
飛散物10が高速で進む場合、一般的には回転しながら進むことが多い。図3に示すように、飛散物10がR方向に自転しながら第1ペレット1の隙間に入り込むようにペレット防護体に衝突すると、第1ペレット1のエッジ6が飛散物10に食い込む。さらに、飛散物10が進行すると、エッジ6が飛散物10の周囲をネジ切るように機能する。このため、飛散物10の先端部分が切断されて重量が減少する。この結果、飛散物10の運動エネルギーの一部が減少し、飛散物10がペレット防護体を貫通する可能性が低くなる。
【0033】
図4は、第1ペレット1に飛散物が衝突した際に、その第1ペレット1が回転する様子を示す図である。
【0034】
飛散物が第1ペレット1の天面5の中央以外の箇所に、矢印Xで示すように衝突すると、曲部7近傍の底面4への圧力が増し、第1ペレット1は、曲部7で滑りつつ、円柱側面3から底面4と平行に重心を貫く軸を中心に回転する(回転する様子は、矢印Yで示す)。このため、飛散物のエネルギーは、衝突した第1ペレット1からその周囲に存在する第1ペレット1に分散されるとともに、衝突した第1ペレット1自体の回転に消費される。したがって、飛散物がペレット防護体を貫通する危険性を低減できる。
【0035】
図5は、第1ペレット1を備えたペレット防護体を示す図であり、(5A)はペレット防護体の側面方向から見た一部透過図であり、(5B)はペレット防護体の一部に飛散物の衝突による衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【0036】
第1の実施の形態にかかるペレット防護体は、(5A)に示すように、プレート8と、その上に並べられた複数の第1ペレット1と、各第1ペレット1間を埋める充填材2とを備えている。プレート8は、金属(合金も含まれる。)製の板である。この場合、第1ペレット1とプレート8との接触部分が平面になるようにしている。(5B)に示すように、衝撃Fが与えられた第1ペレット1が破壊されながら(バツ印付きの第1ペレット1が一部あるいは全部が破壊された第1ペレット1である)、プレート8の方向に押し込まれる。すると、プレート8は、第1ペレット1の底面部分が第1ペレット1との接触を維持しながらへこむ。これによって、第1ペレット1同士が玉突き現象を起こすのを緩和することができる。この時、プレート8には、第1ペレット1の直径に比例した大きさの変形8aが生じる。
【0037】
また、先に説明したように、第1ペレット1の底面4が実質的に平面であるため、飛散物の衝撃Fを第1ペレット1からその直下のプレート8に広い面積で伝えることができる。したがって、プレート4が破壊される確率を低くすることができる。さらに、プレート8が第1ペレット1を載置する側と反対側にへこみにくくなる。第1ペレット1がプレート8上で自転しやすくなる。したがって、飛散物の運動エネルギーの一部を第1ペレット1の自転に消費するようにできる。
【0038】
次に、第1ペレット1の変形例について説明する。
【0039】
図6は、第1の実施の形態に係るペレット防護体を構成する複数の第1ペレット1のセッティング状態を飛散物の衝撃を受ける方向から見た図であり、(6A)は第1大ペレット1aと第1小ペレット1bが同じ形状で直径のみが異なるように第1ペレット1を構成したペレット防護体を示し、(6B)は第1大ペレット1aと第1小ペレット1bが形状も直径も異なるように第1ペレット1を構成したペレット防護体を示す図である。
【0040】
(6A)に示すように、第1大ペレット1aも第1小ペレット1bも、ともに、円柱側面3に略半円形の底面を有する半円柱形状の凸部12を6個ずつ備えている。この場合、第1ペレット1同士は、凸部12と第1ペレット1の円柱側面3、および凸部12同士で線接触することになる。凸部12が第1ペレット1の円柱側面3で接触すると、当該第1ペレット1に加えられた衝撃の内の横方向に伝達する分は、12個の接触部分に分配されて周囲に広がる。したがって、第1ペレット1の破壊領域をより小さくすることができる。
【0041】
また、(6B)に示すように、第1大ペレット1aのみに半円柱形状の凸部12を備え、第1小ペレット1bに凸部12を備えないようにしても良い。この場合にも、第1ペレット1同士は、凸部12と第1ペレット1の円柱側面3、凸部12同士で線接触することになる。第1小ペレット1bには凸部12を備えていないので、第1大ペレット1aに比べると、外部から衝撃が加わったときに自転しやすい。したがって、(6A)に示すペレット防護体と比較して、外部からの飛散物による衝撃を周囲に分散させて伝播させるよりも、飛散物の運動エネルギーを第1ペレット1の回転に消費させる割合が大きくなる。
【0042】
なお、この実施の形態では、凸部12は、半円形状の底面を有する半円柱であるが、半円形に限定されず、半円よりも角度を小さくあるいは大きくした両底面を有する柱形状の凸部を採用しても良い。その場合、各第1ペレット1同士の接触部分の数は、12より減ったり、第1ペレット1毎に異なることもある。しかし、接触部分の数が6〜12の範囲にあるので、衝撃の伝達を分散させて、もって破壊領域を小さくする効果が得られる。
【0043】
次に、第1の実施の形態に係るペレット防護体の製造工程につき説明する。
【0044】
図7は、第1の実施の形態にかかるペレット防護体の製造工程を示すフローチャートである。
【0045】
まず、第1ペレット1を製造する(ステップS101)。第1ペレット1は、公知の製法で製造可能である。すなわち、セラミックス製の第1ペレット1の場合には、原料粉末と焼結助剤との混合、混合粉末の顆粒化、顆粒を用いた成形、成形物の焼結という各工程を経て第1ペレット1を製造できる。成形方法には、金型に粉末を充填して加圧するプレス成形の他、原料を口金から押出す押出し成形、熱可塑性のプラスチックを加えて加熱しつつ金型の中に射出して成形する射出成形などがある。また、焼結方法には、常圧焼結、加圧焼結(ホットプレス、HIPなど)がある。また、金属製の第1ペレット1の場合には、金属粉末の成形(上記セラミックスと同様の成形方法を適用可能)とその後の常圧若しくは加圧焼結を経る方法、溶融金属の金型への射出成形と冷却を経る方法などがある。
【0046】
ステップS101に続き、平板または成形型を準備する(ステップS102)。次に、平板または成形型の周囲に枠を配置する(ステップS103)。この枠は、ペレット防護体の厚さと同じ若しくはそれより大きい高さとする。枠と平板または成形型との隙間はできるだけないようにするのが好ましい。枠の材質は特に限定しない。その後の工程に支障のない材質であれば良い。例えば、熱硬化性樹脂を充填材2とする場合には、固化に際して加熱する必要があるので、枠の材質をその加熱に耐えられる材質とするのが好ましい。
【0047】
ステップS103に続き、第1ペレット1を平板または成形型の所定位置に配置する(ステップS104)。第1の実施の形態にかかるペレット防護体の場合、第1ペレット1同士が互いに6箇所で接触するように配置する。第1ペレット1の配置に際して、単に、第1ペレット1を平板または成形型上に置くだけでも、第1ペレット1、または平板若しくは成形型の少なくともいずれか1つの一面に粘着材(両面テープなど)若しくは粘着剤(接着剤など)をつけて第1ペレット1と平板または成形型とを固定するようにしても良い。
【0048】
ステップS104に続き、枠内に充填材2を供給する(ステップS105)。充填材2として熱可塑性樹脂を採用する場合には、加熱された溶融樹脂を枠内に流し込む方法を用いると良い。また、充填材2として熱硬化性樹脂を採用する場合には、硬化前の液状の樹脂を枠内に供給すると良い(2液混合方式を採用するエポキシ樹脂の場合には、2液を混合して供給するのが良い)。また、充填材2として木材を採用する場合には、接着剤を付けたおがくず等を枠内に入れると良い。
【0049】
ステップS105に続き、充填材2の固化を行う(ステップS106)。固化の方法としては、充填材2の固化を所定時間待つ方法、充填材2を固化させるために熱を加える方法などが挙げられる。次に、枠をはずす(ステップS107)。ただし、枠を付けたまま使用することもできる。その場合には、ステップS107の工程を省いても良い。そして、最後に、ステップS107の工程を経て得られたものを、接着剤またはベルクロ等でプレート8(または構造体)に装着する(ステップS108)。なお、上記の製造工程以外の製法として、上方を開放した状態の容器に、互いに6箇所で接触するように第1ペレット1を横向きで敷き詰めて、充填材2を容器の上方から供給して固化させても良い。
【0050】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係るペレット防護体の第2の実施の形態について説明する。
【0051】
図8は、第2の実施の形態に係るペレット防護体を構成する第2ペレット21における、飛散物の衝突する側の天面からそれと対向する底面に向かう方向に縦に切断した断面を示す図である。
【0052】
第2ペレット21は、図8に示すように、円柱側面22と、実質的に平面形状の底面23と、外方向に突出する曲面形状の天面24とを有している。円柱側面22と底面23との間には、アールをつけた曲部25が形成されている。底面23から円柱側面22に向かって曲部25が形成されていると、飛散物が天面24の中央からそれた位置に衝突した場合、第2ペレット21の重心を円柱側面22から底面23と平行に貫いた軸(回転軸という)を中心に回転させやすくなる。すなわち、飛散物の運動エネルギーの一部を第2ペレット21の回転エネルギーに変えることができる。さらに、天面24が外方向に突出する曲面形状であるため、飛散物の衝撃を天面24でまともに受ける確率が低くなる。
【0053】
また、円柱側面22と天面24との間にも、アールをつけた曲部26が形成されている。曲部26が形成されていると、飛散物が天面24の中央からそれた位置に衝突した場合に、第2ペレット21が先述の回転軸を中心に回転しやすくなる。すなわち、曲部25のみならず、曲部26も形成されていると、第2ペレット21が全体的に丸みをおびた形状となるので、外部からの飛散物の衝突時に、回転しやすくなる。さらに、曲部25および曲部26を設けることによって、製造時に第2ペレット21同士が衝突し、一部が欠けたり、あるいは第2ペレット21が割れたりすることを防止できる。
【0054】
この実施の形態では、円柱径Dを200.038mm、曲部25から曲部26までの円柱側面22の略垂直部分の長さMを95.003mm、天面24と底面23との間の距離(高さ)Hを172.44mm、曲部25の曲率をR35mm、曲部26の曲率をR30mm、天面24の曲率をR280.36mmとしている。ただし、かかる寸法は一例に過ぎず、これと異なる寸法を採用しても良い。例えば、曲部25、曲部26および天面24の各曲率を、もっと大きくしたり、逆に小さくするようにしても良い。また、円柱径D、長さMおよび高さHを、上記寸法より大きくしたり、逆に小さくしても良い。
【0055】
