説明

ペーストこし機

【課題】高粘度のペーストであっても、効率よくペーストをこすことができるペーストこし機を提供する。
【解決手段】上面の支持板2に透孔3が形成された支持台5と、透孔の外周部に回転可能に取付けられたリング状の回転体8と、この回転体の回転駆動装置12と、回転体に直接あるいはリング状のベース板13に回転不能に取付けられた底部にフィルタが取付けられた円筒状のペーストこし容器14と、このペーストこし容器内に収納される、フィルタ上部に収納されたペーストをフィルタ方向へ押し圧することができる傾斜面が形成され、端部に磁石あるいは磁石に吸着される金属が取付けられたブレード16と、ペーストこし容器の外周部でブレードの磁石あるいは磁石に吸着される金属と吸着状態となる、磁石に吸着される金属あるいは磁石を備えた支持台の支持板に取付けられたブレード固定具18とで構成されるペーストこし機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーン印刷等で使用されるペースト内の不純物を除去して、スクリーン印刷のトラブルを解消するペーストこし機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のペーストこし機は底面にフィルタを配置したペーストこし容器内にフィルタよりペーストを押し出すブレードを回転可能に取付けた構造になっている。
【0003】
このため、ペーストこし容器内に収納されたペーストはブレードによってフィルタ上を回転し、高粘度のペーストは効率よくこすことができないという欠点があった。
【特許文献1】特許3014411
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、高粘度のペーストであっても、フィルタでこされないで回転してしまうのを阻止して、効率よくペーストをこすことができるペーストこし機を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は上面の支持板に透孔が形成された支持台と、この支持台の支持板の透孔の外周部に回転可能に取付けられたリング状の回転体と、このリング状の回転体を回転駆動させる回転駆動装置と、前記リング状の回転体に直接あるいはリング状のベース板に回転不能に取付けられた底部にフィルタが取付けられた円筒状のペーストこし容器と、このペーストこし容器内に収納される、棒状、Y字状、十字状で、前記フィルタ上部に収納されたペーストをフィルタ方向へ押し圧することができる傾斜面が形成された端部に磁石あるいは磁石に吸着される金属が取付けられたブレードと、前記ペーストこし容器の外周部で、前記ブレードの磁石あるいは磁石に吸着される金属と吸着状態となる磁石に吸着される金属あるいは磁石を備えた、前記支持台の支持板に取付けられたブレード固定具とでペーストこし機を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)上面の支持板に透孔が形成された支持台と、この支持台の支持板の透孔の外周部に回転可能に取付けられたリング状の回転体と、このリング状の回転体を回転駆動させる回転駆動装置と、前記リング状の回転体に直接あるいはリング状のベース板に回転不能に取付けられた底部にフィルタが取付けられた円筒状のペーストこし容器と、このペーストこし容器内に収納される、棒状、Y字状、十字状で、前記フィルタ上部に収納されたペーストをフィルタ方向へ押し圧することができる傾斜面が形成された端部に磁石あるいは磁石に吸着される金属が取付けられたブレードと、前記ペーストこし容器の外周部で、前記ブレードの磁石あるいは磁石に吸着される金属と吸着状態となる磁石に吸着される金属あるいは磁石を備えた、前記支持台の支持板に取付けられたブレード固定具とで構成されているので、ブレードを固定状態でペーストが収納されたペーストこし容器が回転させることができる。
したがって、フィルタ上のペーストが固定状態ののブレードによって、効率よくフィルタへ押し付けられて、従来のようにから廻りすることなくこすことができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、従来のようにブレードが回転する軸に取付けられていないので、ペーストこし容器内より簡単に取り出して、楽に清掃することができる。
【0010】
(3)前記(1)によって、ペーストこし容器内へブレードを入れるだけでよいので、ブレードの位置調整等が不要で、楽に使用することができるとともに、ブレードが収納されたペーストこし容器を複数個重ねて使用することができる。
【0011】
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られる。
【0012】
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、メッシュだけの安価なフィルタを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1ないし図9に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は本発明のペーストこし機で、このペーストこし機1は上面の支持板2に透孔3が形成され、該透孔3の下部にペースト受け容器4を設置することができる支持台5と、この支持台5の支持板2の透孔3の周縁部に形成された円筒状のフランジ部6の外周部にベアリング7を介して回転可能に取付けられたリング状の回転体としてのリング状歯車8と、このリング状歯車8を回転駆動させる、該リング状歯車8と噛み合うピニオン9を駆動軸10に取付けられ、前記支持台5内に取付けられたモータ11とからなる回転駆動装置12と、前記リング状歯車8に固定されたリング状のベース板13に回転不能に取付けられた複数段、本発明を実施する形態では2段に積み重ねられた円筒状のペーストこし容器14、14、14と、このペーストこし容器14、14、14内に収納された十字状で、端部に磁石15、15、15、15が取付けられたブレード16、16、16と、前記ペーストこし容器14、14、14の外周部で前記ブレード16、16、16の磁石15、15、15、15と吸着状態となる磁石17、17、17、17を備えた、前記支持台5の支持板2に取付けられたブレード固定具18、18、18、18とで構成されている。
