説明

ペーシングおよび刺激システム、デバイス、および方法

変動ペーシングおよび刺激のシステム、デバイス、および方法を提供する。一例のデバイスでは、1つもしくは複数のリード集積回路が、1つもしくは複数の変動パラメータをプログラム可能に制御することができる。1つもしくは複数の電極は、電気刺激を提供することができる。各電極は、リード集積回路のうちの少なくとも1つによって個々にアドレス指定可能であり、少なくとも1つの変動パラメータによって制御され得る。電極は、さもなければ電極劣化を持続し、それを引き起こす可能性のある電位を消失させるように、刺激時点の間に当たる時間間隔中に共に意図的に短絡させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年11月13日出願の米国特許出願第61/114,441号の利益を主張し、それは、すべての目的のために参照することによって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して、内科的治療システム、デバイス、および方法に関する。より具体的には、本発明は、ペーシングおよび刺激のためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【0003】
種々の欠陥および状態は、種々の器官系に悪影響を及ぼし得る。これらのシステムは、例えば、循環系、消化器系、内分泌系、免疫系、外皮系、リンパ系、活動系、神経系、生殖器系、呼吸器系、および泌尿器系を含む。
【0004】
例示として、心臓関連の欠陥等の循環系状態は、鬱血心不全(CHF)、致死的な心不整脈等につながり得る。神経系に関する疾患は、慢性および/または急性の痛覚をもたらし得る。一般的な慢性疼痛の訴えとしては、頭痛、下背部疼痛、癌疼痛、関節疼痛、神経原性疼痛、すなわち、末梢神経または中枢神経系への損傷によってもたらされる疼痛、および心因性疼痛、すなわち、過去の疾患、怪我、または神経系の内部もしくは外部の損傷の任意の明らかな兆候によってもたらされない疼痛が挙げられる。泌尿器系の欠陥には、排泄機能、失禁、または衝動等の自己制御力の欠如が挙げられる。
【0005】
そのような症状の治療を提供するために、種々のデバイスを使用することができる。例えば、心臓の伝導系の欠陥を治療するための心臓の電気刺激および/またはペーシングを促進するために、刺激デバイスを使用することができる。そのようなデバイスは、そのような治療を実施するための固定プロセス、配列、プログラム、または同等物に依存し得る。例えば、二心室ペーシングデバイス等のペーシングデバイスは、特定の時期、持続時間、振幅、周波数等を有する、固定パターンの電気パルスを提供し得る。
【0006】
そのような固定パラメータを取り込む治療は、種々の欠陥および症状の最適な治療および管理に好適ではない場合がある。患者は、最初に、そのような治療に反応がよい場合があるが、刺激への度重なる曝露によって生じる反応性の低下、すなわち、習慣性が生じ得る。習慣性は、最終的に治療を無効にし得る。
【0007】
その上、治療が無効になると、そのような治療を実施するために使用されるデバイスは、除去され、交換される必要があり得、外科手術、患者の外傷、長時間の回復時間等をもたらす。加えて、デバイスの除去および交換の影響のうちのいずれかまたはすべては、患者へのリスクを伴って実施され得、根本的な症状または欠陥を悪化させ得、かつさらに患者の治療および進行を妨害し得る。
【0008】
さらに、そのような治療は、意図的に標的としていない組織の領域に電気刺激を送達し、不運な結果、例えば、組織の過剰刺激、調律の崩壊、疼痛反応をもたらす領域の刺激等を引き起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、そのような内科的治療を最適化し、患者の治療結果を改善するためのシステム、デバイス、および方法を有することが望ましく、そのような治療は、継続的かつ持続的な有益な結果を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般に、変動ペーシングおよび刺激の発明の種々の態様は、種々の健康状態に、ペーシングおよび/または刺激治療を提供し、そのような治療は、プログラム可能な変動パラメータ、アルゴリズム、特徴等(以下、「パラメータ」)を取り込む。これらの変動パラメータは、とりわけ、刺激および/またはペーシング領域の焦点、焦点を合わせた領域のエネルギー強度の調整、習慣性を軽減するための自動調整、および活動または睡眠等の他の感知されたパラメータへの自動調節を促進し得る。これらの変動パラメータは、種々の治療を最適化し得、かつ種々の悪影響を回避、除外、または低減し得る。
【0011】
ペーシングの調整または変動の潜在的な臨床値および刺激パラメータは、心臓、疼痛、運動疾患、失禁、胃腸運動性障害、高血圧、睡眠時無呼吸を含む、複数の用途に及ぶ場合がある。種々の態様は、例えば、二電極、多電極アレイ、多電極アレイのアレイ等で、有線または無線形状因子において実施され得る。一般に、本発明は、変動パラメータおよびその組み合わせを提供するために必要な機能性を含む、1つもしくは複数の電極に関連する、1つもしくは複数のモジュラー回路、例えば、リード集積回路(リードIC)を制御するためのデバイス、システム、および方法を含む。
【0012】
ある態様は、体内療法に関してもよく、例えば、埋込型医療デバイスを含んでもよい。本明細書で使用する「埋込型医療デバイス」という用語は、少なくとも部分的に生体上に、少なくとも部分的に生体内に、またはそれらの組み合わせで配置されるように構成されるデバイスを指す。例えば、埋込型医療デバイスは、制御器回路、電源等に通信可能に関連する、種々の電極構成を有するリードを含んでもよい。より具体的に、かつ例示的に、埋込型医療デバイスは、複数のインラインセグメント電極サテライトを有する1つもしくは複数のリードを備えてもよく、各電極は、独立して制御可能であり、複数のセグメント電極サテライトを多重化するための電力/データワイヤでもある。本発明と併用され得るデバイスの種々の構成は、国際公開第WO2004/052182号として公開されたPCT出願第PCT/US2003/039524号、国際公開第WO2006/029090号として公開されたPCT出願第PCT/US2005/031559号、国際公開第WO2006/069322号として公開されたPCT出願第PCT/US2005/046811号、国際公開第WO2006/069323号として公開されたPCT出願第PCT/US2005/046815号、国際公開第WO2007/075974号として公開されたPCT出願第PCT/US2006/048944号、およびUS2008−0114230 A1号として公開された米国出願第11/939,524号に記載/開示される。上記出願のそれぞれは、その全体が参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0013】
上記の構成が例示目的のみであること、および種々の他の構成要素および構成が可能であることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ヒトの対象の神経系の脊柱の一部分に対する、変動ペーシングおよび刺激デバイスの例示的設置を例示する。
【図2】ヒトの対象の神経系の脊柱の一部分に対する、図1の変動ペーシングおよび刺激デバイスの例示的リード線部分を例示する。
【図3】図2のリード線部分の例示的セグメント電極サテライトを例示する。
【図4】変動ペーシングおよび刺激デバイスの例示的アレイ構造を例示する。
【図5】第1の非遮蔽型両極性の二相性ペーシング結果を例示する。