第2ペレット21は、セラミックス、金属(合金も含まれる)、エンジニアリングプラスチック、木材等、いかなる材料で構成されたものでも良いが、強度に優れるセラミックスあるいは金属製の方が好ましい。セラミックス材料、金属材料の種類については、第1の実施の形態で説明した内容と共通するので、その説明を省略する。また、この実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、第2大ペレットおよび第2小ペレットから第2ペレット21を構成している。その充填状態は、図1に示す状態と共通するので、その説明を省略する。ただし、第2ペレット21を全て同じ大きさのペレットとしても良い。
【0056】
この実施の形態において、第2大ペレットと第2小ペレットは、それぞれ酸化アルミニウム製および炭化珪素製のペレットとしているが、かかる材料の組み合わせに限定されず、酸化アルミニウム製と炭化ホウ素製、炭化珪素製と炭化ホウ素製の各組み合わせとしても良い。これらの材料の組み合わせについても、第1の実施の形態にて説明した内容と同様である。また、第2ペレット21間に充填される充填材2としては、例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を採用できる。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の例示は、第1の実施の形態にて説明した内容と共通するので、その説明を省略する。
【0057】
図9は、第2ペレット21に飛散物が衝突した際に、その第2ペレット21が回転する様子を示す図である。
【0058】
飛散物が第2ペレット21の天面24の中央以外の箇所に、矢印Xで示すように衝突すると、曲部25近傍の底面23への圧力が増し、第2ペレット21は、曲部25で滑りつつ、円柱側面22から底面23と平行に重心を貫く軸を中心に回転する(回転する様子は、矢印Yで示す)。このため、飛散物のエネルギーは、衝突した第2ペレット21からその周囲に存在する第2ペレット21に分散されるとともに、衝突した第2ペレット21自体の回転に消費される。したがって、飛散物がペレット防護体を貫通する危険性を低減できる。
【0059】
図10は、第2ペレット21を備えたペレット防護体を示す図であり、(10A)はペレット防護体の側面方向から見た一部透過図であり、(10B)はペレット防護体の一部に飛散物の衝突による衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。図10では、簡略化のため、第2ペレット21の大きさを同一に表している。
【0060】
第2の実施の形態にかかるペレット防護体は、(10A)に示すように、プレート28と、その上に並べられた複数の第2ペレット21と、各第2ペレット21間を埋める充填材2とを備えている。プレート28は、金属(合金も含まれる。)製の板である。この場合、第2ペレット21とプレート28との接触部分が平面になるようにしている。(10B)に示すように、衝撃Fがペレット防護体に与えられると、第2ペレット21が破壊されながら(バツ印付きの第2ペレット21が一部あるいは全部が破壊された第2ペレット21である)、プレート28の方向に押し込まれる。すると、プレート28は、第2ペレット21の底面部分が第2ペレット21との接触を維持しながらへこむ。これによって、第2ペレット21同士が玉突き現象を起こすのを緩和することができる。この時、プレート28には、第2ペレット21の直径に比例した大きさの変形28aが生じる。
【0061】
第2ペレット21の底面23が実質的に平面であるため、飛散物の衝撃Fを第2ペレット21からその直下のプレート28に広い面積で伝えることができる。したがって、プレート28が破壊される確率を低くすることができる。さらに、プレート28が第2ペレット21を載置する側と反対側にへこみにくいので、第2ペレット21がプレート28上で自転しやすくなる。したがって、飛散物の運動エネルギーの一部を第2ペレット21の自転に消費するようにできる。さらに、天面24と円柱側面22との間に曲部26を形成しているので、第2ペレット21は回転しやすくなる。
【0062】
図11は、第2ペレット21を充填した層の上に、第1の実施の形態にて説明した第1ペレット1を充填した層を重ねたペレット防護体を示す図である。
【0063】
このような構成を採用すると、飛散物は、まず、第1ペレット1を充填した層に衝突する。飛散物が第1ペレット1同士の隙間に入ると、飛散物は、第1ペレット1のエッジ6で一部をねじ切られ、第1ペレット1を回転させ、さらには周囲の第1ペレット1にも衝撃を伝播させながら、運動エネルギーを消耗し、それでも運動エネルギーが大きい場合には第2ペレット21の層に突入する。
【0064】
第2ペレット21の層に突入した飛散物は、第2ペレット21の回転と衝突した第2ペレット21の周囲にある第2ペレット21への衝撃の分散にエネルギーを消費する。その結果、飛散物がプレート28を突き破って、保護対象に到達する確率はきわめて低くなる。
【0065】
なお、ペレット防護体を重ねる段数は3段以上でも良い。重ねる段数が多くなると、飛散物がペレット防護体を貫通する危険性を低減できる一方で、ペレット防護体の重量が増す。したがって、用途に応じて段数を決めるのが良い。
【0066】
次に、本発明の他の実施の形態に係るペレット防護体ついて、図面を参照しながら説明する。
【0067】
図12は、他の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレット41のセッティング状態を、飛散物の衝突を受ける方向から見た図である。
【0068】
図12に示すように、ペレット41は、周囲のペレット41と6点で接触する状態で配置されている。また、ペレット41同士の隙間は、ペレット41よりも低硬度の充填材42で満たされている。ペレット防護体を複数のペレット41から構成したのは、ペレット防護体全体の破壊を防ぎ、破壊箇所のみを容易に修復できるようにするためである。
【0069】
ペレット防護体を構成するペレット41は、セラミックス、金属、エンジニアリングプラスチック、木材等、いかなる材料で構成されたものでも良いが、強度に優れるセラミックスあるいは金属製の方が好ましい。ペレット41の材料は、先の実施の形態で説明した第1ペレット1と同様なので、その説明を省略する。
【0070】
また、充填材42としては、例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を採用できる。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の例は、先の実施の形態で説明した充填材2の材料と同様なので、その説明を省略する。充填材42の硬化後の柔軟性を保持できるための理想的な数値は、硬度90〜95(測定法:ASTM D−2240)、伸び380〜420%(測定法:ASTM D―412)、引張強度2700〜3000psi(測定法:ASTM D―412)、吸水率1.6%(測定法:ASTM D−570)である。
【0071】
図13は、代表的なペレット41をその側面方向から見た形態を示す図である。
【0072】
ペレット41の形状としては、(13A)に示すような球形状、(13B)および(13C)に示すような実質的に円柱形状のいずれをも採用可能である。ペレット41の形状を球形状とした場合には、各ペレット41同士は点接触となる。一方、ペレット41の形状を実質的に円柱形状とした場合には、各ペレット41同士は線接触となる。円柱形状のペレット41の上下いずれか一方の面は凸にしている。ペレット41の凸面が並ぶ面をペレット防護体における飛散物の衝撃を受ける面とすることにより、飛散物の運動エネルギーを、激突したペレットのみならず、そのペレットの周囲にそらすことが期待できるからである。なお、凸面を1つのみ持つペレット41(13B)および凸面を2つ持つペレット(13C)を使い分ける基準の一つについては後述する。
【0073】
図14は、ペレット41の凸面に弾丸等の飛散物が当たったときに周囲に伝達する力を図示したものである。(14A)は、ペレット41の凸面側、すなわちペレット防護体の表面から見た状況を、(14B)はペレット41の側面方向から見た状況を、それぞれ示す。
【0074】
ペレット41の1つ(紙面の最上部のペレット41)の凸面に弾丸等の衝撃Fが加わると、一部は、凸面と対向する面に向かって伝わる。また、衝撃Fの一部は充填材42により緩和され、残りは、白抜き矢印で示すように、そのペレット41と接する接線を介して隣接する周囲のペレット41にも伝わる。隣接するペレット41に伝達された衝撃は、さらにこれと接する接線を介して周囲のペレット41に伝達される。ペレット41同士の接線では、互いに伝達される力が打ち消しあう場合もある。こうして、1つのペレット41に加わった衝撃Fの一部は、周囲のペレット41と接する部分の数だけ分散されて周囲のペレット41に伝達されるので、衝撃は広範囲に伝わらず、限られた領域内におさまる。
【0075】
図15は、ペレット41とは異なる本発明外のペレット43から構成されるペレット防護体に衝撃Fが加わったときの衝撃の伝達状況を示す図である。
【0076】
六角面を上下両面に持つ柱状のペレット43を互いに面接触するように配置すると、ペレット43の1つ(図中の左下方のペレット3)に衝撃Fが加わった際に、衝撃Fの一部は、接触面を介して周囲のペレット43に伝達する。しかし、互いにペレット43の面だけで接触していると、衝撃の伝達は方向性を持ち、ペレット43の破壊が広範囲に及ぶ確率が高くなる。すなわち、図中の白抜き矢印の方向に伝播する一方で、運動エネルギーの大部分は、斜線の矢印の方向へと直進していき、破壊される領域が拡大する確率が高くなる。なお、ペレット43同士の隙間を充填材で埋める構造も考えられる。しかし、周囲のペレット43への運動エネルギーの伝播よりも、衝撃が加えられたペレット43のみに集中しやすくなり、ペレット防護体を貫通する危険性が高くなってしまう。したがって、ペレット43同士を面接触させても、またペレット43同士の隙間に充填材を存在させても、ペレット防護体の性能としては劣る。
【0077】
図16は、底面の1つが凸形状で、もう1つが平面であるペレット41を備えたペレット防護体を示す図である。(16A)はペレット防護体の断面方向から見た一部透過図であり、(16B)は1つのペレット41の部分を拡大して示す図であり、(16C)は一部に衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【0078】
ペレット防護体は、(16A)に示すように、プレート44と、その上に並べられた複数のペレット41と、各ペレット41間を埋める充填材42とを備えている。プレート44は、金属(合金も含まれる。)製の板である。この場合には、ペレット41とプレート44との接触部分を平面にした方が良い。衝撃Fが与えられたペレット41が破壊されながらプレート44の方向に押し込まれると、プレート44は、ペレット41の底面部分がペレット41との接触を維持しながらへこむ。これによって、ペレット41同士が玉突き現象を起こすのを緩和することができるからである。この時、プレート44には、ペレット41の直径に比例した大きさの変形44aが生じる。