【0015】
前記ペーストこし容器14、14、14は図5および図6に示すように、非磁性材のステンレス材等で形成された円筒状のペーストこし容器本体19と、このペーストこし容器本体19の上下面に外方へ突出するように形成された、上部より下部が大径の上下部フランジ部20、21と、この下部フランジ部21の底面に形成された係合部22としてのリング状の溝23と、このリング状の溝23と係合する係合部24としてのリング状の突片25が上面に形成された、前記下部フランジ部21に複数本のボルト26、26、26、26で固定されるリング状のフィルタ固定具27と、このフィルタ固定部27と前記下部フランジ部21との間で外周部が前記リング状の溝23とリング状の突片25とで外周方向の張力が加えられた状態で固定されるフィルタ28と、前記フィルタ固定具27の底面に形成された上部フランジ部20が入り込む凹部27aとで構成されている。
なお、ペーストこし容器14、14、14のフィルタ28、28、28は上部より粗目、中目、細目というようにして使用される。
【0016】
前記ブレード16、16、16は図7および図8に示すように十字状のブレード本体29と、このブレード本体29上流部側に形成されたペースト30をフィルタ28方向へ押し圧できるように形成された傾斜面31、31、31、31と、前記ブレード本体29の端部に形成された凹部32、32、32、32に収納固定された磁石15、15、15、15と、前記ブレード本体29のほぼ中央部の上面に上方へ突出するように一体形成された握りリブ33とで構成されている。
【0017】
前記ブレード固定具18、18、18、18は前記ペーストこし容器14、14、14の外周部に位置するように、前記支持台5の支持板2に前記ブレード16、16、16の端部が位置する部位と対応する部位に固定された支柱34、34、34、34と、この支柱34、34、34、34にそれぞれ前記ブレード16、16、16の端部方向へ突出するように取付けられた先端に磁石17、17、17、17が取付けられたアーム35、35、35、35とで構成され、該アーム35、35、35、35を固定状態でペーストこし容器14、14、14の出し入れができるようになっている。
【0018】
上記構成のペーストこし機1はペーストこし容器14、14、14内にブレード16、16、16をそれぞれ収納して積み重ね、最上部のペーストこし容器14内に不純物を除去するペースト30を収納し、回転駆動装置12のモータ11を駆動させるとピニオン9によってリング状歯車8が回転し、積み重ねされたペーストこし容器14、14、14が回転する。
このペーストこし容器14、14、14の回転時には、図9に示すようにブレード16、16、16の端部の磁石15、15、15、15がブレード固定具18、18、18、18の磁石17、17、17、17と吸着状態となり、固定状態となる。
このため、ペーストこし容器14、14、14のフィルタ28、28、28上のペースト30は、ブレード16、16、16の傾斜面31、31、31、31によってフィルタ28、28、28方向へ押し圧された状態となり、効率よくペーストをこすことができる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0019】
次に、図10ないし図21に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、下部フランジ21の底面にリング状の突片25で形成した係合部22と、このリング状の突片25と係合するリング状の溝23で形成した係合部24を設けたフィルタ固定具27Aとからなるペーストこし容器14A、14A、14Aを用いた点で、このようなペーストこし容器14A、14A、14Aを用いて構成したペーストこし機1Aにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0021】
図13ないし図15に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、Y字状のブレード16A、16A、16Aを用いるとともに、該ブレード16A、16A、16Aの端部の磁石15、15、15と吸着状態となるように磁石17、17、17が位置するブレード固定具18、18、18を支持台5の支持板2に取付けた点で、このように構成したペーストこし機1Bにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0022】
図16ないし図18に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、棒状のブレード16B、16B、16Bを用いるとともに、該ブレード16B、16B、16Bの端部の磁石15、15と吸着状態となるように磁石17、17が位置するブレード固定具18、18を支持台5の支持板2に取付けた点で、このように構成したペーストこし機1Cにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
図19ないし図21に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、回転体としてプーリー36を用いるとともに、モータ11の駆動軸10に取付けられた小プーリー37を用いて、該小プーリー37の回転を前記プーリー36にベルト38で伝達できるようにした回転駆動装置12Aを用いるとともに、ペーストこし容器14、14を2個積み重ねることができるようにした点で、このように構成したペーストこし機1Dにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0024】
なお、前記本発明を実施する各形態ではペーストこし容器を2個、3個積み重ねるものについて説明したが、本発明はこれに限らず、3個以上積み重ねるペーストこし容器を用いたり、1個だけのペーストこし容器を用いてもよい。