【図6】第2の非遮蔽型両極性の二相性ペーシング結果を例示する。
【図7】変動ペーシング刺激デバイス、システム、および方法に関連する、第1の遮蔽型両極性の二相性ペーシング結果を例示する。
【図8】阻止コンデンサを使用する、駆動電極の従来技術の方法を示す。
【図9】「短絡」方法の第1の実施形態を示す。
【図10】「短絡」方法の第2の実施形態を示す。
【図11】図3のサテライトを概略図で示す。
【図12】図11のサテライトのチップ403を概略的に詳細に示す。
【図13】「短絡」方法の第3の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、ヒトの対象の神経系の脊柱102の一部分に対する、変動ペーシングおよび刺激デバイス100の例示的定置を例示する。変動ペーシングおよび刺激デバイス100は、種々の構成の電極、例えば、セグメント電極サテライト104の変数を含み得、種々の構成要素と通信している、例えば、無線または有線の電気通信している場合がある。そのような構成要素は、例えば、単一リード接続機等のリード接続機110を介して、セグメント電極サテライト104を、例えば、埋込型再充電可能な充電器等の電源108に通信可能に接続するためのネットワーク接続機106を含み得る。
【0016】
図2は、ヒトの対象の神経系の脊柱100の一部分に対する、図1の変動ペーシングおよび刺激デバイス100の例示的リード200部分を例示する。リード200は、例えば、複数の分割、例えば、4分割電極212、214、216、および218のそれぞれを有する、1つもしくは複数の分割電極202を備え得る。例えば、6分割電極等の他の分割構成が可能である。種々の態様では、各分割電極202は、個々に、すなわち、他の分割電極202と独立して制御され、分割電極202が直接接続される(図3に示すように)ICによって直接制御可能である。電源/データワイヤS1およびS2等の通信媒体は、リード線200への/からの/内、例えば、電源、コントローラ回路等に、およびそこからの全般的な電源およびデータ通信を促進する。
【0017】
図3は、図2のリード線200部分の例示的セグメント電極サテライト202を例示する。セグメント電極サテライト202は、例えば、複数のセグメント、例えば、2セグメント、3セグメント、4セグメント等を含み得る。セグメント電極サテライト202は、IC403と細長い伝導性部材405および407との間の接続を含む。
【0018】
IC403は、四分割電極409A、409B、409C、および409Dに取付けられる。四分割電極409A、409B、409C、および409Dは、PEEK材料413でともに接合される。
【0019】
図11は、図3のサテライトを概略図で示す。1つもしくは複数のサテライト202は、リード200の長さに沿って分布される(図2)。各サテライトは、導体S1およびS2から電力を得、かつ制御信号を受信するチップ403を有する。
【0020】
図12は、チップ403を概略的に詳細に示す。ブロック455は、S1およびS2から電力を引き出し、電力を他のブロックに提供する。ブロック454は、S1およびS2からクロックおよびデータを得、マイクロコントローラに類似するコンピュータ機能を提供するコア453にデータを伝送する。コア453は、順に、ライン451のうちの一方または他方を、ラインS1およびS2に選択的に接続するスイッチングファブリック452を制御する。ライン451は、順に、電極409A、409B、409C、409Dに接続する。
【0021】
下記により詳細に説明するように、スイッチングファブリック452は、順に、ラインS1およびS2上の刺激信号を調整する回路を任意に含むことができる。例えば、ラインS1は、ラインS2に対する、いくつかのDS電位を提供し得る。ラインS2は、電極に接続される場合があり、したがって、接地または中立電位を確定する、または遮蔽電位を確定する。そのような場合では、スイッチングファブリック452は、特定の方法のうちのいずれかで、ラインS1を特定の刺激電極に接続することができる可能性がある。接続の1つの方法は、刺激電極に近似正弦波を提供するパルス幅が調整された接続である。または、その接続方法は、いくつかの異なる周波数のうちのいずれかの方形波である場合がある。そのような調整は、単純なオン・オフスイッチで達成され得る。または、スペクトラム拡散変調(配列タイプの変調)、または「オン」と「オフ」との間の中間位置で駆動することが可能なスイッチング半導体を使用するいくつかの他の修正のうちのいずれかが使用され得る。
【0022】
リードIC403は、バスワイヤ、例えば、2つのバスワイヤと、電極、例えば、身体組織と相互作用する1つもしくは複数の電極、サテライト構造の複数の電極、複数の個々の電極等との間の基本的な交差接続機能性を提供し得る。
【0023】
この交差機能性は、電圧変動パラメータ、スペクトラム拡散変動パラメータ(信号は、周波数ドメインに意図的に拡散され、より広い帯域幅を有する信号をもたらし得る)、ペーシング変動パラメータ(パルスが変動するペースで伝送される)、遅延変動パラメータ(右側のパルスと左側のパルスと間の遅延が時間で変動する)、周波数変動パラメータ(信号が周波数で変動する)、間隔変動パラメータ(信号の間の間隔が変動する)、振幅変動パラメータ(信号の振幅が変動する)、成分変動パラメータ(種々の成分が構成される)、状態変動パラメータ(「オン」状態および「オフ」状態が変動する)、阻止変動パラメータ(電極の所定および/または部分が阻止される)、電位変動パラメータ(電圧電位が変動する)、焦点変動パラメータ等から実質的に成る群より選択される、少なくとも1つの変動パラメータを含む。このように、刺激部位は、習慣性反応を回避、除外、または低下するために刺激に関連するプログラム可能な治療の変化を提供しながら、1つもしくは複数の異なる電極を介して標的とされ得る。
【0024】
種々の態様では、変動パラメータは、乱数生成スキーム、擬似乱数生成スキームによって生成され、または種々の他のスキーム、プログラム等によって決定され得る。
【0025】
より具体的には、ある態様では、電圧変動パラメータは、ペーシングパルスを、2つのバスワイヤ、例えば、S1およびS2にわたって存在する電圧から、異なるプログラム可能な電圧に変換するために必要な機能性を含む。
【0026】
電圧変動パラメータは、例えば、ワイヤ全体にわたる電圧と異なる電圧の振幅、組織に伝送される異なるパルスの時期、または両方の組み合わせを含む。ある態様では、振幅および時期は、リードICレベルで制御され得る。1つの構成、例えば、複数、例えば、16個のサテライトを有する神経刺激リード線を含み、各サテライトは、その周縁の回りに円周方向に配列される4つの電極を有し、これらのすべては、2つのワイヤによって、埋込可能なパルス発生器(IPG)に接続される。種々の態様では、変動パラメータは、乱数生成スキームによって生成され得る。乱数生成スキームは、例えば、別個の倫理を使用して乱数を生成するための公開された方法のうちの1つの方法を使用することを含む。変動パラメータは、擬似乱数生成スキームによって生成され得る。擬似乱数生成スキームは、例えば、別個の倫理を使用して擬似乱数を生成するための公開された方法のうちの1つの方法を使用することを含む。
【0027】
種々の他の生成スキームをまた、使用し得る。
【0028】