【0079】
図17は、両底面が凸形状のペレット41を備えたペレット防護体を示す図である。(17A)はペレット防護体の断面方向から見た一部透過図であり、(17B)は1つのペレット41の部分を拡大して示す図であり、(17C)は一部に衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【0080】
図17に示すペレット防護体のプレート44は、樹脂製の板である。この場合には、ペレット41とプレート44との接触部分を曲面にした方が良い。衝撃Fが与えられたペレット41が破壊されながらプレート44の方向に押し込まれると、プレート44は、図中下方に半球形状にへこむ。ペレット41の接触面も凸形状なので、ペレット41とプレート44との接触を維持でき、これによって、ペレット41同士が玉突き現象を起こすのを緩和することができるからである。この時、プレート44には、ペレット41の直径に比例した大きさの変形44aが生じる。
【0081】
次に、ペレット防護体の別の実施の形態について説明する。
【0082】
図18は、別の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレット50のセッティング状態を、飛散物の衝撃を受ける方向から見た図(18A)およびペレット50の斜視図(18B)である。
【0083】
(18B)に示すように、円柱の側面に凸部50aを配設したペレット50を複数備えたペレット防護体を採用することもできる。この場合、ペレット50同士は、凸部50aとペレット50側面とで線接触することになる。全ての凸部50aがペレット50の側面で接触すると、当該ペレット50に加えられた衝撃の内の横方向に伝達する分は、12個の接触部分に分配されて周囲に広がる。したがって、ペレット50の破壊領域をより小さくすることができる。
【0084】
この実施の形態では、凸部50aは、半円形状の底面を有する半円柱であるが、半円に限定されず、半円よりも角度を小さくあるいは大きくした両底面を有する柱形状の凸部を採用しても良い。その場合、各ペレット50同士の接触部分の数は、12より減ったり、ペレット50毎に異なることもある。しかし、接触部分の数が6〜12の範囲にあるので、衝撃の伝達を分散させて、もって破壊領域を小さくする効果が得られる。
【0085】
次に、ペレット防護体のさらなる別の実施の形態について説明する。
【0086】
図19は、別の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレット60のセッティング状態を、飛散物の衝撃を受ける方向から見た図である。
【0087】
このペレット防護体は、実質的に円柱形状のペレット60の間に、小ペレット61が介在する構成を有している。なお、ペレット60と小ペレット61以外の部分には、充填材62が存在する。この実施の形態の場合、各ペレット60は、小ペレット61同士の12個の接触線(若しくは接触点)を介して、他のペレット60に隣接している。このため、衝撃の伝達を分散させて、もって破壊領域を小さくする効果が得られる。なお、小ペレット61の数をもっと少なくして、小ペレット61同士ではなく、小ペレット61とペレット60とが接触するようにしても良い。
【0088】
図20は、ペレット60同士の隙間に介在する小ペレット61のバリエイションを示す図である。
【0089】
ここでは、ペレット60を上下両面が凸形状のペレットである例で説明するが、一方の面だけが凸形状のペレットでも同様である。小ペレット61は、図20の左下方に示すような上下両面が凸形状のもの、あるいは真ん中下方に示す上下両面が平面のものでも良い。さらには、図示はしないが、上下のいずれか一方の面のみが凸形状のもの、あるいは上下の少なくとも一方の面が凹形状のものでも良い。また、図20の右下方に示すような小球61aから構成される小ペレット61を採用しても良い。小球61aをペレット60の厚さ方向に積み重ねた場合、ペレット60と小ペレット61との接触は、点接触となる。しかも、その接触部分の数は、ペレット60と接触する小ペレット61の数と小ペレット61を構成する小球61aの数とを掛けた総数となる。したがって、ペレット60に加えられた衝撃をより分散させることができ、もって破壊領域をより小さくする効果が得られる。
【0090】
図12から図20の各図面に基づいて説明した各実施の形態に係るペレット防護体の製造工程は、第1の実施の形態に係るペレット防護体と同様の製造工程を経て製造されるので、その説明を省略する。また、図12から図20の各図面に基づいて説明した各実施の形態に係るペレット防護体も、図11に示すような複数層を有するペレット防護体とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、戦闘車両(戦車、装甲車、砲車など)、船舶(艦船、艦艇、警備艇、貨物船など)、航空機(固定翼機、回転翼機など)、警備用車両、現金輸送車(耐弾装甲板)などの特殊車両、一般乗用車における付加装甲材(A)、高速回転体(発電機、ジェットエンジンなどのタービン回転部)からの高速回転部分の破片による周辺機器(制御機器、配管など)の損傷を防止するための防護板(B)、防弾チョッキの付加防弾板、爆発物収納場所の内張り(C)、ボイラー、反応釜などの高圧容器などの破損による周辺機器(制御機器、配管など)の損傷を防止する防護板(D)等を製造および使用する産業において実施可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数の第1ペレットのセッティング状態を、飛散物または銃弾の衝突を受ける面の方向から見た図である。
【図2】図1に示す第1ペレットを、飛散物の衝突する面からその対向面に向かって切断して見た断面図を示す図である。
【図3】図2に示す第1ペレット同士の隙間に飛散物が入り込むように、飛散物がペレット防護体に衝突した状況を示す図である。
【図4】図2に示す第1ペレットに飛散物が衝突した際に、その第1ペレットが回転する様子を示す図である。
【図5】図2に示す第1ペレットを複数備えたペレット防護体を示す図であり、(5A)はペレット防護体の側面方向から見た一部透過図であり、(5B)はペレット防護体の一部に飛散物の衝突による衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るペレット防護体を構成する複数の第1ペレットのセッティング状態を飛散物の衝撃を受ける方向から見た図であり、(6A)は第1大ペレットと第1小ペレットが同じ形状で直径のみが異なるように第1ペレットを構成したペレット防護体を示し、(6B)は第1大ペレットと第1小ペレットが形状も直径も異なるように第1ペレットを構成したペレット防護体を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態にかかるペレット防護体の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るペレット防護体を構成する第2ペレットにおける、飛散物の衝突する側の天面からそれと対向する底面に向かう方向に切断した断面を示す図である。
【図9】図8に示す第2ペレットに飛散物が衝突した際に、その第2ペレットが回転する様子を示す図である。
【図10】図8に示す第2ペレットを複数備えたペレット防護体を示す図であり、(10A)はペレット防護体の側面方向から見た一部透過図であり、(10B)はペレット防護体の一部に飛散物の衝突による衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【図11】図8に示す第2ペレットを充填した層の上に、第1の実施の形態にて説明した第1ペレットを充填した層を重ねたペレット防護体を示す図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレットのセッティング状態を、飛散物の衝突を受ける方向から見た図である。
【図13】図12に示すペレット防護体を構成している代表的なペレットをその側面方向から見た形態を示す図である。
【図14】図13に示すペレットの凸面に弾丸等の飛散物が当たったときに周囲に伝達する力を図示したものであり、(14A)は、ペレットの凸面側、すなわちペレット防護体の表面から見た状況を、(14B)はペレットの側面、すなわち、ペレット防護体の断面方向から見た状況を、それぞれ示す。
【図15】図13に示すペレットとは異なる本発明外のペレットから構成されるペレット防護体に衝撃Fが加わったときの衝撃の伝達状況を示す図である。
【図16】図12に示すペレット防護体を構成しているペレットであって、底面の1つが凸形状で、もう1つが平面であるペレットを備えたペレット防護体を示す図であり、(16A)はペレット防護体の断面方向から見た一部透過図であり、(16B)は1つのペレットの部分を拡大して示す図であり、(16C)は一部に衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【図17】図12に示すペレット防護体を構成しているペレットであって、両底面が凸形状のペレットを備えたペレット防護体を示す図であり、(17A)はペレット防護体の断面方向から見た一部透過図であり、(17B)は1つのペレットの部分を拡大して示す図であり、(17C)は一部に衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【図18】本発明の別の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレットのセッティング状態を、飛散物の衝撃を受ける方向から見た図(18A)およびペレットの斜視図(18B)である。
【図19】本発明の別の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレットのセッティング状態を、飛散物の衝撃を受ける板面方向から見た図である。
【図20】図19に示すペレット同士の隙間に介在する小ペレットのバリエイションを示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 第1ペレット
1a 第1大ペレット(第1ペレットの一部)
1b 第1小ペレット(第1ペレットの一部)
2 充填材
3 円柱側面
4 底面
5 天面
6 エッジ
7 曲部
8 プレート
10 飛散物
12 凸部
21 第2ペレット
22 円柱側面
23 底面
24 天面
25 曲部
26 曲部
28 プレート
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛散物から防護するためのペレット防護体に関する。
【背景技術】
【0002】