また、ブレードあるいはブレード固定具のいずれか一方に磁石を、他方に該磁石に吸着される金属を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明はペーストこし機を製造する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の正面図。
【図2】本発明を実施するための最良の第1の形態の平面図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の側面図。
【図4】図2の4−4線に沿う要部断面図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態のペーストこし容器の平面図。
【図6】図5の6−6線に沿う断面図。
【図7】本発明を実施するための最良の第1の形態のブレードの平面図。
【図8】本発明を実施するための最良の第1の形態のブレードの正面図。
【図9】本発明を実施するための最良の第1の形態のペーストをこす状態の説明図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図11】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図12】本発明を実施するための第2の形態のペーストこし容器の断面図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【図14】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図15】本発明を実施するための第3の形態のブレードの説明図。
【図16】本発明を実施するための第4の形態の正面図。
【図17】本発明を実施するための第4の形態の平面図。
【図18】本発明を実施するための第4の形態のブレードの説明図。
【図19】本発明を実施するための第5の形態の正面図。
【図20】本発明を実施するための第5の形態の平面図。
【図21】本発明を実施するための第5の形態の回転駆動装置の説明図。
【符号の説明】
【0027】
1、1A、1B、1C、1D:ペーストこし機、
2:支持板、 3:透孔、
4:ペースト受け容器、 5:支持台、
6:フランジ部、 7:ベアリング、
8:リング状歯車、 9:ピニオン、
10:駆動軸、 11:モータ、
12、12A:回転駆動装置、 13:ベース板、
14、14A:ペーストこし容器、
15:磁石 16、16A、16B:ブレード、
17:磁石、 18:ブレード固定具、
19:ペーストこし容器本体、 20:上部フランジ部、
21:下部フランジ部、 22:係合部、
23:リング状の溝、 24:係合部、
25:リング状の突片、 26:ボルト、
27、27A:フィルタ固定具、28:フィルタ、
29:ブレード本体、 30:ペースト、
31:傾斜面、 32:凹部、
33:握りリブ、 34:支柱、
35:アーム、 36:プーリー、
37:小プーリー、 38:ベルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の支持板に透孔が形成された支持台と、この支持台の支持板の透孔の外周部に回転可能に取付けられたリング状の回転体と、このリング状の回転体を回転駆動させる回転駆動装置と、前記リング状の回転体に直接あるいはリング状のベース板に回転不能に取付けられた底部にフィルタが取付けられた円筒状のペーストこし容器と、このペーストこし容器内に収納される、棒状、Y字状、十字状で、前記フィルタ上部に収納されたペーストをフィルタ方向へ押し圧することができる傾斜面が形成された端部に磁石あるいは磁石に吸着される金属が取付けられたブレードと、前記ペーストこし容器の外周部で、前記ブレードの磁石あるいは磁石に吸着される金属と吸着状態となる磁石に吸着される金属あるいは磁石を備えた、前記支持台の支持板に取付けられたブレード固定具とからなることを特徴とするペーストこし機。
【請求項2】
上面の支持板に透孔が形成され、該透孔の下部にペースト受け容器を設置することができる支持台と、この支持台の支持板の透孔の周縁部に形成したリング状のフランジ部の外周部にベアリングを介して回転可能に取付けられたリング状の回転体と、このリング状の回転体を回転駆動させる回転駆動装置と、前記リング状の回転体に直接あるいはリング状のベース板に回転不能に取付けられた底部にフィルタが取付けられた円筒状の複数段に積み重ねることができる複数個のペーストこし容器と、この複数個のペーストこし容器内にそれぞれ収納される棒状、Y字状、十字状で、前記フィルタ上部に収納されたペーストをフィルタ方向へ押し圧することができる傾斜面が形成された端部に磁石が取付けられた複数個のブレードと、前記複数個のペーストこし容器の外周部で、前記各ペーストこし容器内に収納された前記ブレードの磁石と吸着状態となる磁石をそれぞれ備えた、前記支持台の支持板に取付けられたブレード固定具とからなることを特徴とするペーストこし機。
【請求項3】
ペーストこし容器は円筒状のペーストこし容器本体と、このペーストこし容器本体の上下面に外方へ突出するように形成された上下部フランジ部と、この下部フランジ部の底面に形成されたリング状の溝あるいはリング状の突片の係合部と、この係合部のリング状の溝あるいはリング状の突片と係合するリング状の突片あるいはリング状の溝の係合部が上面に形成された、前記下部フランジ部と着脱可能に固定されるリング状のフィルタ固定具と、このフィルタ固定具の係合部と前記下部フランジ部の係合部とに外周部が係止されるフィルタとからなることを特徴とする請求項1、請求項2いずれかに記載のペーストこし機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−313377(P2007−313377A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142273(P2006−142273)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(500069781)株式会社プロテック (5)
【Fターム(参考)】