上述の用途を例示するために、疼痛治療は、同時に、異なる電極から身体に種々の刺激電流を提供することによって促進され得る。リード線200の長さに沿って4つのサテライトM0、M1、M2、およびM3が存在する場合(図2)を考慮する。例えば、サテライトM0およびM1は、1V、100Hzの刺激領域を提供するようにプログラムすることができる一方、サテライトM2およびM3は、2V、1000Hzの刺激領域を提供する。ペーシングパルスが発射される時を説明する変動パラメータ、ペーシングパルスのパルス幅およびペーシングの振幅は、リードIC上に記憶され得る。このリードIC上の回路は、S1およびS2上に生じる電圧を、プログラムされた電圧に変換し、それを、すなわち、阻止変動パラメータを、選択された電極の一部分に伝送し得る。このように、種々の治療は、習慣性を低下させながら向上され得る。
【0029】
用途の一例は、ペーシング速度が、患者の活動速度、例えば、座ったままの活動対極端な活動にしたがって変動する、心臓ペーシング治療を含む。その変動するペーシング速度に基づき、患者の活動の判定は、種々の方法、例えば、有線通信または無線通信を介して回路に通信される、種々のデバイスおよび関連データを介して誘導または確認される。
【0030】
用途の別の例は、疼痛治療を含み、そこでは、刺激された場合に、急性疼痛、疼痛の増加等の逆効果をもたらし得る他の組織領域、例えば、外側線維および後根の刺激を回避しながら、疼痛を隠す/阻止する/緩和するための手段として、1つもしくは複数の電極が脊柱の硬膜外領域内に配置され、かつある組織領域、例えば、脊柱の正中核脊髄後索線維を刺激するために、全電極の種々の電極を介し、かつ種々の刺激パラメータを介して刺激が制御される。
【0031】
さらに例示するために、種々の態様では、1つもしくは複数の電極は、選択的に変動状態、例えば、オンまたはオフ(活性または非活性)等であり得る。リードICは、適切な、例えば、所望の状態を判定するために、電極の動作を制御し得る。構成の一例では、これらの電極は、種々の方法、例えば、ICリードと通信している外部無線リモートコントロールを介して、電源が切られる場合がある。このように、よりよい制御が、従来、磁気共鳴影像法(MRI)等の処置に不適合な環境/処置への曝露中に電極および他の刺激デバイスを用いる時に実施され得る。ある態様では、焦点変動パラメータは、ある標的部位に向かい、かつ他の標的部位から離れる刺激領域に焦点を合わせるおよび/または焦点を再度合わせるために必要な機能を含む。種々の構成は、例えば、電極アレイ上の種々の電圧の使用を含む。電極アレイは、寸法が異なり得る(例えば、2列、4列、20列、30列等)。別個の例は、例えば、2×10のアレイ、4×4のアレイ等を含む。アレイのうちの1つもしくは複数のアレイはまた、例えば、4つの2×アレイ等を意図する。
【0032】
図4は、複数の電極402を有する変動ペーシングおよび刺激デバイスの例示的アレイ構造400を例示する。電極402の一部、例えば、電極402a〜402jは、残りの電極402、例えば、電極402k、402lを囲繞するように構成される。参照しやすいように、残りの電極402を囲繞する電極402の一部は、しばしば、本明細書において電極の「リング404」と称される。これらの囲繞する電極は、種々のトポロジーに従い構成され得ることが理解されるであろう。電極、例えば、電極402a〜402jのリング404は、中立電圧になるようにプログラムされ得る。電極のリング404の内部では、残りの電極、例えば、電極402kおよび402lは、中立電圧に対して、正または負である電圧の間を交代するようにプログラムされ得る。すなわち、電圧変動パラメータを有することができる。
【0033】
例えば、20kHzの5VのAC電圧は、S1およびS2上の阻止コンデンサを通って配置される。これは、リードIC上でDC5VおよびOV電源に変換される。加えて、リードIC上の回路はまた、「中立リング」になるようにプログラムされた電極のリングに接続される、2.5Vの電源に該電圧を変換する。リードIC上のカウンタは、バス上で生じる10kHzの信号に基づき設定される。時期、振幅、デューティサイクル、および活性電極位置パラメータは、リードIC上に記憶される。適切な時間において(リードIC上のカウンタによって決定されるように)、0V電源は、1つもしくは複数の電極に接続され、5Vの電源は、他の電極に接続される。これらの電極は、約1msの間、接続されたままであり(または、パラメータが刺激持続時間を決定するために記憶される間)、次いで、切断され、次いで、全く同一時間の間(カウンタによって決定されるように)反対の電圧源に再接続される。これらの電極上の荷電平衡を達成するために、次いで、これらの電極は両方、2.5Vの電圧源に接続される。このように、刺激は、必要に応じて、標的部位に焦点が合わせられ、複数回、別の場所に再度焦点が合わせられ得る。一例では、刺激は、治療反応領域、例えば、神経系用途において、脊柱の正中核脊髄後索線維に焦点が合わせられ得、逆効果を及ぼし得る領域(例えば、神経系用途において、外側線維および背根)から離れて焦点が合わせられ得る。
【0034】
前述の概念を例示するために、種々の有限要素モデルが試験された。まず、前述の電極のリングを有さない2つのモデル、すなわち、「非遮蔽型」が、第1の非遮蔽型両極性の二相性ペーシングモデルおよび第2の非遮蔽型両極性の二相性ペーシングモデルを使用して、モデル化された。次に、先述の電極のリングを有する4つのモデル(第1の遮蔽型両極性の二相性ペーシングモデル、第2の遮蔽型の両極性で二相性ペーシングモデル、第1の遮蔽型3段階二相性ペーシングモデル、および第2の遮蔽型3段階二相性ペーシングモデル)、すなわち、「遮蔽型」が試験された。結果を、図5〜10に視覚的に例示する。
【0035】
図5は、第1の非遮蔽型両極性二相性ペーシングをモデル化した結果を例示する。0Vが上部電極402kに印加された時、および5Vが下部電極402lに印加された時、上部電極および下部電極の組織部位から比較的遠く離れた組織は、影響を受ける、例えば、2.44Vによって影響を受けた組織を図の上半分(領域471)に示し、2.56Vによって影響を受けた組織を図の下半分(領域472)に示す。このことから、上部電極および下部電極の組織部位への電気刺激の適用は、電極の組織部位に接触しない組織の比較的広い領域に、すなわち、電気刺激が回避されることが好ましい組織の比較的大きい領域に電機刺激をもたらすと結論付けることができる。同様の結果が、この例において「電圧」の代わりに電流を使用することによって得られる可能性に留意されたい。
【0036】
図6は、第2の非遮蔽型両極性二相性ペーシングをモデル化した結果を例示する。見て分かるように、0電圧が上部電極402kに印加された時、および−5Vが下部電極402lに印加された時、上部電極および下部電極の組織部位から比較的遠く離れた組織は、影響を受ける(例えば、−2.44Vによって影響を受けた組織を図の上半分(領域474)に示し、−2.56Vによって影響を受けた組織を図の下半分(領域475)に示す)。このことから、上部電極および下部電極の組織部位への電気刺激の適用は、電極の組織部位に接触しない組織の比較的大きい領域に、すなわち、電気刺激が回避されることが好ましい組織の比較的大きい領域に電気刺激をもたらすと結論付けることができる。
【0037】
図7は、変動ペーシング刺激デバイス、システム、および方法に関連する、第1の遮蔽形両極性二相性ペーシングをモデル化した結果を例示する。見て分かるように、0Vが上部電極402kに印加された時、および5Vが下部電極402lに印加された時、および0電圧が上部電極および下部電極、例えば、図4の電極402a〜402jを囲繞する電極のリング404に印加された時、その上部電極およびその下部電極の組織部位から比較的遠く離れた組織は、電圧によって影響を受けず、例えば、結果は、0Vを受ける組織を図の上半分(領域476)に示し、0Vを受ける組織を、図の下半分(領域477)に示す。このことから、0Vを上部電極および下部電極を囲繞する電極のリングに印加したまま、上部電極および下部電極の組織部位への電気刺激の適用は、電極の組織部位に接触しない組織の比較的大きい領域に電気刺激を事実上もたらさない、すなわち、非標的組織部位(標的部位を囲繞する組織の比較的大きい領域)の電気刺激を回避しながら、標的組織部位は、所望量の電気刺激を受けると結論付けることができる。