銃弾あるいは爆発による飛散物からの防護の必要性は年々高まっている。防護方法には、飛散物により破壊されない材料を用いた防護体によって守る方法と、飛散物により破壊されても大きな破壊に至らしめない防護体によって守る方法とがある。前者の場合には、どのような飛散物よりも硬くかつ強靱な材料を防護体の材料として選択する必要がある。したがって、多種多様な飛散物が想定される用途では採用しにくい。また、硬度と強靱さ(靱性)とが両立する材料は希有であるため、コストがかさむという問題もある。このような理由から後者の方法を採用することが多い。例えば、防弾ガラス、防弾チョッキなどは、このような方法を採用したものである。
【0003】
従来から、様々な防護体が開発されてきている。例えば、樹脂とセラミックスとからなるペレット防護体として、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic: FRP)の表面にセラミックス板を配設した構造のものが知られている(特許文献1参照。)。かかる構造により、FRPのみよりも、さらに防弾性能や防刃性能が向上することが期待される。
【0004】
また、衝撃面に面し、第1の副層の上に積層され、そして隣接し合うセグメント同士が密着している複数の隣接し合うセラミックス製の表層セグメントで構成されている表層と、衝撃面とは反対の方向に面している裏層と、表層と裏層の間に配置された支持層を少なくとも含んでなる複合装甲板材料も知られている(特許文献2参照。)。かかる構造によって、防護性能をある程度向上させることは可能である。
【特許文献1】特開2002−316319号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特表2003−532561号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1に開示される発明では、必ずしも飛散物による防護性能は十分とは言えない。確かに、セラミックス板が破壊することによって、金属等の飛散物の運動エネルギーを吸収し、ある程度、飛散物による防護を図ることはできる。しかし、単に、セラミックス板が並んでいるだけでは、飛散物の運動エネルギーが大きい場合には十分な防護を図ることが出来ない。
【0006】
また、特許文献2に開示される発明の場合も同様に、積層構造においてセラミックス板が面接触するように配置されている状況では、防護性能は十分とは言えない。飛散物の運動エネルギーは、セラミックス板同士の面を介して広範囲に伝搬してしまい、破壊部位が大きくなり、複合衝撃または連続的衝撃に耐えられないことがその理由の一つに挙げられる。さらに、破壊箇所が大きいと、修復が難しく、一度飛散物により損傷を受けると、再度使用できなくなってしまうという問題もある。
【0007】
すなわち、銃弾あるいは飛散物が衝突した際に、いかにその運動エネルギーを消耗させて防護体の裏側にある守るべき対象の損傷を低減させるかということと同時に、一度破壊されてもその破壊された箇所をすぐに修復できるかということも重要となる。
【0008】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、効果的に飛散物のエネルギーを消耗させて防護性能を向上させると共に、破壊部位の修復を容易にするペレット防護体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、実質的に円柱形状の複数個の第1ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、第1ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第1ペレット間の隙間を第1ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、第1ペレットは、同一種または大小複数種のペレットであって、第1ペレット同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、第1ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間にエッジを有し、かつその側面と底面との間にアールを付けた曲部を有するペレット防護体としている。「実質的に円柱形状」とは、完全な円柱のみならず、楕円柱も含まれる。また、円柱若しくは楕円柱の表面に凹凸が存在するものも、全体として円柱若しくは楕円柱の形状と認められる限り、実質的に円柱形状の範疇に含まれる。また、第1ペレットは、全て同一サイズであっても、大小複数種のサイズであっても良い。
【0010】
このため、第1ペレットに飛散物が衝突した際に、その衝撃の一部は充填材の変形に消費され、その衝撃の一部は、周囲の第1ペレットに向かって多くの方向に分散されて伝播する。この結果、第1ペレットの破壊領域の拡大を抑えることができる。また、第1ペレット間の間隔は最も広くても5mmとしているので、5mm以上の直径を持つ飛散物あるいは銃弾は、必ず第1ペレットに接触する。直径5mm以上の飛散物あるいは銃弾は、保護対象に与えるダメージが大きい。特に、銃弾の直径が5mm以上になると、人間の体を貫通するか否かを問わず、体内組織の破壊の程度が大きくなるので、これを有効に防止する必要がある。さらに、第1ペレットにエッジを設けているので、回転しながら直進してくる飛散物あるいは銃弾は、第1ペレット間のエッジによってねじ切られる。このため、飛散物あるいは銃弾の運動エネルギーは大きく消耗され、防護体の裏側にある保護すべき対象を効果的に保護することができる。
【0011】
また、別の本発明は、先の発明において、第1ペレットの側面に凸部を設け、第1ペレット同士が凸部同士あるいは当該凸部と当該凸部以外の部位で接触するように配設されているペレット防護体としている。
【0012】
このため、第1ペレットに与えられた衝撃は、凸部を介して周囲の第1ペレットに伝播される。凸部を設けることにより、第1ペレット同士の接触を確実にすることができるので、より効果的に、第1ペレットの破壊領域の拡大を抑えることができる。
【0013】
また、別の本発明は、先の発明において、第1ペレットを、凸部の数が異なる複数種のペレットとするペレット防護体としている。
【0014】
このため、互いに隣接する第1ペレットは、凸部と凸部のない箇所とで接触しやすくなる。このため、第1ペレット間の隙間を狭く充填できる。したがって、飛散物あるいは銃弾が第1ペレットに確実に衝突するペレット防護体とすることができる。
【0015】
また、別の本発明は、実質的に円柱形状の複数個の第2ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、第2ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第2ペレット間の隙間を第2ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、第2ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間、その側面と底面との間に共にアールを付けた曲部を有すると共に、その底面を実質的に平面とし、その天面を外側に突出する曲面とするペレット防護体としている。「実質的に平面」とは、完全な平面のみならず、局部的な凹凸、全体としてわずかに凹または凸の状態も含むように解釈され、天面の曲面よりも外方向に突出していない面はすべて、実質的に平面の範疇に含まれるものとする。
【0016】
このため、飛散物あるいは銃弾が第2ペレット天面の真ん中以外に衝突した際に、第2ペレットが円柱側面を貫き底面と平行の軸を中心に回転しやすくなる。特に、天面は外方向に突出する曲面であるため、天面の中央以外に飛散物あるいは銃弾が衝突した際に、第2ペレットが上記軸を中心に回転しやすくなる。さらに、天面と対向する底面は実質的に平面であるため、飛散物あるいは銃弾の運動方向に第2ペレットが押しこまれる確率が低く、飛散物あるいは銃弾の運動エネルギーは、第2ペレット自体の破壊よりも、底面と側面との間にある曲部の存在によって第2ペレットが回転するエネルギーに費やされやすくなる。また、天面と側面との間の曲部は、第2ペレットの回転をさらに促進する作用を奏する。さらに、かかる曲部を設けることによって、製造時にペレット同士が衝突し、一部が欠けたり、あるいはペレットが割れたりすることを防止できる。
【0017】
また、別の本発明は、先の発明において、実質的に円柱形状の複数個の第1ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、第1ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第1ペレット間の隙間を第1ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有し、第1ペレットは、同一種または大小複数種のペレットであって、第1ペレット同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、第1ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間にエッジを有し、かつその側面と底面との間にアールを付けた曲部を有している第1ペレット防護体を、第2ペレットの上段に重ねて配置するペレット防護体としている。
【0018】
このため、飛散物あるいは銃弾は、第1ペレット防護体の層に衝突した際に、第1ペレットのエッジによって一部(特に先端部)を切断され、それでも第1ペレット防護体を貫通したものは、第2ペレット防護体のペレットに衝突した際に、その衝突時の運動エネルギーが、他の第2ペレットに分散し、かつ第2ペレットの回転に費やされ、プレートの裏側にある保護対象に与える損傷をより有効に防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、効果的に飛散物のエネルギーを消耗させて防護性能を向上させると共に、破壊部位の修復を破壊ペレットの交換という簡便な手段で容易にでき、且つ、破壊以前と同等の衝撃に対応できる防護性能を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明に係るペレット防護体の各実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数の第1ペレット1のセッティング状態を、飛散物または銃弾(以後、代表して「飛散物」という。)の衝突を受ける面の方向から見た図である。
【0022】
図1に示すように、第1の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する第1ペレット1は、飛散物の衝突を受ける面から見ると円形となる実質的に円柱形状を呈している。第1ペレット1は、直径の大きい第1大ペレット1aと、第1大ペレット1aよりも直径の小さい第1小ペレット1b(図1では円内を斜線で示すペレット)の2種類のペレット1から構成されている。これら2種類の第1ペレット1は、互いに4点以上の箇所で線接触する状態で配置されている。また、第1ペレット1同士の隙間は、第1ペレット1よりも低硬度の充填材2で満たされている。ペレット防護体を複数の第1ペレット1から構成したのは、ペレット防護体全体の破壊を防ぎ、破壊箇所のみを容易に修復できるようにするためである。この実施の形態では、第1大ペレット1aの直径と第1小ペレット1bの直径の比を、1:0.8としているが、この比に限定されず、1:0.75等の任意の比を採用できる。なお、第1ペレット1を全て同一サイズとしても良い。