【0038】
図7は、変動ペーシング刺激デバイス、システム、および方法に関連する、第2の遮蔽型両極性二相性ペーシングをモデル化した結果の説明を可能にする用語を提供する。0Vが上部電極402kに印加された時、および−5Vが下部電極402lに印加された時、および0Vが電極402a〜402jを囲繞する電極のリング404に印加された時、モデル化された結果は、上部電極および下部電極の組織部位から比較的遠く離れた組織が、電圧によって影響を受けないことであり、たとえば、組織は、図の上半分の0Vを受け、組織は図の下半分の0Vを受ける。このことから、0Vが上部電極および下部電極を囲繞する電極のリングに印加されている間に、上部電極および下部電極の組織部位への電気刺激の適用は、電極の組織部位に接触しない組織の比較的大きい領域に実質的に電気刺激をもたらさない、すなわち、標的組織部位は、非標的組織部位(標的部位を囲繞する組織の比較的大きな領域)の電気刺激が回避されている間、所望量の電気刺激を受けると結論付けることができる。
【0039】
上部電極上の−2.5V、および下部電極上の2.5V、およびシールド電極上の0Vの場合と同様のモデル化は、遠位組織について非常に近い同一の結果、つまり、例えば、領域476および477において、遠位組織上の約0Vのモデル化された結果をもたらす。
【0040】
上部電極上の2.5V、および下部電極上の−2.5V、およびシールド電極上の0Vの場合と同様のモデル化は、遠位組織について非常に近い同一の結果、つまり、例えば、領域476および477において、遠位組織上の約0Vのモデル化された結果をもたらす。
【0041】
今から、刺激技術において異なり得る、対象物を参照すると、変動パラメータの種々の組み合わせが可能である。そのような組み合わせの一例には、焦点変動パラメータおよび電圧変動パラメータが挙げられる。例示する組み合わせの実装の一例は、例えば、電圧変動パラメータを介して、標的部位における刺激強度を増加させること(電圧変動パラメータに関して前述のように)と一緒に、標的部位から離れた刺激の焦点を保証しながら、標的組織部位への刺激に焦点を置くように上部電極および下部電極を遮蔽する電極リング(焦点変動パラメータに関して前述のように)を有する構造に提供される。このように、標的部位の刺激を増大させることによって達成される有益な増加は、非標的周辺組織が増大したレベルの電圧から保護される時のみに達成され得る。
【0042】
本発明の態様は、1つもしくは複数のリード集積回路を有する、1つもしくは複数の変動パラメータをプログラム可能に制御するステップと、1つもしくは複数の電極を介して1つもしくは複数の変動パラメータに基づき電気刺激を生成するステップを含み、各電極は、リード集積回路のうちの少なくとも1つによって、個々にアドレス指定可能である。
【0043】
本発明の別の態様は、1つもしくは複数のリード集積回路であって、各リード集積回路は、1つもしくは複数の変動パラメータをプログラム可能に制御するためのプログラミングモジュールを有する、リード集積回路と、1つもしくは複数の電極であって、各電極は、リード集積回路のうちの少なくとも1つによって個々にアドレス指定可能であり、少なくとも1つの変動パラメータによって制御される、電極とを含む。
【0044】
図8に概略的に示す、駆動電極の1つの従来技術の方法を検討することは、役立つであろう。この方法では、システム580は、コンデンサ583を用いて連結されるドライバ582を有する「カン」581を有する。コンデンサ583は、電極584、585へのDC流量を実質的に阻止し、AC信号またはDCのパルス等の時間変動である信号のみを伝送するように選択される。
【0045】
これから説明される本発明の実施形態を開発する際に役立った1つの洞察は、電極584、585と接触している組織586が、様々な方法でモデル化し得ることに対する理解であり、いくつかの成功を収めることが判明した1つのモデルは、ダイオードのような挙動、またはより一般に非線形挙動を担うモデルである。このモデルでは、システム(コンデンサ583ならびに組織586のモデル化された挙動を含む)は、電極584、585の近傍のわずかではない蓄えられた電位を維持することができる。このモデルの実用的予測(いくつかの実際の結果において実証されると考えられる予測)は、さもなければ生じるかもしれない時期よりも早い電極584、585の劣化(腐食)である。
【0046】
本発明の一実施形態では、「短絡」技術は、ペーシングまたは刺激により生じてしまう可能性のある任意のそのようなわずかではない蓄えられた電位を消失するために用いられる。図9は、その「短絡」技術を用いるシステム592を示す。
【0047】
カン591を見ることができるであろう。カン591は、本発明のこの態様から逸脱することなく、図8のカン581に示すもの等の容量的に連結されたドライバを含む場合がある、または他の種類のドライバを含む場合がある。リード593を、各それぞれのチップ594、595を有する2つのサテライトとともに示す(サテライトの数は、2以上である場合がある)。各チップを、電極596、597を含む、4つの電極とともに示す(電極の数は、本発明から逸脱することなく異なる可能性がある)。例示的な一連の事象では、制御信号は、ライン599を電極596と接続するために、リード593に沿ってカン591から、指示チップ594に伝送される。他の制御信号は、ライン598を電極597に接続するために、リード593に沿ってカン591から支持リード593に伝送される。次いで、ペーシングパルスまたは刺激信号は、カン591によって放出され、電極596および597に伝送される。この信号は、ACである場合がある、またはDCである場合がある。それは、電荷平衡を近似する目的で、1つの電極が他方に対して負に駆動され、その後、他方に対して正に駆動するパルスである場合がある。
【0048】
ペーシングまたは刺激のこれらの場合の種類のうちのいずれかにおける懸念とは、ペーシングまたは刺激が行われた時、残留電位がシステム内に残る場合があることである。本発明に従い、例えば、次いで起きることは、制御信号に電極596をライン598に接続させるために、制御信号が、カン591からチップ594に送信されることである。別の制御信号は、それに電極597をライン598に接続させるために、カン591からチップ595に送信される(恐らく、前回のステップから、チップ595がこれらの要素をともに接続しているであろうことを理解されたい)。
【0049】
この動作の実際の結果とは、電極596および597がともに短絡されることである。目的とは、システム内に残留している可能性のある任意の残留電位のうちのいくつかまたはすべてを消失させることである。これは、電極596および597の寿命を延長することに役立つはずである。
【0050】
このステップの順序を、2つの電極596および597で説明するが、リードに沿って電極のすべてをともに短絡するために有益であり得ることを理解されたい。
【0051】
2線式リード593が最適であると考えられる、多くの用途が存在する一方、本発明の教示は、1線式システムにおいてもそれらの利点を提供する。システム601を示す、図10の例を考慮する。このシステムは、1つのワイヤ608のみを有するリード線を特徴とし、そこでは、制御信号ならびに他の電流のための「帰還路」は、電極605を分離するために組織を通る。これは、チップ606を有するものと同様の別のリード線であり得る、または単純なワイヤコイル605であり得る。刺激が行われた時、チップ606は、電極または対象の電極(電極604等)をライン608に短絡させる。スイッチ603は、ライン608をライン605に短絡させる。このように、残留電位を消失することができる。