【0023】
ペレット防護体を構成する第1ペレット1は、セラミックス、金属(合金も含まれる)、エンジニアリングプラスチック、木材等、いかなる材料で構成されたものでも良いが、強度に優れるセラミックスあるいは金属製の方が好ましい。セラミックス製の第1ペレット1としては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)等の酸化物系セラミックス、炭化珪素(SiC)、炭化チタニウム(TiC)、炭化ホウ素(B4C)等の炭化物系セラミックス、窒化珪素(Si3N4)、窒化チタニウム(TiN)、六方晶窒化ホウ素(cBN)等の窒化物系セラミックス、ホウ化チタニウム(TiB2)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)等のホウ化物系セラミックスのいずれの種類のセラミックス焼結体でも採用可能である。また、ガラス、炭素製の第1ペレット1でも良い。また、金属製の第1ペレット1としては、鉄、アルミニウム、鉛、銅等の金属単体のペレットでも、ステンレス、アルミニウム合金等の合金製のペレットでも良い。
【0024】
この実施の形態では、第1大ペレット1aおよび第1小ペレット1bを、それぞれ酸化アルミニウム製および炭化珪素製のペレットとしているが、かかる材料の組み合わせに限定されず、酸化アルミニウム製と炭化ホウ素製、炭化珪素製と炭化ホウ素製の各組み合わせとしても良い。また、第1大ペレット1aをセラミックス製のペレット、第1小ペレット1bを金属製のペレットとしたり、その逆の組み合わせとしても良い。また、第1大ペレット1aと第1小ペレット1bとを同じ材料で構成するようにしても良い。
【0025】
また、充填材2としては、例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を採用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリブチレンテレフタレート(GF−PBT)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、ウレタン樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
【0026】
充填材2の硬化後の柔軟性を保持できるための理想的な数値は、硬度90〜95(測定法:ASTM D−2240)、伸び380〜420%(測定法:ASTM D―412)、引張強度2700〜3000psi(測定法:ASTM D―412)、吸水率1.6%(測定法:ASTM D−570)である。
【0027】
第1ペレット1同士の隙間は、広狭いろいろあるが、最も広い隙間tが5mm以下となるようにしている。このため、5mm以上の直径を持つ飛散物は、必ず第1ペレット1に接触する。直径5mm以上の飛散物は、保護対象が人間の場合、特に与えるダメージが大きくなる。飛散物が銃弾の場合、その直径が5mm以上になると、人間の体を貫通するか否かを問わず、体内で組織を大きく破壊するので、これを有効に防止する必要がある。
【0028】
図2は、第1ペレット1を、飛散物の衝突する面からその対向面に向かって縦に切断して見た断面図を示す図である。
【0029】
第1ペレット1は、図2に示すように、円柱側面3と、実質的に平面形状の底面4と、円柱側面3の直径よりもわずかに小さい直径を持ち外方向に突出する曲面形状の天面5とを有している。天面5の外周は平面となり、その平面から円柱側面3へと略直角につながっている。すなわち、天面5と円柱側面3との間には、略直角のエッジ6が形成されている。このエッジ6は、後述するように、第一ペレット1同士の隙間に飛散物が入り込んできた際に、飛散物の運動エネルギーを大きく低減する機能を有している。
【0030】
また、円柱側面3と底面4との間には、アールをつけた曲部7が形成されている。底面4から円柱側面3に向かって曲部7が形成されていると、飛散物が天面5の中央からそれた位置に衝突した場合、第1ペレット1の重心を円柱側面3から底面4と平行に貫いた軸を中心に回転させやすくなる。すなわち、飛散物の運動エネルギーの一部を第1ペレット1の回転エネルギーに変えることができる。さらに、天面5が外方向に突出する曲面形状であるため、飛散物の衝撃を天面5でまともに受ける確率が低くなる。
【0031】
図3は、第1ペレット1同士の隙間に飛散物10が入り込むように、飛散物10がペレット防護体に衝突した状況を示す図である。なお、「飛散物」の符号は、図3およびそれに基づく説明においてのみ用いられるものとする。
【0032】
飛散物10が高速で進む場合、一般的には回転しながら進むことが多い。図3に示すように、飛散物10がR方向に自転しながら第1ペレット1の隙間に入り込むようにペレット防護体に衝突すると、第1ペレット1のエッジ6が飛散物10に食い込む。さらに、飛散物10が進行すると、エッジ6が飛散物10の周囲をネジ切るように機能する。このため、飛散物10の先端部分が切断されて重量が減少する。この結果、飛散物10の運動エネルギーの一部が減少し、飛散物10がペレット防護体を貫通する可能性が低くなる。
【0033】
図4は、第1ペレット1に飛散物が衝突した際に、その第1ペレット1が回転する様子を示す図である。
【0034】
飛散物が第1ペレット1の天面5の中央以外の箇所に、矢印Xで示すように衝突すると、曲部7近傍の底面4への圧力が増し、第1ペレット1は、曲部7で滑りつつ、円柱側面3から底面4と平行に重心を貫く軸を中心に回転する(回転する様子は、矢印Yで示す)。このため、飛散物のエネルギーは、衝突した第1ペレット1からその周囲に存在する第1ペレット1に分散されるとともに、衝突した第1ペレット1自体の回転に消費される。したがって、飛散物がペレット防護体を貫通する危険性を低減できる。
【0035】
図5は、第1ペレット1を備えたペレット防護体を示す図であり、(5A)はペレット防護体の側面方向から見た一部透過図であり、(5B)はペレット防護体の一部に飛散物の衝突による衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【0036】
第1の実施の形態にかかるペレット防護体は、(5A)に示すように、プレート8と、その上に並べられた複数の第1ペレット1と、各第1ペレット1間を埋める充填材2とを備えている。プレート8は、金属(合金も含まれる。)製の板である。この場合、第1ペレット1とプレート8との接触部分が平面になるようにしている。(5B)に示すように、衝撃Fが与えられた第1ペレット1が破壊されながら(バツ印付きの第1ペレット1が一部あるいは全部が破壊された第1ペレット1である)、プレート8の方向に押し込まれる。すると、プレート8は、第1ペレット1の底面部分が第1ペレット1との接触を維持しながらへこむ。これによって、第1ペレット1同士が玉突き現象を起こすのを緩和することができる。この時、プレート8には、第1ペレット1の直径に比例した大きさの変形8aが生じる。
【0037】
また、先に説明したように、第1ペレット1の底面4が実質的に平面であるため、飛散物の衝撃Fを第1ペレット1からその直下のプレート8に広い面積で伝えることができる。したがって、プレート4が破壊される確率を低くすることができる。さらに、プレート8が第1ペレット1を載置する側と反対側にへこみにくくなる。第1ペレット1がプレート8上で自転しやすくなる。したがって、飛散物の運動エネルギーの一部を第1ペレット1の自転に消費するようにできる。
【0038】
次に、第1ペレット1の変形例について説明する。
【0039】
図6は、第1の実施の形態に係るペレット防護体を構成する複数の第1ペレット1のセッティング状態を飛散物の衝撃を受ける方向から見た図であり、(6A)は第1大ペレット1aと第1小ペレット1bが同じ形状で直径のみが異なるように第1ペレット1を構成したペレット防護体を示し、(6B)は第1大ペレット1aと第1小ペレット1bが形状も直径も異なるように第1ペレット1を構成したペレット防護体を示す図である。
【0040】
(6A)に示すように、第1大ペレット1aも第1小ペレット1bも、ともに、円柱側面3に略半円形の底面を有する半円柱形状の凸部12を6個ずつ備えている。この場合、第1ペレット1同士は、凸部12と第1ペレット1の円柱側面3、および凸部12同士で線接触することになる。凸部12が第1ペレット1の円柱側面3で接触すると、当該第1ペレット1に加えられた衝撃の内の横方向に伝達する分は、12個の接触部分に分配されて周囲に広がる。したがって、第1ペレット1の破壊領域をより小さくすることができる。
【0041】
また、(6B)に示すように、第1大ペレット1aのみに半円柱形状の凸部12を備え、第1小ペレット1bに凸部12を備えないようにしても良い。この場合にも、第1ペレット1同士は、凸部12と第1ペレット1の円柱側面3、凸部12同士で線接触することになる。第1小ペレット1bには凸部12を備えていないので、第1大ペレット1aに比べると、外部から衝撃が加わったときに自転しやすい。したがって、(6A)に示すペレット防護体と比較して、外部からの飛散物による衝撃を周囲に分散させて伝播させるよりも、飛散物の運動エネルギーを第1ペレット1の回転に消費させる割合が大きくなる。
【0042】
なお、この実施の形態では、凸部12は、半円形状の底面を有する半円柱であるが、半円形に限定されず、半円よりも角度を小さくあるいは大きくした両底面を有する柱形状の凸部を採用しても良い。その場合、各第1ペレット1同士の接触部分の数は、12より減ったり、第1ペレット1毎に異なることもある。しかし、接触部分の数が6〜12の範囲にあるので、衝撃の伝達を分散させて、もって破壊領域を小さくする効果が得られる。
【0043】
次に、第1の実施の形態に係るペレット防護体の製造工程につき説明する。
【0044】
図7は、第1の実施の形態にかかるペレット防護体の製造工程を示すフローチャートである。
【0045】
まず、第1ペレット1を製造する(ステップS101)。第1ペレット1は、公知の製法で製造可能である。すなわち、セラミックス製の第1ペレット1の場合には、原料粉末と焼結助剤との混合、混合粉末の顆粒化、顆粒を用いた成形、成形物の焼結という各工程を経て第1ペレット1を製造できる。成形方法には、金型に粉末を充填して加圧するプレス成形の他、原料を口金から押出す押出し成形、熱可塑性のプラスチックを加えて加熱しつつ金型の中に射出して成形する射出成形などがある。また、焼結方法には、常圧焼結、加圧焼結(ホットプレス、HIPなど)がある。また、金属製の第1ペレット1の場合には、金属粉末の成形(上記セラミックスと同様の成形方法を適用可能)とその後の常圧若しくは加圧焼結を経る方法、溶融金属の金型への射出成形と冷却を経る方法などがある。
【0046】