【0052】
システム611を示す、図13も考慮する。システム601(図10)のような、このシステムは、1つのワイヤ618のみを有するリード線を特徴とし、そこでは、制御信号ならびに他の電流のための「帰還路」は、組織を通ってカン612の筐体617までである。刺激が行われる時、チップ616は、電極または対象の電極(電極614等)をライン618に短絡させる。スイッチ613は、ライン618を筐体617に短絡させる。このように、残留電位を消失することができる。
【0053】
種々のデューティサイクルのうちのどれも、他の制約または必要性によって(例えば、刺激される身体の臓器または器官系または治療される症状の性質によって)続く場合がある。1つの方法は、刺激を一度実行し、次いで、次の刺激の開始直前まで電極の多くまたは大半をその後短絡させたままにする。異なる方法とは、刺激を一度実行し、次いで、電極の多くまたは大半を短時間短絡させ、その後、電極を、次の刺激の開始直前まで、「浮遊」させることである。
【0054】
そのような「浮遊」時間は、対象の組織内の状態の感知等のデータ収集を促進するように、役立ち得る。
【0055】
直接短絡の代わりに、メガオームの約半分の固定インピーダンスが常に定位置に残される場合があることも意図される。そのようなインピーダンスは、ペーシングまたは刺激パルスに干渉せず、パルス間のデータ収集に干渉しないが、残留電位のいくつかの消失を可能にする場合がある。このインピーダンスは、上述のスイッチングファブリックを構成するスイッチのうちのいくつかまたはすべてにまたがる場合がある。
【0056】
本発明の1つもしくは複数の態様は、種々の方法、またはその種々のステップを実行するために、コンピュータ可読媒体に記憶されるプログラミングを有する、コンピュータ可読媒体の形態であってもよい。このコンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータディスクもしくはCD、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気「ハードカード」、サーバ、または電子的に、磁気的に、光学的に、もしくは他の手段によりデータ等を含有することが可能な、任意の他のコンピュータ可読媒体の形態であってもよい。したがって、本方法を実行するための記憶されたプログラム具現化ステップは、例えば、コンピュータネットワーク、サーバ、または他のインターフェース接続、例えば、インターネット、または他の中継手段により、プロセッサに転送または通信されてもよい。本発明は、説明した特定の側面に限定されないで、そのため、異なることができることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の側面を説明する目的用にすぎず、限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されることを理解されたい。
【0057】
値の範囲が提供される場合、文脈によって別途明示的に示されない限り、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間の各介在値と、その規定範囲内の任意の他の規定値または介在値とが、本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。これらのより小範囲の上限および下限は、独立して、そのより小範囲内に含まれてもよく、また、本発明の範囲内に包含されるが、規定範囲内の任意の具体的に除外される極限の制限を受ける。規定範囲が、極限の一方または両方を含む場合、極限に含まれるそれらの一方または両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0058】
本明細書において、「約」という用語が先行する数値を用いて、ある範囲が示される。本明細書において、「約」という用語は、それが先行する正確な数、ならびに該用語が先行する数に近い、または近似する数に対して厳密なサポートを提供するために使用される。数が具体的に挙げられた数に近い、または近似するかどうかを判断する際に、挙げられていない数に近い、または近似する数は、それが提示される文脈において、具体的に挙げられた数の実質的な同等物を提供するものであってもよい。
【0059】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する当技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一意味を有する。本明細書に説明されるものと類似または同等の任意の方法および材料もまた、本発明の実践または試験で使用可能であるが、本明細書では、代表的な例示方法および材料が説明される。
【0060】
本明細書に引用される刊行物および特許はすべて、まるで各個々の刊行物または特許が、参照することによって組み込まれるように具体的かつ個々に示される、全体として参照することによって本明細書に組み込まれ、方法および/または材料と関連して刊行物が引用される方法および/または材料を開示ならびに説明するように参照することによって本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示のものであって、本発明が、先行発明を理由として、そのような刊行物に先行する権限がないものの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日と異なる場合があって、個別に確認される必要があり得る。
【0061】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別途明確に示されない限り、複数参照を含むことに留意されたい。さらに、請求項は、任意の任意選択要素を除外して草案されてもよいことに留意されたい。したがって、本記述は、請求要素の列挙または「負」の制限の使用と関連する「唯一」、「だけ」等の排他的用語の使用のための先行詞としての役割を果たすことが意図される。
【0062】
本開示の熟読によって明白となるように、本明細書に説明および例示される個々の実施形態はそれぞれ、個別の構成要素および特徴を有し、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離される、またはそれと組み合わせられてもよい。任意の列挙される方法は、列挙される事象の順番または論理的に可能な任意の他の順番で実行可能である。
【0063】
上述の発明は、理解を明確にする目的のために、例示および実施例として、ある程度詳細に説明されたが、添付の請求項の趣旨または範囲から逸脱することなく、ある変更および修正が行われてもよいことは、本発明の教示に照らして、容易に明白である。
【0064】
故に、上述は、本発明の原理を例示するにすぎない。当業者は、本明細書では明示的に説明または図示されないが、本発明の原理を具現化する種々の配列を考案可能であって、それらはその趣旨および範囲内に含まれることを理解されるであろう。さらに、本明細書に列挙される側面および条件的用語はすべて、原則として、発明者らによって貢献される本発明の原理および概念を読者が理解し、本技術分野を促進する際の補助として意図され、そのような具体的に列挙される側面および条件に限定されるものではないものと解釈されたい。さらに、本発明の原理、側面、および実施形態、ならびにその具体的側面を列挙する本明細書における記述はすべて、その構造および機能の両方の均等物を包含するものと意図される。加えて、そのような均等物は、現在周知の均等物および将来開発される均等物、すなわち、構造にかかわらず、同一機能を果たすように開発される任意の要素の両方を含むものと意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示および説明される例示的実施形態に限定されるものとして意図されない。むしろ、本発明の範囲および趣旨は、添付の請求項によって具現化される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つもしくは複数の変動パラメータをプログラム可能に制御するための1つもしくは複数のリード集積回路と、
電気刺激を提供するための1つもしくは複数の電極であって、各電極は、前記リード集積回路のうちのうちの少なくとも1つによって個々にアドレス指定可能であり、少なくとも1つの変動パラメータによって制御される、電極と、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記変動パラメータは、電圧変動パラメータ、スペクトラム拡散変動パラメータ、ペーシング変動パラメータ、遅延変動パラメータ、周波数変動パラメータ、間隔変動パラメータ、振幅変動パラメータ、成分変動パラメータ、状態変動パラメータ、阻止変動パラメータ、電位変動パラメータ、および焦点変動パラメータから本質的に成る群より選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電圧変動パラメータは、1つもしくは複数の電極に関連する、電圧を変化させることを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ペーシング変動パラメータは、電気刺激のペースを擬似乱数的に変化させることを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記状態変動パラメータは、1つもしくは複数の電極を選択的に起動または無効化することを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記成分変動パラメータは、前記リード集積回路による、前記1つもしくは複数の電極の個々のアドレス指定能力を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電極は、セグメント電極サテライトとして構成される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記セグメント電極サテライトは、4セグメント電極および6セグメント電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記電極は、電極アレイに構成される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項10】
前記電極アレイは、複数のアレイのアレイを含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記焦点変動パラメータは、第2の電極群に関連する中立電圧を維持しながら、第1の電極群に関連する正または負の電圧を交互に切り替えることを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項12】
前記1つもしくは複数の変動パラメータのうちの少なくとも1つは、乱数生成スキームおよび擬似乱数生成スキームから成る群より選択されるスキームを介して生成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記1つもしくは複数のリード集積回路に連結されるバスと、
前記バスに接続した電源と、
をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
1つもしくは複数のリード集積回路を用いて1つもしくは複数の変動パラメータをプログラム可能に制御することと、
1つもしくは複数の電極を介して、前記1つもしくは複数の変動パラメータに基づき、各電極が、前記リード集積回路のうちの少なくとも1つによって、個々にアドレス指定可能である、電気刺激を生成することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記変動パラメータは、電圧変動パラメータ、スペクトラム拡散変動パラメータ、ペーシング変動パラメータ、遅延変動パラメータ、周波数変動パラメータ、間隔変動パラメータ、振幅変動パラメータ、成分変動パラメータ、状態変動パラメータ、阻止変動パラメータ、電位変動パラメータ、および焦点変動パラメータから実質的に成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電圧変動パラメータは、1つもしくは複数の電極に関連する電圧を変化させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ペーシング変動パラメータは、電気刺激のペースを擬似乱数的に変化させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記状態変動パラメータは、1つもしくは複数の電極を選択的に起動または無効化することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記成分変動パラメータは、前記リード集積回路による前記1つもしくは複数の電極の個々のアドレス指定能力を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記電極は、セグメント電極サテライトとして構成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記セグメント電極サテライトは、4セグメント電極および6セグメント電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電極は、電極アレイに構成される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記電極アレイは、複数のアレイのアレイを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記焦点変動パラメータは、第2の電極群に関連する中立電圧を維持しながら、第1の電極群に関連する正または負の電圧を交互に切り替えることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記1つもしくは複数の変動パラメータのうちの少なくとも1つは、乱数生成スキームおよび擬似乱数生成スキームから成る群より選択されるスキームを介して生成される、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
1つもしくは複数のリード集積回路であって、各リード集積回路は、
1つもしくは複数の変動パラメータをプログラム可能に制御するためのプログラミングモジュールと、1つもしくは複数の電極とを有し、各電極は、前記リード集積回路のうちの少なくとも1つによって個々にアドレス指定可能であり、少なくとも1つの変動パラメータによって制御される、リード集積回路を備える、システム。
【請求項27】
少なくとも第1および第2のサテライトを長さに沿って有するリード線とともに使用する方法であって、各サテライトは、そこに通信可能に連結される少なくとも2つの電極を有し、前記リードは、前記サテライトに連結される少なくとも1つの導体を有し、前記リード線に沿って、前記サテライトに連結される電極の総数は、前記リード線内の導体の数を超え、前記方法は、