ステップS101に続き、平板または成形型を準備する(ステップS102)。次に、平板または成形型の周囲に枠を配置する(ステップS103)。この枠は、ペレット防護体の厚さと同じ若しくはそれより大きい高さとする。枠と平板または成形型との隙間はできるだけないようにするのが好ましい。枠の材質は特に限定しない。その後の工程に支障のない材質であれば良い。例えば、熱硬化性樹脂を充填材2とする場合には、固化に際して加熱する必要があるので、枠の材質をその加熱に耐えられる材質とするのが好ましい。
【0047】
ステップS103に続き、第1ペレット1を平板または成形型の所定位置に配置する(ステップS104)。第1の実施の形態にかかるペレット防護体の場合、第1ペレット1同士が互いに6箇所で接触するように配置する。第1ペレット1の配置に際して、単に、第1ペレット1を平板または成形型上に置くだけでも、第1ペレット1、または平板若しくは成形型の少なくともいずれか1つの一面に粘着材(両面テープなど)若しくは粘着剤(接着剤など)をつけて第1ペレット1と平板または成形型とを固定するようにしても良い。
【0048】
ステップS104に続き、枠内に充填材2を供給する(ステップS105)。充填材2として熱可塑性樹脂を採用する場合には、加熱された溶融樹脂を枠内に流し込む方法を用いると良い。また、充填材2として熱硬化性樹脂を採用する場合には、硬化前の液状の樹脂を枠内に供給すると良い(2液混合方式を採用するエポキシ樹脂の場合には、2液を混合して供給するのが良い)。また、充填材2として木材を採用する場合には、接着剤を付けたおがくず等を枠内に入れると良い。
【0049】
ステップS105に続き、充填材2の固化を行う(ステップS106)。固化の方法としては、充填材2の固化を所定時間待つ方法、充填材2を固化させるために熱を加える方法などが挙げられる。次に、枠をはずす(ステップS107)。ただし、枠を付けたまま使用することもできる。その場合には、ステップS107の工程を省いても良い。そして、最後に、ステップS107の工程を経て得られたものを、接着剤またはベルクロ等でプレート8(または構造体)に装着する(ステップS108)。なお、上記の製造工程以外の製法として、上方を開放した状態の容器に、互いに6箇所で接触するように第1ペレット1を横向きで敷き詰めて、充填材2を容器の上方から供給して固化させても良い。
【0050】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係るペレット防護体の第2の実施の形態について説明する。
【0051】
図8は、第2の実施の形態に係るペレット防護体を構成する第2ペレット21における、飛散物の衝突する側の天面からそれと対向する底面に向かう方向に縦に切断した断面を示す図である。
【0052】
第2ペレット21は、図8に示すように、円柱側面22と、実質的に平面形状の底面23と、外方向に突出する曲面形状の天面24とを有している。円柱側面22と底面23との間には、アールをつけた曲部25が形成されている。底面23から円柱側面22に向かって曲部25が形成されていると、飛散物が天面24の中央からそれた位置に衝突した場合、第2ペレット21の重心を円柱側面22から底面23と平行に貫いた軸(回転軸という)を中心に回転させやすくなる。すなわち、飛散物の運動エネルギーの一部を第2ペレット21の回転エネルギーに変えることができる。さらに、天面24が外方向に突出する曲面形状であるため、飛散物の衝撃を天面24でまともに受ける確率が低くなる。
【0053】
また、円柱側面22と天面24との間にも、アールをつけた曲部26が形成されている。曲部26が形成されていると、飛散物が天面24の中央からそれた位置に衝突した場合に、第2ペレット21が先述の回転軸を中心に回転しやすくなる。すなわち、曲部25のみならず、曲部26も形成されていると、第2ペレット21が全体的に丸みをおびた形状となるので、外部からの飛散物の衝突時に、回転しやすくなる。さらに、曲部25および曲部26を設けることによって、製造時に第2ペレット21同士が衝突し、一部が欠けたり、あるいは第2ペレット21が割れたりすることを防止できる。
【0054】
この実施の形態では、円柱径Dを200.038mm、曲部25から曲部26までの円柱側面22の略垂直部分の長さMを95.003mm、天面24と底面23との間の距離(高さ)Hを172.44mm、曲部25の曲率をR35mm、曲部26の曲率をR30mm、天面24の曲率をR280.36mmとしている。ただし、かかる寸法は一例に過ぎず、これと異なる寸法を採用しても良い。例えば、曲部25、曲部26および天面24の各曲率を、もっと大きくしたり、逆に小さくするようにしても良い。また、円柱径D、長さMおよび高さHを、上記寸法より大きくしたり、逆に小さくしても良い。
【0055】
第2ペレット21は、セラミックス、金属(合金も含まれる)、エンジニアリングプラスチック、木材等、いかなる材料で構成されたものでも良いが、強度に優れるセラミックスあるいは金属製の方が好ましい。セラミックス材料、金属材料の種類については、第1の実施の形態で説明した内容と共通するので、その説明を省略する。また、この実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、第2大ペレットおよび第2小ペレットから第2ペレット21を構成している。その充填状態は、図1に示す状態と共通するので、その説明を省略する。ただし、第2ペレット21を全て同じ大きさのペレットとしても良い。
【0056】
この実施の形態において、第2大ペレットと第2小ペレットは、それぞれ酸化アルミニウム製および炭化珪素製のペレットとしているが、かかる材料の組み合わせに限定されず、酸化アルミニウム製と炭化ホウ素製、炭化珪素製と炭化ホウ素製の各組み合わせとしても良い。これらの材料の組み合わせについても、第1の実施の形態にて説明した内容と同様である。また、第2ペレット21間に充填される充填材2としては、例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を採用できる。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の例示は、第1の実施の形態にて説明した内容と共通するので、その説明を省略する。
【0057】
図9は、第2ペレット21に飛散物が衝突した際に、その第2ペレット21が回転する様子を示す図である。
【0058】
飛散物が第2ペレット21の天面24の中央以外の箇所に、矢印Xで示すように衝突すると、曲部25近傍の底面23への圧力が増し、第2ペレット21は、曲部25で滑りつつ、円柱側面22から底面23と平行に重心を貫く軸を中心に回転する(回転する様子は、矢印Yで示す)。このため、飛散物のエネルギーは、衝突した第2ペレット21からその周囲に存在する第2ペレット21に分散されるとともに、衝突した第2ペレット21自体の回転に消費される。したがって、飛散物がペレット防護体を貫通する危険性を低減できる。
【0059】
図10は、第2ペレット21を備えたペレット防護体を示す図であり、(10A)はペレット防護体の側面方向から見た一部透過図であり、(10B)はペレット防護体の一部に飛散物の衝突による衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。図10では、簡略化のため、第2ペレット21の大きさを同一に表している。
【0060】
第2の実施の形態にかかるペレット防護体は、(10A)に示すように、プレート28と、その上に並べられた複数の第2ペレット21と、各第2ペレット21間を埋める充填材2とを備えている。プレート28は、金属(合金も含まれる。)製の板である。この場合、第2ペレット21とプレート28との接触部分が平面になるようにしている。(10B)に示すように、衝撃Fがペレット防護体に与えられると、第2ペレット21が破壊されながら(バツ印付きの第2ペレット21が一部あるいは全部が破壊された第2ペレット21である)、プレート28の方向に押し込まれる。すると、プレート28は、第2ペレット21の底面部分が第2ペレット21との接触を維持しながらへこむ。これによって、第2ペレット21同士が玉突き現象を起こすのを緩和することができる。この時、プレート28には、第2ペレット21の直径に比例した大きさの変形28aが生じる。
【0061】
第2ペレット21の底面23が実質的に平面であるため、飛散物の衝撃Fを第2ペレット21からその直下のプレート28に広い面積で伝えることができる。したがって、プレート28が破壊される確率を低くすることができる。さらに、プレート28が第2ペレット21を載置する側と反対側にへこみにくいので、第2ペレット21がプレート28上で自転しやすくなる。したがって、飛散物の運動エネルギーの一部を第2ペレット21の自転に消費するようにできる。さらに、天面24と円柱側面22との間に曲部26を形成しているので、第2ペレット21は回転しやすくなる。
【0062】
図11は、第2ペレット21を充填した層の上に、第1の実施の形態にて説明した第1ペレット1を充填した層を重ねたペレット防護体を示す図である。
【0063】
このような構成を採用すると、飛散物は、まず、第1ペレット1を充填した層に衝突する。飛散物が第1ペレット1同士の隙間に入ると、飛散物は、第1ペレット1のエッジ6で一部をねじ切られ、第1ペレット1を回転させ、さらには周囲の第1ペレット1にも衝撃を伝播させながら、運動エネルギーを消耗し、それでも運動エネルギーが大きい場合には第2ペレット21の層に突入する。
【0064】
第2ペレット21の層に突入した飛散物は、第2ペレット21の回転と衝突した第2ペレット21の周囲にある第2ペレット21への衝撃の分散にエネルギーを消費する。その結果、飛散物がプレート28を突き破って、保護対象に到達する確率はきわめて低くなる。
【0065】
なお、ペレット防護体を重ねる段数は3段以上でも良い。重ねる段数が多くなると、飛散物がペレット防護体を貫通する危険性を低減できる一方で、ペレット防護体の重量が増す。したがって、用途に応じて段数を決めるのが良い。
【0066】
次に、本発明の他の実施の形態に係るペレット防護体ついて、図面を参照しながら説明する。
【0067】
図12は、他の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレット41のセッティング状態を、飛散物の衝突を受ける方向から見た図である。
【0068】
図12に示すように、ペレット41は、周囲のペレット41と6点で接触する状態で配置されている。また、ペレット41同士の隙間は、ペレット41よりも低硬度の充填材42で満たされている。ペレット防護体を複数のペレット41から構成したのは、ペレット防護体全体の破壊を防ぎ、破壊箇所のみを容易に修復できるようにするためである。
【0069】
ペレット防護体を構成するペレット41は、セラミックス、金属、エンジニアリングプラスチック、木材等、いかなる材料で構成されたものでも良いが、強度に優れるセラミックスあるいは金属製の方が好ましい。ペレット41の材料は、先の実施の形態で説明した第1ペレット1と同様なので、その説明を省略する。