前記リード線に沿って前記サテライトに伝送される制御信号を用いて、前記サテライト内の固体スイッチを閉鎖し、前記少なくとも第1のサテライトにおける少なくとも1つの電極を前記少なくとも1つの導体に短絡させ、同時に、前記少なくとも第2のサテライトにおける少なくとも1つの電極を前記少なくとも1つの導体に短絡させ、それによって、前記少なくとも第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極が、前記少なくとも第2のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極に短絡されるステップと、
前記少なくとも第2のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極への前記少なくとも第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極の前記短絡を中止するステップと、
選択された電極に前記リードに沿って電気刺激を伝送するステップと、
前記選択された電極への前記リードに沿った刺激信号の前記伝送を中止するステップと、
前記リードに沿って前記サテライトに伝送される制御信号を用いて、前記サテライト内の固体スイッチを閉鎖し、前記少なくとも第1のサテライトにおける少なくとも1つの電極を前記少なくとも1つの導体に短絡させ、同時に、前記少なくとも第2のサテライトにおける少なくとも1つの電極を前記少なくとも1つの導体に短絡させ、それによって、前記少なくとも第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極が、前記少なくとも第2のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極に短絡されるステップと、
前記少なくとも第2のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極への、前記少なくとも第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極の前記短絡を中止するステップと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記選択された電極は、前記少なくとも第1のサテライトの前記少なくとも1つの電極と同一である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも第1および第2のサテライトを長さに沿って有するリード線とともに使用する方法であって、各サテライトは、そこに通信可能に連結される少なくとも2つの電極を有し、前記リード線は、前記サテライトに連結される少なくとも1つの導体を有し、前記リードに沿って、前記サテライトに連結される電極の総数は、前記リード線内の導体の数を超え、
前記リード線に沿って前記サテライトに伝送される制御信号を用いて、前記サテライト内の固体スイッチを閉鎖し、前記少なくとも第1のサテライトにおける第1の少なくとも1つの電極を、前記少なくとも第1のサテライトにおける第2の少なくとも1つの電極に短絡させるステップと、
前記少なくとも第1のサテライトにおける前記第2の少なくとも1つの電極への前記少なくとも第1のサテライトにおける前記第1の少なくとも1つの電極の前記短絡を中止するステップと、
選択された電極に前記リード線に沿って刺激信号を伝送させるステップと、
前記選択された電極への前記リード線に沿った刺激信号の前記伝送を中止するステップと、
前記リード線に沿って前記サテライトに伝送される制御信号を用いて、前記サテライト内の固体スイッチを閉鎖し、前記少なくとも第1のサテライトにおける第1の少なくとも1つの電極を、前記少なくとも第1のサテライトにおける第2の少なくとも1つの電極に短絡させるステップと、
前記少なくとも第1のサテライトにおける前記第2の少なくとも1つの電極への前記少なくとも第1のサテライトにおける前記第1の少なくとも1つの短絡を中止するステップと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記選択された電極は、前記少なくとも第1のサテライトの前記第1の少なくとも1つの電極と同一である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記リード線は、その長さに沿って2つの導体を有する、請求項27または29に記載の方法。
【請求項32】
ドライバとともに使用するための方法であって、
前記ドライバは、ワイヤおよびリード線に接続され、
前記リード線は、その長さに沿って少なくとも第1および第2のサテライトを有し、各サテライトは、そこに連結される少なくとも2つの電極を有し、前記リード線は、前記サテライトに連結される少なくとも1つの導体を有し、前記リードに沿って前記サテライトに連結される電極の総数は、前記リード内の導体の数を超え、前記方法は、
前記リード線に沿って前記サテライトに伝送される制御信号を用いて、第1のサテライト内の固体スイッチを閉鎖し、前記第1のサテライトにおける少なくとも1つの電極を少なくとも1つの導体に短絡させ、同時に、前記ドライバ内のスイッチを用いて、前記ワイヤを少なくとも1つの導体に短絡させ、それによって、前記第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極は、前記ワイヤに短絡される、ステップと、
前記ワイヤへの前記第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極の前記短絡を中止するステップと、
選択された電極に前記リードに沿って刺激信号を伝送するステップと、
前記選択された電極への前記リード線に沿った刺激信号の前記伝送を中止するステップと、
前記サテライトに前記リード線に沿って伝送された制御信号を用いて、前記第1のサテライト内の固体スイッチを閉鎖し、前記第1のサテライトにおける少なくとも1つの電極を前記少なくとも1つの導体に短絡させ、同時に、前記ドライバ内のスイッチを用いて、前記ワイヤを少なくとも1つの導体に短絡させ、それによって、前記第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極が前記ワイヤに短絡される、ステップと、
前記ワイヤへの前記第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極の短絡を中止するステップと、
を含む、方法。
【請求項33】
前記リード線は、その長さに沿って2つの導体を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ワイヤおよび少なくとも1つの電極は、組織と接触している、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
ドライバとともに使用するための方法であって、
前記ドライバは、伝導性筐体を有し、リード線に接続され、
前記リード線は、その長さに沿って少なくとも第1および第2のサテライトを有し、各サテライトは、それらに通信可能に連結される少なくとも2つの電極を有し、前記リード線は、前記サテライトに連結される少なくとも1つの導体を有し、前記リードに沿って前記サテライトに連結される電極の総数は、前記リード線内の導体の数を超え、