【0070】
また、充填材42としては、例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を採用できる。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の例は、先の実施の形態で説明した充填材2の材料と同様なので、その説明を省略する。充填材42の硬化後の柔軟性を保持できるための理想的な数値は、硬度90〜95(測定法:ASTM D−2240)、伸び380〜420%(測定法:ASTM D―412)、引張強度2700〜3000psi(測定法:ASTM D―412)、吸水率1.6%(測定法:ASTM D−570)である。
【0071】
図13は、代表的なペレット41をその側面方向から見た形態を示す図である。
【0072】
ペレット41の形状としては、(13A)に示すような球形状、(13B)および(13C)に示すような実質的に円柱形状のいずれをも採用可能である。ペレット41の形状を球形状とした場合には、各ペレット41同士は点接触となる。一方、ペレット41の形状を実質的に円柱形状とした場合には、各ペレット41同士は線接触となる。円柱形状のペレット41の上下いずれか一方の面は凸にしている。ペレット41の凸面が並ぶ面をペレット防護体における飛散物の衝撃を受ける面とすることにより、飛散物の運動エネルギーを、激突したペレットのみならず、そのペレットの周囲にそらすことが期待できるからである。なお、凸面を1つのみ持つペレット41(13B)および凸面を2つ持つペレット(13C)を使い分ける基準の一つについては後述する。
【0073】
図14は、ペレット41の凸面に弾丸等の飛散物が当たったときに周囲に伝達する力を図示したものである。(14A)は、ペレット41の凸面側、すなわちペレット防護体の表面から見た状況を、(14B)はペレット41の側面方向から見た状況を、それぞれ示す。
【0074】
ペレット41の1つ(紙面の最上部のペレット41)の凸面に弾丸等の衝撃Fが加わると、一部は、凸面と対向する面に向かって伝わる。また、衝撃Fの一部は充填材42により緩和され、残りは、白抜き矢印で示すように、そのペレット41と接する接線を介して隣接する周囲のペレット41にも伝わる。隣接するペレット41に伝達された衝撃は、さらにこれと接する接線を介して周囲のペレット41に伝達される。ペレット41同士の接線では、互いに伝達される力が打ち消しあう場合もある。こうして、1つのペレット41に加わった衝撃Fの一部は、周囲のペレット41と接する部分の数だけ分散されて周囲のペレット41に伝達されるので、衝撃は広範囲に伝わらず、限られた領域内におさまる。
【0075】
図15は、ペレット41とは異なる本発明外のペレット43から構成されるペレット防護体に衝撃Fが加わったときの衝撃の伝達状況を示す図である。
【0076】
六角面を上下両面に持つ柱状のペレット43を互いに面接触するように配置すると、ペレット43の1つ(図中の左下方のペレット3)に衝撃Fが加わった際に、衝撃Fの一部は、接触面を介して周囲のペレット43に伝達する。しかし、互いにペレット43の面だけで接触していると、衝撃の伝達は方向性を持ち、ペレット43の破壊が広範囲に及ぶ確率が高くなる。すなわち、図中の白抜き矢印の方向に伝播する一方で、運動エネルギーの大部分は、斜線の矢印の方向へと直進していき、破壊される領域が拡大する確率が高くなる。なお、ペレット43同士の隙間を充填材で埋める構造も考えられる。しかし、周囲のペレット43への運動エネルギーの伝播よりも、衝撃が加えられたペレット43のみに集中しやすくなり、ペレット防護体を貫通する危険性が高くなってしまう。したがって、ペレット43同士を面接触させても、またペレット43同士の隙間に充填材を存在させても、ペレット防護体の性能としては劣る。
【0077】
図16は、底面の1つが凸形状で、もう1つが平面であるペレット41を備えたペレット防護体を示す図である。(16A)はペレット防護体の断面方向から見た一部透過図であり、(16B)は1つのペレット41の部分を拡大して示す図であり、(16C)は一部に衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【0078】
ペレット防護体は、(16A)に示すように、プレート44と、その上に並べられた複数のペレット41と、各ペレット41間を埋める充填材42とを備えている。プレート44は、金属(合金も含まれる。)製の板である。この場合には、ペレット41とプレート44との接触部分を平面にした方が良い。衝撃Fが与えられたペレット41が破壊されながらプレート44の方向に押し込まれると、プレート44は、ペレット41の底面部分がペレット41との接触を維持しながらへこむ。これによって、ペレット41同士が玉突き現象を起こすのを緩和することができるからである。この時、プレート44には、ペレット41の直径に比例した大きさの変形44aが生じる。
【0079】
図17は、両底面が凸形状のペレット41を備えたペレット防護体を示す図である。(17A)はペレット防護体の断面方向から見た一部透過図であり、(17B)は1つのペレット41の部分を拡大して示す図であり、(17C)は一部に衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【0080】
図17に示すペレット防護体のプレート44は、樹脂製の板である。この場合には、ペレット41とプレート44との接触部分を曲面にした方が良い。衝撃Fが与えられたペレット41が破壊されながらプレート44の方向に押し込まれると、プレート44は、図中下方に半球形状にへこむ。ペレット41の接触面も凸形状なので、ペレット41とプレート44との接触を維持でき、これによって、ペレット41同士が玉突き現象を起こすのを緩和することができるからである。この時、プレート44には、ペレット41の直径に比例した大きさの変形44aが生じる。
【0081】
次に、ペレット防護体の別の実施の形態について説明する。
【0082】
図18は、別の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレット50のセッティング状態を、飛散物の衝撃を受ける方向から見た図(18A)およびペレット50の斜視図(18B)である。
【0083】
(18B)に示すように、円柱の側面に凸部50aを配設したペレット50を複数備えたペレット防護体を採用することもできる。この場合、ペレット50同士は、凸部50aとペレット50側面とで線接触することになる。全ての凸部50aがペレット50の側面で接触すると、当該ペレット50に加えられた衝撃の内の横方向に伝達する分は、12個の接触部分に分配されて周囲に広がる。したがって、ペレット50の破壊領域をより小さくすることができる。
【0084】
この実施の形態では、凸部50aは、半円形状の底面を有する半円柱であるが、半円に限定されず、半円よりも角度を小さくあるいは大きくした両底面を有する柱形状の凸部を採用しても良い。その場合、各ペレット50同士の接触部分の数は、12より減ったり、ペレット50毎に異なることもある。しかし、接触部分の数が6〜12の範囲にあるので、衝撃の伝達を分散させて、もって破壊領域を小さくする効果が得られる。
【0085】
次に、ペレット防護体のさらなる別の実施の形態について説明する。
【0086】
図19は、別の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレット60のセッティング状態を、飛散物の衝撃を受ける方向から見た図である。
【0087】
このペレット防護体は、実質的に円柱形状のペレット60の間に、小ペレット61が介在する構成を有している。なお、ペレット60と小ペレット61以外の部分には、充填材62が存在する。この実施の形態の場合、各ペレット60は、小ペレット61同士の12個の接触線(若しくは接触点)を介して、他のペレット60に隣接している。このため、衝撃の伝達を分散させて、もって破壊領域を小さくする効果が得られる。なお、小ペレット61の数をもっと少なくして、小ペレット61同士ではなく、小ペレット61とペレット60とが接触するようにしても良い。
【0088】
図20は、ペレット60同士の隙間に介在する小ペレット61のバリエイションを示す図である。
【0089】
ここでは、ペレット60を上下両面が凸形状のペレットである例で説明するが、一方の面だけが凸形状のペレットでも同様である。小ペレット61は、図20の左下方に示すような上下両面が凸形状のもの、あるいは真ん中下方に示す上下両面が平面のものでも良い。さらには、図示はしないが、上下のいずれか一方の面のみが凸形状のもの、あるいは上下の少なくとも一方の面が凹形状のものでも良い。また、図20の右下方に示すような小球61aから構成される小ペレット61を採用しても良い。小球61aをペレット60の厚さ方向に積み重ねた場合、ペレット60と小ペレット61との接触は、点接触となる。しかも、その接触部分の数は、ペレット60と接触する小ペレット61の数と小ペレット61を構成する小球61aの数とを掛けた総数となる。したがって、ペレット60に加えられた衝撃をより分散させることができ、もって破壊領域をより小さくする効果が得られる。
【0090】
図12から図20の各図面に基づいて説明した各実施の形態に係るペレット防護体の製造工程は、第1の実施の形態に係るペレット防護体と同様の製造工程を経て製造されるので、その説明を省略する。また、図12から図20の各図面に基づいて説明した各実施の形態に係るペレット防護体も、図11に示すような複数層を有するペレット防護体とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、戦闘車両(戦車、装甲車、砲車など)、船舶(艦船、艦艇、警備艇、貨物船など)、航空機(固定翼機、回転翼機など)、警備用車両、現金輸送車(耐弾装甲板)などの特殊車両、一般乗用車における付加装甲材(A)、高速回転体(発電機、ジェットエンジンなどのタービン回転部)からの高速回転部分の破片による周辺機器(制御機器、配管など)の損傷を防止するための防護板(B)、防弾チョッキの付加防弾板、爆発物収納場所の内張り(C)、ボイラー、反応釜などの高圧容器などの破損による周辺機器(制御機器、配管など)の損傷を防止する防護板(D)等を製造および使用する産業において実施可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数の第1ペレットのセッティング状態を、飛散物または銃弾の衝突を受ける面の方向から見た図である。
【図2】図1に示す第1ペレットを、飛散物の衝突する面からその対向面に向かって切断して見た断面図を示す図である。
【図3】図2に示す第1ペレット同士の隙間に飛散物が入り込むように、飛散物がペレット防護体に衝突した状況を示す図である。
【図4】図2に示す第1ペレットに飛散物が衝突した際に、その第1ペレットが回転する様子を示す図である。