前記サテライトに前記リード線に沿って伝送された制御信号を用いて、第1のサテライト内の固体スイッチを閉鎖し、前記第1のサテライトにおける少なくとも1つの電極を前記少なくとも1つの導体に短絡させ、同時に、前記ドライバ内のスイッチを用いて、前記筐体を前記少なくとも1つの導体に短絡させ、それによって、前記第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極は、前記筐体に短絡される、ステップと、
前記筐体への前記第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極の短絡を中止するステップと、
選択された電極に前記リード線に沿って刺激信号を伝送するステップと、
前記選択された電極への前記リードに沿った刺激信号の前記伝送を中止するステップと、
前記サテライトに前記リード線に沿って伝送された制御信号を用いて、前記第1のサテライト内の固体スイッチを閉鎖し、前記第1のサテライトにおける少なくとも1つの電極を前記少なくとも1つの導体に短絡させ、同時に、前記ドライバ内のスイッチを用いて、前記筐体を前記少なくとも1つの導体に短絡させ、それによって、前記第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極が、前記筐体に短絡される、ステップと
前記筐体への前記第1のサテライトにおける前記少なくとも1つの電極の前記短絡を中止するステップと、
を含む、方法。
【請求項36】
前記リード線は、その長さに沿って2つの導体を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記筐体および少なくとも1つの電極は、組織と接触している、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
ドライバを備えるシステムであって、
前記ドライバは、各接続点においてリード線およびワイヤに接続可能であり、
前記リード線は、その長さに沿って少なくとも1つの導体を有し、かつ前記導体に接続されるその長さに沿って少なくとも1つのチップを有し、前記チップは、少なくとも2つの電極に接続され、電極の数は、前記リード線の長さに沿った導体の数を超え、
前記チップは、各電極を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体に制御可能および選択可能に接続するスイッチを備え、
前記ドライバは、前記ワイヤの前記接続点を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体の前記接続点に制御可能および選択可能に接続するスイッチを備え、
前記ドライバは、前記ワイヤの前記接続点を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体の前記接続点に接続するように、前記ドライバの前記スイッチを同時に制御しながら、前記電極のうちの少なくとも1つを、前記リード線の前記少なくとも1つの導体に接続するように、前記チップの前記スイッチを制御する手段を含む、
システム。
【請求項39】
前記リード線は、無菌包装されている、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記ドライバは、無菌包装されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
ドライバを備えるシステムであって、
前記ドライバは、接続点においてリード線に接続可能であり、伝導性筐体を有し、
前記リード線は、その長さに沿って少なくとも1つの導体を有し、かつ前記導体に接続されるその長さに沿って少なくとも1つのチップを有し、前記チップは、少なくとも2つの電極に接続され、電極の数は、前記リード線の長さに沿った導体の数を超え、
前記チップは、各電極を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体に制御可能および選択可能に接続するスイッチを備え、
前記ドライバは、前記伝導性筐体を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体の前記接続点に制御可能および選択可能に接続するスイッチを備え、
前記ドライバは、前記伝導性筐体を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体の前記接続点に接続するように、前記ドライバの前記スイッチを同時に制御しながら、前記電極のうちの少なくとも1つを、前記リード線の前記少なくとも1つの導体に接続するように、前記チップの前記スイッチを制御するための手段を含む、
システム。
【請求項42】
前記リード線は、無菌包装されている、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記ドライバは、無菌包装されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
リード線およびワイヤとともに使用するためのドライバであって、前記リード線は、少なくとも1つの導体を有する種類であり、かつ前記リード線が、制御信号に応じて電極に前記少なくとも1つの導体を選択的に接続する制御信号を受信し、
各接続点において前記リード線および前記ワイヤに接続可能であり、
前記ワイヤの前記接続点を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体の前記接続点に制御可能および選択可能に接続するスイッチを備え、
前記ワイヤの前記接続点を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体の前記接続点に接続するように、前記ドライバの前記スイッチを同時に制御しながら、前記電極を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体に接続するように、前記リード線を制御するために配置される制御信号を送信するための手段を含む、
ドライバ。
【請求項45】
前記ドライバは、無菌包装されている、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
リード線とともに使用するためのドライバであって、前記ドライバは、伝導性筐体を有し、前記リード線は、少なくとも1つの導体を有する種類であり、かつ前記リード線が制御信号に応じて電極に前記少なくとも1つの導体を選択的に接続する制御信号を受信し、
各接続点において前記リード線に接続可能であり、
前記伝導性筐体を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体の前記接続点に制御可能および選択可能に接続するスイッチを備え、
前記伝導性筐体を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体の前記接続点に接続するように、前記ドライバの前記スイッチを同時に制御しながら、前記電極を、前記リード線の前記少なくとも1つの導体に接続するように、前記リード線を制御するために配置される制御信号を送信するための手段を含む、
ドライバ。
【請求項47】
前記ドライバは、無菌包装されている、請求項46に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−508627(P2012−508627A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536547(P2011−536547)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/064487
【国際公開番号】WO2010/057063
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】