【図5】図2に示す第1ペレットを複数備えたペレット防護体を示す図であり、(5A)はペレット防護体の側面方向から見た一部透過図であり、(5B)はペレット防護体の一部に飛散物の衝突による衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るペレット防護体を構成する複数の第1ペレットのセッティング状態を飛散物の衝撃を受ける方向から見た図であり、(6A)は第1大ペレットと第1小ペレットが同じ形状で直径のみが異なるように第1ペレットを構成したペレット防護体を示し、(6B)は第1大ペレットと第1小ペレットが形状も直径も異なるように第1ペレットを構成したペレット防護体を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態にかかるペレット防護体の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るペレット防護体を構成する第2ペレットにおける、飛散物の衝突する側の天面からそれと対向する底面に向かう方向に切断した断面を示す図である。
【図9】図8に示す第2ペレットに飛散物が衝突した際に、その第2ペレットが回転する様子を示す図である。
【図10】図8に示す第2ペレットを複数備えたペレット防護体を示す図であり、(10A)はペレット防護体の側面方向から見た一部透過図であり、(10B)はペレット防護体の一部に飛散物の衝突による衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【図11】図8に示す第2ペレットを充填した層の上に、第1の実施の形態にて説明した第1ペレットを充填した層を重ねたペレット防護体を示す図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレットのセッティング状態を、飛散物の衝突を受ける方向から見た図である。
【図13】図12に示すペレット防護体を構成している代表的なペレットをその側面方向から見た形態を示す図である。
【図14】図13に示すペレットの凸面に弾丸等の飛散物が当たったときに周囲に伝達する力を図示したものであり、(14A)は、ペレットの凸面側、すなわちペレット防護体の表面から見た状況を、(14B)はペレットの側面、すなわち、ペレット防護体の断面方向から見た状況を、それぞれ示す。
【図15】図13に示すペレットとは異なる本発明外のペレットから構成されるペレット防護体に衝撃Fが加わったときの衝撃の伝達状況を示す図である。
【図16】図12に示すペレット防護体を構成しているペレットであって、底面の1つが凸形状で、もう1つが平面であるペレットを備えたペレット防護体を示す図であり、(16A)はペレット防護体の断面方向から見た一部透過図であり、(16B)は1つのペレットの部分を拡大して示す図であり、(16C)は一部に衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【図17】図12に示すペレット防護体を構成しているペレットであって、両底面が凸形状のペレットを備えたペレット防護体を示す図であり、(17A)はペレット防護体の断面方向から見た一部透過図であり、(17B)は1つのペレットの部分を拡大して示す図であり、(17C)は一部に衝撃Fが加わったときのペレット防護体の変化を示す図である。
【図18】本発明の別の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレットのセッティング状態を、飛散物の衝撃を受ける方向から見た図(18A)およびペレットの斜視図(18B)である。
【図19】本発明の別の実施の形態にかかるペレット防護体を構成する複数のペレットのセッティング状態を、飛散物の衝撃を受ける板面方向から見た図である。
【図20】図19に示すペレット同士の隙間に介在する小ペレットのバリエイションを示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 第1ペレット
1a 第1大ペレット(第1ペレットの一部)
1b 第1小ペレット(第1ペレットの一部)
2 充填材
3 円柱側面
4 底面
5 天面
6 エッジ
7 曲部
8 プレート
10 飛散物
12 凸部
21 第2ペレット
22 円柱側面
23 底面
24 天面
25 曲部
26 曲部
28 プレート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に円柱形状の複数個の第1ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、上記第1ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第1ペレット間の隙間を上記第1ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、
上記第1ペレットは、同一種または大小複数種のペレットであって、
上記第1ペレット同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、
上記第1ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間にエッジを有し、かつその側面と底面との間にアールを付けた曲部を有していることを特徴とするペレット防護体。
【請求項2】
前記第1ペレットの側面に凸部を設け、前記第1ペレット同士は、当該凸部同士あるいは当該凸部と当該凸部以外の部位で接触するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のペレット防護体。
【請求項3】
前記第1ペレットは、凸部の数が異なる複数種のペレットであることを特徴とする請求項2に記載のペレット防護体。
【請求項4】
実質的に円柱形状の複数個の第2ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、上記第2ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第2ペレット間の隙間を上記第2ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、
上記第2ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間、およびその側面と底面との間に共にアールを付けた曲部を有すると共に、その底面を実質的に平面とし、その天面を外側に突出する曲面としていることを特徴とするペレット防護体。
【請求項5】
実質的に円柱形状の複数個の第1ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、上記第1ペレットの底面を前記プレートに向けて配設し、各第1ペレット間の隙間を上記第1ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有し、
上記第1ペレットは、同一種または大小複数種のペレットであって、
上記第1ペレット同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、
上記第1ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間にエッジを有し、かつその側面と底面との間にアールを付けた曲部を有している第1ペレット防護体を、
前記第2ペレットの上段に重ねて配置していることを特徴とする請求項4に記載のペレット防護体。
【請求項1】
実質的に円柱形状の複数個の第1ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、上記第1ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第1ペレット間の隙間を上記第1ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、
上記第1ペレットは、同一種または大小複数種のペレットであって、
上記第1ペレット同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、
上記第1ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間にエッジを有し、かつその側面と底面との間にアールを付けた曲部を有していることを特徴とするペレット防護体。
【請求項2】
前記第1ペレットの側面に凸部を設け、前記第1ペレット同士は、当該凸部同士あるいは当該凸部と当該凸部以外の部位で接触するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のペレット防護体。
【請求項3】
前記第1ペレットは、凸部の数が異なる複数種のペレットであることを特徴とする請求項2に記載のペレット防護体。
【請求項4】
実質的に円柱形状の複数個の第2ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、上記第2ペレットの底面をプレートに向けて配設し、各第2ペレット間の隙間を上記第2ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット防護体であって、
上記第2ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間、およびその側面と底面との間に共にアールを付けた曲部を有すると共に、その底面を実質的に平面とし、その天面を外側に突出する曲面としていることを特徴とするペレット防護体。
【請求項5】
実質的に円柱形状の複数個の第1ペレットを互いに点若しくは線で接触する状態で、上記第1ペレットの底面を前記プレートに向けて配設し、各第1ペレット間の隙間を上記第1ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有し、
上記第1ペレットは、同一種または大小複数種のペレットであって、
上記第1ペレット同士の間隔の内で最も広い間隔が5mm以下であり、
上記第1ペレットの全部または一部は、その側面と天面との間にエッジを有し、かつその側面と底面との間にアールを付けた曲部を有している第1ペレット防護体を、
前記第2ペレットの上段に重ねて配置していることを特徴とする請求項4に記載のペレット防護体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−46839(P2007−46839A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231884(P2005−231884)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(505015934)株式会社ケィズ・アロー (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(505015934)株式会社ケィズ・アロー (5)
【Fターム(参考)】
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